JP4404639B2 - 脚式移動ロボットの脚装置並びに脚式移動ロボットの制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、複数の可動脚を備えた脚式移動ロボットに係り、特に、該可動脚の先端部に設けられた、歩行動作の際に床面(歩行面)に当接される足部の構造、並びに足部の構造に対応した脚式移動ロボットの制御方法に関する。
背景技術
近年、人や猿などの2足直立歩行を行なう動物を模した脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。2足直立による脚式移動ロボットは、クローラ式や4足又は6足式のロボットに比べて不安定であり、姿勢制御や歩行制御が複雑になるという短所がある。しかし、一方で、不整地や障害物がある場所などの作業経路上に凹凸がある場所や、階段やはしごなどの不連続な歩行面などの、条件の厳しい場所においても柔軟に適応して移動作業を実現できるという点で優れている。
ところで、人間の作業空間や居住空間のほとんどは、2足による直立歩行という人間が持つ身体メカニズムや行動様式に合わせて形成されている。言い換えれば、人間の住空間は、車輪その他の駆動装置を移動手段とした現状の機械システムが移動するにはあまりに多くの障壁が存在する。したがって、機械システム、すなわちロボットがさまざまな人的作業を支援又は代行し、さらに人間の住空間に深く浸透していくためには、ロボットの移動可能範囲が人間のそれとほぼ同じであることが好ましい。これが、脚式移動ロボットの実用化が大いに期待されている所以である。すなわち、人間型の形態を有していることは、ロボットが人間の住環境との親和性を高める上で必須であると言える。
2足歩行による脚式移動を行なうタイプのロボットについて、姿勢制御や安定歩行に関する技術は既に数多く提案されている。その中の多くは、ZMP(Zero Moment Point)を歩行の安定度判別の規範として用いている。ZMPによる安定度判別規範は、歩行系から路面には重力と慣性力及びこれらのモーメントが作用し、該モーメントと路面から歩行系への反作用としての床反力及び床反力モーメントとがバランスするというダランベールの原理に基づいている。そして、力学的推論の帰結として、足裏の接地点と路面の形成する支持多角形の辺上あるいはその内側にピッチ及びロール軸モーメントが零となる点が存在し、この点をZMPと言う。
ZMP規範に基づく2足歩行制御には、足底着地点をあらかじめ決定することができ、路面形状に応じた足先の運動学的拘束条件を考慮し易いという利点がある。また、ZMPを安定判別規範とすることは、力ではなく軌道を運動制御上の目標値として扱うことを意味するので、技術的に実現性が高まる。なお、ZMPの概念並びにZMPを歩行ロボットの安定判別規範に適用する点については、Miomir kobratovic著”LEGGED LOCOMOTION ROBOTS”(加藤一郎外著『歩行ロボットと人工の足』(日刊工業新聞社))に記載されている。
ところで、脚式移動ロボットにおける脚式作業時の安定性・制御性は、四肢の動作パターンだけでなく、歩行など脚式作業を行なう路面(地面、床面)の状態の影響を受けている。何故ならば、足が路面に接地している限り、路面から常に反力を受けているからである。このため、路面からの反力を直接受ける足の構造は、脚式移動ロボットにおける脚式作業時の安定性・制御性に極めて重要であり、これまでに多くの提案がなされている。
例えば、遊脚(路面に接地していない側の脚)の着地時に路面から受ける衝撃、すなわちZ軸方向(足裏面に対して直交する方向又はヨー軸に沿う方向)の衝撃を緩和するために、ゴムなどの弾性シートを足裏に接着したもの、あるいはこの弾性シートの破損や変形を防止するためにさらにその下面に金属板などを接着したものが、通常広く知られている。また、足裏面にZ軸方向の衝撃を吸収するための板バネを介して金属板などを設けたものも知られている。また、路面に対しての滑りを防止する目的で足裏面にゴムなどを貼着したものも知られている。
しかしながら、これらの従来の足部は、着地時の地面からの衝撃を緩和することや路面に対する滑りを抑えるための改善がなされたものがほとんどであり、構造自体は、図82(A)に示すような、板形状のもののままであった。図82に示す足部920は、着地時には足裏面の全体で路面911に接地する構造となっている。そして、このような従来の足部においては、例えば図82(B)に示すように、ZMPが足部910の略中央部に位置した場合、その部分にロボットの荷重が集中し、足部910は路面911と反対方向に撓み、形状が変化する場合があった。このような状態となると、足部910と路面911との接触面積は減少し、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力が弱くなるという問題が生じた。また、形状の変化により、足底と路面との接触面の形状も変化し、この変化に伴い脚式移動ロボットの動特性に変化が生じ、ロボットの姿勢を不安定にするという問題がある。
また、このような足底部の撓みによる姿勢の不安定化に加えて、足底部が路面に接地したときに、足裏面の中間部分が路面の凸部に位置したような場合にも、いわゆるシーソー状態となり、同様な問題が生じる。
さらに、足底部の接地面を構成する足裏面の角部ないし側辺部に配慮がなされていないため、路面に凹凸などがある場合に、遊脚の着地時にその凹凸に足の当該角部乃至側辺部が干渉して躓きの原因になるとともに、躓きとその開放を繰り返すいわゆるスティックスリップ状態に陥ることもあり、ロボットの上体のバランスが崩れ、姿勢が不安定になることがある。
ここで、ロボットの姿勢の安定性の指標として「抗力発生実効面」と名付ける概念を用いるものとする。
抗力発生実効面とは、例えば足部と路面との接地面が1つの面であるときはその面を意味する。また、図83に示すように、足部と路面とが点で接触する場合には、隣り合う2点間を結んだ辺で囲まれる平面を意味する。さらに、図84に示すように、足部の接地部分がフレーム形状であるときは、このフレームの辺で囲まれた面を意味する。すなわち、「抗力発生実効面」とは、脚式移動ロボットに発生するヨー軸回りのモーメントに対して、路面からの抗力を受ける点を結んだ領域を意味する。
脚式移動ロボットの歩行におけるZMPの移動によって、足部が変形し、抗力発生実効面の面積が減少すると、脚式移動ロボットの動作によって発生するヨー軸回りのモーメントに対して弱くなり、脚式移動ロボットの姿勢を不安定にし、スピン運動をもたらす原因となる。また、抗力発生実効面の変形は、脚式移動ロボットの挙動の予期せぬ変化を生じ、脚式移動ロボットの姿勢を不安定にする原因となる。
したがって、脚式移動ロボットの足底面においては、接地面における面圧の静的及び動的な調整、すなわち、単なる圧力値の調整のみならず、その変化や分布を調整することが必要であると考えられる。また、摩擦についても同様に、静的及び動的に調整する必要があると考えられる。
また、このようなことは、主に平坦な移動面若しくは緩やかな連続面に限定されて適応できる問題であるが、実移動面においては、うねりのような連続面の他、凹凸や段差など不連続な面が多々存在し、そのような面も脚式移動ロボットの姿勢を不安定にする原因となっていることに留意しなければならない。
具体的には、例えば、図85に示す段差などを足部が踏んだ場合には、足部はちょうど亀の子のようになり、接地部における支持モーメントを発生することが不可能になり、その挙動は非線型となって制御が極めて困難な状況に陥る。また、移動奇跡も乱れがちとなり、修正制御や移動計画の再設定が必要となる。
また、図86に示すように、絨毯など脆弱で滑り易い面においては、足の接地面が必要以上に滑る可能性があり、脚式移動体自体の移動安定性を著しく損ねる可能性がある。
また、図87に示すように、摩擦の大きな面、若しくは、柔らかいために表面に引っ掛かりが生じるような面においては、足底接地面の形状の効果による面圧、あるいは、面方向における摩擦が極端に上昇すると、慣性力などにより転倒モーメントが発生する。そのため、やはり接地部の摩擦特性を調整する必要がある。
さらに、図88に示すような段差のあるところにおいては、図85に示したような支持モーメントの問題以外にも、段差部若しくは凹凸部付近の形状の条件が悪い場合や著しく摩擦が少ない場合には、足部が滑落するという問題がある。さらにこの現象は、制御周期などに比べて極めてその挙動が速いため、十分に対処できない危険性がある。
このような場合には、例えば図89に示すように、足部に土踏まずのような形状の構造を設けることにより、段差の角を避けるようにすることが可能である。しかしながら、このような構造も、結局は、支持効力発生面921が図中斜線を施した三角形形状となってしまうように土踏まずに段差若しくは凸部が接触することとなり、安定性を確保できる条件は狭くなる。したがって、このような段差にも対応して、移動性能と安定性を確保する必要がある。
また、2足歩行ロボットは、必然的に転倒する可能性があり、これをできるだけ回避する必要がある。転倒回避対策としては、動作時にいかにしてバランスを崩さず、安定的に動作できるかの観点、及びバランスを崩した場合の回復の観点などから制御方法を工夫することが行なわれている。また、このような制御方法の工夫に加えて、足部の構成を図90〜図92に示されているような構成とすることにより、対策していた。
図90〜図92はそれぞれ従来の足部の概略構成を示す平面図である。これらの図においては、12,22,32は他方の足(当該足が取り付けられる脚と対をなす他方の脚に取り付けられる足)に対して遠い側の側面(外側面)であり、13,23,33は当該他方の足に対して近い側の側面(内側面)であり、14,24,34はロボットの正面側の側面であり、15,25,35はロボットの背面側の側面である。なお、11,21,31は、ロボットの脚の足首に取り付けるための取付部である。
図90に示されているものでは、外側面12が外側に凸となるような曲面に設定されている。また、図91に示されているものでは、外側面22が外側に凸となるような二つの平面で構成されており、これらの2つの平面の交わった部分に頂点26が形成されている。さらに、図92に示されているものでは、外側面32及び内側面33の中間部分にそれぞれ外側に突出する突起部36,37を設けている。外側面12,22,32をこれらの図に示されているように外側に凸となるように設定しているのは、ロボットの外側(当該他方の足と反対側)への回転に対する安定性を向上するためと考えられる。
また、図90及び図91において、外側面12,22をこのような外側に凸となるように構成に加えて、内側面13,23も該外側面12,22と同様に外側に凸となるように設定することもある。
従来の足部の構成によると、足部の外側面を外側に凸となるように設定しているので、転倒挙動に突入する前においては、ロボットの左右方向への回転モーメントの作用に対しての安定性は向上するものと考えられる。
しかしながら、一旦転倒挙動に突入し、外側(ロボットの左又は右側)にある程度傾斜した姿勢となった場合においては、図90に示したものにあっては、外側縁(外側面と足裏面の接続部)の路面に対する接触部が順次移動する、即ち、足部が該外側縁の曲線に沿って転がる運動が発生し、図91又は図92に示すものにあっては、外側縁の突出した部分(頂点26や突起部36の角部)で、実質的に1点接触となってしまい、転倒中のロボットの重心位置に応じて、当該点接触部を中心としてヨー軸(足部の足裏面に直交する軸)回りに回転運動が生じ、この回転運動がどのように発生するかを予測することは一般に困難である。
このように、従来の足部の構成では、転倒中のロボットの姿勢が一定せず、その予測も困難であるため、転倒動作が始まった後は、転倒を回避するための制御、転倒時の衝撃を緩和するための制御、転倒後の復帰制御などの転倒に伴う制御は困難であり、そのまま転倒し、自立的に復帰することも難しかった。
また、転倒中の挙動が一定しないため、転倒に伴うロボット各部の路面に対する衝突による破損などを防止するために、転倒時に路面に衝突する可能性がある全ての部分の剛性や耐衝撃性を向上する必要があり、ロボットのコストを上昇させるという問題もある。
また、脚式移動ロボットは、研究段階からようやく実用化への第1歩を踏み出そうとしているのが現状であり、未だ数多くの技術的課題が残されている。例えば、路面の表面状態(整地か不整地か、あるいは摩擦係数などが脚式歩行の姿勢安定制御や安定歩行に与える影響は非常に大きいが、十分には解明されていない。4足歩行よりもヒューマノイドのような2足歩行ロボットの方が、重心位置が高く、且つ、歩行時のZMP安定領域が狭い。したがって、このような路面状態の変化に伴う姿勢変動の問題は、2足歩行ロボットにおいてとりわけ重要となる。
路面での歩行を考える場合、本来その路面状態に適した歩行方法を行なうことが望ましい。例えば、本出願人に既に譲渡されている特願2000−100708号の明細書には、路面の表面状態に応じて適切な脚式移動作業を行なうことができる脚式移動ロボットについて開示されている。該明細書に記載の脚式移動ロボットは、各可動脚の足部(足平又は足底)には、足部と路面との接地状態を確認するための路面接地センサと、路面と接地脚との間の相対移動(すなわち、「滑り」)を測定するための相対移動測定センサが配設されている。例えば、滑りなどの現象により、予定又は計画された軌道と実際の軌道との間にずれが生じた場合であっても、適応的に行動計画の修正並びに動作制御を行なうことができる。
また、人間の歩行を考えた場合、通常の歩行と雪道などの滑り易い路面での歩行は一般的に相違する。板の間と毛足の長い絨毯の上などでも歩行は違ってくる。人間の場合、路面状態への対応は、五感を利用して状況把握を行ないながら、経験的に学んだ歩き方を選択し、また状況に応じて姿勢制御を行ないながら歩行動作を実現する。また、路面歩行に適した靴などを選択することで、極端な路面、例えば雪道や泥道などへの対応を容易にしている。
ここで、ロボットの歩行安定について考えると、さまざまな路面での歩行が要求される点でロボットの歩行も人間の歩行と同様である。ロボットに対して人間と同様に多様な歩行動作を実現することは困難である。
一方、ロボットと路面との関係について考えてみる。ロボットの大きさや質量などが人間と同程度である場合には、歩行状況に対する路面表面の影響は人間の場合と同程度と推定することができよう。
これに対し、人間よりも小型で軽量なロボットの場合、路面状態の影響がより大きくなる場合がある。一例として、絨毯のように荷重に対して変形する路面をあげることができる。人間が絨毯の上を歩行する場合、毛足が相当長い場合であっても人間の質量も十分に大きいので、足部が接触する部分の絨毯表面は圧力によりつぶされた形状となるので路面が安定し、また、毛足から受ける反力が歩行に対して与える影響は小さい。これに対し、小型軽量のロボットが同じ絨毯の上を歩行する場合であっても、絨毯の表面部分がロボットの足底から受ける圧力が小さく、足部の接触する部分の絨毯表面が十分には潰されない状態になる。この結果、例えば人間が分厚いマットレスの上を歩くような状況となり、歩行への影響が過大となる。
ロボットは人間ほど多様な歩行パターンを行なうことは困難であり、その分だけ歩行中の路面に適応することが難しい。また、路面から受ける影響は人間の歩行時とは違った形態で現れてくる。
ロボットの足部並びに足底については既に数多くの研究・開発がなされている。しかしながら、あらゆる路面に対応し得る万能な足部の実現は、技術的にも経済的にも困難というのが実状である。
また、脚式移動ロボットは未だ研究・開発レベルであり、歩行路面を限定した作業環境下でロボットの足部の適応性を高めるという方向で開発がなされてきたのが現状である。
したがって、脚式移動ロボットが実用化・商品化の段階を迎え、人間の住環境に入り込もうとしている今、さまざまな路面への対応が不可欠となってきている。
以上のような観点から、本出願人は、特願2000−167681号明細書において、足部を路面状況に応じて交換できるようにした脚式移動ロボットを提案している。
また、足部を、足首に連結される足甲部材に、路面に接地される足底部材を着脱可能に取り付けた二重構造として、足底部材を路面状況に応じて交換できるようにした脚式移動ロボットも提案している(特願2002−037997号参照)。路面状況への対応に最も寄与するとともに、路面への接地による摩耗が最も激しい足底部分のみを交換することにより、足部全体を交換するものと比較して、各種の路面状況に応じた各種の足底部材を低コストで多数準備することができる。
また、脚式移動ロボットがその足部又は足底部材を交換したとき、適切な足部運動、ZMP軌道、体幹運動、上肢運動、腰部高さなどの設定内容は変化するため、これらの設定内容を変更する必要がある。これら設定内容を適切に変更するためには、足部又は足底部材の形状、摩擦係数、足部又は足底部材の重量などの情報がロボット本体の主制御部に必要となる。この場合、足部又は足底部材に関する情報をロボット本体に搭載されるROMに格納し、交換された足部又は足底部材を識別する情報をユーザが外部から入力するといった方法が考えられる。
しかしながら、このような方法では交換する足部又は足底部材の個数分の情報をROMに格納する必要性があり、交換する足部又は足底部材の個数が膨大になると、それに伴い多数のROM若しくは容量の大きいROMが必要となる。このことは、特に小型の脚式移動ロボットなど、ROMの搭載スペースを十分にとることができないような場合には、解決し難い問題を生じ、あるいはROMの容量を増大すれば、コストの上昇を招く。また、足部又は足底部材を交換するときに、前述の足部識別情報を入力する必要があることは、ユーザにとって手間がかかる。
また、従来技術によると、着床時に足底が路面から受けるZ軸方向の衝撃は弾性シートや板バネによってある程度吸収できるものの、Z軸に直交する面(X−Y平面)内において、特定又は不特定の方向に受ける力に対する配慮がなされていない。すなわち、路面に凹凸などがある場合に、遊脚の着床時にその凹凸に足の一部が干渉し(引っ掛かる、躓く)、ロボットの上体のバランスが崩れ、姿勢が不安定になることがある。特に、高速動作を実現しようとした場合には、路面から受ける反力が増大するので、この問題は顕著になる。なお、このような場合、ロボットの制御手段によるソフトウェア的な処理によって緊急回避的な動作を行なうことになるが、足のハードウェア的な構造によって、これを回避あるいは緩和することができるとすれば、安定制御や歩行制御上も便宜である。
また、足部には、ロボット本体の主制御部が可動脚を含む各部の運動を制御するための基礎情報を検出するための種々のセンサが設けられている。例えば、ZMPを安定判別規範としてロボットの運動制御を行なう場合には、実際のZMPを測定するため、足部の足裏面(路面に対する接地面)に、ZMP検出用の複数の力センサが配設される。足部に設けられるセンサとしては、路面への足部の接地の有無を検出するためのセンサ、路面上に接地された足部の該路面に対する滑りを検出するためのセンサなども設けられる場合がある。
これらのセンサの検出値は、A/D変換されてロボット本体に設けられる主制御部に取り込まれ、主制御部によって、これらの検出値に基づいて実際のZMPの算出、その他の必要な演算処理が行なわれ、ロボットの歩行動作を含む各部の制御に供される。
しかしながら、ロボット本体の主制御部が足部に搭載された各種センサの出力を直接的に取り込み、主制御部がZMP演算を含む必要な演算処理を行なうため、主制御部の処理負担が大きいという問題がある。すなわち、ロボット本体に搭載される主制御部の演算装置は、ロボットの動作の生成などの複雑、且つ大量の計算を行っており、この主制御部の演算装置で前記ZMP検出用センサの出力から実際のZMPの算出を行なわせ、あるいは他のセンサについての出力を処理させることは、主制御部の演算装置に多くの計算負荷がかかる。
これに加えて、足部に設けられた各種のセンサの出力をロボット本体の主制御部に供給するためには、該センサと主制御部をつなぐ配線は複雑なものになるとともに、足部を交換する場合に、該足部に設けられる各種のセンサの種類、特性、数などが異なる場合に、ロボット本体側の配線などに変更を生じることがあり、交換に伴う作業負担が多いという問題もある。
発明の開示
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、その主な目的は、ZMPの移動による足部形状の変化に伴う抗力発生実効面の変化を抑制し、また、連続面、非連続面、剛体面、粘弾性面などのさまざまな移動面に適応し、脚式移動ロボットの姿勢の安定性を十分に確保することができるような脚式移動ロボットの足を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ZMPの移動による足部形状の変化に伴う抗力発生実効面の変化を抑制し、また、連続面、非連続面、剛体面、粘弾性面などのさまざまな移動面に適応する足部を有し、これにより姿勢の安定性を十分に確保することができるような脚式移動ロボットを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ロボットの転倒時の挙動を予測できるような足の構造を提供し、転倒を回避するための制御、転倒時の衝撃を緩和するための制御、転倒後の復帰制御などの転倒に伴う制御を容易に行ない得るようにするとともに、さらに転倒による各部の破損などを抑制できるようにすることにある。
また、本発明の他の目的は、ロボット本体の制御系が、交換された足部又は足底部材に関する情報を容易に取得できるようにし、足部又は足底部材の交換に伴う作業負担を軽減することである。
また、本発明の他の目的は、安定して高速動作を行なうことができる脚式移動ロボット及びその足を提供することである。
また、本発明の他の目的は、ロボット本体の制御手段の処理負担を軽減することを目的とする。また、足部に設けられるセンサとロボット本体の制御手段をつなぐ配線の複雑化を防止するとともに、足部が交換される場合にその交換を容易に行ない得るようにすることである。
本発明の1つの側面に係る脚式移動ロボットの足は、複数の可動脚を備えた脚式移動ロボットの足であって、前記足の接地面の略中央部に形成された第1の凹部と、前記第1の凹部内に所定の弾力性を有する部材により形成された柔軟部とを有する。
前記柔軟部は、好適には、所定の弾性又は粘性を有する弾性部材又は粘性部材により形成され、また好適には、変形に対して所定のヒステリシス性を有する部材により形成される。
また好適には、前記柔軟部は、前記足が平坦な路面に接地した場合に、当該路面に接触しないように形成される。また、好適な一具体例としては、前記柔軟部は、前記第1の凹部の内部表面を覆うように形成される。
このような構成の脚式移動ロボットの足によれば、例えば、ZMPが足のほぼ中央部分に配置されることとなって、足がその位置を中心として撓んだ場合であっても、これが第1の凹部により形成される凹部により吸収され、接地部の位置及び形状はほとんど変化しない。したがって、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力の変化は少なくなり、いわゆるスピン運動が発生するような状態となることは抑止される。また、制御系による制御の予測の範囲内の現象として適切に制御され、脚式移動ロボットの姿勢は安定に維持される。
また、例えば凸部や段差を足が踏んだ場合、この凸部などは第1の凹部内に形成された柔軟部に接触することとなる。これにより柔軟部の形状はその凸部の形状に整合するように変化され、且つその状態で凸部との間で摩擦を確保することとなり、いわゆる足が路面に馴染んだ状態が確保される。この結果、その凸部は足の一部のように作用し、滑落、極度に速い運動の発生などの制御的に危険な状態に陥るのが防止される。
また、好適には、前記足の周縁部の所定の位置に、平坦な路面において実際に接地することとなる接地部が形成されており、前記第1の凹部は、前記接地部により囲まれる領域に、例えばドーム形状で形成される。
また好適には、前記第1の凹部は、前記足の歩行方向の中央部において、前記歩行方向に垂直な方向に当該足を貫通するように形成される。
また、好適には、前記接地部と前記足の側面とは円滑な曲面により結合される。すなわち、接地部と足の側面部の結合部分である足の接地面の周縁部は、滑らかな曲面に形成されるのが好ましい。
このような構成であれば、路面に凹凸などがある場合であっても、その部分が路面に干渉して、引っ掛かったり、躓いたりしてしまうことが少なくなり、いわゆるスティックスリップ状態に陥ることも少なくなり、引き続きロボットの姿勢の安定な制御が行なわれる。
また好適には、前記第1の凹部の内部に前記第1の凹部よりさらに窪むように形成された第2の凹部をさらに有し、前記柔軟部は、前記第2の凹部内に形成される。
好適には、前記第1の凹部は、前記接地部より路面より離れるように形成された傾斜面を有し、前記第2の凹部は、前記第1の凹部の傾斜面よりさらに窪むように形成されている。
また、好適な一具体例としては、前記柔軟部は、前記第2の凹部の少なくとも天井面を覆うように形成される。
このような構成の脚式移動ロボットの足においては、足が段差などの凸部を踏んだ場合には、第1の凹部に加えてさらに第2の凹部によりこの路面の凸部が吸収される。したがって、シーソー状態と言われるような不安定な状態が発生する可能性は少なくなる。
また仮に、踏んだ凸部が第2の凹部内に形成された柔軟部に接触することとなると、柔軟部が変形してこの凸部に密接することとなり、凸部を摩擦保持する状態となり、いわゆる足が路面になじんだ状態となる。その結果、滑落、極度に速い運動の発生などが防止される。
