JP2007253418A - 液体収容容器及びインクジェットプリンタ - Google Patents

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泉 野澤
Kimitoshi Kimura
仁俊 木村
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Abstract

【課題】フィルム溶着後の反りを低減して、装着部の小型化を実現することのできる液体収容容器を提供することである。
【解決手段】液体を貯留する液体収容部3cを有する容器ケース3と、廃液を吸収する廃液吸収部20を構成する第2の容器ケース5とを備える液体収容容器1において、廃液吸収部20は、容器ケース5の一部の内壁5bとフィルム18とによって区画された区画室19と、この区画室19に収納されて廃液を吸収する吸収材17と、を備え、内壁の吸収材設置面に一つ以上の凸部21を設ける。
【選択図】図8

Description

本発明は、液体を貯留する液体収容部と、廃液を吸収する廃液吸収部と、前記液体収容部及び廃液吸収部を収納している容器ケースとを有する液体収容容器と、この液体収容容器を使用するインクジェットプリンタに関する。
液体をターゲットに噴射させる液体噴射装置の一例として、インク滴を噴射する記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復移動するキャリッジに搭載された形態のインクジェットプリンタがある。
このようなインクジェットプリンタにおいては、インクを貯留するための液体収容容器としてのインクカートリッジが交換可能に設けられており、記録ヘッドから噴射されるインクは、同インクカートリッジから供給されるようになっている。
ところで、近年、上記のようなインクジェットプリンタにおいて、A0サイズ等の大型の紙に印刷を行う需要が増えている。そして、このような場合には、インク消費量が多くなるため、大容量のインクを貯留することのできるインクカートリッジが要求されていた。ところが、このような大容量のインクカートリッジをキャリッジに搭載すると、キャリッジが重くなり、キャリッジモータ等に多大な負荷がかかる可能性があった。従って、インクカートリッジをキャリッジに搭載させない構成(いわゆるオフキャリッジ型)が一般に採用されるようになっていた。
一方、インクジェットプリンタでは、記録ヘッドのノズルの目詰まり等によってインク滴の吐出不良が生じないように、適時、記録ヘッドをクリーニング処理することが必要になる。
このクリーニング処理は、例えば、記録ヘッドをクリーニング位置に退避させて、記録ヘッド上の各ノズルに残留するインクの一部を吐出・廃棄したり、ノズルの先端面を払拭するものである。従って、インクジェットプリンタには、クリーニング処理によって発生した廃インクを収容する廃インク収容部が必要になる。
このような背景から、樹脂製の容器ケースに、記録ヘッドに供給するインクを貯留するインク収容部と、記録ヘッドから排出される廃インクを収容する廃インク吸収部と、を備えたインクカートリッジが提案された。
図12は、廃インク吸収部を形成する容器ケース100の従来例を示したものである。
ここに示した容器ケース100は、インクカートリッジを構成する樹脂ケースの一部で、一方を開放した空間部101を有した樹脂製の箱本体102と、この箱本体102の空間部101の周囲を囲う内壁部103に熱溶着されたフィルム104と、によって区画室105を形成した構成で、区画室105内に廃インクを吸収するシート状の吸収材が装填される(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
