JP4404793B2 - 感光性組成物および画像記録材料並びに画像記録方法 - Google Patents

感光性組成物および画像記録材料並びに画像記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な光重合開始系、特に、高感度でかつ、安定性に優れた光重合開始系を含有する感光性組成物および画像記録材料並びに画像記録方法に関する。また、本発明は、特に、ディジタル信号に基づいた走査露光により製版可能な画像記録材料として優れた感光性組成物および画像記録材料並びに画像記録方法に関する。
従来、平版印刷版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及してきている。そして、その様なディジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用される様になってきた。その結果レーザ光のような指向性の高い光をディジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介す事無く、直接印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した印刷版用原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版を得る方式の一つとして、従来より、親水性支持体上に設けるインク受容性の感光性樹脂層(以下、感光層という)として、感光スピードに優れた光重合系組成物を用いた構成が提案され、既に上市されている。該構成の原版は、現像処理が簡便であり、さらに解像度、着肉性、耐刷性、汚れ性に優れるといった望ましい刷版、印刷性能を有する。
上記光重合性組成物は基本的にはエチレン性不飽和化合物、光重合開始系、及びバインダー樹脂からなり、画像形成は、光開始系が光吸収し、活性ラジカルを生成してエチレン性不飽和化合物の付加重合を引き起こし、感光層の不溶化を生じるものである。従来の、走査露光可能な光重合性組成物に関する提案の大部分は、感光性に優れた光開始系の使用を開示したものであり、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue,93,435(1993)や、R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81(1993)に多く記載されている。
これらの光開始系からなる光重合性組成物と光源としてArレーザー(488nm)やFD−YAGレーザー(532nm)のような長波長の可視光源を用いた、従来のCTPシステムに関しては、製版行程の生産性を上げるために、さらに高速で書き込む事が望まれているが、光源の出力が十分高くないことや感材の感度が十分高くないためにその目的は達成されていない。
一方、近年、例えば、InGaN系の材料を用い、350nmから450nm域で連続発振可能な半導体レーザが実用段階となっている。これらの短波光源を用いた走査露光システムは、半導体レーザが構造上、安価に製造できるため、十分な出力を有しながら、経済的なシステムを構築できるといった長所を有する。さらに、従来のFD−YAGやArレーザを使用するシステムに比較して、より明るいセーフライト下での作業が可能な感光域が短波な感材が使用できる。
しかしながら、350nmから450nmの短波長域で走査露光に十分な感度を有する光開始系は現在までに知られていない。従来、比較的感度の高い光開始系として特定の色
素と特定のチタノセン化合物の組み合わせた開始系が開示されている。例えば、特許文献1においてカルバゾール誘導体と特定チタノセン光開始剤の組み合わせが開示されているが、吸収波長が長波長なために短波長光源には適さず、低感度であった。また、特許文献2ではスチリル系色素と特定チタノセンの組み合わせが開示されており、確かに高感度であったが、特定チタノセンが持つ長波吸収のため、赤灯下での作業が必要とされ、作業性(セーフライト適性)が十分ではなかった。さらに、特許文献3及び特許文献4にはカルバゾール誘導体とトリアジン光開始剤の組み合わせが、特許文献5においてはカルバゾール誘導体とヨードニウム塩光開始剤との組み合わせが、また特許文献6ではカルバゾール誘導体とチオキサントン型光開始剤との組み合わせがそれぞれ開示されており、こちらは作業性(セーフライト適性)は良好であったが、実用上十分な感度を得られておらず、感度と作業性(セーフライト適性)両立はなしえていなかった。
一方、特許文献7には、支持体上に400〜1200nmに吸収ピークを有する色素、熱又は活性光線の照射により酸を発生し得る化合物、酸の存在下で現像液に対し不溶化し得る化合物、及び水溶性及び水分散性の樹脂を含む感応層を有する画像形成材料が開示されているが、350〜450nmの短波長域での露光性能、黄灯下での作業性は不十分であった。
以上要するに、従来提案されている感光性樹脂組成物では、CTPシステムに適合した走査露光用画像記録材料として用いた場合に、作業性及び経済性の点で不十分であり、より感度に優れ且つ黄灯下でも十分に作業可能な感光性樹脂の開発が要望されている。
特開平9−230913号公報 特開平9−80750号公報 特開昭62−212643号公報 特開昭63−32540号公報 特開昭63−32539号公報 特開昭63−325401号公報 特開平11−153859号公報
本発明の目的は、作業性、経済性に優れた、CTPシステムに適合した走査露光用画像記録材料として用いる感光性組成物を提供することにあり、安価な短波半導体レーザの発振波長に対し高感度な画像記録材料として用いる感光性組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、広く350nmから500nmの波長に対し高感度かつ黄灯下作業性の高い新規な光重合開始系を用いる感光性組成物を提供することにある。さらに本発明の他の目的は、前記感光性組成物を用いた画像記録材料および画像記録方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、増感色素と特定構造のチタノセン化合物とを組み合わせた場合に、感度・安定性に非常に優れた光重合開始系が得られ、特に350nmから450nmでの露光に適した光重合開始系が得られることを見出したものである。さらに、この光重合開始系と、ラジカルまたは酸によって反応する付加重合性化合物、具体的にはエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物とからなる感光性組成物を用いた画像記録材料により、短波半導体レーザの発振波長に対し十分な感度を有し、しかも、明るいセーフライト下でも取り扱う事のできる平版印刷版用原版が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)(A)一般式(I)で表される化合物、
(B)350nm〜450nmに吸収極大λmaxを持ち、励起活性状態の酸化電位(Eox *)が−1.6Vより負に大きい増感色素、及び
(C)不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、
を含有する感光性組成物。
Figure 0004404793
