JP2005309384A - 感光性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 450nmより短波長のレーザー光源を用いた走査露光に十分な感度を有し、例えば、明るいセーフライト下でも取り扱い可能であり、作業性、経済性、耐刷性等に優れた、CTPシステムに適合した走査露光用平版印刷版等に有用な、感光性組成物を提供する。
【解決手段】 (i)少なくとも1種のチタノセン化合物と、(ii)特定構造を有するピリジン化合物またはシアン化合物と、(iii)ラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応し、その物理的または化学的特性が不可逆的に変化する化合物と、を含有する感光性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は新規な光開始系、特に、高感度でかつ、安定性に優れた光開始系を含有する感光性組成物に関する。また、本発明は、特に、ディジタル信号に基づいた走査露光により製版可能な平版印刷版用原版の材料として優れた光重合性組成物に関する。
従来、平版印刷版としては、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。
近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及し、それに対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果レーザ光のような指向性の高い光をディジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すことなく、直接印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が望まれ、これに適応した印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版を得る方式の一つとして、従来より、親水性支持体上に設けるインク受容性の感光性樹脂層(以下、感光層という)として、感光スピードに優れた光重合系組成物を用いた構成が提案され、既に上市されている。こうした構成の原版は、現像処理が簡便であり、さらに解像度、着肉性、耐刷性、耐汚れ性に優れるといった望ましい刷版、印刷性能を有する。
上記光重合性組成物は、基本的にエチレン性不飽和化合物、光重合開始系、およびバインダー樹脂からなり、画像形成は、光開始系が光吸収し、活性ラジカルを生成して、エチレン性不飽和化合物の付加重合を引き起こし、感光層の不溶化を生じるものである。
従来の、走査露光可能な光重合性組成物に関する提案の大部分は、感光性に優れた光開始系の使用を開示したものであり、例えば、非特許文献1及び2に多く記載されている。
これらの開始系からなる光重合性組成物と、光源としてArレーザー(488nm)やFD−YAGレーザー(532nm)のような長波長の可視光源を用いた従来のCTPシステムに関しては、製版工程の生産性を上げるために、さらに高速で書き込むことが望まれているが、光源の出力が十分高くないことや感材の感度が十分高くないためにその目的は未だ達成されていない。
一方、近年、例えば、InGaN系の材料を用い、350nmから450nm域で連続発振可能な半導体レーザが実用段階となっている。これらの短波光源を用いた走査露光システムは、半導体レーザが構造上、安価に製造できるため、十分な出力を有しながら、経済的なシステムを構築できるといった長所を有する。さらに、従来のFD−YAGやArレーザを使用するシステムに比較して、より明るいセーフライト下での作業が可能な感光域が短波な感材が使用できる。
しかしながら、350nmから450nmの短波長域で走査露光に十分な感度を有する光開始系は現在までに知られていない。
さらに、感度の高い光開始系を得ることは、広く、イメージング分野において、なお切望される技術であり(例えば、特許文献1、非特許文献3及び4参照。)、例えば、光造
形、ホログラフィー、カラーハードコピーといった画像形成や、フォトレジスト等の電子材料製造分野、インクや塗料、接着剤等の光硬化樹脂材料用途への応用が期待される。これらの産業分野において、活性剤の分解を効率良く引き起こすために、光吸収性や、増感能に優れた増感色素を見いだすことが本産業分野において、望まれている。
ブルース M.モンロー(Bruce M. Monroe)ら著,ケミカル レビュー(Chemical Revue),第93巻,(1993年),pp.435−448. R.S.デビッドソン(R.S.Davidson)著,ジャーナル オブ フォトケミストリー アンド バイオロジー(Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry),第73巻,(1993年),pp.81−96 J.P.ファウシヤー(J.P.Faussier)著, フォトイニシエイテッド ポリメリゼーション セオリー アンド アプリケーションズ("Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications": Rapra Review),第9巻, Report, Rapra Technology (1998年) M.ツノオカ(M.Tsunooka)ら著, Prog.Polym.Sci., 21巻, 1頁(1996) 特開2000−258910号公報
本発明の目的は、例えば、作業性、経済性に優れた、CTPシステムに適合した走査露光用平版印刷版等を得ることのできる感光性組成物を提供することであり、とくに、短波半導体レーザの発振波長に対し高感度な平版印刷版用原版等に適した、350nmから450nmの広い範囲の波長に対し高感度な感光性組成物を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するピリジン化合物又はシアン化合物とチタノセン化合物とからなる新規な光開始系が、特に高い感光性を与えることを見いだし、本発明に到達したものである。
即ち本発明は、以下の通りである。
(1)(i)少なくとも1種のチタノセン化合物、
(ii)一般式(1)で表されるピリジン化合物、または、一般式(3)で表されるシアン化合物、および
(iii)ラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応しその物理的または化学的特性が不可逆的に変化する化合物
を含有する感光性組成物。
Figure 2005309384
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原
子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基または有機基を表す。なお、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5が互いに結合して環を形成してもよい。ただしR1、R2、R3、R4およびR5のうち、少なくとも1つは下記一般式(2)で表される有機基を表す。)
Figure 2005309384
(式中、R6、R7、R8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、
シアノ基、ニトロ基、スルホ基または有機基を表す。Lは、ヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。なお、R7とR8、R6とR7、R6とR8が互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 2005309384
(式中、R1'、R2'およびR3'は、それぞれ独立して、1価の置換基を表す。Lは、ヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。なお、R1'とR2'、R2'とR3'、R1'とR3'が互いに結合して環を形成してもよい。)
(2)前記ラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応し、その物理的または化学的特性が不可逆的に変化する化合物が、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物である前記(1)記載の感光性組成物。
本発明の一般式(1)または(3)で表される化合物とチタノセン化合物を含有する感光性組成物は、450nmより短波長のレーザー光源を用いた走査露光に十分な感度を有し、例えば、明るいセーフライト下でも取り扱い可能であり、作業性、経済性、耐刷性等に優れた、CTPシステムに適合した走査露光用平版印刷版等に有用である。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
「A.光開始系」
本発明の光開始系は、(i)一般式(1)で表される特定構造を有するピリジン化合物または一般式(3)で表わされる特定構造を有するシアン化合物と、(ii)チタノセン化合物とからなる。
本発明の光開始系の特徴の1つは、350nmから450nm域に優れた感光特性を有することにある。本発明に用いるチタノセン化合物を有する光開始系は走査露光用光重合性組成物として有用であることは、例えば特公平4−47680号公報に記載されている。チタノセン化合物は350nmから450nm域に吸収波長を有するために、350nmから450nmの短波長領域での露光により、効率良く分解を引き起こすが、それ単独では十分な感光性を示さない。しかしながら本発明者らは、本発明の特定構造の化合物をチタノセン化合物と共存させることで、その感光性を高めることができることを見出した。その要因は定かではないが、本発明の化合物が露光によりチタノセン化合物と相互作用し、分解することで新たにラジカルを生成することが、感光性向上に寄与するものと考えられる。さらに本発明の光開始系には、必要により350nmから450nm域に吸収波長を有する増感色素を共存させることができる。走査露光に十分な感度を実現するためには光開始系に増感色素を共存させることが好ましい。
(A1)ピリジン化合物
本発明に用いられるピリジン化合物は下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2005309384
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、
アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基を表す。ただしR1、R2、R3、R4およびR5のうち、少なくとも1つは下記一般式(2)で表される有機基を表す。なお、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5が互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 2005309384
(式中、R6、R7、R8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基または有機基を表す。Lは、ヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。なお、R7とR8、R6とR7、R6とR8が互いに結合して環を形成してもよい。)
