JP4404099B2 - インクカートリッジ及びそれを装着可能なインクジェット記録装置、その記録装置の制御方法 - Google Patents

インクカートリッジ及びそれを装着可能なインクジェット記録装置、その記録装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、ノズルからインク滴を吐出して記録紙に記録を行うインクジェット記録装置と、インク供給源として用いられるインクカートリッジに関し、特に、廃インク吸収機能を備えたインクカートリッジと、記録装置内に残留したインクを排出するための技術に関する。
従来から、インクを吐出するインクジェットヘッドと、インクを貯蔵するインクカートリッジとが離れた位置に配置された、いわゆるオフキャリッジタイプのインクジェット記録装置(以下インクジェットプリンタと称す)が提案されている。
このようなインクジェットプリンタにおいては、インクカートリッジからインクジェットヘッドにインクを供給するためのインク流路が長く、インク流路内のインクを排出しないでインクジェットプリンタを輸送すると、インク流路から流れ出たインクによってプリンタ内部が汚染され、その後の使用ができなくなる。このため、この種のインクジェットプリンタにおいては、インクジェットプリンタを輸送する前に、インクジェットヘッド及びインク流路からインクを排出する必要がある。
また、インクジェットプリンタの修理において、インクジェットヘッドやインク流路を交換する場合や、インクジェットプリンタを倒置する場合にも、同様にインクを排出する必要がある。
ところで、この種のインクジェットプリンタにおいては、インクジェットヘッドのノズル目詰まりを防止するための空吐出や、ノズル周辺に付着した異物やインクを除去するためのポンプ吸引、ノズル目詰まりを回復するためのポンプ吸引によって、印刷には使用されない無駄なインク、すなわち廃インクが発生する。
そこで、従来、このような不要になった廃インクを吸収したり、インクジェットプリンタを輸送したり修理したりする前にインク流路内のインクを吸収するための廃インク吸収材を備えたインクジェットプリンタが提案されている。
しかしながら、この種のインクジェットプリンタとしては、小型化を図るためプリンタ内に上述した廃インク吸収材を備えていないものがあり、そのようなプリンタにおいては、輸送時やインクジェットプリンタの修理時にインクを排出することができないという課題があった。
そこで上記の課題を解決するために、本願人は、廃インク吸収専用カートリッジを提案しているが、この場合には、インクジェットプリンタのユーザーやサービスマンは、インクカートリッジのみでなく、廃インク吸収専用カートリッジも所有する必要がある。廃インク吸収専用カートリッジは、インクジェットプリンタの輸送前や修理時にのみ使用するものであるため、所在が解らなくなりがちである。それを解消するため、インクジェットプリンタに、廃インク吸収専用カートリッジの保管場所を設けると、プリンタが大きくなってしまい、小型化を図るという意図に反するという課題があった。
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、不要なインクを吸収する手段を備えていないインクジェットプリンタにおいて、空吐出やポンプ吸引で発生した廃インクのみでなく、プリンタ内に残留したインクも確実かつ簡単に排出しうるインクカートリッジ及びそれを装着可能なインクジェットプリンタを提案することを目的とする。
また本発明の目的は、不要なインクを吸収する手段を備えていないインクジェットプリンタにおいて、廃インク吸収専用のカートリッジが不要なインクカートリッジ及びそれを装着可能なインクジェットプリンタを提案することにある。
更に本発明の目的は、不要なインクを吸収する手段を備えていないインクジェットプリンタの小型化を図ることにある。
本発明の別の目的は、不要なインクを吸収する手段を備えていないインクジェットプリンタに使用するインクカートリッジにおいて、リサイクルを簡単且つ経済的に行えると共に、軽量化、小型化に有利な構成のインクカートリッジを提案することにある。
上記の課題を解決するためになされた第1の発明は、少なくともインクを貯留するインク袋と、廃インクを吸収する廃インク吸収材と、これらインク袋及び廃インク吸収材を収容しているカートリッジケースを有し、インクジェット記録装置のインクカートリッジ装着部に着脱可能なインクカートリッジであって、前記カートリッジケースは少なくとも6つの面から構成され、その1つの面である第1の面に、前記インク袋に接続されたインク取り出し口と、前記廃インク吸収材に前記廃インクを排出するための第1のインク排出口と、を有し、前記第1の面と対向する第2の面に、前記インク袋に接続されない擬似インク取り出し孔と、前記廃インク吸収材に前記廃インクを排出するための第2のインク排出口と、を有し、前記第1の面と前記第2の面のいずれの面からも前記インクカートリッジ装着部に装着可能なことを特徴とするインクカートリッジである。
このように構成したインクカートリッジにおいては、インクジェットヘッドにインクを供給しつつ、廃インクの吸収ができると共に、別の場面においては、インクジェットヘッドにインクを供給せずに、廃インクの吸収のみを行うことができる。すなわち、1つのカートリッジを、通常の印刷に使用するインクカートリッジとして使用できるだけでなく、廃インク吸収専用カートリッジとしても使用できる。よって、インクジェットプリンタのユーザーやサービスマンは、プリンタを輸送したり修理したりする場合に、通常使用しているインクカートリッジを使って、インク流路内の廃インクを排出することができる。そのため廃インク吸収専用カートリッジを準備しておく必要がない。
この場合、前記第1のインク排出口と前記第2のインク排出口を弾性体で封止することが望ましく、更には、その弾性体がゴムであることが望ましい。
このように構成したインクカートリッジは、廃インク導入口からインクが漏れて、ユーザーにかかったり、プリンタ内部を汚染したりするという被害を生じさせない。
