従来、アナログ加入者回線で提供されている緊急呼再呼び出し機能は、警察接続(110),消防接続(119)乃至海上保安機関接続(118)に発信接続が行なわれた場合、加入者回線側から先掛け復旧しても、緊急呼受付台が切断しない限り、当該加入者回線を公衆網側で保持し、再呼び出し(呼び返し)を可能としている。そして、構内交換機に収容したアナログ局線に対して緊急呼再呼び出しが行われた場合に、緊急呼発信を行なった内線を呼び返す方式は、従来から提案され、実施されてきた(例えば、特許文献1乃至3)。
緊急呼再呼び出しの典型的な例として、上記特許文献2及び3に記載の方法を組み合わせた方法は、以下の通りである。
(1)ダイヤル番号から緊急呼発信であることを識別する。
(2)緊急呼発信の場合には、緊急呼情報メモリに、緊急呼発信内線番号・捕捉局線トランク番号を記録する。
(3)緊急呼発信内線が先掛け復旧した場合には、緊急呼発信内線及び捕捉局線トランクを一定時間予約する。
(4)当該局線トランクに、予約時間内に緊急呼の再呼び出し(発信者番号が“110”か“119”)があった場合には、緊急呼情報メモリに記録されている予約内線に接続する。
(5)当該局線トランクに、予約時間内に着信がないか、予約時間内に緊急呼の再呼び出し以外の着信(発信者番号が通知されないか、発信者番号が“110”でも“119”でもない)があった場合には、緊急呼情報メモリをクリアし、予約を解除する。
一方、ISDN(Integrated Services Digital Network, サービス総合ディジタル網)である、INSネットの緊急呼の仕様は、非特許文献1に記載されている。尚、「INS」,「INSネット」,「INSネット64」は、日本電信電話株式会社の登録商標である。
アナログ局線の緊急呼に存在しない仕様として、INSネットの緊急呼の仕様には、次のようなものがある。
(1)呼び出し時の接続として、接続後に発信ユーザが切断しても、警察受付台、消防受付台又は海上保安機関受付台から網が切断されるまでの間は、同一インタフェースグループからの発信で“発番号”,“発サブアドレス”,“低位レイヤ整合性情報”,“高位レイヤ整合性情報”の情報要素が一致した場合には、“着番号”の情報要素の設定内容に関わらず、受付台に接続される。但し、“チャネル識別子”の情報要素で切断したチャネル以外の空きチャネルを変更不可として指定して発信した場合には、ビジーになる。また、“発番号”,“発サブアドレス”,“低位レイヤ整合性情報”,“高位レイヤ整合性情報”の情報要素のいずれかが不一致であっても、切断した同じチャネルを変更不可として指定して発信した場合は、ビジーになる。
(2)再呼び出し時の接続として、警察接続(110)、消防接続(119)及び海上保安機関接続(118)の再呼び出し時の「呼設定」メッセージは、“着番号”の情報要素が設定される。この“着番号”の情報要素に設定される番号ディジットは、警察接続(110)、消防接続(119)及び海上保安機関接続(118)への呼び出しを行なった際に、「呼設定」メッセージに設定された“発番号”の情報要素の番号ディジットである。呼び出し時の「呼設定」メッセージに“発番号”の情報要素が設定されていない場合には、そのインタフェースグループの契約者回線番号が設定される。但し、ダイヤルイン機能の契約がなされていないインタフェースグループへの再呼び出し時には、“着番号”の情報要素が設定されない。
着信ユーザへの「呼設定」メッセージには“発番号”の情報要素が必ず含まれる。“発番号”の情報要素の番号ディジットには、警察受付台からの再呼び出し時は「110」、消防受付台からの再呼び出し時は「119」、海上保安機関受付台からの再呼び出し時は「118」が各々設定されている。このとき、番号ディジット以外の情報要素内容(番号計画識別子,番号計画識別子,網検証識別子,表示識別子)については、ユーザからの発信形態の条件により変わることがある。また、再呼び出し時には、任意チャネル着信の契約に関わらず“チャネル識別子”の情報要素の設定は、常に「希望チャネルあり、他へのチャネルの変更不可」となる。
すなわち、警察受付台、消防受付台又は海上保安機関受付台から網が切断されるまでの間は、公衆網側にて緊急呼発信した加入者端末の発信者番号等の情報を保持しており、緊急呼発信をしたISDN端末からの発信接続を、ISDN端末から切断しても、緊急呼受付台側が保持している間は、同一ISDN端末からの同一Bチャネルを使用しての発信は、強制的に緊急呼受付台側に再接続され、同一ISDN端末からの異なるBチャネルを使用しての発信を規制し、緊急呼受付台側からの再呼び出しに備えさせることを意図していると考えられる。
この仕様は、一般家庭で最も多く使われる形態である、ISDN端末を公衆網のBRI(Basic Rate Interface, ISDN基本インタフェース)に1台直接接続したケースを想定した仕様であると考えられる。尚、以下に示す特許文献等においても、上記公衆網側の仕様は考慮されていない。
次に、構内交換機に収容したアナログ局線に対して緊急呼再呼び出しが行われた場合に、緊急呼発信を行なった内線の呼び返しを実現する発明例について説明する。
特許文献1に記載の発明は、構内交換機に収容した内線からアナログ局線に対して緊急呼発信した場合、発呼者がダイヤル後、実際に局線を捕捉及び発信するまで一定のタイミングをとることと、実際に局線を捕捉及び発信した後、発呼者が切断しても、一定のタイミング以内に緊急呼受付台が応答して発呼者を呼び出すことにより、発呼者の誤ダイヤルにより局線トランクを無効に保留してしまうことを防止するとともに、緊急呼の呼び出し中に発呼者が切断しても、受付台が応答することにより発呼者を呼び返せるようにする効果を狙ったものである。
この発明は、局線がISDNの場合にも適用することができ、意図した効果を得ることができる。但し、この発明では、局線がISDNの場合には、公衆網側での緊急呼発信者属性チェック(発番号等のチェック)による規制には何ら対処できるものではなく、内線がISDN端末の場合にどのように呼び返すのかにも言及されておらず、本願発明が解決しようとしている課題の解決に結びつくものではない。
また、特許文献2に記載の発明は、構内交換機に収容した内線からアナログ局線に対して緊急呼発信した場合、内線からの先掛け復旧時に、局線が切断するまで緊急呼発信内線を予約状態にしておき、緊急呼受付台からの再呼び出し操作時に、当該内線を呼び返すことができるようにするものである。但し、この発明では、局線がISDNの場合、内線からの先掛け復旧時にも局線トランク(Bチャネル)は復旧されてしまうため、ISDNの緊急呼発信及び再呼び出しを可能とすることはできない。仮に、内線からの先掛け復旧時にBチャネルを保持する仕組みにすると、ISDNの場合の緊急呼再呼び出しは、SETUP信号によって行なわれる仕様であるから、公衆網からの緊急呼再呼び出し(呼び返し)信号を受信することができなくなる。
また、この発明でも、局線がISDNの場合には、公衆網側での緊急呼発信者属性チェックによる規制には何ら対処できるものではないし、内線がISDN端末の場合にどのように予約・呼び返すのかにも言及されておらず(交換機から予約制御できるのはILC(ISDN用ライン回路)のBチャネルであり、交換機からISDN端末自体を予約する手段は示されていないし、一般に、ISDN端末の切断操作でISDN端末とILC間を復旧しないようにするためには、構内交換機側だけでなくISDN端末側の改造を必要とする)、本願発明が解決しようとしている課題の解決に結びつく発明ではない。
さらに、特許文献3に記載の発明は、構内交換機に収容した内線からアナログ局線に対して緊急呼発信した場合に、捕捉局線トランクに関連付けて内線番号及びタイマカウンタをメモリに記憶しておき、緊急呼発信内線が先掛け復旧した時に、一定時間内に当該トランクに着信があると、発信者番号が“110”か“119”であれば緊急呼再呼び出しであるとみなして、メモリに内線番号を記憶していた内線を呼び返す。また、一定時間は、メモリに内線番号が記憶されている内線からの内線発信及び外線発信を規制し、当該電話が使用できないようにするものである。また、当該トランクに発信者番号が“110”か“119”以外の一般呼着信があった場合には、すぐにメモリクリアし、予約を解除するものである。
この発明も、局線がISDNの場合には、公衆網側での緊急呼発信者属性チェックによる規制には何ら対処できるものではないし、緊急呼発信内線が先掛け復旧後、緊急呼受付台が切断して公衆網側での緊急呼保留が解除された場合でも、その旨ユーザ側である構内交換機には通知されないため、緊急呼発信内線が一定時間使用できなくなる。また、この発明の主目的は、予約状態にある緊急呼発信トランクに一般呼着信があった場合に、すぐに予約状態を解除し、無効に予約状態とする時間を削減することである。そのため、この発明は、本願発明が解決しようとしている課題の解決に結びつく発明ではない。
また、特許文献4には、110番、119番等の緊急通話後に、緊急通話先からの呼び返しが行われた際に、発呼内線に着信可能で、速やかな対応を可能とするため、構内電話交換機の内線電話機から緊急通話への外線発信接続において、局線トランクの捕捉時に、当該発呼内線番号の方路番号とトランク番号とを主記憶装置の緊急通話発呼内線番号メモリに記憶し、内線電話機と緊急通話終了後、当該緊急通話先からの呼び返しによる局線トランクへの着信時に、主記憶装置の緊急通話発呼内線番号メモリにアクセスし、発呼内線番号を読み出して、読み出された発呼内線に着信する方法が記載されている。
しかし、この文献は、上記特許文献2及び3に記載の発明を組み合わせたものに近い技術を開示したものであるとともに、予約状態とする手段を備えない装置に関するものであり、上記特許文献2等と同様に、本願発明が解決しようとしている課題の解決に結びつく技術を提案するものではない。