式(1)中、好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5は同一であっても異なるものであってもよく、水素原子、ハロゲン原子または一価の有機残基を表し、少なくとも一つは、一般式(2)で表される構造の基を有する。また、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5が互いに結合して環を形成してもよい。
式(2)中、R6、R7は、好ましくはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基または置換アルキニル基を表し、好ましいR8は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基または置換アミノ基を表す。また、R7とR8、R6とR7、R6とR8が互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5はより好ましくは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、シアノ基、ニトロ基、シリル基のいずれかであるものを使用することができる。また、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5が互いに結合して環を形成してもよい。
1、R2、R3、R4、R5の好ましいアルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
1、R2、R3、R4、R5の好ましい置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい
例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基(以下、カルボキシラートと称す)、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シア
ノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などを挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
上述のアシル基(R13CO−)としては、R13が水素原子及び上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルフェニルメチル基、トリクロロメチルカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、
Figure 2005309384
ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
アリール基としては1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
置換アリール基は、置換基がアリール基に結合したものであり、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
これらの置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,
N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
アルケニル基としては、上述のものを挙げることができる。置換アルケニル基は、置換基がアルケニル基の水素原子と置き換わり結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルケニル基は上述のアルケニル基を用いることができる。好ましい置換アルケニル基の例としては、下記に示す基等を挙げることができる。
Figure 2005309384
アルキニル基としては、上述のものを挙げることができる。置換アルキニル基は、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わり、結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルキニル基は上述のアルキニル基を用いることができる。
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が好ましい。
置換オキシ基(R14O−)としては、R14が水素を除く一価の非金属原子団であるものを用いることができる。好ましい置換オキシ基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、ならびにアリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに、アリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。また、アシルオキシ基におけるアシル基(R15CO−)としては、R15が、先に挙げたアルキル基、置換アルキル基、アリール基ならびに置換アリール基のもの
を挙げることができる。これらの置換基の中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基がより好ましい。
好ましい置換オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、クメチルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基等が挙げられる。
置換チオ基(R16S−)としてはR16が水素原子を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい置換チオ基の例としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アシルチオ基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルチオ基におけるアシル基(R15CO−)のR15は前述のとおりである。これらの中ではアルキルチオ基、ならびにアリールチオ基がより好ましい。好ましい置換チオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、エトキシエチルチオ基、カルボキシエチルチオ基、メトキシカルボニルチオ基等が挙げられる。
置換アミノ基(R17NH−、(R18)(R19)N−)としては、R17、R18、R19が水素原子を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基におけるアシル基(R15CO−)のR15は前述のとおりである。
これらのうち、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ
基、ピペリジノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
置換カルボニル基(R20−CO−)としては、R20が一価の非金属原子団のものを使用できる。置換カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N−N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。
これらの内、より好ましい置換基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N′,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基が挙げられ、さらにより好ましいものとしては、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基ならびにアリーロキシカルボニル基が挙げられる。好ましい置換カルボニル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
置換スルフィニル基(R21−SO−)としてはR21が一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい例としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。これらのうち、より好ましい例としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基が挙げられる。このような置換スルフィニル基の具体例としては、ヘキシルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基等が挙げられる。
置換スルホニル基(R22−SO2−)としては、R22が一価の非金属原子団のものを使用できる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。このような、置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
スルホナト基(SO3 -)は前述のとおり、スルホ基(−SO3H)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
置換ホスホノ基とはホスホノ基上の水酸基の一つもしくは二つが他の有機オキソ基によって置換されたものを意味し、好ましい例としては、前述のジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、モノアリールホスホノ基が挙げられる。これらの中ではジアルキルホスホノ基、ならびにジアリールホスホノ基がより好ましい。このような具体例としては、ジエチルホスホノ基、ジブチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基等が挙げられる。
ホスホナト基(−PO3 2-、−PO3-)とは前述のとおり、ホスホノ基(−PO32)の、酸第一解離もしくは、酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
置換ホスホナト基とは前述の置換ホスホノ基の内、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共役塩基陰イオン基であり、具体例としては、前述のモノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl)の共役塩基を挙げることができる。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
シリル基は、(R23)(R24)(R25)Si−(ここで、R23、R24、R25は一価の非金属原子団を表す)で示される基を含む。一価の非金属原子団の好ましい例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基のものを挙げることができる。好ましいシリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等を挙げることができる。
