JP2001353686A - 脚式移動ロボットのための足部構造、並びに路面検知装置 - Google Patents

脚式移動ロボットのための足部構造、並びに路面検知装置

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JP2001353686A
JP2001353686A JP2000178219A JP2000178219A JP2001353686A JP 2001353686 A JP2001353686 A JP 2001353686A JP 2000178219 A JP2000178219 A JP 2000178219A JP 2000178219 A JP2000178219 A JP 2000178219A JP 2001353686 A JP2001353686 A JP 2001353686A
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road surface
foot
detector
road
mobile robot
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JP2000178219A
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Yuichi Hattori
裕一 服部
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脚式移動ロボットの歩行中における路面の表
面状態や路面への足部の接地状態を正確に判断する。 【解決手段】 ロボットの足部は、足部ベース体と、足
部ベース体の底面に配置されて、足部と路面との接近及
び接地状況を測定する路面検知部とで構成される。個々
の路面検知部は、足部ベース体に対して出没自在で且つ
路面方向に付勢されて取り付けられた路面検知子と、路
面検知子が第1の出没位置にいるか否かを検出する第1
の検出部と、路面検知子が第2の出没位置にいるか否か
を検出する第2の検出部とで構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも複数本
の可動脚を備えた脚式移動ロボットに係り、特に、様々
な路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作業を
行う脚式移動ロボットのための足部構造に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、表面状態が不知
の路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作業を
行う脚式移動ロボットのための足部構造に係り、特に、
路面の表面状態や路面への接地状態を正確に判断する脚
式移動ロボットのための足部構造に関する。
【0003】
【従来の技術】電気的若しくは磁気的な作用を用いて人
間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボッ
ト」という。ロボットの語源は、スラブ語の"ROBO
TA(奴隷機械)"に由来すると言われている。わが国に
おいてロボットが普及し始めたのは1960年代末から
であるが、その多くは、工場における生産作業の自動化
・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボッ
トなどの産業用ロボット(industrial robot)であっ
た。
【0004】アーム式ロボットのように、ある特定の場
所に植設して用いるような据置きタイプのロボットは、
部品の組立・選別作業など固定的・局所的な作業空間で
のみ活動する。これに対し、移動式のロボットは、作業
空間は非限定的であり、所定の経路上または無経路上を
自在に移動して、所定の若しくは任意の人的作業を代行
したり、ヒトやイヌあるいはその他の生命体に置き換わ
る種々の幅広いサービスを提供することができる。なか
でも脚式の移動ロボットは、クローラ式やタイヤ式のロ
ボットに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなる
が、階段や梯子の昇降や障害物の乗り越えや、整地・不
整地の区別を問わない柔軟な歩行・走行動作を実現でき
るという点で優れている。
【0005】最近では、イヌやネコのように4足歩行の
動物の身体メカニズムやその動作を模したペット型ロボ
ット、あるいは、ヒトのような2足直立歩行を行う動物
の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされた
「人間形」若しくは「人間型」と呼ばれるロボット(hu
manoid robot)など、脚式移動ロボットに関する研究開
発が進展し、実用化への期待も高まってきている。
【0006】人間の作業空間や居住空間のほとんどは、
2足による直立歩行という人間が持つ身体メカニズムや
行動様式に合わせて形成されている。言い換えれば、人