次に、構内交換機に収容したISDN端末に対して緊急呼再呼び出しを実現する発明例として、特許文献5に記載の発明は、構内交換機と局線とのインタフェースに関するものではなく、構内交換機に収容される内線がISDN端末の場合に、緊急呼発信に対応させるものである。緊急呼発信後、ISDN端末側からの先掛け復旧時、ILCのBチャネルを一定時間予約状態にしておくことにより、その後の緊急呼再呼び出し時に、ILCのBチャネルがすべてビジーになることによりISDN端末を呼び返せなくなることを防ぐものである。
この発明は、本願発明と組み合わせて利用することができるものであるが、本願発明では、構内交換機とISDN局線間のインタフェース制御に主点をおいているものであり、交換機に収容されるISDN端末とのインタフェース制御に主点をおいているこの発明とは、得られる効果も、構成要素も異なる。
次に、公衆網側の交換機と緊急呼受付台とを接続する装置に関する技術として、特許文献6に記載の緊急呼接続方式及び装置は、新しいディジタル通信方式による設備の増加、及び既存のディジタル通信方式による加入者数の増加に対応し、警察、消防等への緊急呼の接続を経済的かつ合理的に実行するものであるが、この発明は、構内交換機に関するものではなく、公衆網側の交換機と、緊急呼受付台とを接続する装置に関するものであり、実際のINSネットでは、非公開かつ独自手順で実現されている部分に関する発明であり、本願発明とは、緊急呼を扱うシステムに適用する位置が異なる。
さらに、構内交換機(集線装置)間のディジタル専用線間の緊急呼制御方式に関する特許文献7に記載の発明は、構内交換機と、別の構内交換機とを結ぶ専用線インタフェースに関するものであり、専用線インタフェースは、対向交換機にも発明を適用することで、独自手順で実現できるものであり、既に仕様条件が決まっている公衆網とのインタフェースは変更しないことを前提条件とし、発明を適用する構内交換機側だけに発明を適用するだけで課題を解決しようとしている本願発明とは目的及び構成が異なる。
また、特許文献8に記載のPHSの基地局(CS)で緊急呼呼び返しを実現する発明は、局線側のインタフェースに関するものではなく、構内交換機に収容される内線がPHS端末の場合に、緊急呼発信に対応させるものである。緊急呼発信後、PS(無線移動局;一般に「PHS端末」と呼ばれる)側からの先掛け復旧時、その接続に用いていたCS(無線基地局)で保留する緊急呼の数を記憶するとともに、その数だけCSのチャネルを予約しておくことにより、その後の緊急呼再呼び出し時に、チャネルビジーに遭遇してPSを呼び返せなくなることを防ぐものである。この発明は、本願発明と組み合わせて利用することができるものであるが、本願発明では、構内交換機とISDN局線間のインタフェース制御のみに主点をおいており、交換機に収容されるCSとのインタフェース制御に主点をおいているこの発明とは得られる効果も、構成も異なる。
また、特許文献9には、ダイヤルイン構内交換機の内線電話端末機に対して警察及び消防の受付台から呼び返し信号が送出された場合に、警察等からの呼び返し信号が正しく警察等に通報を行った内線電話端末機に着信するようにするため、警察等への通報を行った内線の電話番号を記録しておき、呼び返しがあったとき、先に記録しておいた内線電話回線にダイヤルイン着信させることにより、ダイヤルイン構内交換機内線への呼び返しを着信させるように構成した警察、消防回線の呼び返し着信補正方法が記載されている。
この文献に記載の発明は、アナログ局線に関して、緊急呼か否かの識別に「極性」を用いる点が改良点ではあるが、局線がISDNであることを前提としている本願発明とは直接関係がない。また、この文献では、ISDNに関しても言及しているが、「一般の呼出信号には呼設定情報内の着番号情報に着信させるべきダイヤルイン内線電話番号が付加されてくるが、呼び返し信号にはこの着番号情報がなく、」との記載は、非特許文献1に、「この“着番号”情報要素に設定される番号ディジットは、警察接続(110)、消防接続(119)及び海上保安機関接続(118)への呼び出しを行なった際に、「呼設定」メッセージに設定された“発番号”情報要素の番号ディジットです。」と明記されているように事実とは異なるものになっている。
特開平4−290364号公報
特開平6−334744号公報
特開2001−320749号公報
特開平5−122377号公報
特開平4−288758号公報
特開2003−209623号公報
特開平10−276459号公報
特開平2000−4476号公報
特開2001−69540号公報
「INSネットサービスのインタフェース 第3分冊(レイヤ3回線交換編)第5版、付録17、NTT東日本株式会社、「緊急電話の接続についてへの追加・変更」(http://www.ntt-east.co.jp/ISDN/tech/spec/tsuika/pdf/118tuiki3-17.pdf)」
ここで、BRIやPRI(Primary Rate Interface, 1次群速度インタフェース)を公衆網と接続する局線トランク(以下、「ISDNトランク」と称す)として持つEPBX(Electronic Private Branch eXchange:以下、適宜「EPBX」と称す)に収容される内線が緊急呼発信した場合、次のような問題が考えられる。
第1の問題点は、EPBXに収容される内線がすべて同一発信者番号のみを公衆網に通知するか、発信者番号を公衆網に通知しないと、1台の内線が緊急呼発信してその呼が緊急呼受付台側で保持されている間は、すべての内線からの局線発信が強制的に緊急呼受付台に接続されてしまったり、公衆網側で規制(ビジー)とされてしまったりすることである。
この理由は、次の通りである。EPBXに収容される内線がすべて同一発信者番号のみを公衆網に通知するか、発信者番号を公衆網に通知しないと、1台の内線が緊急呼発信してその呼が緊急呼受付台側で保持されている間は、すべての内線からの同一Bチャネルを使用した局線発信または同一インタフェースグループの他チャンネルをチャネル変更可とした局線発信は、すべて緊急呼受付台に強制的に接続されてしまい、すべての内線からの同一インタフェースグループの他チャンネルをチャネル変更不可とした局線発信は、すべて公衆網側で規制(ビジー)とされてしまう。
仮に、アナログ局線からの緊急呼制御の典型例として説明した上記特許文献2、3に記載の発明を組み合わせた方式、又は特許文献4や、特許文献9に記載の方式を適用したとしても、前者の課題を回避する(同一Bチャネルを使用した発信をEPBX側で行なえなくする)ことができるようになるだけで、後者の課題を解決することはできない。
第2の問題点は、EPBXに収容される内線がすべて同一発信者番号のみを公衆網に通知するか、発信者番号を公衆網に通知しないと、公衆網側から再呼び出しが行なわれた場合、常に同じ内線に着信してしまうか、常にどの内線にも着信できなくなってしまうことである。
その理由は、次の通りである。EPBXに収容される内線がすべて同一発信者番号のみを公衆網に通知するか、発信者番号を公衆網に通知しないと、公衆網側から再呼び出しが行なわれた場合、常に同一の着番号が通知される。この着番号をEPBXの基本機能である数字分析を行なって着信先を決めてしまうと、常に同じ内線に着信してしまうか、常にどの内線にも着信できなくなってしまうからである。
これは、仮に、アナログ局線からの緊急呼制御の典型例として説明した特許文献2、3に記載の発明を組み合わせた方式を適用すれば、着番号を無視して、予約状態にしておいた緊急呼発信内線に接続することで回避できるが、この場合、次の第3の問題点が発生する。
第3の問題点は、緊急呼発信した内線からの先掛け復旧時、当該内線を一定時間予約状態とする方式を適用した場合、仮に緊急呼受付台側で切断されていても、一定時間当該内線の操作を行うことができないことである。
その理由は、次の通りである。内線が緊急呼発信接続して、当該内線が先掛け復旧しても、その呼が緊急呼受付台側で保持されている間は、公衆網側で保留されている。しかし、その後、緊急呼受付台が切断すれば、網側の保留も解除されるが、網側の保留が解除されたことは、公衆網側の仕様によりユーザ側であるEPBXには通知されない。このため、仮に、アナログ局線からの緊急呼制御の典型例として説明した特許文献2、3に記載の発明を組み合わせた方式を適用すると、当該内線は一定時間予約状態となり、仮に緊急呼受付台側で切断されていても、一定時間当該内線の操作を行うことができないことになるからである。このことから、緊急呼発信内線を一定時間予約状態にする方式には一長一短があることが分かる。
そこで、本発明は、EPBXに収容される内線が、ISDNトランクを介して緊急呼発信した場合の、公衆網側からの再呼び出しに対して、緊急呼発信内線の呼び返しを可能とすることを目的とする。
また、本発明の他の目的は、EPBXに収容される内線がISDNトランクを介して緊急呼発信し、当該内線からの先掛け復旧で、緊急呼受付台側から保持されている場合、当該内線からのISDNトランクへの再発信が公衆網側で規制されるようにすることである。
本発明のさらに他の目的は、EPBXに収容される内線が、ISDNトランクを介して緊急呼発信し、当該内線からの先掛け復旧で、緊急呼受付台側から保持されている場合には、当該内線以外の内線からのISDNトランクへの発信、又は、任意トランクからISDNトランクへのタンデム発信が公衆網側で規制されないようにすることである。
本発明のさらに他の目的は、EPBXに収容される内線が、ISDNトランクを介して緊急呼発信し、当該内線からの先掛け復旧で、緊急呼受付台側から保持されている間でも、ISDNトランク以外への発信を可能とし、緊急呼受付台側から切断され、網側の保留が終了した後も当該内線が予約状態のままとなり使用できない状態が続かないようにすることである。
本発明のさらに他の目的は、EPBXに収容される内線が、ISDNトランクを介して緊急呼発信し、当該内線からの先掛け復旧で、緊急呼受付台側から保持された後、緊急呼受付台側から切断され、公衆網側の保留が終了した後は、直ちに当該内線からのISDNトランクへの発信を可能とすることである。
