JP2001347476A - 脚式移動ロボット - Google Patents

脚式移動ロボット

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JP2001347476A
JP2001347476A JP2000167681A JP2000167681A JP2001347476A JP 2001347476 A JP2001347476 A JP 2001347476A JP 2000167681 A JP2000167681 A JP 2000167681A JP 2000167681 A JP2000167681 A JP 2000167681A JP 2001347476 A JP2001347476 A JP 2001347476A
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road surface
foot
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walking
mobile robot
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JP2000167681A
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Yuichi Hattori
裕一 服部
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 路面の表面状態に応じて適応的な脚式移動作
業を行うロボットを提供する。 【解決手段】 歩行動作による路面対応には限界がある
ので、脚式移動ロボットは、まず路面状況や歩行状態な
どを判断して、適切な足部を選択して、自律的に足部の
交換作業を行う。次いで、選択された足部で定まる条件
下で適当な歩行動作パターンを決定する。また、歩行動
作による路面対応と足部による路面対応の組合せによ
り、ロボットと路面の関係に適した条件を求める。脚式
ロボットの行動範囲をあらかじめマッピングして路面情
報を記述しておいてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも複数本
の可動脚を備えた脚式移動ロボットに係り、特に、様々
な路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作業を
行う脚式移動ロボットに関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、表面状態が不知
の路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作業を
行う脚式移動ロボットに係り、特に、路面の表面状態に
応じて適応的な脚式移動作業を行う脚式移動ロボットに
関する。
【0003】
【従来の技術】電気的若しくは磁気的な作用を用いて人
間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボッ
ト」という。ロボットの語源は、スラブ語の"ROBO
TA(奴隷機械)"に由来すると言われている。わが国に
おいてロボットが普及し始めたのは1960年代末から
であるが、その多くは、工場における生産作業の自動化
・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボッ
トなどの産業用ロボット(industrial robot)であっ
た。
【0004】アーム式ロボットのように、ある特定の場
所に植設して用いるような据置きタイプのロボットは、
部品の組立・選別作業など固定的・局所的な作業空間で
のみ活動する。これに対し、移動式のロボットは、作業
空間は非限定的であり、所定の経路上または無経路上を
自在に移動して、所定の若しくは任意の人的作業を代行
したり、ヒトやイヌあるいはその他の生命体に置き換わ
る種々の幅広いサービスを提供することができる。なか
でも脚式の移動ロボットは、クローラ式やタイヤ式のロ
ボットに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなる
が、階段や梯子の昇降や障害物の乗り越えや、整地・不
整地の区別を問わない柔軟な歩行・走行動作を実現でき
るという点で優れている。
【0005】最近では、イヌやネコのように4足歩行の
動物の身体メカニズムやその動作を模したペット型ロボ
ット、あるいは、ヒトのような2足直立歩行を行う動物
の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされた
「人間形」若しくは「人間型」と呼ばれるロボット(hu
manoid robot)など、脚式移動ロボットに関する研究開
発が進展し、実用化への期待も高まってきている。
【0006】人間の作業空間や居住空間のほとんどは、
2足による直立歩行という人間が持つ身体メカニズムや
行動様式に合わせて形成されている。言い換えれば、人
間の住空間は、車輪その他の駆動装置を移動手段とした
現状の機械システムが移動するのにはあまりに多くの障
壁が存在する。機械システムすなわちロボットが様々な
人的作業を支援又は代行し、さらに人間の住空間に深く
浸透していくためには、ロボットの移動可能範囲が人間
のそれとほぼ同じであることが好ましい。これが、脚式
移動ロボットの実用化が大いに期待されている所以でも
ある。人間型の形態を有していることは、ロボットが人
間の住環境との親和性を高める上で必須であると言え
る。
【0007】2足歩行による脚式移動を行うタイプのロ
ボットについての姿勢制御や安定歩行に関する技術は既
に数多提案されている。ここで言う安定な「歩行」と
は、「転倒することなく、脚を使って移動すること」と
定義することができる。ロボットの姿勢安定制御は、ロ
ボットの転倒を回避する上で非常に重要である。何故な
らば、転倒は、ロボットが実行中の作業を中断すること
を意味し、且つ、転倒状態から起き上がって作業を再開
するために相当の労力や時間が払われるからである。ま
た、何よりも、転倒によって、ロボット本体自体、ある
いは転倒するロボットと衝突する相手側の物体にも、致
命的な損傷を与えてしまう危険があるからである。した
がって、脚式移動ロボットの設計・開発において、姿勢
安定制御や歩行時の転倒防止は最も重要な課題の1つで
ある。
【0008】歩行時には、重力と歩行運動に伴なって生
じる加速度によって、歩行系から路面には重力と慣性
力、並びにこれらのモーメントが作用する。いわゆる