以上に挙げたR1、R2、R3、R4、R5の例の内、より好ましいものとしては、水素原子、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換オキシ基、置換チオ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、シアノ基が挙げられ、さらにより好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換カルボニル基を挙げることができる。
次に、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5が互いに結合して環を形成する場合の例を示す。このような例としては、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5が互いに結合して飽和、もしくは不飽和の脂肪族環を形成するものを挙げることができ、好ましくは、これが結合している炭素原子と共同して、5員環、6員環、7員環および8員環の脂肪族環を形成するものを挙げることができる。さらに、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環を挙げることができる。また、これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していても良く(置換基の例としては、先に例として挙げた、置換アルキル基における置換基の例を挙げることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていてもよい。またさらに、この脂肪族環には芳香族環が縮合していてもよい。これらの好ましい具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロ−1,3−ジオキサペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロ−1,3−ジオキサペンテン環、シクロ−1,3−ジオキサヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゾシクロヘキセン環、ベンゾシクロヘキサシエン環、テトラヒドロピラノン環等を挙げることができる。
次にR1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5が互いに結合して芳香族環を形成する例としては、これらが結合する炭素原子を含むピリジン環と協同して、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン環、フェナントリジン環、ベンズキノリン環、ベンズイソキノリン環をなすものを挙げることができ、より好ましくはキノリン環をなすものが挙げられる。また、これらは構成する炭素原子上に置換基を有していてもよい(置換基の例としては、
前述の置換アルキル基上の置換基を挙げることができる)。
次に、一般式(2)におけるR6、R7の好ましい例について詳述する。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が好ましい。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、ならびに置換アルキニル基の好ましい例としては、前述のR1〜R5の例として挙げたものを挙げることができる。R6、R7のより好ましいものは、水素原子、アルキル基である。
次に、一般式(2)におけるR8の好ましい例について詳述する。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、ならびに置換アミノ基の好ましい例としては、前述のR1〜R5の例として挙げたものを挙げることができる。R8のより好ましいものは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基である。
また、R7とR8、R6とR7、R6とR8が互いに結合して飽和または不飽和の脂肪族環を形成してもよく、好ましくは、これが結合している炭素原子と共同して、5員環、6員環、7員環および8員環の脂肪族環を形成するものを挙げることができる。さらに、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環を挙げることができる。また、これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していてもよく(置換基の例としては、先に挙げた、置換アルキル基における置換基の例を挙げることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていてもよい。また更に、この脂肪族環には芳香族環が縮合していてもよい。これらの好ましい具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロ−1,3−ジオキサペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロ−1,3−ジオキサペンテン環、シクロ−1,3−ジオキサヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゾシクロヘキセン環、ベンゾシクロヘキサジエン環、ペルヒドロピラノン環等を挙げることができる。
次に、一般式(2)におけるLについて説明する。Lはヘテロ原子を含む2価の連結基を表し、具体的には以下の部分構造(L’)を有するものである。
Figure 2005309384
ここで、「以下の部分構造を有する」とは、連結基、あるいは末端基としてのLが上記部分構造を少なくとも1つ有することを意味し、上記部分構造を複数有するものであってもよい。従って、Lは、上記部分構造自体であってもよく、さらにこれらを複数個連結した基、或いは、上記部分構造と他の炭化水素基等とを連結した基等であってもよい。特に好ましいLの具体例としては、以下に示す構造が挙げられる。
Figure 2005309384
以下に一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
これらピリジン化合物の使用法に関しては、感材の性能設計により適宜任意に設定できる。ピリジン化合物の使用量は通常多い方が感光性の点で有利であり、例えば平版印刷版用原版の感光層材料として使用する場合、感光層成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜80質量部、より好ましくは1〜50質量部の範囲で用いることで十分な感光性が得られる。
(A2)シアン化合物
本発明に用いられるシアン化合物は下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2005309384
(式中、R1'、R2'は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基を表す。またR3'は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、または置換アミノ基を表す。Lは、ヘテロ原子を含む2
価の連結基を表す。なお、R1'とR2'、R2'とR3'、R1'とR3'が互いに結合して環を形成してもよい。)
式(3)中、好ましくは、R1'、R2'は同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基を表す。またR3'は、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、または置換アミノ基を表す。また、R1'とR2'、R2'とR3'、R1'とR3'が互いに結合して環を形成してもよい。
3'は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基または置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、ならびに置換アミノ基を表す。
一般式(3)におけるR1'、R2'はより好ましくは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、シアノ基、ニトロ基、シリル基のいずれかであるものを使用することができる。これらの基の好ましい具体例は、一般式(1)で表される化合物のR1〜R5の具体例と同様である。
1'、R2'の例の内、より好ましいものとしては、水素原子、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換オキシ基、置換チオ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、シアノ基が挙げられ、さらにより好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換カルボニル基を挙げることができる。
次に、R3'の好ましい例について詳述する。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、ならびに置換アミノ基の好ましい例としては、前述の一般式(1)で表される化合物のR1〜R5の具体例と同様である。R3のより好ましいものは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基である。
次に、R1'とR2'、R2'とR3'、R1'とR3'が互いに結合して環を形成する場合の例を示す。このような例としては、R1'とR2'、R2'とR3'、R1'とR3'が互いに結合して飽和、もしくは不飽和の脂肪族環を形成するものを挙げることができ、好ましくは、これが結合している炭素原子と共同して、5員環、6員環、7員環および8員環の脂肪族環を形成するものを挙げることができる。さらに、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環を挙げることができる。また、これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していても良く(置換基の例としては、先に例として挙げた、置換アルキル基における置換基の例を挙げることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていてもよい。またさらに、この脂肪族環の一部が芳
香族環の一部を形成していてもよい。これらの好ましい具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロ−1,3−ジオキサペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロ−1,3−ジオキサペンテン環、シクロ−1,3−ジオキサヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゾシクロヘキセン環、ベンゾシクロヘキサシエン環、テトラヒドロピラノン環等を挙げることができる。