ところが、廃インク量は、記録ヘッドに供給されるインク量と比較して、微量である。そのため、廃インク吸収部として使用される容器ケース100は、図13に示したように薄型で偏平な形状となる。この薄型で偏平な容器ケース100では、フィルム104の熱溶着により区画室105を形成する場合に、容器ケース100の落下等の衝撃でフィルム104が剥がれないように(溶着による接合強度を高めるために)、非常に高い温度条件で溶着を実施すると、その溶着時の高温により、箱本体102は図13に一点鎖線で示すようにフィルム側が凸の湾曲面となる反り(矢印b、cで示す方向の変形)を長手方向に生じ、溶着時の熱が冷めると、フィルムの熱収縮が大きいために、図13に二点差線で示すようにフィルム側が凹の湾曲面となる反り(矢印d,eで示す方向の変形)を長手方向に生じて、寸法誤差をうむ(なお、図13では、反りによる変形を明確にするために、反りを実際よりも大きく示しているが、実際の反りは図示よりも小さい)。
この反りによる寸法誤差のためにインクカートリッジの着脱が不可能とならないように、インクジェットプリンタのカートリッジ装着部には、前記反りによる寸法誤差分を考慮したクリアランスを設けていたが、カートリッジ装着部の寸法が増大し、装置の大型化を招く要因となっていた。
特開平11−70672号公報 特開2004−142128号公報
前述のように容器ケース100に発生する反りを小さくするためには、フィルム104の熱溶着時の温度を下げることが効果的である。
しかしながら、熱溶着時の温度を下げると、フィルム104の接合強度が低くなる。そして、従来の容器ケース100では、区画室105内に装填される吸収材は、空間部101に単に収容させただけで、容器ケース100に係止していないため、容器ケース100の落下等により衝撃が作用すると、その衝撃により吸収材が空間部101内を動いてフィルム104に衝撃的に当たり、フィルム104の接合強度が低いと、ケース落下時等に作用する吸収材の衝撃的な当たりで、フィルム104が剥離する虞があるという問題があった。この問題は、吸収材が廃インクを吸収する前は比較的軽いので大きな問題にはならないが、大量の廃インクを吸収した後の吸収材は重いため、吸収材が動いたときの衝撃が大きな問題となる。
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、液体収容容器の落下等の衝撃が加わったときに、吸収材の動きを抑制することによりフィルムに吸収材が当たらないようにして、フィルムの剥離を防ぐことができる液体収容容器及びインクジェットプリンタを提供することである。
(1)本発明の上記目的は、液体を貯留する液体収容部と、廃液を吸収する廃液吸収部と、前記液体収容部及び廃液吸収部を収納している容器ケースとを有する液体収容容器であって、
前記廃液吸収部は、
前記容器ケースの一部の内壁とフィルムとによって区画された区画室と、
該区画室に収納されて廃液を吸収する吸収材と、を備え、
前記内壁の吸収材設置面に一つ以上の凸部が設けられていることを特徴とする液体収容容器により達成される。
上記構成によれば、フィルムの溶着により区画室を形成する容器ケースは、吸収材設置面に一つ以上の凸部が設けられていることで、区画室内に収納された吸収材にくい込み、区画室内での吸収材の移動を規制する。
これにより、液体収容容器の落下等により衝撃が作用した場合でも、区画室内の吸収材が動いてフィルムに当たることがなくなり、容器ケースに溶着したフィルムが落下等の衝撃により剥がれることが無くなる。従って、吸収材からの衝撃的な当たりに耐えるように、フィルムの接合強度を高める必要がなくなる。
そのため、フィルムの熱溶着時の温度を下げて、フィルムの接合を行うことが可能になる。そして、フィルムの熱溶着時の温度を下げることにより、フィルム溶着時の加熱でフィルム側が凸の湾曲面となる反りが容器ケースに発生し難くなり、また、溶着時の熱が冷めてフィルムの熱収縮も小さくなって、常温に戻った際に、フィルム側が凹の湾曲面となる反りが容器ケースに生じることがなく、略平坦な理想の状態を得ることができる。
これにより、容器ケースにフィルムを溶着することにより区画室が形成される液体収容容器の装着部に反りを許容するクリアランスの装備が不要になり、液体収容容器の装着部の小型化を実現することができる。
(2)なお、好ましくは、上記(1)に記載の液体収容容器において、前記吸収材は、前記凸部と嵌合するように凹部が設けられている構成とすると良い。
このような構成にすると、容器ケースの吸収材設置面に装備した凸部と吸収材に装備した凹部との嵌合により、吸収材の移動を拘束する力を更に強化する事ができる。
