JP4402875B2 - 強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法 - Google Patents

強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スタック型キャパシタ構造を有する、所謂FeRAMとも呼ばれる強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量の強誘電体型不揮発性半導体メモリに関する研究が盛んに行われている。強誘電体型不揮発性半導体メモリ(以下、不揮発性メモリと略称する場合がある)は、高速アクセスが可能で、しかも、不揮発性であり、また、小型で低消費電力であり、更には、衝撃にも強く、例えば、ファイルのストレージやレジューム機能を有する各種電子機器、例えば、携帯用コンピュータや携帯電話、ゲーム機の主記憶装置としての利用、あるいは、音声や映像を記録するための記録メディアとしての利用が期待されている。
【0003】
この強誘電体型不揮発性半導体メモリ(以下、不揮発性メモリと呼ぶ場合がある)の等価回路図を図5の(A)に示す。尚、図5の(A)においては、2つの不揮発性メモリを図示する。この不揮発性メモリは、強誘電体層を有し、強誘電体層の高速分極反転とその残留分極を利用したキャパシタ部の蓄積電荷量の変化を検出する方式の、高速書き換えが可能な不揮発性メモリであり、基本的には、キャパシタ部FC1,FC2と選択用トランジスタTR1,TR2とから構成されている。そして、選択用トランジスタTR1,TR2の一方のソース/ドレイン領域はキャパシタ部FC1,FC2の一端に接続され、キャパシタ部FC1,FC2の他端はプレート線PL1,PL2に接続されている。また、選択用トランジスタTR1,TR2の他方のソース/ドレイン領域はビット線BLに接続され、選択用トランジスタTR1,TR2のゲート電極はワード線WL1,WL2に接続されている。
【0004】
そして、この不揮発性メモリにおけるデータの書込みや読出しは、図5の(B)に示す強誘電体のP−Eヒステリシスループを応用して行われる。即ち、強誘電体層に外部電界を加えた後、外部電界を除いたとき、強誘電体層は残留分極を示す。そして、強誘電体層の残留分極は、プラス方向の外部電界が印加されたとき+Pr、マイナス方向の外部電界が印加されたとき−Prとなる。ここで、残留分極が+Prの状態(図5の(B)の「D」参照)の場合を「0」とし、残留分極が−Prの状態(図5の(B)の「A」参照)の場合を「1」とする。
【0005】
「1」あるいは「0」の状態を判別するために、強誘電体層に例えばプラス方向の外部電界を印加する。これによって、強誘電体層の分極は図5の(B)の「C」の状態となる。このとき、データが「0」であれば、強誘電体層の分極状態は、「D」から「C」の状態に変化する。一方、データが「1」であれば、強誘電体層の分極状態は、「A」から「B」を経由して「C」の状態に変化する。データが「0」の場合には、強誘電体層の分極反転は生じない。一方、データが「1」の場合には、強誘電体層に分極反転が生じる。その結果、キャパシタ部の蓄積電荷量に差が生じる。選択された不揮発性メモリの選択用トランジスタをオンにすることで、この蓄積電荷を信号電流として検出する。データの読出し後、外部電界を0にすると、データが「0」のときでも「1」のときでも、強誘電体層の分極状態は図5の(B)の「D」の状態となってしまう。即ち、読出し時、データ「1」は、一旦、破壊されてしまう。それ故、データが「1」の場合、マイナス方向の外部電界を印加して、「D」、「E」という経路で「A」の状態とし、データ「1」を再度書き込む。
【0006】
この不揮発性メモリの高集積化には、そのセル面積の縮小と併せて、選択用トランジスタを層間絶縁層で覆い、この層間絶縁層上にキャパシタ部を形成する、所謂スタック型キャパシタ構造が必須とされる。
【0007】