次にR1'とR2'、R2'とR3'、R1'とR3'が互いに結合して芳香族環を形成する例としては、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン環、フェナントリジン環、ベンズキノリン環、ベンズイソキノリン環をなすものを挙げることができ、より好ましくはキノリン環をなすものが挙げられる。また、これらは構成する炭素原子上に置換基を有していてもよい(置換基の例としては、前述の置換アルキル基上の置換基を挙げることができる)。
なお、一般式(3)表される化合物において、Lは、一般式(1)で表される化合物におけるLと同様である。
以下に一般式(3)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
これらシアン化合物の使用法に関しては、感材の性能設計により適宜任意に設定できる。シアン化合物の使用量は通常多い方が感光性の点で有利であり、例えば平版印刷版用原版の感光層材料として使用する場合、感光層成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜80質量部、より好ましくは1〜50質量部の範囲で用いることで十分な感光性が得られる。
(A3)チタノセン化合物
本発明で用いるチタノセン化合物は、350nmから450nm領域の光照射により活性種を発生し得るチタノセン化合物であればいずれであってもよく、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41483号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−291号、特開平3−27393号、特開平3−12403号、特開平6−41170号の各公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム等を挙げることができる。
これらのチタノセン化合物の使用法に関しても、先述のピリジン化合物又はシアン化合物同様、感材の性能設計により適宜、任意に設定できる。例えば、2種以上併用することで、感光層への相溶性を高めることができる。チタノセン化合物の使用量は通常多い方が感光性の点で有利であり、例えば平版印刷版用原版の感光層材料として使用する場合、感
光層成分100質量部に対し、好ましくは0.5〜80質量部、より好ましくは1〜50質量部の範囲で用いることで十分な感光性が得られる。但し、チタノセン化合物は、それ自身が可視光に吸収を持つような場合があり、黄色灯、白色灯下での使用に際しては、500nm付近の光によるカブリ性の点から使用量は少ないことが好ましく、好ましくは6質量部以下、より好ましくは1.9質量部以下、さらに好ましくは1.4質量部以下にまで下げても十分な感光性を得ることができる。
さらに本発明の光開始系には、感光性を高める目的で増感色素を用いることが好ましい。以下に好ましい増感色素の例を示す。
(A4)増感色素
本発明における好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)。
より好ましい増感色素の例としては、下記一般式(XIV)〜(XVIII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005309384
(式(XIV)中、A1は硫黄原子またはNR50を表し、R50はアルキル基またはアリール基を表し、L2は隣接するA2及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子または硫黄原子を表す。)
以下に一般式(XIV)で表される化合物の好ましい具体例を示す。
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
(式(XV)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−または−S−を表す。また、Wは一般式(XIV)に示したものと同義である。)
一般式(XV)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2005309384
Figure 2005309384

Figure 2005309384
(式(XVI)中、A2は硫黄原子またはNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基またはアリール基を表す。)
一般式(XVI)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2005309384
Figure 2005309384


Figure 2005309384
(式(XVII)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−または−NR63−または−NR64−を表し、R63、R64はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R61、R62はそれぞれ独立に一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。)
一般式(XVII)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
(式(XVIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子または−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。)
一般式(XVIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げ
られる。
Figure 2005309384
Figure 2005309384
Figure 2005309384
これらの増感色素に関しては、さらに、平版印刷版用原版とした場合、その感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させる事で、感光層の露光部の高強度化や、露光後の膜からの色素の不要な析出抑制を行うことができる。
さらに、本発明の感光性組成物を用いて平版印刷版用原版とした場合、その感光層の好ましい使用様態である、(アルカリ)水系現像液への処理適性を高める目的に対しては、親水性部位(カルボキシル基並びにそのエステル、スルホン酸基並びにそのエステル、エチレンオキサイド基等の酸基もしくは極性基)の導入が有効である。特にエステル型の親水性基は、該感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。その他、例えば、該感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入する事ができる。例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入する事で、結晶析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させる事ができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
これらの増感色素のどの構造を用いるか、単独で使用するか2種以上併用するか、添加量はどうか、といった使用法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて適宜設定できる。例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光性組成物層への相溶性を高める事ができる。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ平版印刷版用原版に用いた場合、その感光層の膜物性の点からも有利である。該感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。例えば、感光層の吸光度が0.1以下の低い領域では感度が低下する。また、ハレーションの影響により低解像度となる。
但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、この様な低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。また、吸光度が3以上の様な高い領域では、上記感光層表面で大部分の光が吸収され、より内部での硬化が阻害され、例えば印刷版として使用した場合には膜強度、基板密着性の不十分なものとなる。比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版としての使用に際しては、増感色素の添加量は、感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。平版印刷版として利用する場合には、これは、通常、感光層成分100質量部に対し、0.05〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
「B.成分(iii)」
本発明の組成物における第3の必須成分(iii)は上述のラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応し、その物理的または化学的特性が不可逆的に変化する化合物であり、成分(iii)は、このような性質を有するものであれば特に制限なく任意のものを使用でき、例えば、上述の開始系に挙げた化合物自身がそのような性質を有する場合も多い。光開始系から生成したラジカルまたは酸のいずれかにより、変化する成分(iii)の特性としては、例えば、吸収スペクトル(色)、化学構造、分極率等の分子的な物性や、溶解性、強度、屈折率、流動性、粘着性、等の材料的な物性の変化を含む。
例えば、成分(iii)として、pH指示薬のように、pHによって吸収スペクトルの変化する化合物を用い、開始系から酸を発生させれば、露光部のみの色味をかえることができるが、このような組成物は画像形成材料として有用である。同様に、(iii)として、酸化・還元や求核付加反応により吸収スペクトルが変化する化合物を用いた場合、開始系から生成するラジカルによる酸化、還元等を引き起こし画像形成が可能である。そのような例は例えば、J.Am.Chem.Soc.,108,128(1986)、J.Imaging.Sci.,30,215(1986)、Israel.J.Chem.,25,264(1986)、に開示されている。
また、(iii)として付加重合または、重縮合可能な化合物を用い、開始系と組み合わせることにより、光硬化性樹脂、あるいはネガ型フォトポリマーを形成可能である。
(iii)としては、ラジカル重合性化合物(エチレン性不飽和結合を有する化合物等)やカチオン重合性化合物(エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、メチロール化合物等)、アニオン重合性化合物(エポキシ化合物等)が用いられ、そのような例は、例えば、フォトポリマー懇話会編、フォトポリマーハンドブック、工業調査会(1989)や、高分子,45,786(1996).等に記載される。また、(iii)としてチオール化合物を用い、光ラジカル発生系と組み合わせた組成物も良く知られる。