間の住空間は、車輪その他の駆動装置を移動手段とした
現状の機械システムが移動するのにはあまりに多くの障
壁が存在する。機械システムすなわちロボットが様々な
人的作業を支援又は代行し、さらに人間の住空間に深く
浸透していくためには、ロボットの移動可能範囲が人間
のそれとほぼ同じであることが好ましい。これが、脚式
移動ロボットの実用化が大いに期待されている所以でも
ある。人間型の形態を有していることは、ロボットが人
間の住環境との親和性を高める上で必須であると言え
る。
【0007】2足歩行による脚式移動を行うタイプのロ
ボットについての姿勢制御や安定歩行に関する技術は既
に数多提案されている。ここで言う安定な「歩行」と
は、「転倒することなく、脚を使って移動すること」と
定義することができる。ロボットの姿勢安定制御は、ロ
ボットの転倒を回避する上で非常に重要である。何故な
らば、転倒は、ロボットが実行中の作業を中断すること
を意味し、且つ、転倒状態から起き上がって作業を再開
するために相当の労力や時間が払われるからである。ま
た、何よりも、転倒によって、ロボット本体自体、ある
いは転倒するロボットと衝突する相手側の物体にも、致
命的な損傷を与えてしまう危険があるからである。した
がって、脚式移動ロボットの設計・開発において、姿勢
安定制御や歩行時の転倒防止は最も重要な課題の1つで
ある。
【0008】しかしながら、脚式移動ロボットは、研究
段階からようやく実用化への第1歩を踏み出そうとして
いるのが現状であり、未だ数多の技術的課題が残されて
いる。例えば、路面の表面状態(整地か不整地か、ある
いは摩擦係数など)が脚式歩行の姿勢安定制御や安定歩
行に与える影響は非常に大きいが、充分には解明されて
いない。
【0009】路面での歩行を考える場合、本来その路面
状態に適した歩行方法を行うことが好ましい。
【0010】人間の歩行を考えると、視覚による路面状
態認識、足裏感覚、経験的判断などを駆使して歩行を行
う。すなわち、視覚によって路面の状態や凹凸形状、傾
斜などをあらかじめ把握した上で、経験的に行動計画を
立てて足を踏み出し、その後足裏の感覚で路面との接地
を確認しながら歩行作業を継続することができる。
【0011】脚式ロボットによる歩行においても、当
然、同様のセンシング及び制御メカニズムを実装するこ
とが望ましい。しかしながら、現状の技術水準では、ロ
ボットの視覚認識に適用されるカメラの性能や画像処理
能力、精度等では、人間の視覚認識のレベルとは大差が
あり、ロボットの視覚による路面状態認識は未知の路面
に対して充分であるとは言い難い。勿論、カメラの台数
などを模して視覚による路面認識を強力にする方法も考
えられるが、歩行ロボット一般に適用するには技術的及
び経済的な面から困難なことが多い。
【0012】一方、足裏感覚に相当する接地確認や床反
力測定などについては、当業界で既に周知の技術により
ある程度実現することが可能である。スイッチなどによ
る路面接地の確認や、ロードセルなどによる床反力の測
定は、既に数多のロボットに搭載されている。
【0013】このように、現状のロボットは、視覚によ
る細かい路面状況の把握は困難であるが、路面に接地し
た状態の確認についてはある程度情報を得ることができ
る状況にある。これは、現状のロボットが実験室レベル
にある状況を反映した結果とも言える。すなわち、実験
室においては、基本的に路面の状態は既知であり、ま
た、平滑で整備された路面であることが多い。このた
め、視覚による路面の認識については特に重視されず、
自身の歩行状態把握用の足部センサが開発されてきてい
る状況にある。
【0014】歩行ロボットの実用化を目前としている昨
今、実験室外での作業場、すなわち、未知の路面、凹
凸、傾斜などのある路面への対応がロボットにとって不
可欠なものとなってくる。これに対する方策として、前
述したように、1つは視覚センサ入力を基にした処理の
更なる開発が考えられる。しかし、人間と同程度の視覚
認識をロボット上で実現するためには、まだまだ前途は
長いと言わざるを得ない。
【0015】足部にセンサ類を取り付けて視覚センサに
よる路面認識能力を補うという方策も考えられる。歩行
中のある時点において(あるいは所定のタイミング
で)、足部と路面との距離を測定することにより、路面
の凹凸、傾斜などの状態を把握することができ、また、
それにより足部と路面との接地のタイミング、接地時の
足部の姿勢などの判断に利用することができる。
【0016】足部と路面の距離を測定する実現手段とし
ては、例えば、ポテンショメータを利用するという事例
がある。その具体的な構造例を図1に示している。
【0017】同図において、足底構成部品0101に
は、接地部材0102が取り付けられている。また、接
地部材0102の近傍に直動型ポテンショメータ010
3が配置されている。直動型ポテンショメータ0103
は、直動型ポテンショメータ0103の軸方向に移動可
能に支持された移動ロッド0104を有している。そし
て、移動ロッド0104の上下位置に応じた電気的内部
抵抗が形成され、これを外部から測定することによっ