「ダランベールの原理」によると、それらは路面から歩
行系への反作用としての床反力、床反力モーメントとバ
ランスする。力学的推論の帰結として、足底接地点と路
面の形成する支持多角形の辺上あるいはその内側にピッ
チ及びロール軸モーメントがゼロとなる点、すなわち
「ZMP(Zero Moment Point)」が存在する。
【0009】脚式移動ロボットの姿勢安定制御や歩行時
の転倒防止に関する提案の多くは、このZMPを歩行の
安定度判別の規範として用いている。ZMP規範に基づ
く2足歩行パターン生成は、足底着地点を予め設定で
き、路面形状に応じた足先の運動学的拘束条件を考慮し
易いなどの利点がある。また、ZMPを安定度判別規範
とすることは、力ではなく軌道を運動制御上の目標値と
して扱うことを意味するので、技術的に実現可能性が高
まる。なお、ZMPの概念並びにZMPを歩行ロボット
の安定度判別規範に適用する点については、Miomir Vuk
obratovic著"LEGGED LOCOMOTION ROBOTS"(加藤一郎外
著『歩行ロボットと人工の足』(日刊工業新聞社))に
記載されている。
【0010】しかしながら、脚式移動ロボットは、研究
段階からようやく実用化への第1歩を踏み出そうとして
いるのが現状であり、未だ数多の技術的課題が残されて
いる。例えば、路面の表面状態(整地か不整地か、ある
いは摩擦係数など)が脚式歩行の姿勢安定制御や安定歩
行に与える影響は非常に大きいが、充分には解明されて
いない。
【0011】4足歩行よりもヒューマノイドのような2
足歩行のロボットの方が、重心位置が高く、且つ、歩行
時のZMP安定領域が狭い。したがって、このような路
面状態の変化に伴う姿勢変動の問題は、2足歩行ロボッ
トにおいてとりわけ重要となる。
【0012】路面での歩行を考える場合、本来その路面
状態に適した歩行方法を行うことが好ましい。
【0013】例えば、本出願人に既に譲渡されている特
願2000−100708号明細書には、路面の表面状
態に応じて適応的な脚式移動作業を行うことができる脚
式移動ロボットについて開示されている。該明細書に記
載の脚式移動ロボットは、各可動脚の足部(足平又は足
底)には、足部と路面との接地状態を確認するための路
面接地センサの他に、路面と接地脚との間の相対移動
(すなわち「滑り」)を測定するための相対移動測定セ
ンサが配設されている。例えば滑りなどの現象により、
予定又は計画された軌道と実際の軌道との間にずれが発
生した場合であっても、適応的に行動計画の修正並びに
動作制御を行うことができる。
【0014】また、人間の歩行を考えた場合、通常の歩
行を行う場合と雪道などの滑り易い路面での歩行は一般
的に相違する。板の間と毛足の長い絨毯の上などでも歩
行は違ってくる。人間の場合、路面状態への対応は、五
感を利用して状況把握を行いながら、経験的に学んだ歩
き方を選択し、また状況に応じて姿勢制御を行いながら
歩行動作を実現する。また、路面歩行に適した靴などを
選択することで、極端な路面、例えば雪道や泥道などへ
の対応を容易にしている。
【0015】ここで、ロボットの歩行について考える
と、さまざまな路面での歩行が要求される点でロボット
の歩行も人間の歩行と同様である。ロボットも路面に応
じた歩き方を行う必要がある。しかしながら、現時点で
は、技術的及び経済的な理由などから、ロボットに対し
て人間と同様に多様な歩行動作を実現することは困難で
ある。
【0016】一方、ロボットと路面との関係について考
えて見る。ロボットの大きさや質量などが人間と同程度
である場合には、歩行状況に対する路面表面の影響は人
間の場合と同程度と推定することができよう。
【0017】これに対し、人間よりも小型で軽量なロボ
ットの場合、路面状態の影響がより大きくなる場合があ
る。一例として、絨毯のように荷重に対して変形する路
面を挙げることができる。人間が絨毯の上を歩行する場
合、毛足が相当長い場合であってもに人間の質量も充分
に大きいので、足部が接触する部分の絨毯表面は圧力に
よりつぶされた形状となるので路面が安定し、また、毛
足から受ける反力が歩行に対して与える影響は小さい。
これに対し、小型軽量のロボットが同じ絨毯の上を歩行
する場合であっても、絨毯の表面部分がロボットの足底
から受ける圧力が小さく、足部が接触する部分の絨毯表
面が充分にはつぶされない状態になる。この結果、例え
ば人間が分厚いマットレスの上を歩くような状況と同様
となり、歩行への影響が過大となる。
【0018】ロボットは、人間ほど多様な歩行パターン
を行うことは困難であり、その分だけ歩行中の路面に適
応することが難しい。また、歩行路面から受けるの影響
は人間の歩行時とは違った形態で現れてくる。
【0019】ロボットの足部並びに足底については既に
数多の研究・開発がなされている。しかしながら、あら
ゆる路面に対応し得る万能な足部の実現は、技術的にも
経済的にも困難というのが実情である。
【0020】また、脚式移動ロボットはいまだ研究・開
発レベルであり、歩行路面を限定した作業環境下でロボ
ットの足部の適応性を高めるという方向で開発がなされ
てきたのが現状である。
【0021】したがって、脚式移動ロボットが実用化・
商品化の段階を迎え、人間の住環境に入り込もうとして
いるいま、さまざまな路面への対応が不可欠となってき
ている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、様々
な路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作業を
行うことができる、優れた脚式移動ロボットを提供する
ことにある。
【0023】本発明の更なる目的は、路面の表面状態に
応じて適応的な脚式移動作業を行うことができる、優れ
た脚式移動ロボットを提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を参
酌してなされたものであり、少なくとも複数本の可動脚
と上体部を備えた脚式移動ロボットであって、可動脚に
よる歩行中の路面状況判断手段と、路面状況の変化に応
答して、少なくとも1つの可動脚の足部を切り替える足
部切替手段と、を具備することを特徴とする脚式移動ロ
ボットである。
【0025】前記可動脚の少なくとも1つは、足部を着
脱自在に構成するようにしてもよい。このような場合、
前記足部切替手段は、路面状況の変化に応答して前記可
動脚の足部を交換することができる。
【0026】また、脚式移動ロボットは、さらに、交換
用足部を搭載する足部搭載手段を備えてもよい。このよ
うな場合、前記足部切替手段は、路面状況の変化に応答