上記目的を達成するため、本発明は、内線電話機とISDNトランクとを収容するEPBXであって、前記内線電話機から公衆網ISDNトランクに緊急呼発信が行なわれた場合に、該緊急呼に関する情報を記憶する緊急呼情報記憶手段と、該緊急呼情報記憶手段に記憶されている情報を利用してISDNのBチャネルの選択及び捕捉を制御するトランク・Bチャネル選択手段と、前記公衆網ISDNに通知するSETUP信号の発番号情報要素又は/及び発サブアドレス情報要素を利用して公衆網側が緊急呼発信内線を一意に識別できる情報を編集制御する緊急呼SETUP信号編集手段と、前記公衆網ISDNから通知されるSETUP信号もしくはCONN信号を受信した時、又は、前記緊急呼情報記憶手段に記憶されているタイマ値を利用し、前記緊急呼情報記憶手段に記憶されている情報を更新又は消去する緊急呼情報記憶手段制御手段と、前記公衆網ISDNから通知される前記SETUP信号を受信した時に、前記緊急呼情報記憶手段に記憶している情報を利用して緊急呼発信内線の呼び返し制御を行う緊急呼発信内線等着信制御手段とを備え、前記緊急呼SETUP信号編集手段は、前記SETUP信号の発サブアドレス情報要素に、緊急呼番号と前記内線電話機の内線番号とを組み合わせたものをマッピングすることを特徴とする。
上記緊急呼情報記憶手段は、図1において、緊急呼情報メモリMEM101に対応する。また、緊急呼メモリの構成図の例を図3に示す。
また、トランク・Bチャネル選択手段、緊急呼SETUP信号編集手段、緊急呼情報記憶手段制御手段、及び緊急呼発信内線等着信制御手段は、中央処理装置CPU001に対して制御指示を与えるプログラムに対応しており、そのプログラムモジュール構成例は、図2に示す通りであり、対応関係の詳細を以下に記す。
トランク・Bチャネル選択手段は、トランク・Bチャネル選択手段(T122)に対応する。緊急呼情報記憶手段制御手段は、緊急呼情報メモリ生成手段(T126)と緊急呼情報メモリ更新手段(T321)と、タイマ制御モジュール(M511)と、緊急呼情報メモリ消去手段(T226,T421)と、緊急呼情報メモリ読み出し手段(T221)とに対応する。また、緊急呼番号識別手段(T124)を汎用手段として独立させた構成としているが、これは、緊急呼情報記憶手段制御手段の緊急呼情報メモリ生成条件の一つとして、緊急呼情報記憶手段制御手段の一要素に含めることができる。図4に緊急呼情報メモリの制御例を示す。
緊急呼SETUP信号編集手段は、SETUP信号編集手段(緊急呼特有部分)(T128)に対応する。緊急呼発信内線等着信制御手段は、緊急呼発信内線等着信制御手段(T225)に対応する。また、緊急呼番号照合手段(T223)を汎用手段として独立させた構成としているが、緊急呼発信内線等着信制御手段にて、公衆網から受信したSETUP信号をもとに、緊急呼発信内線再呼び返しで緊急呼発信内線を呼び返すか、一般呼着信で緊急呼情報メモリ消去手段(T226)を介して緊急呼情報メモリを消去するかの判定を、同じく汎用手段として独立させた構成としている発番号情報要素抽出手段(T222)と連携して実行するものとして、緊急呼発信内線等着信制御手段の一要素に含めることができる。
上記構成を有するEPBXにおいて、内線電話機が緊急呼発信をすると、緊急呼情報記憶手段制御手段は、公衆網に送信するSETUP信号の着番号を元に、それが緊急呼発信であることを識別する。緊急呼発信であることを識別すると、緊急呼情報記憶手段は、トランク・Bチャネル選択手段によって選択・捕捉したBチャネルに関連付けて、緊急呼に関連する緊急呼番号と、呼状態値と、タイマ値と、緊急呼発信端子情報と、緊急呼発信端子番号と、緊急呼発信端子サブアドレス等を記憶する。それと略々同時に、緊急呼SETUP信号編集手段は、緊急呼情報記憶手段に記憶しているか、記憶しようとしている情報を利用して公衆網ISDNに通知する呼設定(SETUP)信号のうち、主に発番号情報要素・発サブアドレス情報要素を編集制御する。ここで、トランク・Bチャネル選択手段は、選択・捕捉する方路・トランクを決定する際に、緊急呼情報記憶手段に記憶している情報を利用する。
緊急呼が生起されると、緊急呼情報記憶手段制御手段は、一般呼乃至緊急呼の発着信・緊急呼再呼び出し時も含めて公衆網ISDNから通知される呼設定(SETUP)信号や、応答(CONN)信号を受信時、又は、緊急呼情報記憶手段に記憶されているタイマ値を利用して、緊急呼情報記憶手段に記憶している情報を更新又は消去制御する。
緊急呼発信内線等着信制御手段は、公衆網ISDNから通知される呼設定(SETUP)信号を受信時に、それが緊急呼再呼び出しであるか一般着信であるかを識別する。そして、緊急呼再呼び出しであれば緊急呼情報記憶手段に記憶している情報を利用して緊急呼発信内線の呼び返し制御を行なう。緊急呼再呼び出しでなければ、緊急呼情報記憶手段に記憶している情報を消去制御する。
そして、本発明によれば、緊急呼発信時に公衆網に通知した発番号を、緊急呼再呼び出し時に着番として受信するが、従来のように、これを数字分析して緊急呼発信内線を呼び返すのではなく、緊急呼発信時に予め緊急呼に関する情報を緊急呼情報記憶手段に記憶して呼び返すべき緊急呼発信内線を特定するため、緊急呼再呼び出し時に、実際に緊急呼発信を行なった内線を呼び返せる可能性が高くなり、緊急呼の安全性・信頼性が向上する。
また、緊急呼SETUP信号編集手段が公衆網ISDNに通知するSETUP信号の発番号情報要素又は/及び発サブアドレス情報要素を利用して公衆網側が緊急呼発信内線を一意に識別できる情報を編集制御するため、緊急呼発信と無関係な一般呼が、公衆網側で発信規制されてしまうことがなくなり、緊急呼を利用するシステムの制約が減少する。さらに、SETUP信号の発サブアドレス情報要素に内線番号を含むもの(緊急呼番号と内線番号とを組み合わせたもの)をマッピングするため、緊急呼発信をする可能性がある内線一台一台に対して割り当てることができる十分な数だけダイヤルイン番号契約をしなくても済み、緊急呼発信、緊急呼再呼び出しに適応したシステムの運用コストを大幅に削減することができる。また、緊急呼発信時、公衆網に対して、発番だけでなく、内線番号等を発サブアドレスにマッピングして通知するため、ダイヤルイン番号契約をしなくてもよくなり、グローバル着信契約(公衆網からのSETUP信号に着番を含まない)で、局線着信呼はすべて局線中継台を介して扱うような運用を行なっているシステムでも、緊急呼発信、緊急呼再呼び出しに適応することができ、緊急呼発信、緊急呼再呼び出しに適応できるシステムの運用形態を大幅に拡大することができる。
前記EPBXにおいて、前記緊急呼SETUP信号編集手段が前記SETUP信号の発サブアドレス情報要素に、前記緊急呼番号と前記内線番号とを組み合わせたものをマッピングするのは、緊急呼発信の場合に限ることができる。
前記EPBXにおいて、前記緊急呼情報記憶手段が記憶する前記緊急呼に関する情報に、緊急呼番号、呼状態値、設定タイマ値、緊急呼発信端子情報、緊急呼発信端子番号、又は緊急呼発信端子サブアドレスを含めることができる。
前記EPBXにおいて、前記EPBXに収容される前記内線電話機を、アナログ電話機、ディジタル多機能電話機、ISDN端末、PHS端末、又はDpチャネル共通線等の専用線を介して接続される対向交換機に収容される内線電話機とすることができる。
前記EPBXにおいて、前記トランク・Bチャネル選択手段は、前記緊急呼情報記憶手段に緊急呼情報が記憶されているBチャネルトランクを、一般呼発信、又は緊急呼再発信を含む緊急呼発信時の選択及び捕捉の対象から除外することができる。
前記EPBXにおいて、前記トランク・Bチャネル選択手段は、前記緊急呼情報記憶手段に緊急呼情報が記憶されているBチャネルトランクを、該Bチャネルトランクを使用した緊急呼発信内線以外の発信時の選択及び捕捉の対象から除外し、該緊急呼発信内線の発信時は、該Bチャネルトランクのみを選択及び捕捉することができる。
前記EPBXにおいて、前記緊急呼発信内線等着信制御手段が緊急呼発信内線を呼び返す際には、一般呼着信とは異なるパターンのリンギング信号又は着信呼び出し音を送出して着信させることができる。
前記EPBXにおいて、前記緊急呼発信内線等着信制御手段は、緊急呼発信内線を呼び返す際には、各種転送系機能や内線代表着信機能を無効として緊急呼発信内線に着信させることができる。
前記EPBXにおいて、前記緊急呼発信内線等着信制御手段は、呼び返すべき内線が使用中の状態の場合には、呼び返すことが可能となる状態になるまで一定時間待ち続けることができる。
前記EPBXにおいて、前記緊急呼発信内線等着信制御手段は、呼び返すべき内線が通話中の状態で、一定時間待ち続けても呼び返すべき内線が呼び返すことができる状態とならない場合には、予め指定された緊急呼特定内線に転送接続することができる。
前記EPBXにおいて、前記緊急呼発信内線等着信制御手段は、緊急呼発信内線を呼び返した際に一定時間不応答の場合には、予め指定された緊急呼特定内線に転送接続することができる。
前記EPBXにおいて、前記緊急呼発信内線等着信制御手段は、緊急呼特定内線を呼び出す際に、前記緊急呼情報記憶手段に記憶している緊急呼発信内線の情報を表示することができる。
前記EPBXにおいて、前記緊急呼発信内線等着信制御手段は、呼び返すべき内線が通話中の状態の場合には、割り込み接続することができる。
また、本発明は、内線電話機とISDNトランクとを収容するEPBXの制御方法であって、前記内線電話機から公衆網ISDNトランクに緊急呼発信が行なわれた場合に、該緊急呼に関する情報を記憶する第1のステップと、該記憶されている情報を利用してISDNのBチャネルの選択及び捕捉を制御する第2のステップと、前記公衆網ISDNに通知するSETUP信号の発番号情報要素又は/及び発サブアドレス情報要素を利用して公衆網側が緊急呼発信内線を一意に識別できる情報を編集制御する第3のステップと、前記公衆網ISDNから通知されるSETUP信号もしくはCONN信号を受信した時、又は、前記記憶されているタイマ値を利用し、前記記憶されている情報を更新又は消去する第4のステップと、前記公衆網ISDNから通知される前記SETUP信号を受信した時に、前記緊急呼情報記憶手段に記憶している情報を利用して緊急呼発信内線の呼び返し制御を行う第5のステップとを備え、前記第3のステップにおいて、前記SETUP信号の発サブアドレス情報要素に、緊急呼番号と前記内線電話機の内線番号とを組み合わせたものをマッピングすることを特徴とする。