て、ロッドの位置すなわち足部と路面との距離を測定す
ることが可能となっている。
【0018】また、直動型ポテンショメータ0103
は、下方すなわち路面方向に付勢するロッド押し出し用
部材をその内部に有しており、移動ロッド0104に軸
方向外力すなわち床反力が作用しない場合には、移動ロ
ッド0104はそのストローク端まで突き出されること
になる。
【0019】図1に示す状態では、直動型ポテンショメ
ータは外力に拘束されない自由状態にあり、その下端部
は接地部材0102の路面側端面からL0だけ突き出た
状態にある。また、足底構成部品0101はその上部に
おいて、ロボット本体の脚部(図示しない)に連結して
利用される。
【0020】次いで、この足部がロボットの脚部に取り
付けられて、路面状況を測定する様子について、図2〜
図4を参照しながら説明する。
【0021】図2には、図1に示したものと略同一構成
の足部0201がロボット本体側の脚部0202に取り
付けられて、さらに脚部の動作により足部が持ち挙げら
れて遊脚状態となって、路面0203と足部0201の
接地部は距離H0だけ離間した状態にある。
【0022】このとき、直動型ポテンショメータ020
4の移動ロッド0205は路面と接触していないため、
ストローク端まで突き出されて、足部0201の接地部
から距離L0だけ飛び出した状態にある。この状態は、
H0がL0より大きい状態である。したがって、ロボッ
トは、直動型ポテンショメータの位置がL0である場合
には、足底と路面とがL0以上離間していることを認識
できる。
【0023】また、図3には、足部が路面に接近した状
態を示している。ここでは、足部0201が路面020
3に対して接近して相対距離がH1になっているものと
する。図示の状態では、移動ロッド0205の下端部が
路面に接触しており、直動型ポテンショメータ0204
はその軸方向に上方に押し込まれるように移動する。こ
のとき、足部接地部からの移動ロッド先端部突き出し量
はL1となっているが、すなわちこれが足部接地部と路
面との距離となる(L1=H1)。図示の構造を採用す
ることにより、ロボットは足部主構造部が接地するより
も前に路面への接近を検知するとともに、路面との距離
を測定することが可能となる。このように、路面の接近
状況が足部主構造部の接近以前に判ることにより、歩行
の安定化のために路面接近情報を利用することができ
る。
【0024】また、図4には、足部が路面に完全に接地
した状態を示している。図示の例では、足部0201と
路面0203の距離H3はゼロとなり、同様に、移動ロ
ッドの足部接地部からの突き出し量L3もゼロとなって
いる。したがって、ロボット本体側では、足部接地部か
らの移動ロッド下端突き出し量がゼロであることを確認
することで、足部が路面に対して完全に接地しているこ
とを判定することができる。
【0025】上述したように、ポテンショメータを利用
することで、足部と路面との距離関係を測定することが
可能になる。
【0026】しかしながら、上述した用途にポテンショ
メータを適用するためには、移動ロッド・ストロークの
2倍以上の長さが必要となるので、小型ロボットに対し
て搭載することは設計上無理がある。また、ポテンショ
メータは、経時変化や温度特性などのために測定ポイン
トの信頼性に問題があることがあり、長時間メンテナン
ス・フリーの環境下にロボットを設置する場合には実用
が困難となる。また、高精度のポテンショメータは効果
であるため、装置コストや設計上のバランスに欠けるこ
とがある。
【0027】また、特に小型ロボットの場合、路面と足
部の距離を厳密に測定することが必ずしも必要ではない
こともある。すなわち、路面と足部の距離関係を2〜4
段階程度の離散的な値で測定すれば充分であることもあ
る。このような状況下で、高価なポテンショメータを使
用することは、重量配置面や経済面からも好ましくない
場合が多い。言い換えれば、小型で且つ安価な路面検知
部が望まれている訳である。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、様々
な路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作業を
行う脚式移動ロボットのための優れた足部構造を提供す
ることにある。
【0029】本発明の更なる目的は、表面状態が不知の
路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作業を行
う脚式移動ロボットのための優れた足部構造を提供する
ことにある。
【0030】本発明の更なる目的は、路面の表面状態や
路面への接地状態を正確に判断する脚式移動ロボットの
ための優れた足部構造を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を参
酌してなされたものであり、少なくとも複数本の可動脚
を備えた脚式移動ロボットのための足部構造であって、
足部ベース体と、前記足部ベース体の底面に配置され
て、足部と路面との接近及び接地状況を測定する路面検
