JP4139549B2 - 光重合性平版印刷版原版 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な光開始系、特に、高感度で安定性に優れた光開始系を含有する光重合性画像記録材料に関する。本発明は、特に、ディジタル信号に基づいた走査露光により製版可能な平版印刷版原版用の材料として優れた光重合性画像記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、平版印刷版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフィルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。
【0003】
近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及し、それに対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果、レーザ光のような指向性の高い光をディジタル化された画像情報に従って走査し、リスフィルムを介すことなく、直接印刷版を製造するコンピュータ トゥ プレート(CTP)技術が望まれ、これに適応した印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
【0004】
このような走査露光可能な平版印刷版を得る方式の一つとして、従来より、親水性支持体上にもうけるインク受容性の感光性樹脂層(以下、感光層という)として、感光スピードに優れた光重合系組成物を用いた構成が提案され、既に上市されている。該構成の原版は、現像処理が簡便であり、さらに解像度、着肉性、耐刷性、汚れ性に優れるといった望ましい刷版、印刷性能を有する。
【0005】
上記光重合性組成物は、基本的にはエチレン性不飽和化合物、光重合開始系およびバインダー樹脂からなり、画像形成は、光開始系が光吸収し、活性ラジカルを生成、エチレン性不飽和化合物の付加重合を引き起こし、感光層の不溶化を生じるものである。従来の走査露光可能な光重合性組成物に関する提案の大部分は、感光性に優れた光開始系の使用を開示したものであり、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue,93,435(1993)やR.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry, 73. 81(1993)に記載されている。
【0006】
しかし、CTP対応の感光性平版印刷版は、従来のリスフィルムを介して露光するPS版に比べて感度が格段に高いため、安全光に対しても光反応を起しやすく、いわゆる光カブリというトラブルが発生しやすくなった。このために、より暗い安全光に変更せざるを得なくなるなど、安全光下での感光性平版印刷版の取扱いが制限され、また、外部からの光のもれ込みにも細心の注意を払う必要がでてきた。これに対して、特公平7-60268号公報には、安全光の発光スペクトル付近に吸収を有する着色剤を含有する保護層を設けることで光カブリの問題解決を試みる技術が記載されている。しかし、この方法では、保護層の酸素遮断効果が減少するため、高感度の印刷版においては感度の低下が見られるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、感度を低下させることなく、安全光適性に優れた光重合性画像記録材料を得ることを目的とする。特に、ディジタル信号に基づいた走査露光により製版可能な平版印刷版原版用の材料として優れた光重合性画像記録材料を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、支持体上に、感光層および酸素遮断層をこの順に有する光重合性平版印刷版原版において、該感光層と酸素遮断層の間に、または、酸素遮断層の上方の最上層として、露光光源波長以外の光のうち、黄色蛍光灯の470nm以上の光をカットする着色層を設けてなり、前記着色層は、水溶性重合体を有し、着色剤の添加量が水溶性重合体に対して 0.1 20 重量%であり、前記感光層は、増感色素、光開始剤、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、及びバインダーポリマーを有することを特徴とする光重合性平版印刷版原版により解決されることが見出された。
【0009】
本発明者らは、前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸素遮断層とは別に、フィルター色素を含有する着色層を設けることで、酸素遮断性の維持が可能となり、感度の低下を防ぐとともに、フィルター色素を高濃度で添加することができるために、より安全光適性に優れた光重合性画像記録材料が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明における光重合性画像記録材料は、支持体上に、(A)着色層、(B)酸素遮断層(保護層とも称する)および(C)感光層を有する。以下、これらの成分について具体的に説明する。
【0011】
(A)着色層
本発明に用いられる着色層は、着色剤を感光層の上であって酸素遮断層の上または下に均一に塗布することで設けることができる。着色剤の分散には、水性もしくは油性の溶媒、または水溶性もしくは脂溶性の(共)重合体等を用いることができる。着色剤の分散剤としては何を用いても良いが、感光層と相溶しないようなものを用いることが好ましい。すなわち、親油性の感光層上に直接着色層を設ける場合には、親水性の着色層を設ける方が好ましい。これにより、着色剤が感光層に入り込むことによる減感などの弊害を避けることができる。また、水溶性(共)重合体としては、酸素遮断層に用いるものと同様のものを用いることできる。また、分散剤としてはアルカリ水などの水溶液系の現像液によって現像処理可能となるようなものを選択するのが、特に好ましい。
【0012】
着色層に含有させる着色剤としては、染料または顔料が使用可能であるが、特に、以下に挙げる水溶性染料を単独又は組合せて使用するのが好ましい。
【0013】
水溶性の染料としては、カチオン染料、反応性染料、酸性染料、直接染料が挙げられる。更に具体的には、ナフトールグリーンB等のニトロソ染料;ナフトールイエローS、ポーラーイエローブラウン等のニトロ染料;ダイヤクロンスカーレットRN、ダイヤミラレッドB、ダイヤミラブリリアントレッドBB、ダイヤミラブリリアントバイオレット5R、ダイヤミラブリリアントレッドGG、ダイヤミラブリリアントオレンジFR、ダイヤミラブリリアントオレンジ3R、ダイアクリルブリリアントレッドGTL−N、ダイアクリルレッドGL−N、ダイアクリルブリリアントレッドGRL−N、ビクトリアスカーレット3R、スルホンアシドブルーR、スプラミンレッドGG、スプラミンレッドB、スプラミンブルーR、ポーラーレッドG、ポーラーオレンジR、メタクロームレッド5G、メタクロームブリリアントブルーBL、スプラノールオレンジRR、スプラノールブリリアントレッド等のアゾ染料;ダイアクリルレッドCS−N、チアジンレッドR、シリウススカーレットB、チオフラビンT等のチアゾール染料;オーラミン等のジフェニルメタン染料;ビクトリアピュアブルーBOH、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、エチルバイオレット、スピリットブルー、アシドバイオレット6B、マラカイトグリーン等のトリフェニルメタン染料;ピロニンG、ローダミンS、エオシンG、エオシンY、エリスロシン、ローズベンガルB、ローダミンB、ローダミン