そのため、フィルムの熱溶着時の温度を下げて、フィルムの接合を行うことが可能になる。そして、フィルムの熱溶着時の温度を下げることにより、フィルム溶着時の加熱でフィルム側が凸の湾曲面となる反りが容器ケースに発生し難くなり、また、溶着時の熱が冷めてフィルムの熱収縮も小さくなって、常温に戻った際に、フィルム側が凹の湾曲面となる反りが容器ケースに生じることがなく、略平坦な理想の状態を得ることができる。
これにより、容器ケースにフィルムを溶着することにより区画室が形成される液体収容容器の装着部に反りを許容するクリアランスの装備が不要になり、液体収容容器の装着部の小型化を実現することができる。
また、容器ケースの吸収材設置面に装備した凸部と吸収材に装備した凹部との嵌合により、容器ケースと吸収材との係合強度が向上するため、液体収容容器の落下等により衝撃が作用した場合でも、区画室内の吸収材が動きを規制する力は更に向上し、吸収材が動いてフィルムに当たることを確実に防止できる。これにより、容器ケースに溶着したフィルムが落下等の衝撃により剥がれることを更に発生し難くすることができる。
(3)また、好ましくは、上記(2)に記載の液体収容容器において、前記凹部は、前記吸収材を貫通する孔であり、前記凸部と嵌合してかしめられている構成とすると良い。
このような構成にすると、区画室に収容される吸収材がよりしっかりと容器ケースに固定されて、容器ケースと吸収材との係合強度が向上するため、液体収容容器の落下等により衝撃が作用した場合でも、区画室内の吸収材が動きを規制する力は更に向上し、吸収材が動いてフィルムに当たることを確実に防止できる。これにより、容器ケースに溶着したフィルムが落下等の衝撃により剥がれることを更に発生し難くすることができる。
(4)また、好ましくは、上記(1)乃至(3)に記載の液体収容容器において、前記フィルムは、粘着材によって前記容器ケースに貼り付けられている構成とすると良い。
このような構成にすると、容器ケースには、フィルムを熱溶着により容器ケースに貼り付けた場合のような熱の影響による反りが一切発生しなくなるため、反りの無い略平坦な理想の容器ケースを得ることができ、液体収容容器の装着部に反りを許容するクリアランスの装備が不要になり、液体収容容器の装着部の小型化を実現することができる。
(5)また、好ましくは、上記(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の液体収容容器において、前記液体収容部は、液体を貯留した液体収容袋を一つ以上備える構成とすると良い。
このような構成にすると、例えば液体収容容器をインクジェットプリンタのインクカートリッジに適用し、また、液体収容部は、インクを収容した液体収容袋を一つ以上備えるインク収容部として使用した場合に、液体収容部における液体収容袋の装備数を複数にすることで、反りの無い高精度なカラーインクカートリッジを提供でき、カラーインクジェットプリンタにおけるカートリッジ装着部にカートリッジの反りを許容するクリアランスの装備が不要になり、カートリッジ装着部の小型化を実現することができる。
(6)また、好ましくは、上記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の液体収容容器において、前記フィルムには空気導出口としての孔が一つ以上設けられている構成とすると良い。
このような構成にすると、区画室に収容された吸収材に廃インクをスムーズに流入させる事が可能となる。
(7)また、好ましくは、上記(1)乃至(6)のいずれか一つに記載の液体収容容器において、前記容器ケースは薄型で扁平な形状である構成とすると良い。
このような構成にすると、反りが生じ易い薄型で偏平な容器ケースにおいて、反りのない高精度な容器ケースを得ることが可能になる。
(8)また、また、好ましくは、上記(7)に記載の液体収容容器において、前記吸収材はシート状の形状である構成とすると良い。
このようにすると、吸収材設置面上を滑りやすいシート状の吸収材でも、吸収材設置面に設けた凸部によって滑りを規制して、吸収材が滑ってフィルムに当たることによってフィルムが剥離することを防止できる。