従来の不揮発性メモリにおいては、図6の(A)に模式的な一部断面図を示すように、キャパシタ部は、具体的には、下部電極31と、その上に形成された強誘電体層32と、強誘電体層32上に形成された上部電極33から構成されている。下部電極31は層間絶縁層16上に形成され、下部電極31と層間絶縁層16との間には拡散バリア層20が形成されている。また、選択用トランジスタの一方のソース/ドレイン領域15Aと下部電極31とを接続するために、層間絶縁層16にはコンタクトプラグ18Aが形成されている。このコンタクトプラグ18Aは、通常、多結晶シリコンやタングステン等の導電性材料から構成されている。尚、図6の(A)中、参照番号34は絶縁層、参照番号10は半導体基板、参照番号11は素子分離領域、参照番号12はゲート絶縁膜、参照番号13はゲート電極、参照番号14はゲートサイドウオール、参照番号18Bはビット線BLと他方のソース/ドレイン領域15Bを接続する接続孔、符号WLはワード線である。
【0008】
ところで、強誘電体層32を構成する強誘電体材料は主に酸化物であり、強誘電体層32の結晶化のために、高温酸素ガス雰囲気での熱処理が必要とされる。
【0009】
そして、このような熱処理によって下部電極31を構成する材料の原子とコンタクトプラグ18Aを構成する材料の原子との相互拡散が生じると、不揮発性メモリの特性や信頼性が低下してしまう。それ故、相互拡散を抑制するために、TiNやTaN、TiAlNから成る拡散バリア層20を設けている。また、このような熱処理において、酸素が下部電極31を通してコンタクトプラグ18Aにまで達すると、下部電極31とコンタクトプラグ18Aの境界領域近傍のコンタクトプラグ18Aの部分が酸化して不導通となるといった問題や、下部電極31とコンタクトプラグ18Aとの間の密着低下といった問題が生じる。更には、拡散バリア層20を構成する上述の材料も、酸化されると、導電性を失うといった問題や、下部電極31と拡散バリア層20との間の密着低下、層間絶縁層16と拡散バリア層20との間の密着低下といった問題が生じる。
【0010】
そのため、下部電極31を、高温酸素ガス雰囲気中でも安定であり、しかも、酸素バリア性を有する材料から構成する必要があり、一般には、IrやIrO2等の貴金属系材料が用いられる。そして、このような背景から、強誘電体材料をスタック型キャパシタ構造に適用する場合、酸素バリア性を有する下部電極31と拡散バリア層20とを組み合わせた積層構造を採用することが多い。
【0011】
更に半導体記憶装置の集積度を上げるための方法として、フォトリソグラフィ工程における各層の合わせマージンを極力排除することが挙げられるが、これは、予めパターニングした下部電極31上に強誘電体層32を形成する、所謂台座型(ペデステル型)電極構造を採用することで可能となる。この台座型電極構造の形成プロセスは、半導体記憶装置の一層の微細化が進められた際に、キャパシタ部の蓄積電荷量を確保するためDRAM等で行われている立体キャパシタ構造にもつながるプロセスである。
【0012】
以上のような理由から、半導体記憶装置の高集積化を進めるためには、台座型電極構造を有するスタック型キャパシタ構造を採用することが有効である。
【0013】
また、従来、台座型電極構造を利用したキャパシタ部の形成にあっては、下部電極31を形成した後、下部電極31の間のギャップをSiO2等の絶縁膜22で埋めて、全体を平坦化した後、下部電極31上に強誘電体層32を形成している。
【0014】
しかしながら、SrBi2Ta29(以下、SBTと称する場合がある)やPb(Zr,Ti)O3(以下、PZTと称する場合がある)といった高温酸素ガス雰囲気中で結晶化させる必要のある強誘電体材料を用いて、上記の台座型電極構造をスタック型キャパシタ構造に適用した場合、図6の(B)に示すように、強誘電体層32の高温酸素ガス雰囲気中での結晶化の際、絶縁膜22と下部電極31の間から酸素が侵入し、拡散バリア層20が酸化される。更には、拡散バリア層20の内部に侵入した酸素がコンタクトプラグ18Aに達し、コンタクトプラグ18Aが酸化され、選択用トランジスタと下部電極31との間の導通がとれなくなるという問題が生じる。尚、コンタクトプラグ18Aの酸化された部分を、参照番号18aで示す。
【0015】
そのため、例えば、SiNから成る酸化防止膜121を下部電極31及び拡散バリア層20の少なくとも側壁に配し、コンタクトプラグ18Aの酸化を防ぐ試みが行われている。
【0016】