3GO等のキサンテン染料;アクリジンオレンジ2G、オイクリシン2GNX等のアクリジン染料;ニュートラルバイオレット、ニュートラルレッド、アゾカーミンG、サフラニンT、ウールファーストブルーBL、インドシアニンB等のアジン染料;メルドラズブルー、ニールブルーA、ガロシアニン等のオキサジン染料;シリウスライトブルーFFRL、シリウスライトブルーF3GL等のジオキサジン染料;メチレンブルー、メチレングリーンB等のチアジン染料;ダイアシドライトブルーBR、アリザリンダイレクトバイオレットEFF、スプラセンバイオレット4BF、アリザリンスカイブルーB、アリザリンシアニングリーンG、カーボラングリーンG、アリザリンサフイロールB、アリザリンシアニングリーン5G、アリザリンブリリアントピュアブルーR、ブリリアントアリザリンライトレッド4B、アリザリンウラノール2B等のアントラキノン染料;ヘリオゲンブルーSBP、ドラゾールフアーストブルー8GS等のフタロシアニン染料;ダイアクリルブリリアントレッド3GN、ダイアクリルブリリアントピンクGN、ダイアクリルブリリアントピンクRN、ダイアクリルブリリアントレッド6BN等のシアニン染料;キノリンイエロー、スプラライトイエローGGL等のキノリン染料等が使用可能である。
【0014】
以上の染料は、いずれも着色層組成物の主体を成す、溶媒および/または(共)重合体に可溶性であり、種々の目的に応じて選択可能であるが、感光性平版印刷版に画像を形成するのに要する光源の発光スペクトル以外の波長域に主な吸収スペクトルを有する染料であることが必要である。そして、該発光スペクトルの波長(域)における着色層の吸光度は0.5以下、好ましくは0.1以下であることが必要である。
【0015】
これらの条件が満足されない場合には、感度低下という不都合が生じ得る。例えば、アルゴン紫外レーザーで画像を走査露光する用途の感光性平版印刷版の場合には、357nm、364nmの波長光で画像を形成するため、420nm以上に最大吸収波長を有する染料を着色層に含有させるのが適当である。他の例として、高圧水銀灯、メタルハライド灯またはヘリウム−カドミウムレーザーで画像を形成する場合は、440nm付近以下の紫外光が使用されるので、500nm以上に最大吸収波長を有する染料が適当であり、また、アルゴン可視レーザーで画像を形成する場合は、488nm、515nmの波長光が使用されるので、これらの波長以外に吸収スペクトルを有する染料を着色層に含有することができる。
【0016】
また、感光性平板印刷版の安全光適性を向上させる目的で前述の水溶性染料を選択可能なことも本発明の大きな特徴である。例えば、感光材料の安全光として一般に使用されている黄色蛍光灯の発光スペクトルは500nm以上であるため、500nm以下に感光波長域を有する感光性平版印刷版は黄色蛍光灯下で問題なく取扱いが可能であるとされている。しかしながら、厳密には黄色蛍光灯の発光スペクトルは、470nm付近まで観測されるため、この波長付近まで感光波長端を有し、しかも高感度な感光性平版印刷版は、黄色蛍光灯によって感光し、いわゆる光カブリという不都合が起こる。これに対して、感光性組成物中の増感剤を変更することは、他の諸性能にも影響を与えるため容易なことではないが、本発明によれば、感光性組成物を何ら変更することなく、感光層の上方に、黄色蛍光灯の発光スペクトルと同様の、470nm付近まで吸収スペクトルを有する水溶性染料により着色された着色層を用いることで、上記課題は容易に解決できる。また、400nm付近を短波長端とする吸収スペクトルを有する水溶性染料を含む着色層を用いると、400nm付近以下の紫外光は発光しない、いわゆるUVカット白色蛍光灯下で取扱い可能な感光性平版印刷版も製造可能となり、この場合、作業環境は更に改善されることになる。
【0017】
かかる条件にて選択される前述の水溶性染料は、着色層組成の主体を成す溶媒または水溶性(共)重合体に対して通常0.1〜20重量%の範囲で添加することができるが、その適正量は、着色された感光性組成物層表面に被覆された着色層が充分な可視性を有する範囲、つまり光重合型感光性平版印刷版の着色層表面での光学反射濃度が好ましくは0.5〜3.0、より好ましくは0.8〜1.5となる範囲である。しかしながら、該反射濃度は感光性組成物中の着色剤濃度と色相とにより大きく変化する。すなわち、着色層を着色する水溶性染料が感光性組成物中の着色剤と相互に補色の関係にあると、感光性平版印刷版表面の光学濃度は相乗的に高くなるので、着色層への染料添加量は比較的少量でよい。従って、着色層単体での光学濃度が0.05〜1.0の範囲において、感光性組成物層表面に被覆された着色層の塗膜状態は充分確認可能となるため、着色層の着色に要する水溶性染料の水溶性(共)重合体に対するより好ましい添加量は、0.5〜10重量%の範囲である。
【0018】
(B)酸素遮断層(保護層とも称する)
本発明の望ましい用途である走査露光用平版印刷版においては、通常、露光を大気中で行うため、光重合性組成物の層の上に、さらに酸素遮断層(保護層)を設ける事が好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する、大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層または着色層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
【0019】
保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等のような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本的特性にもっとも良好な結果を与える。
【0020】
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル及び/又はアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
【0021】
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性等を適宜考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、また膜厚が厚い程、酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりする問題を生じる。該保護層の酸素透過係数は1×10-16〜1×10-10cm3・cm/cm2・sec・cmHgの範囲が適当であり、特に好ましくは1×10-15〜1×10-11cm3・cm/cm2・sec・cmHgの範囲である。上記(共)重合体の分子量は、2000〜1000万の範囲のものが使用でき、好ましくは、2万〜300万範囲のものが適当である。
【0022】
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数重量%相当量添加して可とう性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を上記(共)重合体に対して数重量%添加することができる。保護層の膜厚は、0.5〜5μmが適当であり、特に1〜3μmが好適である。
【0023】
また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。たとえば米国特許第292,501号、米国特許第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60重量%混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用する事ができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