また、好適には、前記第2の凹部は、前記足の当該足の歩行方向の中央部において、前記歩行方向に垂直な横方向に当該足を貫通するように、すなわち、人間の土踏まずに相当するように形成される。
その際、その貫通するように形成された前記第2の凹部の側面は、接地面に平行な面内において円滑な曲線又は直線となるような形状に形成されるのが好適である。すなわち、土踏まず部分の前後の境界部分の形状は、路面などに引っ掛かる非連続部分が存在しないような、曲線又は直線による連続的な形状に形成されるのが好ましい。
また、好適な一具体例としては、前記第2の凹部の側面と前記第1の凹部の傾斜面は、非連続的に結合される。すなわち、第2の凹部の側面は、接地面より浮いた場所において、滑らかな曲面によってではなく実質的に非連続的な屈曲部により、第1の凹部の傾斜面とつながるように形成される。
また好適には、前記第2の凹部の側面は、例えば前記接地面に対してほぼ垂直な方向、すなわち鉛直な方向であるような、前記第1の凹部の傾斜面より、より鉛直に近い方向となるように形成される。好適な一具体例としては、前記第2の凹部は、柱形状に形成される。
このような構成によれば、脚式移動ロボットが例えば絨毯などの上を歩行する場合に、絨毯の毛は、第2の凹部にまで侵入し、第2の端部内に形成された柔軟部に接触してある程度大きな摩擦力を受けるとともに、毛の進行方向にほぼ垂直な第2の凹部の側面に衝突し、また、第2の凹部の側面の端部に引っ掛かる状態となる。したがって、絨毯の毛に対しては、抵抗力、反力が印加されることとなる。この力は、絨毯の毛に対して、歩行面である絨毯に対して、歩行方向あるいはその反対方向のいずれの方向においても、滑りを抑止する力となって作用する。この結果、滑り易い絨毯の上においても、足部に適度な摩擦力が得られることとなり、歩行する際にも適切な推進力が得られることとなる。
また、本発明に係る脚式移動ロボットは、複数の可動脚を有する脚式移動ロボットであって、前記各可動脚の先端に設けられた足は、前記足の接地面の中央部に形成された第1の凹部と、前記第1の凹部内に所定の弾力性を有する部材により形成された柔軟部とを有する。
また、本発明の他の側面に係る脚式移動ロボットの足は、複数の可動脚を備えた脚式移動ロボットの足であって、前記足の接地面の略中央部に形成された例えばドーム形状の第1の凹部と、前記第1の凹部より前記足の周辺部を通過して前記足の側面より外部に達するように前記足の接地面に形成された1以上の溝とを有する。
このような構成の脚式移動ロボットの足によれば、例えば、ZMPが足のほぼ略中央部分に配置されることとなって足がその位置を中心として撓んだような場合であっても、これが第1の凹部により形成される凹部により吸収され、接地部の位置及び形状はほとんど変化しない。したがって、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力の変化は少なくなり、スピン運動が発生するような状態となることは抑止される。また、制御系による制御の予測の範囲内の現象として適切に制御され、脚式移動ロボットの姿勢は安定に維持される。
好適には、本発明の脚式移動ロボットの足は、前記足の接地面の周縁部の所定の位置に形成された複数の接地部を有し、前記溝は、隣接する前記接地部の間を通過するように1以上形成される。
また、好適な一具体例としては、前記溝は、少なくとも、前記第1の凹部より、前記足の歩行方向の前方向に当たる前記足の前側面、前記歩行方向の後方向に当たる前記足の後ろ側面、及び、前記歩行方向の横方向に当たる前記足の左右の各側面の4個の側面に対して4個形成される。
この溝の側面は、接地面に平行な面内においては、非直線的な曲線により構成し、例えば絨毯の毛足などが接触する場合に適度な接触による摩擦力が生じるのが好ましい。例えば側面方向に近づくにつれて溝の幅が狭くなるような構成とすれば、毛足などがより強制的に誘導されて接触抵抗が増えることとなり好ましい。
また、その溝の側面の一部は積極的に円滑な曲線として形成し、路面などに引っ掛からないようにするのも好ましい。
また、好適には、前記接地部と前記足の側面とは円滑な曲面により結合される。すなわち、接地部と足の側面部の結合部分である足の接地面の周縁部は、滑らかな曲面に形成されるのが好ましい。
このような構成によれば、路面に凹凸などがある場合に、その部分が路面に干渉して、引っ掛かったり、躓いたりしてしまうことが少なくなり、いわゆるスティックスリップ状態に陥ることが少なくなり、引き続きロボットの姿勢の安定な制御が行なわれる。
また好適には、前記第1の凹部の内部に前記第1の凹部よりさらに窪むように形成された第2の凹部をさらに有する。例えば、前記第1の凹部は、前記接地部より路面から離れるように形成された傾斜面を有し、前記第2の凹部は、前記第1の凹部の傾斜面よりさらに窪むように形成されている。
このような構成の脚式移動ロボットの足においては、足が段差などの凸部を踏んだ場合には、第1の凹部に加えてさらに第2の凹部によりこの路面の凸部が吸収される。したがって、シーソー状態と言われるような不安定な状態が発生する可能性は少なくなる。
また、好適な一具体例としては、前記第2の凹部の側面と前記第1の凹部の傾斜面は、非連続的に結合される。すなわち、第2の凹部の側面は、接地面より浮いた場所において、滑らかな曲面によってではなく実質的に非連続的な屈曲部により、第1の凹部の傾斜面とつながるように形成される。
また好適には、前記第2の凹部の側面は、例えば前記接地面に対してほぼ垂直な方向すなわち鉛直な方向であるような、前記第1の凹部の傾斜面より、より鉛直に近い方向となるように形成される。例えば、前記第2の凹部は、柱形状に形成される。
このような構成によれば、脚式移動ロボットが例えば絨毯などの上を歩行する場合に、絨毯の毛は、第2の凹部にまで侵入し、第2の端部内に形成された柔軟部に接触してある程度大きな摩擦力を受けるとともに、毛の進行方向にほぼ垂直な第2の凹部の側面に衝突し、また、第2の凹部の側面の端部に引っ掛かる状態となる。したがって、絨毯の毛に対しては、抵抗力、反力が印加されることとなる。この力は、絨毯の毛に対して、換言すれば歩行面である絨毯に対して、歩行方向あるいはその反対方向のいずれの方向においても、滑りを抑止する力となって作用する。その結果、滑り易い絨毯の上においても、足部に適度な摩擦力が得られることとなり、歩行する際にも適切な推進力が得られることとなる。
また好適には、前記第1又は第2の凹部内に、所定の弾力性を有する柔軟部が形成される。この柔軟部は、好適には、所定の弾性又は粘性を有する弾性部材又は粘性部材により形成され、また好適には、変形に対して所定のヒステリシス性を有する部材により形成される。
また好適には、前記柔軟部は、前記足が平坦な路面に接地した場合に、当該路面に接触しないように形成される。また、具体例としては、前記柔軟部は、前記第1の凹部の内部表面を覆うように、又は、前記第2の凹部の少なくとも天井面を覆うように形成される。
このような構成の脚式移動ロボットの足によれば、例えば凸部や段差を足が踏んだ場合、この凸部などは第1または第2の凹部内に形成された柔軟部に接触することとなる。これにより柔軟部の形状はその凸部の形状に整合するように変化され、且つその状態で凸部との間で摩擦を確保することとなり、いわゆる足が路面になじんだ状態が確保される。その結果、その凸部は足の一部のように作用し、滑落、極度に速い運動の発生などの制御的に危険な状態に陥るのが防止される。
また、本発明に係る脚式移動ロボットは、複数の可動脚を有する脚式移動ロボットであって、前記各可動脚の先端に設けられた足は、前記足の接地面の略中央部に形成された第1の凹部と、前記第1の凹部より前記足の周辺部を通過して前記足の側面より外部に達するように前記足の接地面に形成された1以上の溝とを有する。
また、本発明の他の側面に係る脚式移動ロボットの足は、前記足の接地面の周辺部の所定の位置に形成された接地部と、前記足の接地面の前記接地部により囲まれる領域に形成された、前記接地部より路面より離れるように形成された傾斜面を有する第1の凹部と、前記第1の凹部の内部に、前記第1の凹部の傾斜面よりさらに窪むように形成された第2の凹部とを有する。好適な一具体例としては、前記第1の凹部はドーム形状に形成され、また、前記前記第2の凹部は、柱形状、すなわち、例えば円柱形状の窪みのような形態で形成される。
このような構成の脚式移動ロボットの足によれば、例えば、ZMPが足のほぼ中央部分に配置されることとなって、足がその位置を中心として撓んだ場合であっても、これが第1の凹部及び第2の凹部により形成される凹部により吸収され、接地部の位置及び形状はほとんど変化しない。したがって、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力の変化は少なくなり、スピン運動が発生するような状態となることは抑止される。また、制御系による制御の予測の範囲内の現象として適切に制御され、脚式移動ロボットの姿勢は安定に維持される。
また、足が段差などの凸部を踏んだ場合には、第1の凹部及び第2の凹部により形成される凹部によりこの路面の凸部が吸収される。したがって、シーソー状態と言われるような不安定な状態が発生する可能性は少なくなる。
好適には、前記第2の凹部の側面は、例えば前記接地面に対してほぼ垂直な方向すなわち鉛直な方向であるような、前記第1の凹部の傾斜面より、より鉛直に近い方向となるように形成される。
さらに、一具体例としては、前記第2の凹部の側面と前記第1の凹部の傾斜面は、非連続的に結合されるのも好適である。すなわち、第2の凹部の側面は、第1の凹部の傾斜面の傾きにより接地面より浮いた場所において、滑らかな曲面によってではなく実質的に非連続的な屈曲部により、第1の凹部の傾斜面とつながるように形成されるようにしてもよい。
このような構成によれば、例えば絨毯などの上を歩行する場合に第2の凹部にまで侵入した毛は、第2の凹部の側面あるいはその第2の凹部の側面に端部に衝突したり引っ掛かったりする状態となる。これらの衝突部分は、毛の衝突方向に対してほぼ垂直な方向の面となっており、傾斜面や曲面などの連続的な面により力がうまく逃げるように構成されているものではない。したがって、絨毯の毛が衝突した第2の凹部の側面及び端部から絨毯の毛に対しては、抵抗力、反力が印加されることとなる。この力は、絨毯の毛に対して、歩行面である絨毯に対して、歩行方向あるいはその反対方向のいずれの方向においても、滑りを抑止する力となって作用する。その結果、滑り易い絨毯の上においても、足部に適度な摩擦力が得られ、歩行する際にも適切な推進力が得られることとなる。また、前記第2の凹部は、前記足の歩行方向の略中央部において、前記歩行方向に垂直な横方向に当該足を貫通するように、すなわち人間の土踏まずに相当するように形成される。その際、その貫通するように形成された前記第2の凹部の側面は、接地面に平行な面内において円滑な曲線又は直線となるような形状に形成されるのが好適である。すなわち、土踏まず部分前後の境界部分の形状は、路面などに引っ掛かる非連続部分が存在しないような、曲線又は直線による連続的な形状に形成されるのが好ましい。
また、好適には、前記接地部と前記足の側面とは円滑な曲面により結合される。すなわち、接地部と足の側面部の結合部分である足の接地面の周縁部は、滑らかな曲面に形成されるのが好ましい。このような構成であれば、路面に凹凸などがある場合であっても、その部分が路面に干渉して、引っ掛かったり、躓いたりしてしまうことが少なくなり、スティックスリップ状態に陥ることも少なくなり、引き続きロボットの姿勢の安定な制御が行なわれる。
また、本発明に関わる脚式移動ロボットは、複数の可動脚を有し、前記各可動脚の先端に足が設けられている。当該足は、接地面の周辺部の所定の位置に形成された接地部と、前記足の接地面の前記接地部により囲まれる領域に形成された、前記接地部より路面より離れるように形成された傾斜面を有する第1の凹部と、前記第1の凹部の内部に、前記第1の凹部の傾斜面よりさらに窪むように形成された第2の凹部とを有する。
また、本発明の他の側面に係る脚式移動ロボットは、複数の可動脚の足において、足裏面及び該足裏面の周囲に連続する側面を有する足底部を設け、前記足底部は前記足裏面に内側に向かって窪みを形成する傾斜面を有する土踏まず部を有することを特徴とする。
本発明によると、足裏面に内側に向かって窪みを形成する傾斜面を有する土踏まず部を設けており、その外側の部分に路面に当接する接地部が配置されているので、例えば、ZMPが足底部の略中央部分に位置して、足底部がその位置を中心として撓んだ場合であっても、これが土踏まず部により吸収され、接地部の位置及び形状が殆ど変化することがない。したがって、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力が変化することが少なくなり、いわゆるスピン運動の発生を抑制することができるとともに、制御系による制御も予測の範囲内となり、姿勢の安定性を向上することができる。
また、足底部が路面に接地したときに、足裏面の中間部分が路面の凸部に位置したような場合であったも、土踏まず部の存在により、該凸部に足が乗ってしまうことが少ないので、シーソー状態となることも少なくなる。
前記足底部の前記足裏面と前記側面を滑らかな曲面で結合することが望ましい。足底部の角部ないし側辺部を滑らかな曲面とすることにより、路面に凹凸などがある場合であっても、その部分が路面に干渉して、引っかかったり、躓いたりしてしまうことが少なくなり、スティックスリップ状態に陥ることも少なくなり、ロボットの姿勢の安定性が向上する。前記土踏まず部としては、前記接地部に連続するテーパ面を有するものとし、又はドーム形状あるいは擂り鉢形状とすることができる。
また、特に限定されないが、前記足底部を略矩形体又は略矩形板状体とすることができる。足底部の周囲に曲線部分があるもの、例えば、足底部の側辺を外側に突き出すように円弧状にしたものが知られているが、ロボットが当該側辺側に傾いた場合に、その円弧部分に沿って転がり動作が生じることがあり、ロボットの姿勢安定性を低下させることがある。これに対し、足底部の底面形状を矩形状とすることにより、すなわち足底部の側辺を直線とすることにより、転がり動作が発生することがなくなる。
さらに、前記接地部を前記足裏面の四隅近傍にそれぞれ配設するとよい。接地部間の間隔をなるべく広くとることにより、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力を大きくでき、ロボットの姿勢安定性が向上するからである。
また、本発明の他の側面に係る脚式移動ロボットは、一対の可動脚を備え、該可動脚の先端に取り付けられる足において、路面に接地される矩形状の足裏面及び該足裏面の各側縁に連続する複数の側面を有する足底部を設け、前記各側縁のうち他方の足から遠い側の外側縁を、前記足裏面を含む面に投影したときの形状が実質的に直線となるように、対応する側面の形状を設定したことを特徴とする。ここで言う「実質的に直線」とは、幾何学的に厳密に直線である必要ななく、路面との関係で直線とみなせる程度のものを含む意味である。
本発明によると、ロボットが例えば左側又は右側にバランスを崩し、その接地している足の外側縁部分をその回転中心として外側に傾斜したときに、該外側縁の全体が路面に線接触した状態となるので、ロボットは該足底部のヨー軸(足裏面に対して直交する軸)回りの回転動作を伴うことなく、該外側縁を中心として外側に回転することになる。
また、該可動脚の先端に取り付けられる足は、路面に接地される多角形の足裏面及び該足裏面の各側縁に連続する複数の側面を有する足底部を設け、前記各側縁のうち少なくとも1つの側縁を、前記足裏面を含む面に投影したときの形状が内側に湾曲する曲線となるように対応する側面の形状を設定ている。
例えば、外側縁(他方の足に対して遠い側の側縁)を、前記足裏面を含む面に投影したときの形状が内側に湾曲する曲線となるように、対応する側面の形状を設定する。ロボットが左側又は右側にバランスを崩し、その接地している足の外側縁部分をその回転中心として外側に傾斜したときに、該外側縁の最も突き出た前後の2点のみが路面に当接した状態となり、ロボットは該足底部のヨー軸回りの回転動作を伴うことなく、該2点を結ぶ仮想線を中心として外側に回転することになる。他の側縁についても同様である。
このような足の構造を採用すれば、転倒時のロボットの姿勢や挙動をある程度予測することができるので、転倒を回避するための制御(例えば、重心を適宜に移動してバランスをとる制御)、転倒時の衝撃を緩和するための制御(例えば、ロボットが備える手を路面についてロボットの機体が路面に直接衝突することを防止する制御)、転倒後の復帰制御(転倒した状態から立ち上がる制御)などの転倒に伴う制御を容易に行なうことが可能となる。また、ロボットはヨー軸回りの回転を伴うことなく、所定の線を中心として転倒することになるので、ロボットの側部の最も先に路面に衝突することになる部分のみに衝撃対策(例えば、当該部分を高剛性ないし耐衝撃構造とし、あるいはクッションなどの緩衝部材を設けるなど)を施せばよいので、そのコストの低減を図ることもできる。
また、前記側面の中間部分に内側に凹となる切欠部を設けることができる。転倒時に路面に小さな凸部や障害物などが存在した場合に、前述の外側縁などの路面に対する線接触又は2点接触が該障害物などに乗り上げることにより損なわれる場合があるが、このような切欠部を側面に形成しておくことにより、小さな凸部や障害物などに乗り上げてしまうことが少なくなり、転倒時に予期しない姿勢や挙動となることを少なくすることができる。
また、本発明の他の側面に係る脚式移動ロボットは可動脚を備え、該可動脚の先端部に設けられる足において、前記可動脚の先端部に着脱自在に取り付けられる足本体と、前記足本体に設けられ、該足本体に関連する情報が記憶された記憶手段とを備えている。
あるいは、前記可動脚の先端部に着脱自在に取り付けられる足本体と、前記足本体に設けられ、該足本体に関連する情報が記憶された記憶手段と、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記可動脚の運動を制御する制御手段とを備えて構成される。この場合において、前記制御手段は、初期化時に前記記憶手段に記憶された情報を読み出すようにすることができる。ここで言う初期化時とは、ロボットの電源を投入したとき、リセットしたとき、あるいは足本体を可動脚に取り付けたときを意味する。
また、このような構成の脚式移動ロボットの制御方法は、前記足に関連する情報を該足に設けられた記憶手段にあらかじめ記憶せしめ、初期化時に該記憶手段から該情報を読み出し、該読み出した情報に基づいて前記可動脚の運動を制御することを特徴とする。
また、脚式移動ロボットの足は、前記可動脚の先端部に取り付けられる足甲部材と、前記足甲部材に着脱自在に取り付けられる足底部材と、前記足底部材に設けられ該足底部材に関連する情報が記憶された記憶手段と、前記記憶手段に記憶された情報を読み出す前記足甲部材に設けられた読出手段とを備えていてもよい。
また、足の路面に対する干渉を少なくして姿勢安定性を向上するため、前記足底部材は前記足甲部材に遊動可能に取り付けられるようにするとよい。この場合に、足底部材と足甲部材の間に該足底部材の遊動に伴う該足甲部材への衝撃の伝達を緩和するための緩衝手段乃至付勢手段を介装するとよい。
また、前記足底部材は前記足甲部材に締結条件を変更可能な締結手段により取り付けるようにすることができる。
本発明によると、足(足本体、足底部材)に該足に関連する情報が記憶された記憶手段を設けたので、可動脚の運動を制御するロボット本体の主制御系は制御に際して該記憶手段に記憶された情報を読み出して、該読み出した情報を含む情報に基づいて、可動脚の運動を制御することができるようになる。したがって、該足に関連する情報をロボットの主制御系が備えるメモリに入力する作業を行なう必要が無くなり、足の交換に伴う作業が簡易になるとともに、交換される予定のある複数の足に関連する情報をあらかじめ主制御系が備えるメモリに記憶しておく必要がなくなり、その分だけメモリの個数やメモリ容量を小さくし、あるいは他の情報の記憶に利用することができるようになる。
加えて、足全体を交換するのではなく、足底部材のみを交換する構成であり、足甲部材の部分については、各種の足底部材で共通に用いることができ、高効率的である。一般に、各種の路面状況に対応するためには、路面に接地される部分(足裏)の形状や材質などが大きなウエイトを占めるので、その部分の交換のみで十分対応することが可能である。
足本体又は足底部材に関連する情報とは、ロボットの全体的動作を制御するロボット本体の制御系が当該足又は足底部材に関して軌道計算、その他の運動制御上必要とする情報を含む情報であり、特に限定されないが、足本体又は足底部材の識別情報、形状(路面に対する接地面の形状など)、材質、重量、足裏面の摩擦係数、搭載されるセンサ(ZMP検出用の力センサ、衝突検出若しくは路面傾き検出用の加速度センサ、路面接地検出センサ、その他のセンサ)の個数、配置、特性(静的特性及び動的特性の双方を含む)を例示することができる。この関連する情報には、これらのすべての情報が含まれている必要はなく、これらのうちの少なくとも1つが含まれていればよい。
記憶手段としては、ROM、EPROM、SRAM、その他の電子的記憶装置のみならず、バーコードやピンなどの配列によるもの、記号や文字などによるもの、磁気的あるいは光学的に記録するもの、機械的なスイッチ、その他のあらゆる記憶手段が含まれる。この場合の読出手段としては、この記憶手段に対応したもの(例えば、CPUなどの処理装置、CCDなどの撮像素子)で、接触式、非接触式の別を問わない。
なお、足本体又は足甲部材にロボット本体の主制御系とは別に該主制御系と通信可能な足部制御系を設け、記憶手段から該足部制御系が情報を読み出して、そのままあるいは何らかの処理を施した上で、ロボット本体の主制御系に送るようにしてもよい。
また、本発明の他の側面に係る脚式移動ロボットは、可動脚を備え、前記可動脚に取り付けられる足甲部材と、足裏面に略平行な面に沿って遊動可能なように該足甲部材に取り付けられた足底部材とを備えて構成される。ここで、「足裏面」とは、脚式移動ロボットが平坦な床面に直立していると仮定したときに、該足底部材の該床面に当接している部分(複数の部分で当接している場合にはその全て)を含んで構成される面のことを言う。
足底部材は足裏面に略平行な面に沿って遊動可能なので、遊脚の着地時に路面に凹凸などがあり、足底部材の一部が該凹凸に干渉したような場合であっても、足底部材が当該面に沿って動くことによってその干渉を解消し、あるいは路面から受ける力を吸収することができるようになり、ロボットの安定した動作を継続できる。
前記足底部材は、前記足甲部材の下面に対面する底部と、前記足甲部材の側面に沿って離間して対面する側部とを有し、該足底部材は該足甲部材の側面と該側部との間の隙間の範囲内で遊動するように構成することができる。脚式移動ロボットの足は、歩行動作などに伴い足の裏面のみならず側部が何らかの物体に衝突あるいは干渉することがあるが、このように構成すれば、遊動可能な足底部材の側部が当該物体に衝突又は干渉することとなり、このとき足底部材全体が足甲部材の下面に沿って動くので、安定性を損なうことなく、動作を継続することができるようになる。
また、前記足底部材と前記足甲部材の間に緩衝手段を介装することができる。緩衝手段としては、弾性手段若しくは粘性手段又はこれらの双方を組み合わせたものを採用することができる。このような緩衝手段を介装することにより、足底部材から足甲部材に対する衝撃の伝達が緩和されるとともに、足底部材の振動を抑制できるので、騒音の発生をも抑制することができる。また、足底部材が足甲部材の下面に沿って単に遊動できるのみでは、足底部材が遊動限界に位置している場合には、その十分な効果を得ることができない場合があるが、このような緩衝手段を設けることにより、足底部材に外力が作用しない状態において足底部材を足甲部材に対して適宜な位置に設定することができる。
弾性手段と粘性手段を含む緩衝手段を設けた場合において、前記可動脚の歩行動作により前記足底部材が路面から離間してから着地するまでに要する時間内に前記足底部材の振動が所定値以下まで収束するように、該緩衝手段を構成する弾性手段の弾性係数及び粘性手段の粘性係数を設定することが望ましい。遊脚の着地時点において、所定値以上の振動が残存していると、ロボットの制御系による軌道計算やその他の制御のための計算を修正しなければならない場合があるからである。なお、所定値とは、ロボットの制御系が安定走行を実現するために許容する必要最小限の振動である。
また、本発明の他の側面に係る脚式移動ロボットは、可動脚及び該可動脚の運動を制御する制御手段を備え、該可動脚の先端部に設けられる足において、前記可動脚に取り付けられる足本体と、前記可動脚の運動を制御するための情報を検出する、前記足本体に設けられた少なくとも1つのセンサと、前記センサの出力に基づき該センサの種類に応じた所定の演算処理を実行する、前記足本体に設けられた足部処理手段とを備えて構成される。
あるいは、脚式移動ロボットは、前記可動脚に取り付けられる足本体と、前記可動脚の運動を制御するための情報を検出する、前記足本体に設けられた少なくとも一つのセンサと、前記センサの出力に基づき該センサの種類に応じた所定の演算処理を実行する、前記足本体に設けられた足部処理手段と、前記足部処理手段の出力を前記制御手段に供給する通信手段とを備えて構成される。