具体的には、図7の(A)に模式的な一部断面図を示すように、層間絶縁層16上にパターニングされた下部電極31及び拡散バリア層20を形成した後、図7の(B)に示すように、全面にSiNから成る酸化防止膜121を形成する。次いで、プラズマ−TEOS法にてSiO2から成る第1の絶縁膜22Aを全面に形成し、更に、全面に高密度プラズマCVD法にてSiO2から成る第2の絶縁膜22Bを形成する(図8の(A)参照)。その後、第2の絶縁膜22B、第1の絶縁膜22Aをエッチバックし(図8の(B)参照)、更に、酸化防止膜121をエッチバックすることで、下部電極31の頂面を露出させる(図9参照)。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のエッチバック法においては、SiNから成る酸化防止膜121のエッチバックを、SiO2から成る第1の絶縁膜22A、第2の絶縁膜22Bに対してエッチング選択比が取れる条件にて行っている。具体的には、SiNのエッチング速度を1としたとき、SiO2のエッチング速度が5乃至10となるような条件にて、通常、エッチバックを行っている。しかも、面内ばらつきを考慮して、酸化防止膜121をオーバーエッチングしている。尚、酸化防止膜121のエッチバック時、露出した下部電極31の表面も若干、エッチングされる。
【0018】
一般に、SiO2及びSiNのドライエッチングにおいては、CF4、C48、CHF3といったエッチングガスを使用する。そして、被エッチング物に対するエッチングと、エッチング生成物(例えば、CFX)の被エッチング物への堆積を応用して、エッチングの制御を行っている。
【0019】
ところが、このようなエッチングの制御においては、酸化防止膜121をエッチングしたとき、エッチング生成物が露出した下部電極31の頂面に堆積し、下部電極31の表面のエッチング状態にばらつきが発生し、下部電極31の表面に凹凸が生成される。このように下部電極31の表面に凹凸が生成すると、後の工程で、下部電極31の頂面に強誘電体層32を構成する強誘電体材料を例えばスピンコート法にて成膜することが困難となる。また、下部電極31の頂面上のエッチング生成物が完全に除去されないと、キャパシタ部の特性劣化が生じる虞がある。
【0020】
更には、酸化防止膜121のオーバーエッチング時、層間絶縁層16の上方に位置する第2の絶縁膜22Bが過度にエッチングされ、層間絶縁層16の上方に位置する第2の絶縁膜22Bの膜厚が薄くなり、後の工程で、強誘電体層32の高温酸素ガス雰囲気中での結晶化の際、酸素が侵入し、拡散バリア層20、更には、コンタクトプラグ18Aが酸化されるといった問題が生じ易くなる。また、凹凸を有する下地上に強誘電体層を構成する強誘電体材料を成膜することになり、強誘電体材料を成膜することが困難となる場合がある。
【0021】
従って、本発明の目的は、台座型電極構造を有するスタック型キャパシタ構造を採用した強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造に際し、下部電極の頂面に凹凸が生成され難く、しかも、層間絶縁層の上方に位置する絶縁膜の膜厚が薄くなるといった問題の発生を回避し得る強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法は、
(A)半導体基板に、ゲート電極、チャネル領域及びソース/ドレイン領域から成る選択用トランジスタを形成する工程と、
(B)全面に層間絶縁層を形成する工程と、
(C)一方のソース/ドレイン領域の上方の層間絶縁層の部分にコンタクトプラグを形成する工程と、
(D)コンタクトプラグの頂面上から層間絶縁層上に亙り、下部電極を形成する工程と、
(E)コンタクトプラグの酸化防止のための酸化防止膜を、下部電極の全面及び層間絶縁層上に形成する工程と、
(F)酸化防止膜上に絶縁膜を形成する工程と、
(G)絶縁膜及び酸化防止膜をエッチングして、少なくとも下部電極の頂面を露出させ、層間絶縁層上に酸化防止膜及び絶縁膜を残す工程と、
(H)下部電極上に強誘電体層を形成する工程と、
(I)強誘電体層上に上部電極を形成する工程、
から成り、
工程(G)における絶縁膜のエッチング速度をER1、酸化防止膜のエッチング速度をER2としたとき、0.5≦ER2/ER1≦2、より好ましくは0.8≦ER2/ER1≦1.2を満足することを特徴とする。
【0023】