【0024】
(C)感光層
本発明に用いられる感光層は、(C−1)光重合開始系ならびに(C−2)ラジカルおよび酸の少なくともいずれかによって反応し、その物理的および化学的特性の少なくともいずれかが変化して保持される化合物の少なくとも一種を必須成分とし、さらに必要に応じて、(C−3)バインダーポリマーおよび(C−4)その他の成分を含んで成る。以下、これらの成分について具体的に説明する。
【0025】
(C−1)光重合開始系
光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光開始剤、あるいは2種以上の光開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して使用することができる。また、開始剤と共に、適当な増感色素を併用することで高感度化が可能な場合があり、その場合は光開始剤と共に増感色素を用いることがより好ましい。
【0026】
光開始剤の例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル(特公昭47-6416号)、ベンゾフェノン(「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENSE AND TECHNOLOGY」 J. P. FOUASSIER ;J. F. RABEK (1993)、p.77〜117記載のものなど)、アントラキノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、ビイミダゾールとミヒラーズケトンの複合体系、チオキサントン類(特公昭63-61850号)、クマリン類(特公昭59-42864号)、モノ、ビスまたはトリアシルホスフィン化合物と芳香族カルボニル化合物の系(特登2973130号、EP0825201 A1号、WO97/31051号、特登2777807号、US5723512号、OLS19618720号、US5534559号、特開平7-278215号、US 5721292号、特登92604172号、特開平3-101686号、特開平4-220404号)、アジニウム化合物を光開始剤として用いる系(特開昭63-138345号、特開昭63-142345号、特開昭63-142346号、特公昭46-42363号等)などいずれも好適に用いることが出来る。
【0027】
450nm以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合にも、種々の光開始系が提案されており、例えば米国特許第2,850,445号に記載のある種の光還元性染料、例えばローズべンガル、エオシン、エリスロシンなど、あるいは、染料と開始剤との組み合わせによる系、例えば染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号)、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンとチアピリリウム誘導体との複合体系、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、
【0028】
有機過酸化物と色素の系(特開昭59−1504号、特開昭59−140203号、特開昭59−189340号、特開昭62−174203号、特公昭62−1641号、米国特許第4766055号)、染料と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63−1718105号、特開昭63−258903号、特願平2−63054号など)、染料とボレート化合物の系(特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開昭64−13140号、特開昭64−13141号、特開昭64−13142号、特開昭64−13143号、特開昭64−13144号、特開昭64−17048号、特開平1−229003号、特開平1−298348号、特開平1−138204号など)、ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643号、特開平2−244050号)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素(増感色素に相当する)の系(特開平6−295061号)、チタノセンとベンゾピラン環を有する色素(増感色素に相当する)の系(特開平8−334897号)等を挙げることができる。
【0029】
本発明において特に好ましい光開始系は、少なくとも1種のチタノセン化合物を含有する。チタノセン化合物としては、単独または前記した増感色素との共存下で光照射した場合、活性ラジカルを発生し得るチタノセン化合物であればいずれでもよく、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41483号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−291号、特開平3−27393号、特開平3−12403号、特開平6−41170号公報に記載される公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
【0030】
さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(以下「T−1」ともいう。)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム(以下「T−2」ともいう。)等を挙げることができる。
【0031】
チタノセン光開始剤との組み合わせにおいて、特に4000nm付近に増感能を有する色素としては、特願平11−221480号記載のカルバゾール骨格を有するものや、特願平11−280204号記載のオキサゾリジン骨格を有するものが特に好ましい。
【0032】
チタノセン化合物に関しても、先の増感色素と同様、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素や、付加重合性不飽和化合物その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
【0033】
これらのチタノセン化合物の使用法に関しても、後述の付加重合性化合物、増感色素同様、感材の性能設計により適宜、任意に設定できる。例えば、2種以上併用することで、感光層への相溶性を高める事ができる。チタノセン化合物の使用量は通常多い方が感光性の点で有利であり、感光層成分100重量部に対し、0. 5〜80重量部、好ましくは1〜50重量部の範囲で用いることで十分な感光性が得られる。一方、本発明の主要な目的である、黄色等、白色灯下での使用に際しては、500nm付近の光によるカブリ性の点からチタノセンの使用量は少ない事が好ましいが、増感色素との組み合わせによりチタノセンの使用量は6重量部以下、さらに1.9重量部以下、さらには1.4重量部以下にまで下げても十分な感光性を得ることができる。
【0034】
(C−2)少なくとも一個の、ラジカルおよび酸の少なくともいずれかによって反応し、その物理的および化学的特性の少なくともいずれかが変化して保持される化合物