一般式(I)中、R1は、シクロペンタジエニル基、インデニル基、または、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基を表す。R2〜R5は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。ただし、R2〜R5の少なくとも一つはハロゲン原子、シアノ基、エステル基、またはアミド基により置換されている。
(2)前記チタノセン化合物が、下記構造式(a)、(b)、(c)又は(d)で表される化合物である前記(1)記載の感光性組成物。
Figure 0004404793
(3)支持体上に、前記(1)または(2)記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料。
(4)支持体上に、前記(1)または(2)記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料に対し、450nmより短波長のレーザ光源を用いて走査露光を行う画像記録方法。
本発明の感光性組成物は、前記一般式(I)、好適には構造式(a)〜(d)で表されるチタノセン化合物(開始剤)と、増感色素と、不飽和二重結合を有する付加重合性化合物とを必須構成成分として含有する。
本発明の感光性組成物は、一般式(I)、好適には構造式(a)〜(d)で表される活性剤化合物と増感色素を同時に併用することで、450nm以下の短波長レーザ光源により励起された増感色素が、一般式(I)、好適には構造式(a)〜(d)で表される活性剤化合物と強く相互作用し、効率的にラジカル又は酸を発生するため感度が著しく向上することを見出したものである。
本発明の感光性組成物を用いた平版印刷版用原版によれば、InGaNの様な短波長の半導体レーザによる走査露光に適した十分な感度を有し、かつ耐刷性、耐汚れ性に優れた平版印刷版を与えることができる。また、本発明の感光性組成物を用いた走査露光用平版印刷版用原版は、黄色灯下でのカブリが著しく改良されており、版を取り扱う作業性が大幅に改善することができる。さらにまた、本発明の感光性組成物は感度に優れると同時に、非常に保存安定性に優れたものである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の感光性組成物について説明する。
本発明の感光性組成物は、特性の活性剤化合物と特性の増感色素とを有する光重合開始系及び付加重合性化合物を含有する。
〔光重合開始系〕
本発明の感光性組成物に使用される光重合開始系は、350〜500nm以下に吸収極大λmaxを有する増感色素と、一般式(I)、好適には構造式(a)〜(d)で表される活性剤化合物(開始剤)としてのチタノセン化合物とからなる。
<(A)チタノセン化合物(開始剤)>
本発明の感光性組成物に用いられる光重合開始系を構成するチタノセン化合物は、下記一般式(I)表される化合物、好適には構造式(a)〜(d)で表される化合物である。
Figure 0004404793
一般式(I)中、R1はシクロペンタジエニル基、インデニル基、または4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、(それらおのおのは非置換、もしくはアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ハロゲン、エステルで置換されている)を表す。
2〜R5は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。ただし、R2〜R5の少なくとも一つはハロゲン原子、シアノ基、エステル基、またはアミド基により置換されている。またそれぞれが互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。このような置換基を有することで、チタノセン化合物は500nmに吸収波長領域を持たなくすることができる。
Figure 0004404793
次に、一般式(I)で表される活性剤化合物としてのチタノセン化合物について詳しく説明する。
一般式(I)中、R1はシクロペンタジエニル基、インデニル基、または4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、(それらおのおのは非置換、もしくはアルキル基、アル
コキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基、ハロゲン原子、エステル基などで置換されていてもよい)を表す。
1において、置換基として導入され得るアルキル基としては、直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数2〜4個のものが挙げられる。アルコキシ基はさらに置換基を有していてもよい。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、3個から8個の炭素原子が環構造を形成するものが挙げられ、より好ましくは炭素数5〜6のシクロペンタン、シクロヘキサン構造が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子の少なくとも1つを含有する単環または多環芳香族環から誘導される基が好ましく用いられ、特に好ましいヘテロアリール基中のヘテロアリール環の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フェナルサジン、フラザン等が挙げられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
また、エステル基としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等が挙げられる。
また、R2〜R5におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができ、エステル基としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等が挙げられる。
以下に、一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに制限されるものではない。
一般式(I)で表される化合物の好ましい構造としては感度、セーフライト適性の面から置換もしくは非置換のシクロペンタジエニル基を二つ、置換されたフェニルピロール基を二つ含む骨格が好ましい。またピロール基上に導入される電子吸引性基としてはハロゲン、シアノ基が好ましく、さらに好ましくはシアノ基である。更に置換位置は、2,3位が好ましく、より好ましくは2位である。
上記好ましい構造を有するチタノセン化合物としては、下記の例示化合物(T−1)〜(T−15)が挙げられ、中でもT−1(上記構造式(a)で表される化合物)、T−5(上記構造式(b)で表される化合物)、T−8(上記構造式(c)で表される化合物)及びT−10(上記構造式(d)で表される化合物)が好ましい。
Figure 0004404793
ここで、一般式(I)で表される活性剤化合物としてのチタノセン化合物の代表的な合成例を示す。
ビス(シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−シアノーピリ−1−イル)フェニル]チタニウム〔例示化合物(T−1)〕の合成(4工程)
<第1工程>