更に、本発明においては、カートリッジケースの少なくとも一部分をプラスチックフィルムによって形成している。従って、プラスチックフィルムを切断あるいははぎ取ることにより、区画室内の廃インク吸収材を交換できる。よって廃インク吸収材の交換が簡単で、経済的になる。また、廃インク吸収材をプラスチック板などで隔離する場合に比べて、インクカートリッジを全体として小型化、軽量化できる。
ここで、前記カートリッジケースの典型的な構成は、相互に組み合わされて前記インク袋及び前記廃インク吸収材の収納部分を区画形成している第1のケース片及び第2のケース片を備えた構成である。
また、前記カートリッジケースの典型的な外形は、薄い直方体形状であり、この場合、前記第1のケース片を、矩形のケース底板部分と、当該ケース底板部分の周縁に形成されているケース外枠部分とを備えた構成とし、前記第2のケース片を、矩形のケース蓋部分と、当該ケース蓋部分の周縁に形成されているケース内枠部分とを備えた構成とすればよい。更に、当該ケース内枠部分を、その幅が前記ケース外枠部分よりも狭く、かつ、前記ケース外枠部分の内側に差し込み可能な大きさとなるように設定すればよい。そして、前記第2のケース片の前記ケース蓋部分と前記ケース内枠部分によって区画形成される矩形の凹部に前記廃インク吸収材を収納し、当該凹部の開口を前記プラスチックフィルムで塞げばよい。
この場合において、前記凹部の前記開口を規定している前記ケース内枠部分の開口端面に対して、前記プラスチックフィルムの周縁部分を熱融着すれば、前記廃インク吸収材を収納している前記区画室を密閉状態にでき、廃インクが外部に漏れ出ることを確実に防止できる。
このように前記廃インク吸収材が収納されている前記区画室を密閉状態にした場合には、前記第1及び第2のケース片を、スナップフィット等の形態で、着脱可能に組み合わせる構成とすることが望ましい。このようにすれば、インクカートリッジのリサイクルに当たり、ケースを開閉する作業が簡単になり、また、ケースを傷めることもない。
ここで、前記廃インク吸収材が収納されている前記区画室を密閉状態とした場合には、それによって廃インクの吸収性能が阻害されることの無いように、前記プラスチックフィルムには空気孔を形成しておくことが望ましい。
一方、前記プラスチックフィルムを前記カートリッジケースに熱融着する場合には、その結合力を高めるために、前記プラスチックフィルムを前記カートリッジケースと同一素材とすることが望ましい。
また本発明のインクカートリッジにおいては、廃インク吸収材を収納している区画室に突起を設け、廃インク吸収材の動きを抑制しているため、例えばユーザーがインクカートリッジを落下させたりしてインクカートリッジに衝撃がかかったり、インクカートリッジの輸送で振動がかかっても、廃インク吸収材によって、区画室の一部を形成しているプラスチックフィルムが破けるということがない。すなわち使用途中のインクカートリッジを落下させても、インクが漏れない。
上記の課題を解決するためになされた第2の発明は、第1の発明のインクカートリッジを装着可能なインクジェットプリンタであって、前記インクカートリッジを前記第1の面から前記インクカートリッジ装着部に装着した場合において、前記インクカートリッジの前記インク袋からインク供給路を介して供給されたインクをノズルから吐出するインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドに連結され、インク排出路を介して前記インクカートリッジの前記廃インク吸収材にインクを排出するためのポンプ手段と、前記インクカートリッジの有無を検出するカートリッジ検出手段と、前記インクジェット記録装置に、前記ポンプ手段の動作命令を与えるための命令入力手段と、前記カートリッジ検出手段にて得られた検出結果と、前記命令入力手段からの動作命令に基づいて、前記ポンプ手段の排出動作を制御する制御手段とを有し、前記インクカートリッジを前記第2の面から前記インクカートリッジ装着部に装着した場合において、前記制御手段は、前記カートリッジ検出手段における検出結果がオンで、かつ、前記命令入力手段から前記ポンプ手段の動作命令を与えられた場合に、前記インク吸収材に、前記インク供給路及び前記インクジェットヘッド内のインクを排出するように前記ポンプ手段の動作を制御することを特徴とするインクジェットプリンタである。
このような構成を有する第2の発明のインクジェットプリンタのインクカートリッジ装着部に第1の発明のインクカートリッジを第2の面から装着(例えば、廃液針を有するインクジェットプリンタにおいて、疑似インク取り出し孔が廃液針に挿入される方向に装着)した場合において、ポンプ手段を駆動すれば、インクジェットヘッド等に残っているインクがインク排出路を介して廃インク吸収材に排出される。その結果、本発明によれば、インクを吸収する手段を備えていないインクジェットプリンタであっても、確実且つ簡単にインクを排出することが可能になる。更に、本発明のインクジェットプリンタには、その内部に、廃インクを吸収する手段を備えておらず、また、廃インク吸収専用カートリッジを保管する場所も必要ないため、非常に小型なプリンタにすることができる。
上記第2の発明に係わるインクジェットプリンタにおいてプリンタ内に残留したインクを排出する場合には、第3の発明のように、前記インクカートリッジを前記第2の面から前記インクカートリッジ装着部に装着した場合において、前記制御手段によって、前記カートリッジ検出手段における検出結果がオンで、かつ、前記命令入力手段から前記ポンプ手段の動作命令を与えられた場合に、前記廃インク吸収材に、前記インク供給路及び前記インクジェットヘッド内のインクを排出するように前記ポンプ手段の動作を制御するとよい。
第3の発明によれば、インクジェットプリンタの操作者が、インクカートリッジの挿入方向を確認して、ポンプ手段の動作命令を入力することにより、インクを排出されることが可能になる。その結果、本発明によれば、確実にインク流路及び印字ヘッドからインクを排出することができる。
以下に、図面を参照して、本発明を適用したインクカートリッジ及びそれを装着可能なインクジェットプリンタの好ましい一実施の形態を説明する。
図1〜図4は、本発明を適用したインクカートリッジを示す図であり、図5及び図6は、それぞれ、本発明を適用したインクジェットプリンタを斜め前方及び斜め後方から見た斜視図である。一方、図7は、インクジェットプリンタのインク供給・排出系を示す概略図であり、図8及び図9は、インクカートリッジを本発明を適用したインクジェットプリンタのインクカートリッジ装着部に装着する様子を示す図であり、図10は、本発明を適用したインクジェットプリンタの制御手段における主たる制御動作のシーケンスを示すフローチャートである。