(iii)として酸分解性の化合物を用い、光酸発生剤と組み合わせることも有用である。例えば、側鎖や、主鎖が酸で分解する高分子を用い、光により溶解性や親疎水性等を変化させる材料は光分解型感光性樹脂、ポジ型フォトポリマーとして広く実用されている。そのような具体例は例えば、ACS.Symp.Ser.242,11(1984).、特開昭60−3625号、USP−5102771号,同5206317号,同5212047号,特開平4−26850号,特開平3−192173号,特開昭60−10247号,特開昭62−40450号の各公報等が挙げられる。
以下には本発明の目的の一つである、高感度な平版印刷版を得る目的に対し特に優れた成分(iii)である、エチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物に関しより詳しく述べる。
(B−1)付加重合性化合物
本発明に使用される好ましい成分(iii)である、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロヘキシレン構造を有するものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(III)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH (III)
(ただし、RおよびR'はHあるいはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号の各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポ
キシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号の各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの、付加重合性化合物について、どのような構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と、強度を両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させることがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。感光層中の付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感材成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80質量%、好ましくは25〜75質量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も考慮して選択できる。
「C.バインダーポリマー」
本発明の好ましい実施形態である、平版印刷版への適用に際しては、感光性組成物にさらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。バインダーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じ
てその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号の各公報、特願平10−116232号明細書等に記載される、酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低エネルギー露光適性の点で有利である。
また、特開平11−171907号公報記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度を併せもち、好適である。
さらにこの他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの線状有機高分子重合体は全組成物中に任意な量を混和させることができる。しかし90質量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85質量%である。また光重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機高分子重合体は、前者/後者の質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。好ましい実施様態においてバインダーポリマーは実質的に水不要でアルカリに可溶なものが用いられる。そうすることで、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないかもしくは非常に少ない使用量に制限できる。このような使用法においてはバインダーポリマーの酸価(ポリマー1g当たりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり、好ましい分子量は質量平均分子量で3000から50万の範囲であり、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0、分子量が1万から30万の範囲である。
「D.その他の成分」
本発明の感光性組成物には、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
(D1)共増感剤
ある種の添加剤(以後、共増感剤という)を用いることで、感度をさらに向上させることができる。これらの作用機構は明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の開始系の光吸収により開始される光反応と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発
生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物:例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、前記化合物群が酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開平9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されている。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。−TMSはトリメチルシリル基である。
Figure 2005309384
これらの共増感剤に関しても、先の増感色素と同様、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素や活性剤、付加重合性不飽和化合物その他のパートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
これらの共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲が適当である。
(D2)重合禁止剤
また、本発明においては以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(D3)着色剤等
さらに、感光層の着色を目的として染料もしくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
(D4)その他の添加剤
さらに、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
その他、感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設けることを可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物、等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高めることが可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、耐汚れ性の向上が可能となる。
本発明の光重合性組成物を支持体上に塗布する際には種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
感光層の支持体被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の主要な目的である走査
露光用平版印刷版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
「E.支持体」
本発明の主要な目的の一つである、平版印刷版を得るには上記感光層を、表面が親水性の支持体上に設けることが望ましい。親水性の支持体としては、従来公知の、平版印刷版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のような金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施しても良い。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルムまたはアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度に優れた表面を提供できるアルミニウム板は特に好ましい。また、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にはアルミニウムがラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、粗面化(砂目立て)処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
さらに、粗面化したのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板が好ましく使用できる。特公昭47−5125号に記載されているようにアルミニウム板を陽
極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、もしくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液または非水溶液の単独または二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
また、米国特許第3658662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。
さらに、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号の各公報に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
また、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
さらに、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