して前記足部搭載手段から交換用足部を取り出すととも
に少なくとも1つの可動脚の足部を脱着・交換すること
ができる。
【0027】また、前記可動脚の少なくとも1つの足部
は路面との接地条件を切り替える路面適応切替機構を備
えていてもよい。このような場合、前記足部切替手段
は、路面状況の変化に応答して、前記路面適応切替機構
を作動させることで、歩行中の路面に対応することがで
きる。
【0028】また、脚式移動ロボットは、さらに、該脚
式移動ロボットの作業領域の各場所における路面状況を
あらかじめマッピングするマッピング手段を備え低手も
よい。このような場合、前記路面状況判断手段は、現在
位置をマッピング手段に問い合わせることで路面状況を
同定することができる。
【0029】また、脚式移動ロボットは、さらに、路面
状況の変化に応答して歩行動作パターンを切り替える動
作パターン制御手段を備えていてもよい。動作パターン
制御手段は、前記足部切替手段により路面状況の変化に
応答して切り替えられた足部で定まる条件下で、適切な
歩行動作パターンを実現するようにしてもよい。また、
動作パターン制御手段は、前記足部切替手段による路面
状況に対応する足部への切り替えが不能であると判断し
たときには、該路面上での前進動作の停止又は後退動作
を実行するようにしてもよい。
【0030】また、前記路面状況判断手段は、歩行中の
路面の平面度、変形性、連続性/段差の有無、摩擦、傾
斜のうち少なくとも1つに基づいて路面状況を判定する
ようにしてもよい。
【0031】
【作用】歩行動作による路面対応には限界があるので、
本発明に係る脚式移動ロボットでは、まず路面状況や歩
行状態などを判断して、適切な足部を選択して、自律的
に足部の交換作業を行う。次いで、選択された足部で定
まる条件下で適当な歩行動作パターンを決定する。
【0032】また、歩行動作による路面対応と足部によ
る路面対応の組合せにより、ロボットと路面の関係に適
した条件を求める。
【0033】また、脚式ロボットの行動範囲をあらかじ
めマッピングして路面情報を記述しておいてもよい。
【0034】本発明に係る脚式移動ロボットによれば、
足底の選択や変更を含めた路面適応制御を行うことがで
きるので、ロボットの歩行安定性が向上するとともに、
歩行速度を高めることができる。この結果、ロボットの
活動範囲を拡張することができ、あらかじめ路面の特定
ができない場合(例えば災害救助や惑星探査などの難作
業現場において)、非常に有効に作用する。
【0035】また、本発明に係る脚式移動ロボットによ
れば、自律的に足部又は足底の選択や切り替えを行うこ
とができるので、ロボット運用上、ユーザのメンテナン
ス負担を大幅に軽減することができる。
【0036】また、本発明に係る脚式移動ロボットによ
れば、足部や足底の選択や選択を含めた路面適用制御を
行うことで、歩行することに伴う路面・床面に対するダ
メージを軽減又は防止することができる。
【0037】本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、
後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳
細な説明によって明らかになるであろう。
【0038】
【発明の実施の形態】脚式移動ロボットにおける路面適
応の問題を解決するための1つの方法として、路面に接
地する足部をさらに吟味することがあげられる。しかし
ながら、技術的・経済的な観点から思料すると、すべて
の路面に対処し得る万能な足部を用意することは現実的
ではない。例えば人間であっても、路面状況に応じて靴
を履き替えるように、ロボットも路面状況に応じて多種
類の足部を選択的に使用することが必要となってくる。
【0039】1.路面適応判断 人間の住環境その他における路面状況は、一般に、不均
一である。したがって、ロボットが何らかの方法で路面
の状態を把握した上で、あるいは路面状態を把握しなが
ら歩行動作を適応的に実行することが好ましい。同様
に、路面状態に応じて適当な足部を選択した上で、ある
いは歩行中に適当な足部に切り替えながら歩行すること
は、歩行安定性を保つ上で重要である。
【0040】そのためには、ロボットは路面状態の認識
と適当な足部の判断を行うことが不可欠である。本実施
例に係る脚式ロボットは、足部による路面適応(すなわ
ち足部の交換)の判断に関し、以下のようにプログラム
されている。
【0041】(1)あらかじめ足部による路面対応が必
要と分かっている箇所・領域に突入した場合:脚式ロボ
ットの行動範囲又は作業空間をあらかじめマッピングす
る。該マップには、路面情報を含ませて、足部での路面
対応が必要な箇所・領域についてはその旨の情報を記述
しておく。
【0042】例えば、路面対応が必要と定義された箇所
・領域でのロボットの歩行が必要となった場合、あるい
は近い将来にこのような事態の発生が予測される場合に
は、足部での路面対応が必要と判断する。
【0043】なお、マッピングする路面情報は外部から
の教示に頼ってもよいし、ロボット自身の経験や学習を
介して得るようにしてもよい。また、足部での路面適応
が必要な場所での歩行を避けるようにロボットの行動計
画を設定するようにしてもよい。
【0044】(2)歩行動作中にロボットが路面対応を
必要と判断する場合:例えば、歩行中に路面との滑り
(路面に対する足部の相対移動)を検知した場合がこれ
に相当する。
【0045】あらかじめ設定している値よりも滑り量が
大きい場合には、足部での路面適応を必要と判断する。
また、滑り量があらかじめ設定した値よりも小さい場合
には、まず歩行速度や歩行方法(歩行パターンなど)の
変更で対応する。その上で、滑り量を再度評価しても設
定値以上の場合には、足部での路面適応が必要と判断す
る。(足部と路面との滑り量の測定に関しては、例えば
本出願人に既に状とされている特願2000−1007
08号明細書に開示されている。)
【0046】また、歩行中に姿勢センサなどのセンサ出
力を基に歩行状態が不安定となっていると判断されたと
き、あるいは、あらかじめ設定している値よりもロボッ
ト本体の揺れ量が大きい場合には足部での路面適応が必
要と判断する。また、揺れ量があらかじめ設定している
値よりも小さい場合には、まず、歩行速度や歩行方法
(歩行パターンなど)の変更で対応する。その上で、揺
れ量を再度評価しても設定値以上の場合には、足部での
路面適応が必要と判断する。
【0047】(3)路面探索によりロボットが路面対応
を必要と判断する場合:例えば、視覚センサにより路面
状態を探索して、路面状態が変局する箇所を認識した場