(インクジェットプリンタの全体構成)
図5及び図6を参照して説明すると、インクジェットプリンタ1は、ロール紙装填機構102と、A4サイズ等のカット紙、スリップ紙等の給紙口103とを有し、ロール紙装填機構102から供給されるロール紙104及び給紙口103から矢印方向に挿入されるスリップ紙105が、印刷位置111(図5において一点鎖線で囲まれた領域)を通って搬送されるように紙搬送経路が構成されている。印刷位置111を通過するロール紙104及びスリップ紙105の表面に対峙するように印字ヘッド108がキャリッジ機構109によって保持されている。本実施の形態における印字ヘッド108は、インクジェット方式により印字を行うものである。
キャリッジ機構109は、ガイドシャフト106と、このガイドシャフト106に沿ってロール紙104、スリップ紙105の搬送方向とは略直行する方向に往復移動可能に保持されたキャリッジ107と、キャリッジ駆動用のモータ(図示せず)を備えている。
キャリッジ107は、印刷位置111を包含する範囲を、その幅方向に往復移動可能であり、印刷位置111から幅方向の一方の側にはずれた位置には、印字ヘッド108の待避位置であるキャッピング機構112のヘッドキャップ113が配置されている。印字ヘッド108は、印字動作を待機する状態では、そのノズル面(図示せず)がヘッドキャップ113によって塞がれた状態に設定されて、各インクノズルのインクメニスカスの後退、インク乾燥等が防止される。
印字ヘッド108には、インク供給チューブ(図7の143)を経由して、ロール紙装填機構102と隣り合った位置に搭載されているインク供給部110からインクが供給される。インク供給部110は、図6からわかるように、インクカートリッジ2が着脱可能な状態で装着されたインクカートリッジ装着部130を備えている。
インクジェットプリンタ1の前面部のフロントパネル150には、インクジェットプリンタ1の印字ヘッド108や、キャリッジ駆動用のモータ、廃液ポンプ(図7の147)駆動用のモータ(図示せず)、これらの動作を制御する制御基板に電源を投入したり遮断するための電源スイッチ151と、前記廃液ポンプ駆動用のモータに動作命令を与えるためのポンプ動作スイッチ152と、インクカートリッジ2が装着されていなかったり、装着されていても、インク袋6内のインク量が残り少なくなった場合にその旨を表示するインクエンド表示器153が配置されている。
(インク供給・排出系)
図7は、本実施の形態のインクジェットプリンタ1にインクカートリッジ2を装着し、インク流路を形成した一状態を示す図である。次に、図7を参照して、印字ヘッド108にインクを供給し、また印字ヘッド108から不要なインクを排出するためのインク供給・排出系を説明する。インクカートリッジ装着部130には、インクカートリッジ2を検出するための例えばマイクロスイッチからなるカートリッジ検出器142が設けられ、インクカートリッジ2がカートリッジ装着部130に装着された場合に、このカートリッジ検出器142によってその存在が検出されるようになっている。またインクカートリッジ装着部130には、インク供給針140及び廃液針141が例えば水平に取り付けられている。これらの針140、141に対して、インクカートリッジ2を水平にスライドさせて、これらの針140、141を当該インクカートリッジ2の後述する所定の場所に差し込むと、当該インクカートリッジ2とインクジェットプリンタ1との間にインク流路が形成される。
インク流路が形成されると、インク供給針140を介してインクカートリッジ2に収納されているインク袋6に貯留されているインクがインク供給チューブ143に取り出される。インク供給チューブ143には、インク中のゴミや異物を濾過するフィルタ144が介在している。
インク供給チューブ143によって、インクはインクジェットプリンタ1の印字ヘッド108に導かれ、プラテン145の表面に沿って搬送される記録紙(ロール紙104、またはスリップ紙105)に対して印字が行われる。
印字動作を待機する状態では、印字ヘッド108のノズル面をヘッドキャップ113によって塞ぐだけでなく、印字ヘッド108の印字品質を維持するために、定期的に、印字ヘッド108のインクノズル(図示せず)のクリーニングやインクの吸引も行われる。ヘッドキャップ113には印字ヘッド108から回収あるいは吸引した廃インクを当該ヘッドキャップ113から回収するための廃液チューブ146が接続されている。廃インク回収用の動力源として当該廃液チューブ146には廃液ポンプ147が介捜されている。
廃液ポンプ147によって、廃液チューブ146を介して回収された廃インクは、廃液針141を介してインクカートリッジ2に収納されている後述の廃インク吸収材によって吸収され、ここに回収される。
(インクカートリッジ)
図1〜図4を参照してインクカートリッジ2の全体構成を説明する。図1はインクカートリッジ2の分解斜視図であり、図2はそのインク取り出し口から見た正面図であり、図3と図4はその概略断面図である。
これらの図に示すように、インクカートリッジ2は、インクを貯蔵したインク袋6と、廃インクを吸収する廃インク吸収材20と、これらインク袋6及び廃インク吸収材20を収納しているカートリッジケース30とを有している。カートリッジケース30は、相互に組み合わされてインク袋6及び廃インク吸収材20の収納部分を区画形成しているケース本体40(第1のケース片)と蓋50(第2のケース片)を備えている。
ケース本体40は長方形のケース底板部分41と、当該ケース底板部分41の周縁から直角に起立しているケース外枠部分42とを備えている。このケース底板部分41とケース外枠部分42によって区画形成される長方形の凹部43にはインク袋6が収納されている。一方、蓋50は、ケース本体40と略同一の大きさの長方形のケース蓋部分51と、当該ケース蓋部分51の周縁よりも内側の位置において直角に起立しているケース内枠部分52を備えている。当該ケース内枠部分52は、ケース外枠部分42の内側に差し込み可能な大きさに設定されており、またその幅もケース外枠部分42よりも大幅に狭いものとされている。
