JP4208437B2 - 感光性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な光開始系、特に高感度でかつ安定性に優れた光開始系を含有する感光性組成物に関する。また、本発明は、特に作業性や経済性に優れたCTPシステムに適合した走査露光用平版印刷版に好適に用いることができる感光性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、平版印刷版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。
近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及し、それに対応した新しい画像出力方式が種々実用される様になってきた。その結果レーザ光のような指向性の高い光をディジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介す事無く、直接印刷版を製造するコンピュータ トゥ プレート(CTP)技術が望まれ、これに適応した印刷版用原版を得ることが重要な技術課題となっている。
【0003】
この光源としてArレーザー(488nm)やFD−YAGレーザー(532nm)の様な長波長の可視光源を用いる従来のCTPシステムに関しては、製版行程の生産性をあげるために、さらに高速で書き込む事が望まれているが、光源の出力が十分高くないことや感材の感度が十分高く無い為に到達されていない。
これらの例としては、特開平9-268185や特開平6-192309、特開平10-204085に開示されているチタノセンとクマリンの組み合わせ開始系を用いた感光性平版印刷版がある。また、これらの感材は感光特性上、非常に暗い部屋での取り扱いが必要であり、この点でも改善が求められている。
一方、近年、例えば、InGaN系の材料を用い、350nmから450nm域で連続発振可能な半導体レーザ(バイオレットLD)が実用段階となっている。これらの短波光源を用いた走査露光システムは、半導体レーザが構造上、安価に製造可能であり、経済的なシステムを構築できるといった長所を有する。
【0004】
更に、従来のFD−YAGやArレーザを使用するシステムに比較して、より明るいセーフライト下での作業が可能な感光域が短波な感材が使用できる。また、最も一般的なインナードラム型露光機を用いた場合には、露光機の構造上インナーミラーの回転速度で描画速度が決まるが、バイオレットLDを用いた場合にはインナーミラーの回転速度を上げる事ができるため、従来のArレーザー(488nm)やFD−YAGレーザー(532nm)を用いるのに比較して描画速度を向上させる事が出来る。
これらのことから、350nmから450nmの比較的短波な半導体レーザを用いたCTPシステムに適した平版印刷版用原版を得ることが、本産業分野において強く望まれるようになっている。
【0005】
これまでに比較的感度の高い開始系として特定の色素とチタノセン化合物とを組み合わせた開始系が知られている。特開平9−80750号では、スチリル系色素とチタノセンの組み合わせが、特開平10−101719号では、5員ヘテロ環酸性核を有する色素とチタノセンの組み合わせが、それぞれ開示されている。これらは確かに高感度であったが十分ではなく、また、450nm以下の波長を有するレーザー光線を用いた場合には実用上十分な感度が得られず、短波長光源には適さず、また、セーフライト適性に関する示唆は全くなされていない。
さらに、上記の350nmから450nmの短波半導体レーザ域に対し高い感光性を有する光重合性組成物をえる事は、広く、CTP以外の産業分野、例えば、光造形、ホログラフィー、カラーハードコピーといったレーザイメージング分野や、フォトレジスト等の電子材料製造分野、インクや塗料、接着剤等の光硬化樹脂材料分野においても、ますます要求の高まっている重要な技術である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明では上記従来の技術の欠点を克服し、例えば作業性、経済性に優れたCTPシステムに適合した走査露光用平版印刷版の感光層として用いた場合に、光カブリを抑制し、かつ、現像液カス低減による処理安定性向上をもたらす、高感度なものとなる感光性組成物を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の感光性組成物により上記の課題を達成することを見出した。
【0008】
(1)(A)下記一般式(III)、(IV)または(V)で表される構造を有する化合物(増感色素)、(B)光開始剤、並びに(C)重合性化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
【0009】
【化1】
【0010】
式(III)、(IV)または(V)中、
TはOR、SR、N(R)2もしくはSO2Rを表し、ビニル基のオルトまたはパラ位に少なくとも一つ存在する。但し、Yのフェニル環結合部分が酸素原子または硫黄原子、もしくはN原子の場合には、Tは存在しなくても良い。Yは隣接炭素原子と共同して環形成する非金属原子団を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素原子または非金属原子団を表し、互いに結合していても良い。
Xは酸素原子または硫黄原子ないしNRを表す。
一般式(IV)中のZは酸素原子または硫黄原子ないしNRを表す。
一般式(V)中のZはNRを表す。
【0014】
(2)前記(C)重合性化合物が、エチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であることを特徴とする前記(1)記載の感光性組成物。
(3)前記(1)または(2)に記載の感光性組成物を450nm以下の波長を有するレーザー光で露光することを特徴とする光重合方法。
【0015】
本発明の感光性組成物およびそれを用いた光重合方法による平版印刷版用原版はInGaNの様な短波長の半導体レーザによる高速走査露光に適した十分な感度を有し、かつ耐刷性・汚れ性に優れた平版印刷版を与える。
また、増感色素として主吸収が500nmのものを用いた場合には長波長に感光せず、比較的明るい黄色灯下で取り扱う事が出来るため、版を取り扱う作業性を大幅に改善する事ができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性組成物およびそれを用いた光重合方法について詳細に説明する。
本発明の感光性組成物は、光重合開始系、少なくとも一個の、ラジカルおよび酸の少なくともいずれかによって反応する重合性化合物を必須成分とし、さらに必要に応じ、バインダーポリマー等を含んで成る。
以下、これらの成分について具体的に説明する。
【0017】
〔光重合開始系〕
本発明の感光性組成物の必須成分である光重合開始系は(A)特定構造を有する増感色素と(B)光開始剤を含有する。本発明における開始系は、主として増感色素が光吸収し、共存する光開始剤からの開始ラジカル発生を促進するものと考えられる(この様なプロセスを以下、色素増感という)。本発明の増感色素が特に優れる一つの理由は、その吸収波長が350から450nm域であることにある。
【0018】
本発明において、バイオレットLDを用いた高生産性システムに対応可能な感度を達成する為には、上記の一般式(I)で表される構造を有する色素、好ましくは上記の一般式(II)〜(III)で表される色素を用いるのが有効であるが、このような構造の色素が高感度である理由としては以下のように考えている。
即ち、色素としては励起寿命が長く、失活しにくいものが高感度だということが広く公知であるが、本発明の構造を有する色素はこの点で好ましいものと考える。バイオレットLDは従来のFD−YAGやArレーザに比べ、短波長であり、励起エネルギーが大きくなるために、色素の失活が起こりやすくなっていると予想される。
ここで、本発明者らは励起状態中における色素の二重結合周りの光異性化が色素の失活の一因である事を突き止め、異性化を起こしえない構造を有する色素、即ち、上記の一般式(I)で表される構造を有する色素、好ましくは上記の一般式(II)〜(III)で表される色素を用いることで感度の向上が可能であることを見出し、本発明に到達したのである。
【0019】
(A)増感色素
本発明に用いられる(A)増感色素は、上記一般式(I)で表される構造を有する場合に非常に高い感度と優れた吸収特性が得られることが判明した。また、これらの色素のうち、主吸収が500nm以下のものは長波長に感光せず、比較的明るい黄色灯下で取り扱う事が出来るため、特に好ましい。
更に、本発明における増感色素としては、上記一般式(I)の構造を有するが、好ましくは上記一般式(II)または(III)の構造であり、より好ましくは下記一般式(IV)または(V)の構造である。
【0020】
【化5】
【0021】
式(IV)、(V)中、
TはOR、SR、N(R)2もしくはSO2Rを表し、ビニル基のオルトまたはパラ位に少なくとも一つ存在する。
Rはそれぞれ独立に、水素原子または非金属原子団を表し、互いに結合していても良い。
Zは酸素原子または硫黄原子ないしNRを表す。
【0022】
以下、一般式(I)で表される構造を有する増感色素、及び一般式(II)〜(V)で表される増感色素について詳しく説明する。
【0023】
上記一般式(I)において、
Vはα、β炭素間の二重結合周りにおける異性化を20%以下に抑えることができる置換基で、分子内原子と環を形成しても良い。
TはOR、SR、N(R)2もしくはSO2Rを表し、ビニル基のオルトまたはパラ位に少なくとも一つ存在する。また、Tは複数存在していても良く、Tを有するフェニル環上には、T以外に他の置換基を有していても良い。
Rはそれぞれ独立に、水素原子または非金属原子団であり、互いに結合していても良い。
Xは酸素原子または硫黄原子ないしNRを表す。
【0024】
Vは立体的嵩高さ、または分子内での環形成等により、α、β炭素間の二重結合周りにおける異性化を20%以下に抑えることができる置換基であれば何れでもよく、具体的には、以下のRの項で記載した、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子等の内、嵩高い基、環を形成可能な基などが挙げられる。
Vとして好ましくは、分子内で環を形成することで、α、β炭素間の二重結合周りにおける異性化を完全に抑えることができる炭化水素鎖であり、その際、不飽和結合、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0025】
Rはそれぞれ独立に、水素原子または非金属原子団を表し、互いに結合していても良い。
この様な置換基の好ましい具体例としては、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、
【0026】
アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、
【0027】
アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、
【0028】
アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、
【0029】
ホスフォノ基(−PO3H2)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO3H2)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0030】
これらの置換基における、アルキル基の好ましい例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。
これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0031】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
置換アルキル基の置換基は任意であるが、好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、
【0032】
N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、
【0033】
N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
【0034】
これらの置換基におけるアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0035】
置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。
置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、
【0036】
スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
【0037】
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、もしくは多環芳香族環が用いられ、好ましくは、フラン、ピロール、ピリジン、等の5員、または6員環芳香族置換基が使用できる。
【0038】
また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
【0039】
アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これら置換基の内、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
【0040】
以上述べた、Rは、感光性、感光波長、安定性等の性能の他、実用上の様々な観点から選択される。例えば、組成物系での相溶性改良、結晶析出防止といった観点、現像を行う場合には現像処理液への溶解性、分散性、析出しにくさといった観点、原料の価格、合成の簡便さ、精製のしやすさ等の経済上の観点を考慮して適宜選択される。
この様な観点で、特に好ましい置換基の例としては、水素原子、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、炭素数1から6の低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アリル基、2−メチルプロペニル基など)、アルキル置換アミノアルキレン基(アルキル基としては炭素数が1から6迄の直鎖状あるいは分岐状アルキル基炭素数が5から7までの環状アルキル基があげられ、アルキレン基としては炭素数1から3までのモノ−、ジ−、トリ−メチレン基がある)を挙げることができる。
【0041】
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、置換アリール基の具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、
【0042】
カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
【0043】
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、もしくは多環芳香族環が用いられ、好ましくは、フラン、ピロール、ピリジン、等の5員、または6員環芳香族置換基が使用できる。
置換ヘテロアリール基の例としては、一価の非金属原子団を用いることができる。特に好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フェナルザジン、フラザン等があげられ、これらは、さらにベンゾ縮環しても良く、また置換基を有していても良い。
【0044】
一般式(II)、(III)において、
TはOR、SR、N(R)2もしくはSO2Rを表し、ビニル基のオルトまたはパラ位に少なくとも一つ存在する。但し、Yのフェニル環結合部分が酸素原子または硫黄原子、もしくはN原子の場合には、Tは存在しなくても良い。
また、Tは複数存在していても良く、Tを有するフェニル環上には、T以外に他の置換基を有していても良い。
Yは隣接炭素原子と共同して環形成する非金属原子団を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子または非金属原子団であり、互いに結合していても良い。
Xは酸素原子または硫黄原子ないしNRを表す。
ここで、T、Rは、上記一般式(I)中のものと同様である。
【0045】
次に、一般式(II)、(III)におけるYについて説明する。Yは、隣接炭素原子と共同して、環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。
Yは、分子内での環形成等により、α、β炭素間の異性化を20%以下に抑えることができる置換基であれば何れでもよく、環の具体例としては、シクロアルカン、シクロアルケン、芳香族環、ヘテロアリール環等が挙げられ、それぞれ、ヘテロ原子を連結鎖中に含有していても良い。
【0046】
また、上記一般式(II)において、Rは互いに結合して環を形成しても良い。置換基Rが互いに結合して形成される環としては、分子内での環形成等により、α、β炭素間の異性化を20%以下に抑えることができる置換基であれば何れでもよく、環の具体例としては、シクロアルカン、シクロアルケン、芳香族環、ヘテロアリール環等が挙げられ、それぞれ、ヘテロ原子を連結鎖中に含有していても良い。
【0047】
式(IV)、(V)中、
TはOR、SR、N(R)2もしくはSO2Rを表し、ビニル基のオルトまたはパラ位に少なくとも一つ存在する。
また、Tは複数存在していても良く、Tを有するフェニル環上には、T以外に他の置換基を有していても良い。
Rはそれぞれ独立に、水素原子または非金属原子団を表し、互いに結合していても良い。
Zは酸素原子または硫黄原子ないしNRを表す。
ここで、T、Rは、上記一般式(I)中のものと同様である。
【0048】
以下に、本発明の増感色素の例を、より具体的な記述として、化学構造式(
D−1)〜(D−17)で示すが、本発明の増感色素は上述の構造用件を満たすものをいずれも好適に使用でき、本発明は、以下の化学構造式によって制限を受けるものではない。
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
【0051】
本発明の(A)増感色素は公知の合成法およびその関連合成法を用いて容易に合成できる。より具体的な合成法を以下に示す。
一般式(IV)で表される増感色素はJ.Phys.Chem.A; EN; 103; 48; 1999; 9626 - 9635、J.Heterocycl.Chem.; 23; 1986; 1347-1351、 J.Drug.Res.; 4; 1972; 123,126,128,130,132を参照して合成することができる。
また、一般式(V)で表される増感色素はChem.Pharm.Bull.; 21; 1973; 1914,1925-1926を参照して合成することができる。
【0052】
本発明の増感色素に関しては、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させる事で、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの色素の不要な析出抑制を行う事ができる。また、増感色素と後述のチタノセン化合物やその他のラジカル発生パート(例えば、ハロゲン化アルキル、オニウム、過酸化物、ビイミダゾール、オニウム、ビイミダゾール等の還元分解性部位や、ボレート、アミン、トリメチルシリルメチル、カルボキシメチル、カルボニル、イミン等の酸化解裂性部位)との結合により、特に開始系の濃度の低い状態での感光性を著しく高める事ができる。
さらに、本感光層の好ましい使用様態である、(アルカリ)水系現像液への処理適性を高める目的に対しては、親水性部位(カルボキシル基並びにそのエステル、スルホン酸基並びにそのエステル、エチレンオキサイド基等の酸基もしくは極性基)の導入が有効である。特にエステル型の親水性基は、感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。
【0053】
その他、例えば、感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入する事ができる。例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入する事で、結晶析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させる事ができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
【0054】
これらの増感色素の使用法に関しても、先述の付加重合性化合物同様、感材の性能設計により任意に設定できる。例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光層への相溶性を高める事ができる。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ感光層の膜物性の点からも有利である。感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。例えば、吸光度が0.1以下の低い領域では感度が低下する。また、ハレーションの影響により低解像度となる。但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、この様な低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。また、吸光度が3以上の様な高い領域では、感光層表面で大部分の光が吸収され、より内部での硬化が阻害され、例えば印刷版として使用した場合には膜強度、基板密着性の不十分なものとなる。
比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版としての使用に際しては、増感色素の添加量は、感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。
平版印刷版として利用する場合には、これは、通常、感光層成分100重量部に対し、0.05〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部の範囲である。
【0055】
(B)光開始剤
本発明において、光重合性開始系として用いられる光開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光開始剤、あるいは2種以上の光開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して使用することができる。
【0056】
例えば、染料とアミンの複合開始系(特公昭44‐20189号)、ヘキサアリールビイミダゾール類(特公昭47‐2528号、特開昭54‐155292号、特開昭59‐140203号、特開平10‐36354号等)、環状シス−α―ジカルボニル化合物(特開昭48‐84183号等)、トリアジン化合物(特開昭54‐151024号等)、有機化酸化物(特開昭59‐1504号、特開昭59‐140203号、特開昭59‐189340号、特開昭62‐174203号、特公昭62‐1641号、米国特許第4766055号等)、活性ハロゲン(特開昭63‐258903号、特開平2‐63054号等)、ボレート化合物(特開昭62‐143044号、特開平1−229003号、特開平9‐188685号、特開平9‐188686号、特開平9‐188710号等)およびチタノセン化合物(特開昭63‐221110号、特開平4‐221958号、特開平4‐219756号、特開平6‐295061号、特開平8‐334897号等)等を挙げることが出来る。