あるいは、脚式移動ロボットの該可動脚の先端部に設けられる足は、前記可動脚に取り付けられる足甲部材と、前記足甲部材に遊動可能に取り付けられた足底部材と、前記可動脚の運動を制御するための情報を検出する、前記足甲部材に設けられた少なくとも1つのセンサと、前記センサの出力に基づき該センサの種類に応じた所定の演算処理を実行する、前記足甲部材に設けられた足部処理手段とを備えて構成される。
あるいは、脚式移動ロボットは、前記可動脚に取り付けられた足甲部材と、前記足甲部材に遊動可能に取り付けられた足底部材と、前記可動脚の運動を制御するための情報を検出する、前記足甲部材に設けられた少なくとも1つのセンサと、前記センサの出力に基づき該センサの種類に応じた所定の演算処理を実行する、前記足甲部材に設けられた足部処理手段と、前記足部処理手段の出力を前記制御手段に供給する通信手段とを備えて構成される。
前記センサとしては、力センサや加速度センサを例示することができる。これらのセンサの種類、設置目的については特に限定されない。足部処理手段は、これらのセンサの種類、設置目的などに応じた演算処理を実行する。例えば、足本体又は足底部材が裏面の接地される接地部により構成される面(足裏面)に対して略直交する方向に作用する圧力を複数箇所(少なくとも3箇所)で検出する力センサの出力に基づいて、当該足部に係るZMPを算出し、加速度センサの出力に基づいて、足部の障害物への衝突や躓きなどを検出するための演算を実施し、あるいは加速度センサの出力に基づいて、足部が接地している路面の傾斜角度を求めるための演算を実施する。
本発明によると、足本体又は足甲部材にZMPを算出する足部処理手段を設け、該足部処理手段により該センサの出力に基づいて該ZMPを算出させるようにしたので、ロボット本体の制御手段はその演算結果の供給を受けて、これを含む情報に基づいて可動脚の運動を制御することができる。したがって、ロボット本体の制御手段は、ZMPの算出処理を行なうことなく、可動脚の運動制御など他の演算処理に専念することができ、処理負担が軽減される。これにより、緊急度の高い処理を遅滞なく行なえるようになるとともに、さらに計算量の多い複雑な動作を行ない得るようになる。
さらに、各センサを足部処理手段との関係で最適化しておくことにより、センサの種類、特性、数などの相違を吸収することが可能、即ち、足のいわゆるモジュール化が可能であり、足の交換に伴うロボット本体の機構や情報の変更を少なくすることができ、足の交換に伴う作業が容易化される。
センサをその出力に基づきZMPを算出する足部処理手段と同じ足甲部材に設けているので、該センサを足底部材に設ける場合と比較して、センサと足部処理手段をつなぐ配線に可動部がなく、配線によって足底部材の遊動が阻害されたり、足底部材の遊動により該配線が損傷したりすることが少ない。特に、ZMP検出用センサを足甲部材の下面に設けたものにあっては、該ZMP検出用センサは、ZMPの検出上、路面と同一視できる足底部材の上面から圧力を受けることになり、路面状況の変化に伴い生じることがある検出値の誤差を少なくすることができ、より正確なZMPを求めることが可能となる。
また、前記足本体を、着脱手段を介して前記可動脚に着脱自在に装着するように構成することができる。
あるいは、前記足底部材を、着脱手段を介して前記足甲部材に着脱自在に装着するようにできる。また、これとの組み合わせにおいて、あるいは単独で、前記足甲部材を、着脱手段を介して前記可動脚に着脱自在に装着するようにしてもよい。
本発明によると、足本体又は足甲部材に設けられたセンサの出力を処理する足部処理手段を当該足本体又は足甲部材に設けたので、ロボット本体の制御手段はその処理結果の供給を受けて、これを含む情報に基づいて可動脚の運動を制御することができる。したがって、ロボット本体の制御手段は、当該足本体又は足甲部材に設けられたセンサの出力についての処理(例えば、該センサがZMP検出用のセンサである場合には該ZMPの算出、加速度センサである場合には路面の傾斜の算出や躓きの検出などのための処理)を行なうことなく、可動脚の運動制御など他の演算処理に専念することができ、処理負担が軽減される。これにより、緊急度の高い処理を遅滞なく行なえるようになるとともに、さらに計算量の多い複雑な動作を行ない得るようになる。
また、足本体又は足甲部材に設けられたセンサの検出値を制御手段に供給するために従来は各センサ毎に専用の配線により行なう必要があったが、各センサの検出値が足部処理手段によって処理された後に、その結果が制御手段に送られるので、より簡易な配線で対応することが可能である。
さらに、足本体又は足甲部材に設けられたセンサを足部処理手段との関係で最適化しておくことにより、センサの種類、特性、数などの相違を吸収することが可能、即ち、足のモジュール化が可能であり、足の交換に伴うロボット本体の機構や情報の変更を少なくすることができ、足の交換に伴う作業が容易化される。
また、センサをその出力を処理する足部処理手段と同じ足甲部材に設けているので、センサと足部処理手段をつなぐ配線に可動部がなく、配線によって足底部材の遊動が阻害されたり、足底部材の遊動により該配線が損傷したりすることが少ない。
また、足底部材をその足裏面に略平行な面に沿って遊動可能なように足甲部材に取り付けるようにすれば、遊脚の着地時に路面に凹凸などがあり、足底部材の一部が該凹凸に干渉したような場合であっても、足底部材が当該面に沿って動くことによってその干渉を解消し、あるいは路面から受ける力を吸収することができるようになり、ロボットの安定した動作を継続することができるようになる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
全体構成
まず、その脚式移動ロボットの全体構成について図1〜図3を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施の形態の「人間型」の脚式移動ロボット100が直立している様子を前方から眺望した様子を示している。また、図2には、その脚式移動ロボット100が直立している様子を後方から眺望した様子を示している。
脚式移動ロボット100は、各図に示すように、脚式移動を行なう可動脚としての左右2足の下肢110、体幹部120、左右の上肢130及び頭部140を有する。
左右各々の下肢110は、大腿部111、膝関節112、頸部113、足首114及び足部150を有し、股関節115によって体幹部120の下端に連結されている。
また、左右各々の上肢130は、上腕131、肘関節132及び前腕133を有し、肩関節134によって体幹部120の上方の左右各側縁に連結されている。
また、頭部140は、首関節141によって体幹部120の上端中央に連結されている。
なお、以下では、説明の便宜上、足部150の説明において、足部150の裏面の路面(床面)に当接する部分を含んで構成される面をX−Y平面とし、該X−Y平面内において、ロボットの前後方向をX軸とし、ロボットの左右方向をY軸とし、これらに直交する方向をZ軸として説明する。
また、以下の図面中で、符号Rが付されている箇所は、円滑な曲面部分であることを示す。
各関節には、アクチュエータが配設されており、このアクチュエータの駆動によってロボットの動作は実現される。この関節アクチュエータは、装置の外観上余分な膨らみを排して人の自然形状に近似させることや、不安定構造体に対して姿勢制御を行ない2足歩行を行なうなどの種々の要請から、小型且つ軽量であることが好ましい。このため、本実施の形態の脚式移動ロボット100では、ギア直結型で、サーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニットに内臓した小型ACサーボ・アクチュエータを搭載している。なお、小型ACサーボ・アクチュエータについては、例えば本出願人に関わる特願平11−3386号明細書に記載されている。
体幹部120の内部には、図1及び図2上では見えていない主制御ユニットや電源回路その他の周辺機器類が搭載されている。
制御システム
次に、このような脚式移動ロボット100の制御システムについて図3を参照して説明する。
図3は、脚式移動ロボット100の制御システムの構成の概略を示している。主制御ユニット(制御手段)300は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、動作パターンなどが格納されているROM(Read Only Memory)303、脚式移動ロボット100に搭載される各種センサ306の出力としてのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器305、及び、これらを相互に接続するバス304を有する。
なお、詳細は後述するが、足部150に設けられたROM305もバス304を介して接続される。
CPU301は、ROM303に記憶されている情報や各種センサ306の出力に基づいて、脚式移動ロボット100の動作を決定し、各関節に配置されたACサーボ・アクチュエータ307への動作指令値を含む制御信号を生成する。そして、CPU301は、生成した各関節に対する制御信号を、バス304を介して主制御ユニット300に接続されているACサーボ・アクチュエータ307に印加する。これにより、各ACサーボ・アクチュエータ307は、制御信号に含まれる動作指令値に基づいて作動され、脚式移動ロボット100は、歩行動作を含むさまざまな動作を行なう。
なお、脚式移動ロボット100の主制御ユニットや電源回路その他の周辺機器類などは、図1及び図2上では見えていない脚式移動ロボット100の体幹部120の内部に設けられる。
足部
足部150の第1の具体例150aの構成について、図4〜図8を参照して説明する。
図4は、足部の第1の具体例150aの斜視図であり、図5は側面図であり、図6は裏面図であり、図7は図6のA−A線に沿って切断した断面図であり、図8は図6のB−B線に沿って切断した断面図である。
第1の構成に係る足部150aは、矩形板形状の部材から形成された足本体160、及び、足本体の上面162に足本体160と一体的に設けられ、左右各々の下肢110の足首114に連結される連結部161を有する。
足本体160の下面(足裏面)には、その周縁部から足本体の中央方向に向かって緩やかに傾斜している傾斜面172によりドーム形状に陥没している第1の凹部(窪み)170が形成されている。
そして、この第1の凹部170の表面に、外部から力が印加されることにより所定の弾性力を抗力として発揮しながら変形し、また、その外部からの力が消滅することにより元の形状に復元する柔軟部190が形成されている。
この柔軟部190は、所定の柔軟部材が第1の凹部170の表面を被覆し、第1の凹部170により形成される凹部空間をある程度埋めるように、一方で、足部150aが平坦な路面に着地した時には柔軟部190の表面が路面に接しないように、所定の柔軟部材を第1の凹部170に充填することにより形成される。
具体的には、この柔軟部材は、例えばゴム、粘土、ウレタンなどの、弾性、粘性あるいは柔軟性を有する任意の部材で構成される。また、形状の復元までに時間がかかるような、換言すればある程度の形状記憶機能を有するような、ヒステリシスの特性を有するαゲル、メモリフォーム、粉を袋に封入した部材などの材料で構成すればなお好適である。
このような構造の足部150aにおいては、第1の凹部170を取り囲んでおり足本体160の裏面で最も突出して周縁部が、接地面(歩行面)と実際に接触する接地部165となる。したがって、足本体160の足裏面(接地面)が路面に接地された時には、この接地部165が路面に一様に当接して脚式移動ロボット100の加重を支え、第1の凹部170及び第1の凹部170内に形成された柔軟部190の表面は、路面から浮いた状態となる。
また、足本体160の裏面の周縁における角部、すなわち、足本体160の側面163から接地部165又は第1の凹部の傾斜面172に至る部分は、滑らかな円弧曲面(R面)164として構成されている。このような形状に構成することで、例えば足部150aの周縁角部が路面の凸部に衝突する、路面に食い込むなどによる脚式移動ロボット100の躓きを防止することができる。また、脚式移動ロボット100が転倒する可能性にさらされた場合でも、安全な転倒動作へスムーズに移行することができる。
第1の具体例の足部150aは、このような構造を有しており、足本体160の裏面の接地部165の内側に第1の凹部170を有しているので、脚式移動ロボットの歩行動作に伴いZMPの位置が変化して、足部150aに変形が生じた場合であっても、接地部165の実質的な位置及び形状の変化は極めて小さいものとなり、前述した抗力発生実効面の形状の変化、面積の現象などを抑制することができる。この結果、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力の変化も小さくなり、ロボットの挙動に予期せぬ変化をもたらすことが少なくなり、ロボットが接地部を中心として回転してしまうスピン運動が発生する可能性を低くすることができる。したがって、ロボットの姿勢の安定性が高く、安定した動作を継続することができる。
また、路面に対して離反する第1の凹部を設けたことにより、路面への接地圧力を高くすることができ、脚式移動ロボットに発生するヨー軸回りのモーメントに対してロバストすることができる。また、路面との間の摩擦力の極端な上昇を防ぐことができ、これによってもロボットの躓きを抑制することができる。
また特に、足部150aにおいては、柔軟部190を足部150aの裏面の凹部170内に形成しているので、足部150aのその他の形状及び構造のみでは対応できない、例えば滑落などの危険な挙動となるような状態においても、適切に対応することができる。そのような特殊な状態における足部150aの状態、動作については、後に具体的に説明する。
なお、足本体160の材質としては、なるべく軽量で強度の優れた、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などが好適である。
足部150の第2の具体例150bの構成について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、足部の第2の具体例150bの斜視図であり、図10は断面図である。
足部150bは、矩形板形状の部材から形成された足本体200、及び、足本体の上面202に足本体200と一体的に設けられ、左右各々の下肢110の足首114に連結される連結部201を有する。足本体200の下面(足裏面)には、その周縁部から内側方向に向かって緩やかな傾斜面212によりドーム形状に陥没している第1の凹部(窪み)210が形成されている。
また、足部150bの底面の内側及び外側の周縁部中央付近は、その部分において足本体200が床面(歩行面)と接触しないように、第1の凹部210を形成する面(天井面)に沿って切り欠かれ開放された状態となっている。すなわち、足本体200の中央部において第1の凹部210の側壁でもある足本体200の周縁部がトンネル形状で横方向(歩行方向に垂直な方向)に切り欠かれている。そして、これら第1の凹部210及び左右の切り欠き部206により構成される足本体200の裏側の凹部全体が、足部150bの言わば土踏まず部207を形成している。
第1の凹部210の表面に、第1の具体例の足部150aと同様に、外部から力が印加されることにより所定の弾性力を抗力として発揮しながらで変形し、また、その外部からの力が消滅することにより元の形状に復元する柔軟部230が形成される。
この柔軟部230は、所定の柔軟部材が第1の凹部210の表面を被覆し、第1の凹部210により形成される凹部空間をある程度埋めるように、一方で、足部150bが平坦な路面に着地した時には柔軟部230の表面が路面に接しないように、所定の柔軟部材を第1の凹部210に充填することにより形成する。柔軟部230の具体的な材料などは、前述した第1の足部150aの場合と同じなので説明は省略する。
このような構造の足部150bにおいては、第1の凹部210を取り囲み足本体200の裏面で最も突出している底面部分、すなわち土踏まず部207の前後の底面部分が、接地面(歩行面)と実際に接触する接地部205となる。したがって、足本体200の足裏面(接地面)が路面に接地された時には、この接地部205が路面に一様に当接して脚式移動ロボット100の加重を支え、土踏まず部207及び柔軟部230の表面は、路面から浮いた状態となる。
また、足本体200の裏面の周縁の角部、すなわち足本体200の側面203から接地部205又は第1の凹部の傾斜面212に至る部分は、滑らかな円弧曲面(R面)204として構成されている。このような構成により、例えば足部150aの周縁角部が路面の凸部に衝突する、路面に食い込むなどによる脚式移動ロボット100の躓きを防止することができる。また、脚式移動ロボット100が転倒する可能性にさらされた場合でも、安全な転倒動作へスムーズに移行することができる。
第2の具体例の足部150bは、第1の具体例の足部150aと同様に、足本体200の裏面に土踏まず部207を有しているので、脚式移動ロボットの歩行動作に伴いZMPの位置が変化して、足部150bに変形が生じた場合であっても、抗力発生実効面の形状の変化、面積の現象などを抑制することができる。この結果、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力の変化も小さくなり、ロボットの挙動に予期せぬ変化をもたらすことが少なくなり、ロボットが接地部を中心として回転してしまうスピン運動が発生する可能性を低くすることができる。したがって、ロボットの姿勢の安定性が高く、安定した動作を継続することができる。
また、路面に対して離反する土踏まず部を設けたことにより、路面への接地圧力を高くすることができ、脚式移動ロボットに発生する、ヨー軸回りのモーメントに対してロバストすることができる。また、路面との間の摩擦力の極端な上昇を防ぎ、ロボットの躓きを抑制することができる。また、特に、足部150bにおいては、柔軟部230を足部150bの裏面の凹部210内に形成しているので、足部150bのその他の形状及び構造のみでは対応できない、例えば滑落などの危険な挙動となるような状態においても、適切に対応して対応することができる。このような特殊な状態における足部150bの状態、動作については、後に具体的に説明する。
なお、足本体200の材質としては、なるべく軽量で強度の優れた、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などが好適である。
足部150の第3の具体例150cの構成について、図11〜図15を参照して説明する。
図11は、足部の第3の具体例150cの斜視図であり、図12は側面図であり、図13は底面図である。また、図14及び図15は、足部150cの好適な大きさの説明をするための図である。
足部150cは、矩形板形状の部材から形成された足本体240、及び、足本体の上面242に足本体240と一体的に設けられ、左右各々の下肢110の足首114に連結される連結部241を有する。
足本体240の下面(足裏面)には、その周縁部から内側方向に向かって緩やかに傾斜する傾斜面252によりドーム形状に陥没している第1の凹部(窪み)250と、足本体240の中央部において第1の凹部250よりさらに1段、円柱形状で足本体240内部に陥没している第2の凹部(窪み)260が形成されている。
また、足部150cの底面の内側及び外側の周縁部中央付近は、その部分において足本体240が床面(歩行面)と接触しないように、第2の凹部260の底面(天井面)部分まで切り欠かれ開放された状態となっている。換言すれば、第1の凹部250の底面(天井面)及び第2の凹部260の側壁の一部が足本体240の底面のX方向の中央部において除去され、第2の凹部が歩行方向の中央部において、横方向(Y方向)に貫通するように形成されている。これら第1の凹部250、第2の凹部260及び切り欠き部246により構成される足本体240の裏側の凹部全体が、足部150cの言わば土踏まず部247を形成している。
また、第2の凹部260の内部に、外部から力が印加されることにより所定の弾性力を抗力として発揮しながら変形し、その外部からの力が消滅することにより元の形状に復元する柔軟部270が形成されている。柔軟部270は、所定の柔軟部材が第2の凹部260の底面(天井面)261を被覆し、第2の凹部260により形成される凹部空間をある程度埋めるように、一方で足部150cが平坦な路面に着地した時には柔軟部270の表面が路面に接しないように、所定の柔軟部材を第2の凹部260に充填することにより形成する。柔軟部270の具体的な材料などは、前述した第1の足部150aの場合と同じなので説明は省略する。
このような構造の足部150cにおいては、第1の凹部250の周縁部の足本体240の裏面で最も突出している部分が、接地面(歩行面)と実際に接触する接地部245となる。したがって、足本体240の足裏面(接地面)が路面に接地された時には、この接地部245が路面に一様に当接して脚式移動ロボット100の加重を支え、土踏まず部247は路面から浮いた状態となる。
また、第2の凹部260の側面262は、第1の凹部250の傾斜面252に対してほぼ折れ曲がったように不連続に接続し、また、接地面に対して垂直な鉛直方向(Z方向)にほぼ沿った角度で形成される。第2の凹部260の側面を上述したような構成とすることで、例えば絨毯などの柔軟な床面を歩行する場合において、絨毯の毛などの柔軟物がこの第2の凹部260まで侵入してきた場合には、この第2の凹部260の側面にそのような柔軟物を衝突させ、また不連続な端部で毛を引っ掛けることができる。この結果、毛に対しては毛の進行方向に対して抗力、反力が作用し、さらに足部150cの歩行面に対する摩擦力として作用することとなる。したがって、このような滑り易い歩行面上においても適度な摩擦力を得ることができ、制動力や推進力の効率を上げることができる。
また、第1の凹部250の傾斜面及び第2の凹部260の側壁の一部であって、切り欠き部246に面する端部253は、図13に示すように、滑らかな円弧曲面(R面)として形成されている。このような構成により、絨毯上などの柔軟な移動面での食い込みを調整し、これに基づく転倒モーメントの発生を抑止することができる。また、床面を保護することもできる。
また、足本体240の裏面の周縁の角部、すなわち、足本体240の側面243から接地部245に至る部分は、滑らかな円弧曲面(R面)244として構成されている。このような形状に構成することで、例えば足部150cの周縁角部が路面の凸部に衝突する、路面に食い込むなどによる脚式移動ロボット100の躓きを防止することができる。また、脚式移動ロボット100が転倒する可能性にさらされた場合でも、安全な転倒動作へスムーズに移行することができる。
ここで、この第3の具体例の足部150cのサイズについて図14及び図15を参照して説明する。図示の構造の足部150cの大きさは、例えば脚式移動ロボット本体のサイズなどに応じて任意に決めてよい。しかしながら、例えば脚式移動ロボットが日本の家屋内を歩行することを想定すると、襖の敷居の凹凸が小型の脚式移動ロボットの歩行にとって大きな障害となることが予測される。したがって、この敷居を安定に歩行するために、足部150cのサイズを所定の条件に適合するように構成することは、非常に有効である。襖の敷居を踏んでも安定して歩行可能な足部150cの条件について説明する。
この場合、考慮すべき条件は、足150cの接地部245を、敷居の溝に落ちない大きさとすることである。図14に示すように、足部150cは、歩行方向に対して前後方向の、第1の凹部250の端部が接地部245となっている。接地部245のさらに周縁側は、円滑な曲面244により足本体240の側面243につながっており、また、接地部245の足本体の中央側は、第1の凹部250の緩やかな傾斜面252となっている。したがって、傾斜面252から足本体240の周縁角の曲面までの範囲が、足本体から突出している接地領域であると考えられ、この部分が敷居の溝に落ちなければよいと考えられる。したがって、図14に示すように、この接地領域の歩行方向(X方向)の長さL1,L2、足部150cの全体の長さL、及び、この接地領域の横方向(Y方向)の長さとしての足部150cの横幅Wについて、条件を設定する。
一方、日本家屋に用いられる敷居は、例えば図15に示すような形状である。図15(A)は、溝が2本の敷居を、図15(B)は、溝が3本の敷居を示す。図15(A)及び図15(B)において、各々溝の部分の長さをLg1,Lg2,Lg3、山の部分の長さをLm1,Lm2とする。なお、通常の広く用いられている敷居は、Lg1=Lg2=Lg3=21mm、Lm1=Lm2=12mmである。
そして、脚式移動ロボットが通常の歩行方向に歩いた場合に、その足150cが、溝が2つの敷居の溝に落ちないためには、式(1)の条件を満たすような接地領域及び足のサイズである必要がある。
また、脚式移動ロボットが通常の歩行方向に歩いた場合に、その足150cが、溝が3つの敷居の溝に落ちないためには、式(2)の条件を満たすような接地領域及び足のサイズである必要がある。
したがって、前述したような通常の敷居を想定すれば、脚式移動ロボットの足150cが溝2つからなる敷居に落ちないためには、L1、L2>21mm、L>54mm、また、脚式移動ロボットの足150cが溝3つからなる敷居に落ちないためには、21<L1,L2<45mm、L>54mmという条件を満たす必要がある。但し、本実施形態の足150cは、L=105.8mm、W=69.8mm、L1=L2=33mmである。
