JP4405353B2 - 高光触媒能を有するマリモ状多孔質酸化チタン - Google Patents

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Description

本発明は多孔質酸化チタン、特に光触媒能の高い多孔質酸化チタン粉体に関する。
酸化チタンは光触媒能を発揮することが知られており、その触媒効率を高めるために、酸化チタンの薄膜の多孔質化や、多孔質状担体への酸化チタンの被覆などが検討されている。
酸化チタン薄膜の形成方法としては、例えばチタンアルコキシドを用いたゾル−ゲル法があるが、この方法はチタンアルコキシドを用いているため高価であり、またハンドリングしにくい等の問題がある。
また、多孔質担体に酸化チタンを被覆する方法では、担体がアルミナやシリカ等であり、安定性(耐酸性、耐アルカリ性など)に欠けるなどの問題がある。
一方、チタン塩溶液をオートクレーブ中過酸化水素水を用いて特定条件で水熱処理することにより、二酸化チタンの小球状一次粒子が集合したマリモ状粉体が得られることも報告されている(特許文献1)。しかし、この場合一次粒子の集合が密であり、比表面積が小さいため、触媒能が十分ではない。
特開2000−191325号公報
本発明は、前記背景技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、光触媒能に優れる多孔質酸化チタン粉体を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、チタン塩溶液を脂肪族アルコール等の添加剤と共に加熱加水分解し、その後加熱処理すると、微粒子酸化チタンの一次粒子が集合した、比表面積が非常に大きなマリモ状多孔質酸化チタン粉体が得られ、結晶型のアナターゼ比率が50%以上のものは高い光触媒能を示すことが判明した。さらに、このようなマリモ状多孔質酸化チタン粉体に金などの金属微粒子を担持させることにより、その光触媒能がさらに向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる金属担持マリモ状多孔質酸化チタンは、酸化チタンの一次微粒子が集合して形成され、その結晶型の50%以上がアナターゼ型であり、比表面積が250〜500m/gであるマリモ状多孔質酸化チタンに、さらに金属微粒子を担持した金属担持マリモ状多孔質酸化チタンであることを特徴とする。
本発明のマリモ状多孔質酸化チタンは、粒径が0.01〜100μmであることができる。
また、本発明において、金属微粒子としては金、白金、銀、銅及びパラジウムから選ばれる1種以上の金属が好適である。
また、本発明にかかる光触媒用酸化チタンは、前記何れかに記載金属担持マリモ状多孔質酸化チタンからなる
本発明によれば、アナターゼ比率50%以上で、比表面積が250〜500m/gと非常に大きなマリモ状の多孔質酸化チタン粉体が容易に得られ、この粉体は光触媒能に優れる。また、該マリモ状多孔質酸化チタン粉体に少量の金属微粒子を担持させるだけで、さらに光触媒能を高めることができる。よって、これらの多孔質酸化チタン粉体は、光触媒用酸化チタンとして、雰囲気中や水中などにおける汚染・有害化学物質の分解や浄化、あるいは防汚、脱臭、空気清浄など、光触媒が適用される各種分野において、使用可能である。
本発明のマリモ状多孔質酸化チタンは、酸化チタンの一次微粒子が集合してマリモ状に形成された多孔質酸化チタン粉体である。本発明において、マリモ状とは、概略球状であることを意味し、その長径と短径との比は通常0.75以上である。
また、本発明のマリモ状多孔質酸化チタン粉体は、一次粒子同士が粗な状態で集合し、多くの細孔(空隙)を有する多孔質状を呈しており、比表面積が250〜500m/gという非常に大きな多孔質酸化チタンである。このため、その結晶型のアナターゼ比率が50%程度でも光触媒能が高く、独テグッサ(Degussa)社のP−25(光触媒用酸化チタンとして世界な標準品)と同等以上の活性を示す。
また、マリモ状多孔質酸化チタン粉体の平均粒径は0.01〜100μmであることができるが、0.01〜10μmであることが好適である。粒径が小さいと媒体中で凝集を起こしやすく、粒径が大きいと使用性が損なわれることがある。また、一次粒子となる酸化チタン粒子の平均粒径は通常0.001〜0.05μmである。
このようなマリモ状多孔質酸化チタンは、次のようにして得ることができる。