さらに特開平7−154983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも挙げることができる。このような表面層としては例えば米国特許第3055295号明細書や、特開昭56−13168号公報記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号公報記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号公報記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を挙げることができる。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる光重合性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
「F.保護層」
本発明の望ましい様態である、走査露光用平版印刷版においては、通常、露光を大気中で行うため、光重合性組成物の層の上に、さらに、保護層を設けることが好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や、塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号明細書、特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることがよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られているが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100モル%加水分解され、分子量が質量平均分子量で300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号明細書、特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
さらに、保護層に他の機能を付与することもできる。例えば、露光に使う、350nmから450nmの光の透過性に優れ、かつ500nm以上の光を効率良く吸収しうる、着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高めることができる。
「G.画像形成方法および製版プロセス」
本発明の感光性組成物を用いた感光材料を画像形成材料として使用する際には、通常、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。これらの光重合性組成物を平版印刷版の作成に使用する際の好ましい現像液としては、特公昭57−7427号公報に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%になるように添加される。
また、このようなアルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3375171号および同第3615480号の各明細書に記載されているものを挙げることができる。
さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
特に好ましい現像液としては、特開2002−202616号公報に記載の、下記式(IV)で表される非イオン性化合物を含有し、pHが11.5〜12.8であり、かつ3〜30mS/cmの電導度を有する現像液が挙げられる。
A−W (IV)
式中、AはA−HのlogPが1.5以上の疎水性有機基を表し、WはW−HのlogPが1.0未満の非イオン性の親水性有機基を表す。
なお、この現像液成分については特開2002−202616号公報の段落(0024)〜(0067)に詳述されている。
本発明において、前記一般式(IV)で示される非イオン性化合物は、現像液中0.1〜15質量%、好ましくは1.0〜8.0質量%添加することが効果的である。
その他、本発明の平版印刷版用原版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱しても良い。このような加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や、感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは、全面露光を行うことも有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。150℃以下であると、非画像部にかぶりの問題が生じない。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。200℃以上であると十分な画像強化作用が得られ、500℃以下の場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題が生じない。
本発明による走査露光平版印刷版の露光方法は、公知の方法を制限なく用いることができる。望ましい、光源の波長は350nmから450nmであり、具体的にはInGaN系半導体レーザが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでも良い。また、本発明の感光層成分は、高い水溶性のものを使用することで、中性の水や弱アルカリ水に可溶とすることもできるが、このような構成の平版印刷版は印刷機上に装填後、機上で露光−現像といった方式を行うこともできる。
350〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザーとして、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、K
rイオンレーザー(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、
固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(3
55nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW
)、
半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長
変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)
その他、パルスレーザーとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、X
eF(351nm、パルス10〜250mJ)
特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
また走査露光方式の平版印刷版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中でパルスレーザー以外のもの全てを利用することができる。現実的には感材感度と製版時間の関係で、以下
の露光装置が特に好ましい。
・内面ドラム方式でガスレーザーあるいは固体レーザー光源を1つ使用するシングルビーム露光装置
・フラットベッド方式で半導体レーザーを多数(10個以上)使用したマルチビームの露光装置
・外面ドラム方式で半導体レーザーを多数(10個以上)使用したマルチビームの露光装置
以上のようなレーザー直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq1)が成立する。
X・S=n・q・t − (eq1)
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq2)が成立する。
f・Z・t=Lx − (eq2)
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx − (eq3)
iii)フラットベッド(マルチビーム)方式の場合
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq4)が成立する。
H・Z・n・t=Lx − (eq4)
実際の印刷版に要求される解像度(2560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長
42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明の感光性組成物の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明の感材においては半導体レーザーのマルチビーム露光方式との組み合わせがより好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
また、本発明による感光性組成物に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。また、本発明による感光性組成物の用途としては走査露光用平版印刷版の他、広く、光硬化樹脂の用途として知られるものに制限なく適用できる。例えば、必要に応じカチオン重合性化合物と併用した液状の光重合性組成物に適用することで、高感度な光造形用材料が得られる。また、光重合にともなう、屈折率の変化を利用し、ホログラム材料とすることもできる。光重合に伴う、表面の粘着性の変化を利用して様々な転写材料(剥離感材、トナー現像感材等)にも応用できる。マイクロカプセルの光硬化にも適用できる。
フォトレジスト等の電子材料製造、インクや塗料、接着剤等の光硬化樹脂材料にも応用できる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(合成例1)P-1の合成
Figure 2005309384
4−ピリジンメタノール25gをアセトニトリル300mlに溶解させた後、0℃に冷却し、ベンゾイルクロリド38.7gを滴下した。滴下終了後、0℃で8時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水300mlに投入した。この混合溶液に炭酸水素ナトリウムをアルカリ性になるまで少量ずつ加えてから30分攪拌後、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を溜去し、カラムクロマトグラフィーにより精製することで、無色の液体である上記化合物(P−1)を6.7g得た(収率61%、純度99.2%)。1H−NMR(CDCl3)、赤外吸収スペクトル、質量分析スペクトル、元素分析により同定を行った。
(合成例2)P-48の合成
Figure 2005309384
4−クロロメチルピリジン塩酸塩13.1g、ベンゾイルギ酸18.3g、炭酸カリウム24.9g、ヨウ化カリウム6.6gをジメチルアセトアミド300mlに投入後、90℃に加熱し、2時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水300mlに投入し、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を溜去し、カラムクロマトグラフィーにより精製することで、無色の液体である上記化合物(P-48)を4.8g得た(収率25%、純度99.5%)。1H−NMR(CDCl3)、赤外吸収スペクトル、質量分析スペクトル、元素分析により同定を行った。
〔実施例1〜15、比較例1〜4〕