この蓋50のケース蓋部分51とケース内枠部分52によって区画形成される長方形の凹部53には、当該凹部53に丁度嵌まり込む大きさ及び厚さの廃インク吸収材20が収納され、当該凹部53の開口は長方形のプラスチックフィルム60で塞がれている。すなわち、当該凹部53とプラスチックフィルム60によって、廃インク吸収材60の区画室70が形成されている。
次に、インクカートリッジ2の各部分の詳細構造を説明する。まず、インク袋6は可塑性の素材から形成されており、ガスバリヤー性の向上のためにアルミニウム箔を2枚のプラスチックフィルム、例えば外側をナイロンフィルム、内側をポリエチレンフィルムにより挟み込んだ構成のアルミニウムラミネートフィルムから形成されている。図示の例では、2枚のアルミニウムラミネートフィルムを重ね合わせて、それらの周囲を熱融着等の方法によって接合することにより、インク袋6の本体部分61が形成されている。図1において斜線で示す2枚のアルミニウムラミネートフィルムの接合部分のうちのインク袋前側縁に位置する部分には、インク袋6内のインクを外側に導出するインク取り出し口62が熱融着等の方法によって取り付けられている。インク取り出し口62は、例えばゴム等の弾性部材やプラスチックからなり、一体品であっても、二部品以上の組み合わせ品であっても良い。また、インク袋6は、両面テープ等により(図示せず)ケース本体40の側に固定されている。
図1に示すように、インク袋6には検出板63が両面テープ等の固定手段(図示せず)によって固定されている。この検出板63はインク袋6の内部のインク残量が予め定めた量まで減少したことを検出するためのものである。当該検出板63に形成した検出用突起631はインク残量が減少するのに伴って、ケース本体40の底板部分41に開けた開口411から外部への突出量が増加し、当該検出用突起631の突出量が定まった量以上になると、図不示のインクエンド検出機構によって当該検出用突起631が検出され、これにより、インクが無くなったことが判別される。
次に、ケース本体40と蓋50の間の接合機構について説明する。蓋50は、そのケース蓋部分51のケース内枠部分52の外側位置において、その前端縁側に形成した垂直に延びる一対の掛止爪54と、その後端の両側に形成した同じく垂直に延びる一対の掛止爪55を備えている。これに対して、ケース本体40の側は、各掛止爪54が内側からスナップフィットする掛止孔45と、同じく各掛止爪55が内側からスナップフィットする掛止溝46を備えている。従って、ケース本体40に蓋50を取り付けるためには、最初に、掛止爪54を掛止孔45に嵌め込み、次に掛止爪55を掛止溝46に嵌め込めばよい。
蓋50をケース本体40から外す場合には、ケース本体40のケース外枠部分42の後端壁部分の中央に形成した切り欠き47に治具を入れて、蓋50をこじ開ければ、簡単に当該蓋50を外すことができる。
本例のインクカートリッジでは、そのカートリッジケースを構成しているケース本体と蓋とをスナップフィットにより着脱可能な状態で結合してある。従って、インクカートリッジのリサイクル時には、簡単に蓋を取り外すことができるので、インク袋の交換、廃インク吸収材の交換を簡単に行うことができる。
ここで、ケース本体40のケース外枠部分42における前端壁48には、上記の掛止孔45の他に、インク袋6のインク取り出し口62を位置決めする位置決め開口44と、インクカートリッジ2をインクカートリッジ装着部130に装着する際における位置決め用のガイド軸のガイド穴48B、48Cが形成されている。後端壁49には、上記の切り欠き47の他に、疑似インク取り出し孔49Aと、インクカートリッジ2をインクカートリッジ装着部130に装着する際における位置決め用のガイド軸のガイド穴49B、49Cが形成されている。また、蓋50の内枠部分52の前端壁521には廃液針141を差し込み可能な取入口ゴム56が設けられ、同じく後端壁523にも、廃液針141を差し込み可能な取入口ゴム57が設けられている。取入口ゴム56と57は、互いに、ケース蓋部分51の外面からの垂直方向の距離が、概略同一になるように設定されている。また、インクカートリッジを組み立てた状態におけるインク袋6のインク取り出し口62と、疑似インク取り出し孔49Aは、ケース本体40と蓋50を相互に組み合わせてカートリッジケース30を形成した際に、ケース蓋部分51の外面からの垂直方向の距離が、概略同一になるように設定されている。
図4から判るように、蓋50の内枠部分52の両側端壁522、524には、突起525が形成されており、区画室70において、廃インク吸収材20がインクカートリッジ2に加わる衝撃、振動等によって移動することを防止する。すなわち、インクジェットプリンタ1のユーザーが、インクカートリッジ2を落下させたり、インクカートリッジ2を製造後、ユーザーの手元に輸送する間において、インクカートリッジ2に衝撃や振動が加わっても、廃インク吸収剤が移動することがなくなり、よってプラスチックフィルム60が破けることがなくなる。
次に、インク吸収材20の区画室70を形成しているプラスチックフィルム60について説明する。図3に示すように、プラスチックフィルム60は、その四周縁の部分が熱融着によって、蓋50の内枠部分52の開口端面に対して密閉状態となるように接合されている。
プラスチックフィルム60は、熱融着対象の蓋50と同一のプラスチック素材から形成されている。蓋50は、インク吸収材60のインク吸収性能を高めるために透湿性(水蒸気透過性)のあるポリスチレンが使用される。この理由は、インク容積の70〜80パーセントは水分であるので、水分を外部に放出できれば、その分、多量の廃インクを吸収可能だからである。
このように、本例のインクカートリッジ2においては、廃インク吸収材20を収納するための区画室70を、インクカートリッジの蓋50と、当該蓋の裏面に形成した凹部53の開口に熱融着により接合したプラスチックフィルム60とによって形成してある。従って、廃インク吸収材20を収納するための区画室を厚いプラスチック板によって形成している場合に比べて、プラスチックフィルムを使用する部分だけ、小型化及び軽量化することができる。