すなわち、チタン塩溶液を脂肪族アルコール及び/又はカルボキシル基あるいはカルボニル基を有するカルボニル性物質の存在下で加熱加水分解し、その後酸で加熱処理する。具体的には、例えば、チタン塩溶液に脂肪族アルコール等を添加して、これを加熱加水分解して白色沈殿物を得、これをさらに酸で加熱処理後、さらにアルカリ処理によりpH調整し、水洗、乾燥(さらに焼成も可)することが好適である。なお、上記アルカリ処理を省略することも可能ではあるが、収率や品質に劣ることがある。
本発明において用いるチタン塩溶液の出発原料としては、特に限定されないが、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン等の無機チタン塩の水溶液が好適に用いられる。また、出発原料としてチタンテトライソプロポキシド等の有機チタン塩を使用することも可能である。
チタン塩溶液の濃度は、0.1〜5mol/Lであることが好適である。
本発明では、チタン塩溶液を加熱加水分解する際に添加する脂肪族アルコールの添加量によって、粉体の粒子径や比表面積を変化させることができる。これは、脂肪族アルコールが一次粒子の粒径や集合状態に影響を及ぼし、その結果二次粒子である多孔質粉体の粒径、比表面積等が変化するためであると考えられる。
脂肪族アルコール濃度としては、用いる原料や脂肪族アルコールの種類等に応じて適宜決定すればよい。脂肪族アルコールの添加量が少なすぎると、得られた多孔質酸化チタンの結晶型のアナターゼ比率が小さくなり、比表面積も小さくなる傾向がある。また、脂肪族アルコールの添加量が多すぎる場合には、形状が崩れたり、凝集が著しくなって比表面積が小さくなる。例えば、チタン塩溶液として硫酸チタニルなどを用いた場合にはアナターゼ型が得られるが、形状や比表面積の点などから脂肪族アルコール濃度はチタン塩溶液中0.1〜5mol/L、好ましくは0.5〜3mol/Lとすることが好適である。また、例えば、チタン塩溶液として四塩化チタン水溶液を用いた場合には、脂肪族アルコール(例えばグリセリン)の濃度はチタン塩溶液中1.5〜5mol/L、好ましくは1.5〜3mol/Lとすることが好適である。なお、上記範囲は後述するカルボキシル/カルボニル化合物を併用する場合にはその限りではない。
本発明において、チタン塩溶液を加熱加水分解する際に添加される脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜22のものが挙げられ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、オクタノール、ステアリルアルコール等が例示できるが、きれいな形状とするためには多価アルコールを用いることが好ましい。多価アルコールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルプロパンジオール、ジエチルプロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール等が好適に用いられ、特に好ましくはグリセリンである。1価アルコールを用いても多孔質粉体を形成するが、多価アルコールに比べてきれいな形状のものが得難い。1価アルコールを使用する場合、後述のカルボキシル/カルボニル化合物を併用することで、この点は改善可能である。
加熱加水分解条件は、用いる原料、脂肪族アルコール等の添加剤の種類や濃度等により適宜決定されるが、通常50〜100℃にて1〜12時間であることが好適である。
本発明においては、加熱加水分解後、酸で加熱処理する。具体的には、加熱加水分解処理後、濾過残分を水中に再懸濁したスラリーに対して酸を添加し、加熱する。このような酸としては、硫酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、好ましくは塩酸である。
このような酸加熱処理により、比表面積が250m/g以上という非常に高い比表面積を有する多孔質粉体を得ることができる。酸加熱処理を行わなかったり、あるいは加熱加水分解時に脂肪族アルコール等の添加剤を添加しない場合には、このような比表面積の大きい粉体を得ることができない。また、酸加熱処理により、処理前に比べて粉体の粒径が小さく、且つ均一になる傾向がある。
該酸加熱処理における酸の添加量は、通常スラリー中のチタンに対して1〜8モル当量である。加熱条件としては、用いる原料、添加剤、濃度等に応じて適宜決定すればよいが、通常は、前記加熱加水分解条件と同様の範囲である。