合、作業領域のマップ(前述)を参照して、あらかじめ
登録されている路面か否かを同定し、且つそれが足部で
の路面適応が必要な路面か否かを判断する。
【0048】マップ上で路面を同定できない場合には、
例えば、路面探索動作を行ってもよい。例えば、立脚側
接地脚部のZMP(Zero Moment Point)を残したま
ま、未知路面に遊脚側を伸ばし、立脚側接地部にZMP
を残したまま遊脚側足部を未知路面上に軽く接触させ
て、路面からの反力や接地センサ入力などから路面状態
を推定する。
【0049】また、路面を同定できない場合には、前進
動作を停止して、転倒などの事故を防止するようにして
もよい。停止する態様としては、そのままの状態で停止
したり、後退したり、さらにはユーザに連絡するなどを
挙げることができる。
【0050】2.路面対応足部 上述では足部で路面適応すべきか否かを判断する基準や
手順について述べたが、続いて、各路面状態に適応する
足部について説明する。
【0051】路面は、一般に、以下に示す要素で構成さ
れる。すなわち、
【0052】
【数1】・平面度 ・変形性 ・連続性、段差 ・摩擦 ・傾斜
【0053】実際には、これら各要素が複合的に組み合
わされたものが歩行対象の路面を形成する。また、歩行
動作による路面対応と足部による路面対応を組み合わせ
ることによって、ロボットと路面の関係に適した条件が
求まる。
【0054】しかしながら、歩行動作による路面対応に
は限界があり、ロボット歩行においてはまず路面に対し
て足部を決定し、次いで、選択された足部で定まる条件
下で適当な歩行動作パターンを決定するというのが現実
的な解法である。
【0055】以下では、路面の各要素に対して有効な足
部並びに足底形状について説明する。
【0056】(1)平面度 平面度が高い場合、例えば、建物内のコンクリート路面
やタイル路面、フローリング床面などの場合には、足部
の足底に特別な形態は特に要求されない。摩擦に留意し
た路面接触部材を設け(後述)、足部の質量を小さくす
ることが歩行にとって一般的に有効である。
【0057】図1には、平面度が高い路面に対して適当
な足部の構造を示している。
【0058】同図において、足部は、ベース部0101
と、脚取付部0102と、足底の四隅に形設された路面
接地部0103とで構成される。
【0059】なお、図示しないが、足底には路面検知や
接地確認などのセンサ類を搭載してもよい。
【0060】また、平面度が低く凹凸に富む路面の場
合、例えば戸外コンクリート上やアスファルト上などの
場合には、路面の状態を検知できる足部が有効であり、
路面状態検知のためのセンサ類を足部に配置することが
好ましい。
【0061】図2には、路面状態検知機能を持つ足部の
構造を示している。また、図3及び図4にはそれぞれ、
図2に示す足部のA−A断面及びB−B断面を示してい
る。各図に示す足部では、路面接近確認と路面接地確認
の双方が可能である。
【0062】足部は、足底ベース部0201を主構造部
材とし、脚固定部0211を介して脚部と連結される。
【0063】足底ベース部0201には、複数の路面検
知子0203が支点部0202を回転中心として揺動可
能に取り付けられている。さらに、各路面検知子020
3とともに、路面接地確認用ドグ0204と、路面接近
確認用ドグ0205が、同じく支点部0202を回転中
心として回動可能に取り付けられている。路面検知子0
203は、押し付けバネ0209によって外側すなわち
路面側に向かって付勢されている。また、路面接地確認
センサ0207及び路面接近確認センサ0208がそれ
ぞれ基板0206上に搭載されている。
【0064】図示の通り、足底ベース部0201の路面
側には複数の路面接地部0210が配設されており、足
部が接地したときに脚式ロボット全体の荷重はこれら路
面接地部0201を介して支持される。
【0065】次いで、図2に示す足部における路面接近
確認と路面接地確認を行う仕組みについて説明する。図
5及び図6には、足部のA−A断面及びB―B断面のう
ち路面接地確認ドグ0204周辺並びに路面接近確認ド
グ0205周辺をそれぞれ拡大して示している。
【0066】図5及び図6に示す例では、足部の足底は
路面0212とは充分離間している。各路面検知子02
03は、押し付けバネ0209によって路面方向(各図
で紙面時計回り)に最大限に付勢されている。この状態
で、路面接近確認ドグ05は、路面接近確認センサ02
08の検知域に収容されている。一方、路面接地確認ド
グ0204は、路面接地確認センサ0207の検知域か
ら逸脱している。ここで、センサ検知域にドグが進入し
ているセンサ状態を"ON"、ドグがセンサ検知域外にあ
る状態を"OFF"と記述すると、図5及び図6に示す例
では、路面接地確認センサ0207の状態はOFFであ
り、路面接近確認センサ0208の状態はONである。
【0067】次に、路面が足底に接近してきた場合につ
いて考えてみる。図7及び図8には、路面が足底に接近
したときの、足部のA−A断面及びB―B断面のうち路
面接地確認ドグ0204周辺並びに路面接近確認ドグ0
205周辺をそれぞれ拡大して示している。
【0068】路面検知子0203が路面0212と接触
し、さらに路面と足底の距離が小さくなるにつれ、路面
検知子0203は紙面反時計回りに回動して、足部方向
に向かって埋没していく。
【0069】かかる動作とともに、各センサ用ドグ02
04及び0205も一緒に回動する。すなわち、路面接
近確認用ドグ0205は、路面接近確認用センサ020
8の検知域の外に出る。また、路面接地確認用ドグ02
04は、路面接地確認センサ0207側に接近している
が、その検知域には未だ入っていない。この場合、路面
接近確認センサ0208並びに路面接地確認センサ02
07の状態はいずれもOFFとなる。実際には、足底と
路面との距離がある値H1になったときに、路面接近確
認センサ0208がOFFとなるように路面接近確認ド
グ0205の取り付け位置を調整しておくことが好まし
い。
【0070】次いで、路面が足底にさらに接近してきた
場合について考えてみる。図9及び図10には、路面が
足底にさらに接近したときの、足部のA−A断面及びB
―B断面のうち路面接地確認ドグ0204周辺並びに路
面接近確認ドグ0205周辺をそれぞれ拡大して示して
いる。
【0071】路面が足底に接近を続けると最終的には足
部の路面0212への接地が完了する。このとき、路面
検知子0203は、路面0212と接触して足底方向に
向かって紙面反時計回りに回動して、足部内に深く埋没
してしまう。この動作に追従して、各センサ用ドグ02
