JP4404793B2 - 感光性組成物および画像記録材料並びに画像記録方法 - Google Patents
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Description
素と特定のチタノセン化合物の組み合わせた開始系が開示されている。例えば、特許文献1においてカルバゾール誘導体と特定チタノセン光開始剤の組み合わせが開示されているが、吸収波長が長波長なために短波長光源には適さず、低感度であった。また、特許文献2ではスチリル系色素と特定チタノセンの組み合わせが開示されており、確かに高感度であったが、特定チタノセンが持つ長波吸収のため、赤灯下での作業が必要とされ、作業性(セーフライト適性)が十分ではなかった。さらに、特許文献3及び特許文献4にはカルバゾール誘導体とトリアジン光開始剤の組み合わせが、特許文献5においてはカルバゾール誘導体とヨードニウム塩光開始剤との組み合わせが、また特許文献6ではカルバゾール誘導体とチオキサントン型光開始剤との組み合わせがそれぞれ開示されており、こちらは作業性(セーフライト適性)は良好であったが、実用上十分な感度を得られておらず、感度と作業性(セーフライト適性)両立はなしえていなかった。
以上要するに、従来提案されている感光性樹脂組成物では、CTPシステムに適合した走査露光用画像記録材料として用いた場合に、作業性及び経済性の点で不十分であり、より感度に優れ且つ黄灯下でも十分に作業可能な感光性樹脂の開発が要望されている。
(1)(A)一般式(I)で表される化合物、
(B)350nm〜450nmに吸収極大λmaxを持ち、励起活性状態の酸化電位(Eox *)が−1.6Vより負に大きい増感色素、及び
(C)不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、
を含有する感光性組成物。
本発明の感光性組成物は、一般式(I)、好適には構造式(a)〜(d)で表される活性剤化合物と増感色素を同時に併用することで、450nm以下の短波長レーザ光源により励起された増感色素が、一般式(I)、好適には構造式(a)〜(d)で表される活性剤化合物と強く相互作用し、効率的にラジカル又は酸を発生するため感度が著しく向上することを見出したものである。
まず、本発明の感光性組成物について説明する。
本発明の感光性組成物は、特性の活性剤化合物と特性の増感色素とを有する光重合開始系及び付加重合性化合物を含有する。
〔光重合開始系〕
本発明の感光性組成物に使用される光重合開始系は、350〜500nm以下に吸収極大λmaxを有する増感色素と、一般式(I)、好適には構造式(a)〜(d)で表される活性剤化合物(開始剤)としてのチタノセン化合物とからなる。
本発明の感光性組成物に用いられる光重合開始系を構成するチタノセン化合物は、下記一般式(I)表される化合物、好適には構造式(a)〜(d)で表される化合物である。
R2〜R5は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。ただし、R2〜R5の少なくとも一つはハロゲン原子、シアノ基、エステル基、またはアミド基により置換されている。またそれぞれが互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。このような置換基を有することで、チタノセン化合物は500nmに吸収波長領域を持たなくすることができる。
一般式(I)中、R1はシクロペンタジエニル基、インデニル基、または4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、(それらおのおのは非置換、もしくはアルキル基、アル
コキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基、ハロゲン原子、エステル基などで置換されていてもよい)を表す。
R1において、置換基として導入され得るアルキル基としては、直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数2〜4個のものが挙げられる。アルコキシ基はさらに置換基を有していてもよい。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子の少なくとも1つを含有する単環または多環芳香族環から誘導される基が好ましく用いられ、特に好ましいヘテロアリール基中のヘテロアリール環の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フェナルサジン、フラザン等が挙げられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
また、エステル基としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等が挙げられる。
また、R2〜R5におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができ、エステル基としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物の好ましい構造としては感度、セーフライト適性の面から置換もしくは非置換のシクロペンタジエニル基を二つ、置換されたフェニルピロール基を二つ含む骨格が好ましい。またピロール基上に導入される電子吸引性基としてはハロゲン、シアノ基が好ましく、さらに好ましくはシアノ基である。更に置換位置は、2,3位が好ましく、より好ましくは2位である。
上記好ましい構造を有するチタノセン化合物としては、下記の例示化合物(T−1)〜(T−15)が挙げられ、中でもT−1(上記構造式(a)で表される化合物)、T−5(上記構造式(b)で表される化合物)、T−8(上記構造式(c)で表される化合物)及びT−10(上記構造式(d)で表される化合物)が好ましい。
2,4−ジフルオロアニリン12.9g、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン13.2g、酢酸50mlを混合後、オイルバスを110℃に加熱し、還流下で4時間撹拌した。
還流下で4時間撹拌した反応液に氷冷下で水200mlを加え、反応中で溶解していた成分を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルでなる有機槽に塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると無色の油状物が得られた。得られた液体をヘキサン、酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーし、目的の2,6−ジフルオロ−3−(ピリー1−イル)フェニル(A)13gを得た。
ジメチルホルムアミド8ml、ジブロモメタン20mlの混合液を0℃に冷却後、オキシ塩化リン15.3gをゆっくり滴下、撹拌し白煙が収まるまで撹拌した。次に、にジブロモメタン15mlに溶解した化合物(A)を滴下した。
反応管をオイルバスへセットし、75度まで昇温後反応液を3時間撹拌した。
75度で3時間反応させた反応液を冷却後、十分な量の炭酸カリウム水溶液を用いて反応停止を行い、終夜で撹拌した。