本発明によれば、上述のように、緊急呼発信時に公衆網に通知した発番号を、緊急呼再呼び出し時に着番として受信するが、従来のように、これを数字分析して緊急呼発信内線を呼び返すのではなく、緊急呼発信時に予め緊急呼に関する情報を記憶して呼び返すべき緊急呼発信内線を特定するため、緊急呼再呼び出し時に、実際に緊急呼発信を行なった内線を呼び返せる可能性が高くなり、緊急呼の安全性・信頼性が向上する。
また、公衆網ISDNに通知するSETUP信号を利用して公衆網側が緊急呼発信内線を一意に識別できる情報を編集制御するため、緊急呼発信と無関係な一般呼が、公衆網側で発信規制されてしまうことがなくなり、緊急呼を利用するシステムの制約が減少する。
前記EPBXの制御方法において、前記SETUP信号の発サブアドレス情報要素に、前記緊急呼番号と前記内線番号とを組み合わせたものをマッピングするのは、緊急呼発信の場合に限ることができる。
前記EPBXの制御方法において、前記記憶する前記緊急呼に関する情報に、緊急呼番号、呼状態値、設定タイマ値、緊急呼発信端子情報、緊急呼発信端子番号、又は緊急呼発信端子サブアドレスを含めることができる。
前記EPBXの制御方法において、前記EPBXに収容される前記内線電話機は、アナログ電話機、ディジタル多機能電話機、ISDN端末、PHS端末、又はDpチャネル共通線等の専用線を介して接続される対向交換機に収容される内線電話機とすることができる。
前記EPBXの制御方法において、前記緊急呼情報が記憶されているBチャネルトランクを、一般呼発信、又は緊急呼再発信を含む緊急呼発信時の選択及び捕捉の対象から除外することができる。
前記EPBXの制御方法において、前記緊急呼情報が記憶されているBチャネルトランクを、該Bチャネルトランクを使用した緊急呼発信内線以外の発信時の選択及び捕捉の対象から除外し、該緊急呼発信内線の発信時は、該Bチャネルトランクのみを選択及び捕捉することができる。
前記EPBXの制御方法において、緊急呼発信内線を呼び返す際には、一般呼着信とは異なるパターンのリンギング信号又は着信呼び出し音を送出して着信させることができる。
前記EPBXの制御方法において、緊急呼発信内線を呼び返す際には、各種転送系機能や内線代表着信機能を無効として緊急呼発信内線に着信させることができる。
前記EPBXの制御方法において、呼び返すべき内線が使用中の状態の場合には、呼び返すことが可能となる状態になるまで一定時間待ち続けることができる。
前記EPBXの制御方法において、呼び返すべき内線が通話中の状態で、一定時間待ち続けても呼び返すべき内線が呼び返すことができる状態とならない場合には、予め指定された緊急呼特定内線に転送接続することを特徴とする請求項17乃至28のいずれかに記載のEPBXの制御方法。
前記EPBXの制御方法において、緊急呼発信内線を呼び返した際に一定時間不応答の場合には、予め指定された緊急呼特定内線に転送接続することができる。
前記EPBXの制御方法において、前記緊急呼特定内線を呼び出す際に、前記記憶している緊急呼発信内線の情報を表示することができる。
前記EPBXの制御方法において、呼び返すべき内線が通話中の状態の場合には、割り込み接続することができる。
また、本発明は、内線電話機とISDNトランクとを収容するEPBXの制御プログラムであって、前記内線電話機から公衆網ISDNトランクに緊急呼発信が行なわれた場合に、該緊急呼に関する情報を記憶する第1のステップと、該記憶されている情報を利用してISDNのBチャネルの選択及び捕捉を制御する第2のステップと、前記公衆網ISDNに通知するSETUP信号の発番号情報要素又は/及び発サブアドレス情報要素を利用して公衆網側が緊急呼発信内線を一意に識別できる情報を編集制御する第3のステップと、前記公衆網ISDNから通知されるSETUP信号もしくはCONN信号を受信した時、又は、前記記憶されているタイマ値を利用し、前記記憶されている情報を更新又は消去する第4のステップと、前記公衆網ISDNから通知される前記SETUP信号を受信した時に、前記緊急呼情報記憶手段に記憶している情報を利用して緊急呼発信内線の呼び返し制御を行う第5のステップとを備え、前記第3のステップにおいて、前記SETUP信号の発サブアドレス情報要素に、緊急呼番号と前記内線電話機の内線番号とを組み合わせたものをマッピングすることを特徴とする。
この制御プログラムを用いることにより、上述のように、緊急呼発信時に公衆網に通知した発番号を、緊急呼再呼び出し時に着番として受信するが、従来のように、これを数字分析して緊急呼発信内線を呼び返すのではなく、緊急呼発信時に予め緊急呼に関する情報を記憶して呼び返すべき緊急呼発信内線を特定するため、緊急呼再呼び出し時に、実際に緊急呼発信を行なった内線を呼び返せる可能性が高くなり、緊急呼の安全性・信頼性が向上する。
また、公衆網ISDNに通知するSETUP信号を利用して公衆網側が緊急呼発信内線を一意に識別できる情報を編集制御するため、緊急呼発信と無関係な一般呼が、公衆網側で発信規制されてしまうことがなくなり、緊急呼を利用するシステムの制約が減少する。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、前記SETUP信号の発サブアドレス情報要素に、前記緊急呼番号と前記内線番号とを組み合わせたものをマッピングするのは、緊急呼発信の場合に限ることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、前記記憶する前記緊急呼に関する情報に、緊急呼番号、呼状態値、設定タイマ値、緊急呼発信端子情報、緊急呼発信端子番号、又は緊急呼発信端子サブアドレスが含めることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、前記EPBXに収容される前記内線電話機を、アナログ電話機、ディジタル多機能電話機、ISDN端末、PHS端末、又はDpチャネル共通線等の専用線を介して接続される対向交換機に収容される内線電話機とすることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、前記緊急呼情報が記憶されているBチャネルトランクを、一般呼発信、又は緊急呼再発信を含む緊急呼発信時の選択及び捕捉の対象から除外するステップを備えることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、前記緊急呼情報が記憶されているBチャネルトランクを、該Bチャネルトランクを使用した緊急呼発信内線以外の発信時の選択及び捕捉の対象から除外し、該緊急呼発信内線の発信時は、該Bチャネルトランクのみを選択及び捕捉するステップを備えることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、緊急呼発信内線を呼び返す際には、一般呼着信とは異なるパターンのリンギング信号又は着信呼び出し音を送出して着信させるステップを備えることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、緊急呼発信内線を呼び返す際には、各種転送系機能や内線代表着信機能を無効として緊急呼発信内線に着信させるステップを備えることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、呼び返すべき内線が使用中の状態の場合には、呼び返すことが可能となる状態になるまで一定時間待ち続けるステップを備えることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、呼び返すべき内線が通話中の状態で、一定時間待ち続けても呼び返すべき内線が呼び返すことができる状態とならない場合には、予め指定された緊急呼特定内線に転送接続するステップを備えることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、緊急呼発信内線を呼び返した際に一定時間不応答の場合には、予め指定された緊急呼特定内線に転送接続するステップを備えることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、前記緊急呼特定内線を呼び出す際に、前記記憶している緊急呼発信内線の情報を表示するステップを備えることができる。
前記EPBXの制御プログラムにおいて、呼び返すべき内線が通話中の状態の場合には、割り込み接続するステップを備えることができる。
以上のように、本発明によれば、EPBXに収容される内線が、ISDNトランクを介して緊急呼発信した場合の、公衆網側からの再呼び出しに対して、緊急呼発信内線の呼び返しを可能とし、EPBXに収容される内線がISDNトランクを介して緊急呼発信し、当該内線からの先掛け復旧で、緊急呼受付台側から保持されている場合には、当該内線からのISDNトランクへの再発信、及び当該内線からの(同一インタフェースグループの)ISDNトランクへの(緊急呼以外の)発信が公衆網側で規制されるようにすること、当該内線以外からのISDNトランク(同一Bチャネルを除く)への発信が公衆網側で規制されないようにすることなどを可能とするEPBX等を提供することができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態としてのEPBXは、内線電話機、INSとのインタフェーストランクや、他PBXとのインタフェーストランクを収容する。CPU001は、呼の状態遷移制御等、EPBXの交換動作等を制御する。MEM001は、CPU001によって読み書きされる呼の状態等を保存する記憶装置(メモリ)である。
INSの契約は、ダイヤルイン契約とする。EPBXの局データ設定により、公衆網からEPBXの着信時に公衆網から着番号として通知されるダイヤルイン番号毎に着信する内線が決まっている(COND001)。また、EPBXから公衆網への発信時、契約しているダイヤルイン番号を発番として通知すると、公衆網はこれを透過し、相手加入者に通知することができる。発番を通知しない場合には、契約者回線番号が発番として扱われ、相手加入者に通知される。