04及び0205も一緒に回動する。すなわち、路面接
近確認ドグ0205は、路面接近確認センサ0208の
検知域の外に出る。また、路面接地確認ドグ0204も
回転して、路面接地確認センサ0207の検知域内に突
入する。この場合、路面接近確認センサ0208の状態
はOFFであるとともに、路面接地確認センサ0207
の状態はONとなる。実際には、足底と路面との距離が
ある値H2以下になったときに路面接地確認センサ02
07がONになるように路面接地確認ドグ0204の取
り付け位置を調整しておくことが好ましい。
【0072】以上をまとめると、路面接近確認センサ0
208並びに路面接地確認センサ0207の各状態と足
底〜路面間の距離との関係は、以下に示す通りとなる。
【0073】
【表1】
【0074】上表からも分かるように、図2に示すよう
な足部の構成により、路面接近確認と路面接地確認を同
時に行うことができる。
【0075】なお、歩行ロボットにおいて足底と路面の
距離を測定する一般的なセンサとしては、ポテンショメ
ータなどが使用されている。しかしながら、小型ロボッ
トの場合には、装置サイズを勘案するとポテンショメー
タの搭載は困難である。また、測定に厳密さが問われな
いような場合には、ポテンショメータの利用はコスト増
大を招き装置構成バランスを欠くこともある。
【0076】(2)変形性 路面が絨毯、マットレス、布団、泥道などの場合には、
路面が変形性を持つ。一例として絨毯上を歩行すること
を想定した小型歩行ロボットの足部について以下に説明
する。
【0077】小型歩行ロボットの場合、人間に比し質量
が小さいことから、絨毯上を歩行するときは絨毯表面の
毛の剛性がロボットの歩行動作に大きな影響を与えるこ
とがある。すなわち、ロボットの質量のみでは、絨毯表
面の毛が充分につぶれきらず、足部に対して一種のバネ
の復元力としての作用を及ぼしてしまう。
【0078】図11には、変形性に富む路面歩行に適応
した足部の構造の一例を図解している。同図に示すよう
に、足部は、足底ベース部0301と、脚連結部030
2と、路面方向に突設した複数の路面接地部0303と
で構成される。
【0079】図示の通り、各路面接地部0303は、路
面に接地する先端部分が尖った形状に成形されている。
【0080】(3)連続性、段差、階段 連続でない路面の例として、例えば階段状の段差を考え
てみる。
【0081】ロボットの歩行は、人間のそれとは違い、
さまざまな技術的・経済的要因から、歩幅に対して路面
接地部が大きくなる場合がある。歩行を安定化するため
には、ある程度の接地部の大きさが必要であり、特に経
済的な要因から、駆動部にガタが大きい場合などはそれ
を大きめに設定することが必要となる。また、関節部分
の変位が大きくなると、関節駆動アクチュエータの負担
が大きくなるため、変位を大きくとれない場合も多い。
歩行の場合、この結果として歩幅が少なくなってしまう
ことがある。
【0082】こうした場合に段差などを歩行する際は、
足部のどの部分が接地しているかをより詳細に検知する
ことが望まれる。
【0083】図12には、段差を含む路面の歩行に適応
した足部の構造の一例を図解している。同図に示す例で
は、人間の足の「土踏まず」に相当する部位にも路面検
知子(前述)が配設されており、足底のどの部分が路面
に接近又は接地しているのかをより詳細に検出すること
が可能である。
【0084】(4)摩擦性 例えば金属板などで構成される路面は摩擦が低く、ゴム
板などで構成される路面は摩擦が高い。
【0085】摩擦係数の異なる路面への対応としては、
接地部の面積を変更した足部を用意したり、接地部の材
質を変更した足部を用意することができる。
【0086】3.足部切り替え方式 歩行動作による路面対応には限界があり、ロボット歩行
においてはまず路面に対して足部を決定し、次いで、選
択された足部で定まる条件下で適当な歩行動作パターン
を決定するというのが現実的な解法である(前述)。
【0087】足部自体を取り替える方式を採用すれば、
足部の設計自由度が高まるとともに、歩行路面や歩行目
的に対して最適化した足部形状や機構を実装し易くな
る。
【0088】図13には、足部取り替え方式を採用した
人間型ロボットの外観構成を示している。該人間型ロボ
ットは、体幹部1101と、頭部1102と、左右の上
肢部1103と、制御部1104と、脚部1105と、
足部1106とで構成されている。
【0089】足部1106は、足部1105に対して取
り外し可能に連結されている。また、頭部1102に
は、人間の眼部に相当する一対のCCD(Charge Coupl
ed Device)カメラ1107が搭載されている。
【0090】以下、まず足部1106の着脱機構につい
て説明し、次いで、足部1106の路面適応形状につい
て説明する。
【0091】(1)足部着脱関係 マシニング・センタやその他のNC制御機械において
は、処理工程に応じたツールを自動脱着・交換する(A
TC)ことは既に一般的に行われている。この場合、N
C制御装置上では、あらかじめプログラムされた工程に
従って、[ツール取付]→[処理(加工)]→[ツール
取外し]という手順を繰り返し実行して、指定された処
理を実現する。
【0092】これに対し、本実施例では、脚式移動ロボ
ットが路面状況や歩行状態などを判断して、適切な足部
を選択して、自律的に足部の交換作業を行うことを特徴
とする。
【0093】足部の着脱機構に関しては、着脱自体を目
的とした専用のアクチュエータを設ける方式と、多関節
型のロボットが本来持つ他のアクチュエータを利用する
方式が挙げられる。
【0094】まず、着脱自体を目的とした専用のアクチ
ュエータを用いて足部を交換する方式について説明す
る。
【0095】図14には、ロボットが足部を取り外した
様子を図解している。同図に示す例では、右側の足部1
202は右側の脚部1201から取り外されているが、
左側の足部1204は左側脚部1203に対して取り付
けられたままの状態である。したがって、ロボットは左
脚側に体重を移動し(ZMPを移動し)、左脚部120
3のみで片足立ちの状態となっている。
【0096】図15には、脚部1201と足部1202
との連結部分の断面構成を図解している。
【0097】脚部1201側の連結部分には、連結固定
位置決め突起1211と、電気接続用のコネクタ121
2が配設されている。連結固定位置決め突起1211の
側面には切り欠き部が形設されている。
【0098】一方、足部1202側の連結部分には、連
結固定位置決め凹部1213と、電機接続用コネクタ1
217と、コネクタ1217の収容部1216と、連結
固定用アクチュエータ1214が配設されている。