また、プラスチックフィルム60を熱融着してあるので、廃インク吸収材20の区画室70を確実に密閉することができ、回収された廃インクがプラスチックフィルム60と蓋50の接合面から外部に漏れ出ることがない。
更に、インクカートリッジ2をリサイクルする際には、プラスチックフィルム60を剥がすという簡単な作業により、廃インクが吸収された廃インク吸収材20を交換することができる。よって、インクカートリッジ2のリサイクルを簡単に行うことができ、プラスチックフィルム60のみを新たなものにすればよいので、経済的でもある。
これに加えて、プラスチックフィルム60は、熱融着される側の蓋と同一のプラスチック素材からなっている。従って、熱融着による結合力を高めることができる。
以上、プラスチックフィルム60の一例を説明したが、プラスチックフィルム60は複数の層から形成されていてもよく、例えば、蓋50と接する側には第一の層として蓋50と同一素地からなるプラスチックフィルムがあり、第二の層は耐衝撃性の高いゴム系素材からなるフィルムとし、第三の層は第一の層とは別のプラスチックフィルムであるような3層構造のフィルムであってもよい。
ここで、インクカートリッジ2の蓋50の裏面に形成した廃インク吸収材20を封入している区画室70は密封空間となっている。この密封空間内から空気を追い出すことができないと、廃インク吸収材20のインク吸収性能が低下する場合がある。このような事態を確実に回避するために、本例では、図4から解るように、廃インク吸収材20の一部分に矩形の空所(廃インク吸収材が存在しない部分)21を形成し、当該空所21が対峙しているプラスチックフィルム60の部分に空気孔64を形成してある。
(インクカートリッジ挿入機構)
次に、インクジェットプリンタ1に組み込まれているインク供給部110の構成を説明する。
図8は、インクカートリッジ20を装着する前のインク供給部110の状態を示す図である。
この図に示すように、インク供給部110は、インクカートリッジ2を着脱可能に装着するインクカートリッジ装着部130を備えている。このインクカートリッジ装着部130は、インク供給針140及び廃液針141が略同一高さ位置の所に水平に取り付けられ、これらのインク供給針140及び廃液針141の先端側が開放状態となったフード部131を備えている。このフード部131の側面からは、2本の位置決めピン139Bと139Cがインク供給針140及び廃液針141と略同一方向に水平に突き出している。
更に、インクカートリッジ装着部130は、フード部131に対して、インク供給針140、廃液針141の略軸線方向、すなわち略水平方向にスライド可能な箱形のインクカートリッジ受け入れ部132と、当該インクカートリッジ受け入れ部132を略水平方向にスライドさせるためのスライド機構133を備えている。
まず、箱形のインクカートリッジ受け入れ部132について説明すると、このインクカートリッジ受け入れ部132は、上側が開口135となっており、この上側開口135の上側から略垂直下方向にインクカートリッジ2を当該受け入れ部132の内部に装着可能である。すなわち、インク供給針140に対して略直行する方向からインクカートリッジを受け入れ可能となっている。このインクカートリッジ受け入れ部132の前端面136には、図8の状態においては、装着されたインクカートリッジ2の前端面48に設けたインク取り出し口62と第1の取入口ゴム56及びガイド穴48Bと48Cに対応する位置に開口136Dが形成されている。
このインクカートリッジ受け入れ部132をスライドさせるためのスライド機構133は、受け入れ部132をスライド可能に支持しているガイドフレーム137を有し、このガイドフレーム137には、受け入れ部132の底面に沿って形成したガイドレール120が摺動自在にはめ込まれたレール溝(図示せず)が形成されている。インクカートリッジ受け入れ部132の側面には、スライド方向に向けてラック121が下向きに形成されている。これに対して、ガイドフレーム137の側には、このラック121にかみ合った状態にピニオン122が回転自在に取り付けられている。このピニオン122の側面には操作レバー134がピニオン122の旋回中心123からほぼ半径方向に延びている。
(インクカートリッジ装着動作)
図8及び図9を参照して、上記のように構成した本実施の形態のインク供給部110におけるインクカートリッジ2の挿入動作を説明する。
まず、図8に示すように、インクカートリッジ受け入れ部132がフード部131から引き出された状態において、上側開口135にインクカートリッジ2を矢印で示す方向に落とし込む。このとき、インクカートリッジ2は、インク取り出し口6がフード部131側になる状態とする。この後、横に倒れた状態の操作レバー134を上方に起こす方向に操作する。この操作によって、インクカートリッジ2が装着された受け入れ部132はインク供給針140及び廃液針141の側に向けて水平方向にスライドする。
これにより、フード部131の側面に形成した位置決めピン139Bがインクカートリッジ2の前端壁48に形成したガイド穴48Bに挿入され、同じく位置決めピン139Cがガイド穴48Cに挿入されると共に、時を前後して、インク供給針140がインク取り出し口62に徐々に差し込まれ、また時を前後して廃液針141が第1の取入口ゴム56に徐々に差し込まれる。そして、インク供給針140はインク袋6の内部に完全に差し込まれると共に、廃液針141は廃インク吸収材20を収納する区画室70に達する。この結果、インクカートリッジ2から印字ヘッド108へのインク供給系が形成される。
一方、空になったインクカートリッジ2を新しいものに交換する場合には、上記とは逆の操作を行えばよい。そして、インクカートリッジ受け入れ部132がフード部131から引き出された状態になった時に、インクカートリッジ受け入れ部132の両側面に形成した切り欠き部分138A、138Bから露出しているインクカートリッジ2の両側面を手で掴み、上方に向けて垂直に引き出せばよい。