本発明における、少なくとも一個の、ラジカルおよび酸の少なくともいずれかによって反応し、その物理的および化学的特性の少なくともいずれかが変化して保持される化合物(C−2)は、上述の光開始系の光反応により生じた活性種の作用により、その物理的もしくは化学的特性が変化して保持される化合物である。成分(C−2)は、このような性質を有するものであれば特に制限なく任意のものを使用でき、例えば、上述の開始系にあげた化合物自身がそのような性質を有する場合も多い。光開始系から生成したラジカル、酸および/または塩基により、変化する成分(C−2)の特性としては、例えば、吸収スペクトル(色)、化学構造、分極率等の分子的な物性や、溶解性、強度、屈折率、流動性、粘着性、等の材料的な物性の変化を含む。
【0035】
例えば、成分(C−2)として、pH指示薬のように、pHによって吸収スペクトルの変化する化合物を用い、開始系から酸または塩基を発生させれば、露光部のみの色味をかえる事ができるが、この様な組成物は画像形成材料として有用である。同様に、成分(C−2)として、酸化・還元や求核付加反応により吸収スペクトルが変化する化合物を用いた場合、開始系から生成するラジカルによる酸化、還元等を引き起こし画像形成が可能である。そのような例は例えば、J. Am. Chem. Soc., 108, 128(1986)、J. Imaging. Sci., 30, 215(1986)、Israel. J. Chem., 25, 264(1986)に開示されている。
【0036】
また、成分(C−2)として付加重合または重縮合可能な化合物を用い、開始系と組み合わせる事により、光硬化性樹脂、あるいはネガ型フォトポリマーを形成することが可能である。
【0037】
成分(C−2)として、ラジカル重合性化合物(エチレン性不飽和結合を有する化合物等)やカチオン重合性化合物(エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、メチロール化合物等)、アニオン重合性化合物(エポキシ化合物等)を用いることができ、そのような例は、例えば、フォトポリマー懇話会編、フォトポリマーハンドブック、工業調査会(1989)や、高分子、45、786(1996)等に記載される。また、成分(C−2)としてチオール化合物を用い、光ラジカル発生系と組み合わせた組成物も良く知られる。
【0038】
成分(C−2)として酸分解性の化合物を用い、光酸発生剤と組み合わせる事も有用である。例えば、側鎖や主鎖が酸で分解する高分子を用い、光により溶解性や親疎水性等を変化させる材料は、光分解型感光性樹脂、ポジ型フォトポリマーとして広く実用されている。そのような具体例は例えば、ACS. Symp. Ser. 242, 11(1984)、特開昭60−3625号、米国特許第5,102,771号、同第5,206,317号、同第5,212,047号、特開平4−26850号、特開平3−1921731号、特開昭60−10247号、特開昭62−40450号等に記載されている。
【0039】
更に本発明の好適態様の一つである、高感度な平版印刷版を得るに対し特に優れた成分(C−2)である、付加重合可能な化合物について詳しく述べる。
【0040】
成分(C−2)として好ましく用いられる、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態を有する。
【0041】
モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0042】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
【0043】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
【0044】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
【0045】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
【0046】
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
【0047】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
【0048】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0049】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
【0050】
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0051】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号に記載される1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(V)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0052】
CH2=C(R)COOCH2CH(R′)OH (V)
(ただし、RおよびR′はHまたはCH3を示す。)
【0053】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
【0054】
さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
【0055】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0056】
これらの付加重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば次のような観点から選択される。
【0057】
感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部、すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数、異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうる事がある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0058】
感光層中の付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましくない相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感材成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80重量%、好ましくは25〜75重量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
【0059】
(C−3)バインダーポリマー
本発明の好ましい実施形態である平版印刷版への適用に際しては、感光層にさらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。バインダーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」は特に限定的ではなく、いずれを使用してもよい。好ましくは水現像または弱アルカリ水現像を可能とする水または弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水または有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられる。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体が挙げられる。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0060】