【0099】連結固定用アクチュエータ1214の略先
端には、位置決めピン1215が連結固定位置決め凹部
1213の底面方向に出没自在に取り付けられている。
この位置決めピン1215は、連結固定位置決め凹部1
213に完全に出現した状態では、連結固定位置決め突
起1211の側面に形設された切り欠き部(前述)に当
接するようになっている。図15に示す状態では、連結
固定用アクチュエータ1214の作動により、位置決め
ピン1215は完全に埋没しているので、連結固定位置
決め突起1211を連結固定位置決め凹部1213に対
して挿脱自在となっている。
【0100】また、図16には、足部1202が脚部1
201に対して取り付けられた状態での連結部分の断面
構成を図解している。
【0101】連結固定位置決め突起1211が連結固定
位置決め凹部1213内に完全に挿入された状態で、さ
らに連結固定用アクチュエータ1214の作動により位
置決めピン1215を出現させ連結固定位置決め突起1
211の切り欠き部に当接させることによって、足部1
202は脚部1201に対して強固に連結される。
【0102】このような連結状態では、脚部1201側
のコネクタ1212は、収容部1216に収容され、そ
の最奥部のコネクタ1217側と機械的に係合するとと
もに電気的に接合する。この結果、脚部1201すなわ
ちロボット本体側から足部1202への電源供給並びに
制御命令その他のデータ信号の伝送が可能な状態とな
る。
【0103】図面の錯綜を回避するために記述を省略し
ているが、足部1202には各種センサ、ローカル信号
処理部、アクチュエータなどが配備されている。図16
に示すように脚部1201と足部1202とが電気的に
接続することにより、以下の事柄が可能となる。すなわ
ち、
【0104】・ 足部に配置されているセンサ情報のロ
ボット本体制御部への転送 ・ 足部に配置されているアクチュエータのロボット本
体制御部による制御 ・ 足部連結状態の確認 ・ 連結されている足部種類(装置構成)の確認
【0105】以上を利用してロボットが足部の交換を行
う一連の動作を、図17〜図20に図解している。
【0106】図17において、上体部1305、右脚部
1301、左脚部1303、右足部1302、並びに左
足部1304により構成されるロボットの前方には、交
換用の右足部1311および左足部1312が用意され
ている。また、ロボットは、その頭部に視覚認識用のC
CDカメラ1306を搭載しており、撮像画像を基に、
交換用の各足部1311及び1312の設置場所や傾き
などを追跡することができる。
【0107】図18において、ロボットは、CCDカメ
ラ1306の撮像画像を基に、交換用右足部1311の
位置を測定した上で、自身の体重(ZMP)を左側に寄
せ、右足部1302の足部連結を上述した仕組みにより
解除して、さらに図示のように右脚部1301を上方に
持ち上げることで、右足部1302を右脚部1301か
ら切り離している。
【0108】図19において、ロボットは、CCDカメ
ラ1306の撮像画像を基に、交換用右足部1311の
位置を引き続き測定し確認にしながら、右脚部1301
を交換用右足部1311の上空まで移動させる。この
際、右脚部1301をロボット前方に移動させるため、
重心位置(ZMP)の補償動作を上体部1305の動き
などを利用することによって実現している(図示の例で
は、上体部1305は前屈みの姿勢に移行する)。
【0109】図20において、ロボットは、交換用右足
部1311の連結固定用凹部に右脚部1301の連結固
定用突起を挿入させる。さらに、連結固定用アクチュエ
ータの作動により位置決めピン1215を出現させ連結
固定位置決め突起の切り欠き部に当接させることによっ
て、交換用右足部1311は右脚部1301に対して強
固に連結される(前述)。
【0110】このように、ロボットは、全身の協調動作
を介して路面に適応した足部への交換を実現することが
できる訳である。
【0111】次いで、多関節型のロボットが本来持つ他
のアクチュエータを利用して足部を交換する方式につい
て説明する。
【0112】人間型を始めとする脚式移動ロボットは、
一般に、多関節すなわち多自由度を備えている。これら
の自由度を活用することで、足部の固定に専用のアクチ
ュエータを設ける必要性を排除する。すなわち、人間の
腕や手に相当する部分の動作を活用して、足部の固定機
構を自律的に操作するようにすれば、足部への専用アク
チュエータを省くことができる。
【0113】図21には、固定用の専用アクチュエータ
を持たない足部の構成例を示している。同図は、足部固
定機構が解放された状態を図解している。
【0114】足部1401には、足部側連結固定用凹部
1402と、足部側電気接続用コネクタ1404、該コ
ネクタ1404を最奥部に収容する収容部1403が配
設されている。
【0115】また、足部1401には、足部固定用とし
て、ホルダ1411と、固定用ピン1412と、操作用
レバー1413と、押し付けバネ1414が図示のよう
に配設されている。
【0116】図21に示す状態では、固定用ピン141
2は押し付けバネ1414により付勢されて、連結固定
用凹部側に圧力を印加している。固定用ピンと一体的に
構成されている操作用レバー1413がレバー案内溝1
415に沿って押し付けられているので、固定用ピン1
413は移動せずに図示の状態を保つ。この状態で、ロ
ボットは、例えば図17〜図20に示す動作を実行する
ことによって、同様に、足部を交換することができる。
【0117】また、図22には、足部を固定する様子を
図解している。図示の状態では、操作レバー1413を
レバー案内溝1415に沿って足部固定側に操作するこ
とによって、固定ピン1412は、押し付けバネ141
4によって付勢されて連結固定用凹部に当接し、かかる
作用により脚部(図示しない)との連結固定を実現す
る。
【0118】図21及び図22を参照しながら説明した
ような操作レバー1413の操作を、ロボットの腕部並
びに手部を用いて行うことにより、足部脱着に伴う足部
の固定及び開放を自律的に行うことができる。
【0119】また、様々な路面への適応が必要であるこ
とが想定される場合には、ロボットが1つ又は特定の複
数個の足部(スペア)を携帯しながら脚式作業を行うこ
とも有効である。未知の路面を歩行するロボットの場
合、歩行して向かった先で路面対応のために足部の交換
が必要になる可能性もある。
【0120】例えば災害救助や惑星探索などのように難
作業現場においては、路面があらかじめ特定できない場
合は多い。逆言すれば、このような困難且つ過酷な状況