【0057】
さらに、本発明で用いる光重合開始剤に必要に応じてアミン化合物、チオール化合物などの助剤を加えても良く、これらの水素供与性化合物を加えることによってさらに光重合開始能力を高めることができる。
これらの光重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和化合物100重量部に対し、0.05〜100重量部、好ましくは0.1〜70重量部、更に好ましくは0.2〜50重量部の範囲で用いることができる。
【0058】
〔少なくとも一個の、ラジカルおよび酸の少なくともいずれかによって反応する重合性化合物〕
少なくとも一個の、ラジカルおよび酸の少なくともいずれかによって反応する重合性化合物((C)重合性化合物)は、このような性質を有するものであれば特に制限なく任意のものを使用でき、例えば、上述の開始系にあげた化合物自身がそのような性質を有する場合も多い。
光開始系から生成したラジカルおよび/または酸により、変化する成分(C)の特性としては、例えば、吸収スペクトル(色)、化学構造、分極率等の分子的な物性や、溶解性、強度、屈折率、流動性、粘着性、等の材料的な物性の変化を含む。
【0059】
例えば、成分(C)として、pH指示薬のように、pHによって吸収スペクトルの変化する化合物を用い、開始系から酸または塩基を発生させれば、露光部のみの色味をかえることができるが、この様な組成物は画像形成材料として有用である。同様に、成分(C)として、酸化・還元や求核付加反応により吸収スペクトルが変化する化合物を用いた場合、開始系から生成するラジカルによる酸化、還元等を引き起こし画像形成が可能である。
そのような例は例えば、J. Am. Chem. Soc., 108, 128(1986)、J. Imaging. Sci., 30, 215(1986)、Israel. J. Chem., 25, 264(1986)に開示されている。
【0060】
また、成分(C)として付加重合または重縮合可能な化合物を用い、開始系と組み合わせることにより、光硬化性樹脂、あるいはネガ型フォトポリマーを形成することが可能である。
【0061】
成分(C)として、ラジカル重合性化合物(エチレン性不飽和結合を有する化合物等)やカチオン重合性化合物(エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、メチロール化合物等)、アニオン重合性化合物(エポキシ化合物等)を用いることができ、そのような例は、例えば、フォトポリマー懇話会編、フォトポリマーハンドブック、工業調査会(1989)や、高分子、45、786(1996)等に記載される。また、成分(C)としてチオール化合物を用い、光ラジカル発生系と組み合わせた組成物もよく知られる。
【0062】
成分(C)として酸分解性の化合物を用い、光酸発生剤と組み合わせることも有用である。例えば、側鎖や主鎖が酸で分解する高分子を用い、光により溶解性親疎水性等を変化させる材料は、光分解型感光性樹脂、ポジ型フォトポリマーとして広く実用されている。そのような具体例は例えば、ACS. Symp. Ser. 242,11(1984)、特開昭60−3625号、米国特許第5,102,771号、同第5,206,317号、同第5,212,047号、特開平4−26850号、特開平3−1921731号、特開昭60−10247号、特開昭62−40450号等に記載されている。
【0063】
高感度な平版印刷版を得るために特に優れた成分(C)である付加重合可能な化合物について以下詳述する。
【0064】
成分(C)として好ましく用いられる少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態を有する。
【0065】
モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0066】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
【0067】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
【0068】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
【0069】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
【0070】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0071】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0072】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号に記載される1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(8)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0073】
CH2=C(R′)COOCH2CH(R″)OH 式(8)
(R′およびR″は、同一または異なっており、HまたはCH3を示す。)
【0074】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−4960号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
【0075】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。
また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0076】
これらの付加重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用すか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば次のような観点から選択される。
【0077】
感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部、すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能数、異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0078】
感光性組成物中の付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましくない相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感材成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80重量%、好ましくは25〜75重量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。
そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
【0079】
〔バインダーポリマー〕
本発明の感光性組成物を好ましい実施形態である平版印刷版用原版へ適用するに際しては、感光層にさらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。バインダーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」は特に限定的ではなく、いずれを使用してもよい。好ましくは水現像または弱アルカリ水現像を可能とする水または弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。
線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水または有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。
このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられる。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体が挙げられる。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0080】
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0081】
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
また、特開平11−171907号記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度をあわせもち、好適である。
【0082】
さらにこの他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0083】
これらの線状有機高分子重合体は全組成物中に任意な量で混和させることができる。しかし90重量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85重量%である。また光重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機高分子重合体は、重量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
【0084】
好ましい実施様態において、バインダーポリマーは実質的に水不要でアルカリに可溶なものが用いられる。これにより、現像液として環境上好ましくない有機溶剤を用いないかもしくは非常に少ない使用量に制限できる。この様な使用法においては、バインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。
好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり、好ましい重量平均分子量は3000〜50万の範囲である。より好ましくは、酸価が0.6〜2.0、分子量が1万〜30万の範囲である。なお、重量平均分子量は、GPC法により測定されたポリスチレン換算値である。
【0085】
〔その他の成分〕
本発明の感光性組成物には、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤について例示する。
【0086】
(D−1)共増感剤
ある種の添加剤を用いることで、感度をさらに向上させることができる(以下、この添加剤共増感剤という)。これらの作用機構は明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の開始系の光吸収により開始される光反応とそれに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは大きくは、(イ)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(ロ)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(ハ)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するかまたは連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