知部と、を具備することを特徴とする脚式移動ロボット
のための足部構造である。
【0032】前記路面検知部は、前記足部ベース体の底
面に複数基配置されていてもよい。例えば、前記路面検
知部は、少なくとも前記足部ベース体の底面の4隅に配
置されていてもよい。あるいは、前記路面検知部は、少
なくとも前記足部ベース体の底面の略中央に配置されて
いてもよい。
【0033】また、前記路面検知部は、前記足部ベース
体に対して出没自在で且つ路面方向に付勢されて取り付
けられた路面検知子と、該路面検知子が第1の出没位置
にいるか否かを検出する第1の検出部と、該路面検知子
が第2の出没位置にいるか否かを検出する第2の検出部
とで構成することができる。このような場合、第1及び
第2の検出部からの各出力に基づいて、足部と路面との
距離関係を段階的に検地することができる。たとえば、
足部の路面に対する接近状況や接地状況を正確に把握す
ることができる。
【0034】
【作用】本発明に係る脚式移動ロボットの足部は、足部
ベース体と、足部ベース体の底面に配置されて、足部と
路面との接近及び接地状況を測定する路面検知部とで構
成される。個々の路面検知部は、足部ベース体に対して
出没自在で且つ路面方向に付勢されて取り付けられた路
面検知子と、路面検知子が第1の出没位置にいるか否か
を検出する第1の検出部と、路面検知子が第2の出没位
置にいるか否かを検出する第2の検出部とで構成され
る。
【0035】各路面検知部では、第1及び第2の検出部
からの各出力に基づいて、足部と路面との距離関係を段
階的に検地することができる。たとえば、足部の路面に
対する接近状況や接地状況を正確に把握することができ
る。
【0036】したがって、本発明に係る脚式移動ロボッ
トのための足部構造によれば、足部と路面との接近及び
接地状況などの距離関係の計測を、路面検知部を用いて
小型且つ安価に実現することができる。
【0037】また、路面検知部を足部に複数箇所配置す
ることによって、単純に路面との距離関係を測定するだ
けでなく、足部接地面と路面との傾斜や、路面の凹凸状
況、路面の有無などの確認を行うことができる。
【0038】また、土踏まずに相当する足部の略中央付
近にも路面検知子を配置することにより、階段の昇降動
作を、安定した無理のない脚部の軌道で、また低消費電
力で実現することができる。
【0039】また、本発明の第2の側面は、脚式移動ロ
ボットにおける可動脚の足部に適用され、該足部と路面
との距離関係を検出する路面検知装置であって、前記足
部の底面に対して路面方向に出没自在に取り付けられた
路面検知子と、該路面検知子が路面に近い第1の出没位
置にいるか否かを検出する第1の検出部と、該路面検知
子が路面よりもやや遠い第2の出没位置にいるか否かを
検出する第2の検出部と、を具備することを特徴とする
路面検知装置である。
【0040】本発明の第2の側面に係る路面検知装置
は、さらに、前記路面検知子を路面方向に向かって付勢
する押し付け部を備えていてもよい。このような場合、
前記路面検知子は路面に接地するまでは前記足部の底面
から露出することができ、前記の第1及び第2の検出部
を正確に作動させることができる。
【0041】また、前記第1の検出部は路面への接近を
検出するようにしてもよい。また、前記第2の検出部は
路面への接地を検出するようにしてもよい。
【0042】また、前記第1の検出部は足部と路面との
距離が所定値H1以上のときにオン状態になりH1未満
になるとオフ状態に切り換わるように設定されるととも
に、前記第2の検出部は足部と路面との距離が所定値H
2(但し、H2<H1)以上のときにオフ状態になりH
2未満になるとオン状態に切り換わるように設定されて
いてもよい。このような場合、前記第1及び第2の検出
部のオン/オフ状態の組合せに基づいて、足部と路面と
の距離がH1以上、H1〜H2、H2未満という3つの
状態を正確に判断することができる。
【0043】本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、
後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳
細な説明によって明らかになるであろう。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施例を詳解する。
【0045】図5には、本発明の実施に供される脚式ロ
ボットの足部構造を図解している。また、図6及び図7
にはそれぞれ、図5に示す足部のA−A断面及びB−B
断面を示している。
【0046】本実施例に係る足部では、その底面側には
図8に示すような複数個の路面検知子0303が足底ベ
ース部0301に出没自在に埋設されており、各路面検
知子0303からのセンサ出力に基づいて路面接近確認
と路面接地確認の双方が可能となっている(後述)。
【0047】足部は、足底ベース部0301を主構造部
材とし、脚固定部0311を介して脚部と連結される。
【0048】足底ベース部0301には、複数の路面検
知子0303が支点部0302を回転中心として揺動可