本発明の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法(以下、本発明の製造方法と呼ぶ)において、酸化防止膜は、下部電極及び酸化防止膜との密着性に優れた材料から成ることが望ましく、具体的には、Al23、ZrO2、HfO2、TiOX、TaOX、SiN、AlN及びIrNXから成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが好ましい。限定するものではないが、緻密な膜質を有する酸化防止膜を形成するために、酸化防止膜をECRスパッタリング法あるいはアトミック・レイヤー・デポジッション(ALD)法にて形成することが好ましい。
【0024】
絶縁膜をSiO2から構成することができる。但し、絶縁膜は、酸化シリコン(SiO2)に限定するものではなく、場合によっては、例えば、窒化シリコン(SiN)、SiONから構成することもできる。絶縁膜は1層構成であってもよいし、多層構成であってもよい。後者の場合、例えば、下層の絶縁膜(第1の絶縁膜)を例えば、プラズマ−TEOS法にて成膜し、上層の絶縁膜(第2の絶縁膜)を高密度プラズマCVD法(HDP−CVD法)にて成膜することが好ましい。また、工程(F)と工程(G)の間において、前記工程(H)における強誘電体層の形成(強誘電体材料の結晶化)と略同じ温度にて絶縁膜及び酸化防止膜に熱処理を施すことが、絶縁膜及び酸化防止膜による応力を緩和するといった観点から好ましい。
【0025】
本発明の製造方法においては、工程(C)の後、拡散バリア層を形成することが好ましい。拡散バリア層はコンタクトプラグの頂面のみに形成されていてもよいが、拡散バリア層はコンタクトプラグの頂面から層間絶縁層上に亙って形成されており、拡散バリア層と下部電極とは略同一の平面形状を有し、下部電極及び拡散バリア層の側壁は酸化防止膜で被覆されている構成とすることが好ましい。即ち、拡散バリア層がコンタクトプラグの頂面のみに形成されている場合、拡散バリア層は下部電極で覆われており、拡散バリア層の平面形状と下部電極の平面形状とは異なり、下部電極の側壁が酸化防止膜で被覆されている。一方、拡散バリア層がコンタクトプラグの頂面から層間絶縁層上に亙って形成されている場合、拡散バリア層は下部電極で覆われている場合もあるし(この場合、拡散バリア層の平面形状と下部電極の平面形状とは異なり、下部電極の側壁が酸化防止膜で被覆されている)、拡散バリア層の平面形状と下部電極の平面形状とが略一致し、下部電極及び拡散バリア層の側壁は酸化防止膜で被覆されている場合もある。
【0026】
尚、パターニングされた拡散バリア層を形成した後、拡散バリア層上にパターニングされた下部電極を形成してもよいし、拡散バリア層を形成した後、拡散バリア層上に下部電極を形成し、次いで、下部電極及び拡散バリア層をパターニングしてもよい。
【0027】
拡散バリア層を構成する材料として、TiN、TaN、TiAlNを例示することができる。
【0028】
本発明の製造方法においては、前記工程(D)と工程(E)の間において、前記工程(H)における強誘電体層の形成と略同じ温度にて下部電極(場合によっては、加えて拡散バリア層)に熱処理を施すことが、下部電極(場合によっては、加えて拡散バリア層)による応力を緩和するといった観点から好ましい。
【0029】
本発明の製造方法において、下部電極は、酸素拡散防止能を有する導電性材料から成ることが好ましく、具体的には、Ir、Ru、Rh、Pd、Ptから成る群より選ばれた少なくとも1種の貴金属、又は、その化合物、あるいは、これらの貴金属若しくは化合物の積層構造から成ることが好ましい。上部電極も、Ir、Ru、Rh、Pd、Ptから成る群より選ばれた少なくとも1種の貴金属、又は、その化合物、あるいは、これらの貴金属若しくは化合物の積層構造から成ることが好ましい。下部電極あるいは上部電極を構成する材料として、より具体的には、例えば、Ir、IrO2-X、IrO2-X/Ir、SrIrO3、Ir/Ir−Hf、Ru、RuO2-X、SrRuO3、Pt、Pt/IrO2-X、Pt/RuO2-X、Pd、Pt/Tiの積層構造、Pt/Taの積層構造、Pt/Ti/Taの積層構造、La0.5Sr0.5CoO3(LSCO)、Pt/LSCOの積層構造、YBa2Cu37を挙げることができる。ここで、Xの値は、0≦X<2である。尚、積層構造においては、「/」の前に記載された材料が強誘電体層と接する。下部電極と上部電極とは、同じ材料から構成されていてもよいし、同種の材料から構成されていてもよいし、異種の材料から構成されていてもよい。下部電極あるいは上部電極を形成するためには、下部電極を構成する導電材料層あるいは上部電極を構成する導電材料層を形成した後の工程において、導電材料層をパターニングすればよい。導電材料層の形成は、例えばスパッタリング法、反応性スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、MOCVD法、あるいはパルスレーザアブレーション法といった導電材料層を構成する材料に適した方法にて適宜行うことができる。また、導電材料層のパターニングは、例えばイオンミーリング法やRIE法にて行うことができる。