【0087】
(イ)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの
還元されて結合解裂を起こし活性種を生成するものであれば制限なく用いることができる。以下に例を示す。
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性種を発生すると考えられる(例えば、Polymer Preprints, Jpn., 41 (3) 542 (1992) に記載れている)。活性種としては、ラジカル、酸を発生しうる。具体的には、例えば、ハロメチル−s−トリアジン類の他、M. P. Hutt、 E.F. ElslagerおよびL. M. Merbel著Journal of Heterocyclic chemistry, 7, 511 (1970)に記載される合成方法により当業者が容易に合成しうるハロメチルオキサジアゾール類、また、ドイツ特許2641100、3333450、3021590、3021599に記載される化合物等が好適に使用できる。
【0088】
窒素−窒素結合もしくは、含窒素ヘテロ環−含窒素ヘテロ環結合を有する化合物:還元的に結合解裂を起こす(例えば、J. Pys. Chem., 96, 207 (1992)に記載されている)。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。生成する活性種はロフィンラジカルであり、必要に応じ水素供与体との併用で、ラジカル連鎖反応を開始するほか、ロフィンラジカルによる酸化反応を用いた画像形成も知られる(J.Imaging Sci., 30, 215 (1986)に記載される)。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる(例えば、Polym. Adv. Technol., 1, 287 (1990)に記載されている)。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。活性種としてラジカルを発生しうる。
【0089】
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性腫を発生すると考えられる(例えば、J.Photopolm. Sci. Technol., 3, 149(1990)に記載されている)。具体的には例えば、欧州特許104143、米国特許4837124、特開平2−150848、特開平296514に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693、233567、297443、297442、279210、422570、米国特許3902144、4933377、4760013、4734444、2833827に記載されるスルホニウム塩類、ジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、ピリジニウム塩類(N−アルコキシピリジニウム塩類等;例えば、USP4,743,528、特開昭63−138345、特開昭63−142345、特開昭142346、特公昭46−42363号等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277、52−14278、52−14279記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
【0090】
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(5)〜(7)で表されるオニウム塩である。
【0091】
【化8】
【0092】
式(5)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
【0093】
式(6)中、Ar21は、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21-はZ11-と同義の対イオンを表す。
【0094】
式(7)中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを表す。
【0095】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(5)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−10])、一般式(6)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])、及び一般式(7)で示されるオニウム塩([OS−1]〜[OS−5])の具体例を以下に挙げる。
【0096】
【化9】
【0097】
【化10】
【0098】
【化11】
【0099】
【化12】
【0100】
活性エステル類;スルホン酸やカルボン酸のニトロベンジルエステル類、スルホン酸やカルボン酸とN−ヒドロキシ化合物(N−ヒドロキシフタルイミドやオキシム等)とのエステル類、ピロガロールのスルホン酸エステル類、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル類等は還元的に分解しうる。活性種として、ラジカル、酸、を発生しうる。具体的な、スルホン酸エステル類の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、同0388343号、米国特許3901710号、同4181531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、同0101122号、米国特許4618564号、同4371605号、同4431774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平4−365048号記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号に記載される化合物等が挙げられ、さらに、例えば下記に示す様な化合物が挙げられる。
【0101】
【化13】
【0102】
(式中、Arは置換されてもよい芳香族基、脂肪族基を表す。Rはアルキル基、置換アルキル基、アリール基、又は置換アリール基を表す。)
また、活性種として塩基を生成することも可能であり、例えば下記のような化合物群が知られる。
【0103】
【化14】
【0104】
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的には例えば、特開平1−304453号、特開平1−152109号に開示されている。
ジスルホン類:還元的にS−S結合解裂を起こし酸を発生しうる。例えば特開昭61−166544号に記載されるようなジフェニルジスルホン類が知られる。
【0105】
(ロ)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
酸化されて結合解裂を起こし活性種を生成するものであれば制限なく用いることができる。以下に例を示す。
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる(例えば、J. Am. Chem. Soc., 112, 6329 (1990) に記載される)。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類(特に特開平9−188685、特開平9−188686、特開平9−188710記載の酸安定型ボレートが好ましい)が好適に使用される。
【0106】
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる(例えば、J. Am. Chem. Soc., 1 16, 4211 (1994) に記載される)。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等があげられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
【0107】
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的には、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0108】
(ハ)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
【0109】
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば特開昭9−236913号に、感度向上を目的とした添加剤として多く記載されている。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
【0110】
【化15】
【0111】
これらの共増感剤に関しても、先の増感色素と同様、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素や活性剤、付加重合性不飽和化合物その他のパートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
【0112】
これらの共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物100重量部に対し0.05〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、さらに好ましくは3〜50重量部の範囲が適当である。
【0113】
(D−2)重合禁止剤
また本発明においては、以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、感光性平版印刷版の感光層等として塗布した場合、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5重量%〜約10重量%が好ましい。
【0114】
(D−3)着色剤等
さらに感光性組成物の着色を目的として、染料もしくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての製版後の視認性や画像濃度測定機適性といった、いわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、特に顔料の使用が好ましい。
【0115】
本発明において(D−3)成分として使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。 顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0116】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。
上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μmから10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μmから1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μmから1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像感光層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像感光層の均一性の点で好ましくない。
【0117】
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、バールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0118】