2,4−ジフルオロアニリン12.9g、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン13.2g、酢酸50mlを混合後、オイルバスを110℃に加熱し、還流下で4時間撹拌した。
還流下で4時間撹拌した反応液に氷冷下で水200mlを加え、反応中で溶解していた成分を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルでなる有機槽に塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると無色の油状物が得られた。得られた液体をヘキサン、酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーし、目的の2,6−ジフルオロ−3−(ピリー1−イル)フェニル(A)13gを得た。
<第2工程>
ジメチルホルムアミド8ml、ジブロモメタン20mlの混合液を0℃に冷却後、オキシ塩化リン15.3gをゆっくり滴下、撹拌し白煙が収まるまで撹拌した。次に、にジブロモメタン15mlに溶解した化合物(A)を滴下した。
反応管をオイルバスへセットし、75度まで昇温後反応液を3時間撹拌した。
75度で3時間反応させた反応液を冷却後、十分な量の炭酸カリウム水溶液を用いて反応停止を行い、終夜で撹拌した。
翌朝、該反応液に水200mlを加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルでなる有機
槽に塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると茶褐色の粉末、液体混合物が得られた。
この混合物にメタノール150mlを加え、室温で1時間撹拌後吸引ろ過すると目的の2,6−ジフルオロ−3−(2−ホルミルーピリ−1−イル)フェニル(B)4.2gを得た。
<第3工程>
化合物(B)4.2g、ヒドロキシルアミン塩酸塩1.56g、ギ酸ナトリウム2.46g、ギ酸27mlを混合後、オイルバスを110℃に加熱し、還流下で4時間撹拌した。
還流下で4時間撹拌した反応液に氷冷下で水100mlを加え、反応中で溶解していた成分を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルでなる有機槽に塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると黒色の油状物が得られた。得られた液体をヘキサン、酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーし、目的の2,6−ジフルオロ−3−(2−シアノーピリー1−イル)フェニル(C)2.5gを得た。
<第4工程>
窒素気流下、化合物(C)0.5gに脱水テトラヒドロフラン12mlを加えてー78℃に冷却後、ノルマルーブチルリチウム(1.56M溶液)1.53mlを滴下し、1時間撹拌した。チタノセンジクロリド0.3gを加えた後、冷却バスを外し徐々に室温まで昇温後、2時間撹拌した。反応液をメタノール、水で注意深くクエンチした後、水100mlを加え酢酸エチルで抽出した。
酢酸エチルでなる有機槽に塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると黄色の油状物が得られた。得られた液体をヘキサン、酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーし、目的のビス(シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−シアノーピリー1−イル)フェニル]チタニウム(D)0.4gを得た。
他のチタノセン化合物についても、出発物質、添加する化合物等を適宜、選択することで、同様に合成することができる。
本発明の感光性組成物には、前記一般式(I)で表される活性剤化合物としてのチタノセン化合物を、組成物を構成する全固形分中、0.5〜20質量%含有することが好ましい。より好ましくは1〜10質量%である。
本発明においては、前記特定のチタノセン化合物に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の公知の光重合開始剤、熱重合開始剤などを選択して併用することができる。これらの併用可能な重合開始剤としては、例えば、対カチオン部にカルボン酸構造を有しない公知のオニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジドなどが挙げられる。
併用し得るラジカル発生剤として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものを挙げることができる。
他の重合開始剤を併用する場合、これらの含有量は、前記特定のラジカル発生剤であるチタノセン化合物100質量部に対して50質量部以下とすることが好ましい。
本発明において用いられる上記一般式(I)チタノセン化合物は、500nmに吸収波長領域を持たないことが好ましい。500nmに吸収波長領域を有すると、本発明の感光性組成物の利点である黄灯下作業性が低下してしまうためである。また、極大吸収波長が500nm未満であることが好ましく、さらに450nm以下であることが好ましい。こ
のように吸収波長を紫外線領域にすることにより、本発明の感光性組成物を用いた画像記録材料の取り扱いを黄灯下で実施することができる。
<(B)増感色素>
本発明において用いられる増感色素は、350nm〜450nmに吸収極大λmaxを持ち、特定の励起活性状態の酸化電位を有する増感色素である。
本発明における好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ330nm〜700nmに吸収極大λmaxを持つものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)。
より好ましい増感色素の例としては、下記一般式(II)〜(V)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004404793
(一般式(II)中、A1は硫黄原子またはNR6を表し、R6はアルキル基またはアリール基を表し、L2は隣接するA2及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R7、R8は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子または硫黄原子を表す。)
以下に一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例を示す。
Figure 0004404793
Figure 0004404793
(一般式(III)中、A2は硫黄原子またはNR15を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R9、R10、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R15はアルキル基またはアリール基を表す。)
一般式(III)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0004404793
Figure 0004404793