次に、EPBXからの緊急呼発信(警察接続(110)、消防接続(119)及び海上保安機関接続(118))に関して、従来技術のみで構成した場合の動作について、説明する。
例えば、ダイヤルイン番号が割り当てられていない内線2100(STA121)から110緊急呼発信すると、発番号なしのSETUP信号がEPBXより公衆網に対して送信される。ここで、仮に、BチャネルとしてB1チャネルを選択して発信するものとする。すると、警察機関の110受付台が呼ばれる。110受付台(CONS101)が応答すると、内線2100と110受付台とが通話できる。
その後、110受付台から先掛け切断すると、一般呼の場合と同様に、呼が開放される。内線2100から先掛け切断した場合は、緊急呼特有の動作となり、110受付台が切断するまで、公衆網側では呼が保留される。但し、EPBXの内部の通話パスや、EPBXとINSとのインタフェースであるBチャネルは、一般呼と同様に開放される。その後、110受付台が切断操作をしても、公衆網側の仕様により、EPBXには何ら通知されない。
緊急呼が公衆網側で保留されている間に、ダイヤルイン番号が割り当てられていない内線2101(STA122)がINSに対して発信した場合には、その発信先は、緊急呼でも緊急呼以外の一般加入者でも、公衆網側の仕様により結果は同じとなる。内線2101には、ダイヤルイン番号が割り当てられていないので、発番号なしのSETUP信号がEPBXより公衆網に対して送信される。このため、公衆網側では、先の緊急呼発信内線と区別することができない。
捕捉トランクが先の緊急呼で用いられたB1チャネルの場合には、SETUP中の着番号は無視され、先の110受付台に着信する。捕捉トランクが先の緊急呼で用いられたB1チャネル以外の場合には、ビジーとなる(公衆網からRELCOMP#44信号(理由表示:要求回線利用不可))が返信される。すなわち、公衆網側で内線2100の緊急呼が保留されている間、無関係な内線2101のINS発信が規制されたり、110受付台に強制接続されてしまうことになる。これは、本発明が解決したい課題の一つである。また、緊急呼が公衆網側で保留されている間、内線2100の緊急呼再発信も、B1チャネルを再度捕捉しないと公衆網でビジー扱いとなる。
次に、EPBXからの緊急呼再呼び出しに関して、従来技術のみで構成した場合の動作について、説明する。
内線2100から仮にB1チャネルを捕捉した110緊急呼が公衆網側で保留されている間に、110受付台が再呼び出し操作をすると、公衆網からEPBXに対して、発番号が110で、着番号が1111−1000のSETUP信号が通知される。ここで、1111−1000は、加入者回線番号から市外局番を除いた番号である。従来技術では、着番号を数字分析して着信先を決定するので、代表内線(STA100)に着信することになる。
このとき、特許文献2に記載されているような、緊急呼発信内線を予約状態にしておく方式を適用したとしても、公衆網からの着番号を数字分析して着信先内線を決定する限り、代表内線に着信してしまい、内線2100を呼び返すことはできない。また、緊急呼が公衆網側で保留されている間も、INSの当該Bチャネルは解放されており、また、その後の受付台切断操作は公衆網からEPBXには通知されないので、Bチャネルの使用状態からは、公衆網側で緊急呼を保留状態にしているかどうかは判定できないため、長時間に渡って緊急呼発信内線が予約状態のままとなり、使えない状態が長時間に渡ってしまう課題が残る。これらも、本発明が解決したい課題である。
図2は、図1に示すCPUに格納されるプログラムのうち、本発明で追加されるプログラムのブロック図を示す。
同図において、発信制御モジュール(M111)は、EPBXからの発信制御を行う。ここでは、本発明に関連が深いISDNに発信する部分を抜き出して記載している。
数字分析手段(T121)は、内線のダイヤル数字、又は対向PBXからの着信時に受け取る受信数字等を分析し、発信する方路(ルート)を決定する。この手段自体は、緊急呼に限った機能ではなく、本発明で追加される要素ではない。発信する方路がISDNルートの場合には、トランク・Bチャネル選択手段(T122)により、発信で使用するISDNのBチャネルを選択・捕捉する。
図5のフローチャートに示すように、従来技術と異なるのは、緊急呼メモリが生成されているBチャネルは、トランク使用中状態時と同様に、選択・捕捉させないという点である。尚、本発明の実施の別の形態として、緊急呼発信した内線の緊急呼再発信は、当該Bチャネルを優先的に選択させる方法もある。
着番号決定手段(T123)は、ISDNに送信するSETUP信号の着番号を決定する。この手段自体も、緊急呼に限った機能ではなく、本発明で追加される要素ではない。
緊急呼番号識別手段(T124)は、図6に示すように、緊急呼への発信番号か否かを判定する。緊急呼番号識別手段(T124)により、緊急呼発信であると判定された場合には、緊急呼情報メモリ生成手段(T126)により、緊急呼情報メモリを生成(メモリエリア確保・インデックス生成及び、格納情報セット)する。緊急呼情報メモリの構成図例を図3に、緊急呼情報メモリの制御例を図4に示す。
次に、緊急呼発信の場合、SETUP信号編集手段(緊急呼特有部分)(T128)により、SETUP信号(緊急呼特有部分)の編集をする。図7にフローチャートを示すように、発サブアドレスに、緊急呼発信した内線を識別できる番号情報として内線番号等をマッピングする。
呼状態遷移モジュール1(M311)は、呼の状態遷移に応じて、緊急呼情報メモリ更新手段(T321)により、緊急呼状態メモリの状態値やタイマ値を更新する。呼状態遷移モジュール2(M411)は、呼の状態遷移のうち、緊急呼受付台からの先掛け切断時及び、緊急呼受付台が応答する前の緊急呼発信内線切断(途中放棄)時、緊急呼情報メモリ消去手段(T421)により、緊急呼状態メモリの消去(格納情報消去及び、メモリエリア解放)を行なう。
着信制御モジュール(M211)は、EPBXへの着信制御を行う。ここでは、本発明に関連が深いISDNから着信する部分を抜き出して記載している。緊急呼情報メモリ読み出し手段(T221)は、着信したBチャネルトランクの識別情報をキーに、緊急呼情報メモリを読み出す。また、発番号情報要素抽出手段(T222)は、公衆網から受信したSETUP信号から発番号を抽出する。緊急呼番号照合手段(T223)は、緊急呼メモリから読み出した緊急呼番号と、SETUP信号から抽出した発番号を照合する。照合の結果一致していた場合には、緊急呼の再呼び出しであると判断し、緊急呼発信内線等着信制御手段(T225)によって、緊急呼発信内線を呼び返す。照合の結果一致していない場合には、緊急呼の再呼び出しではなく、公衆網側にて緊急呼の保留が解除されたことは明らかであるため、緊急呼情報メモリ消去手段(T226)により、緊急呼状態メモリの消去を行ない、一般呼着信する。
タイマ制御モジュール(M511)は、緊急呼情報メモリタイマ制御手段(T521)により、タイマ値が設定されている緊急呼情報メモリが存在すれば、そのタイマ値の減算(カウントダウン)制御及び0判定(タイムアウト判定)を行なう。タイムアウトの場合には、当該緊急呼情報メモリの状態値に応じた処理を行なう。
以上詳細に本発明にかかるEPBXの実施の形態の構成について述べたが、図1のシステム構成は、当業者にとってよく知られており、また本発明とは直接関係しないので、その詳細な構成は省略する。
次に、図1の本発明の一実施の形態としてのシステム構成での動作を図11乃至図17のシーケンス図を参照しながら説明する。尚、図11乃至図17において、緊急呼情報メモリの下線を引いた要素は、セット/更新される要素を表す。
図11は、ダイヤルイン番号が割り当てられている内線2000(STA111)が110緊急呼発信をしてから、切断するまでのシーケンス図である。
内線2000が110発信をする(S101)と、SETUP信号を公衆網に対して送信する。この際のSETUP信号の着番号は110であるから、図6に示すフローチャートの通り、緊急呼番号識別手段(T124)によって、緊急呼発信であることを認識する。尚、110の前に、186(発信者番号通知)や184(発信者番号非通知)の番号が付加されている場合も同様に緊急呼発信であるとみなす。
緊急呼発信の場合、緊急呼情報メモリ生成手段(T126)により、緊急呼情報メモリを生成する。緊急呼情報メモリ生成手段は、トランク・Bチャネル選択手段(T122)で選択されたBチャネルで検索できるようにメモリエリアを確保し、その内容としては、緊急呼番号として“110”、呼状態値として「緊急呼発信」、タイマ値として0、緊急呼発信端子番号として緊急呼発信内線2000の収容位置、緊急呼発信端子番号として“2000”、緊急呼端子サブアドレスとしてNULLをセットする。
但し、着番号の“110”の前に“186”や“184”が付加されている場合も、緊急呼情報メモリの緊急呼番号としては“110”をセットする。このメモリの状態を、図3の設定値例1にも示す。図7に示すフローチャートの通り、SETUP信号編集手段(緊急呼特有部分)(T128)は、T128−01の結果、T128−03のステップを選択することにより、公衆網に対して送信するSETUP信号の発番号には、内線2000に割り当てられている03−1111−2000をマッピングし(これは、予め局データで関連付けを登録しているものであり、従来技術でも実施している)、緊急呼に限った情報として、発サブアドレスには内線番号2000をマッピングする。
ここで、ダイヤルイン番号03−1111−2000と内線番号2000が一対一に関連付けられているのであれば、発サブアドレスは必須ではないが、同一ダイヤルイン番号に対して複数の着信先が存在するのであれば(例えば、2000が代表番号であり、実際には内線3000,3001,3002のいずれかに着信するようにしている場合等)、発信した内線を一意に決定するために発サブアドレスは必須となる。緊急呼の場合、これら発番号、発サブアドレスは公衆網側で保持される。