こそ、歩行ロボットの活動が本来求められている作業環
境であるとも言える。
【0121】図23には、交換用足部(スペア)を上体
部に搭載して携行することができる歩行ロボットの例を
示している。同図に示す例では、1組の交換用足部16
01が胸部カバーに収納されている。ロボットは、路面
適応のために足部の交換が必要であると判断したときに
は、腕部及び手部を利用して胸部カバーから交換用足部
1601を取り出して路面に置いて、図17〜図20を
参照しながら説明したのと同様の手順で、全身協調運動
によってそれぞれの足部の脱着並びに交換を行う。
【0122】(2)路面適応切換機構 上述では、路面適応のためにモジュール化された足部を
交換する方式について説明してきたが、これとは独立し
て、あるいは組合せにより、足部の路面適応機能を切り
替える方式も考えられる。
【0123】すべての路面に対応し得る万能な足部の実
現は困難であるが(前述)、あらかじめ予測される範囲
への対応を足部での機能切換によって行うことは実装可
能である。
【0124】図24及び図25には、路面適用切換機構
を備えた足部の構造を図解している。各図に示す例で
は、足部はモジュール式の形態をとっているが、勿論、
脚部に固定的に連結する形態であってもよい。また、実
際には、路面検知やロボット本体の姿勢検知などを目的
とした各種センサが足部に搭載されるが、図面の錯綜を
避けるため、ここでは図示していない。
【0125】足底は、路面接地面に複数の平滑路面用路
面接地部2104が配設されている。図24に示す上体
では、平滑路面用接地部2104が路面と実際に接触す
る部分となる。一般に、平滑路面用の路面接地部材に対
しては、路面との適切な摩擦力並びに緩衝機能を求めら
れることが多い。ゴム系、あるいはウレタン系などの材
質のものが、形状、面積、厚みなどを吟味した上で採用
される。
【0126】図24及び図25に示す例では、さらに、
複数のスパイク状の突起が形設された切り替え用路面接
地部2105が搭載されている。この切り替え用路面接
地部2105のそれぞれの突起は、足部のベース部21
01に固設された案内孔2106の内周に案内されるよ
うにして、足底から出没自在に取り付けられている。ま
た、切り替え用路面接地部2105は、その略中央にて
押し付けバネ2107によって上方に付勢されているの
で、他の外力が印加されない状態ではスパイク状の突起
は案内孔2106内に埋没している。
【0127】この切り替え用路面接地部2105のベー
ス部2101に対する高さは、その略上方に配設された
切り替えカム2108の回転角度によって決定される。
図24に示す状態では、切り替え用路面接地部2105
は、切り替えカム2108によりベース部2101内に
収容され、スパイク状の突起は案内孔2106内に埋没
している。このような場合、平滑路面用接地部2104
により路面接地が形成される。
【0128】図25には、切り替えカム2108の操作
により路面接地部を切り替えた様子を示している。すな
わち、同図に示す例では、切り替えカム2108が紙面
時計回りに回転している。この結果、切り替え用路面接
地部2105が下方すなわち路面方向に押し出され、ス
パイク状の各突起は案内孔2106から外界すなわち路
面に向かって出現している。
【0129】図24及び図25に示す例では、切り替え
用の路面接地部2105に設けられた各突起は先端が鋭
く尖った形状となっているので、例えば絨毯のように表
面が圧力によって変形する路面上においては、ロボット
の歩行を安定化する作用を及ぼすことができる。
【0130】図24及び図25では路面適応切り替え方
式の足部の構造についてのみ図解したが、実際の切り替
え作業は、ロボットがその腕部や手部を利用して切り替
えカム2108を自律的に操作することによって行うこ
とができる。
【0131】[追補]以上、特定の実施例を参照しなが
ら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や
代用を成し得ることは自明である。
【0132】本明細書中では、2足歩行型の脚式移動ロ
ボットを例に挙げて本発明の実施携帯について説明した
が、本発明の要旨はこれに限定されない。例えば3足や
4足あるいはそれ以上の可動脚からなる脚式移動ロボッ
トに対しても、同様に本発明を適用することができる。
【0133】要するに、例示という形態で本発明を開示
してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。
本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許
請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0134】
【発明の効果】以上詳記したように、本発明によれば、
様々な路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作
業を行うことができる、優れた脚式移動ロボットを提供
することができる。
【0135】また、本発明によれば、路面の表面状態に
応じて適応的な脚式移動作業を行うことができる、優れ
た脚式移動ロボットを提供することができる。
【0136】本発明に係る脚式移動ロボットによれば、
足底の選択や変更を含めた路面適応制御を行うことがで
きるので、ロボットの歩行安定性が向上するとともに、
歩行速度を高めることができる。この結果、ロボットの
活動範囲を拡張することができ、あらかじめ路面の特定
ができない場合(例えば災害救助や惑星探査などの難作
業現場において)、非常に有効に作用する。
【0137】また、本発明に係る脚式移動ロボットによ
れば、自律的に足部又は足底の選択や切り替えを行うこ
とができるので、ロボット運用上、ユーザのメンテナン
ス負担を大幅に軽減することができる。
【0138】また、本発明に係る脚式移動ロボットによ
れば、足部や足底の選択や、選択を含めた路面適用制御
を行うことで、歩行することに伴う路面・床面に対する
ダメージを軽減又は防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面度が高い路面に対して適当な足部の構造を
示した図である。
【図2】路面状態検知機能を持つ足部の構造を示した図
である。
【図3】図2に示す足部のA−A断面図である。
【図4】図2に示す足部のB−B断面図である。
【図5】図2に示す足部のA−A断面のうち路面検知子
0203周辺を拡大して描いた図である。
【図6】図2に示す足部のB−B断面のうち路面検知子
0203周辺を拡大して描いた図である。