【0030】
本発明の製造方法における強誘電体層を構成する材料として、ビスマス層状化合物、より具体的には、Bi系層状構造ペロブスカイト型の強誘電体材料を挙げることができる。Bi系層状構造ペロブスカイト型の強誘電体材料は、所謂不定比化合物に属し、金属元素、アニオン(O等)元素の両サイトにおける組成ずれに対する寛容性がある。また、化学量論的組成からやや外れたところで最適な電気的特性を示すことも珍しくない。Bi系層状構造ペロブスカイト型の強誘電体材料は、例えば、一般式(Bi222+(Am-1m3m+12-で表すことができる。ここで、「A」は、Bi、Pb、Ba、Sr、Ca、Na、K、Cd等の金属から構成された群から選択された1種類の金属を表し、「B」は、Ti、Nb、Ta、W、Mo、Fe、Co、Crから成る群から選択された1種類、若しくは複数種の任意の比率による組み合わせを表す。また、mは1以上の整数である。
【0031】
あるいは又、強誘電体層を構成する材料は、
(BiX,Sr1-X2(SrY,Bi1-Y)(TaZ,Nb1-Z2d 式(1)
(但し、0.9≦X≦1.0、0.7≦Y≦1.0、0≦Z≦1.0、8.7≦d≦9.3)で表される結晶相を主たる結晶相として含んでいることが好ましい。あるいは又、強誘電体層を構成する材料は、
BiXSrYTa2d 式(2)
(但し、X+Y=3、0.7≦Y≦1.3、8.7≦d≦9.3)で表される結晶相を主たる結晶相として含んでいることが好ましい。これらの場合、式(1)若しくは式(2)で表される結晶相を主たる結晶相として85%以上含んでいることが一層好ましい。尚、式(1)中、(BiX,Sr1-X)の意味は、結晶構造における本来Biが占めるサイトをSrが占め、このときのBiとSrの割合がX:(1−X)であることを意味する。また、(SrY,Bi1-Y)の意味は、結晶構造における本来Srが占めるサイトをBiが占め、このときのSrとBiの割合がY:(1−Y)であることを意味する。式(1)若しくは式(2)で表される結晶相を主たる結晶相として含む強誘電体層を構成する材料には、Biの酸化物、TaやNbの酸化物、Bi、TaやNbの複合酸化物が若干含まれている場合もあり得る。
【0032】
あるいは又、強誘電体層を構成する材料は、
BiX(Sr,Ca,Ba)Y(TaZ,Nb1-Z2d 式(3)
(但し、1.7≦X≦2.5、0.6≦Y≦1.2、0≦Z≦1.0、8.0≦d≦10.0)で表される結晶相を含んでいてもよい。尚、「(Sr,Ca,Ba)」は、Sr、Ca及びBaから構成された群から選択された1種類の元素を意味する。これらの各式で表される強誘電体層を構成する材料の組成を化学量論的組成で表せば、例えば、例えば、Bi2SrTa29(タンタル酸ストロンチウムビスマス)、Bi2SrNb29(ニオブ酸ストロンチウムビスマス)、Bi2BaTa29(タンタル酸バリウムビスマス)、Bi2BaNb29(ニオブ酸バリウムビスマス)、Bi2Sr(Ta,Nb)29(ニオブ酸タンタル酸ストロンチウムビスマス)等を挙げることができる。あるいは又、強誘電体材料として、Bi4SrTi415(チタン酸ストロンチウムビスマス)、Bi3TiNbO9(ニオブ酸ビスマスチタン)、Bi3TiTaO9(タンタル酸ビスマスチタン)、Bi4Ti312(チタン酸ビスマス)、(Bi,La)4Ti312(チタン酸ランタンビスマス)、Bi2PbTa29(タンタル酸ビスマス鉛)等を例示することができるが、これらの場合においても、各金属元素の比率は、結晶構造が変化しない程度に変化させ得る。即ち、金属元素及び酸素元素の両サイトにおける組成ずれがあってもよい。
【0033】