また、用いることができる染料としては、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などが挙げられる。
染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5重量%〜約5重量%が好ましい。
【0119】
(D−4)その他の添加剤
さらに、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
【0120】
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーを使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とバインダーとの合計重量に対し10重量%以下添加することができる。
【0121】
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
【0122】
その他、感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設けることも可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物、等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高めることが可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
【0123】
以下、本発明の感光性組成物を用いて平版印刷版を作製する方法を説明する。
平版印刷版は、本発明の感光性組成物を塗液として調製し、支持体上に調製された塗液を塗布、乾燥して感光層を形成することにより作製される。また、感光層と支持体の間に中間層を設けることもできる。
【0124】
〔塗布液の調製および塗布〕
本発明の感光性組成物を支持体上に塗布する際には、有機溶剤に溶かして塗布液が調製される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独または混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
【0125】
支持体上に被覆される感光層の量は、主に感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。
平版印刷版が走査露光用平版印刷版の場合、感光層の被覆量は乾燥後の重量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
【0126】
〔支持体〕
本発明の主要な目的の一つである、平版印刷版を得るには上記感光層を、表面が親水性の支持体上に設ける事が望ましい。親水性の支持体としては、従来公知の、平版印刷版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施しても良い。
【0127】
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板があげられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は特に好ましい。また、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
【0128】
アルミニウム基板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、またはアルミニウム(合金)がラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙の中から選ばれる。
【0129】
以下の説明において、上記に挙げたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板をアルミニウム基板と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10重量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えばJIS A 1050、JISA 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することが出来る。また、本発明に用いられるアルミニウム基板の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mmから0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望により適宜変更することができる。アルミニウム基板には適宜必要に応じて後述の基板表面処理が施されてもよい。もちろん施されなくてもよい。
【0130】
〔粗面化処理〕
アルミニウム基板は、通常粗面化処理される。
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。さらに塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、およびアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独あるいは組み合わせて用いることもできる。
その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸または硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/d2の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流および/または直流電解を行うことが好ましい。
【0131】
このように粗面化処理したアルミニウム基板は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65重量%の硫酸と接触させる方法および特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。
以上のように処理された後、処理面の中心線平均組さRaが0.2〜0.5μmであれば、特に方法条件は限定しない。
【0132】
〔陽極酸化処理〕
以上のようにして粗面化処理されたアルミニウム基板には、その後に陽極酸化処理がなされ酸化皮膜が形成される。
陽極酸化処理は、硫酸、燐酸、シュウ酸もしくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独もしくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。さらには第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3成分とは、例えばNa、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で直流または交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。
以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/m2の範囲に入るように処理条件は選択されなければならない。
【0133】
さらに、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。さらに特願平5−304358号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0134】
その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも上げることができる。この様な表面層としては例えばUS3055295や、特開昭56−13168号記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744記載の親水性膨潤層、特表平8−507727記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を上げる事ができる。これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる光重合性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
【0135】
〔中間層〕
本発明における平版印刷版用原版には、感光層と基板との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特願平8−225335号、特願平8−270098号、特願平9−195863号、特願平9−195864号、特願平9−89646号、特願平9−106068号、特願平9−183834号、特願平9−264311号、特願平9−127232号、特願平9−245419号、特願平10−127602号、特願平10−170202号、特願平11−36377号、特願平11−165861号、特願平11−284091号、特願2000−14697号等に記載のものを挙げることができる。
【0136】
〔保護層〕
本発明の望ましい態様である、走査露光用平版印刷版においては、通常、露光を大気中で行うため、光重合性組成物の層の上に、さらに、保護層を設ける事が好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
【0137】
保護層に使用できる材料としては例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られていが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものを挙げる事ができる。
【0138】
具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等があげられる。
【0139】
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。
【0140】
これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。たとえば米国特許第292,501号、米国特許第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを5〜80重量%混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用する事ができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
【0141】
さらに、保護層に他の機能を付与する事もできる。例えば、露光に使う、350nmから450nmの光の透過性に優れ、かつ500nm以上の光を効率良く吸収しうる、着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高める事ができる。
【0142】
本発明の光重合性組成物を用いた感光材料を画像形成材料として使用する際には、通常、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。
【0143】
その他、本発明の平版印刷版用原版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱しても良い。この様な加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上、や、感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは、全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