【図7】路面が足底に接近してきたときの図2に示す足
部のA−A断面のうち路面検知子0203周辺の様子を
拡大して描いた図である。
【図8】路面が足底に接近してきたときの図2に示す足
部のB−B断面のうち路面検知子0203周辺の様子を
拡大して描いた図である。
【図9】路面が足底にさらに接近してきたときの図2に
示す足部のA−A断面のうち路面検知子0203周辺の
様子を拡大して描いた図である。
【図10】路面が足底にさらに接近してきたときの図2
に示す足部のB−B断面のうち路面検知子0203周辺
の様子を拡大して描いた図である。
【図11】変形性に富む路面歩行に適応した足部の構造
を示した図である。
【図12】段差を含む路面の歩行に適応した足部の構造
を示した図である。
【図13】足部取り替え方式を採用した人間型ロボット
の外観構成を示した図である。
【図14】ロボットが一方の足部を取り外した様子を示
した図である。
【図15】ロボットが一方の足部を取り外した状態での
脚部1201と足部1202との連結部分の断面構成を
示した図である。
【図16】ロボットが一方の足部を取り付けた状態での
脚部1201と足部1202との連結部分の断面構成を
示した図である。
【図17】ロボットが足部の交換を行う一連の動作を描
写した図である。
【図18】ロボットが足部の交換を行う一連の動作を描
写した図である。
【図19】ロボットが足部の交換を行う一連の動作を描
写した図である。
【図20】ロボットが足部の交換を行う一連の動作を描
写した図である。
【図21】固定用の専用アクチュエータを持たない足部
の構成例(但し、脚部から取り外した状態)を示した図
である。
【図22】固定用の専用アクチュエータを持たない足部
を固定する様子を示した図である。
【図23】交換用足部(スペア)を上体部に搭載して携
行することができる歩行ロボットの例を示した図であ
る。
【図24】路面適用切換機構を備えた足部の構造の一例
を示した図である。
【図25】路面適用切換機構を備えた足部の構造の一例
を示した図である。
【符号の説明】
0101…ベース部,0102…脚取付部 0103…路面接地部 0201…足底ベース部,0202…支点部 0203…路面検知子,0204…路面接地確認用ドグ 0205…路面接近確認用ドグ,0206…基板 0207…路面接地確認センサ,0208…路面接近確
認センサ 0209…押し付けバネ,0210…路面接地部 0211…脚固定部材 0301…足底ベース部,0302…脚連結部 0303…路面接地部 1101…体幹部,1102…頭部 1103…上肢部,1104…制御部 1105…脚部,1106…足部 1107…カメラ 1201…右側脚部,1202…右側足部 1203…左側脚部,1204…左側足部 1211…連結固定位置決め突起,1212…コネクタ 1213…連結固定位置決め凹部,1214…連結固定
用アクチュエータ 1215…位置決めピン,1216…収容部 1217…コネクタ 1301…右脚部,1302…右足部 1303…左脚部,1304…左足部 1305…上体部,1306…カメラ 1311,1312…交換用足部 1401…足部,1402…足部側連結固定用凹部 1403…収容部,1404…コネクタ 1411…ホルダ,1412…固定用ピン 1413…操作用レバー,1414…押し付けバネ 1415…レバー案内溝 2101…ベース部,2104…平滑路面用接地部 2105…切替用路面接地部,2106…案内孔 2107…押し付けバネ,2108…切り替えカム

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも複数本の可動脚と上体部を備え
    た脚式移動ロボットであって、 可動脚による歩行中の路面状況判断手段と、 路面状況の変化に応答して、少なくとも1つの可動脚の
    足部を切り替える足部切替手段と、を具備することを特
    徴とする脚式移動ロボット。
  2. 【請求項2】前記可動脚の少なくとも1つは足部が着脱
    自在に構成され、 前記足部切替手段は、路面状況の変化に応答して前記可
    動脚の足部を交換する、ことを特徴とする請求項1に記
    載の脚式移動ロボット。
  3. 【請求項3】さらに、交換用足部を搭載する足部搭載手
    段を備え、 前記足部切替手段は、路面状況の変化に応答して前記足
    部搭載手段から交換用足部を取り出すとともに少なくと
    も1つの可動脚の足部を脱着・交換する、ことを特徴と
    する請求項1に記載の脚式移動ロボット。
  4. 【請求項4】前記可動脚の少なくとも1つの足部は路面
    との接地条件を切り替える路面適応切替機構を備え、 前記足部切替手段は、路面状況の変化に応答して、前記
    路面適応切替機構を作動させる、ことを特徴とする請求
    項1に記載の脚式移動ロボット。
  5. 【請求項5】さらに、該脚式移動ロボットの作業領域の
    各場所における路面状況をあらかじめマッピングするマ
    ッピング手段を備え、 前記路面状況判断手段は、現在位置をマッピング手段に
    問い合わせることで路面状況を同定する、 ことを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボット。
  6. 【請求項6】さらに、路面状況の変化に応答して歩行動
    作パターンを切り替える動作パターン制御手段を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボット。
  7. 【請求項7】前記動作パターン制御手段は、前記足部切
    替手段により路面状況の変化に応答して切り替えられた
    足部で定まる条件下で、適切な歩行動作パターンを実現
    することを特徴とする請求項6に記載の脚式移動ロボッ
    ト。
  8. 【請求項8】前記動作パターン制御手段は、前記足部切
    替手段による路面状況に対応する足部への切り替えが不
    能であると判断したときには、該路面上での前進動作の
    停止又は後退動作を実行することを特徴とする請求項6
    に記載の脚式移動ロボット。
  9. 【請求項9】前記路面状況判断手段は、歩行中の路面の
    平面度、変形性、連続性/段差の有無、摩擦、傾斜のう
    ち少なくとも1つに基づいて路面状況を判定することを
    特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボット。
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