尚、公衆網と緊急呼受付台の間のインタフェースは公開されていない独自手順であるが(特許文献5に記載のような技術が用いられていると推測される)、緊急呼受付台に通知される発番号(緊急呼受付台操作者が知り得る番号)はダイヤルイン番号ではなく、加入者回線番号であり、公衆網側で保持する発番号とは異なる。
内線番号を発番号ではなく発サブアドレスにマッピングする理由は、公衆網は契約している加入者回線番号,パイロット番号,ダイヤルイン追加番号を正しい番号とし、それ以外の番号を発番号とした場合には、状態表示(理由表示#100:情報要素の内容が無効)を返し、契約者回線番号又はパイロット番号を発番号として扱うため、緊急呼発信内線を一意に識別できなくなるからである。また、緊急呼発信の場合に限って、内線番号を発サブアドレスにマッピングする理由は、一般呼発信の場合、相手が携帯電話等の場合には、受信した発サブアドレスを表示可能な端末が存在し、このため、内線番号を公開していない場合でも、相手に内線番号が知られてしまう可能性があるからである。
その後、図11において、110受付台(CONS101)が応答する(S104)と、公衆網からCONN信号が送信されるが、これをEPBXが受信すると、緊急呼情報メモリ更新手段(T321)により、先に生成した呼状態メモリの呼状態値を「緊急呼通話中」とする(S105)。
その後、110受付台から先掛け切断する(S106)と、公衆網からDISC信号が送信されるが、これをEPBXが受信すると、図2の緊急呼情報メモリ消去手段(T421)により、先に生成した呼状態メモリを消去する(S107)。
内線2000から先掛け切断する(S109)と、EPBXからDISC信号を送信するが、その際は、公衆網側で緊急呼が保留される可能性があるので、緊急呼情報メモリ更新手段(図2のT321)により、先に生成した緊急呼情報メモリの呼状態値を「緊急呼再呼び出し待ち」・タイマ値を4分とする(S109)。ここで、タイマ値の4分という値は、一意に決定される値ではない。公衆網側で緊急呼が最大で何分保留されるかを運用状態に合わせて決定し、予め局データ設定等の形式で指定しておくべき値である。
尚、緊急呼発信(S101)後、緊急呼受付台の応答(S104)を待たずに、内線2000が切断した場合には、公衆網側の仕様により、公衆網側で緊急呼が保留されることはないから、緊急呼情報メモリ消去手段(図2のT421)により、先に生成した呼状態メモリを消去する。内線2000の切断時、緊急呼情報メモリの呼状態値を「緊急呼再呼び出し待ち」・タイマ値を4分とする(S109)か、呼状態メモリを消去するかは、緊急呼情報メモリの呼状態値が「緊急呼通話中」であるか「緊急呼発信」であるかをチェックすれば容易に判断できる。S105のステップは、この判断を容易にするために必要である。
次に、S111のステップを経て、公衆網側が緊急呼を保留している状態につて説明する。ここでは、仮に、緊急呼発信に使用されたBチャネルがB1チャネルであったとする。
緊急呼発信内線が、INSに発信する場合には、図5に示すフローチャートの通り、トランク・Bチャネル選択手段(T122)によって、B1チャネル以外のBチャネルを選択する。緊急呼再発信の場合には、発番号・発サブアドレスともに、公衆網側で保留されている緊急呼の情報と一致するため、公衆網側の仕様で、公衆網側でビジーとなる。すなわち、緊急呼の再呼び出しに備えて、発信が規制される。一般呼発信の場合には、発サブアドレスに内線番号をマッピングしなければ、発サブアドレスが、公衆網側で保留されている緊急呼の情報と不一致となるから、公衆網側の仕様で、通常通り発信接続が行なわれる。但し、ダイヤルイン番号03−1111−2000と内線番号2000が一対一に関連付けられていて、発サブアドレスが必須ではない場合で、発サブアドレスに内線番号をマッピングせずに緊急呼発信していたのであれば、発番号・発サブアドレスともに、公衆網側で保留されている緊急呼の情報と一致するため、公衆網側の仕様で、公衆網側でビジーとなる。
どの運用がよいか、すなわち、網側で緊急呼保留されている緊急呼発信内線が、INSに一般呼発信した場合に、ビジーとなった方がよいかならない方がよいかは、EPBXの設置局の判断により選択する。但し、説明を簡単にするために、以降は、INSへの発信において、緊急呼発信時は、発サブアドレスに内線番号を必ずマッピングし、一般呼発信時は、発サブアドレスに内線番号をマッピングしないものとして説明する。いずれにしても、公衆網側で緊急呼が保留された後、緊急呼受付台の切断操作で保留が解除されても、公衆網側の仕様により、ユーザ側であるEPBXには何ら通知されない。但し、本発明では、緊急呼発信内線を予約状態にすることはないから、緊急呼発信に使用したINSのBチャネルが緊急呼再呼び出し待ち状態中でも、当該緊急呼発信内線からの内線発信及び外線発信(INS他Bチャネルを捕捉した発信を含む)は可能である。
公衆網側で緊急呼が保留されていれば、公衆網側でビジーとなる可能性はあるが、公衆網側での緊急呼保留が解除された後は、公衆網側ではビジーとならず、通常通り発信接続を行うことができる(但し、当然ながら相手加入者が話中であればビジーとなる)。すなわち、構内交換機の機能で緊急呼発信内線を一定時間予約する方式に比べて、本方式の方が緊急呼発信内線が使用できなくなる時間を大幅に削減できる。
緊急呼発信内線以外の内線がINSに発信する場合も、図5に示すフローチャートの通り、トランク・Bチャネル選択手段(T122)によって、B1チャネル以外のBチャネルを選択する。この場合は、発番号・発サブアドレスのいずれか又は両方が、公衆網側で保留されている緊急呼の情報と一致しないから、公衆網側の仕様で、通常通り発信接続が行なわれる。
B1チャネルに関連付けられていた緊急呼情報メモリの再呼び出し待ちタイマが満了すると、図10に示すフローチャートの通り、緊急呼情報メモリタイマ制御手段(T521)により、緊急呼メモリ消去手段が起動され、B1チャネルに関連付けて確保されていた緊急呼情報メモリは消去され、以降、B1チャネルを用いての発信が可能となる。この再呼び出し待ちタイマが必要な理由は、当該ISDNトランクが発信専用のトランクの場合、当該トランクを永遠に発信で捕捉できなくなることを防ぐためである。尚、公衆網側の仕様により、INS契約が発信専用でも、(着信イメージである)緊急呼再呼び出しは行なわれ得る。
また、B1チャネルに一般呼の着信があった場合も、緊急呼情報メモリ消去手段(図2のT226)により、B1チャネルに関連付けて確保されていた緊急呼情報メモリは消去され、以降、B1チャネルを発信及び一般呼着信で用いることが可能となる。これは、当該ISDNトランクが発着可能なトランクの場合、当該Bチャネルに一般呼の着信があった時点で、網側の緊急呼の保留が解除されたことが明らかであるから、緊急呼情報メモリの再呼び出し待ちタイマの満了を待たずに、当該Bチャネルを捕捉可能とするためのものである。
図12は、内線2000に対して110緊急呼再呼び出しが行なわれてから、内線2000が応答するまでのシーケンス図である。
110受付台が再呼び出し操作を行なうと、公衆網側からSETUP信号が通知される(S122)。このSETUP信号の発番号には110が、着番号には緊急呼発信時に発番号で指定したダイヤルイン番号から市外局番を除いた番号である1111−2000が、着サブアドレスには、緊急呼発信時に発サブアドレス番号で指定した内線番号2000がマッピングされている。
図2の緊急呼情報メモリ読み出し手段(T221)により緊急呼情報メモリを読み出し、発番号情報要素抽出手段(T222)により発番号を抽出する。緊急呼情報メモリに格納されている緊急呼番号と、抽出した発番号を、図8に示すフローチャートの通り、緊急呼呼番号照合手段(T223)によって照合した結果一致すると、緊急呼の再呼び出しであるとみなす。緊急呼の再呼び出しであるとみなすと、図9に示すフローチャートの通り、緊急呼発信内線等着信制御手段(T225)は、T225−01の結果、T225−03のステップを選択することにより、緊急呼情報メモリに格納されている緊急呼発信端子情報を元に緊急呼発信内線を呼び返す。T225−09のステップにて、緊急呼情報メモリ更新手段(T321)によって、B1チャネルに関連付けて確保されていた緊急呼情報メモリの呼状態値を「緊急呼再呼び出し」に更新する(図12のS124)。
その後、緊急呼発信内線が応答すると、公衆網に対してCONN信号を送信するとともに、緊急呼情報メモリ更新手段(図2のT321)によって、B1チャネルに関連付けて確保されていた緊急呼情報メモリの呼状態値を「緊急呼通話中」に更新する(図12のS125)。この時の緊急呼情報メモリの内容は、図11のS105を実行した後の状態と同じである。
以上が、本発明の典型的な動作例である。以降は、緊急呼発信内線の種類に応じて、緊急呼発信時及び緊急呼再呼び出し時にどのように動作するかを説明する。
図13は、緊急呼発信内線が、ダイヤルイン番号が割り当てられていない内線2100(STA121)の場合の動作例である。
内線2100が119緊急呼発信すると、図7に示すフローチャートの通り、SETUP信号編集手段(緊急呼特有部分)(T128)は、T128−01の結果、T128−03のステップを選択することにより、ダイヤルイン番号が割り当てられていないため、公衆網に送信するSETUP信号の発番号はなしとなり、発サブアドレスには、内線番号2100をマッピングする(図13のS201)。公衆網で保持する情報は、発番号が加入者回線番号である03−1111−1000、発サブアドレスは2100となる。
緊急呼発信に使用したBチャネルに対して割り当てる緊急呼情報メモリには、緊急呼番号として“119”、呼状態値として「緊急呼発信」、タイマ値として0、緊急呼発信端子番号として緊急呼発信内線2100の収容位置、緊急呼発信端子番号として“2100”、緊急呼端子サブアドレスとしてNULLをセットする。このメモリの状態を、図3の設定値例2にも示す。