(9)また、本発明の上記目的は、上記(1)乃至(8)のいずれか一つに記載の液体収容容器を備えることを特徴とするインクジェットプリンタにより達成される。
このような構成にすると、前記液体収容容器を使用したインクカートリッジが反りの無い高精度な部品となるため、カートリッジ装着部に反りを許容するためのクリアランスを確保する必要がなくなり、それにより、カートリッジ装着部のコンパクト化や、インクカートリッジの高密度実装を実現することができる。
(10)なお、吸収材を移動不可に容器ケースに固定する手段として、上記の凸部は設けずに、両面テープや接着剤を使用して、吸収材を直接、容器ケースに接着固定するようにしても良い。このようにすることにより、容器ケースの構造を単純にすることができる。
本発明に係る液体収容容器では、フィルムの溶着により区画室を形成する容器ケースは、吸収材設置面に設けられた凸部が区画室内での吸収材の移動を規制する。これにより、液体収容容器の落下等により衝撃が作用した場合でも、区画室内の吸収材が動いてフィルムに当たることがなくなり、容器ケースに溶着したフィルムが落下等の衝撃により剥がれることが無くなる。
従って、吸収材からの衝撃的な当たりに耐えるように、フィルムの接合強度を高める必要がなくなる。そのため、フィルムの熱溶着時の温度を下げて、フィルムの接合を行うことが可能になる。そして、フィルムの熱溶着時の温度を下げることにより、フィルム溶着時の加熱でフィルム側が凸の湾曲面となる反りが容器ケースに発生し難くなり、また、溶着時の熱が冷めてフィルムの熱収縮も小さくなって、常温に戻った際に、フィルム側が凹の湾曲面となる反りが容器ケースに生じることがなく、略平坦な理想の状態を得ることができる。
これにより、容器ケースにフィルムを溶着することにより区画室が形成される液体収容容器の装着部に反りを許容するクリアランスの装備が不要になり、液体収容容器の装着部の小型化を実現することができる。
本発明に係る液体収容容器を備えるインクジェットプリンタの一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、インクジェットプリンタの概念図である。なお、本実施の形態のインクジェットプリンタは、キャリッジ上にインクカートリッジである液体収容容器を搭載しないオフキャリッジタイプのインクジェットプリンタである。
インクジェットプリンタ31は、フレーム32を備え、このフレーム32内にはカートリッジ装着部33が設けられており、カートリッジ装着部33には、内部に液体としてのインクを収容した液体収容容器1が着脱可能に設けられる。この液体収容容器1は、キャリッジ36上に搭載されたサブタンク38に供給流路39を介してインクを供給する。なお、インクジェットプリンタ31には、1個の液体収容容器1が設けられ、この液体収容容器1に対して、インクジェットプリンタ31の使用するインクの種類と同じ数の供給流路39及びサブタンク38が設けられている。本実施の形態では、4本の供給流路39と、4個のサブタンクが設けられているが、図1では、便宜上、1本の供給流路39と1個のサブタンク38のみ図示する。
キャリッジ36は、フレーム32の左側板32a及び右側板32bとの間に架設されたガイド部材35に摺動可能に支持されている。このキャリッジ36に搭載されたサブタンク38は、記録ヘッド37へのインクの供給を安定させるために、液体収容容器1から供給されたインクを内部に一時貯留している。
記録ヘッド37は、キャリッジ36の下面に搭載されている。記録ヘッド37は、図示しない複数のノズルを有しており、このノズルは記録ヘッド37の下面で開口している。記録ヘッド37は、ノズル開口から液体としてのインク滴を、図示しないターゲットとしての紙に向かって吐出する。
また、フレーム32内には、インクジェットプリンタ31が非印刷状態となった際にキャリッジ36が配置されるホームポジションが設けられている。このホームポジションには、記録ヘッド37のノズルの目詰まりを防止するためのヘッドメンテナンス機構41が配設されている。このヘッドメンテナンス機構41は、キャップ42及びチューブポンプ44を備えており、キャップ42とチューブポンプ44は、チューブ43で接続されている。