次に、図9に示すように、疑似インク取り出し孔49Aをフード部131側になるように、上側開口135からインクカートリッジ2を落とし込み、操作レバー134を操作すると、フード部131の側面に形成した位置決めピン139B、139Cと、インク供給針140、廃液針141が、インクカートリッジ受け入れ部132の前端面136に形成した開口136Dを通って、位置決めピン139Bがインクカートリッジ2の後端壁49に形成したガイド穴49Cに挿入され、同じく位置決めピン139Cがガイド穴49Bに挿入されると共に、時を前後して、インク供給針140が疑似インク取り出し孔49Aに挿入され、また時を前後して廃液針141が第2の取入口ゴム57に徐々に差し込まれる。そして、廃液針141は廃インク吸収材20を収納する区画室70に達する。
(インクジェットプリンタの動作制御方法)
本実施の形態のインクジェットプリンタ1の制御手段における主たる動作制御方法を説明し、これによって本実施の形態のインクカートリッジ2を使って、インクジェットプリンタ1のインク流路から、インクを排出方法を説明する。
図10は、本実施の形態のインクジェットプリンタ1の制御手段における主たる制御動作のシーケンスを示すフローチャートである。(A)は、インクカートリッジ2のインク取り出し口62を、インク供給針140側になるように装着して、インクカートリッジ2を印字用カートリッジとして使用する場合であり、(B)は、インクカートリッジ2の疑似インク取り出し孔49Aを、インク供給針140側になるように装着して、インクカートリッジ2により、インク流路内のインクの排出を行う場合である。
まず、図10(A)の場合を説明する。この場合、インクジェットプリンタ1の電源スイッチ151を押して電源をONにすると、ステップS1において、カートリッジ検出器142からの検出結果に基づき、カートリッジ検出器142がONであるか否かを判断し、「YES」であればステップS2に移行し、「NO」であればステップS3に移行する。ここで、カートリッジ検出器142がONである場合というのは、インクカートリッジ2がインクカートリッジ装着部130に装着されている場合であり、ONでない場合というのは、インクカートリッジ2が装着されていない場合である。よって、ステップS1において「NO」であれば、ステップS3において、フロントパネル150上のインクエンド表示器153により、インクカートリッジを要求する旨の表示を行う。
ステップS2では、インクジェットプリンタ1の初期設定動作を行い、その後、ステップS4に移行する。
ステップS4では、インクエンド検出機構からの検出結果に基づいて、インクエンド検出器がONであるか否かを判断し、「YES」であればステップS5に移行し、「NO」であればステップS6に移行する。ここで、インクエンド検出器がONである場合というのは、インク袋6内のインクがなくなった場合であり、ONでない場合というのは、インク袋6内にインクが十分残っている場合である。よって、ステップS4において「YES」であれば、ステップS5において、フロントパネル150上のインクエンド表示器153により、インクカートリッジの交換を要求する旨の表示を行う。
ステップS6では、廃液ポンプ147を駆動してポンピング動作を行い、その後、ステップS7,ステップS8において、制御手段からの印字指令があるまで待機動作を行う。そして、ステップS8において制御手段から印字指令を受け取った場合には、ステップS9において印字ヘッド108を駆動して印字開始前のフラッシング動作を行った後、ステップS10において印字動作を開始する。
次に、図10(B)を説明する。インクカートリッジ2の疑似インク取り出し孔49Aを、インク供給針140側になるように装着して、インクジェットプリンタ1の電源スイッチ151を押して電源をONにすると、ステップS11において、ステップ1と同様に、カートリッジ検出器142からの検出結果に基づき、カートリッジ検出器142がONであるか否かを判断し、「YES」であればステップS12に移行し、「NO」であればステップS13に移行する。ステップS13においては、図10(A)の場合と同様に、フロントパネル150上のインクエンド表示器153により、インクカートリッジを要求する旨の表示を行う。
ステップS12では、インクジェットプリンタ1の初期設定動作を行い、その後、ステップS14に移行する。
ステップS14では、ポンプ動作スイッチがONであるか否かを判断し、「YES」であればステップS15に移行し、「NO」であればステップS16に移行する。ここで、インクジェットプリンタ1の操作者が、ポンプ動作スイッチ152を押すと、ステップS14において「YES」となり、ステップS15において、廃液ポンプ147を駆動してポンピング動作を行う。この場合、インク供給針140は、疑似インク取り出し孔49A内に挿入され、その先端は解放された状態にあるため、インク供給針140から、インク供給チューブ143、フィルタ144、印字ヘッド108、ヘッドキャップ113、廃液チューブ146、廃液針141内のインクが、廃インク吸収材20内に排出される。
インクジェットプリンタ1の操作者が、ポンプ動作スイッチ152を押さないと、ステップS14において「NO」となり、インクジェットプリンタ1は、ポンプ動作スイッチ152が押されるまで待機状態になる。
ところで、図10(B)の場合において、インクカートリッジ2のインク取り出し口62を、インク供給針140側になるように装着して、ポンプ動作スイッチ152を押すと、インク袋6内のインクがインク供給チューブ143に移動し、印字ヘッド108内のインクが廃液チューブ146に移動するのみで、それ以外の問題は発生しない。
以上述べたように本実施の形態によれば、インクカートリッジ2の疑似インク取り出し孔49Aをインク供給針140側になるように装着した場合には、インクの排出動作は行われず、廃インク吸収専用カートリッジを装着した場合と同様に、インク流路内のインクを排出させることができる。その結果、インクを吸収する手段を備えていないインクジェットプリンタ1において、確実且つ簡単にインク流路及び印字ヘッド108からインクを排出することができる。また、インクカートリッジ2は、常に、インクジェットプリンタ1のインクカートリッジ装着部130に装着されており、インクカートリッジ2の挿入方向を変えるだけで、上記の操作を行うことができ、その所在が判らなくなるということがない。また、インクカートリッジ2は、インクカートリッジ装着部130に装着されており、カートリッジの保管場所が不要になり、インクジェットプリンタの小型化を達成できる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述の実施の形態においては、カートリッジ検出器142として、マイクロスイッチを用いたが、これに限られず、フォトダイオード等を用いた光学式のセンサーを使用することもできる。