【0144】
本発明による走査露光平版印刷版の露光方法は、公知の方法を制限なく用いる事ができる。望ましい、光源の波長は350nmから450nmであり、具体的にはInGaN系半導体レーザが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでも良い。また、本発明の感光層成分は、高い水溶性のものを使用する事で、中性の水や弱アルカリ水に可溶とすることもできるが、この様な構成の平版印刷版は印刷機上に装填後、機上で露光−現像といった方式を行う事もできる。
【0145】
また、本発明による光重合性組成物に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザーとして、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)その他、パルスレーザーとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ) 特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
【0146】
また走査露光方式の平版印刷版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には感材感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
【0147】
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザーあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置以上のようなレーザー直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq 1)が成立する。
X・S=n・q・t −−(eq 1)
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
f・Z・t=Lx −−(eq 2)
【0148】
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx −−(eq 3)
【0149】
iii)フラットヘッド(マルチビーム)方式の場合ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4) が成立する。
F・Z・n・t=Lx −−(eq 4)
【0150】
実際の印刷版に要求される解像度(2560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明の感光性組成物の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明の感材においては総出力20mW以上のレーザーを用いたマルチビーム露光方式との組み合わせが好ましいことが理解できる。しかし、必要十分の出力(30mW以上)を有するレーザーを用いた場合には、操作性、コスト等を掛け合わせると、内面ドラム方式の半導体レーザーシングルビーム露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
【0151】
また、従来公知の活性光線で画像露光後、現像までの間に、光重合型感光層の硬化率を高める目的で50℃〜150℃の温度で1秒から5分の時間の加熱プロセスを設けることにより、非画像部の硬化性を高め、耐刷性の更なる向上を図ることができ、より好ましい。
【0152】
また現像処理された感光性平版印刷版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明の感光性平版印刷版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0153】
上述の感光性平版印刷版を従来公知の現像液を用いて現像し、画像形成することが可能であるが、特に以下に示す特殊な現像液を用いるのが、画像形成性、現像カスの点から好ましい。
これらの従来公知の現像液としては、特公昭57−7427号に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%になるように添加される。
【0154】
また、このようなアルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3375171号および同第3615480号に記載されているものを挙げることができる。さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も挙げることができる。
【0155】
また、特殊な現像液とは、現像液組成物として以下の要件を満たすものであると現在のところは考えている。
第1に画像形成性に対し極めて良好な働きをすること(未露光部の現像性は高く、露光部に対する現像液の浸透性は低い。また、感光層の溶解挙動は非膨潤的であり、感光層表面から順に溶解していく)。
第2に未露光部の感光層を完全に除去することができ、支持体表面を印刷汚れの発生しない親水面として再生できること。
第3に上述の現像不溶性化合物を安定に分散或いは可溶化するため、これらの不溶性化合物と相互作用する疎水性サイトと水中で分散安定化させる親水性サイトを有する下記一般式(1)の非イオン性化合物を含有すること。
第4に塩析や現像速度低下を防ぐため、塩濃度が低いこと(非珪酸塩系であり、pHも従来のアルカリ現像液に比較して低いことが必要)。
第5に現像処理時の不安定化要因となる、水に含有されるCaイオン等の2価金属を除去するキレート剤を含有すること。
この内、第1、第2に関しては感光層成分の特徴も重要な要因となる。特に光重合性の平版印刷版の感光層であれば制約は受けないが、現在判っているところでは、感光層酸価が従来のものよりも低いことは、本発明の現像液との相乗効果を得る点では、重要であると考えられる。
【0156】
[感光層酸価]
なお、ここでいう感光層酸価とは、感光性平版印刷版の支持体上に塗設されている感光性組成物(感光層の上に塗設されるオーバーコート層、例えば、酸素遮断層は含まない)の層、1gあたりに含有されるpKa9以下の酸の等量である。実験的には感光層を水酸化ナトリウム水溶液により直接、滴定して求めることができるが、感光性組成物中のpKa9以下の酸基を有する化合物の含有量から計算により求めることもできる。
具体的に感光層酸価を変える方法としては、感光層成分である架橋剤モノマー/酸基を有するバインダーポリマー(線状高分子)の含有比の変更および酸基の少ない低酸価バインダーポリマーの使用などが考えられる。
低酸価バインダーポリマーとしては、酸価1.5meq/g以下が好ましい。より好ましくは1.2meq/g以下である。
本発明の感光層の感光層酸価は1.0meq/gであることが好ましい。酸価0.20〜0.60meq/gの感光層を有する平版印刷版に適用する方が効果的である。さらに画像形成性の点でより好ましくは0.30〜0.50meq/gの感光層を有するものである。
【0157】
上記の特殊な現像液は、従来の現像液に比べて浸透性が低く、光硬化部の内部や、支持体表面を破壊せずに、表面から溶解していく事を特徴としている。この現像液を用いた場合は、現像液が硬化部に浸透して、画像部が支持体からポロリと剥離されてしまうような事が無く、感光層の硬化度にきちんと対応した形で現像する事ができる。フレア光のような微量な光で硬化してしまった部分は硬化度が低く、一方、レーザー露光された画像部は硬化度が十分に高いため、本発明中の現像液を用いた場合には、フレア光により微妙に硬化した非画像部はきちんと現像され、レーザー露光部は現像されずに、しっかりとした画像部を形成することができる。
即ち、非常に硬調な画像を形成することができる。
【0158】
(現像液)
現像液成分について詳細に説明する。
上記の特殊な現像液は、下記一般式(1)で表される非イオン性化合物を含有する。
【0159】
A−W (1)
【0160】
式(1)中、AはA−HのlogPが1.5以上の疎水性有機基を表し、WはW−HのlogPが1.0未満の非イオン性の親水性有機基を表す。
【0161】
logPとは、C.Hansch,A.Leo,“Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology”,J.Wile&Sons,1979. 記載の疎水性パラメータとして一般的に使用されるものであり、目的とする分子(A−H及びW−H)のオクタノール/水2層系に対して、各層に分配される割合から算出した平衡濃度比Pの対数として定義される。
ここでは、一般式(1)中のA,Wの各基を特定する指標として使用しており、A、W各有機基に便宜的に水素原子結合させた、A−H、W−H構造に対して、A.K.Ghose、et.al.J. Comput.Chem. 9,80(1988).記載の方法に基づき、既知データより計算し、求めたものである。
【0162】
具体的には、構造としては、有機基A、Wは互いに異なり、上述のlogPを満足する、一価の有機残基を表す。より好ましくは、互いに同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していても良く、かつ、不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基 、シアノ基、ニトロ基を表す。
【0163】
上記置換基を有していてもよく、かつ、不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基が挙げられる。
【0164】
アルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0165】
置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基(以下、カルボキシラートと称す)、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO3H2)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO3H2)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0166】
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などを挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
【0167】
上述のアシル基(R31CO−)としては、R31が水素原子及び上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルフェニルメチル基、トリクロロメチルカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、
【0168】
【化16】
【0169】
ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
【0170】
アリール基としては1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0171】
置換アリール基は、置換基がアリール基に結合したものであり、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
これらの、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
【0172】