本発明においては、酸加熱処理後、反応液(あるいは反応液を濾過・水洗後、水中に再懸濁したスラリー)にアルカリを添加してpHを6〜8、好ましくはpH6.5〜7.5に調整(中和)することが好適である。使用されるアルカリについては特に限定されないが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のNa塩、K塩、Ca塩が好適に用いられる。
本発明においては、脂肪族アルコールとともにカルボキシル基又はカルボニル基を有する物質を共存させると、得られる酸化チタンのアナターゼ比率が高くなる傾向がある。チタン塩溶液として四塩化チタン水溶液を用いた場合、アナターゼ比率50%以上とするためには、脂肪族アルコール1molに対し、酢酸2mol以上を用いることが好適である。また、カルボキシル基又はカルボニル基を有する物質を共存させると、併用しない場合に比して多孔質粉体の粒径がより小さくなる傾向がある。また、添加剤の使用量も低減できることが多い。
カルボキシル基又はカルボニル基を有する物質(カルボキシル/カルボニル化合物ということがある)としては、特に支障のない限り限定されないが、炭素数1〜22の脂肪族化合物が好適であり、代表的な例として脂肪族カルボン酸又はその誘導体等が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、ステアリン酸等の一塩基酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸等の二塩基酸の他、あるいはそれ以上の多塩基酸も可能である。誘導体としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩等の塩、メチルエステル、エチルエステル等のエステル等が代表的であるが、アミノ酸、アミドなども特に支障のない範囲で使用可能である。また、カルボキシル/カルボニル化合物として、サリチル酸、安息香酸などの芳香族カルボン酸も挙げられる。
これらのうち、好ましいものとしてカルボン酸、カルボン酸塩が挙げられ、さらに好ましいものとして酢酸、シュウ酸、サリチル酸、プロピオン酸、コハク酸、マロン酸、安息香酸が挙げられ、特に好ましいものとして酢酸、プロピオン酸が挙げられる。
カルボキシル/カルボニル化合物の濃度は、該化合物の種類やその他の条件によって適宜決定すればよいが、通常はチタン塩溶液中0.1〜5mol/Lであり、好ましくは0.5〜5mol/Lである。該濃度が小さすぎると添加効果が発揮されず、また、過剰に添加してもそれに見合った効果が発揮されない。
また、添加剤として、脂肪族アルコールの代わりにカルボキシル/カルボニル化合物のみを用いても、多孔質酸化チタン粉体を得ることができる。この場合、カルボキシル/カルボニル化合物として好ましくは酢酸である。なお、脂肪族アルコールの代わりにカルボキシル/カルボニル化合物を用いた場合には、脂肪族アルコールを用いた場合に比べて粒度や形状が劣ることがある。
マリモ状多孔質酸化チタンの製造方法として、四塩化チタン溶液に、四塩化チタン1molに対してグリセリン1.5〜5molを添加して加熱加水分解し、その後さらに酸で加熱処理する方法は特に好ましい方法の一つである。
また、四塩化チタン溶液に、四塩化チタン1molに対してグリセリン0.1〜5molを添加し、さらに酢酸をグリセリンに対して2倍mol当量以上添加して加熱加水分解し、その後さらに酸で加熱処理する方法も特に好ましい方法の一つである。
さらに、本発明のマリモ状多孔質酸化チタン粉体に、金属微粒子を担持させると、少量の担持量で光触媒能を著しく向上させることができる。
金属としては、酸化チタンに光が照射されて電子と正孔とが生成した際に、電子を捕捉し得るものであればよく、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Pdが好適に用いられる。
金属を担持させる方法としては公知の方法が使用できるが、例えば、光還元法が簡便である。具体的には、マリモ状多孔質酸化チタンを水に分散し、これに金属塩水溶液を加え、紫外線を照射すればよい。その後、濾過、水洗、乾燥を行って金属担持粉体を得る。
金属塩としては、例えば、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物などが挙げられる。
溶媒としては、水が好適であるが、エタノール、プロパノール等を用いてもよい。なお、溶媒は必要に応じて酸、アルカリによりpH調整を行うことができる。