ここで、本発明によって発サブアドレスに内線番号をマッピングしているが、本発明を適用しなければ発サブアドレスはマッピングされないから、緊急呼を公衆網側で保留している間、ダイヤルイン番号が割り当てられていないいかなる内線が発信した場合も、緊急呼発信に使用したBチャネルを捕捉して発信した場合には、常に119受付台(CONS201及びCONS202のいずれか又は両方)に接続され、緊急呼発信に使用したBチャネル以外のBチャネルを捕捉して発信した場合は、常に網側にてビジーとなり、一切のINS発信を行うことができなくなる。
本発明を適用すれば、緊急呼発信内線以外の内線が発信した場合は、少なくとも発サブアドレスは網側で保持されているものとは異なり、また、緊急呼発信で使用したBチャネルは捕捉しないから、通常通りのINS発信を行うことができる。
その後、緊急呼再呼び出しが行なわれると、公衆網から受信するSETUP信号の発番号には119が、着番号には加入者回線番号から市外局番を除いた番号である1111−1000が、着サブアドレスには、緊急呼発信時に発サブアドレス番号で指定した内線番号2100がマッピングされている。ここで、受信した発番号119と当該Bチャネルに対して割り当てられている緊急呼情報メモリに格納されている緊急番号119が一致するため、このSETUP信号は、緊急呼再呼び出しであることが分かり、図9に示すフローチャートの通り、緊急呼発信内線等着信制御手段(T225)は、T225−01の結果T225−03のステップを選択することにより、緊急呼情報メモリの情報を元に、緊急呼発信内線2100を呼び返す(図13のS224)。
図14は、緊急呼発信内線が、ダイヤルイン番号が割り当てられているISDN端末2201(STA131)の場合の動作例を示す。
ISDN端末2201が118緊急呼発信すると、ISDN端末からEPBXにSETUP信号が通知される。このSETUP信号には、着番号としてISDN端末の自アドレス情報2201がマッピングされている。図7に示すフローチャートの通り、SETUP信号編集手段(緊急呼特有部分)(T128)は、T128−01の結果、T128−04のステップを選択し、T128−04の結果、T128−06を選択することにより、この自アドレス情報2201には、ダイヤルイン番号が割り当てられているため、公衆網に送信するSETUP信号の発番号はダイヤルイン番号である03−1111−2201が、発サブアドレスには内線番号2201をマッピングする(S301)。公衆網で保持する情報は、発番号がダイヤルイン番号である03−1111−2201、発サブアドレスは2201となる。
緊急呼発信に使用したBチャネルに対して割り当てる緊急呼情報メモリには、緊急呼番号として“118”、呼状態値として「緊急呼発信」、タイマ値として0、緊急呼発信端子番号として緊急呼発信内線(ISDN端末)が収容されているILC2200(ILC031)の収容位置、緊急呼発信端子番号として“2201”、緊急呼端子サブアドレスとしてNULLをセットする。このメモリの状態を、図3の設定値例3にも示す。
その後、緊急呼再呼び出しが行なわれると、公衆網から受信するSETUP信号の発番号には118が、着番号にはダイヤルイン番号から市外局番を除いた番号である1111−2201が、着サブアドレスには緊急呼発信時に発サブアドレス番号で指定した内線番号2201がマッピングされている(S322)。受信した発番号118と当該Bチャネルに対して割り当てられている緊急呼情報メモリに格納されている緊急番号118が一致するため、このSETUP信号は、緊急呼再呼び出しであることが分かり、図9に示すフローチャートの通り、緊急呼発信内線等着信制御手段(T225)は、T225−01の結果T225−04のステップを選択し、T225−04の結果T225−06のステップを選択することにより、緊急呼情報メモリの情報を元に、緊急呼発信内線2201を呼び返す(図14のS323〜S324)。このとき、緊急呼情報メモリの緊急呼発信端子情報は、SETUP信号を送信するILCを特定するため、緊急呼端子番号は、SETUP信号の着番号に緊急呼発信内線の内線番号(=自アドレス情報)をマッピングするために使用する。
図15は、緊急呼発信内線が、ダイヤルイン番号が割り当てられていないISDN端末2202(STA132)の場合の動作例である。
ISDN端末2202が118緊急呼発信すると、ISDN端末からEPBXにSETUP信号が通知される。このSETUP信号には、発番号としてISDN端末の自アドレス2202がマッピングされている。図9のSETUP信号編集手段(緊急呼特有部分)(T128)は、T128−01の結果、T128−04のステップを選択し、T128−04の結果、T128−06のステップを選択することにより、この自アドレス情報2202にはダイヤルイン番号が割り当てられていないから、公衆網に送信するSETUP信号の発番号はなし、発サブアドレスには内線番号(=自アドレス情報)2202をマッピングする(図15のS331)。公衆網で保持する情報は、発番号が契約者回線番号である03−1111−1000、発サブアドレスは2202となる。
緊急呼発信に使用したBチャネルに対して割り当てる緊急呼情報メモリには、緊急呼番号として“118”、呼状態値として「緊急呼発信」、タイマ値として0、緊急呼発信端子番号として緊急呼発信内線(ISDN端末)が収容されているILC2200(ILC031)の収容位置、緊急呼発信端子番号として“2202”、緊急呼端子サブアドレスとしてNULLをセットする。
その後、緊急呼再呼び出しが行なわれると、公衆網から受信するSETUP信号の発番号には118が、着番号には契約者回線番号から市外局番を除いた番号である1111−1000が、着サブアドレスには緊急呼発信時に発サブアドレス番号で指定した内線番号2202がマッピングされている(S342)。受信した発番号118と当該Bチャネルに対して割り当てられている緊急呼情報メモリに格納されている緊急番号118が一致するため、このSETUP信号は緊急呼再呼び出しであることが分かり、図15に示すフローチャートの通り、緊急呼発信内線等着信制御手段(図9のT225)は、T225−01の結果T225−04のステップを選択し、T225−04の結果T225−06のステップを選択することにより、緊急呼情報メモリの情報を元に、緊急呼発信内線2202を呼び返す(図15のS343〜S344)。このとき、緊急呼情報メモリの緊急呼発信端子情報は、SETUP信号を送信するILCを特定するため、緊急呼端子番号は、SETUP信号の着番号に緊急呼発信内線の内線番号(=自アドレス情報)をマッピングするために使用する。
緊急呼発信内線がPHS端末(PS:無線移動局)の場合の動作例について、詳細説明は省略するが、EPBXからみると、CS(無線基地局)の先にPSが接続されているイメージであり、EPBXとCSの間のインタフェースはISDNと同様であるため、緊急呼発信内線がISDN端末の場合と同様の動作となる。
図16は、緊急呼発信内線が、ISDN端末自身にはダイヤルイン番号が割り当てられていないが、同一ILC2300(ILC041)に接続されているISDN端末共通のダイヤルイン番号が割り当てられている、自アドレスがなし、サブアドレスが900のISDN端末(以下、ISDN端末#900と略す)(図1のSTA141)の場合の動作例である。
ISDN端末#900が118緊急呼発信すると、ISDN端末からEPBXにSETUP信号が通知される。このSETUP信号には、発番号はなし、発サブアドレスとしてISDN端末のサブアドレス900がマッピングされている。SETUP信号編集手段(緊急呼特有部分)(図7のT128)は、T128−01の結果、T128−04のステップを選択し、T128−04の結果、T128−07のステップを選択することにより、このISDN端末#900には、自アドレスが存在せず、個別にはダイヤルイン番号が割り当てられていないが、収容されるILCの内線番号2300にはダイヤルイン番号が割り当てられているため、公衆網に送信するSETUP信号の発番号は、そのダイヤルイン番号である03−1111−2300、発サブアドレスにはサブアドレス900をマッピングする(図16のS401)。公衆網で保持する情報は、発番号がダイヤルイン番号である03−1111−2300、発サブアドレスは900となる。
緊急呼発信に使用したBチャネルに対して割り当てる緊急呼情報メモリには、緊急呼番号として“118”、呼状態値として「緊急呼発信」、タイマ値として0、緊急呼発信端子番号として緊急呼発信内線(ISDN端末)が収容されているILC2300の収容位置、緊急呼発信端子番号としてNULL、緊急呼端子サブアドレスとして“900をセットする。このメモリの状態を、図3の設定値例4にも示す。
その後、緊急呼再呼び出しが行なわれると、公衆網から受信するSETUP信号の発番号には118が、着番号にはダイヤルイン番号から市外局番を除いた番号である1111−2300が、着サブアドレスには緊急呼発信時に発サブアドレス番号で指定したサブアドレス900がマッピングされている(図16のS422)。受信した発番号118と当該Bチャネルに対して割り当てられている緊急呼情報メモリに格納されている緊急番号118が一致するため、このSETUP信号は、緊急呼再呼び出しであることが分かり、図9に示すフローチャートの通り、緊急呼発信内線等着信制御手段(T225)は、T225−01の結果T225−04のステップを選択し、T225−04の結果T225−07のステップを選択することにより、緊急呼情報メモリの情報を元に、緊急呼発信内線#900を呼び返す(図16のS423〜S424)。
このとき、緊急呼情報メモリの緊急呼発信端子情報は、SETUP信号を送信するILCを特定するため、緊急呼端子サブアドレスは、SETUP信号の着サブアドレスに緊急呼発信内線のサブアドレスをマッピングするために使用する。
図17は、緊急呼発信内線が、図1に示す選別番号830の対向PBX(PBX002)の内線2999(STA151)であり、Dpチャネル共通線を介して本発明が適用されているEPBX(EPBX001)に接続されている場合の動作例である。