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0061】
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
また、特開平11−171907号記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度をあわせもち、好適である。
【0062】
さらにこの他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0063】
これらの線状有機高分子重合体は全組成物中に任意な量で混和させることができる。しかし90重量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85重量%である。また光重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機高分子重合体は、重量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
【0064】
好ましい実施様態においてバインダーポリマーは実質的に水不要でアルカリに可溶なものが用いられる。これにより、現像液として環境上好ましくない有機溶剤を用いないかもしくは非常に少ない使用量に制限できる。この様な使用法においてはバインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり、好ましい分子量は3000から50万の範囲である。より好ましくは、酸価が0.6〜2.0、分子量が1万から30万の範囲である。
【0065】
(C−4)その他の成分
本発明の感光層には、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤について例示する。
【0066】
(C−4−1)共増感剤
ある種の添加剤を用いることで、感度をさらに向上させる事ができる(以下、この添加剤共増感剤という)。これらの作用機構は明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の開始系の光吸収により開始される光反応とそれに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するかまたは連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
【0067】
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
・炭素−ハロゲン結合結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
・窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
【0068】
・酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
・オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
・フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
【0069】
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
・アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
・アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
【0070】
・含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
・α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
・スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0071】
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物:例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
【0072】
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば特開昭9−236913号に、感度向上を目的とした添加剤として多く記載されている。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
【0073】
【化1】
Figure 0004139549
【0074】
これらの共増感剤に関しても、先の増感色素と同様、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素や活性剤、付加重合性不飽和化合物その他のパートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
【0075】
これらの共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物100重量部に対し0.05〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、さらに好ましくは3〜50重量部の範囲が適当である。
【0076】
(C−4−2)重合禁止剤
また本発明においては、以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5重量%〜約10重量%が好ましい。
【0077】
(C−4−3)着色剤等
さらに感光層の着色を目的として、染料もしくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての製版後の視認性や画像濃度測定機適性といった、いわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5重量%〜約5重量%が好ましい。
【0078】
(C−4−4)その他の添加剤
さらに、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
【0079】
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計重量に対し10重量%以下添加することができる。
【0080】
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
【0081】
その他、感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設けることも可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物、等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高める事が可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
【0082】
本発明の光重合性組成物を支持体上に塗布する際には種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独または混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