能に取り付けられている。さらに、各路面検知子030
3とともに、路面接地確認用ドグ0304と、路面接近
確認用ドグ0305が、同じく支点部0302を回転中
心として回動可能に取り付けられている。
【0049】路面検知子0303は、押し付けバネ03
09によって外側すなわち路面側に向かって付勢されて
いる。したがって、足部が路面に接地していない間は、
各路面検知子0303は足底ベース部から出現して(図
9を参照のこと)、路面への接地を待機している。ま
た、略U字形状の路面接地確認センサ0307及び路面
接近確認センサ0308がそれぞれ基板0306上に搭
載されている。路面接地確認用ドグ0304及び路面接
近確認用ドグ0305は、路面検知子0303の回動操
作に伴って、各センサ0307及び0308のU字形状
の内側を通過することができる。
【0050】図示の通り、足底ベース部0301の路面
側には複数の路面接地部0310が配設されており、足
部が接地したときに脚式ロボット全体の荷重はこれら路
面接地部0301を介して支持される。
【0051】図8を見ても分かるように、路面接地確認
センサ0307と路面接近確認センサ0308は、足底
面すなわち接地路面からの高さが異なる位置にそれぞれ
取り付けられているので、路面接地確認用ドグ0304
が路面接地確認センサ0307のU字形状に挿入すると
きと、路面接近確認センサ0305が路面接近確認セン
サ0308のU字形状に挿入するときとでは、路面検知
子0303の回転位置が相違する。したがって、路面検
知子0303が同じ回転位置にあるときでも、路面接地
確認センサ0307と路面接近確認センサ0308とで
はセンサ出力に位相差がある。
【0052】次いで、図5に示す足部における路面接近
確認と路面接地確認を行う仕組みについて説明する。図
10及び図11には、足部のA−A断面及びB―B断面
のうち路面接地確認ドグ0304周辺並びに路面接近確
認ドグ0305周辺が作動する様子をそれぞれ拡大して
示している。
【0053】図10及び図11に示す例では、足部の足
底は路面0312とは充分離間している。各路面検知子
0303は、押し付けバネ0309によって路面方向
(各図で紙面時計回り)に最大限に付勢されている。
【0054】この状態では、路面接近確認ドグ05は、
路面接近確認センサ0308の検知域に収容されてい
る。一方、路面接地確認ドグ0304は、路面接地確認
センサ0307の検知域から逸脱している。ここで、セ
ンサ検知域にドグが進入しているセンサ状態を"ON"、
ドグがセンサ検知域外にある状態を"OFF"と記述する
と、図10及び図11に示す例では、路面接地確認セン
サ0307の状態はOFFであり、路面接近確認センサ
0308の状態はONである。
【0055】次に、路面が足底に接近してきた場合につ
いて考えてみる。図12及び図13には、路面が足底に
接近したときの、足部のA−A断面及びB―B断面のう
ち路面接地確認ドグ0304周辺並びに路面接近確認ド
グ0305周辺が作動する様子をそれぞれ拡大して示し
ている。
【0056】路面検知子0303が路面0312と接触
し、さらに路面と足底の距離が小さくなるにつれ、路面
検知子0303は紙面反時計回りに回動して、足部方向
に向かって埋没していく。
【0057】かかる路面検知子0303の動作に伴っ
て、各センサ用ドグ0304及び0305も一緒に回動
する。すなわち、路面接近確認用ドグ0305は、路面
接近確認用センサ0308の検知域の外に出る。また、
路面接地確認用ドグ0304は、路面接地確認センサ0
307側に接近しているが、その検知域には未だ入って
いない。この場合、路面接近確認センサ0308並びに
路面接地確認センサ0307の状態はいずれもOFFと
なる。
【0058】実際には、足底と路面との距離が所定の値
H1になったときに、路面接近確認センサ0308がO
FFとなるように路面接近確認ドグ0305の取り付け
位置を調整しておくことが好ましい。
【0059】次いで、路面が足底にさらに接近してきた
場合について考えてみる。図14及び図15には、路面
が足底にさらに接近したときの、足部のA−A断面及び
B―B断面のうち路面接地確認ドグ0304周辺並びに
路面接近確認ドグ0305周辺が作動する様子をそれぞ
れ拡大して示している。
【0060】路面が足底に接近を続けると最終的には足
部の路面0312への接地が完了する。このとき、路面
検知子0303は、路面0312と接触して足底方向に
向かって紙面反時計回りに回動して、足部内に深く埋没
してしまう。この動作に追従して、各センサ用ドグ03
04及び0305も一緒に回動する。すなわち、路面接
近確認ドグ0305は、路面接近確認センサ0308の
検知域の外に出る。また、路面接地確認ドグ0304も
回転して、路面接地確認センサ0307の検知域内に突
入する。この場合、路面接近確認センサ0308の状態
はOFFであるとともに、路面接地確認センサ0307
の状態はONとなる。
【0061】実際には、足底と路面との距離がある所定
の値H2以下になったときに路面接地確認センサ030