あるいは又、強誘電体材料として、PbTiO3(チタン酸鉛)、BaTiO3(チタン酸バリウム)、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)、LiTaO3(タンタル酸リチウム)、YMnO3(マンガン酸イットリウム)、ペロブスカイト型構造を有するPbZrO3とPbTiO3の固溶体であるチタン酸ジルコン酸鉛[PZT,Pb(Zr1-y,Tiy)O3(但し、0<y<1)]、PZTにLaを添加した金属酸化物であるPLZT[(Pb,La)(Zr,Ti)O3(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛)]、あるいはPZTにNbを添加した金属酸化物であるPNZT、PZTにストロンチウム(Sr)を添加した金属酸化物であるPSZT[(Pb,Sr)(ZrX,TiY)O3]、これらの混合物を挙げることができる。
【0034】
以上に説明した強誘電体層を構成する材料において、これらの組成を化学量論的組成から外すことによって、結晶化温度を変化させることが可能である。
【0035】
強誘電体層を得るためには、強誘電体薄膜を形成した後の工程において、強誘電体薄膜をパターニングすればよい。場合によっては、強誘電体薄膜のパターニングは不要である。強誘電体薄膜の形成は、例えば、MOCVD法、ビスマス−酸素結合を有するビスマス有機金属化合物(ビスマスアルコキシド化合物)を原料としたMOD(Metal Organic Decomposition)法、LSMCD(Liquid Source Mist Chemical Deposition)法、パルスレーザアブレーション法、スパッタリング法、ゾル−ゲル法といった強誘電体薄膜を構成する材料に適した方法にて適宜行うことができる。また、強誘電体薄膜のパターニングは、例えば異方性イオンエッチング(RIE)法にて行うことができる。
【0036】
選択用トランジスタは、例えば、周知のMIS型FETやMOS型FETから構成することができる。選択用トランジスタと下部電極との接続のためのコンタクトプラグは、層間絶縁層に形成された開口部に、例えば、タングステンや不純物をドーピングされたポリシリコンを埋め込むことによって形成することができる。層間絶縁層は、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、SiON、SOG、NSG、BPSG、PSG、BSGあるいはLTOから構成することができる。
【0037】
本発明においては、絶縁膜及び酸化防止膜をエッチングする工程(G)において、絶縁膜のエッチング速度をER1、酸化防止膜のエッチング速度をER2としたとき、0.5≦ER2/ER1≦2を満足するようにエッチング条件を選定して、エッチングを行う。その結果、露出した下部電極の頂面に凹凸が生成することを確実に抑制することができるし、酸化防止膜をオーバーエッチングしたとき、層間絶縁層の上方に位置する絶縁膜が過度にエッチングされることを防止し得る。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、発明の実施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発明を説明する。
【0039】
(実施の形態1)
実施の形態1は、本発明の強誘電体型不揮発性半導体メモリ(以下、不揮発性メモリと略称する)の製造方法に関する。
【0040】
実施の形態1の不揮発性メモリは、模式的な一部断面図を図4の(B)に示すように、選択用トランジスタTR、層間絶縁層16、コンタクトプラグ18A、下部電極31、強誘電体層32、上部電極33から構成されている。ここで、選択用トランジスタTRはシリコン半導体基板から成る半導体基板10に形成されており、SiO2から成る層間絶縁層16は選択用トランジスタTRを含む全面を覆っている。また、タングステンから構成されたコンタクトプラグ18Aは、層間絶縁層16に形成された開口部17A内に設けられ、選択用トランジスタTRの一方のソース/ドレイン領域15Aに接続されている。TiNから成る拡散バリア層20が、少なくともコンタクトプラグ18Aの頂面に、より具体的には、コンタクトプラグ18Aの頂面から層間絶縁層16上に亙って形成されており、しかも、パターニングされている。更には、酸素拡散防止能を有する導電性材料(より具体的にはIr/Ir−Hf)から成る下部電極31は、拡散バリア層20上に形成され、しかも、拡散バリア層20と略同形にパターニングされている。SBTから成る強誘電体層32は下部電極31上に形成されており、白金(Pt)から成る上部電極33は強誘電体層32上に形成されている。