また、上述の実施の形態におけるインクカートリッジの蓋の材質は、ポリスチレンに限定されることなく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンであっても良い。
更に、本発明はインクジェット方式のプリンタであれば、種々のプリンタに適用しうるものである。
以上説明したように、本発明のインクカートリッジは、インクジェットプリンタから発生する無駄なインク、すなわち廃インクを収納する廃インク吸収材を有し、インクカートリッジを構成するカートリッジケースの一つの面にインクを取り出すインク取り出し口と廃インク排出口を有し、この面に対向する面に疑似インク取り出し口と廃インク排出口を有する。従って、1つのカートリッジを、通常の印刷に使用するインクカートリッジとして使用できるだけでなく、廃インク吸収専用カートリッジとしても使用できる。よって、インクジェットプリンタのユーザーやサービスマンは、プリンタを輸送したり修理したりする場合に、通常使用しているインクカートリッジを使って、インク流路内の廃インクを排出することができる。そのため廃インク吸収専用カートリッジを準備しておく必要がないばかりか、その所在が判らなくなるということがない。
一方、本発明のインクジェットプリンタには、その内部に、廃インクを吸収する手段を備えておらず、また、廃インク吸収専用カートリッジを保管する場所も必要ないため、非常に小型なプリンタにすることができる。
また、本発明のインクカートリッジは、廃インク吸収材を収納するためにカートリッジケースの内部に形成した区画室の、廃インクを導入する口をゴム等の弾性体で封止しているために、廃インク導入口からインクが漏れて、ユーザーにかかったり、プリンタ内部を汚染したりするという被害を生じさせない。
更に、本発明のインクカートリッジにおいては、廃インク吸収材を収納している区画室に突起を設け、廃インク吸収材の動きを抑制しているため、例えばユーザーがインクカートリッジを落下させたりしてインクカートリッジに衝撃がかかったり、インクカートリッジの輸送で振動がかかっても、廃インク吸収材によって、区画室の一部を形成しているプラスチックフィルムが破けるということがない。また、使用途中のインクカートリッジを落下させても、インクが漏れない。
更には、本発明においては、カートリッジケースの少なくとも一部分をプラスチックフィルムによって形成している。従って、プラスチックフィルムを切断あるいははぎ取ることにより、区画室内の廃インク吸収材を交換できる。よって廃インク吸収材の交換が簡単で、経済的になる。また、廃インク吸収材をプラスチック板などで隔離する場合に比べて、インクカートリッジを全体として小型化、軽量化できる。
一方、本発明では、プラスチックフィルムを熱融着によってカートリッジケースに接合しているので、接合部分を確実に密閉状態にでき、廃インクが外部に漏れ出ることを確実に防止できる。
更に、本発明では、プラスチックフィルムをカートリッジケースと同一素材としてあるので、それらの熱融着による接合強度を更に高めることができる。
また、本発明では、カートリッジケースをスナップフィット等の形態で、ワンタッチで開閉できるので、インクカートリッジのリサイクルに当たり、ケースを開閉する作業が簡単になり、また、ケースを傷めることもない。
更には、本発明では、プラスチックフィルムに空気孔を形成してあるので、当該プラスチックフィルムによって廃インク吸収材が収納されている区画室を密閉したとしても、それによって廃インクの吸収性能が阻害されることがない。
本発明を適用したインクカートリッジの分解斜視図である。 図1のインクカートリッジのインク取り出し口の側を示す正面図である。 図1のインクカートリッジの概略断面図である。 図1のインクカートリッジの別の位置の概略断面図である。 本発明を適用したインクジェットプリンタを示す前側の斜視図である。 図5のインクジェットプリンタを示す後側の斜視図である。 図5のインクジェットプリンタにおいて、インクカートリッジをインクカートリッジ装着部に挿入することにより形成されるインク供給・排出系を示す概略構成図である。 図1のインクカートリッジを使用し印刷する場合に、インクカートリッジ装着部にインクカートリッジを挿入する動作を説明するための説明図である。 図1のインクカートリッジを廃インク吸収カートリッジとして使用する場合に、インクカートリッジ装着部に挿入する動作を説明するための説明図である。 本発明のインクジェットプリンタの制御手段における主たる制御動作のシーケンスを示すフローチャートである。
符号の説明
1…インクジェットプリンタ、2…インクカートリッジ、6…インク袋、20…廃インク吸収材、21…廃インク吸収材の空所、30…カートリッジケース、40…ケース本体(第1のケース片)、44…インク袋のインク取り出し口の位置決め開口、49A…疑似インク取り出し孔、50…蓋(第2のケース片)、56…第1の取入口ゴム、57…第2の取入口ゴム、60…プラスチックフィルム、62…インク取り出し口、64…プラスチックフィルムに設けた空気孔、70…区画室、102…ロール紙装填機構、103…給紙口、104…ロール紙、105…スリップ紙、106…ガイドシャフト、107…キャリッジ、108…印字ヘッド、109…キャリッジ機構、110…インク供給部、111…印刷位置、112…キャッピング機構、113…ヘッドキャップ、130…インクカートリッジ装着部、139B,C…位置決めピン、140…インク供給針、141…廃液針、142…カートリッジ検出器、143…インク供給チューブ、144…フィルタ、145…プラテン、146…廃液チューブ、147…廃液ポンプ、150…フロントパネル、151…電源スイッチ、152…ポンプ動作スイッチ、153…インクエンド表示器。

Claims (13)

  1. 少なくともインクを貯留するインク袋と、廃インクを吸収する廃インク吸収材と、これらインク袋及び廃インク吸収材を収容しているカートリッジケースを有し、インクジェット記録装置のインクカートリッジ装着部に着脱可能なインクカートリッジであって、