脚式移動ロボットが横歩きをする場合には、足150cの横方向の長さについても歩行方向と同様の条件を設定する必要があるが、足150cについては、分割されていないので敷居の溝の幅に対して十分な長さがある。したがって、ここでは説明を省略する。
足部150cは、上述したような構造を有しており、第1及び第2の具体例の足部150a,150bと同様に、足本体200の裏面に土踏まず部247を有しているので、脚式移動ロボットの歩行動作に伴いZMPの位置が変化して、足部150cに変形が生じた場合であっても、抗力発生実効面の形状の変化、面積の現象などを抑制することができる。その結果、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力の変化も小さくなり、ロボットの挙動に予期せぬ変化をもたらすことが少なくなり、ロボットが接地部を中心として回転してしまういわゆるスピン運動が発生する可能性を低くすることができる。したがって、ロボットの姿勢の安定性が高く、安定した動作を継続することができる。
また、路面に対して離反する土踏まず部を設けたことにより、路面への接地圧力を高くすることができ、脚式移動ロボットに発生する、ヨー軸回りのモーメントに対してロバストすることができる。また、路面との間の摩擦力の極端な上昇を防ぐことができ、これによってもロボットの躓きを抑制することができる。
また、特に、足部150cにおいては、柔軟部270を足部150cの裏面の第2の凹部260内に形成しているので、足部150cのその他の形状及び構造のみでは対応できない、例えば滑落などの危険な挙動となるような状態においても、適切に対応して対応することができる。但し、特殊な状態における足部150cの状態、動作については後に具体的に説明する。
なお、足本体160の材質としては、なるべく軽量で強度の優れた、例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金などが好適である。
足部150の第4の具体例について、図16〜図23を参照しながら説明する。
図16は、足部150の斜視図、図17は足部150の側面図、図18は足部150の裏面図、図19は図18のA−A線に沿って切断した断面図であり、図20は図18のB−B線に沿って切断した断面図であり、図21は図18のC−C線に沿って切断した断面図である。また、図22及び図23は、足部150の好適な大きさの説明をするための図である。
足部150は、矩形板形状の部材から形成された足本体240、及び、足本体の上面242に足本体240と一体的に設けられ、左右各々の下肢110の足首114に連結される連結部241を有する。
足本体240の下面(足裏面)には、その4隅から内側方向に向かって緩やかに傾斜する傾斜面252により仮想的にドーム形状に陥没している第1の凹部(窪み)250と、足本体240の略中央部において第1の凹部250よりさらに1段、仮想的に円柱形状で足本体240内部に陥没している第2の凹部(窪み)260が形成されている。
また、足部150の底面の4個の周縁部の中央付近においては、各々、その部分において足本体240が床面(歩行面)と接触しないように、第2の凹部260の底面(天井面)と同じ深さで、足本体240の中央付近と足本体との外部とを貫通する溝246a〜246dが設けられている。
したがって、第1の凹部250並びに第2の凹部260及び溝246により構成される足本体240の裏側の凹部が、足部150の土踏まず部247を構成することとなる。なお、ここで、土踏まず部247とは、足部150の裏面の凹部を広く示すものとして扱う。すなわち、4個の溝246a〜246dに対応する凹部の個々、横方向又は歩行方向の一連の溝、あるいは足部150の裏面の凹部全体のいずれかを土踏まず部と称してもよいものとする。
足部150の裏面がこのような4つの溝246a〜246dにより区切られることにより、足部150の裏面には、結果的に4つの角部付近に4個の凸部が形成されることとなる。そして、各凸部において、その最も突出した箇所が接地面(歩行面)と実際に接触する接地部245となる。
この凸部は、第1の凹部250の傾斜面252及び後述する足本体260の角部に形成する円滑な曲面244を含むものであるが、通常、この傾斜面252と曲面244の境界部分が最も突出した位置で接地部245となる。
足本体240の足裏面(接地面)が路面に接地されたときには、接地部245が路面に一様に当接して脚式移動ロボット100の加重を支えることとなり、土踏まず部247は路面から浮いた状態となる。
また、第2の凹部260の内部には、外部から力が印加されることにより所定の弾性力を抗力として発揮しながら変形し、また、外部からの力が消滅することにより元の形状に復元する柔軟部270が形成されている。
柔軟部270は、所定の柔軟部材が第2の凹部260の底面(天井面)261を被覆し、第2の凹部260により形成される凹部空間をある程度埋めるように、一方で足部150が平坦な路面に着地したときには柔軟部270の表面が路面に接しないように、所定の柔軟部材を第2の凹部260に充填して形成する。
具体的には、この柔軟部材は、例えばゴム、粘土、ウレタンなどの、弾性、粘性あるいは柔軟性を有する任意の部材で構成される。また、形状の復元までに時間がかかるような、換言すればある程度の形状記憶機能を有するような、ヒステリシスの特性を有するαゲル、メモリフォーム、粉を袋に封入した部材などの材料で構成すればなお好適である。
また、第2の凹部260及び溝246の側面262は、第1の凹部250の傾斜面252に対してほぼ折れ曲がったように不連続に接続し、また、接地面に対して垂直な鉛直方向(Z方向)にほぼ沿った角度で形成される。第2の凹部260及び溝246の側面262をこのような構成とすることで、例えば絨毯などの柔軟な床面を歩行する場合において、絨毯の毛などの柔軟物がこの土踏まず部247まで侵入してきた場合には、この側面262にこのような柔軟物を衝突させ、また不連続な端部で毛を引っ掛けることができる。こ結果、毛に対しては毛の進行方向に対して抗力、反力が作用し、さらに足部150の歩行面に対する摩擦力として作用することとなる。したがって、滑り易い歩行面上においても適度な摩擦力を得ることができ、制動力や推進力の効率を上げることができる。
また、溝246の側面262の足本体240の側面の開口部付近の端部253は、図6に示すように、滑らかな円弧曲面(R面)として形成されている。このような構成にすることで、絨毯上などの柔軟な移動面での食い込みを調整し、転倒モーメントの発生を抑止することができる。また、床面を保護することもできる。
また、足本体240の裏面の周縁の角部、すなわち、足本体240の側面243から接地部245または第1の凹部250の傾斜面252に至る部分は、滑らかな円弧曲面(R面)244として構成されている。このような構成にすることで、例えば足部150の周縁角部が路面の凸部に衝突する、路面に食い込むなどによる脚式移動ロボット100の躓きを防止することができる。また、転倒する可能性にさらされた場合でも、安全な転倒動作へスムーズに移行することができる。なお、足本体160の材質としては、なるべく軽量で強度の優れた、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などが好適である。
ここで、この足部150のサイズについて図22及び図23を参照しながら説明する。
足部150の大きさは、例えば脚式移動ロボット本体のサイズなどに応じて任意に決めてよい。しかしながら、例えば脚式移動ロボットが日本の家屋内を歩行することを想定すると、襖の敷居の凹凸が小型の脚式移動ロボットの歩行にとって大きな障害となることが予測される。したがって、敷居を安定に歩行するために、足部150のサイズを所定の条件に適合するように構成することは、非常に有効である。襖の敷居を踏んでも安定して歩行可能な足部150の条件について説明する。
この場合、考慮すべき条件は、足150の接地部245を、敷居の溝に落ちない大きさとすることである。図10に示すように、足部150は、歩行方向に対して前後方向の、第1の凹部250の端部が接地部245となっている。接地部245のさらに周縁側は、円滑な曲面244により足本体240の側面243につながっており、また、この接地部245の足本体の中央側は、第1の凹部250の緩やかな傾斜面252となっている。したがって、傾斜面252から足本体240の周縁角の曲面までの凸部が、足本体から突出している接地領域であると考えられ、この部分が敷居の溝に落ちなければよいと考えられる。
なお、脚式移動ロボットが通常の進行方向にのみ歩行するのであれば、足部150のサイズについては、敷居の溝に垂直な方向、すなわち歩行方向(X方向)のみを規定すればよいが、ここでは脚式移動ロボットが横歩きをして敷居を踏む場合を想定して、歩行方向に垂直な横方向(Y方向)についても同一の敷居の条件によりサイズの条件を設定する。
したがって、本実施の形態の足150については、図22に示すように、この接地領域の歩行方向(X方向)の長さL1,L2、足部150の全体の長さL、この接地領域の横方向(Y方向)の長さW1,W2、及び、足部150の全体の横幅Wについて条件を設定する。
日本家屋に用いられる敷居は、例えば図11に示すような形状である。図23(A)は溝が2本の敷居を、図23(B)は溝が3本の敷居を示す。図23(A)及び図23(B)において、各々溝の部分の長さをLg1,Lg2,Lg3、山の部分の長さをLm1,Lm2とする。なお、通常の広く用いられている敷居は、Lg1=Lg2=Lg3=21mm、Lm1=Lm2=12mmである。
脚式移動ロボットが通常の歩行方向に歩いた場合に、足150が溝2つからなる敷居の溝に落ちないためには、式(3)の条件を満たすような接地領域及び足のサイズである必要がある。
また、脚式移動ロボットが通常の歩行方向に歩いた場合に、足150が溝3つからなる敷居の溝に落ちないためには、式(4)の条件を満たすような接地領域及び足のサイズである必要がある。
したがって、脚式移動ロボットの足150の接地部が溝2つからなる敷居に落ちないためにはL1、L2>21mm、L>54mm、また、脚式移動ロボットの足150が溝3つからなる敷居の溝に落ちないためには21<L1,L2<45mm、L>54mmという条件を満たす必要がある。
また、脚式移動ロボットが横方向に歩いた場合に、足150が溝2つからなる敷居の溝に落ちないためには、式(5)の条件を満たすような接地領域及び足のサイズである必要がある。
また、脚式移動ロボットが横方向に歩いた場合に、足150が溝3つからなる敷居の溝に落ちないためには、式(6)の条件を満たすような接地領域及び足のサイズである必要がある。
したがって、脚式移動ロボットの足150の接地部が溝2つからなる敷居に落ちないためにはW1、W2>21mm、W>54mm、また、脚式移動ロボットの足150が溝3つからなる敷居に落ちないためには21<W1,W2<45mm、W>54mmという条件を満たす必要がある。
なお、足150に実際のサイズはL=105.8mm、W=69.8mm、L1=L2=33mmであり、これらの条件をすべて満たしている。
足部150の第5の具体例について、図24〜図29を参照しながら説明する。
図24〜図29は各々他の足部150bの斜視図、側面図、裏面図、断面図である。
足部150bは、図示のごとく、第2の凹部の天井面がドーム形状に構成されており、これにより柔軟部190の形成状態も異なる。足部の構成は、想定される歩行環境、障害などに応じて、所望の挙動をするように任意に決定してよい。
例えば、柔軟部190,230は第1の凹部170,210の内面を覆い、また、足部150は、柔軟部270は第2の凹部260の天井面261を覆うように形成されている。但し、いずれの場合においても柔軟部はこのように形成面をすべて覆うように形成されなければならないものではない。第1及び第2の凹部の一部のみを覆うように形成したり、路面の凸部が侵入する可能性の高い部位に選択的に設けたり、あるいは部分的な柔軟部を複数設けるような構成でもあってもよく、その形成形態は任意に決定してよい。
また、柔軟部の材料は、本実施の形態においては、弾性及び粘性を有し、さらにヒステリシス特性を有するものが好適としたが、これに限定されず、柔軟性を有するものであれば任意の材料を用いてよい。例えば、ヒステリシス性がなくとも十分な用途には、ヒステリシス性を有しない材料を用いるようにしてもよい。
また、足部150においては、第2の凹部260の側面262は、接地面に対してほぼ垂直な方向に沿って、すなわち鉛直方向に沿って設けるものとしたが、これに限定されるものではない。第2の凹部260の側面262は、第1の凹部250の傾斜面252よりも、より鉛直方向に近い傾斜であれば第2の凹部260を形成するのに十分なものであり、任意の傾斜の側面であってよい。
なお、上述した脚式移動ロボットの足部に関する実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。本実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均など物をも含み、また、任意好適な種々の改変が可能である。
例えば、第1及び第2の足の具体例150a,150bにおいては、柔軟部190,230は第1の凹部170,210の内面を覆い、また、第3の足の具体例150cにおいては、柔軟部270は第2の凹部260の天井面261を覆うように形成されているが、いずれの場合においても柔軟部はこのように形成面をすべて覆うように形成されなければならないものではない。第1及び第2の凹部の一部のみを覆うように形成したり、路面の凸部が侵入する可能性の高い部位に選択的に設けたり、あるいは部分的な柔軟部を複数設けるような構成でもあってもよく、その形成形態は任意に決定してよい。
また、柔軟部の材料は、弾性及び粘性を有し、さらにヒステリシス特性を有するものが好適としたが、これに限られるものではない。柔軟性を有するものであれば任意の材料を用いてよい。例えば、ヒステリシス性がなくとも十分な用途には、ヒステリシス性を有しない材料を用いるようにしてもよい。
また、足部150cにおいては、第2の凹部260の側面262は、接地面に対してほぼ垂直な方向に沿って、すなわち鉛直方向に沿って設けるものとしたが、これに限定されるものではない。第2の凹部260の側面262は、第1の凹部250の傾斜面252よりも、より鉛直方向に近い傾斜であれば第2の凹部260を形成するのに十分なものであり、任意の傾斜の側面であってよい。
また、足部150cにおいては、第1の凹部250の傾斜面252と第2の凹部260の側面262とは、例えば所定の角度で接する角形状など、非連続に接するものとしたが、足本体240の底面の周縁角部と同様に、滑らかな曲面で結合するようにしてもよい。第2の凹部260の側面262及びその端部の形状などは、例えば柔軟な路面の歩行の有無、その柔軟な路面の特性などの条件、環境などに応じて任意に決定してよい。
また、足部150の裏面に設ける凹部は、ドーム形状(擂り鉢形状)に限定されず、接地部265より連続して足本体240の内側に陥没するような傾斜面(例えば、テーパ面など)を有していれば任意の形状でよい。例えば、四角錐形状や円錐形状、アーチ形状、トンネル形状などであってもよい。
足部150の第6の具体例について、図30〜図34を参照しながら説明する。
図30〜図32は足部150の構成を示す図であり、図30は斜視図、図31は側面図、図32は底面図である。
足部150は、矩形板形状の部材から形成された足本体160、及び、足本体の上面162に足本体160と一体的に設けられ、左右各々の下肢110の足首114に連結される連結部161を有する。
足本体160の下面(足裏面)には、その周縁部から内側方向に向かって緩やかな傾斜面172によりドーム形状に陥没している第1の凹部(窪み)170と、足本体160の略中央部において第1の凹部170よりさらに1段、円柱形状で足本体160内部に陥没している第2の凹部(窪み)180が形成されている。
また、足部150の底面の内側及び外側の周辺部中央付近は、その部分において足本体160が床面(歩行面)と接触しないように、第2の凹部180の底面(天井面)部分まで切り欠かれ開放された状態となっている。換言すれば、第1の凹部170の底面(天井面)かつ第2の凹部180の側壁の一部が足本体160の底面のX方向の中央部において除去され、第2の凹部が歩行方向の略中央部において、横方向(Y方向)に貫通するように形成されている。そして、第1の凹部170、第2の凹部180及び切り欠き部165により構成される足本体160の裏側の凹部全体が、足部150の言わば土踏まず部166を形成している。
足部150においては、第1の凹部170の周縁部であって、足本体160の裏面で最も突出している部分が、接地面(歩行面)と実際に接触する接地部171となる。したがって、足本体160の足裏面(接地面)が路面に接地されたときには、この接地部171が路面に一様に当接して脚式移動ロボット100の加重を支え、土踏まず部166は路面から浮いた状態となる。
また、第2の凹部180の側面は、第1の凹部170の傾斜面172に対してほぼ折れ曲がったように不連続に接続し、また、接地面に対して垂直な鉛直方向(Z方向)にほぼ沿った角度で形成される。第2の凹部180の側面をこのような構成とすることで、例えば絨毯などの柔軟な床面を歩行する場合において、絨毯の毛などの柔軟物がこの第2の凹部180まで侵入してきた場合には、この第2の凹部180の側面にそのような柔軟物を衝突させ、また不連続な端部で毛を引っ掛けることができる。この結果、毛に対しては毛の進行方向に対して抗力、反力が作用し、さらに足部150の歩行面に対する摩擦力として作用することとなる。したがって、滑り易い歩行面上においても適度な摩擦力を得ることができ、制動力や推進力の効率を上げることができる。
また、第1の凹部170の傾斜面及び第2の凹部180の側壁の一部であって、切り欠き部165に面する端部173は、滑らかな円弧曲面(R面)として形成されている。このような形状に構成することで、絨毯上などの柔軟な移動面での食い込みを調整し、これに基づく転倒モーメントの発生を抑止することができる。また、床面を保護することもできる。
また、足本体160の裏面周縁の角部、すなわち足本体160の側面163から接地部171に至る部分は、滑らかな円弧曲面(R面)164として構成されている。このような形状に構成することで、例えば足部150の周縁角部が路面の凸部に衝突する、路面に食い込むなどによる脚式移動ロボット100の躓きを防止することができる。また、脚式移動ロボット100が転倒する可能性にさらされた場合でも、安全な転倒動作へスムーズに移行することができる。
なお、足本体160の材質としては、なるべく軽量で強度の優れた、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などが好適である。
ここで、足部150のサイズについて図33及び図34を参照して説明する。 足部150の大きさは、例えば脚式移動ロボット本体のサイズなどに応じて任意に決めてよい。しかしながら、例えば日本の家屋内を歩行することを想定すると、襖の敷居の凹凸が小型の脚式移動ロボットの歩行にとって大きな障害となることが当然予測される。この敷居を安定に歩行するために、足部150のサイズを所定の条件を満足するように構成することは、非常に有効である。襖の敷居を踏んでも安定して歩行可能な足部150の条件について説明する。
ここで考慮すべき条件は、足150の接地部171を敷居の溝に落ちない大きさとすることである。図33に示すように、足部150は、歩行方向に対して前後方向にある第1の凹部170の端部が接地部171となっている。接地部171のさらに周縁側は、円滑な曲面164により足本体160の側面163につながっており、また、接地部171の足本体の中央側は、第1の凹部170の緩やかな傾斜面172となっている。したがって、傾斜面172から足本体160の周縁角の曲面までの範囲が、足本体から突出している広義の接地領域であると考えられ、この部分が敷居の溝に落ちなければよいと考えられる。
したがって、図33に示すように、この接地領域の歩行方向(X方向)の長さL1,L2、足部150cの全体の長さL、及び、この接地領域の横方向(Y方向)の長さとしての足部150cの横幅Wについて条件を設定する。
一方、日本家屋に用いられる敷居は例えば図34に示すような形状である。図34(A)は溝が2本の敷居を、図34(B)は溝が3本の敷居を示す。図34(A)及び図34(B)において、各々溝の部分の長さをLg1,Lg2,Lg 3、山の部分の長さをLm1,Lm2とする。なお、通常の広く用いられている敷居は、Lg1=Lg2=Lg3=21mm、Lm1=Lm2=12mmである。
そして、脚式移動ロボットが通常の歩行方向に歩いた場合に、足150が溝2つからなる敷居に落ちないためには、式(7)の条件を満たすような接地領域及び足のサイズである必要がある。
また、脚式移動ロボットが通常の歩行方向に歩いた場合に、足150cが、溝3つからなる敷居に落ちないためには、式(8)の条件を満たすような接地領域及び足のサイズである必要がある。
したがって、脚式移動ロボットの足150cが溝2つからなる敷居に落ちないためにはL1、L2>21mm、L>54mm、また、脚式移動ロボットの足150cが溝3つからなる敷居の溝に落ちないためには21<L1,L2<45mm、L>54mmという条件を満たす必要がある。なお、足150cは、L=105.8mm、W=69.8mm、L1=L2=33mmである。
なお、脚式移動ロボットが横歩きをする場合には、足150の横方向についても歩行方向と同様の条件を設定する必要があるが、足150についてはその接地領域は横方向に土踏まずなどにより分割されているものではなく、敷居の溝の幅に対して十分な長さがある。したがって、ここでは説明を省略する。
足部150の第7の具体例について、図35〜図39を参照しながら説明する。図35は斜視図、図36は側面図、図37は裏面図、図38は図37のA−A線に沿って切断した端面図、図39は図37のB−B線に沿って切断した端面図である。
第7の構成に係る足部は、左右各々の下肢110の足首114に連結される略矩形板状の部材から形成された足本体1000を備えて構成される。足本体1000の材質としては、なるべく軽量で且つ強度の点で優れた材料、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などを採用することができる。
足本体1000の上面1001には足首114に連結するための連結部1002が一体的に形成されている。足本体1000の下面(足裏面)には、その周縁部に路面に対する接地部1003が設けられている(図6の斜線を付した部分参照)。足本体1000の下面の接地部1003の内側には、凹状に陥没するように形成された斜面部1005を有する土踏まず部1004が形成されている。
土踏まず部1004は、ドーム状に陥没して形成されており、その周縁部は接地部1003に結合されている。すなわち、足本体1000の足裏面が路面に接地されたときに、接地部1003が路面に一様に当接し、土踏まず部1004は該路面から浮いた状態となるようになっている。但し、土踏まず部1004の形状は、ドーム状に限定されず、四角錐状、円錐状(擂り鉢状)であってもよい。土踏まず部1004の形状はその他の形状であってもよく、接地部1002に連続する内側に陥没するような傾斜面(例えば、テーパ面)を有していればよい。
足本体1000の側面1006と接地部(接地面)1003とは、滑らかな曲面で結合されている。この曲面は円弧面(R面)1007としている。また、接地部1003と土踏まず部1004も、同様に滑らかな曲面で結合することが望ましい。
足本体1000の足裏面にある接地部1003の内側に土踏まず部1004を有しているので、脚式移動ロボットの歩行動作に伴いZMPの位置が変化して、足本体1000に撓みが生じた場合であっても、接地部1003の実質的な位置及び形状の変化は極めて小さいものとなる。したがって、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力の変化も小さくなり、ロボットの挙動に予期せぬ変化をもたらすことが少なくなり、スピン運動(ロボットが接地部を中心として回転してしまう運動)が発生してしまうことを少なくすることができる。したがって、ロボットの姿勢の安定性が高く、安定した動作を継続することができる。また、路面に対して離反する土踏まず部1004を設けたので、接地部1003が足本体1000の中心から離れた位置に設定され、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力を損なうことなく、接地部1003の面積が小さくなるので、路面との間の摩擦力の極端な上昇を防ぐことができ、これによってもロボットの躓きを抑制することができる。
また、足本体1000の側面1006と接地部1003とは滑らかなR面1007で結合されているので、その部分が路面の凹凸に引っかかって躓くなどの障害を抑制することもでき、ロボットの転倒などを低減することができる。
さらに、路面に凹凸があり、足裏部の中間部分が路面の凸部に位置したような場合にも、土踏まず部1004が存在するので、足部が該凸部に乗っていわゆるシーソー状態となることも少なくなる。
足部150の第8の具体例について、図40〜図41を参照しながら説明する。図40は斜視図、図41は側断面図である。