7がONになるように路面接地確認ドグ0304の取り
付け位置を調整しておくことが好ましい。
【0062】以上をまとめると、路面接近確認センサ0
308並びに路面接地確認センサ0307の各状態と足
底〜路面間の距離との関係は、以下に示す通りとなる。
【0063】
【表1】
【0064】上表からも分かるように、図5に示すよう
な足部の構成により、路面接近確認と路面接地確認を同
時に行うことができる。
【0065】上述した例では、1つの路面検知子030
3に対して2つのセンサ0307及び0308を配置す
ることにより3つの状態を判別することができるが、勿
論、同様の構成を採用することにより、1つの路面検知
子で4つ以上の状態を判別することも可能である。
【0066】図16及び図17には、本実施例に係る足
部を傾斜のある路面に対して適用した場合の様子を図解
している。但し、路面の傾斜角度はθであるとする。
【0067】図16では、足部0401は、路面接地部
で構成される足部接地面と角度θを持つ路面0402の
上空にある。足部0401は、つま先側の路面検知子0
403とかかと側の路面検知子0404を備えている。
図示の例では、つま先側の路面検知子0403とかかと
側の路面検知子0404はいずれも路面から充分に離間
した状態にある。
【0068】また、図17に示す例では、足部0401
の接地面は路面0402に対して角度θを保った状態で
さらに路面に接近している。図示の状態では、つま先側
の路面検知子0403は未だ路面から離間した状態にあ
るが、かかと側の路面検知子0404は路面に接近した
状態へと遷移している。
【0069】また、図18には、本実施例に係る足部を
傾斜ではなく段差のある面に対して適用した場合の様子
を図解している。
【0070】図示のような場合、かかと側並びにつま先
側の路面検知子からの出力に基づいて、ロボットは路面
が足部接地面とは平行でない、あるいはかかと側の路面
に対して凸部がある、あるいはつま先側の路面に凹部が
ある、あるいはつま先際の路面が途切れている、などの
推測が可能となる。この結果、ロボット本体側の制御部
では、これらの路面に対応する脚式動作に切り換えるこ
とができる。
【0071】他方、本実施例のような路面検知機能がな
い足部を適用した脚式ロボットの場合、かかと側が路面
に接地しないとかかと側が先に接地することが判らな
い。このような場合、ロボットの制御部からは意図しな
いタイミングで路面への接地が発生するので、歩行動作
の状況によってはかかと側が路面に対して過大な速度で
衝突するなどして歩行の安定性に重大な影響を及ぼす可
能性がある。
【0072】人間の場合であっても、暗闇の中で歩行す
るような場合には、路面の段差に気がつかずに歩行が不
安定になることもある。視覚センサの検知能力や画像処
理能力が充分でない場合、実際の足部の主要部分が接地
する前に路面への接近状況を段階的に検知する機能は非
常に有効である。
【0073】図5に示した例では、足部の底面の4隅に
路面検知子を配置したが、本発明は必ずしもこのような
構成には限定されない。より多い個数の路面検知子を配
置することにより、足部と路面との距離関係をさらに細
かく計測することができる。また、同じ個数の路面検知
子を使用する場合には、効率的に配置することが好まし
い。
【0074】図19には、本発明の他の実施形態に係る
足部の構造を図解している。図示の例では、1つの足部
に対して6基の路面検知子が搭載されている。また、図
20及び図21にはそれぞれ、図19に示す足部のA−
A断面及びB−B断面を示している。
【0075】図5に示した足部構造との大きな相違は、
足部の底面の4隅だけでなく、土踏まずに相当する部位
にも1対の路面検知子を配設した点にある。また、土踏
まずの路面検知子は、左右で向きを異ならせている(一
方はかかと側を、他方はつま先側を向いている)。
【0076】人間の住空間における路面は一般に平面で
はないため、接地確認並びに路面接近確認を図5に示す
ような足部の4隅だけで行うのは不充分な場合がある。
図19に示すように路面検知子を増設することにより、
足部と路面の距離関係の測定能力並びに信頼性を向上さ
せることができる。
【0077】図22及び図23には、図19に示す足部
構造を階段の昇降に適用した様子を図解している。
【0078】図22には、足部がつま先からかかとまで
全面で階段の各面に接地する様子を図解している。図示
の例では、階段0701上にある遊脚側の足部0702
が立脚側の足部0703に支えられて、遊脚側の足部の
目的地0704に踏み出そうとしている。
【0079】このような階段昇降動作においては、足部
のいずれに配設した路面検知子からも、同様に路面接近
確認並びに路面接地確認を行うことができる。
【0080】このような階段昇降動作の場合、足底の有
効面積を大きくとれるので、安定領域が広くなる。但
し、つま先が階段の次の段の垂直面に接近するため、遊
脚側の足部を持ち上げる方向が垂直方向に立ち上がるよ
うにしなければならない。
【0081】遊脚側を垂直に持ち上げることは、立脚側