(一般式(IV)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−または−NR18または−NR19表し、R18、R19はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R16、R17はそれぞれ独立に一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。)
一般式(IV)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0004404793
Figure 0004404793
(一般式(V)中、R23は置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子または−NR24−を表す。R21、R22及びR24はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R24とR21、及びR22とR24はそれぞれ互いに脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。)
一般式(V)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 0004404793
本発明における増感色素に関しては、さらに、平版印刷版用原版とした場合、その感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させる事で、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの色素の不要な析出抑制を行うことができる。
さらに、本発明の感光性組成物を用いて平版印刷版用原版とした場合、その感光層の好ましい使用様態である、(アルカリ)水系現像液への処理適性を高める目的に対しては、親水性部位(カルボキシル基並びにそのエステル、スルホン酸基並びにそのエステル、エ
チレンオキサイド基等の酸基もしくは極性基)の導入が有効である。特にエステル型の親水性基は、該感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。その他、例えば、該感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入することができる。例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入することで、結晶析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させる事ができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
これらの増感色素のどの構造を用いるか、単独で使用するか2種以上併用するか、添加量はどうか、といった使用法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて適宜設定できる。
例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光性組成物層への相溶性を高めることができる。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ平版印刷版用原版に用いた場合、その感光層の膜物性の点からも有利である。該感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。
但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版としての使用に際しては、増感色素の添加量は、本発明の感光性組成物を用いた感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。平版印刷版として利用する場合には、通常、感光性組成物100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、更に好ましくは0.1〜20質量部、最も好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
また本発明において用いる増感色素は、酸化電位及び励起状態の酸化電位が負に大きい時、活性剤化合物への電子移動効率が向上し、結果高感度化することが推定されている。このため、本発明において用いる増感色素が有する前記特定の励起状態の酸化電位(便宜上、Eox *と表記する)は、−1.6より負に大きく、好ましくは−1.7より負に大きい。さらに本発明の感光性組成物を平版印刷版に利用する場合には、Eox *は−1.9〜―2.3が望ましく、より好ましくは−2.1〜―2.3である。
<(C)不飽和二重結合を有する付加重合性化合物>
本発明の感光性組成物は、前述の光重合開始系の他、ラジカルまたは酸の少なくともいずれかによって反応しその物理的または化学的特性が変化して保持される化合物を含有する。このような化合物としては、具体的には少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、より詳細には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定すること無く用いることができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコー
ルジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(VI)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R′)OH (VI)
(ただし、RおよびR′はHあるいはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653号,特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの、付加重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば次のような観点から選択される。感光スピードの点では
1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、平版印刷版用の感光層に用いた場合、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と、強度を両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、該感光層中の他の成分(例えば後述のバインダーポリマー、前述の光重合開始剤(系)、後述の着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうる事がある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
該感光層中の付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感材成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80質量%、好ましくは25〜75質量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