(支持体の調製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm (JISB0601によるRa表示)であった。
このように処理された基板の裏面に下記のゾル−ゲル反応液をバーコーターで塗布し1
00℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/m2のバックコート層を設けた支持体を作成した。
ゾル−ゲル反応液
テトラエチルシリケート 50質量部
水 20質量部
メタノール 15質量部
リン酸 0.05質量部
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(分子量2000) 4質量部
ジメチルフタレート 5質量部
フッ素系界面活性剤(N−ブチルペルフルオロオクタン 0.7質量部
スルホンアミドエチルアクリレート/ポリオキシエチレン
アクリレート共重合体:分子量2万)
メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製,
メタノール30質量%) 50質量部
メタノール 800質量部
(感光層の調製)
このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布量が1.4g/m2となるように塗布し、80℃で2分間乾燥させ感光層を形成させた。
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.5g
アリルメタクリレート/メタクリル酸/N−イソプロピル
アクリルアミド共重合体(共重合モル比70/14/16) 1.9g
光開始系 (表1中に記載)
ピリジン化合物 Xg
チタノセン化合物(T−1、T−2) Yg
共増感剤(H−1〜H−3) Zg
増感色素(A−1、A−11、A−20) Wg
フッ素系ノニオン界面活性剤 0.02g
(メガファックF−780F、大日本インキ化学工業社製)
熱重合禁止剤N−ニトロソフェニルヒドロキシル 0.01g
アミンアルミニウム塩
顔料分散物 2.0g
顔料分散物の組成
組成: Pigment Blue 15:6 15質量部
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 10質量部
(共重合モル比83/17)
シクロヘキサノン 15質量部
メトキシプロピルアセテート 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
メチルエチルケトン 20g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20g
(保護層の調製)
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量
%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
(感度の評価)
このように得られた感材上に、富士写真フイルム(株)製の富士ステップガイド(△D=0.15で不連続的に透過光学濃度が変化するグレースケール)を密着させ、光学フィルターを通したキセノンランプにより所定の露光エネルギーとなるように露光を行った。また短波半導体レーザへの露光適性を見積もる目的で、光学フィルターとしてケンコーBP−40を用い、400nmのモノクロミックな光で露光を行った。その後、下記組成の現像液に25℃、10秒間浸漬し、現像を行い、画像が完全に除去される最高の段数を読み、その露光エネルギー量を求め、感度を算出した(単位、mJ/cm2)。エネルギー量が小さい程、高感度である。結果を表1に示す。
(現像液の組成)
下記組成からなるpH12.0の水溶液
水酸化カリウム 0.2 g
1Kケイ酸カリウム 2.4 g
(SiO2 /K2O=1.9)
下記式1の化合物 5.0 g
エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1 g
水 92.3 g
Figure 2005309384
Figure 2005309384
表1から明らかなように、本発明の開始系を用いた実施例1〜15は実用上十分な高感度を示す。本発明の開始系を用いない比較例2、3との比較により、本発明の開始系はチタノセン化合物とピリジン化合物の併用によって高感度を発現しうることが明らかである。また、比較例1のようにピリジン化合物単独では開始能を有さないこと、実施例2と比較例4の比較により、本発明の特定構造を有さないピリジン化合物を添加しても増感作用を示さないことも明らかである。
〔実施例16〜20、比較例5〕
以下の手順で平版印刷版を作製し、印刷性能を評価した。結果を表2に示す。
<支持体の前処理>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10質量%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これをVA=12.7Vの条件で、正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.45μm (JIS B0601によるRa表示)であった。
<支持体表面の親水化処理>
上記の支持体を、3号ケイ酸ソーダ(SiO2=28〜30%、Na2O=9〜10%、Fe=0.02%以下)の2.5質量%、pH=11.2、70℃の水溶液に13秒浸漬し、続いて水洗した。表面の蛍光X線分析により求めた、Si元素量から、表面シリケート量は10mg/m2と求められた。
<中間層の塗設>
上記の親水化支持体表面上に、フェニルホスホン酸の塗布量が20mg/m2となるようにように、下記の(A)の組成の塗布液を調製し、ホイラーにて180rpmの条件で塗布後、80℃で30秒間乾燥させた。
(中間層塗布液A)

フェニルホスホン酸 0.2g
メタノール 200g
<感光層の塗設>
上記中間層を設けた支持体上に、下記組成の感光液を調製し、塗布量が1.4g/m2になるように、ホイラーで塗布し、100℃で1分間乾燥させた。
(感光液)
付加重合性化合物(表2中に記載の化合物) 1.7g
バインダーポリマー(表2中に記載の化合物) 2.0g
増感色素(表2中に記載の化合物) 0.15g
チタノセン化合物(T−1) 0.1g
共増感剤(表2中に記載の化合物) 0.2g
ピリジン化合物(表2中に記載の化合物) 0.1g
着色顔料分散物 2.0g
顔料分散物の組成
Pigment Blue 15:6 15質量部
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 10質量部
(共重合モル比83/17)
シクロヘキサノン 15質量部
メトキシプロピルアセテート 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
熱重合禁止剤(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
0.01g
界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−177)
0.02g
メチルエチルケトン 20.0g
ポロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
<保護層の塗設>
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
<平版印刷版用原版の露光>
上記のようにして得られた平版印刷版用原版を、光源として400nmの単色光を用い、版面露光エネルギー密度200μJ/cm2となるように露光パワーを調節し、ベタ画像露
光および175線/インチ、1%刻みで1から99%となる網点画像露光を行った。
<現像/製版>
富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−850に所定の現像液(表2中に記載)と富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wをそれぞれ仕込み現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で露光済みの版を現像/製版し、平版印刷版を得た。
<画像部耐刷性試験>
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ社製GEOS−G(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって耐刷性を調べた。数字が多いほど耐刷性が良い。
<網点部耐刷性強制試験>
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ社製GEOS−G(N)を使用した。印刷開始から5000枚目に富士写真フイルム(株)製PSプレートクリーナーCL−2を印刷用スポンジにしみこませ、網点部を拭き、版面のインキを洗浄した。その後、10,000枚印刷を行い、印刷物における網点の版飛びの有無を目視で観察した。
<非画像部耐汚れ性試験>
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ社製GEOS−G(S)を使用した。非画像部(未露光部)の印刷物を観察し、耐汚れ性を評価した。
(表2中の付加重合性化合物)
(M−1)
ペンタエルスリトールテトラアクリレート
(新中村化学工業(株)製;NKエステルA−TMMT)
(M−2)
グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネート
ウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製;UA101H)
(表2中のバインダーポリマー)
(B−1)
アリルメタクリレート/メタクリル酸/N−イソプロピルアクリル
アミド(共重合モル比68/13/19)
NaOH滴定により求めた実測酸価1.14meq/g
GPC測定より求めた質量平均分子量11万
(B−2)
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比82/18)
NaOH滴定により求めた実測酸価1.58meq/g
GPC測定より求めた質量平均分子量10.5万
(B−3)
下記ジイソシアネートとジオールの縮重合物であるポリウレタン樹脂
4、4'−ジフェニルメタンジイソイソシネート(MDI)
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
ポリプロピレングリコール、質量平均分子量1000(PPG1000)
2、2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニックアシッド(DMPA)
/テトラエチレングリコール(TEG)
共重合モル比(MDI/HMDI/PPG1000/DMPA/TEG)
39/11/12/26/12
KOH滴定により求めた実測酸価50.4mgKOH/g
GPC測定より求めた質量平均分子量5.3万
(表2中の現像液)
(DV−1)
下記組成からなるpH10の水溶液
モノエタノールアミン 0.1 質量部
トリエタノールアミン 1.5 質量部
下記式2の化合物 4.0 質量部
下記式3の化合物 2.5 質量部