第8の構成に係る足部は、左右各々の下肢110の足首114に連結される略矩形板状の部材から形成された足本体1100を備えて構成される。足本体1100の材質としては、なるべく軽量で且つ強度の点で優れた材料、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などを採用することができる。
足本体1100の上面には足首114に連結するための連結部1101が一体的に形成されている。足本体1100の下面(足裏面)には、その前後の端部近傍に路面に対する接地部1102がそれぞれ設けられている。足本体1100の下面の接地部1102の内側には、凹状に陥没するように土踏まず部1103が形成されている。
土踏まず部1103は、ドーム状に陥没して形成されており、その前後の周縁部は接地部1102に結合されている。また、左右の周縁部は足本体1100の側面に直接接続されており、足本体1100の足裏面が路面に接地されたときに、接地部1102が路面に一様に当接し、土踏まず部1103は左右に渡って貫通した状態となるようになっている。但し、土踏まず部1103の形状は、ドーム状に限定されず、四角錐状、円錐状(擂り鉢状)、アーチ面状であってもよい。土踏まず部1103の形状はその他の形状であってもよく、接地部1102に連続する内側に陥没するような傾斜面を有していればよい。
足本体1100の側面1104と接地部(接地面)1102とは、滑らかな曲面で結合されている。この曲面は円弧面(R面)としている。また、接地部1102と土踏まず部1103とも、同様に滑らかな曲面で結合することが望ましい。
足部150の第9の具体例について、図42〜図43を参照しながら説明する。図42は側断面図、図43は裏面図である。
第9の構成に係る足部は、左右各々の下肢110の足首114に連結される略矩形板状の部材から形成された足本体1200を備えて構成される。足本体1200の材質としては、なるべく軽量で且つ強度の点で優れた材料、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などを採用することができる。
足本体1200の上面には足首114に連結するための連結部1201が一体的に形成されている。足本体1200の下面(足裏面)には、その角部近傍にそれぞれ、すなわち4つの接地部1202a〜1202dが設けられている。足本体1200の下面の接地部1202a〜1202dの内側には、一対の斜面部1203及び該接地部1202a〜1202dにより構成される面に略平行で略円形の平坦面部1204を有する土踏まず部1205が形成されている。平坦面部1204は足本体1200の板厚が薄いためにその強度を確保するために設けたもので、板厚が十分に厚い場合には、平坦面部1204は設けずに、足本体1200の中央部分に行くに従がい徐々に深くなるように傾斜面を形成してもよい。
斜面部1203はその内側に行くにしたがって、陥没するように形成されており、一例として平均で1/20程度の傾斜を有している。斜面部1203は平坦面であってもよく、円錐面であってもよく、あるいは他の面形状を有していてもよい。ここでは、略円錐面(擂り鉢面)を採用しているが、その中央部分で傾斜角度が大きく、左右の両端部分に行くにしたがって、傾斜角度が小さくなるような斜面となっている。
参考のため、各部の詳細な寸法を示しておくと、足本体1200の接地部1202a〜1202dの部分における板厚はt1=5mm、平坦面部1204における板厚はt2=4.2mm、接地部近傍における側面との結合部分の曲面の半径はr1=4mm、側面間の結合部分の曲面の半径はr2=4mm、平坦面部の直径はd=66mm、対角にある接地部1202aと1202d又は1202bと1202cの間の寸法はD=100mm、斜面部1203の中央部における寸法m1=12mm、斜面部1203の両端部における寸法m2=30mmである。
接地部1202aと1202b及び接地部1202cと1202dの間を直線的に結んで(同じ高さとして)、直線状の接地部を構成してもよいし、接地部1202aと1202b及び接地部1202cと1202dの間を円弧状、あるいはその他の形状で凹状に陥没させてもよい。この場合、斜面部1203はこの形状に滑らかに連続するように修正される。
足部150の第10の具体例について、図44〜図45を参照しながら説明する。図44は平面図、図45は同じく一部を破断した側面図である。
第10の構成に係る足部は、左右各々の下肢110の足首114に連結される足甲部材1310及び路面に直接接地される足底部材1320を備えて構成され、足底部材1320を足甲部材1310に遊動可能に取り付けた二重構造となっている。
足甲部材1310は略矩形板状の部材で構成され、その上面には足首114に連結するための連結部1311が一体的に設けられている。足甲部材1310の下面には、図示は省略しているが、ZMPを算出するため、Z軸方向の圧力を検出する複数の力センサが配設されている。本実施形態では、力センサは、足甲部材1310の下面の四隅近傍にそれぞれ、すなわち4個設けられている。
これらの力センサは、それぞれ金属ダイヤフラムと4つの歪ゲージからなり、4つの歪ゲージでブリッジ回路を形成し、該歪ゲージを金属ダイヤフラムに貼着して構成される。但し、力センサはこのような構成のものに限定されず、他の構成のものを採用してもよい。
足底部材1320はその上面が開放された略矩形箱状の部材であり、略矩形板状の底板部1321及びその周囲に沿って一体的に立設された側板部1322を有している。底板部1321の上面は足甲部材1310の下面に当接している。底板部1321の下面により足部150の足裏面が構成される。底板部1321の下面と側板部1322の外面との境界部分はR面(円弧面)又は滑らかな曲面となっている。
足底部材1320には、その四隅近傍にそれぞれ接地部1323が設けられている。足底部材1320の下面の接地部1323の内側には、一対の斜面部1324及び該接地部により構成される面に略平行で略円形の平坦面部1325を有する土踏まず部1326が形成されている。
斜面部1324はその内側に行くに従って陥没するように形成されている。斜面部1324は平坦面であってもよく、円錐面であってもよく、あるいは他の面形状を有していてもよい。
足底部材1320の側板部1322の内側の形状は、足甲部材1310の側面の形状に対して僅かに大きい相似形状となっている。足甲部材1310の側面は、足底部材1320の側板部1322の内面に僅かな隙間(遊び)を以って対面しており、これにより足底部材1320は足甲部材1310に対して、該足甲部材1310の下面に沿って、すなわちX−Y平面内において、任意の方向に遊動できるようになっている。
足底部材1320は、遊脚時に足甲部材1310から落下しないように、且つX−Y平面内における遊動を制限しないように、不図示の保持機構を介して足甲部材1310に取り付けられている。この保持機構は、足底部材1320の交換のため、容易な操作で着脱する機構をも備えていることが望ましい。
足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面の間には、緩衝部材(緩衝手段)1330が介装されている。緩衝部材1330としては、ここでは、無端状のゴムシートを採用し、足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面との間の隙間を完全に埋めるように介装されている。但し、緩衝部材はこのようなものに限定されず、板バネ、スポンジ、固形乃至半流動体状の粘性手段を採用してもよい。
なお、緩衝部材は、足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面の間との隙間を完全に埋めるように介装すれば、その隙間に異物などの進入を防止することができる点で好ましいが、これに限定されず、間欠的に配設するようにしてもよい。また、緩衝部材を完全に省略してもよい。
足部150の第11の具体例について、図46〜図47を参照しながら説明する。図46は第11の構成に係る足部の概略構成を示す平面図である。同図には、左右の脚の先端部にそれぞれ取り付けられる足部の一方の構成を示しているが、他方の足部も面対称に構成されていることを除き同じ構成である。
第11の構成に係る足部は、左右各々の下肢110の足首114に連結される略矩形板状の部材から形成された足本体1110を備えて構成される。足本体1110の材質としては、なるべく軽量で且つ強度の点で優れた材料、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などを採用することができる。
足本体1110の上面には足首114に連結するための連結部1111が一体的に形成されている。足本体1110の下面(足裏面)が路面に対する接地面であり、図示の例では、足裏面は平面としている。
足裏面の外形形状は、同図に示されているように、略矩形形状となっている。特に限定されないが、足裏面には、例えば滑り止めの複数の溝や凹状に陥没するように形成された土踏まず部を設けることもできる。土踏まず部としては、図示は省略するが、ドーム状、四角錐状、円錐状(擂り鉢状)に陥没したもののいずれでもよい。なお、土踏まず部を設けた足については、本出願人により出願された特願2002−037988号明細書などに記載されている。
同図において、1112は他方の足に対して遠い側の側縁(外側縁)又は側面(外側面)であり、1113は当該足と対をなす他方の足に対して近い側の側縁(内側縁)又は側面(内側面)であり、1114はロボットの正面側の側縁(前側縁)又は側面(前側面)であり、1115はロボットの背面側の側縁(後側縁)又は側面(後側面)である。
同図に示されているように、この足本体1110の全ての側面1112〜1115は平面となっており、したがって、すべての側縁1112〜1115も直線となっている。なお、足裏面に側面1112〜1115にまで至る溝や土踏まずを形成した場合には、各側縁1112〜1115は実際には、その溝や土踏まずの形状に対応した曲線や不連続な直線などとなるが、少なくとも各側縁1112〜1115を、該足裏面を含む面に投影した場合に直線となるように設定されていればよい。
足本体1110の各側面1112〜1115の隣接する側面との間の部分は滑らかな曲面で接続されている。ここでは、この曲面は円弧面(R面)としている。また、足本体1110の各側面1112〜1115と足裏面との間の部分も、同様に滑らかな曲面で接続されている。このような各面(側面、足裏面)との間の部分を滑らかな曲面で接続するのは、その部分が路面などの凹凸に引っかかって躓くなどの障害を抑制するためである。
図47は、この第11の構成に係る足部の転倒時の挙動を説明するための図である。図47の左図は、ロボットが路面上に片足(右足とする)で立っている場合を示しており、参照番号50はロボットの重心位置を示している。図47の右図は、ロボットに横向きに(左側から)何らかの外力が作用するなどして、ロボットが右側にバランス崩して転倒しかけている状態を示している。
図47の右図に示されているように、該ロボットは足本体1110の外側縁1112を含む線51をその転倒基準(回転中心軸)として回転し転倒することになり、このとき、該外側縁1112の全体が路面に線接触しているため、ヨー軸回りに回転するという挙動をとることは殆どないことが理解されよう。なお、内側縁1113、前側縁1114、後側縁1115側に転倒する場合においても、全く同様である。
第11の構成に係る足部においては、足本体1110の各側面1112〜1115を全て平面とし、当該平面よりも外側に突出する部分を設けていないので、ロボットが転倒しようとする場合には、各側縁1112〜1115のいずれかを回転中心として転倒することになるので、転倒時のロボットの姿勢や挙動を容易に予測することができる。
足部150の第12の具体例について図48〜図49を参照しながら説明する。
図48は第12の構成に係る足部の概略構成を示す平面図である。同図には、左右の脚の先端部にそれぞれ取り付けられる足部の一方の構成を示しているが、他方の足部も面対称に構成されていることを除き同じ構成である。
第12の構成に係る足部は、左右各々の下肢110の足首114に連結される略矩形板状の部材から形成された足本体1210を備えて構成される。足本体1210の材質は、上述した第11の構成に係る足部と同様である。
足本体1210の上面には足首114に連結するための連結部1211が一体的に形成されている。足本体1210の下面(足裏面)が路面に対する接地面であり、本例では、足裏面は平面としている。
足裏面の外形形状は、同図に示されているような形状となっている。特に限定されないが、足裏面には、例えば滑り止めの複数の溝や凹状に陥没するように形成された土踏まず部を設けることもできるのは、上述した第11の構成に係る足部と同様である。
同図において、1212は他方の足に対して遠い側の側縁(外側縁)又は側面(外側面)であり、1213は当該足と対をなす他方の足に対して近い側の側縁(内側縁)又は側面(内側面)であり、1214はロボットの正面側の側面(前側面)又は側面(前側面)であり、1215はロボットの背面側の側縁(後側縁)又は側面(後側面)である。
同図に示されているように、この足本体1210の全ての側面1212〜1215は内側に凹となるように湾曲した曲面となっており、したがって、すべての側縁1212〜1215も内側に凹となるように湾曲した曲線となっている。なお、足裏面に側面1212〜1215にまで至る溝や土踏まずを形成した場合には、各側縁1212〜1215は実際には、その溝や土踏まずの形状とこれに対応する側面の形状を合成した曲線や不連続な直線などとなるが、少なくとも各側縁1212〜1215を、該足裏面を含む面に投影した場合に内側に凹となるように湾曲した曲線となるように設定されていればよい。
足本体1210の各側面1212〜1215は隣接するものとの間の部分、及び各側面1212〜1215と足裏面との間の部分が、滑らかな曲面で接続されているのは、上述した第1の構成の場合と同様である。
図49は、この第12の構成に係る足部の転倒時の挙動を説明するための図である。図49の左図は、ロボットが路面上に片足(右足とする)で立っている場合を示しており、60はロボットの重心位置である。図49の右図は、ロボットに横向きに(左側から)何らかの外力などが作用して、ロボットが右側にバランス崩して転倒しかけている状態を示している。
図49の右図に示されているように、該ロボットは足本体1210の外側縁1212の最も突き出した前後の2点を結ぶ線を含む線61をその転倒基準(回転中心軸)として回転し転倒することになり、該外側縁1212の当該2点が路面に当接しているため、ヨー軸回りに回転するという挙動をとることは殆どないことが理解されよう。なお、内側縁1213、前側縁1214、後側縁1215側に転倒する場合においても、まったく同様である。
このように、第12の構成に係る足部においては、足本体1210の各側面1212〜1215を全て内側に湾曲した曲面としているので、ロボットが転倒しようとする場合には、各側縁1212〜1215の最も突出した前後の2点を結ぶ線のいずれかを回転中心として転倒することになるので、転倒時のロボットの姿勢や挙動を容易に予測することができる。
なお、この例ではすべての側面1212〜1215を内側に湾曲する曲面としたが、その一部のみを曲面としてもよい。
足部150の第13の具体例について、図50を参照しながら説明する。
第13の構成に係る足部は、上述した第11の構成に係る足部の構成を若干変更したものである。図50は第13の構成に係る足部の概略構成を示す平面図である。上述した第1の構成に係る足部と実質的に同一の部分には同一の番号を付し、その説明は省略する。
足部1310は、各側面1112〜1115のそれぞれの略中央部に、内側に陥没する切欠部1322〜1325を追加的に形成した点が相違する。切欠部1322〜1325は、足本体1310の上面及び下面(足裏面)に至るように形成されている。その他の構成は上述した構成と同様である。転倒時には、対応する側縁1112〜1115(切欠部1322〜1325以外の部分)が路面に当接した状態で該側縁1112〜1115をその回転中心として転倒する。
切欠部1322〜1325を設けたのは、転倒しようとしたときに、路面上に小さな凸部や障害物などが存在する場合に、切欠部1322〜1325の存在により、路面に当接している側縁が当該凸部などに乗り上がってしまうことを抑制し、転倒時の姿勢や挙動の予測性を損なうことを少なくするためである。
なお、切欠部1322〜1325の構成は同図に示すような形状に限定されず、円弧面やその他の形状であってもよい。また、すべての側面1112〜1115に対応して全てに切欠部1322〜1325を形成する必要はなく、そのうちの一部のみでもよい。
足部150の第14の具体例について、図51を参照しながら説明する。
この第14の構成に係る足部は、上述した第12の構成に係る足部の構成を若干変更したものである。図51は第14の構成に係る足部の概略構成を示す平面図である。上述した第2の構成に係る足部と実質的に同一の部分には同一の番号を付し、その説明は省略する。
足部1410は、各側面1212〜1215のそれぞれの略中央部に、内側に陥没する切欠部1422〜1425を追加的に形成した点が相違する。切欠部1422〜1425は、足本体1410の上面及び下面(足裏面)に至るように形成されている。その他の構成は上述した第2の構成と同様である。転倒時には、対応する側縁1212〜1215の最も突出した2点の部分が路面に当接した状態で該2点を結ぶ仮想の線(図中、一点鎖線で示す)をその回転中心として転倒することになる。
切欠部1422〜1425を設けたのは、上述した第13の構成に係る足部と同様の理由によるものである。なお、切欠部1422〜1425の構成は同図に示すような形状に限定されず、図50に示した切欠部1322〜1325と同様な形状やその他の形状であってもよい。また、すべての側面1212〜1215に対応して全てに切欠部1422〜1425を形成する必要はなく、そのうちの一部のみでもよい。
次いで、本発明に係る脚式移動ロボット100の足部(150a〜150c)の動作及び特徴について、図52〜図61を参照しながら説明する。
まず、本実施の形態の脚式移動ロボット100の足部150(150a〜150c)においては、図52(A)に示すように、足部150の裏面に土踏まず部247などの凹部を設けて接地部分を常に足部150の周縁部に保っている。したがって、図52(B)に示すように、例えば足部150の中央付近に加重がかかり足底機構が変形した場合や、脚式移動ロボットの歩行動作に伴いZMPの位置が変化して足本体160に撓みが生じた場合であっても、接地部245の位置及び形状の変化は極めて小さいものとなり、ヨー軸回りのモーメントに対する抗力の変化も小さくなる。すなわち、接地部分は常に足部150の周縁部に保たれており、支持モーメントの低下が抑制されることにより、ロボットが接地部を中心として回転してしまうスピン運動などのロボットの予期せぬ挙動の発生を抑止することができる。その結果、姿勢の安定性が高く、安定した動作を継続することができる脚式移動ロボットを実現することができる。
また、本実施の形態の脚式移動ロボット100の足部150においては、図53に示すように段差を踏んだ場合に、段差の凸部が足底の土踏まず部247、特に第2の凹部260において吸収され、足底機構が影響を受けないようにする可能性を高くすることができる。したがって、移動面の凹凸や段差に対して、移動性能が向上しロバストな特性を有する脚式移動ロボットを実現することができる。
また、この足部150は、図54に示すように、絨毯などの柔軟な面上を歩行する場合においても有効な特性を有する。
絨毯は滑り易く柔らかいという特性を有しており、脚式移動ロボットの視点から考えると、ヨー方向のモーメントが確保しにくく、支持モーメントも高め難く、歩き難い床面である。また、足底の形状によっては、引っ掛かって転倒モーメントを発生する危険性もある。
これに対し、本実施形態の脚式移動ロボット100の足部150においては、足底周縁部を滑らかな形状にしているので、毛足の引っ掛かりを防ぐことができる。また、絨毯の毛足を中央部の土踏まず部247などの凹部180に食い込ませて、適度の摩擦力を確保するとともに、ヨー方向のモーメントを発生して調整することができる。また、絨毯の毛足が柔軟部にまで達した場合には、これによる摩擦がヨー方向の支えとして作用する。この結果、絨毯の上でも適切な制動力及び推進力を発揮することができ、安定して移動することができる。
また、足部150においては、足本体240の側面243と接地部245の間を滑らかな円弧曲面(R面)244で結合している。したがって、この部位が床面に対して引っ掛かる、すなわち過剰な摩擦力上昇を引き起こして転倒モーメントが発生するという危険を抑制することができ、図55に示すようにスムーズに移動することができる。
また、足部150においては、足本体240の土踏まず部247などの凹部内に柔軟部270を有する。柔軟部270は、図53を参照して前述したように、その凹部内に侵入してきた段差などの凸部を、自らが変形して受け入れるとともに、その凸部に対して粘着力による摩擦保持力を発揮する。すなわち、自ら形状変化を適切に調整し、路面の状態に馴染む効果を有する。
例えば、図56は、第2の凹部260の天井面261により段差を支持している状態を示している。このような状態において、柔軟部270が路面と馴染み摩擦力を発揮し、足部150が滑って、段差より滑落するのを防ぐことができる。
特に、図57に示すように、足部150に対して比較的大きな段差において、土踏まず部247で支持することを余儀なくされた場合であっても、柔軟部270の一方の側面の位置271で接触を開始していたものが、柔軟部270の変形により、位置272まで拡大されることとなり、支持多角形273は図示するように台形形状となる。この結果、制御安定領域は拡大されることとなり、より安定した制御が可能となる。
路面の凸部が柔軟部270に達した場合の変形例を図58及び図59に示す。図58は、ゴムなどの通常の弾性部材で形成された標準的な柔軟部270の変形の様子を示している。柔軟部270は、支持モーメントを発生するという観点からは限界がある。そこで、より柔軟な材質で変形をある程度保持できる、すなわちヒステリシス効果のある部材を使用することにより、図59に示すようにこれを拡大することができる。このような変形をする柔軟材270であれば、段差などで凋落の危険がある際もより安全に脚式移動ロボットを支持することができる。
また、足部150は、図60及び図61に示すように、転がり運動可能な障害物を踏んだ場合においても有効な特性を有する。このような障害物を踏んだ場合は、通常の足部ではいわゆる亀の子状態となり、この障害物を支点にシーソーのような挙動をし、支持モーメントを発生できず、非線型特性になるため、制御が不安定となる。
これに対し、柔軟部270を備えることで、例えば障害物が小さい場合には、図60に示すように生涯物を包み込むような形態でこれを踏むこととなり、足底の支持点は確保される。また、比較的大きな障害物を踏んだ場合も、足底が路面から離れる高さhが少なくて済み、不安定要素が少なくなる。
そして、柔軟部270によりこれらの障害物が足本体260の裏面に馴染むので、実質的にその障害物が足の一部のように作用し、例えば極端に早い運動が生じたり、不連続な非線型運動により制御が不能になったりする可能性を著しく抑制することができる。
また、足部150においては、溝246は足部150の側面に近くなるほどその幅が狭くなるように構成されている。これは、絨毯などの滑り易い路面を移動する場合、例えば溝246の側面262が平行な直線形状で構成され溝246の幅が変わらない場合には、絨毯の毛足は土踏まず部247をスムースに流れてゆき、特に力を反発させることはない。
これに対し、図62に示すように、側面262を平行でない状態にした場合、特にその幅を変化させた場合には、毛足は溝246の幅によって集められる状態となり、反力を発生する。この反力は摩擦保持力として作用させ利用することができ、通常、摩擦力の確保が困難な絨毯上では、非常に有効である。
足部150においては、中央部の凹部から外部に向けての溝246が、足部150の前後左右の4方向い形成されている。したがって、図面を参照して説明した各動作、作用、効果は、足部をどの方向に進行させていたとしても、どのような角度で段差を踏んだとしても、どの部分で障害物を踏んだとしても、有効となる可能性が非常に高い。よって、より安定性があり、不安定要素が少なく、安定的な制御が可能な脚式移動ロボットの足を提供することができる。
足の甲と足裏の支持構造
ここでは、足の甲(足の背)と足裏(足の底)との支持構造についての第1の具体例について、図63〜図64を参照しながら説明する。図63は足部の側面図、図64は図63のA−A線に沿った断面図である。
第1の構成に係る足部は、左右各々の下肢110の足首114に連結される足甲部材1110及び路面に直接接地される足底部材1120を備えて構成され、足底部材1120を足甲部材1110に遊動可能に取り付けた二重構造となっている。足甲部材1110及び足底部材1120の材質としては、なるべく軽量で且つ強度の点で優れた材料、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などを採用することができる。