<(D)バインダーポリマー>
本発明の感光性組成物を、その好ましい実施形態である平版印刷版用原版の感光層に適用するに際しては、前述の光重合開始系および付加重合性化合物の他にさらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。バインダーポリマーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。
線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号各公報、および特開平13−312062号公報等に記載される、酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、
耐刷性・低露光適性の点で有利である。また、特開平11−171907号公報記載のアミド基を有するバインダーは、優れた現像性と膜強度を併せ持ち、好適である。
さらにこの他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの線状有機高分子重合体は全組成物中に任意な量を混和させることができる。しかし90質量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85質量%である。また上記付加重合性化合物とバインダーポリマーとしての線状有機高分子重合体とは、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。好ましい実施様態においてバインダーポリマーは実質的に水不要でアルカリに可溶なものが用いられる。そうすることで、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないかもしくは非常に少ない使用量に制限できる。この様な使用法においてはバインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり好ましい分子量は3000から50万の範囲で、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0分子量が1万から30万の範囲である。
<(E)その他の成分>
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いるには、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。
以下、好ましい添加剤に関し例示する。
(E1)共増感剤
ある種の添加剤(以後、共増感剤という)を用いることで、該感光層の感度をさらに向上させる事ができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の光重合開始系の光吸収により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると
考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類をあげる事ができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開平9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されている。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
Figure 0004404793
これらの共増感剤に関しても、先の増感色素と同様、さらに、平版印刷版用原版の感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素やチタノセン、付加重合性不飽和化合物その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。これらの共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲が適当である。
(E2)熱重合防止剤
また、本発明の感光性組成物においては、以上の基本成分の他に、その製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また平版印刷版用原版等の感光層として塗布する場合、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で該感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(E3)着色剤
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いる場合、さらに、該感光層の着色を目的として染料もしくは顔料の着色剤を添加してもよい。これにより、平版印刷版用原版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させる事ができる。
着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
(E4)その他の添加剤
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の感光層に用いる場合、さらに、その硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、該感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーを使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
また、後述する平版印刷版用原版の感光層の膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
その他、該感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設ける事を可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物等、後述の基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高める事が可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
本発明の感光性組成物は、使用に際して、具体的に平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として支持体上に塗布する際には、種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
次に、本発明の画像記録材料について説明する。
本発明の画像記録材料は、上記の本発明の感光性組成物を含有する感光層を有する。
本発明の画像記録材料において上記感光層は、通常の画像記録材料と同様に支持体上に形成される。
前記感光層の支持体被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に