下記式4の化合物 0.2 質量部
水 91.7 質量部
(DV−2)
下記組成からなるpH10の水溶液
炭酸水素ナトリウム 1.2 質量部
炭酸ナトリウム 0.8 質量部
下記式2の化合物 3.0 質量部
下記式3の化合物 2.0 質量部
下記式4の化合物 0.2 質量部
水 92.8 質量部
Figure 2005309384
(ここでRはHまたはC49であり、nは約4(平均値)である。)
(DV−4)
下記組成からなるpH12.0の水溶液
水酸化カリウム 0.2 g
1Kケイ酸カリウム 2.4 g
(SiO2 /K2O=1.9)
上記式1の化合物 5.0 g
エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1 g
水 92.3 g
Figure 2005309384
表2から明らかなように、本発明の感光性組成物を感光層として有する平版印刷版は走査露光により高い生産性をもって製版可能な条件、即ち、非常に低エネルギーの露光条件によっても、優れた平版印刷版を提供する。一方、本発明の開始系を用いない、比較例5では、実用可能な平版印刷版は得られなかった。
なお、本発明のピリジン化合物および増感色素化合物以外の、実施例および比較例中の化合物の構造は以下のとおりである。
Figure 2005309384
(合成例3)C−1の合成
Figure 2005309384
グリコールニトリルを55質量%水溶液として10.0gとなる量を0℃に冷却し、ベンゾイルクロリド20.3gを滴下し、さらに続けてトリエチルアミン14.6gを滴下した。滴下終了後、0℃で8時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで放置後、酢
酸エチルを加え抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を溜去し、カラムクロマトグラフィーにより精製することで、無色の液体である上記化合物(C−1)を10.1g得た(収率65%、純度99.0%)。1H−NMR(CDCl3)、赤外吸収スペクトル、質量分析スペクトル、元素分析により同定を行った。
〔実施例21〜35、比較例6〜9〕
(支持体の調製)
実施例1〜15と同様に、支持体を調製した。
(感光層の調製)
当該アルミニウム板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布量が1.4g/m2となるように塗布し、80℃で2分間乾燥させ感光層を形成させた。
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.6g
アリルメタクリレート/メタクリル酸/N−イソプロピル
アクリルアミド共重合体(共重合モル比70/14/16) 2.0g
光開始系 (表3中に記載)
シアン化合物 Xg
チタノセン化合物(T−1、T−2) Yg
共増感剤(H−1’、H−2、H−3’) Zg
増感色素(A−1’、A−10’、A−20’) Wg
フッ素系ノニオン界面活性剤 0.02g
(メガファックF−780F、大日本インキ化学工業社製)
熱重合禁止剤N−ニトロソフェニルヒドロキシル 0.01g
アミンアルミニウム塩
顔料分散物 2.0g
顔料分散物の組成
Pigment Blue 15:6 15質量部
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 10質量部
(共重合モル比83/17)
シクロヘキサノン 15質量部
メトキシプロピルアセテート 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
メチルエチルケトン 20g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20g
(保護層の調製)
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
(感度の評価)
このように得られた感材に対し、実施例1〜15と同様にして感度を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2005309384
表3から明らかなように、本発明の開始系を用いた実施例21〜35は実用上十分な高感度を示す。本発明の開始系を用いない比較例7、8との比較により、本発明の開始系はチタノセン化合物とシアン化合物の併用によって高感度を発現しうることが明らかである。また、比較例6のようにシアン化合物単独では開始能を有さないこと、実施例22と比較例9の比較により、本発明の特定構造を有さないシアン化合物を添加しても増感作用を示さないことも明らかである。
〔実施例36〜40、比較例10〕
以下の手順で平版印刷版を作製し、印刷性能を評価した。結果を表4に示す。
支持体の前処理、支持体表面の親水化処理および中間層の塗設は、実施例16〜20と同様にして行った。
<感光層の塗設>
上記中間層を設けた支持体上に、下記組成の感光液を調製し、塗布量が1.4g/m2になるように、ホイラーで塗布し、100℃で1分間乾燥させた。
(感光液)
付加重合性化合物(表4中に記載の化合物) 1.5g
バインダーポリマー(表4中に記載の化合物) 1.9g
増感色素(表4中に記載の化合物) 0.20g
チタノセン化合物(T-1) 0.15g
共増感剤(表4中に記載の化合物) 0.2g
シアン化合物(表2中に記載の化合物) 0.20g
着色顔料分散物 2.0g
顔料分散物の組成
Pigment Blue 15:6 15質量部
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 10質量部
(共重合モル比83/17)
シクロヘキサノン 15質量部
メトキシプロピルアセテート 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
熱重合禁止剤(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
0.01g
界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−177)
0.02g
メチルエチルケトン 20.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
続いて、実施例16〜20と同様に、<保護層の塗設>、<平版印刷版用原版の露光>、<現像/製版>、<画像部耐刷性試験>、<網点部耐刷性強制試験>、<非画像部耐汚れ性試験>を行った。
(表4中の付加重合性化合物)
(M−1)
ペンタエルスリトールテトラアクリレート
(新中村化学工業(株)製;NKエステルA−TMMT)
(M−2)
グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネート
ウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製;UA101H)
(表4中のバインダーポリマー)
(B−1)
アリルメタクリレート/メタクリル酸/N−イソプロピルアクリル
アミド(共重合モル比67/14/19)
NaOH滴定により求めた実測酸価1.20meq/g
GPC測定より求めた質量平均分子量12.3万
(B−2)
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比82/18)
NaOH滴定により求めた実測酸価1.58meq/g
GPC測定より求めた質量平均分子量10.5万
(B−3)
下記ジイソシアネートとジオールの縮重合物であるポリウレタン樹脂
4、4'−ジフェニルメタンジイソイソシアネート(MDI)
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
ポリプロピレングリコール、質量平均分子量1000(PPG1000)
2、2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニックアシッド(DMPA)
/テトラエチレングリコール(TEG)
共重合モル比(MDI/HMDI/PPG1000/DMPA/TEG)
39/11/10/26/14
KOH滴定により求めた実測酸価51.8mgKOH/g
GPC測定より求めた質量平均分子量5.1万
なお表4中の現像液である(DV−1)、(DV−2)および(DV−4)は、実施例16〜20のそれと同じである。
Figure 2005309384
表4から明らかなように、本発明の感光性組成物を感光層として有する平版印刷版は走査露光により高い生産性をもって製版可能な条件、即ち、非常に低エネルギーの露光条件によっても、優れた平版印刷版を提供する。一方、本発明の開始系を用いない、比較例10では、実用可能な平版印刷版は得られなかった。
なお、本発明のシアン化合物および増感色素化合物以外の、実施例および比較例中の化合物の構造は以下のとおりである。
Figure 2005309384

Claims (2)

  1. (i)少なくとも1種のチタノセン化合物、
    (ii)一般式(1)で表されるピリジン化合物、または、一般式(3)で表されるシアン化合物、および
    (iii)ラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応し、その物理的または化学的特性が不可逆的に変化する化合物
    を含有する感光性組成物。
    Figure 2005309384
    (式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基または有機基を表す。なお、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5が互いに結合して環を形成してもよい。ただしR1、R2、R3、R4およびR5のうち、少なくとも1つは下記一般式(2)で表される有機基を表す。)
    Figure 2005309384
    (式中、R6、R7、R8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基または有機基を表す。Lは、ヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。なお、R7とR8、R6とR7、R6とR8が互いに結合して環を形成してもよい。)
    Figure 2005309384
    (式中、R1'、R2'およびR3'は、それぞれ独立して、1価の置換基を表す。Lは、ヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。なお、R1'とR2'、R2'とR3'、R1'とR3'が互いに結合して環を形成してもよい。)
  2. 前記ラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応し、その物理的または化学的特性が不可逆的に変化する化合物が、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物である請求項1記載の感光性組成物。
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