に作用するモーメントが大きくなる時間が長くなるなど
の影響があるため、ロボットの歩行には必ずしも適して
いるとは限らない。
【0082】また、図23には、足部がつま先側の約半
分で階段の各面に接地する様子を図解している。
【0083】このような階段昇降動作においては、足部
の全面が階段面に接地する訳ではないので、足部の底面
に配置された路面検知子の中には階段面との接地や接近
の測定に関与しないものもある。
【0084】また、このような階段昇降動作の場合、足
部の接地面積が小さくなる分だけ安定領域は図22に示
した例よりも狭くなってしまう。但し、遊脚側を持ち上
げる際に、つま先と次の段の垂直面との間の余裕を大き
くとることができるので、立脚側を持ち上げる際の仰角
を小さくすることができる。これにより遊脚側を持ち上
げる際のロボットの負担を軽減させることができる。ま
た、階段に着地するときの階段路面上を通過する期間が
短くなるので、着地面に対しても低い軌道を設定するこ
とができる。
【0085】図22に示した例に比べ、図23に示す階
段昇降動作によれば、ロボット機体にとって負担が少な
く、またエネルギー消費も軽減する。
【0086】人間の実際の階段昇降動作を見ても、つま
先を階段の次の段近くに接地させることは少ない。
【0087】脚式ロボットが図23に示すような階段昇
降動作を安定して実現するためには、足部のうちつま先
側の半分程度での路面接地状態を確認にできることが望
ましい。図19に示したような足部構造によれば、土踏
まず、すなわち足部のほぼ中央にある路面検知子によっ
て、図23に示すような階段昇降動作を好適に実現する
ことができる。
【0088】[追補]以上、特定の実施例を参照しなが
ら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や
代用を成し得ることは自明である。
【0089】例えば、図8などに示した路面検知子の代
わりにフォト・スイッチなどを適用しても、同様に足部
と路面との接地や接近などの距離関係を測定することが
できる。
【0090】すなわち、例示という形態で本発明を開示
してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。
本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許
請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0091】
【発明の効果】以上詳記したように、本発明によれば、
様々な路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作
業を行う脚式移動ロボットのための優れた足部構造を提
供することができる。
【0092】また、本発明によれば、表面状態が不知の
路面上を可動脚によって歩行その他の脚式移動作業を行
う脚式移動ロボットのための優れた足部構造を提供する
ことができる。
【0093】また、本発明によれば、路面の表面状態や
路面への接地状態を正確に判断する脚式移動ロボットの
ための優れた足部構造を提供することができる。
【0094】本発明に係る脚式移動ロボットのための足
部構造によれば、足部と路面との接近及び接地状況など
の距離関係の計測を、路面検知部を用いて小型且つ安価
に実現することができる。
【0095】また、路面検知部を足部に複数箇所配置す
ることによって、単純に路面との距離関係を測定するだ
けでなく、足部接地面と路面との傾斜や、路面の凹凸状
況、路面の有無などの確認を行うことができる。
【0096】また、土踏まずに相当する足部の略中央付
近にも路面検知子を配置することにより、階段の昇降動
作を、安定した無理のない脚部の軌道で、また低消費電
力で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】足部と路面の距離を測定する実現手段としてポ
テンショメータを足部に搭載した構造例を示した図であ
る。
【図2】図1に示した足部がロボットの脚部に取り付け
られて路面状況を測定する様子を示した図である。
【図3】図1に示した足部がロボットの脚部に取り付け
られて路面状況を測定する様子を示した図である。
【図4】図1に示した足部がロボットの脚部に取り付け
られて路面状況を測定する様子を示した図である。
【図5】本発明の実施に供される脚式ロボットの足部構
造を示した図であり、その上面、側面、並びに底面を描
写した図である。
【図6】図5に示す足部のA−A断面図である。
【図7】図5に示す足部のB−B断面図である。
【図8】路面検知子0303の拡大斜視図である。
【図9】図5に示す足部の正面図である。
【図10】図5に示す足部が路面0312から充分離間
しているときのA−A断面のうち路面検知子0303周
辺を拡大して描いた図である。
【図11】図5に示す足部0312が路面から充分離間
しているときのB−B断面のうち路面検知子0303周
辺を拡大して描いた図である。
【図12】路面が足底に接近してきたときの図5に示す