影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の感光性組成物の主要な使用目的である走査露光用平版印刷版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
<(F)支持体>
本発明の感光性組成物の主要な使用目的の一つである、本発明の画像記録材料としての平版印刷版用原版を得るには該感光性組成物からなる感光層を、表面が親水性の支持体上に設ける事が望ましい。親水性の支持体としては、従来公知の平版印刷版用原版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板があげられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は特に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みは通常およそ0.1mm〜0.6mm程度であり、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、粗面化(砂目立て)処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除
去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
さらに、粗面化したのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板が好ましく使用できる。特公昭47−5125号公報に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、もしくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液または非水溶液の単独または二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
また、米国特許第3658662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。
さらに、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号各公報に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
さらにまた、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
さらに、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしてバックコート層を形成したものも好適である。
さらに特開平7−159983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理によりバックコート層を形成した基板も好適に用いられる。
その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも挙げることができる。この様な表面層としては例えば米国特許第3055295号明細書や、特開昭56−13168号公報記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号公報記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号公報記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を上げる事ができる。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる感光性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
<(G)保護層>
本発明の感光性組成物の望ましい使用態様である、走査露光用平版印刷版においては、通常、露光を大気中で行うため、該感光性組成物からなる感光層の上に、さらに、保護層を設ける事が好ましい。
保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3、458、311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物
を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られていが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルおよびアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。
具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等があげられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。
これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。たとえば、ポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、重合層の上に積層することにより十分な接着性が得られる。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用する事ができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
さらに、保護層に他の機能を付与する事もできる。例えば、露光に使う、350nmから450nmの光の透過性に優れ、かつ500nm以上の光を効率よく吸収しうる着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高める事ができる。
次に、本発明の画像記録方法について説明する。
本発明の画像記録方法は、上記の本発明の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料に対し、450nmより短波長のレーザ光源を用いて走査露光を行う画像記録方法である。
本発明の画像記録方法においても、通常の画像記録方法と同様に、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。これらの感光性組成物を平版印刷版用原版に使用する際、その好ましい現像液としては、特公昭57−7427号公報に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナト
リウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%になるように添加される。
また、このようなアルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3375171号および同第3615480号各明細書に記載されているものを挙げることができる。さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
特に好ましい現像液としては、特開2002−202616号公報に記載の、下記式で表される非イオン性化合物を含有し、pHが11.5〜12.8であり、かつ3〜30mS/cmの電導度を有する現像液が挙げられる。
A−W