アルケニル基としては、上述のものを挙げることができる。置換アルケニル基は、置換基がアルケニル基の水素原子と置き換わり結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルケニル基は上述のアルケニル基を用いることができる。好ましい置換アルケニル基の例としては
【0173】
【化17】
【0174】
等を挙げることができる。アルキニル基としては、上述のものを挙げることができる。置換アルキニル基は、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わり、結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルキニル基は上述のアルキニル基を用いることができる。
【0175】
ヘテロ環基とは、ヘテロ環上の水素を1つ除した一価の基及びこの一価の基からさらに水素を1つ除し、上述の置換アルキル基における置換基が結合してできた一価の基(置換ヘテロ環基)である。好ましいヘテロ環の例としては、
【0176】
【化18】
【0177】
【化19】
【0178】
等を挙げることができる。
【0179】
置換オキシ基(R32O−)としては、R32が水素を除く一価の非金属原子団であるものを用いることができる。
好ましい置換オキシ基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基等を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、ならびにアリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに、アリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。
また、アシルオキシ基におけるアシル基(R6CO−)としては、R6が、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基ならびに置換アリール基のものを挙げることができる。これらの置換基の中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基等がより好ましい。
好ましい置換オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ等が挙げられる。
【0180】
置換チオ基(R33S−)としてはR33が水素を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい置換チオ基の例としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アシルチオ基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルチオ基におけるアシル基(R6CO−)のR6は前述のとおりである。これらの中ではアルキルチオ基、ならびにアリールチオ基がより好ましい。好ましい置換チオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、エトキシエチルチオ基、カルボキシエチルチオ基、メトキシカルボニルチオ基等が挙げられる。
【0181】
置換アミノ基(R34NH−、(R35)(R36)N−)としては、R34、R35、R36が水素を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基におけるアシル基(R33CO−)のR33は前述のとおりである。
これらの内、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基等が挙げられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
【0182】
置換カルボニル基(R37−CO−)としては、R37が一価の非金属原子団のものを使用できる。置換カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基等が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。
これらの内、より好ましい置換基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基等が挙げられ、更により好ましいものとしては、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基ならびにアリーロキシカルボニル基が挙げられる。
好ましい置換基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
【0183】
置換スルフィニル基(R38−SO−)としてはR38が一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい例としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。
これらの内、より好ましい例としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基等が挙げられる。このような置換スルフィニル基の具体例としては、へキシルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基等が挙げられる。
【0184】
置換スルホニル基(R39−SO2−)としては、R39が一価の非金属原子団のものを使用できる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。このような、置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0185】
スルホナト基(−SO3−)は前述のとおり、スルホ基(−SO3H)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0186】
カルボキシラート基(−CO2−)は前述のとおり、カルボキシル基(CO2H)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0187】
置換ホスホノ基とはホスホノ基上の水酸基の一つもしくは二つが他の有機オキソ基によって置換されたものを意味し、好ましい例としては、前述のジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、モノアリールホスホノ基が挙げられる。これらの中ではジアルキルホスホノ基、ならびにジアリールホスホノ基がより好ましい。このような具体例としては、ジエチルホスホノ基、ジブチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基等が挙げられる。
【0188】
ホスホナト基(−PO3 2-、−PO3H-)とは前述のとおり、ホスホノ基(−PO3H2)の、酸第一解離もしくは、酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類:アジニウム類、等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0189】
置換ホスホナト基とは前述の置換ホスホノ基の内、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共役塩基陰イオン基であり、具体例としては、前述のモノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))の共役塩基を挙げることができる。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類、等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0190】
前記一般式(1)中、A及びWの各構造は、より好ましくは、Aが芳香族を含有する有機基、Wがポリオキシアルキレン基を含有する非イオン性の有機基である。
【0191】
なお、A−HおよびW−Hの具体例を以下に示す。
【0192】
【化20】
【0193】
【化21】
【0194】
また、前記一般式(1)の非イオン性化合物の具体例を以下に示す。
【0195】
【化22】
【0196】
【化23】
【0197】
【化24】
【0198】
前記一般式(1)の非イオン性化合物として、さらに好ましいものとしては、下記式(I−A)または(I−B)で示されるものである。
【0199】
【化25】
【0200】
(R1、R2は、Hまたは炭素数1〜100のアルキル基であり、n、mは0〜100の整数である。)
【0201】
一般式(I−A)で表される化合物としては、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンメチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
一般式(I−B)で表される化合物としては、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンメチルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルナフチルエーテル、ホリオキシエチレンノニルナフチルエーテル等が挙げられる。
【0202】
前記一般式(I−A)および(I−B)の化合物において、ポリオキシエチレン鎖の繰り返し単位数は、好ましくは3〜50、より好ましくは5〜30である。ポリオキシプロピレン鎖の繰り返し単位数は、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5である。ポリオキシエチレン部とポリオキシプロピレン部はランダムでもブロックの共重合体でもよい。
前記一般式(I−A)および(I−B)で示されるノニオン芳香族エーテル系活性剤は、単独または2種類以上を組み合わせて使用される。
【0203】
本発明において、前記一般式(1)で示される非イオン性化合物は、現像液中1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%添加することが効果的である。
ここで添加量が少なすぎると、現像性低下および感光層成分の溶解性低下を招き、逆に多すぎると、印刷版の耐刷性を低下させる。
【0204】
[キレート剤]
上記の特殊な現像液は、キレート剤を含有していてもよい。
キレート剤としては、例えば、Na2P2O7、Na5P3O3、Na3P3O9、Na2O4P(NaO3P)PO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2一ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができる。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度およびその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲で含有させられる。
【0205】
[アルカリ剤]
上記の特殊な現像液は、上記一般式(1)で示される非イオン性化合物含有するアルカリ水溶液である。含有されるアルカリ剤は、たとえば第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、および同リチウムなどの無機アルカリ剤があげられる。またモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0206】
[界面活性剤]
また、上記の特殊な現像液は、上記一般式(1)で示される非イオン性化合物以外に、さらに以下に記すその他の界面活性剤を加えてもよい。