内線2999が110緊急呼発信すると、対向PBXからEPBXにSETUP信号が通知される。このSETUP信号には、発番号として、選別番号+内線番号である830−2999がマッピングされている。図7のSETUP信号編集手段(緊急呼特有部分)(T128)は、T128−01の結果、T128−08のステップを選択することにより、ダイヤルイン番号が割り当てられていないため、公衆網に送信するSETUP信号の発番号はなし、発サブアドレスには、対向PBXから通知された発番号830−2999をマッピングする(S501)。公衆網で保持する情報は、発番号が契約者回線番号である03−1111−1000、発サブアドレスは830−2999となる。
緊急呼発信に使用したISDNトランクのBチャネルに対して割り当てる緊急呼情報メモリには、緊急呼番号として“110”、呼状態値として「緊急呼発信」、タイマ値として0、緊急呼発信端子番号として緊急呼発信タンデム専用線(Dpチャネル共通線)のトランク収容位置、緊急呼発信端子番号として830−2999、緊急呼端子サブアドレスとしてNULLをセットする。このメモリの状態を、図3の設定値例5にも示す。
その後、緊急呼再呼び出しが行なわれると、公衆網から受信するSETUP信号の発番号には110が、着番号には、契約者回線番号から市外局番を除いた番号である1111−1000が、着サブアドレスには、緊急呼発信時に発サブアドレス番号で指定した選別番号+内線番号830−2999がマッピングされている(図17のS522)。受信した発番号110と当該Bチャネルに対して割り当てられている緊急呼情報メモリに格納されている緊急番号110が一致するため、このSETUP信号は緊急呼再呼び出しであることが分かり、図9に示すフローチャートの通り、緊急呼発信内線等着信制御手段(T225)は、T225−01の結果T225−08のステップを選択することにより、緊急呼情報メモリの情報を元に、緊急呼発信タンデム専用線に対して、対向PBXの内線2999を呼び返す(図17のS523〜S524)。
このとき、緊急呼情報メモリの緊急呼発信端子情報や緊急呼端子番号は、呼び返す専用線トランクを決定したり、そのトランクに送出する着番号を決定したりするために使用する。但し、Dpチャネル共通線等の専用線を介して対向PBXとの間で緊急呼呼び返しを行なう手段は、公衆網側とのインタフェースを意識する必要はあまりなく、独自手順でもよいので、本発明を適用するEPBXと対向PBX間のインタフェースは本発明の請求範囲には含めない。
例えば、特許文献6に示される集線区間の回線を保持する方式等をEPBXと対向PBX間のインタフェースに適用した場合も、本発明は容易に組み合わせて利用することができる。このような独自手順では、EPBXと対向PBXの両方に発明を適用する必要があるが、本発明は、EPBXとINSとのインタフェース制御、EPBX内部のプログラム制御、EPBXに接続される端子とのインタフェース制御に特徴があり、対向PBXには本発明を適用することは必須ではない。これは、本発明は、緊急呼発信の再呼び出しに適応させる必要がある公衆網インタフェースがあるEPBXのみに適用が可能なこと、また、ネットワーク内の全PBXに本発明を適用する場合に、1局ずつの適用が可能である(全局同時の適用が必須ではない)長所を示している。
次に、本発明の他の実施の形態として、その基本的構成は上記の通りであるが、「トランク・Bチャネル選択手段」について、図5の※印に記したように、T122−01のステップを、「緊急呼メモリが設定されているトランク(Bチャネル)は、(トランク使用中状態と同様に扱い)捕捉させない」から、「緊急呼メモリに設定されている緊急呼発信端子情報・緊急呼端子番号及び緊急呼発信端子サブアドレスと一致する端子が、当該方路にINS発信する場合は、そのトランク(Bチャネル)を捕捉させる」と変更した場合の実施の形態について説明する。
この場合、緊急呼発信内線以外がINS発信した場合、緊急呼メモリが設定されているBチャネル以外を捕捉し、公衆網側でビジーとならないのは変更前の構成例と同様の動作となる。
但し、緊急呼発信内線がINS発信した場合には、緊急呼メモリが設定されているBチャネルを捕捉して発信するため、次のような動作となる。
発サブアドレスに内線番号をマッピングすることを、緊急呼に限らない構成にした場合、当該内線からのINS発信で公衆網に送信するSETUP信号の発番号・発サブアドレスが一致するため、公衆網側で緊急呼が保留されていれば、公衆網側の仕様により、その着番号に関わらず、緊急呼受付台に強制的に再接続される。
緊急呼保持の観点から考察すれば、この実施の形態の方が優れた効果が得られると考えることができる。但し、課金情報を収集しているシステムの場合には、課金装置に出力する情報を着番号を元にしている場合が多いが、このとき、課金情報と実際に公衆網側での課金が異なってしまうという問題が生じる。この問題は、課金装置に出力する情報を公衆網側の料金通知サービスで通知される情報を元にするなど、工夫をすればある程度回避可能であるが、国際発信やNCC発信等、料金通知情報が公衆網から送信されない場合もあるので、注意が必要である。これは、本発明と組み合わせるシステムの実装機能や運用条件を考慮してどの実施の形態を採用するか決定すればよい。
発サブアドレスに内線番号を付加することを、緊急呼に限る構成にした場合には、当該内線からのINS発信で公衆網に送信するSETUP信号の発番号・発サブアドレスが、緊急呼再発信の場合は一致し、緊急呼再発信以外の場合は不一致となるため、緊急呼再発信の場合は緊急呼受付台に再接続され、緊急呼再発信以外は公衆網側でビジーとなる。
ここで、注意が必要なことは、110発信で緊急呼が公衆網側で保留されている状態で、当該緊急呼発信内線が119発信した場合も、網側で110受付台に強制的に接続されてしまうことである。これは、実際に当該Bチャネルを捕捉して発信しないと、公衆網側で緊急呼の保留が継続しているかどうかが分からない、公衆網側の仕様に起因する。
この課題を回避するために、「SETUP信号編集手段(緊急呼)特有部分」について次のように改良する。図7の※印に記したように、発サブアドレスにマッッピングする番号を内線番号から、緊急呼番号と内線番号を組み合わせたものに変更する。すると、最初の110緊急呼発信の場合は、発サブアドレスは110+内線番号であり、110再発信の場合も発サブアドレスが110+内線番号であるから発番号・発サブアドレスともに一致するため110受付台に再接続され、119緊急呼発信の場合は、発サブアドレスが119+内線番号であるから発サブアドレスが不一致となり、公衆網側でビジーとなる。これで、上記課題は解消される。
本発明のさらに他の実施の形態として、その基本的構成は上記の通りであるが、緊急呼発信内線等着信制御手段、及び緊急呼情報メモリタイマ制御手段について、図18から図19に記したように変更した実施の形態について説明する。
本発明では、特許文献2、3に記載の発明のように、緊急呼発信内線を予約状態とすることを必須としていない。但し、両文献2、3に記載の発明のように緊急呼発信内線を予約状態とする方式と組み合わせて使用することは可能である。
緊急呼発信内線を予約状態とすることを必須としていないのは、ISDNの緊急呼では、緊急呼発信内線先掛け復旧後、緊急呼受付台が切断しても、公衆網からは保留が解除されたことが通知されないため、発着可能なISDNトランクであれば、一般呼着信があるまで、発信専用のISDNトランクであれば、緊急呼情報メモリにセットする緊急呼再呼び出し待ちタイマ(先の実施の形態では4分とした)がタイムアウトするまで当該内線が発信できないことを防ぐためである。緊急呼発信内線を予約しないことによって、公衆網側の緊急呼保留状態によらず、緊急呼発信内線切断後、直ちに緊急呼発信内線を使用することが可能となる。
ここで、緊急呼発信内線を予約しない場合には、新たな課題が発生する。それは、緊急呼再呼び出しがかかった場合に、当該内線が使用されてしまっていて呼び出しを行うことができない場合があるということである。この課題を解決するため、緊急呼発信内線等着信制御手段、及び緊急呼情報メモリタイマ制御手段を図18及び図19に記したように変更する。
緊急呼再呼び出しがかかった場合に、当該緊急呼発信内線が空き状態の場合は、当該緊急呼発信内線をすぐに呼び返す。このとき、緊急呼情報メモリに、緊急呼発信内線不応答タイマ(仮に20秒とする)を設定する。
緊急呼再呼び出しがかかった場合には、当該緊急呼発信内線が他の内線や外線と二者通話状態の場合は、当該緊急呼発信内線に割り込み接続する。すなわち、当該緊急呼内線を呼び出し、当該内線が応答した状態と同様の状態に遷移する。
緊急呼再呼び出しがかかった場合には、当該緊急呼発信内線が空きでも二者通話状態でもない場合は、一定時間(仮に30秒とする)待ち続ける。当該内線が空きの状態又は二者通話状態に遷移した時点で、呼び出し又は割り込み接続する。一般的に、電話機を使用するのは二者通話状態であるから、例えば、緊急呼発信内線がダイヤル中状態には呼び返しを行うことができないが、その後すぐにダイヤルが完了して二者通話状態に遷移するケースが多いから、殆どのケースで緊急呼受付台が緊急呼発信内線の再呼び出しに成功することが期待できる。
また、一定時間、緊急呼発信内線を呼び返せない状態(空きでも二者通話状態でもない状態)が継続(再呼び出し待機中タイマタイムアウト:先の例では30秒)なり、緊急呼発信内線を呼び出せたが不応答(緊急呼再呼び出し(不応答)タイマタイムアウト:先の例では20秒)が継続なりした場合には、局データ設定等で予め指定しておいた緊急呼特定内線(例えば、緊急呼発信内線が所属する部門の代表内線や、守衛室の内線)を呼び出す。ここで、緊急呼特定内線がディジタル多機能電話機等の文字情報等を表示可能な端末の場合には、緊急呼情報メモリに記憶されている緊急呼発信端子情報・緊急呼発信端子番号・緊急呼発信端子サブアドレス等を元にした、緊急呼発信内線の情報を表示すれば、緊急呼特定内線で緊急呼再呼び出し呼を受けた人が、迅速に対応できることが期待できる。
但し、緊急呼の性格から、緊急呼発信内線を呼び返す場合は、各種転送系機能(不在転送等)や内線代表機能を無効とし、緊急呼特定内線を呼び返す場合は、これらの機能が動作する実施の形態が考えられる。