(式中、AはA−HのLogPが1.5以上の疎水性有機基を表し、WはのLogPが1.0未満の非イオン性の親水性有機基を表す。)
その他、本発明の感光性組成物を感光層に用いた平版印刷版用原版からの平版印刷版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、該感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
本発明の感光性組成物を感光層に用いた平版印刷版用原版の露光方法は、公知の方法を制限なく用いる事ができる。上述のように用いる光源の波長は450nm以下であるが、望ましい光源の波長は350nmから450nmであり、具体的にはInGaN系半導体レーザが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。また、該感光層成分は、高い水溶性のものを使用する事で、中性の水や弱アルカリ水に可溶とすることもできるが、この様な構成の平版印刷版用原版は印刷機上に装填後、機上で露光−現像といった方式を行う事もできる。
また、本発明による光重合性組成物に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
350nm〜450nmの入手可能なレーザ光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザ(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザ系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。特にこの中でAlGaInN半導体レーザ(市販InGaN系半導体レーザ400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
また走査露光方式の平版印刷版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には感材感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザとなる様に、ガスレーザあるいは固体レーザ光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザ、ガスレーザあるいは固体レーザを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザ、ガスレーザあるいは固体レーザを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザあるいは固体レーザを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置以上のようなレーザ直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザ光源1個のパワーq(W)、レーザ本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq1)が成立する。
X・S=n・q・t (eq 1)
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合
レーザ回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
f・Z・t=Lx (eq 2)
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 3)
iii)フラットヘッド(マルチビーム)方式の場合
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4) が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 4)
実際の印刷版に要求される解像度(2560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明の感光性組成物の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明の感光性組成物を用いた感材においては総出力20mW以上のレーザを用いたマルチビーム露光方式との組み合わせが特に好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム(10本以上)露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の記載に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、本発明による感光性組成物の用途としては走査露光用平版印刷版の他、広く、光硬化樹脂の用途として知られるものに制限なく適用できる。例えば、必要に応じカチオン重合性化合物と併用した液状の光重合性組成物に適用することで、高感度な光造形用材料が得られる。また、光重合にともなう、屈折率の変化を利用し、ホログラム材料とすることもできる。光重合に伴う、表面の粘着性の変化を利用して様々な転写材料(剥離感材、トナー現像感材等)にも応用できる。マイクロカプセルの光硬化にも適用できる。フォトレジスト等の電子材料製造、インクや塗料、接着剤等の光硬化樹脂材料にも応用できる。
さらに、本発明の感光性組成物に含まれる一般式(I)で表される活性剤化合物としてのチタノセン化合物および増感色素からなる光重合開始系は、感光性に優れ、かつ安定性に優れた光重合開始系であり、上記に詳述した感光性組成物以外にも、種々の利用法を使用することができる。例えば、光による高効率でのラジカル生成は例えば、トリフェニルメタン系ロイコ染料の酸化発色を高感度で引き起こす事ができる。また、ある種のポリメチン系色素に対し、ラジカル付加による消色反応を引き起こすことができる。また、該光重合開始系は光によりラジカルと同時に、酸成分も発生するので、酸により吸収の変化する化合物や、酸により架橋反応を起こす樹脂組成物、酸により分解し溶解性が向上しうる樹脂組成物と組み合わせる事で、高感度な画像形成材料を作成する事ができる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜12および比較例1〜6〕
(支持体の調製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
このように処理された基板の裏面に下記のゾル−ゲル反応液をバーコーターで塗布し100℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/m2のバックコート層を設けた支持体を作成した。
ゾル−ゲル反応液
テトラエチルシリケート 55質量部
水 25質量部
メタノール 10質量部
リン酸 0.05質量部
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(分子量2000) 6質量部
ジメチルフタレート 6質量部
フッ素系界面活性剤 0.7質量部
(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート/
ポリオキシエチレンアクリレート共重合体:分子量2万)
メタノールシリカゾル 50質量部
(日産化学工業(株)製,メタノール30質量%)