このヘッドメンテナンス機構41は、インクジェットプリンタ31が非印刷状態となったときに、ノズル内のインク粘度が上昇するのを防止するために、記録ヘッド37の下面をキャップ42にて封止する。また、ノズルの目詰まりを防止するために、ノズルから強制的にインクを吸引する吸引クリーニングを行う。この吸引クリーニングでは、キャップ42で記録ヘッド37の下面を封止した状態で、チューブポンプ44を駆動することによりキャップ42内に負圧を発生させる。そして、発生した負圧によりノズル内のインクをキャップ42内に吐出させる。
吸引クリーニングによりキャップ42内に吐出されたインクは、チューブ43内を通過して、液体収容容器1に備えられた廃液吸収部に収容される。
以下、本発明に係る液体収容容器の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図2は本発明に係る液体収容容器の一実施の形態の正面図、図3は図2に示した液体収容容器のB矢視図、図4は図3に示した液体収容容器のC矢視図、図5は図2に示した液体収容容器の液体収容部を形成している第1の容器ケースの斜視図、図6は図3に示した第2の容器ケースにおける凸部の装備状態を示す斜視図、図7は図6のD−D断面図、図8は図6に示した第2の容器ケースに吸収材やフィルムが組み付けられる状態の分解斜視図、図9は図6に示した第2の容器ケースに吸収材を装填した状態の斜視図、図10は図9のE−E断面図、図11は図6に示した第1の容器ケースに吸収材とフィルムとを組み付けた状態の斜視図である。
この一実施の形態の液体収容容器1は、インクジェットプリンタ31のカートリッジ装着部に嵌合装着されるインクカートリッジである。
また、液体収容容器1は、第1の容器ケース3と、この第1の容器ケース3に重ねた状態に結合される第2の容器ケース5とを備えており、これらの容器ケース3,5はいずれも樹脂材料の成形により形成された樹脂ケースである。
第1の容器ケース3は、図5に示すように、略長方形の底壁3aとこの底壁3aの外周から延出する側壁3bとを樹脂材料により一体成形したもので、底壁3aに対向する面(図5では、上面)を開放した箱形を呈している。底壁3aと側壁3bとで囲んだ内部空間が、液体収容袋である4つのインクパック7〜10を収容・保持する液体収容部3cとなっている。
4つのインクパック7〜10は、カラー印刷用にそれぞれ異なるカラーインクを充填したものである。
それぞれのインクパック7〜10は、同様の構造のもので、インクを収容する可撓性の袋体11と、この袋体11の前端部に接合されたインク取り出し口12とから構成されている。
袋体11は、2枚のアルミニウムラミネートフィルムを重ね合わせて、それらの周囲を熱融着等の方法によって接合することにより形成されている。アルミニウムラミネートフィルムを採用した理由は、ガスバリヤー性の向上のためである。アルミニウムラミネートフィルムとしては、例えば、アルミニウム箔の外側をナイロンフィルム、内側をポリエチレンフィルムにより挟み込んだ構成のものが採用される。
インク取り出し口12は、袋体11内のインクを導出する硬質樹脂製の筒状体と、この筒状体の先端の開口を封止する弾性素材製の封止栓と、封止栓の先端に貼付されたシールフィルムとを備えた構成である。そして、このインク取り出し口12は、硬質樹脂製の筒状体を袋体11のアルミニウムラミネートフィルムに熱融着等により固定することで、袋体11に固定一体化されている。
第1の容器ケース3は、4つのインクパック7〜10が配列される方向に細長い容器ケースで、各インクパック7〜10のインク取り出し口12が対向する側壁3bには、図2に示すように、各インク取り出し口12の先端開口を臨ませる開口3dが設けられている。また、開口3dが設けられた側壁3bの内側には、図5に示したように、各インク取り出し口12を位置決め・固定する溝型の取出口保持部3eが設けられている。