金属担持量としては、本発明の効果が発揮されれば特に制限されないが、通常は、担持させようとする粉体に対し金属量で0.01〜2質量%であり、好ましくは0.1〜1質量%である。
紫外線を照射する光源としては、紫外線ランプの他、BLBランプ、キセノンランプ、水銀灯、蛍光灯など、紫外線を含む光を照射できるものであれば使用可能である。紫外線照射の際には、反応液に紫外線が十分照射できるよう、照射位置や時間等を設定する。
製造例1
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、濾過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50%(残りはルチル)であった。また、形状をTEM観察したところ、粒子径約100nmのマリモ状酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、比表面積が385m/gの多孔質体であった。
また、製造例1において、グリセリン添加量を変えた以外は同様にして酸化チタン粉体を得た。その結果、表1に示すように、脂肪族アルコール(グリセリン)の添加量が少なすぎる場合にはアナターゼ比率が低く、また、比表面積も小さくなる傾向があった。一方、脂肪酸アルコールの添加量が多すぎると形状が崩れ、さらには凝集が著しくなってやはり比表面積が小さくなる傾向があった。
また、製造例1において、加熱加水分解後、塩酸処理せずに、水酸化ナトリウム処理を行った以外は、同様にして酸化チタン粉体を製造したところ、得られた粉体はマリモ状ではあったが、比表面積は250m/gよりも小さかった。
(表1)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
グリセリン添加量 形状 粒子径 アナターゼ比率 比表面積
(mol) (nm) (%) (m/g)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
0.01 マリモ状 300〜2000 0 134
(二次粒子間の凝集あり)
0.1 マリモ状 90 0 361
0.15 マリモ状 100 50 385
0.3 マリモ状 60 100 302
(やや形状の崩れあり)
0.5 微粒子の凝集体 − 100 35
(形状不定、細孔ほとんどなし)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
製造例2
製造例1において、0.15molグリセリンを0.1molグリセリンと0.3mol酢酸に代えた以外は同様にして、酸化チタン粉体を得た。
得られた粉体は、アナターゼ比率約100%、粒子径約50nmのマリモ状酸化チタンであり、2nmと20nmの細孔を有し、比表面積が395m/gの多孔質体であった。
比較製造例1
製造例1において、0.15molグリセリンを0.1molグリセリン及び0.1mol酢酸に代えた以外は同様にして、酸化チタン粉体を得た。
得られた粉体は、アナターゼ比率約30%(残りはルチル)、粒子径約80nmのマリモ状酸化チタンであり、2nmの細孔を有し、比表面積が350m/gの多孔質体であった。
製造例1〜2と比較製造例1とからわかるように、酢酸のようなカルボキシル/カルボニル化合物を併用することにより、アナターゼ比率が高くなり、また、粒径が小さくなる傾向が認められた。
ホルムアルデヒド分解能
図1は製造例1〜2、比較製造例1で得られた各粉体のホルムアルデヒド分解能を調べた結果である。試験は、20ppmのホルムアルデヒド雰囲気中に被験粉体1gを入れて蛍光灯下に置き、経時的にホルムアルデヒド濃度を測定することにより、分解挙動を調べた。なお、比較対照として、標準的な光触媒として利用されているアナタース型微粒子酸化チタンP−25(独テグッサ社、アナターゼ比率約83%、比表面積約25m/g)を用いた。
図1に示すように、比較製造例1(アナターゼ比率約30%、比表面積350m/g)のマリモ状多孔質粉体はホルムアルデヒド分解能が低かったが、製造例1(アナターゼ比率約50%、比表面積385m/g)のマリモ状多孔質粉体はP−25と同等のホルムアルデヒド分解能を有し、製造例2(アナターゼ比率約100%、比表面積395m/g)のマリモ状多孔質粉体はP−25に比べても非常に高い分解能を有していた。
メチレンブルー分解能