翌朝、該反応液に水200mlを加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルでなる有機
槽に塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると茶褐色の粉末、液体混合物が得られた。
この混合物にメタノール150mlを加え、室温で1時間撹拌後吸引ろ過すると目的の2,6−ジフルオロ−3−(2−ホルミルーピリ−1−イル)フェニル(B)4.2gを得た。
化合物(B)4.2g、ヒドロキシルアミン塩酸塩1.56g、ギ酸ナトリウム2.46g、ギ酸27mlを混合後、オイルバスを110℃に加熱し、還流下で4時間撹拌した。
還流下で4時間撹拌した反応液に氷冷下で水100mlを加え、反応中で溶解していた成分を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルでなる有機槽に塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると黒色の油状物が得られた。得られた液体をヘキサン、酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーし、目的の2,6−ジフルオロ−3−(2−シアノーピリー1−イル)フェニル(C)2.5gを得た。
窒素気流下、化合物(C)0.5gに脱水テトラヒドロフラン12mlを加えてー78℃に冷却後、ノルマルーブチルリチウム(1.56M溶液)1.53mlを滴下し、1時間撹拌した。チタノセンジクロリド0.3gを加えた後、冷却バスを外し徐々に室温まで昇温後、2時間撹拌した。反応液をメタノール、水で注意深くクエンチした後、水100mlを加え酢酸エチルで抽出した。
酢酸エチルでなる有機槽に塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると黄色の油状物が得られた。得られた液体をヘキサン、酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーし、目的のビス(シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−シアノーピリー1−イル)フェニル]チタニウム(D)0.4gを得た。
他のチタノセン化合物についても、出発物質、添加する化合物等を適宜、選択することで、同様に合成することができる。
本発明において用いられる上記一般式(I)チタノセン化合物は、500nmに吸収波長領域を持たないことが好ましい。500nmに吸収波長領域を有すると、本発明の感光性組成物の利点である黄灯下作業性が低下してしまうためである。また、極大吸収波長が500nm未満であることが好ましく、さらに450nm以下であることが好ましい。こ
のように吸収波長を紫外線領域にすることにより、本発明の感光性組成物を用いた画像記録材料の取り扱いを黄灯下で実施することができる。
本発明において用いられる増感色素は、350nm〜450nmに吸収極大λmaxを持ち、特定の励起活性状態の酸化電位を有する増感色素である。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)。
チレンオキサイド基等の酸基もしくは極性基)の導入が有効である。特にエステル型の親水性基は、該感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。その他、例えば、該感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入することができる。例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入することで、結晶析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させる事ができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光性組成物層への相溶性を高めることができる。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ平版印刷版用原版に用いた場合、その感光層の膜物性の点からも有利である。該感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。
本発明の感光性組成物は、前述の光重合開始系の他、ラジカルまたは酸の少なくともいずれかによって反応しその物理的または化学的特性が変化して保持される化合物を含有する。このような化合物としては、具体的には少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、より詳細には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定すること無く用いることができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコー
ルジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
(ただし、RおよびR′はHあるいはCH3を示す。)
1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、平版印刷版用の感光層に用いた場合、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と、強度を両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、該感光層中の他の成分(例えば後述のバインダーポリマー、前述の光重合開始剤(系)、後述の着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうる事がある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
本発明の感光性組成物を、その好ましい実施形態である平版印刷版用原版の感光層に適用するに際しては、前述の光重合開始系および付加重合性化合物の他にさらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。バインダーポリマーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。
線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
耐刷性・低露光適性の点で有利である。また、特開平11−171907号公報記載のアミド基を有するバインダーは、優れた現像性と膜強度を併せ持ち、好適である。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いるには、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。
以下、好ましい添加剤に関し例示する。
(E1)共増感剤
ある種の添加剤(以後、共増感剤という)を用いることで、該感光層の感度をさらに向上させる事ができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の光重合開始系の光吸収により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると
考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類をあげる事ができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
また、本発明の感光性組成物においては、以上の基本成分の他に、その製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また平版印刷版用原版等の感光層として塗布する場合、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で該感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いる場合、さらに、該感光層の着色を目的として染料もしくは顔料の着色剤を添加してもよい。これにより、平版印刷版用原版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させる事ができる。
着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の感光層に用いる場合、さらに、その硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、該感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーを使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
その他、該感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設ける事を可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物等、後述の基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高める事が可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
本発明の画像記録材料は、上記の本発明の感光性組成物を含有する感光層を有する。
本発明の画像記録材料において上記感光層は、通常の画像記録材料と同様に支持体上に形成される。
前記感光層の支持体被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に
影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の感光性組成物の主要な使用目的である走査露光用平版印刷版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
本発明の感光性組成物の主要な使用目的の一つである、本発明の画像記録材料としての平版印刷版用原版を得るには該感光性組成物からなる感光層を、表面が親水性の支持体上に設ける事が望ましい。親水性の支持体としては、従来公知の平版印刷版用原版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除
去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
また、米国特許第3658662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。
さらにまた、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
さらに特開平7−159983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理によりバックコート層を形成した基板も好適に用いられる。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる感光性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
本発明の感光性組成物の望ましい使用態様である、走査露光用平版印刷版においては、通常、露光を大気中で行うため、該感光性組成物からなる感光層の上に、さらに、保護層を設ける事が好ましい。
保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3、458、311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られていが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルおよびアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。
本発明の画像記録方法は、上記の本発明の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料に対し、450nmより短波長のレーザ光源を用いて走査露光を行う画像記録方法である。
本発明の画像記録方法においても、通常の画像記録方法と同様に、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。これらの感光性組成物を平版印刷版用原版に使用する際、その好ましい現像液としては、特公昭57−7427号公報に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナト
リウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%になるように添加される。
A−W
(式中、AはA−HのLogPが1.5以上の疎水性有機基を表し、WはのLogPが1.0未満の非イオン性の親水性有機基を表す。)
350nm〜450nmの入手可能なレーザ光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザ(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザ系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。特にこの中でAlGaInN半導体レーザ(市販InGaN系半導体レーザ400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザとなる様に、ガスレーザあるいは固体レーザ光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザ、ガスレーザあるいは固体レーザを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザ、ガスレーザあるいは固体レーザを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザあるいは固体レーザを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置以上のようなレーザ直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザ光源1個のパワーq(W)、レーザ本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq1)が成立する。