図2に示した液体収容容器1は、所定の向きでインクジェットプリンタ31のカートリッジ装着部33に装着すると、カートリッジ装着部33に装備されているインク供給針45が第1の容器ケース3に収容されたインクパック7〜10のインク取り出し口12に挿通され、インク供給針45に接続されているインク供給流路39を介して、各インクパック7〜10内のインクがインクジェットプリンタ31の記録ヘッド37側に供給される。
第2の容器ケース5は、図5に示した第1の容器ケース3の上面開放部を覆うカバーとして機能する薄型で偏平な容器ケースである。
この第2の容器ケース5は、図6及び図7に示すように、第1の容器ケース3の上面開放部を覆う略長方形で平板状の主壁部5aと、この主壁部5aの外周の少し内側に略垂直に立設されて第1の容器ケース3の側壁3bの内側に嵌合する側壁5bと、この側壁5bよりも内側で前記主壁部5aに立設された内壁5cとを備えており、内壁5cと主壁部5aとで囲んだ内部空間5dが、後述する吸収材の収容空間として利用される。
第2の容器ケース5の長手方向に沿う一辺の側壁5bには、図6に示すように、第1の容器ケース3の側壁3bに形成された係合穴14(図5参照)に嵌合する突片15が突設されている。また、突片15を装備した側壁5bに対向する他方の側壁には、第1の容器ケース3に装備された取出口保持部3eとの協働でインク取り出し口12を保持する取出口保持部5eと、プリンタ側から送られる廃インクを内部空間5dに流入させるための廃インク導入口部5fとが設けられている。
この廃インク導入口部5fは筒状で、第2の容器ケース5を第1の容器ケース3に組み付けた状態にすると、廃インク導入口部5fの先端の開口部が第1の容器ケース3の側壁3bの開口3f(図5参照)から外部に臨む。液体収容容器1を所定の向きでインクジェットプリンタのカートリッジ装着部に装着すると、前記廃インク導入口部5fには、カートリッジ装着部33に装備されたプリンタ側の廃インク供給針46が嵌合接続され、廃インク導入口部5fを介して内部空間5d側に廃インクが導入可能になる。
本実施形態の第2の容器ケース5は、図8及び図9に示すように、内部空間5dに廃インクを浸透吸収するシート状の吸収材17が装填される。内部空間5dは、図9に示したように吸収材17を装填した後、図11に示すように内壁5cの頂面にフィルム18を熱溶着することで、密閉された区画室19に形成され、吸収材17に浸透吸収された廃インクが外部に漏れないようになる。
即ち、図8に示すように、第2の容器ケース5と、第2の容器ケース5の内壁5cに接合されて区画室19を画成するフィルム18と、区画室19に装填されたシート状の吸収材17とで、廃インクを吸収する廃液吸収部(廃インク吸収部)20が形成されている。
フィルム18は、長方形状を有しており、例えば、ポリスチレン、ゴム系素材、PET等から形成されている。そして、フィルム18は、その周縁部分が前記内壁5cの頂面に熱溶着されることにより内壁5cの内側空間(内部空間5d)を封止するようになっている。
また、本実施形態の第2の容器ケース5は、図6に示すようにフィルム18と対向する内壁の吸収材設置面(即ち、主壁部5aの内面)に複数個の円柱状の凸部21が設けられている。また、図8に示すように、吸収材17には、凸部21と嵌合する凹部22が設けられている。本実施形態の場合、凹部22は、吸収材17を貫通する断面円形の孔であり、図9及び図10に示すように、凹部22に嵌合した凸部21の先端をかしめることにより、吸収材17の抜け止めがなされる。
また、図8及び図11に示すように、フィルム18には区画室19内への空気導出口としての孔23が一つ設けられている。
以上に説明した液体収容容器1では、フィルム18の溶着により区画室19を形成する第2の容器ケース5は、吸収材設置面となる内面に設けた複数の凸部21が区画室19内に収納された吸収材17の凹部22に嵌合し、区画室19内での吸収材17の移動を規制する。
これにより、液体収容容器1の落下等により衝撃が作用した場合でも、区画室19内の吸収材17が動いてフィルム18に当たることがなくなり、第2の容器ケース5に溶着したフィルム18が落下等の衝撃により剥がれることが無くなる。従って、吸収材17からの衝撃的な当たりに耐えるように、フィルム18の接合強度を高める必要がなくなる。