【0083】
感光層の支持体被覆量は、主に感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の主要な目的である走査露光用平版印刷版としては、その被覆量は乾燥後の重量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
【0084】
「支持体」
本発明の主要な目的の一つである平版印刷版を得るには、上記感光層を、表面が親水性の支持体上に設ける事が望ましい。親水性の支持体としては、従来公知の、平版印刷版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
【0085】
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施しても良い。
【0086】
特に好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は特に好ましい。また、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
【0087】
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0088】
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、粗面化(砂目立て)処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理また陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
【0089】
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
【0090】
さらに、粗面化したのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板が好ましく使用できる。特公昭47−5125号に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、もしくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液または非水溶液の単独または二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
【0091】
また、米国特許第3,658,662号に記載されているようなシリケート電着も有効である。
【0092】
さらに、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
【0093】
また、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
【0094】
さらに、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
【0095】
さらに特開平7−159983号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0096】
その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも上げることができる。この様な表面層としては例えば米国特許第3,055,295号や特開昭56−13168号記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を上げる事ができる。
【0097】
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる光重合性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
【0098】
本発明の光重合性組成物を用いた感光材料を画像形成材料として使用する際には、通常、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。これらの光重合性組成物を平版印刷版の作成に使用する際の好ましい現像液としては、特公昭57−7427号に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水等のような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミン等のような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%になるように添加される。
【0099】
また、このようなアルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3,751,71号および同第3,615,480号に記載されているものを挙げることができる。
【0100】
さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
【0101】
その他、本発明の光重合性画像記録材料の製版プロセスとしては、必要に応じて、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱しても良い。この様な加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や、感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
【0102】
本発明の光重合性画像記録材料を用いた走査露光平版印刷版の露光方法は、公知の方法を制限なく用いる事ができる。望ましい光源の波長は350nmから450nmであり、具体的にはInGaN系半導体レーザが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでも良い。また、本発明の感光層成分は、高い水溶性のものを使用することで、中性の水や弱アルカリ水に可溶とすることもできるが、この様な構成の平版印刷版は印刷機上に装填後、機上で露光−現像といった方式を行う事もできる。
【0103】
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザーとして、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、
固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、
【0104】
半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザーとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)等が使用される。
【0105】
特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
【0106】
また走査露光方式の平版印刷版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には感材感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
【0107】
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザーあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置
【0108】
以上のようなレーザー直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq1)が成立する。