足甲部材1110は、略矩形に構成された外枠部1111、外枠部1111の上面を閉塞する天板部及び該天板部に設けられた連結部1112を備えて構成されている。連結部1112は足首114に連結するための部分である。外枠部1111の4つの側面の略中央部には、それぞれ貫通する固定ピン用穴が形成されている。これらの固定ピン用穴はそれぞれ横方向(X軸方向又はY軸方向にその長手方向を有する長穴となっている。
足底部材1120は略矩形板状の部材で構成されている。足底部材1120の側面は、足甲部材1110の外枠部1111の内面の形状に対して僅かに小さい形状となっている。足底部材1120の4つの側面には、足甲部材1110の外枠部1111に形成された固定ピン用穴に対応する位置にそれぞれ固定ピン用穴が形成されている。
足底部材1120は、足甲部材1110の外枠部1111の内側に下側から挿入されるように配置された状態で、固定ピン1130を枠部材1111の外側から固定ピン用穴を貫通させて挿入し、固定ピン1130にその先端部からコイルバネ1131を挿入し、さらに固定ピン1130の先端部を足底部材1120の対応する固定ピン用穴に圧入することにより足甲部材1110に取り付けられる。
この状態で、足底部材1120の上面は足甲部材1110の天板部の下面に対面するとともに、足底部材1120の各側面は足甲部材1110の外枠部1111の内面に対応する面に、所定の隙間(遊び)を以ってそれぞれ対面した状態となる。固定ピン1130に挿入されているコイルバネ1131は、この状態で足底部材1120の側面及び足甲部材1110の外枠部1111の内面に予圧された状態で挟持されている。これにより、足底部材1120は上記の隙間の範囲内(又は足甲部材1110の側面に形成された固定ピン用穴の長手方向の長さの範囲内)で足甲部材1110の天板部の下面に沿って(X−Y平面内で)2軸方向(X軸方向、Y軸方向)に遊動可能な状態となっている。
各コイルバネ1131により足底部材1120に与えられる付勢力は、足底部材1120に外力が作用しない状態で、足底部材1120が足甲部材1110の外枠部1111の内側で中心位置(中立位置)に位置するように設定されている。
足底部材1120の下面には、図示は省略するが、Z軸方向の圧力を検出する複数の力センサが配設されている。これらの力センサは、ZMPを算出するために用いられるもので、本実施形態では、足底部材1120の下面の四隅近傍にそれぞれ設けられている。
これらの力センサは、それぞれ金属ダイヤフラムと4つの歪ゲージからなり、4つの歪ゲージでブリッジ回路を形成し、該歪ゲージを金属ダイヤフラムに貼着して構成される。但し、力センサはこのような構成のものに限定されず、他の構成のものを採用してもよい。ZMP検出用の力センサの数や配設位置も上記に限定されない。
また、足底部材1120にはX軸方向及びY軸方向の加速度を検出するための加速度センサ1132が搭載されている。加速度センサ1132を設ける位置は、特に限定されないが、本実施形態では、図64に示されているように、足底部材1120の中央部の内部に設けるものとした。この加速度センサの出力は、路面の重力方向に対する傾きの検出、路面の凹凸などによる躓きの検出に利用される。
なお、上記においては、足底部材1120を足甲部材1110に遊動可能に支持するため、固定ピン1130の先端部を足底部材1120の固定ピン用穴に圧入するものとしたが、固定ピン1130の先端に雄ネジを形成し、足底部材1120の固定ピン用穴を雌ネジとして、これらを螺合するようにしてもよい。また、固定ピン1130を足甲部材1110側に圧入又は螺合により固定して、足底部材1120の固定ピン用穴を横方向(X軸方向又はY軸方向)にその長手方向を有する長穴として、固定ピン1130の先端部が該固定ピン用穴の内部でX方向及びY方向にスライドするようにしてもよい。足底部材1120を足甲部材1110に遊動可能に支持する構造としては、このような構造に限定されず、他の構成を採用することができる。
また、緩衝手段として、コイルバネ1130を用いたが、これに代えて、他の弾性部材、例えば、板バネ、その他のバネ、ゴムなどを採用してもよい。
足底部材1120は足甲部材1110に遊動可能に取り付けたので、ロボットの歩行動作時に、足底部材1120と足甲部材1110の運動の間に時間的遅れが生じるとともに、足底部材1120と足甲部材1110の間に緩衝手段としてのコイルバネ1131を介装したので、遊脚が路面に着地したときに路面から受ける反力が緩やかに下肢100に作用することになる。したがって、下肢110の関節部分に伝達される衝撃が緩和され、アクチュエータなどへの負担が軽減される。また、ロボットを素早く移動させるときのアクチュエータの急激な駆動に対するロボットの姿勢安定性を向上させることができる。さらに、例えば駆動系に機械的な誤差(ガタ)があったり、制御誤差が生じた場合であったりしても、足底部材1120の遊動範囲内でこれを吸収することが可能なので、その影響を抑制することができる。
また、足底部材1120に設けた加速度センサ1132の出力に基づきロボットの躓きを検出してから、足底部材1120が足甲部材1110に対して相対的に遊動限界にまで遊動し、足甲部材1110にその衝撃が完全に伝達されるまでには、ある程度のタイムラグがあるので、この間に、転倒などを回避するための動作を行なうことができるようになり、ロボットの姿勢制御性、姿勢安定性を向上することができる。
なお、足甲部材1110と足底部材1120との間に緩衝手段として、弾性手段(コイルバネ1130)を用いているので、足底部材1120が足甲部材1110に対して長時間に渡って振動し続ける恐れがあり、歩行動作に伴う制御性に悪影響を与えることが懸念される。この場合には、弾性手段に加えて制振性を高めるために粘性手段(例えば、ダンパーなど)を設けることが望ましい。この場合において、脚の歩行動作により足底部材1120が路面から離間してから着地するまでに要する時間内に足底部材1120の振動が所定値以下まで収束するように、該弾性手段の弾性係数及び粘性手段の粘性係数を設定するとよい。これにより、遊脚の着地時点において、足底部材1120は所定値以下の振動となっているので、ロボットの制御系による軌道計算やその他の制御のための再計算を行なう必要がなくなり、制御性が向上する。なお、所定値とは、ロボットの制御系が安定走行を実現するために許容する必要最小限の振動である。
次いで、足の甲(足の背)と足裏(足の底)との支持構造の第2の具体例について、図65〜図66を参照しながら説明する。図65は側面図、図66は図4のB−B線に沿った断面図である。
この例の足部は、左右各々の下肢110の足首114に連結される足甲部材1210及び路面に直接接地される足底部材1220を備えて構成され、足底部材1220を足甲部材1210に遊動可能に取り付けた二重構造となっている。足甲部材1210及び足底部材1220の材質としては、なるべく軽量で且つ強度の点で優れた材料、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などを採用することができる。
足甲部材1210は、略矩形板状の部材から構成されている。足甲部材1210の4つの側面には、それぞれ固定ピン用穴が形成されている。また、足甲部材1210の上面には足首114に連結するための連結部1211が一体的に形成されている。
足底部材1220は、略矩形状に構成された外枠部1221及び外枠部1221の下面を閉塞する底板部1222を備えて構成されている。足底部材1220の外枠部1221の内面は、足甲部材1210の側面の形状に対して僅かに大きい形状となっている。足底部材1220の外枠部1221の4つの側面には、足甲部材1210の側面に形成された固定ピン用穴に対応する位置にそれぞれ貫通する固定ピン用穴が形成されている。これらの足底部材1220の側面に形成された固定ピン用穴はそれぞれ横方向(X軸方向又はY軸方向にその長手方向を有する長穴となっている。
足底部材1220は、外枠部1221の内側に足甲部材1210が上側から挿入されるかたちで配置された状態で、固定ピン1230を外枠部1221の外側から固定ピン用穴を貫挿し、固定ピン1230にその先端部からコイルバネ1231を挿入し、さらに固定ピン1230の先端部を足甲部材1210の対応する固定ピン用穴に圧入することにより足甲部材1210に取り付けられる。
この状態で、足底部材1220の底板部1222の上面は足甲部材1210の下面に対面するとともに、足底部材1220の外枠部1221の各内面は足甲部材1210の各側面の対応する面に、所定の隙間(遊び)を以ってそれぞれ対面した状態となる。固定ピン1230に挿入されているコイルバネ1231は、この状態で足底部材1220の外枠部1221の内面及び足甲部材1210の側面により予圧された状態で挟持されている。これにより、足底部材1220は上記の隙間の範囲内(又は足底部材1220の側面に形成された固定ピン用穴の長手方向の長さの範囲内)で足甲部材1210の下面に沿って(X−Y平面内で)2軸方向(X軸方向、Y軸方向)に遊動可能な状態となっている。
各コイルバネ1231により足底部材1220に与えられる圧力は、足底部材1220に外力が作用しない状態で、足甲部材1210が足底部材1220の外枠部1221の内側で中心位置(中立位置)に位置するように設定されている。
足底部材1220に、ZMPを算出するための力センサやX軸方向及びY軸方向の加速度を検出する加速度センサが設けられているのは、上述した第1の構成の場合と同様である。また、緩衝手段として、弾性手段に粘性手段を組み合わせることが望ましいのは、この場合も同様である。
この構成によれば、第1の構成に係る利点を実現できる他、足底部材1220の外枠部1221が足甲部材1210の側面を覆うように配置されているので、足部の側部が障害物に衝突したような場合に、その衝撃をも緩和することができる。
次いで、足の甲(足の背)と足裏(足の底)との支持構造についての第3の具体例について、図67〜図68を参照しながら説明する。図67は平面図、図68は同じく一部を破断した側面図である。
第3の構成に係る足部は、左右各々の下肢110の足首114に連結される足甲部材1310及び路面に直接接地される足底部材1320を備えて構成され、足底部材1320を足甲部材1310に遊動可能に取り付けた二重構造となっている。
足甲部材1310は略矩形板状の部材で構成され、その上面には足首114に連結するための連結部1311が一体的に設けられている。足甲部材1310の下面には、図示は省略しているが、ZMPを算出するため、Z軸方向の圧力を検出する複数の力センサが配設されている。力センサは、足甲部材1310の下面の四隅近傍にそれぞれ設けられている。
これらの力センサは、それぞれ金属ダイヤフラムと4つの歪ゲージからなり、4つの歪ゲージでブリッジ回路を形成し、該歪ゲージを金属ダイヤフラムに貼着して構成される。但し、力センサはこのような構成のものに限定されず、他の構成のものを採用してもよい。
足底部材1320はその上面が開放された略矩形箱状の部材であり、略矩形板状の底板部1321及びその周囲に沿って一体的に立設された側板部1322を有している。底板部1321の上面は足甲部材1310の下面に当接している。底板部1321の下面により足部150の足裏面が構成される。底板部1321の下面と側板部1322の外面との境界部分はR面(円弧面)又は滑らかな曲面となっている。
足底部材1320の側板部1322の内側の形状は、足甲部材1310の側面の形状に対して僅かに大きい相似形状となっている。足甲部材1310の側面は、足底部材1320の側板部1322の内面に僅かな隙間(遊び)を以って対面しており、これにより足底部材1320は足甲部材1310に対して、該足甲部材1310の下面に沿って、すなわちX−Y平面内において、任意の方向に遊動できるようになっている。
足底部材1320は、遊脚時に足甲部材1310から落下しないように、且つX−Y平面内における遊動を制限しないように、不図示の保持機構を介して足甲部材1310に取り付けられている。この保持機構は、足底部材1320の交換のため、容易な操作で着脱する機構をも備えていることが望ましい。
足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面の間には、緩衝部材(緩衝手段)1330が介装されている。緩衝部材1330としては、例えば無端状のゴムシートを採用し、足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面との間の隙間を完全に埋めるように介装されている。但し、緩衝部材はこれに限定されず、板バネ、スポンジ、固形乃至半流動体状の粘性手段を採用してもよい。
また、足部の組立時に足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面との間の隙間に、硬化乃至凝固した状態で弾性及び/又は粘性を生じるような接着剤を充填して、相互に接着するようにしてもよい。このような構成にすることで、当該隙間への異物の進入が防止できるとともに、足底部材1320を足底部材1310に遊動可能に取り付けるための保持機構を採用することなく、同様の効果を得ることができるので都合がよい。
この構成によると、足底部材1320は足甲部材1310に対して、該足甲部材1310の下面に沿って任意の方向に遊動することができ、上述した第1又は第2の構成と比較して、遊動方向の制約が少ない。
なお、上述したような緩衝部材は、足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面の間の隙間を完全に埋めるように介装すれば、その隙間に異物などの進入を防止することができる点で好ましいが、必ずしもそのようにする必要はなく、間欠的に配設するようにしてもよい。また、緩衝部材は必須ではなく、緩衝部材を完全に省略してもよい。
足首における脚と足部の連結・交換構造
ここでは、脚式移動ロボットの足首における脚と足部との連結構造並びに足部の交換構造の具体例について詳解する。
脚式移動ロボットの足首における脚と足部との連結構造並びに足部の交換構造の第1の具体例について、図69〜図70を参照しながら説明する。
図69には、足部150の構造並びに下肢(可動脚)110と足部150との連結部分の断面構成を示している。
下肢110の足首114の脚側連結部1001には、連結固定位置決め突起1002と、電気接続用のコネクタ1003が配置されている。連結固定位置決め突起1002の側面には切欠部1004が形設されている。
一方、足部150を構成する足本体1101の上部に形設された連結部1102には、連結固定位置決め凹部1102と、電気接続用コネクタ1103と、コネクタ1003の収容部1104と、連結固定用アクチュエータ1105が配設されている。
連結固定用アクチュエータ1105の略先端には、位置決めピン1106が連結固定位置決め凹部1102の底面に沿う前後方向(X軸方向)に出没自在に取り付けられている。位置決めピン1106は、連結固定位置決め凹部1102の内部に進出した状態では、連結固定位置決め突起1002の側面に形設された切欠部1004に嵌合するようになっている。図69に示す状態では、連結固定用アクチュエータ1105の作動により、位置決めピン1106は埋没しているので、連結固定位置決め突起1002を連結固定位置決め凹部1102に対して挿脱自在となっている。
図70には、足本体1101が脚側連結部1001に対して取り付けられた状態での連結部分の断面構成を示している。
連結固定位置決め突起1002が連結固定位置決め凹部1102内に完全に挿入された状態で、連結固定用アクチュエータ1105の作動により位置決めピン1106を進出させ、連結固定位置決め突起1002の先端部を切欠部1004に嵌合させることによって、足本体1101は脚側連結部1001に対して強固に連結される。
このとき、脚側のコネクタ1003は、収容部1104内に収容され、その最奥部のコネクタ1103に機械的に嵌合するとともに、コネクタ1003の端子とコネクタ1103の対応する端子とが電気的に接続される。この結果、脚側、すなわちロボット本体側から足本体1101への電力の供給及び相互間における制御命令その他のデータ信号の伝送が可能な状態となる。
足本体1101の連結固定位置決め凹部1102の底面には、さらに凹部1111が形成されており、凹部1111には電気回路基板1112が取り付けられている。電気回路基板1112には各種データの記憶手段としてのROM305(図3参照)及びこれに関連する回路が形成されており、コネクタ1103、1003及びバス304を介して、ロボット本体の主制御ユニット300からアクセスできるようになっている。また、電気回路基板1112には、足本体1101に設けられる各種センサの信号処理回路なども設けられている。
足本体1101には、図示は省略するが、力センサや加速度センサなどが配設されている。すなわち、足本体1101の足裏の接地部には、Z軸方向の圧力を検出する複数の力センサが配設されている。これらの力センサは、ZMPを算出するために用いられるもので、本実施形態では、足本体1101の下面(足裏面)の四隅近傍にそれぞれ設けられている。
これらの力センサは、それぞれ金属ダイヤフラムと4つの歪ゲージからなり、4つの歪ゲージでブリッジ回路を形成し、該歪ゲージを金属ダイヤフラムに貼着して構成される。但し、力センサはこれに限定されず、他の構成のものを採用してもよい。ZMP検出用の力センサの数や配設位置も上記に限定されない。
また、足本体1101にはX軸方向及びY軸方向の加速度を検出するための加速度センサも搭載されている。加速度センサを設ける位置は、特に限定されないが、ここでは凹部1111に設けている。この加速度センサの出力は、路面の重力方向に対する傾きの検出、路面の凹凸などによる躓きの検出に利用される。これらのセンサの出力信号は、電気回路基板1112に設けられた処理回路、コネクタ1103,1003及びバス304を介してロボット本体側の主制御ユニット300に送られる。
電気回路基板1112に搭載されたROM305には、足本体1101に関する情報として、以下に示すような足情報があらかじめ記憶されている。
足情報とは、主制御ユニット300が軌道計算、その他の演算を実行する際に必要とされる当該足本体1101に固有な情報を含む情報であり、具体的には、足識別情報、足構造情報、足センサ情報などで構成される。
足識別情報は、当該足本体1101を他の足本体から識別するために付与された識別情報(ID)である。足構造情報は、足本体及びその構成部材の寸法(形状)、材質、重量、接地面の摩擦係数などの情報である。足構造情報のうち、足本体1101の路面に対する接地部を含む足裏面の形状(足底形状)は制御演算上、特に重要である。これらは、例えば数式(2次元近似式)やビットマップ形式で表現することができる。
足センサ情報は、足本体1101に配設されている各種センサについての情報であり、その識別情報(該センサを他のセンサから識別するためのID)、個数、配置、特性などで構成される。本実施形態では、足本体1101には、ZMP検出用の力センサ、衝突検出若しくは路面傾き検出用の加速度センサが配設されているので、これらのセンサについてのセンサ情報が記憶される。足本体1101に、他のセンサ、例えば足裏面の路面に対する接地、非接地を検出する路面接地検出センサ、着地した足裏面の路面に対するずれ(滑り)を検出するセンサなどを設けることもでき、この場合、各センサについてのセンサ情報が記憶される。
ここでは、足情報を記憶する記憶手段として、データの書き換えができないROMを用いているが、データの書き換えができるEPROM、SRAM、電源バックアップを条件としてDRAMなどの記憶手段を用いてもよい。この場合、足情報として、動的に変化する情報をも記憶せしめて、必要に応じて随時書き換えるようにすることができる。例えば、足センサ情報として、センサの経時的な特性変化を示すログ情報を記憶させるようにするとよい。
足情報としては、上記の他に、当該足本体1101に関するあらゆる情報を記憶することができる。なお、当該足本体1101に直接関係のない情報を記憶しておいてもよい。
足本体1101に設けられた記憶手段に記憶された足情報は、足本体1101の交換などにより、足本体1101が下肢110の足首114に連結されたとき、この脚式移動ロボットの初期化時(電源投入時又はリセット時)、又はその他の必要なときに、ロボット本体の主制御ユニット300のCPU301によりバス304などを介して読み出され、該主制御ユニット300による各アクチュエータ306などへの指令値を求めるための演算を含む各種の制御演算に用いられる。
このように、足本体1101は、足本体1101に関する足情報が記憶された記憶手段としてのROMを備えているので、主制御ユニット300は、足本体1101に関する情報を自らが備える記憶手段(ROM303、RAM302、その他の外部記憶装置)に記憶しておく必要がなく、記憶手段としてその分だけ小さい数又は小さい容量のものを搭載することができ、あるいは当該情報を記憶していた領域に他の情報を記憶させることができるようになる。
また、路面の状況に応じて足底の形状やセンサの数や種類を変更して、それぞれの足情報を記憶保持した各種の足本体を準備しておき、必要に応じて交換するようにすれば、足本体を交換したときに、足本体についての足情報を手入力、その他の方法で取得するための手間も要しない。
なお、足本体の記憶手段に記憶させておく足情報として、足識別情報のみ、あるいは該足識別情報と主要な情報(例えば、足底形状)のみとして、その余の足構造情報や足センサ情報などを主制御ユニット300が備えるメモリに足識別情報との関係で記憶させておき、足本体の足首への連結時に当該足識別情報を読み取り、この識別情報に基づいて対応する足構造情報や足センサ情報などを取得するようにしてもよい。この場合においても、足の交換に伴い該足の識別情報を手入力するといった従来のような作業を要しないので、交換作業が容易となる。
脚式移動ロボットの足首における脚と足部との連結構造並びに足部の交換構造の第2の具体例について、図71を参照しながら説明する。
図示の例では、多関節型のロボットが本来持つ他のアクチュエータを利用して足部を交換する方式を採用している。人間型を始めとする脚式移動ロボットは、一般に、多関節すなわち多自由度を備えている。これらの自由度を活用することで、足部の固定に専用のアクチュエータを設ける必要性を排除する。すなわち、人間の腕や手に相当する部分の動作を活用して、足部の固定機構を自律的に操作するようにすれば、足部への専用アクチュエータを省くことができる。
図71には、固定用の専用アクチュエータを持たない足部の固定機構が解放された状態において、足部を足首から分離する場合における上面図(A)、側面図(B)、背面図(C)、側断面図(D)をそれぞれ示している。
足本体1201には、足部側連結固定用凹部1202と、足部側電気接続用コネクタ1203と、該コネクタ1203を最奥部に収容する収容部1204が配設されている。
また、足本体1201には、足部固定用として、ホルダ1205と、固定用ピン1206と、操作用レバー1207と、押し付けバネ1208が図示のように配設されている。
図71に示す状態では、固定用ピン1206は押し付けバネ1208により付勢されて、連結固定用凹部1202側に圧力を印加している。固定用ピン1207と一体的に構成されている操作用レバー1207がレバー案内溝1209に沿って押し付けられているので、固定用ピン1206は移動せずに図示の状態を保つ。この状態で、ロボットは、足本体1201を交換することができる。
また、図72には、足部を固定する様子を図解している。図示の状態では、操作レバー1207をレバー案内溝1209に沿って足部固定側に操作することによって、固定ピン1206は、押し付けバネ1208によって付勢されて連結固定用凹部1202内に突出して、固定ピン1206の先端部を脚側連結部1001の切欠部1004に嵌合させることによって、足本体1201は脚側連結部1001に対して強固に連結される。
図71及び図72を参照しながら説明したような操作レバー1207の操作を、ロボットの腕部並びに手部を用いて行なうことにより、足部脱着に伴う足部の固定及び開放を自律的に行なうことができる。
また、さまざまな路面への適応が必要であることが想定される場合には、ロボットが1つ又は特定の複数個の足部(スペア)を携帯しながら脚式作業を行なうことも有効である。未知の路面を歩行するロボットの場合、歩行して向かった先で路面対応のために足部の交換が必要になる可能性もある。例えば災害救助や惑星探索などのように難作業現場においては、路面があらかじめ特定できない場合が多い。逆言すれば、このような困難且つ過酷な状況こそ、歩行ロボットの活動が本来求められている作業環境であるとも言える。
なお、足本体1201において、図示は省略しているが、図3に示したROM305を含む、図69又は図70に示した電気回路基板1112と同様の電気回路基板が搭載されており、ROM305内には、上述したものと同様の足情報が記憶されている。
脚式移動ロボットの足首における脚と足部との連結構造並びに足部の交換構造の第3の具体例について、図73〜図74を参照しながら説明する。図73は側断面図、図74は足部制御ユニットを示すブロック図である。
上述した第1及び第2の構造に係る足部150は足本体1101、1201を備え、該足本体1101、1201が路面に直接接地される足底を有しているものである。この例の足部150は、左右各々の下肢110の足首114に連結される足甲部材1310及び路面に直接接地される足底部材1320を備え、足底部材1320を足甲部材1310に遊動可能に取り付けた二重構造となっている。