メタノール 800質量部
(感光層の調製)
このように処理されたアルミニウム板からなりバックコート層が形成された支持体上に、下記組成の感光性組成物を乾燥塗布量が1.0g/m2となるように塗布し、80℃、2分間乾燥させ感光層を形成させた。
<感光性組成物の組成>
・付加重合性化合物
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.5 g
・バインダーポリマー
アリルメタクリレート/メタクリル酸/
N−イソプロピルアクリルアミド共重合体 2.0 g
(共重合モル比67/13/20)
・光重合開始系 (表1中に記載)
増感色素
チタノセン化合物
共増感剤
・他の成分
フッ素系ノニオン界面活性剤(F−177P) 0.02g
熱重合禁止剤 0.01g
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
顔料分散物 2.0 g
顔料分散物の組成
組成:Pigment Blue 15:6 15重量部
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合 10重量部
(共重合モル比83/17)
シクロヘキサノン 15重量部
メトキシプロピルアセテート 20重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40重量部
・溶媒
メチルエチルケトン 20.0 g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0 g
(保護層の調製)
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
(励起酸化電位の評価)
<励起エネルギーの算出>
増感色素の吸収スペクトルと蛍光スペクトルの交点に当たる波長のエネルギーを励起エ
ネルギーと定義し、算出した。吸収スペクトルはTHF溶媒を用いVarian社製UV−Vis−NIR Spectrophotometer Cary5Gによる透過スペクトルを測定した。蛍光スペクトルは増感色素を含有するポリマーマトリックスを作成しJOBIN YVON社製SPEX Fluorolog‐3を用いて反射スペクトルを測定した。
<励起1重項状態の酸化電位(Eox *)の算出>
北斗電工株式会社製ポテンシオメータ(GPIB POTENTIOSTAT/GALVANOSTAT HA−501G及びARBITRARY FUNCTION GENERATOR HB−105)を使用し、参照電極にAg/AgCl電極、対極にPt電極を用い、電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム塩を添加したアセトニトリル中で酸化電位を測定した。実測した酸化電位から、上記で定義した励起エネルギーを引いた値を励起1重項状態の酸化電位と定義した。
(感度の評価)
この様に得られた平版印刷版用原版上に富士写真フイルム(株)製の富士ステップガイド(△D=0.15で不連続的に透過光学濃度が変化するグレースケール)を密着させ、光学フィルター(ケンコーBP−40)を通したキセノンランプを用い、既知の露光エネルギーとなるように露光を行った。光学フィルターとしては、短波半導体レーザへの露光適性を見積もる目的で、400nmのモノクロミックな光で露光が可能なケンコーBP−40を用いた。その後、下記組成の現像液に25℃、10秒間浸漬し、現像を行い、画像が完全に除去される最高の段数から感度(クリア感度)を算出した。その結果を表1に示す。ここで、クリア感度とは、画像の形成に最低限必要なエネルギーを表し、この値が低いほど高感度である。
(カブリの評価)
さらにセーフライト適性を評価するため、得られた感材を露光前に30分間黄灯下(500nm以下をカット)にさらした後、同様に露光、現像を行った。目視確認を行い、カブリが発生した感材(セーフライト適性なし)を×、カブリが発生しなかった感材(セーフライト適性あり)を○とし、カブリ評価を実施した。その結果を表1に示す。
Figure 0004404793
この様に、本発明の感光性組成物を用いた平版印刷版用原版は非常に高感度かつ黄灯下作業が可能であり、走査露光方式に十分な感度を示す。
なお、上記実施例1〜12、比較例1〜6で用いた現像液は、下記組成からなるpH12.0の水溶液である。
<現像液の組成>
1Kケイ酸カリウム 2.4g
水酸化カリウム 0.2g
下記式(1)の化合物 5.0g
水 91.3g
エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1g
Figure 0004404793
NaOH滴定により求めた実測酸価1.08meq/g
GPC測定より求めた重量平均分子量5.2万
上記表1の結果によれば、比較例1に対し、実施例1のチタノセン開始剤は感度に優れるのみならず、セーフライト適性をも持つ、非常に優れた開始剤であることがわかる。
(従来チタノセン開始剤は、比較例1に対し比較例2,3のトリアジン開始剤、ロフィンダイマー開始剤を見ると、チタノセンは感度では優れるものの、セーフライト適性に難がある事が弱点であったが、これを克服している)
また置換基、置換位置による性能差を他実施例にて評価しており、ピロール2位への、シアノ基導入がもっとも高感度化することがわかった。
なお、本実施例中の一般式(I)で表される化合物の構造は本明細書中に例示したものであり、その他の化合物の構造は以下の通りである。
Figure 0004404793

Claims (4)

  1. (A)一般式(I)で表される化合物、
    (B)350nm〜450nmに吸収極大λmaxを持ち、励起活性状態の酸化電位(Eox *)が−1.6Vより負に大きい増感色素、及び
    (C)不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、
    を含有する感光性組成物。
    Figure 0004404793
    一般式(I)中、R1は、シクロペンタジエニル基、インデニル基、または、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基を表す。R2〜R5は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。ただし、R2〜R5の少なくとも一つはハロゲン原子、シアノ基、エステル基、またはアミド基により置換されている。またそれぞれが互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。
  2. 前記チタノセン化合物が、下記構造式(a)、(b)、(c)又は(d)で表される化合物である請求項1記載の感光性組成物。
    Figure 0004404793
  3. 支持体上に、請求項1または2記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料。
  4. 支持体上に、請求項1または2記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料に対し、450nmより短波長のレーザ光源を用いて走査露光を行う画像記録方法。
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