【0109】
X・S=n・q・t −−(eq1)
【0110】
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq2)が成立する。
【0111】
f・Z・t=Lx −−(eq2)
【0112】
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq3)が成立する。
【0113】
F・Z・n・t=Lx −−(eq3)
【0114】
iii)フラットヘッド(マルチビーム)方式の場合
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq4) が成立する。
【0115】
F・Z・n・t=Lx −−(eq4)
【0116】
実際の印刷版に要求される解像度(2560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明の感光性組成物の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明の感光性組成物を用いた感材においては総出力20mW以上のレーザーを用いたマルチビーム露光方式との組み合わせが特に好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム(10本以上)露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
【0117】
また、本発明による光重合性組成物に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。また、本発明による光重合性組成物の用途としては走査露光用平版印刷版の他、広く、光硬化樹脂の用途として知られるものに制限なく適用できる。例えば、必要に応じカチオン重合性化合物と併用した液状の光重合性組成物に適用することで、高感度な光造形用材料が得られる。また、光重合にともなう、屈折率の変化を利用し、ホログラム材料とすることもできる。光重合に伴う表面の粘着性の変化を利用して、様々な転写材料(剥離感材、トナー現像感材等)にも応用できる。マイクロカプセルの光硬化にも適用できる。フォトレジスト等の電子材料製造、インクや塗料、接着剤等の光硬化樹脂材料にも応用できる。
【0118】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0119】
実施例1〜8および比較例1〜3
〈支持体の調製〉
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10重量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20重量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1重量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1重量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20重量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm (JIS B0601によるRa表示)であった。
【0120】
このように処理された基板の裏面に下記のゾル−ゲル反応液をバーコーターで塗布し100℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/m2のバックコート層を設けた支持体を作成した。
【0121】
(ゾル−ゲル反応液)
テトラエチルシリケート 50重量部
水 20重量部
メタノール 15重量部
リン酸 0.05重量部
【0122】
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
【0123】
Figure 0004139549
【0124】
〈感光層の調製〉
このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布量が1.0g/m2となるように塗布し、80℃、2分間乾燥させ感光層を形成させた。
【0125】
Figure 0004139549
【0126】
〈比較例1用保護層の調製〉
上記感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3重量%の水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
【0127】
〈比較例2用保護層の調製〉
上記感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)3重量%、下記式(I)の水溶性染料を4重量%含む水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
【0128】
【化2】
Figure 0004139549
【0129】
〈比較例3用保護層の調製〉
上記感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)3重量%、式(I)の水溶性染料を16重量%含む水溶液を乾燥塗布重量が3g/m2となるように塗布し、100℃で3分間乾燥した。
【0130】
〈実施例1〜8用着色層の調製〉
上記比較例1と同様にして感光層上に保護層を設け、更にその上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)3重量%、式(I)の水溶性染料を24重量%含む水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
【0131】
(感光性、セーフライト適性の評価)
この様にして得られた各感材上に、富士写真フイルム(株)製の富士ステップガイド(△D=0.15で不連続的に透過光学濃度が変化するグレースケール)を密着させ、光学フィルター(ケンコーBP−40)を通したキセノンランプを用い、既知の露光エネルギーとなるように露光を行った。光学フィルターとしては、短波半導体レーザへの露光適性を見積もる目的で、400nmのモノクロミックな光で露光が可能なケンコーBP−40を用いた。その後、下記組成の現像液に25℃で30秒間浸漬し、現像を行い、画像が完全に除去される最高の段数から感度(クリア感度)を算出した(表1)。ここで、クリア感度とは、画像の形成に最低限必要なエネルギーを表し、この値が低いほど高感度である。
【0132】
更には、黄色蛍光灯下1001xの場所に放置した感光性平版印刷版試料で作製した印刷版を印刷機にかけて、非画線部が印刷インキで汚れるか否かを検討し、黄色灯下に放置できる許容時間、いわゆる安全光適性を検討した。以上の検討結果を下記表1に示す。
【0133】
Figure 0004139549
【0134】
【化3】
Figure 0004139549
【0135】
【表1】
Figure 0004139549
【0136】
本発明の系は、保護層を着色した系に比較して高感度であり、また、感光層への酸素遮断性を落とさずに、着色剤の濃度を増やすことが出来るため、感光性組成物は何ら変更することなく、感度は低下させずに感光波長域が調整できて、安全光適性を向上させ得ることが認められた。
この様に、本発明の平版印刷版は非常に高感度であり、走査露光方式に十分な感度を示す。
【0137】
実施例9〜15および比較例4〜6
以下の手順で平版印刷版を作製し、印刷性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0138】