足甲部材1310は略矩形板状の部材で構成され、その上面には足首114に連結するための連結部1311が一体的に設けられている。足甲部材1310の足首114への取り付けは、足甲部材1310を該足首114にネジ、その他の固定手段を用いて固定し、あるいは上述した足本体1101、1201に係る連結機構と同様の連結機構を介して着脱自在となるように取り付けるようにしてもよい。足甲部材1310の下面には凹部1312が形成されており、該凹部1312には足甲回路部(足甲回路基板)2100が支持部材1313を介して取り付けられている。
足甲部材1310の下面(凹部1312の外周辺部分の面)には、図示は省略しているが、ZMPを算出するためのZ軸方向の圧力を検出する複数の力センサが配設されている。この実施の形態では、力センサは、足甲部材1310の下面の四隅近傍にそれぞれ設けられている。これらの力センサは、それぞれ金属ダイヤフラムと4つの歪ゲージからなり、4つの歪ゲージでブリッジ回路を形成し、該歪ゲージを金属ダイヤフラムに貼着して構成される。但し、力センサはこのような構成のものに限定されず、他の構成のものを採用してもよい。
また、足甲部材1310にはX軸方向及びY軸方向の加速度を検出するための加速度センサも搭載されている。この加速度センサの出力は、路面の重力方向に対する傾きの検出、路面の凹凸などによる躓きの検出に利用される。
足底部材1320はその上面が開放された略矩形箱状の部材であり、略矩形板状の底板部1321及びその周囲に沿って一体的に立設された側板部1322を有している。底板部1321の上面は足甲部材1310の下面に当接している。底板部1321の下面により足部150の足裏面が構成される。底板部1321の下面と側板部1322の外面との境界部分はR面(円弧面)又は滑らかな曲面となっている。
足底部材1320の側板部1322の内側の形状は、足甲部材1310の側面の形状に対して僅かに大きい相似形状となっている。足甲部材1310の側面は、足底部材1320の側板部1322の内面に僅かな隙間(遊び)をもって対面しており、これにより足底部材1320は足甲部材1310に対して、該足甲部材1310の下面に沿って、すなわちX−Y平面内において、任意の方向に遊動できるようになっている。
足底部材1320は、遊脚時に足甲部材1310から落下しないように、且つX−Y平面内における遊動を制限しないように、不図示の保持機構を介して足甲部材1310に取り付けられている。この保持機構は、足底部材1320の交換のため、容易な操作で着脱する機構を備えている。
足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面の間には、緩衝部材(緩衝手段、付勢手段)1330が介装されている。緩衝部材1330としては、ここでは、無端状のゴムシートを採用し、足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面の間の隙間を埋めるように介装されている。但し、緩衝部材1330はこのようなものに限定されず、板バネ、スポンジ、固形ないし半流動体状の粘性手段を採用してもよい。
また、足部150の組立時に足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面との間の隙間に、硬化ないし凝固した状態で弾性及び/又は粘性を生じるような接着剤を充填して、相互に接着するようにしてもよいりこのようにすることで、当該隙間への異物の進入が防止できるとともに、足底部材1320を足底部材1310に遊動可能に取り付けるための保持機構を採用することなく、同様の効果を得ることができるので都合がよい。
なお、緩衝部材1330は、足底部材1320の側板部1322の内面と足甲部材1310の側面との間の隙間を完全に埋めるように介装すれば、その隙間に異物などの進入を防止することができる点で好ましいが、これに限定されず、間欠的に配設するようにしてもよい。また、緩衝部材を完全に省略してもよい。
足底部材1320の上面には、足甲部材1310の凹部1312に収容された足甲回路部1313に離間して対面するように、足底回路部(足底回路基板)2200が支持部材1323を介して取り付けられている。
足甲回路部2100は、図9に示されているように、電力供給部2101、足甲送受信部2102、足甲制御部2103、及びアンテナ部2105を備えて構成されている。
電力供給部2101はロボット本体から供給される電力を電磁波に変換してアンテナ部2105を介して足底回路部2200に供給する。足甲送受信部2102は、足底回路部2200に制御信号、その他の信号をアンテナ部2105から送信するとともに、足底回路部2200から送られる制御信号、その他の信号を、アンテナ部2105を介して受信する。足甲制御部2103は、CPU及びメモリ(RAM、ROMなど)を有し、ロボット本体の主制御ユニット300との間で、バス304を介して通信することができる。ROMには、例えばZMP算出プログラム、路面傾斜角検出プログラム、躓き検出プログラムなどのプログラムが格納されている。なお、この例では、図3において、足部搭載ROM305が足甲回路部2100に置き換えられることになる。
足底回路部2200は、図74に示されているように、電力受給部2201、足底送受信部2202、足底制御部2203、足底情報記憶部(メモリ)、及びアンテナ部2205を備えて構成されている。
電力受給部2201は、電力供給部2101からアンテナ部2105を介して送られる電磁波を、アンテナ部2205を介して受信し、電気エネルギーに変換して蓄積し、足底回路部2100の各部に供給する。
足底送受信部2202は、足甲回路部2100に制御信号、その他の信号を、アンテナ部2205を介して送信するとともに、足甲回路部2200から送られる制御信号、その他の信号を、アンテナ部2205を介して受信する。足底制御部2203は、CPU及びメモリ(RAM、ROMなど)を有し、足甲制御部2102と、足底送受信部2202、アンテナ部2205、アンテナ部2105及び足甲送受信部2102を介して通信することができる。ROMには、例えばZMP算出プログラム、路面傾斜角検出プログラム、躓き検出プログラムなどのプログラムが格納されている。
足底情報記憶部2204は、足底情報が記憶された記憶手段である。この足底情報記憶部2204には、足底に関する情報として、以下に示すような足底情報があらかじめ記憶されている。
足底情報とは、主制御ユニット300が軌道計算、その他の演算を実行する際に必要とされる当該足底に固有な情報を含む情報であり、具体的には、足底識別情報、足底構造情報、足底センサ情報などで構成される。
足底識別情報は、当該足底部材1320を他の足底部材から識別するために付与された識別情報(ID)である。足底構造情報は、足底部材1320及びその構成部材の寸法(形状)、材質、重量、接地面の摩擦係数などの情報で構成される。足底構造情報のうち、足底部材1320の路面に対する接地部を含む足裏面の形状(足底形状)は制御演算上、特に重要である。これらは、例えば数式(2次元近似式)やビットマップ形式で表現することができる。
足底センサ情報は、足底部材1320に配設されている各種センサについての情報であり、その識別情報(該センサを他のセンサから識別するためのID)、個数、配置、特性などで構成される。この実施の形態では、ZMP検出用の力センサや衝突検出若しくは路面傾き検出用の加速度センサは、足甲部材1310に設けるものとしたが、これらを足底部材1320に設けてもよく、その場合に、当該センサについての情報が記憶される。足底部材1320に他のセンサ、例えば足裏面の路面に対する接地、非接地を検出する路面接地検出センサ、着地した足裏面の路面に対するずれ(滑り)を検出するセンサなどを設ける場合には、それらのセンサについての情報が記憶される。
なお、足底情報記憶部2204としては、データの書き換えができないROM、データの書き換えができるEPROM、SRAM、電源バックアップを条件としてDRAMなどの記憶手段を用いることができる。データの書き換えが可能なタイプの記憶手段を用いた場合には、足底情報として、動的に変化する情報をも記憶せしめて、必要に応じて随時書き換えるようにすることができる。例えば、足底センサ情報として、センサの経時的な特性変化を示すログ情報を記憶させるようにするとよい。
足底情報として、上記の他に、足底部材1320に関するあらゆる情報を記憶することができる。足底部材1320に直接関係のない情報を記憶してもよい。 足底情報記憶部2204に記憶された足底情報は、足底部材1320の交換などにより、足底部材1320が足甲部材1310に連結されたとき、この脚式移動ロボットの初期化時(電源投入時又はリセット時)、又はその他の必要なときに、ロボット本体の主制御ユニット300により読み出される。すなわち、主制御ユニット300は、足甲制御部2103に足底情報の読み出しを指示し、足甲制御部2103は足甲送受信部2102、アンテナ部2105,2205、足底送受信部2202を介して足底制御部2203に足底情報の読み出しを指示する。足底制御部2203は足底情報記憶部2204から必要な足底情報を読み出し、同様にして足甲制御部2103に送り、足甲制御部2103は主制御ユニット300にこれを転送する。足底情報は、主制御ユニット300による各アクチュエータ306などへの指令値を求めるための演算を含む各種の制御演算に用いられる。
足底部材1320は、当該足底部材1320に関する足底情報が記憶された記憶手段(足底情報記憶部2204)を備えているので、主制御ユニット300は、当該足底部材1320に関する情報を自らが備える記憶手段(ROM303、RAM302、その他の外部記憶装置)に記憶しておく必要がなく、記憶手段としてその分だけ少ない個数、小さい容量のものを搭載することができ、あるいは当該情報を記憶していた領域に他の情報を記憶させることができるようになる。
また、路面の状況に応じて足底の形状やセンサの数や種類を変更して、それぞれの足底情報を記憶保持した各種の足底部材を準備しておき、必要に応じて交換するようにすれば、足底部材を交換したときに、当該足底部材についての足底情報を手入力、その他の方法で取得するための手間も要しない。
なお、足底情報記憶部2204に記憶させておく足底情報として、足底識別情報のみ、あるいは該足底識別情報と主要な情報(例えば、足底形状)のみとして、その余の足底構造情報や足底センサ情報などを、足甲制御部2103が備えるメモリに当該足底識別情報との関係で記憶させておき、足底部材1320の足甲部材1310への連結時に当該足底識別情報を読み取り、この識別情報に基づいて対応する足底構造情報や足底センサ情報などを足甲制御部2103のメモリから取得して、主制御ユニット300に送るようにしてもよい。
なお、足甲回路部2100と足底回路部2200とのデータ通信及び電力の供給は、電磁波により非接触(無線)で行なうようにしているが、足甲回路部2100と足底回路部2200とをフレキシブル・ケーブルなどを用いて直接接続してもよい。この場合、足底部材1320の足甲部材1310に対する遊動の障害とならないようにケーブルの種類や取付構造を採用することが望ましい。
脚式移動ロボットの足首における脚と足部との連結構造並びに足部の交換構造の第4の具体例について、図75〜図78を参照しながら説明する。図75は一部を分解した側面図、図76は平面図、図77は一部を分解した側断面図、図78は底面図である。
この例の足部150も上述した第3の構造と同様に、左右各々の下肢110の足首114にそれぞれ連結される足甲部材1410及び路面に直接接地される足底部材1420を備えて構成され、足底部材1420を足甲部材1410に遊動可能に取り付けた二重構造となっている。
足甲部材1410はその下面が開口された略矩形箱状の部材であり、略矩形板状の天板部1411及びその周囲に沿って一体的に立設された側板部1412を有している。天板部1411の上面には足首114に連結するための連結部1413が一体的に設けられている。天板部1411には、足底部材1420を取り付けるためのネジ穴(本例では4つ)1414が形成されている。各側板部1412の外面の境界部分はR面(円弧面)又は滑らかな曲面となっている。足甲部材1410の足首114への取り付けは、足甲部材1410を該足首114にネジ、その他の固定手段を用いて固定し、あるいは上述した第1又は第2の構造に係る足本体1101、1201の連結機構と同様の連結機構を介して着脱自在となるように取り付けるようにしてもよい。足甲部材1410の天板部1411の下面の略中央には足甲回路部(足甲回路基板)2100が取り付けられている。
また、図示は省略しているが、足甲部材1410の天板部1411の下面にはその四隅近傍にそれぞれ凸状のセンサ用台座部が一体的に形成されており、該センサ用台座部の先端部には、ZMPを算出するためのZ軸方向の圧力を検出する複数の力センサが配設されている。これらの力センサは、それぞれ金属ダイヤフラムと4つの歪ゲージからなり、4つの歪ゲージでブリッジ回路を形成し、該歪ゲージを金属ダイヤフラムに貼着して構成される。但し、力センサはこのような構成のものに限定されず、他の構成のものを採用してもよい。
さらに、足甲部材1410の天板部1411の下面にはX軸方向及びY軸方向の加速度を検出するための加速度センサも搭載されている(図示しない)。この加速度センサの出力は、路面の重力方向に対する傾きの検出、路面の凹凸などによる躓きの検出に利用される。
足底部材1420は、略矩形板状の部材からなる足底本体1421の下面に、同じく略矩形板状の部材からなる接地部材1422が貼着ないしネジなどを用いて一体的に取り付けられた二重構造となっている。
足底本体1421の外形は、足甲部材1410の側板部1412の開口側の外形状と略同一の形状となっている。足底本体1421には、略矩形状の段差部1423が一体的に設けられている。段差部1423の外形は、足甲部材1410の側板部1412の開口側の内形状に対して僅かに小さい相似形状となっている。
足底本体1421の上面には、足甲部材1410に取り付けるため、天板部1411に形成されたネジ穴1414のそれぞれに対応して上側に凸状の固定用突起部1424が形成されている。固定突起部1424の下側は、緩衝部材1430を挿入するために円柱状に陥没された凹部1425となっている。各固定用突起部1424の先端部の中央には上下に貫通する貫通穴1426がそれぞれ形成されている。また、図示は省略しているが、足甲部材1410の上面のセンサ用突起部に設けられたZMPセンサにそれぞれ対応する位置には、該ZMPセンサに圧接乃至当接するセンサ押圧用台座部が一体的に設けられている。
接地部材1422の外形は、足底本体1421の外形と略同一の形状を有しており、足底本体1421の凹部1425に対応して貫通穴1427がそれぞれ形成されている。接地部材1422は、足部150の路面への接地時にその衝撃を緩和するため、例えば弾性ゴムシートから形成される。接地部材1422の材料としては、路面状況対応性の観点から、ゴムシート以外に、金属やプラスチック、その他、各種のものを採用することができ、その下面(接地面)の形状も路面状況対応性の観点から、溝を形成したものや土踏まずを形成したものを採用することができる。この接地部材1422の材質や接地面の形状を適宜に変更・選択することにより、各種の路面状況にそれぞれ対応した各種の足底部材1420を構成することができる。
足底部材1420の凹部1425及び貫通穴1427に円筒状の緩衝部材1430を挿入した状態で、足底本体1421の段差部1423を足甲部材1410の開口に挿入するとともに、緩衝部材1430の貫通穴及び固定用突起部1424の貫通穴1426を貫通させて下側からネジ1431を挿入し、該ネジ1431の先端を天板部1411のネジ穴1414に螺合することにより、足底部材1420を足甲部材1410に装着することができる。
このとき、天板部1411の下面に設けられた不図示のセンサ用台座部に取り付けられた不図示のZMPセンサに、足底本体1420に設けられた不図示のセンサ押圧用台座部の先端面が圧接し、ZMPセンサに適宜な予圧が付与されるようになっている。緩衝部材1430としては、円筒状に形成された弾性ゴム、コイルスプリングなどを採用することができる。緩衝部材1430は、歩行動作などに伴い足底部材1420から足甲部材1410に伝達される衝撃を緩和するとともに、足底部材1420の振動を抑制して、騒音の防止や制御性能の向上を図るためのものである。また、足底部材1420を足甲部材1410に対してZ軸方向及びX−Y平面内で遊動可能となるように保持する機能をも併せ持っている。緩衝部材1430は、弾性のみならず、粘性を有するものを採用してもよい。
なお、足底本体1421の段差部1423と足甲部材1410の側板部1412の対応する内面との間に、他の緩衝部材を介装するようにしてもよい。この場合の他の緩衝部材として、無端状のゴムシートを採用し、足甲部材1410の側板部1412の内面と足底本体1421の段差部1423の間の隙間を埋めるように介装するようにできる。但し、他の緩衝部材はこのようなものに限定されず、板バネ、スポンジ、固形乃至半流動体状の粘性手段を採用してもよい。
また、足部150の組立時に足底部材1420の段差部1423とこれに対面する足甲部材1410の側板部1412との間の隙間に、硬化ないし凝固した状態で弾性及び/又は粘性を生じるような接着剤を充填して、相互に接着するようにしてもよく、当該隙間への異物の進入を防止することができる。
なお、上述したような他の緩衝部材は、足甲部材1410の側板部1412の内面と足底本体1421の段差部1423の間の隙間を完全に埋めるように介装すれば、その隙間に異物などが進入することを防止できる点で好ましいが、必ずしもそのようにする必要はなく、間欠的に配設するようにしてもよい。
足底情報を記憶した記憶手段を含む足底回路部2200及び該記憶手段に記憶された足底情報を読み出す手段を含む足甲回路部2100の構成は、上述した第3の構造に係る足部において説明したものと同様であるので、その説明は省略する。
上述したように、足底部材1420は足甲部材1410に対して緩衝部材1430を介して弾性的に装着されており、足底部材1420は、Z軸方向に僅かに遊動できるとともに、足底本体1421の段差部1423と足甲部材1410の側板部1412の開口側の内側との間に存在する隙間の範囲内でX−Y平面内において任意の方向に僅かに遊動できるようになっている。したがって、歩行動作などに伴う足底部材1420から足甲部材1410へ伝達される衝撃を緩和することができるとともに、足底部材が路面の凹凸に干渉したような場合であっても、これを容易に回避し得るようになる。
また、上述したネジ1431及び緩衝部材1430などは、本発明にいう締結条件を変更可能な締結手段に相当し、ネジ1431の締め込み量を調節することにより、足底部材1420の足甲部材1410に対する遊動(相対移動)の量を任意に調整することができるとともに、ZMPセンサへの予圧も任意に調整することができる。また、足底本体1421の段差部1423の外形を調整することにより、足底部材1420の足甲部材1410に対するX−Y平面内における遊動範囲を任意に変更することができ、ネジ1431の締め込み量と該段差部1423の外形を調整することにより、各種の路面状況に対して柔軟に対応することができる。
なお、上述した実施の形態では、足(足本体1101、1201又は足底部材1320、1420)に設ける記憶手段として、電子的なメモリ(RAM、ROMなど)を用いたが、本発明はこれに限定されることはない。すなわち、記憶手段には、情報を保持できるあらゆるものが含まれる。例えば、バーコード、マトリックスコード、文字、記号、その他の視覚的に認識可能なマークを足本体又は足底部材に表示しておき、足首又は足甲部材に設けられたCCD、その他の検出装置で当該マークを読み取るようにしてもよい。また、記憶手段として、突起(ピン)の配列により情報を記憶するようにしたものを用い、これをフォト・インタープリターや機械的なスイッチで読み取るようにしてもよい。さらに、記憶手段として、磁気で情報を記憶しておくものを用い、これを磁気ヘッドやリードリレーで読み取るようにしてもよい。
脚式移動ロボットの足首における脚と足部との連結構造並びに足部の交換構造の第5の具体例について、図79〜図80を参照しながら説明する。各図は第6の構造に係る足部150及び下肢(可動脚)110との連結部分の断面構成を示す図であり、図79は足部が下肢110の足首114から離脱された状態を示し、図80は足部150が脚側連結部1001に対して取り付けられた状態を示している。
上述した第1の構造に係る足部150は、足本体1101の裏面が路面に対する接地面となっていたが、この第5の構造に係る足部150は、左右各々の下肢110の足首114に連結される足甲部材1121及び路面に直接接地される足底部材1151を備えて構成され、足底部材1151を足甲部材1121に遊動可能に取り付けた二重構造となっている。
足部150を構成する足甲部材1121の上部に形設された連結部には、連結固定位置決め凹部1102と、電気接続用コネクタ1103と、コネクタ1003の収容部1104と、連結固定用アクチュエータ1105が配設されている。
足底部材1151はその上面が開放された略矩形箱状の部材であり、略矩形板状の底板部1152及びその周囲に沿って一体的に立設された側板部1153を有している。底板部1152の上面は足甲部材1121の下面に当接している。ここでは、底板部1152の下面により足部150の足裏面が構成される。底板部1152の下面と側板部1153の外面との境界部分はR面(円弧面)又は滑らかな曲面となっている。
足底部材1151の側板部1153の内側の形状は、足甲部材1121の側面の形状に対して僅かに大きい相似形状となっている。足甲部材1121の側面は、足底部材1151の側板部1153の内面に僅かな隙間(遊び)をもって対面しており、これにより足底部材1151は足甲部材1121に対して、該足甲部材1121の下面に沿って、すなわちX−Y平面内において、任意の方向に遊動できるようになっている。
足底部材1151は、遊脚時に足甲部材1121から落下しないように、且つX−Y平面内における遊動を制限しないように、不図示の保持機構を介して足甲部材1121に取り付けられている。この保持機構は、足底部材1151の交換のため、容易な操作で着脱する機構をも備えていることが望ましい。
足底部材1151の側板部1153の内面と足甲部材1121の側面の間には、緩衝部材(緩衝手段)1154が介装されている。緩衝部材1154としては、例えば無端状のゴムシートを採用し、足底部材1151の側板部1153の内面と足甲部材1121の側面との間の隙間を完全に埋めるように介装されている。但し、緩衝部材1154はこのようなものに限定されず、板バネ、スポンジ、固形ないし半流動体状の粘性手段を採用してもよい。
また、足部の組立時に足底部材1151の側板部1153の内面と足甲部材1121の側面との間の隙間に、硬化乃至凝固した状態で弾性及び/又は粘性を生じるような接着剤を充填して、相互に接着するようにしてもよく、当該隙間への異物の進入が防止できるとともに、足底部材1151を足甲部材1121に遊動可能に取り付けるための保持機構を採用することなく、同様の効果を得ることができるので都合がよい。
なお、足底部材1151は足甲部材1121に対して、該足甲部材1121の下面に沿って任意の方向に遊動できるように構成したが、X軸方向やY軸方向などのように特定の方向にのみ遊動できるように構成してもよい。また、緩衝部材1154は、足底部材1151の側板部1153の内面と足甲部材1121の側面との間の隙間を完全に埋めるように介装すれば、その隙間に異物などの進入を防止することができる点で好ましいが、これに限定されず、間欠的に配設するようにしてもよい。また、緩衝部材を完全に省略してもよい。
足甲部材1121の連結固定位置決め凹部1102の底面には、さらに凹部1111が形成されており、凹部1111には、電気回路基板1112が収容されている。電気回路基板1112を設ける位置は、足甲部材1121上であれば、他の位置にしてもよい。この電気回路基板1112には、足部センサ処理ユニット及び電源ユニットが搭載されている。
足部センサ処理ユニットの構成については、図74に示したものと同様であり、足部センサ処理ユニット内のROMにこの二重構造の足部150についての足情報が格納されている点も同様である。
足甲部材1121には、力センサ406や加速度センサ407などのセンサが配設されている。力センサ406は、Z軸方向の圧力を検出するセンサであり、図81に示されているように、足甲部材1121の下面(足底部材1151の上面に当接する面)に配設されている。力センサ406は、ZMPを算出するために用いられるもので、本実施形態では、足甲部材1121の下面の四隅近傍にそれぞれ設けられている。
力センサ406は、それぞれ金属ダイヤフラムと4つの歪ゲージからなり、4つの歪ゲージでブリッジ回路を形成し、該歪ゲージを金属ダイヤフラムに貼着して構成される。足甲部材1121の下面が足底部材1151の上面に当接しているとき、前記金属ダイヤフラムの変形量(歪量)が電気信号として出力されるので、この出力を換算することにより、力センサ406の配置された位置に作用する足底部材1151からのZ軸方向の力を求めることができる。但し、力センサ406はこのような構成のものに限定されず、他の構成のものを採用してもよい。ZMP検出用の力センサ406の数や配設位置も上記に限定されない。