その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤:ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能であるが、特に好ましいのはアルキルナフタレンスルホン酸塩類等のアニオン界面活性剤である。
これら界面活性剤は単独、もしくは組み合わせて使用することが出来る。また、これら界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1から20重量%が好ましい。
【0207】
[その他の成分]
上記の特殊な現像液には、上記の成分の他に、必要に応じて以下の様な成分を併用することができる。例えば安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の有機溶剤;この他、キレート剤、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤等が挙げられる。
さらに本発明の製版方法を、自動現像機を用いて現像処理を行う場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させても良い。
【0208】
次いで、現像液性状についての詳細に説明する。
[pH]
上記の特殊な現像液はpH12.5のアリカリ水溶液であり、現像速度の点でより好ましくはpH10.0〜12.5であり、最も好ましくは、pH11.0〜12.5である。
[電導度]
上記の特殊な現像液の電導度は30mS/cm以下であり、現像速度の点でより好ましくは3〜30mS/cmであり、最も好ましくは、3〜15mS/cmである。
【0209】
[発砲性]
内径3cmの100ml透明ガラス瓶に現像液を30ml入れて、25℃で、1秒間に3回の速度で、ガラス瓶を上下に1分間振とうする。その後、静置し、泡が消えるまでの時間(消泡時間)を測定する。この時間が少ない方が発泡性が低くよい(消泡性が高い)。
上記の特殊な現像液は、好ましくは、発砲性が低く、消泡時間5分以下であり、現像処理時に発砲し現像処理工程に支障を来すことがない。
【0210】
[色]
上記の特殊な現像液は無色、好ましくは水との誤認を防ぐ目的で、視認性が得られる程度の色が付いている。
[粘度]
上記の特殊な現像液の粘度は好ましくは、水希釈状態で25℃において1.0〜10.0cpであり、円滑な現像処理が行える。
【0211】
また、本発明による光重合性組成物の用途としては走査露光用平版印刷版の他、広く、光硬化樹脂の用途として知られるものに制限なく適用できる。
例えば、必要に応じカチオン重合性化合物と併用した液状の光重合性組成物に適用することで、高感度な光造形用材料が得られる。また、光重合にともなう、屈折率の変化を利用し、ホログラム材料とすることもできる。光重合に伴う、表面の粘着性の変化を利用して様々な転写材料(剥離感材、トナー現像感材等)にも応用できる。マイクロカプセルの光硬化にも適用できる。フォトレジスト等の電子材料製造、インクや塗料、接着剤等の光硬化樹脂材料にも応用できる。
【0212】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0213】
[支持体の製造例]
(支持体1:陽極酸化アルミニウム支持体の製造)
厚さ0.30mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で、水洗後、20%HNO3で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ0.45μm(Ra表示)であった。ひきつづいて30%のH2SO4水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、33℃、20%H2SO4水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度5A/dm2において50秒間陽極酸化したところ、厚さが2.7g/m2であった。これを支持体1とした。
【0214】
(支持体2の製造)
上記支持体1に下記の表面処理用下塗り液状組成物1をP量が約0.05g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させたものを支持体2とした。
【0215】
<下塗り用液状組成物1>
フェニルホスホン酸 2重量部
メタノール 800重量部
水 50重量部
【0216】
(支持体3の製造)
上記支持体1に下記の表面処理用下塗り液状組成物2をSi量が約0.001g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させたものを支持体3とした。
【0217】
(支持体4の製造)
上記支持体1に、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(60/25/15モル比、分子量 Mn=3万)を、水/メタノール=5g/95gに溶解した液を塗布量が3mg/m2となるように塗布し、80℃、30秒間乾燥させたものを支持体4とした。
【0218】
<下塗り用液状組成物2>
下記成分を混合攪拌し、約5分後に発熱が見られ、60分間反応させた後、内容物を別の容器に移し、メタノールをさらに3万重量部加えたものを液状組成物2とした。
【0219】
ユニケミカル(株)ホスマーPE 20重量部
メタノール 130重量部
水 20重量部
パラトルエンスルホン酸 5重量部
テトラエトキシシラン 50重量部
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 50重量部
【0220】
[感材の製造例]
上述の支持体1〜4上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布重量が表1中に示す量となるように塗布し、90℃で乾燥させ、感光層を形成した。
続いて、この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500)の3wt%の水溶液を乾燥塗布重量が2.5g/m2となるように塗布し、100℃で1分半乾燥させ、感光性平版印刷版(感材)を得た。
【0221】
(感光層塗布液(光重合性組成物):下記表−1に詳細を記載)
エチレン性不飽和結合含有化合物(A) a 重量部
線状有機高分子重合体(B) b 重量部
増感剤(C) 0.15重量部
光開始剤(D) 0.30重量部
添加剤(S) 0.50重量部
フッ素系界面活性剤 0.03重量部
(メガファックF-177:大日本インキ化学工業(株)製)
熱重合禁止剤 0.01重量部
(N-ニトロソヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
ε型の銅フタロシアニン分散物 0.2 重量部
メチルエチルケトン 30.0 重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30.0 重量部
【0222】
なお、感光層塗布液に用いる、エチレン性不飽和結合含有化合物(A)、線状有機高分子重合体(B)、増感剤(C)、光開始剤(D)、添加剤(S)を以下に示す。
【0223】
【化26】
【0224】
【化27】
【0225】
【化28】
【0226】
【化29】
【0227】
【化30】
【0228】
【表1】
【0229】
※感光層酸価は感光層1g当たりに含有される酸量を水酸化ナトリウム滴定により測定後、算出した実測値である。
【0230】
[現像液例]
下記組成の現像液を調製した。
【0231】
(実施例:現像液1〜20:下記表−2に詳細を記載)
アルカリ (X) x g
一般式(1)の化合物(Y) 5.0 g
キレート剤 (Z) 0.1 g
添加剤1 (P) 1.0 g
添加剤2 (Q) 1.0 g
水 (92.9−x)g
【0232】
なお、現像液に用いる、キレート剤(Z)、添加剤1(P)、添加剤2(Q)を以下に示す。
【0233】
【化31】
【0234】
【表2】
【0235】
[現像液性状試験]
本明細書に記載の各検査方法に従って、上記表−2の現像液の物性について調査した結果を下記表−3示す。
【0236】
【表3】
【0237】
[印刷等評価]
上記表−1の感材と表−2の現像液を組み合わせた際の結果について下記表−4にまとめた。
また、露光、印刷、現像条件は以下のものを使用した。
(感度の評価)
上述の塗布感材を、405nmの半導体レーザーを用い大気中で露光後、下記表4に示す各々の実施例に対応した上述の現像液に25℃、10秒間浸漬して現像を行い、画像ができるその最小露光量から感度をmj/cm2単位で算出した。
【0238】
(フレアカブリの評価)
上述の塗布感材を、405nm、30mWのvioletLD(内面ドラム型実験機)で100μ/cm2の露光(標準露光条件)で4000dpiにて175線/インチの条件で、以下の画像を走査露光した。
画像;半面を画像強度100%(ベタ)、残りの半面は非画像部とし、それぞれの中心部に50%の網点画像を形成。
露光後、各種現像液およびフィニッシングガム液FP−2W(富士写真フィルム製)を仕込んだ自動現像機(富士写真フィルム製LP−850P2)で標準処理を行い、2種の50%網点濃度を測定した。ベタ部では、50%網点画像周辺の露光量が多く、フレア光の影響が大きくなる。即ち、ベタ部における50%網点濃度は非画像部中にある50%網点濃度よりも大きくなりやすい。
ここで、その影響を見るために、50%網点濃度(ベタ部)から50%網点濃度(非画像部)を引いた値をフレアカブリ(%)と定義し、測定した。この値が小さいほどフレアの影響が小さく、好ましい版であるといえる。
【0239】
(現像カスの評価)
上述の塗布感材20m2を上述の現像液(1リットル)中で、スポンジでこすりながら現像後、現像液を1ヶ月放置し沈降した現像カスの有無を調査した。現像カスが発生しなかったものを○、現像カスが少量発生したものを△とした。この結果も表−4に示す。
【0240】
【表4】
【0241】
表−4から明らかなように本発明の感光性組成物は現像性良好であり、感度と印刷汚れを両立、さらに現像カスを発生せず処理安定性が良好である。
【0242】
[現像挙動調査]
本明細書に記載の検査方法により表−4の実施例及び比較例について、現像挙動等の調査を行った結果を表−5に示す。
【0243】
【表5】
【0244】
【発明の効果】
本発明では、例えば作業性、経済性に優れたCTPシステムに適合した走査露光用平版印刷版の感光層として用いた場合に、光カブリを抑制し、かつ、現像液カス低減による処理安定性向上をもたらす、高感度なものとなる感光性組成物を提供することができる。
Claims (3)
- (A)下記一般式(III)、(IV)または(V)で表される構造を有する増感色素、(B)光開始剤、並びに(C)重合性化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
TはOR、SR、N(R)2もしくはSO2Rを表し、ビニル基のオルトまたはパラ位に少なくとも一つ存在する。但し、Yのフェニル環結合部分が酸素原子または硫黄原子、もしくはN原子の場合には、Tは存在しなくても良い。Yは隣接炭素原子と共同して環形成する非金属原子団を表し、
Rはそれぞれ独立に、水素原子または非金属原子団であり、互いに結合していても良い。
Xは酸素原子または硫黄原子ないしNRを表す。
一般式(IV)中のZは酸素原子または硫黄原子ないしNRを表す。
一般式(V)中のZはNRを表す。 - 前記(C)重合性化合物が、エチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であることを特徴とする請求項1記載の感光性組成物。
- 請求項1または2に記載の感光性組成物を450nm以下の波長を有するレーザー光で露光することを特徴とする光重合方法。
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