そのため、フィルム18の熱溶着時の温度を下げて、フィルム18の接合を行うことが可能になる。そして、フィルム18の熱溶着時の温度を下げることにより、フィルム溶着時の加熱でフィルム18側が凸の湾曲面となる反りが第2の容器ケース5に発生し難くなり、また、溶着時の熱が冷めるときのフィルム18の熱収縮も小さくなって、常温に戻った際に、フィルム18側が凹の湾曲面となる反りが第2の容器ケース5に生じることがなく、略平坦な理想の状態を得ることができる。
これにより、インクジェットプリンタ31に装備されるカートリッジ装着部33に反りを許容するクリアランスの装備が不要になり、インクジェットプリンタ31のカートリッジ装着部33の小型化を実現することができる。
また、本実施形態の場合は、凸部21と凹部22の嵌合により、区画室19内における吸収材17の移動を拘束する力を更に強化する事ができる。そのため、フィルム18の熱溶着時の温度を下げて、フィルム18の接合を行うことが可能になる。そして、フィルム18の熱溶着時の温度を下げることにより、フィルム溶着時の加熱でフィルム18側が凸の湾曲面となる反りが第2の容器ケース5に発生し難くなり、また、溶着時の熱が冷めるときのフィルム18の熱収縮も小さくなって、常温に戻った際に、フィルム18側が凹の湾曲面となる反りが第2の容器ケース5に生じることがなく、略平坦な理想の状態を得ることができる。
これにより、インクジェットプリンタ31のカートリッジ装着部33に反りを許容するクリアランスの装備が不要になり、カートリッジ装着部33の小型化を実現することができる。
また、本実施形態の液体収容容器1において、第1の容器ケース3による液体収容部は、液体を貯留した液体収容袋であるインクカートリッジを複数個収容していて、反りの無い高精度なカラーインクカートリッジを提供でき、カラーインクジェットプリンタにおけるカートリッジ装着部の小型化を実現することができる。
また、本実施形態の液体収容容器1において、液体収容容器1に熱溶着するフィルム18には空気導出口としての孔23が設けられているため、区画室19に収容された吸収材17に、廃インクをスムーズに流入させる事が可能となる。
また、本実施形態の液体収容容器1において、フィルム18の熱溶着により区画室19を形成する第2の容器ケース5は、反りが生じ易い薄型で扁平な形状であるが、上記のように、凸部21と凹部22との嵌合により吸収材17が第2の容器ケース5に係合されることで、反りのない高精度な容器ケースとすることができる。
また、本実施形態の液体収容容器1において、吸収材17は吸収材設置面上を滑りやすいシート状であるが、吸収材設置面に設けた凸部21によって滑りを規制できるため、吸収材17が滑ってフィルム18に当たることによってフィルム18が剥離することを防止できる。
なお、第2の容器ケース5へのフィルム18の接合は、前述した熱溶着に限らない。例えば、両面粘着テープや接着剤の塗布を行って、粘着材によって第2の容器ケース5にフィルム18を貼り付けるようにしても良い。
このような構成にすると、容器ケースには、フィルム18を熱溶着により容器ケースに貼り付けた場合のような熱の影響による反りが一切発生しなくなるため、反りの無い略平坦な理想の容器ケースを得ることができ、液体収容容器1のカートリッジ装着部33に反りを許容するクリアランスの装備が不要になり、液体収容容器1の装着部の小型化を実現することができる。
更に、吸収材17を移動不可に第2の容器ケース5に固定するという点では、第2の容器ケース5に凸部21を設けずに、両面テープや接着剤により吸収材17を第2の容器ケース5に固定するようにしても良い。このようにすることにより、第2の容器ケース5の構造を単純にすることができる。
また、本発明に係る液体収容容器の用途は、上記実施形態に示したようにインクジェットプリンタに供給するインクを貯留するインクカートリッジに限らない。
例えば、適宜液体を噴射処理する液体噴射処理装置に装着される液体収容容器として、広く応用することができる。
また、本発明に係る液体収容容器となる液体収容容器の具体的構造も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更可能である。