〈支持体の前処理〉
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目だてした後、よく水で洗浄した。10重量%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20重量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これをVA=12.7Vの条件で、正弦波の交番波形電流を用いて1重量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.45μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
【0139】
〈支持体表面の親水化処理〉
上記の支持体を、3号ケイ酸ソーダ(SiO2=28〜30%、Na2O=9〜10%、Fe=0.02%以下)の2.5重量%、pH=11.2、70℃の水溶液に13秒浸漬し、続いて水洗した。表面の蛍光X線分析により求めたSi元素量から、表面シリケート量は10mg/m2と求められた。
【0140】
〈中間層の塗設〉
上記の親水化支持体表面上に、フェニルホスホン酸の塗布量が20mg/m2となるように下記(A)に示す組成の塗布液を調製し、ホイラーにて180rpmの条件で塗布後、80℃で30秒間乾燥させた。
【0141】
(中間層塗布液A)
フェニルホスホン酸 0.07g〜1.4g
メタノール 200g
【0142】
〈感光層の塗設〉
上記中間層を設けた支持体上に、下記組成の感光液を調製し、塗布量が1.0〜2.0g/m2になるようにホイラーで塗布し、100℃で1分間乾燥させた。
【0143】
Figure 0004139549
【0144】
〈比較例4用保護層の塗設〉
上記感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3重量%の水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
【0145】
〈比較例5用保護層の塗設〉
感光液として、比較例4の感光液にローダミンBを0.2g加えたものを用いた以外は、比較例4と同様にして感光性平版印刷版を作成した。
【0146】
〈比較例6用保護層の塗設〉
上記感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)3重量%、ローダミンBを16重量%含む水溶液を乾燥塗布重量が3g/m2となるように塗布し、100℃で3分間乾燥した。
【0147】
〈実施例9〜15用着色層の塗設〉
上記感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)3重量%、ローダミンBを24重量%含む水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。さらにその上に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3重量%の水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
【0148】
(感光性、セーフライト適性の評価)
この様に得られた各感材を、実施例1〜8および比較例1〜3と同様にして露光、現像を行い、感度(クリア感度)を算出した。更に、比較例1〜3と同様にして黄色蛍光灯下1001xに放置できる許容時間、いわゆる安全光適性を検討した。以上の検討結果を下記表2に示す。
【0149】
【表2】
Figure 0004139549
【0150】
(表2における付加重合性化合物)
(M−1)ペンタエルスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製;NKエステルA−TMMT)
(M−2)グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製;UA101H)
【0151】
(表2におけるバインダーポリマー)
(B−1)アリルメタクリレート/メタクリル酸/N−イソプロピルアクリルアミド(共重合モル比67/13/20):NaOH滴定により求めた実測酸価1.15meq/g、GPC測定より求めた重量平均分子量13万
(B−2)アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比83/17):NaOH滴定により求めた実測酸価1.55meq/g、GPC測定より求めた重量平均分子量12.5万
【0152】
(B−3)下記ジイソシアネートとジオールの縮重合物であるポリウレタン樹脂
・4,4′−ジフェニルメタンジイソイソシネート(MDI)
・ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
・ポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000(PPG1000)
・2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニックアシッド(DMPA)
(共重合モル比:MDI/HMDI/PPG1000/DMPA=40/10/15/35):NaOH滴定により求めた実測酸価1.05meq/g、GPC測定より求めた重量平均分子量4.5万
【0153】
【化4】
Figure 0004139549
【0154】
【化5】
Figure 0004139549
【0155】
Figure 0004139549
【0156】
【化6】
Figure 0004139549
【0157】
(DV−2)下記組成からなるpH10の水溶液:
炭酸水素ナトリウム 1.2 重量部
炭酸ナトリウム 0.8 重量部
上記式1の化合物 3.0 重量部
上記式2の化合物 2.0 重量部
上記式3の化合物 0.2 重量部
水 92.8 重量部
【0158】
(DV−3)下記組成からなるpH13の水溶液:
1Kケイ酸カリウム 3.0 重量部
水酸化カリウム 1.5 重量部
前記式3の化合物 0.2 重量部
水 95.3 重量部
【0159】
感光層または保護層中に着色剤を添加した場合には、いずれも減感が見られたが、本発明の感光性平板印刷版においては、感度を低下することなく感光波長域が調整でき、安全光適性を向上させ得ることが認められた。
【0160】
【発明の効果】
本発明の光重合性画像記録材料においては、保護層とは別に、フィルター色素を含有する着色層を設けることで、保護層の酸素遮断性の維持が可能となり、感度を低下することなく、安全光適性に優れた光重合性画像記録材料が得られる。更には、フィルター色素を高濃度で添加する事が出来るために、従来のものに比べ、より安全光適性に優れた光重合性画像記録材料が得られる。

Claims (1)

  1. 支持体上に、感光層および酸素遮断層をこの順に有する光重合性平版印刷版原版において、該感光層と酸素遮断層の間に、または、酸素遮断層の上方の最上層として、露光光源波長以外の光のうち、黄色蛍光灯の470nm以上の光をカットする着色層を設けてなり、
    前記着色層は、水溶性重合体を有し、着色剤の添加量が水溶性重合体に対して0.1〜20重量%であり、
    前記感光層は、増感色素、光開始剤、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、及びバインダーポリマーを有することを特徴とする光重合性平版印刷版原版
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