レーザ回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4) が成立する。
例えば、本発明による感光性組成物の用途としては走査露光用平版印刷版の他、広く、光硬化樹脂の用途として知られるものに制限なく適用できる。例えば、必要に応じカチオン重合性化合物と併用した液状の光重合性組成物に適用することで、高感度な光造形用材料が得られる。また、光重合にともなう、屈折率の変化を利用し、ホログラム材料とすることもできる。光重合に伴う、表面の粘着性の変化を利用して様々な転写材料(剥離感材、トナー現像感材等)にも応用できる。マイクロカプセルの光硬化にも適用できる。フォトレジスト等の電子材料製造、インクや塗料、接着剤等の光硬化樹脂材料にも応用できる。
〔実施例1〜12および比較例1〜6〕
(支持体の調製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
テトラエチルシリケート 55質量部
水 25質量部
メタノール 10質量部
リン酸 0.05質量部
ジメチルフタレート 6質量部
フッ素系界面活性剤 0.7質量部
(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート/
ポリオキシエチレンアクリレート共重合体:分子量2万)
メタノールシリカゾル 50質量部
(日産化学工業(株)製,メタノール30質量%)
メタノール 800質量部
このように処理されたアルミニウム板からなりバックコート層が形成された支持体上に、下記組成の感光性組成物を乾燥塗布量が1.0g/m2となるように塗布し、80℃、2分間乾燥させ感光層を形成させた。
・付加重合性化合物
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.5 g
・バインダーポリマー
アリルメタクリレート/メタクリル酸/
N−イソプロピルアクリルアミド共重合体 2.0 g
(共重合モル比67/13/20)
・光重合開始系 (表1中に記載)
増感色素
チタノセン化合物
共増感剤
・他の成分
フッ素系ノニオン界面活性剤(F−177P) 0.02g
熱重合禁止剤 0.01g
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
顔料分散物 2.0 g
顔料分散物の組成
組成:Pigment Blue 15:6 15重量部
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合 10重量部
(共重合モル比83/17)
シクロヘキサノン 15重量部
メトキシプロピルアセテート 20重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40重量部
・溶媒
メチルエチルケトン 20.0 g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0 g
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
<励起エネルギーの算出>
増感色素の吸収スペクトルと蛍光スペクトルの交点に当たる波長のエネルギーを励起エ
ネルギーと定義し、算出した。吸収スペクトルはTHF溶媒を用いVarian社製UV−Vis−NIR Spectrophotometer Cary5Gによる透過スペクトルを測定した。蛍光スペクトルは増感色素を含有するポリマーマトリックスを作成しJOBIN YVON社製SPEX Fluorolog‐3を用いて反射スペクトルを測定した。
北斗電工株式会社製ポテンシオメータ(GPIB POTENTIOSTAT/GALVANOSTAT HA−501G及びARBITRARY FUNCTION GENERATOR HB−105)を使用し、参照電極にAg/AgCl電極、対極にPt電極を用い、電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム塩を添加したアセトニトリル中で酸化電位を測定した。実測した酸化電位から、上記で定義した励起エネルギーを引いた値を励起1重項状態の酸化電位と定義した。
この様に得られた平版印刷版用原版上に富士写真フイルム(株)製の富士ステップガイド(△D=0.15で不連続的に透過光学濃度が変化するグレースケール)を密着させ、光学フィルター(ケンコーBP−40)を通したキセノンランプを用い、既知の露光エネルギーとなるように露光を行った。光学フィルターとしては、短波半導体レーザへの露光適性を見積もる目的で、400nmのモノクロミックな光で露光が可能なケンコーBP−40を用いた。その後、下記組成の現像液に25℃、10秒間浸漬し、現像を行い、画像が完全に除去される最高の段数から感度(クリア感度)を算出した。その結果を表1に示す。ここで、クリア感度とは、画像の形成に最低限必要なエネルギーを表し、この値が低いほど高感度である。
さらにセーフライト適性を評価するため、得られた感材を露光前に30分間黄灯下(500nm以下をカット)にさらした後、同様に露光、現像を行った。目視確認を行い、カブリが発生した感材(セーフライト適性なし)を×、カブリが発生しなかった感材(セーフライト適性あり)を○とし、カブリ評価を実施した。その結果を表1に示す。
なお、上記実施例1〜12、比較例1〜6で用いた現像液は、下記組成からなるpH12.0の水溶液である。
1Kケイ酸カリウム 2.4g
水酸化カリウム 0.2g
下記式(1)の化合物 5.0g
水 91.3g
エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1g
(従来チタノセン開始剤は、比較例1に対し比較例2,3のトリアジン開始剤、ロフィンダイマー開始剤を見ると、チタノセンは感度では優れるものの、セーフライト適性に難がある事が弱点であったが、これを克服している)
また置換基、置換位置による性能差を他実施例にて評価しており、ピロール2位への、シアノ基導入がもっとも高感度化することがわかった。
Claims (4)
- (A)一般式(I)で表される化合物、
(B)350nm〜450nmに吸収極大λmaxを持ち、励起活性状態の酸化電位(Eox *)が−1.6Vより負に大きい増感色素、及び
(C)不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、
を含有する感光性組成物。
- 支持体上に、請求項1または2記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料。
- 支持体上に、請求項1または2記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料に対し、450nmより短波長のレーザ光源を用いて走査露光を行う画像記録方法。
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