足部のA−A断面のうち路面検知子0303周辺の様子
を拡大して描いた図である。
【図13】路面が足底に接近してきたときの図5に示す
足部のB−B断面のうち路面検知子0303周辺の様子
を拡大して描いた図である。
【図14】路面が足底にさらに接近してきたときの図5
に示す足部のA−A断面のうち路面検知子0303周辺
の様子を拡大して描いた図である。
【図15】路面が足底にさらに接近してきたときの図5
に示す足部のB−B断面のうち路面検知子0303周辺
の様子を拡大して描いた図である。
【図16】本実施例に係る足部を傾斜のある路面に対し
て適用した場合の様子を示した図である。
【図17】本実施例に係る足部を傾斜のある路面に対し
て適用した場合の様子を示した図である。
【図18】本実施例に係る足部を段差のある面に対して
適用した場合の様子を示した図である。
【図19】本発明の他の実施例に係る足部構造を示した
図であり、その上面、側面、並びに底面を描写した図で
ある。
【図20】図19に示す足部のA−A断面図である。
【図21】図19に示す足部のB−B断面図である。
【図22】図19に示す足部構造を階段の昇降に適用し
た様子を示した図であり、より具体的には、足部がつま
先からかかとまで全面で階段の各面に接地する様子を示
した図である。
【図23】図19に示す足部構造を階段の昇降に適用し
た様子を示した図であり、より具体的には、足部のつま
先側の約半分で階段の各面に接地する様子を示した図で
ある。
【符号の説明】
0301…足底ベース部,0302…支点部 0303…路面検知子,0304…路面接地確認用ドグ 0305…路面接近確認用ドグ,0306…基板 0307…路面接地確認センサ,0308…路面接近確
認センサ 0309…押し付けバネ,0310…路面接地部 0311…脚固定部材

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも複数本の可動脚を備えた脚式移
    動ロボットのための足部構造であって、 足部ベース体と、 前記足部ベース体の底面に配置されて、足部と路面との
    接近及び接地状況を測定する路面検知部と、を具備する
    ことを特徴とする脚式移動ロボットのための足部構造。
  2. 【請求項2】前記路面検知部は、前記足部ベース体の底
    面に複数基配置されていることを特徴とする請求項1に
    記載の脚式移動ロボットのための足部構造。
  3. 【請求項3】前記路面検知部は、少なくとも前記足部ベ
    ース体の底面の4隅に配置されていることを特徴とする
    請求項1に記載の脚式移動ロボットのための足部構造。
  4. 【請求項4】前記路面検知部は、少なくとも前記足部ベ
    ース体の底面の略中央に配置されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の脚式移動ロボットのための足部構
    造。
  5. 【請求項5】前記路面検知部は、前記足部ベース体に対
    して出没自在で且つ路面方向に付勢されて取り付けられ
    た路面検知子と、該路面検知子が第1の出没位置にいる
    か否かを検出する第1の検出部と、該路面検知子が第2
    の出没位置にいるか否かを検出する第2の検出部とを備
    えることを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボッ
    トのための足部構造。
  6. 【請求項6】脚式移動ロボットにおける可動脚の足部に
    適用され、該足部と路面との距離関係を検出する路面検
    知装置であって、 前記足部の底面に対して路面方向に出没自在に取り付け
    られた路面検知子と、 該路面検知子が路面に近い第1の出没位置にいるか否か
    を検出する第1の検出部と、 該路面検知子が路面よりもやや遠い第2の出没位置にい
    るか否かを検出する第2の検出部と、を具備することを
    特徴とする路面検知装置。
  7. 【請求項7】さらに、前記路面検知子を路面方向に向か
    って付勢する押し付け部を備え、 前記路面検知子は路面に接地するまでは前記足部の底面
    から露出することを特徴とする請求項6に記載の路面検
    知装置。
  8. 【請求項8】前記第1の検出部は路面への接近を検出す
    ることを特徴とする請求項6に記載の路面検知装置。
  9. 【請求項9】前記第2の検出部は路面への接地を検出す
    ることを特徴とする請求項6に記載の路面検知装置。
  10. 【請求項10】前記第1の検出部は足部と路面との距離
    が所定値H1以上のときにオン状態になりH1未満にな
    るとオフ状態に切り換わるように設定されるとともに、 前記第2の検出部は足部と路面との距離が所定値H2
    (但し、H2<H1)以上のときにオフ状態になりH2
    未満になるとオン状態に切り換わるように設定されるこ
    とを特徴とする請求項6に記載の路面検知装置。
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