    前記カートリッジケースは少なくとも6つの面から構成され、
    その1つの面である第1の面に、前記インク袋に接続されたインク取り出し口と、前記廃インク吸収材に前記廃インクを排出するための第1のインク排出口と、を有し、
    前記第1の面と対向する第2の面に、前記インク袋に接続されない擬似インク取り出し孔と、前記廃インク吸収材に前記廃インクを排出するための第2のインク排出口と、を有し、
    前記第1の面と前記第2の面のいずれの面からも前記インクカートリッジ装着部に装着可能なことを特徴とするインクカートリッジ。
  2. 請求項に記載のインクカートリッジにおいて、
    前記第1のインク排出口と前記第2のインク排出口を弾性体で封止したことを特徴とするインクカートリッジ。
  3. 請求項に記載のインクカートリッジにおいて、
    前記弾性体がゴムであることを特徴とするインクカートリッジ。
  4. 請求項1に記載のインクカートリッジにおいて、
    前記廃インク吸収材を収容するために前記カートリッジケースの内部に形成した区画室と、当該区画室の少なくとも一部分を形成しているプラスチックフィルムを有することを特徴とするインクカートリッジ。
  5. 請求項記載のインクカートリッジにおいて、
    前記カートリッジケースは、相互に組み合わされて前記インク袋及び前記廃インク吸収材の収納部分を区画形成している第1のケース片及び第2のケース片を備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
  6. 請求項記載のインクカートリッジにおいて、
    前記第1及び第2のケース片は着脱可能な状態で相互に組み合わされていることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. 請求項記載のインクカートリッジにおいて、
    前記第1のケース片は、矩形のケース底板部分と、当該ケース底板部分の周縁に形成されているケース外枠部分とを備えており、前記第2のケース片は、矩形のケース蓋部分と、当該ケース蓋部分の周縁に形成されているケース内枠部分とを備えており、当該ケース内枠部分は、その幅が前記ケース外枠部分よりも狭く、かつ、前記ケース外枠部分の内側に差し込み可能な大きさに設定されており、
    前記第2のケース片の前記ケース蓋部分と前記ケース内枠部分によって区画形成される矩形の凹部に前記廃インク吸収材が収納され、当該凹部の開口が前記プラスチックフィルムに塞がれて前記区画室が形成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
  8. 請求項に記載のインクカートリッジにおいて、
    前記廃インク吸収材が、前記矩形の凹部内で動かないように保持するための突起が、前記第2のケース片の前記ケース内枠部分に形成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
  9. 請求項記載のインクカートリッジにおいて、
    前記凹部の前記開口を規定している前記ケース内枠部分の開口端面に対して、前記プラスチックフィルムの周縁部分が熱融着されていることを特徴とするインクカートリッジ。
  10. 請求項記載のインクカートリッジにおいて、
    前記プラスチックフィルムには通気口が形成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
  11. 請求項に記載のインクカートリッジにおいて、
    前記カートリッジケースはプラスチック製であり、前記プラスチックフィルムは、一層ないし複数の層から構成されており、少なくとも前記ケース内枠部分の開口端面に熱融着される側のプラスチックフィルムが、前記カートリッジケースと同一素材から形成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
  12. 請求項1ないし11のうちの何れかの項に記載のインクカートリッジを装着可能なインクジェット記録装置であって、
    前記インクカートリッジを前記第1の面から前記インクカートリッジ装着部に装着した場合において、前記インクカートリッジの前記インク袋からインク供給路を介して供給されたインクをノズルから吐出するインクジェットヘッドと、
    該インクジェットヘッドに連結され、インク排出路を介して前記インクカートリッジの前記廃インク吸収材にインクを排出するためのポンプ手段と、
    前記インクカートリッジの有無を検出するカートリッジ検出手段と、
    前記インクジェット記録装置に、前記ポンプ手段の動作命令を与えるための命令入力手段と、
    前記カートリッジ検出手段にて得られた検出結果と、前記命令入力手段からの動作命令に基づいて、前記ポンプ手段の排出動作を制御する制御手段とを有し、
    前記インクカートリッジを前記第2の面から前記インクカートリッジ装着部に装着した場合において、前記制御手段は、前記カートリッジ検出手段における検出結果がオンで、かつ、前記命令入力手段から前記ポンプ手段の動作命令を与えられた場合に、前記インク吸収材に、前記インク供給路及び前記インクジェットヘッド内のインクを排出するように前記ポンプ手段の動作を制御する
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  13. 請求項12記載のインクジェット記録装置の制御方法であって、
    前記インクカートリッジを前記第2の面から前記インクカートリッジ装着部に装着した場合において、前記制御手段によって、前記カートリッジ検出手段における検出結果がオンで、かつ、前記命令入力手段から前記ポンプ手段の動作命令を与えられた場合に、前記インク吸収材に、前記インク供給路及び前記インクジェットヘッド内のインクを排出するように前記ポンプ手段の動作を制御することを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。
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