例えば、吸収材17を係止するために、第2の容器ケース5に装備する凸部21の個数は、上記実施形態に限らない。凸部21の形状や大きさ等により、吸収材17への係止力は変化するため、必要な係止力が得られるなら、凸部21の装備数は1つ以上の任意数に設定することができる。
また、上記実施形態では、吸収材17を係止する凸部21は、吸収材17に装備された凹部22に嵌合する構成としたが、吸収材17の局部的な弾性変形により凸部21が吸収材17を係止できるような場合には、凹部22を省略した構成とすることもできる。
また、区画室19の通気用にフィルム18に装備する孔23の個数も、上記実施形態に示した単一の孔に限らず、必要に応じて、適宜数に増加することができる。
本発明に係る液体収容容器を備えたインクジェットプリンタの一実施の形態の概念図である。 本発明に係る液体収容容器の一実施の形態の正面図である。 図2に示した液体収容容器のB矢視図である。 図3に示した液体収容容器のC矢視図である。 図2に示した液体収容容器の液体収容部を形成している第1の容器ケースの斜視図である。 図3に示した第2の容器ケースにおける凸部の装備状態を示す斜視図である。 図6のD−D断面図である。 図6に示した第2の容器ケースに吸収材やフィルムが組み付けられる状態の分解斜視図である。 図6に示した第2の容器ケースに吸収材を装填した状態の斜視図である。 図9のE−E断面図である。 図6に示した第2の容器ケースに吸収材とフィルムとを組み付けた状態の斜視図である。 従来のインクカートリッジを構成する容器ケースにおいて、廃液吸収部となる区画室をフィルムの熱溶着により形成した第1の容器ケースの平面図である。 図12のA−A断面図である。
符号の説明
1…液体収容容器、3…第1の容器ケース、5…第2の容器ケース、5a…主壁部、5c…内壁、17…吸収材、18…フィルム、20…廃液吸収部(廃インク吸収部)、21…凸部、22…凹部、23…孔、31…インクジェットプリンタ

Claims (9)

  1. 液体を貯留する液体収容部と、廃液を吸収する廃液吸収部と、前記液体収容部及び廃液吸収部を収納している容器ケースとを有する液体収容容器であって、
    前記廃液吸収部は、
    前記容器ケースの一部の内壁とフィルムとによって区画された区画室と、
    該区画室に収納されて廃液を吸収する吸収材と、を備え、
    前記内壁の吸収材設置面に一つ以上の凸部が設けられていることを特徴とする液体収容容器。
  2. 前記吸収材は、前記凸部と嵌合するように凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体収容容器。
  3. 前記凹部は、前記吸収材を貫通する孔であり、前記凸部と嵌合してかしめられていることを特徴とする請求項2に記載の液体収容容器。
  4. 前記フィルムは、粘着材によって前記容器ケースに貼り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体収容容器。
  5. 前記液体収容部は、液体を貯留した液体収容袋を一つ以上備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体収容容器。
  6. 前記フィルムには空気導出口としての孔が一つ以上設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体収容容器。
  7. 前記容器ケースは薄型で扁平な形状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体収容容器。
  8. 前記吸収材はシート状の形状であることを特徴とする請求項7に記載の液体収容容器。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体収容容器を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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