さらに、メチレンブルー水溶液の退色試験により、水中における光触媒能を調べた。試験方法は、20ppmメチレンブルー水溶液50mLに、被験粉体0.5gを分散させ、人口太陽光(1400kj/m)を照射し、完全に退色するまでに要した時間を測定した。退色時間が短いほど、メチレンブルー分解能が高いことを意味する。結果を表2に示す。
表2からわかるように、水中においても本発明のマリモ状多孔質酸化チタンはP−25と同等の活性を示した。
(表2)
――――――――――――――――――――――――
被験粉体 完全退色に要した時間(h)
――――――――――――――――――――――――
P−25 3.5
製造例2 3.5
比較製造例1 5.0
――――――――――――――――――――――――
製造例3〜5
製造例2で得られた粉体1gを50mLのイオン交換水に分散し、これに2.5mmol/Lの塩化金酸水溶液とエタノールとを、下記表3のとおり添加した。人工太陽光(1400kj/m)照射下で3時間攪拌した後、濾過した。濾液は何れもほとんど透明であった。得られた粉体を水洗後、乾燥(105℃、12時間)して金属担持酸化チタン粉体を得た。得られた粉体は何れも、金コロイドに起因するピンク色の色調を有していた。
(表3)
――――――――――――――――――――――――――――――――――
製造例 塩化金酸水溶液添加量(Au担持量*) エタノール添加量
――――――――――――――――――――――――――――――――――
3 2g(0.2wt%) 4g
4 5g(0.5wt%) 10g
5 20g(2.0wt%) 40g
――――――――――――――――――――――――――――――――――
*用いた塩化金酸をAuに換算し、粉体に対する質量%で示した。
製造例3〜5の粉体について、メチレンブルー退色試験を行った。また、P−25あるいは比較製造例1で得られた粉体を用いて製造例3〜5と同様に金属担持粉体を製造し、同様にメチレンブルー退色試験を行った。結果を図2に示す。
図2からわかるように、本発明のマリモ状多孔質酸化チタン粉体(製造例2)ではP−25に比べて少量の金属担持量で退色時間が著しく短縮し、メチレンブルー分解能が非常に高くなった。また、その分解能はP−25よりも優れていた。なお、比較製造例1(アナターゼ比率約30%)のマリモ状酸化チタンでは金属担持による分解能の向上効果は認められなかった。
製造例6
製造例2において、四塩化チタンの代わりに硫酸チタニルを用いた以外は同様にして、酸化チタン粉体を得た。
得られた粉体は、アナターゼ比率約100%、粒子径約60nm、比表面積は327m/gのマリモ状多孔質酸化チタンであった。
製造例7
製造例1において、0.15molグリセリンを0.01molグリセリン及び0.3mol酢酸に代えた以外は同様にして、酸化チタン粉体を得た。
得られた粉体は、アナターゼ比率約100%、粒子径約10nm、比表面積は455m/gのマリモ状多孔質酸化チタンであった。
製造例8
製造例1において、0.15molグリセリンを0.1mol酢酸に代えた以外は、実施例1と同様にして酸化チタン粉体を得た。
得られた粉体は、アナターゼ比率約70%、粒子径約20nm及び600nm、比表面積は285m/gのマリモ状多孔質酸化チタンであった。
本発明にかかるマリモ状多孔質酸化チタンのホルムアルデヒド分解能を示す図である。 本発明にかかるマリモ状多孔質酸化チタンの金属担持によるメチレンブルー分解能の変化を示す図である。

Claims (4)

  1. 酸化チタンの一次微粒子が集合して形成され、その結晶型の50%以上がアナターゼ型であり、比表面積が250〜500m/gであるマリモ状多孔質酸化チタンに、さらに金属微粒子を担持したことを特徴とする金属担持マリモ状多孔質酸化チタン。
  2. 請求項1記載の金属担持マリモ状多孔質酸化チタンにおいて、マリモ状多孔質酸化チタンの粒径が0.01〜100μmであることを特徴とする金属担持マリモ状多孔質酸化チタン。
  3. 請求項1又は2記載の金属担持マリモ状多孔質酸化チタンにおいて、金属微粒子が金、白金、銀、銅及びパラジウムから選ばれる1種以上の金属であることを特徴とする金属担持マリモ状多孔質酸化チタン。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の金属担持マリモ状多孔質酸化チタンからなる光触媒用酸化チタン。

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