また、図示は省略しているが、足甲部材1121にはX軸方向及びY軸方向の加速度を検出するための加速度センサも搭載されている。加速度センサを設ける位置は、特に限定されないが、ここでは凹部1111に設けている。この加速度センサの出力は、路面の重力方向に対する傾きの検出、路面の凹凸などによる躓きの検出に利用される。
センサ406,407は、図示しないオペアンプを介して足部センサ処理ユニット400のA/D変換器405に電気的に接続されている。各センサ406、407の出力のゲイン調整は、A/D変換器405のダイナミックレンジに応じてあらかじめ行なわれていることは言うまでもない。
なお、足甲部材1121の足首114への連結はアクチュエータ1105を用いて行なうようにしたが、図71及び図72に示したような、手動式のレバーを採用して、同様の機能を実現するようにしてもよい。
最後に、足部センサ処理ユニット400において実行されるZMPの算出処理について説明する。なお、ここで言うZMPとは、歩行中のロボットが受ける床面からの反力によるモーメントがゼロとなる床面上の点を意味する。
足部センサ処理ユニット400のCPU401は、足本体1101又は足甲部材1121(以下、足本体1101で代表する)に設けられた4つの力センサ406の検出値(圧力)と各力センサ406の配置位置についての情報(ここでは、ROM403に足センサ情報の一つとして記憶されているものとする)に基づいて、2足歩行ロボットの片足支持期における当該足部についてのZMPを下記の式(9)に基づいて算出する。
両脚支持期においては、左右の各足部150のセンサ処理ユニット400で2つのZMPが算出されることになるが、該ZMPと床反力に基づいて主制御ユニット300内のCPU301において、それぞれのZMPの値から実際のZMPが算出される。
ZMPは、片足について少なくとも3つの力センサの検出値に基づいて算出することが可能であるが、この実施の形態では、4つの力センサの検出値に基づいて算出することにより、ZMP算出値の信頼性を高くしている。なお、4つの力センサを設置した場合に、3つの力センサの出力からZMPを算出し、もう1つの力センサの出力を算出したZMPをチェックするのに用いるようにしてもよく、これによっても、ZMP算出値の信頼性を向上させることができる。
また、足部に配置される力センサの数は、4つに限定されるものではなく、3つ以上であれば、いくつでも良い。この場合、力センサの個数をnとすれば、ZMPは次式(10)で与えられる。
このように、足部センサ処理ユニット400により算出されたZMPは、該足部センサ処理ユニット400の入出力制御部、通信ケーブル、主制御ユニット300の入出力制御部(いずれも不図示)を介して主制御ユニット300に転送され、主制御ユニット300のCPU301は、転送された各足部についてのZMP、及びその他の情報に基づいて、各アクチュエータ306などに対する指令値を求め、これに基づきロボットの歩行動作、その他の運動が制御される。
加速度センサ407は、足部のX軸、Y軸方向の加速度を検出している。足部センサ処理ユニット400のCPU401は、足部が床面に接地しているときは、加速度センサ407の出力に基づいて、足部(足裏接地面、X−Y平面)の水平面に対する傾斜角度を算出する。また、片脚支持期においては、遊脚側の加速度センサ407の検出値の変化に基づいて、遊脚に衝撃が加えられたときのその衝撃の大きさを算出したり、ロボットの歩行動作中などにおける躓きの検出を行なったりするようになっている。
足部センサ処理ユニット400によって求められたこれらの情報も、上述したZMPと同様に主制御ユニット300に転送され、各部を制御するための基礎情報として用いられる。
足部センサ処理ユニット400において、力センサ406、加速度センサ407のセンサ出力は、一定周期毎にあるいは必要に応じてサンプリングされ、ZMPや足部の傾斜角度などの値も一定周期毎にあるいは必要に応じて算出される。
足部センサ処理ユニット400による演算結果の主制御ユニット300への転送は、主制御ユニット300が所定の周期であるいは必要に応じてポーリングによって各足部についての足部センサ処理ユニット400に情報(演算結果)の転送を要求して、これに応じて該情報を転送する。但し、各足部についての足部センサ処理ユニット400側から、主制御ユニット300のCPU301に対して割り込みをかけて、該情報を転送するようにしてもよい。場合によっては、これらの双方により該情報を転送するようにしてもよい。
上述した実施の形態においては、足部センサ処理ユニット400のCPU401により、ZMP検出用の力センサ406及び加速度センサ407の出力に基づく所定の演算が実行され、演算結果を主制御ユニット300に転送するものとしたが、2つのCPUを設けて、ZMPの演算と、足部の傾きなどの演算を別々のCPUにより行なうようにしてもよい。
また、足部センサ処理ユニット400と主制御ユニット300とは、それぞれに設けられた入出力制御部及びこれらを接続する通信ケーブルを介して相互に接続する形態としたが、足部センサ処理ユニット400のバス404と主制御ユニット300のバス304とを直接接続する形態を採用してもよい。さらに、足部センサ処理ユニット400及び主制御ユニット300に無線でデータ通信を行なうためのデータ送受信装置及び/又は無線で電力を供給する電力送受信装置を配設すれば、これらの間を接続するケーブルなどを省略することができ、その分だけ構成が簡略化されるとともに、足部の交換作業も容易になる。
上述した本発明の実施の形態によれば、足部150(足本体1101又は足甲部材1121)に設けられた各種センサ406,407の出力に基づいて、同じく足部150に設けられた足部センサ処理ユニット400が当該足部150についてのZMP演算などの所定の演算処理を実行し、演算結果をロボット本体の主制御ユニット300に転送するようにしたので、その分だけ該主制御ユニット300の処理負担が軽減され、主制御ユニット300は他の演算処理に専念することができ、緊急度の高い処理を良好な応答性をもって実行できるようになる。
また、足部150に配設された各種センサ406,407は、足部センサ処理ユニット400に接続され、足部センサ処理ユニット400と主制御ユニット300とが通信ケーブルによって接続されているため、ロボット内部の配線は、各種センサ406,407と主制御ユニット300とを直接接続する場合と比較して、ロボット内部の配線やコネクタ部の構成を簡易なものとすることができる。上述した無線通信によってデータ通信する場合には、通信のチャネル数を少なくできるという利点もある。
さらに、足部150の各種センサ406,407と、その検出値に基づいて演算処理を行なう足部センサ処理ユニット400との間は、非常に近いので、センサ出力に重畳されるノイズが少なくなり、より正確な処理結果を得ることができる。
足部150に関する第5の構造では、足底部材1151を足甲部材1121に遊動可能に取り付けたので、ロボットの歩行動作時に、足底部材1151と足甲部材1121の運動の間に時間的遅れが生じるとともに、足底部材1151と足甲部材1121の間に緩衝部材1154を介装したので、遊脚が路面に着地した時に路面から受ける反力が緩やかに下肢110に作用することになる。したがって、下肢110の関節部分に伝達される衝撃が緩和され、アクチュエータなどへの負担が軽減される。また、ロボットを素早く移動させるときのアクチュエータの急激な駆動に対するロボットの姿勢安定性を向上させることができる。さらに、例えば駆動系に機械的な誤差(ガタ)があったり、制御誤差が生じた場合であったりしても、足底部材1151の遊動範囲内でこれを吸収することが可能なので、その影響を抑制することができる。
この第5の構造において、足甲部材1121と足底部材1151との間に緩衝手段として、弾性手段を用いた場合には、足底部材1151が足甲部材1121に対して長時間に渡って振動し続ける恐れがあり、歩行動作に伴う制御性に悪影響を与えることが懸念される。この場合には、弾性手段に加えて制振性を高めるために粘性手段(例えば、ダンパーなど)を設けることが望ましい。この場合において、脚の歩行動作により足底部材1151が路面から離間してから着地するまでに要する時間内に足底部材1151の振動が所定値以下まで収束するように、該弾性手段の弾性係数及び粘性手段の粘性係数を設定するとよい。これにより、遊脚の着地時点において、足底部材1151は所定値以下の振動となっているので、ロボットの制御系(足部処理ユニット400又は主制御ユニット300)による軌道計算やその他の制御のために再計算を行なう必要がなくなり、制御性が向上する。なお、所定値とは、ロボットの制御系が安定走行を実現するために許容する必要最小限の振動である。
また、同じく第5の構造においては、ZMP検出用の力センサ406及び加速度センサ407を、遊動可能な足底部材1151ではなく、足甲部材1121に設けるものとしたので、センサ406,407を足底部材1151側に設ける場合と比較して、センサ406,407と足部センサ処理ユニット400をつなぐ配線に可動部がなく、配線によって足底部材1151の遊動が阻害されたり、足底部材1151の遊動により該配線が損傷したりすることが少ない。特に、ZMP検出用センサ406を足甲部材1121の下面(足底部材1151の上面に当接する面)に設けているので、ZMP検出用センサ406は、ZMPの検出上、路面と同一視できる足底部材1151の上面から圧力を受けることになり、路面状況の変化に伴い生じることがある検出値の誤差を少なくすることができ、より正確なZMPを求めることが可能となる。
追補
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。
本発明の要旨は、必ずしも「ロボット」と称される製品には限定されない。すなわち、電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行なう機械装置であるならば、例えば玩具などのような他の産業分野に属する製品であっても、同様に本発明を適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
産業上の利用可能性
本発明によれば、ZMPの移動による足部形状の変化に伴う抗力発生実効面の変化を抑制し、また、連続面、非連続面、剛体面、粘弾性面などのさまざまな移動面に適応し、脚式移動ロボットの姿勢の安定性を十分に確保することができるような脚式移動ロボットの足を提供することができる。
また、ZMPの移動による足部形状の変化に伴う抗力発生実効面の変化を抑制し、また、連続面、非連続面、剛体面、粘弾性面などのさまざまな移動面に適応する足部を有し、これにより姿勢の安定性を十分に確保することができるような脚式移動ロボットを提供することができる。
また、本発明によれば、ZMPの位置に拘わらずヨー軸回りのモーメントに対する抗力が変化することが少なくなり、いわゆるスピン運動の発生を抑制することができるとともに、制御系による制御も予測の範囲内となり、姿勢の安定性を向上することができるようになる。また、路面に多少の凹凸があっても土踏まず部の存在により、凸部に足が乗ってしまうことが少ないので、シーソー状態となることも少なくなる。さらに、足底に角がない(角部や側辺部が滑らかな曲面となっている)ので、路面に対する干渉が少なくなり、躓きなどを抑制することができる。したがって、脚式移動ロボットの姿勢の安定性を十分に確保することができるようになる。
また、本発明によれば、ロボットの転倒時の姿勢ないし挙動が予測できるようになるので、転倒を回避するための制御、転倒時の衝撃を緩和するための制御、転倒後の復帰制御などの転倒に伴う制御を容易に実施することができるようになる。また、転倒による各部の破損などを抑制し得る。
また、本発明によれば、足底部材は足裏面に略平行な面に沿って遊動可能なので、遊脚の着地時に路面に凹凸などがあり、足底部材の一部が該凹凸に干渉したような場合であっても、足底部材の遊動範囲内で該足底部材が動くことによってその干渉を解消し、あるいは路面から受ける力を吸収することができるようになり、安定して高速動作を行なうことができるようになる。
また、本発明によれば、足本体又は足底部材に該足本体又は足底部材に関連する情報が記憶された記憶手段を設けたので、ロボット本体の制御系が、交換された足部に関する情報を容易に取得できるようになり、足部の交換に伴う作業負担が軽減される。
また、本発明によれば、各足部(足本体又は足甲部材)に設けられるセンサの出力の処理を当該足部に設けられた足部処理手段により実行するようにしたので、ロボット本体の制御手段は当該処理に伴う演算などを実行する必要がなくなり、該制御手段の処理負担を軽減することができる。
また、足部の足部処理手段による演算結果をロボット本体の制御手段に転送するようにしたので、各センサの出力を直接的にロボット本体の制御手段に転送する場合と比較して、これらをつなぐ配線の構成も複雑化しない。
例えば、各足部についてのZMPの算出を当該足部(足本体又は足甲部材)に設けられた足部処理手段により実行するようにしたので、ロボット本体の制御手段は当該演算を実行する必要がなくなり、該制御手段の処理負担を軽減することができる。また、足部からは演算結果(ZMP)を転送するようにしたので、各センサの出力を直接的にロボット本体の制御手段に転送する場合と比較して、これらをつなぐ配線の構成も複雑化しない。
さらに、足部処理手段を各種センサとの関係で最適化することが可能であり、足部が交換される場合に、ロボット本体の制御手段の処理などに変更を生じることがなくなり、該足部の交換が容易となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施の形態の「人間型」の脚式移動ロボット100が直立している様子を前方から眺望した様子を示す図である。
図2は、脚式移動ロボット100が直立している様子を後方から眺望した様子を示す図である。
図3は、脚式移動ロボット100の制御システム構成の概略を示した図である。
図4は、図1に示した脚式移動ロボットの足部の第1の具体例の斜視図である。
図5は、図1に示した脚式移動ロボットの足部の第1の具体例の側面図である。
図6は、図1に示した脚式移動ロボットの足部の第1の具体例の裏面図である。
図7は、図6のA−A線に沿って切断した端面図である。
図8は、図6のB−B線に沿って切断した端面図である。
図9は、脚式移動ロボットの足部の第2の具体例についての斜視図である。
図10は、脚式移動ロボットの足部の第2の具体例についての側断面図である。
図11は、脚式移動ロボットの足部の第3の具体例についての斜視図である。
図12は、脚式移動ロボットの足部の第3の具体例の側面図である。
図13は、脚式移動ロボットの足部の第3の具体例の裏面図である。
図14は、図11に示した脚式移動ロボットの足部のサイズを説明するための図である。
図15は、図11に示した脚式移動ロボットの足部が踏むことが予想される敷居の形状を説明するための図である。
図16は、脚式移動ロボットの足部の第4の具体例についての斜視図である。
図17は、脚式移動ロボットの足部の第4の具体例についての側面図である。
図18は、脚式移動ロボットの足部の第4の具体例についての裏面図である。
図19は、図18のA−A線に沿って切断した端面図である。
図20は、図18のB−B線に沿って切断した端面図である。
図21は、図18のC−C線に沿って切断した端面図である。
図22は、図16に示した脚式移動ロボットの足部のサイズを説明するための図である。
図23は、図16に示した脚式移動ロボットの足部が踏むことが予想される敷居の形状を説明するための図である。
図24は、脚式移動ロボットの足部の第5の具体例についての斜視図である。
図25は、脚式移動ロボットの足部の第5の具体例についての側面図である。
図26は、脚式移動ロボットの足部の第5の具体例についての裏面図である。
図27は、図26のA−A線に沿って切断した端面図である。
図28は、図26のB−B線に沿って切断した端面図である。
図29は、図26のC−C線に沿って切断した端面図である。
図30は、脚式移動ロボットの足部の第6の具体例についての斜視図である。
図31は、脚式移動ロボットの足部の第6の具体例についての側面図である。
図32は、脚式移動ロボットの足部の第6の具体例についての底面図である。
図33は、図30に示した脚式移動ロボットの足部のサイズを説明するための図である。
図34は、図30に示した脚式移動ロボットの足部が踏むことが予想される敷居の形状を説明するための図である。
図35は、脚式移動ロボットの足部の第7の具体例についての斜視図である。
図36は、脚式移動ロボットの足部の第7の具体例についての側面図である。
図37は、脚式移動ロボットの足部の第7の具体例についての底面図である。
図38は、図37のA−A線に沿って切断した端面図である。
図39は、図37のB−B線に沿って切断した端面図である。
図40は、脚式移動ロボットの足部の第8の具体例についての斜視図である。
図41は、脚式移動ロボットの足部の第8の具体例についての側面図である。
図42は、脚式移動ロボットの足部の第9の具体例についての側面図である。
図43は、脚式移動ロボットの足部の第9の具体例についての底面図である。
図44は、脚式移動ロボットの足部の第10の具体例についての底面図である。
図45は、脚式移動ロボットの足部の第10の具体例についての側面図である。
図46は、脚式移動ロボットの足部の第11の構成を示す平面図である。
図47は、脚式移動ロボットの足部の第11の構成についての転倒時の挙動を説明するための図である。
図48は、脚式移動ロボットの足部の第12の構成を示す平面図である。
図49は、脚式移動ロボットの足部の第12の構成に係る足部についての転倒時の挙動を説明するための図である。
図50は、脚式移動ロボットの足部の第13の構成を示す平面図である。
図51は、脚式移動ロボットの足部の第14の構成を示す平面図である。
図52は、脚式移動ロボットの足部が加重により変形する状態を示す図である。
図53は、脚式移動ロボットの足部が段差を踏んだ状態を示す図である。
図54は、脚式移動ロボットの足部が絨毯上を歩行する状態を示す図である。
図55は、脚式移動ロボットの足部の底面の角を曲面とした状態のその足部の動作を説明するための図である。
図56は、脚式移動ロボットの足部が踏んだ凹部が、足部の柔軟部を介して、土踏まず部の底面(天井面)に達した状態を示す図である。
図57は、脚式移動ロボットの足部が比較的大きな段差を踏んだ状態を示す図である。
図58は、脚式移動ロボットの足部の柔軟部を通常の弾性部材で形成した時の柔軟部の変形の様子を示す図である。
図59は、脚式移動ロボットの足部の柔軟部をより柔軟性の強い弾性部材で形成したときの柔軟部における変形の様子を示す図である。
図60は、脚式移動ロボットの足部が転がり運動可能な障害物を踏んだ状態を示す図である。
図61は、脚式移動ロボットの足部が比較的大きな転がり運動可能な障害物を踏んだ状態を示す図である。
図62は、脚式移動ロボットの足部が絨毯上を進行する状態を示す図である。
図63は、足の甲(足の背)と足裏(足の底)との支持構造についての第1の具体例の構成を示す側面図である。
図64は、図63のA−A線に沿った断面図である。
図65は、足の甲(足の背)と足裏(足の底)との支持構造についての第2の具体例の構成を示す斜視図である。
図66は、図65のB−B線に沿った断面図である。
図67は、足の甲(足の背)と足裏(足の底)との支持構造についての第3の具体例の構成を示す平面図である。
図68は、足の甲(足の背)と足裏(足の底)との支持構造についての第3の具体例の構成を示す一部を破断した側面図である。
図69は、足首における脚と足部との連結・交換構造についての第1の具体例の構成を示す断面図である。
図70は、図69に示した足部の足首に連結した状態における該足部及び連結部の構成を示す断面図である。
図71は、足首における脚と足部との連結・交換構造についての第2の具体例の構成を示す図であり、足部を足首から分離する場合における上面図(A)、側面図(B)、背面図(C)、側断面図(D)である。
図72は、第2の具体例に係る足部の構成を変更した例を示す図であり、足部を足首に連結する場合における上面図(A)、側面図(B)、背面図(C)、側断面図(D)である。
図73は、第3の具体例の構造に係る足部の足首に連結した状態における該足部及び連結部の構成を示す断面図である。
図74は、足部に採用される足甲回路部及び足底回路部の構成を示すブロック図である。
図75は、第4の具体例の構造に係る脚と足部との連結・交換構造の一部を分解して表示した側面図である。
図76は、第4の具体例の構造に係る脚と足部との連結・交換構造の足部の平面図である。
図77は、第4の具体例の構造に係る脚と足部との連結・交換構造の足部の一部を分解して表示した側断面図である。
図78は、第4の具体例の構造に係る脚と足部との連結・交換構造の足部の底面図である。
図79は、第5の具体例に係る脚と足部との連結・交換構造の足部の構成を示す図であり、足部を足首から分離した状態における該足部及び連結部の構成を示す断面図である。
図80は、第5の具体例に係る脚と足部との連結・交換構造の足部の構成を示す図であり、足部を足首に連結状態における該足部及び連結部の構成を示す断面図である。
図81は、第5の具体例に係る脚と足部との連結・交換構造の足部の構成における足甲部材の裏面図である。
図82は、従来の脚式移動ロボットの足部が加重により変形する状態を示す図である。
図83は、足部と路面が点で接触する場合の抗力発生実効面を説明するための図である。
図84は、足部と路面がフレーム形状で接触する場合の抗力発生実効面を説明するための図である。
図85は、従来の脚式移動ロボットの足部が段差を踏んだ状態を示す図である。
図86は、従来の脚式移動ロボットの足部が絨毯上を歩行する状態を示す図である。
図87は、従来の脚式移動ロボットの足部の底面の角が、路面に引っ掛かった状態のその足部の動作を説明するための図である。
図88は、従来の脚式移動ロボットの足部が、段差を踏んだ状態を示す図である。
図89は、土踏まず部が設けられた脚式移動ロボットの足部が、段差を踏んだ状態を示す図である。
図90は、足部の構成の一例を示す平面図である。
図91は、足部の構成についての他の例を示す平面図である。
図92は、足部の構成のさらに他の例を示す平面図である。
Claims (9)
- 複数の可動脚を備えた脚式移動ロボットの脚装置であって、
路面に接地する接地部を有する足裏面及び該足裏面の周囲に連続する側面を有する足底部と、
前記足裏面の内側に向かって形成された傾斜面からなる第1の凹部と、
前記第1の凹部の内部に前記第1の凹部の傾斜面よりさらに窪むように形成された第2の凹部と、
前記第2の凹部内に弾力性を有する部材により形成された柔軟部と、
前記第1又は第2の凹部より前記足底部の周辺部を通過して前記足底部の側面より外部に達するように前記足底部の前記足裏面に形成された1以上の溝とを具備する
脚式移動ロボットの脚装置。 - 前記接地部を前記足裏面の四隅にそれぞれ配設した請求項1記載の脚式移動ロボットの脚装置。
- 前記第2の凹部の側面は、前記足底部の前記接地部が平坦な路面からの抗力を受ける点を結んだ平面に対して垂直方向に形成されている請求項1記載の脚式移動ロボットの脚装置。
- 前記第2の凹部内の前記柔軟部は、前記足底部が平坦な路面に面接地した場合に、当該路面に接触しない構造に形成される請求項1記載の脚式移動ロボットの脚装置。
- 前記可動脚の先端部に着脱自在に取り付けられる足本体と、前記足本体に設けられ該足本体に関連する情報が記憶された記憶手段とを備えた請求項1記載の脚式移動ロボットの脚装置。
- 前記可動脚に足首部で支持される足甲部と、前記足甲部に着脱自在に取り付けられる足底部と、前記足底部に搭載され該足に関連する情報が記憶された記憶手段及び前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記可動脚の運動を制御する制御手段を備えた請求項1記載の脚式移動ロボットの脚装置。
- 前記可動脚に足首部で支持される足本体と、前記足本体に搭載され該足本体に関連する情報が記憶された記憶手段及び前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記可動脚の運動を制御する制御手段と、前記制御手段を外界に露出し交換可能にする開口部とを備える請求項1記載の脚式移動ロボットの脚装置。
- 前記制御手段は、初期化時に前記記憶手段に記憶された情報を読み出す請求項6又は7のいずれかに記載の脚式移動ロボットの脚装置。
- 可動脚の先端部に着脱自在に設けられる足を備えた脚式移動ロボットの制御方法において、
前記脚式移動ロボットの足は、
路面に接地する接地部を有する足裏面及び該足裏面の周囲に連続する側面を有する足底部と、
前記足裏面の内側に向かって形成された傾斜面からなる第1の凹部と、
前記第1の凹部の内部に前記第1の凹部の傾斜面よりさらに窪むように形成された第2の凹部と、
前記第2の凹部内に弾力性を有する部材により形成された柔軟部と、
前記第1又は第2の凹部より前記足底部の周辺部を通過して前記足底部の側面より外部に達するように前記足底部の前記足裏面に形成された1以上の溝とを具備し、
前記足に関連する情報を該足に設けられた記憶手段にあらかじめ記憶せしめ、
初期化時に該記憶手段から該情報を読み出し、
該読み出した情報に基づいて前記可動脚の運動を制御する
脚式移動ロボットの制御方法。
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