【0041】
そして、下部電極31及び拡散バリア層20の側壁はAl23から成る酸化防止膜21で被覆されており、この酸化防止膜21は層間絶縁層16上を延在している。また、下部電極31が形成されていない層間絶縁層16の部分には、絶縁膜22(下層に位置する第1の絶縁膜22A及び上層に位置する第2の絶縁膜22Bの積層構造を有する)が形成されている。
【0042】
以下、半導体基板等の模式的な一部断面図である図1の(A)、(B)、図2の(A)、(B)、図3の(A)、(B)、及び、図4の(A)、(B)を参照して、実施の形態1の不揮発性メモリの製造方法を説明する。
【0043】
[工程−100]
先ず、選択用トランジスタTRとして機能するMOS型トランジスタをシリコン半導体基板から成る半導体基板10に形成する。そのために、例えばLOCOS構造を有する素子分離領域11を公知の方法に基づき形成する。尚、素子分離領域は、トレンチ構造を有していてもよいし、LOCOS構造とトレンチ構造の組合せとしてもよい。その後、半導体基板10の表面を例えばパイロジェニック法により酸化し、ゲート絶縁膜12を形成する。次いで、不純物がドーピングされたポリシリコン層をCVD法にて全面に形成した後、ポリシリコン層をパターニングし、ゲート電極13を形成する。このゲート電極13はワード線WLを兼ねている。尚、ゲート電極13をポリシリコン層から構成する代わりに、ポリサイドや金属シリサイドから構成することもできる。次に、半導体基板10にイオン注入を行い、LDD構造を形成する。その後、全面にCVD法にてSiO2層を形成した後、このSiO2層をエッチバックすることによって、ゲート電極13の側面にゲートサイドウオール14を形成する。次いで、半導体基板10にイオン注入を施した後、イオン注入された不純物の活性化アニール処理を行うことによって、ソース/ドレイン領域15A,15Bを形成する。
【0044】
[工程−110]
次いで、全面にSiO2から成る下層層間絶縁層をCVD法にて形成した後、化学的/機械的研磨法(CMP法)にて下層層間絶縁層を研磨する。その後、ソース/ドレイン領域15Bの上方の下層層間絶縁層にリソグラフィ技術及びRIE法に基づき開口部を形成し、次いで、開口部内を含む下層層間絶縁層上に、不純物がドーピングされたポリシリコン層をCVD法にて形成する。次いで、下層層間絶縁層上のポリシリコン層をパターニングすることで、下層層間絶縁層上にビット線BLを形成することができる。ビット線BLとソース/ドレイン領域15Bとは、下層層間絶縁層に形成された接続孔18Bを介して接続されている。その後、BPSGから成る上層層間絶縁層をCVD法にて全面に形成する。尚、BPSGから成る上層層間絶縁層の形成後、窒素ガス雰囲気中で例えば900゜C×20分間、上層層間絶縁層をリフローさせることが好ましい。更には、必要に応じて、例えばCMP法にて上層層間絶縁層の頂面を化学的及び機械的に研磨し、上層層間絶縁層を平坦化したり、レジストエッチバック法によって上層層間絶縁層を平坦化することが望ましい。尚、下層層間絶縁層と上層層間絶縁層を纏めて、以下、単に層間絶縁層16と呼ぶ。
【0045】
[工程−120]
その後、ソース/ドレイン領域15A,15Bの上方の層間絶縁層16に開口部17AをRIE法にて形成した後、選択用トランジスタTRの一方のソース/ドレイン領域15Aに接続されたコンタクトプラグ18Aを開口部17A内に形成する。コンタクトプラグ18Aの頂面は層間絶縁層16の表面と略同じ平面に存在している。タングステンにて開口部17Aを埋め込み、コンタクトプラグ18Aを形成する条件を、以下の表1に例示する。尚、タングステンにて開口部17Aを埋め込む前に、Ti層及びTiN層を順に例えばマグネトロンスパッタリング法にて開口部17A内を含む層間絶縁層16の上に形成することが好ましい。ここで、Ti層及びTiN層を形成する理由は、オーミックな低コンタクト抵抗を得ること、ブランケットタングステンCVD法における半導体基板10の損傷発生の防止、タングステンの密着性向上のためである。図面においては、Ti層及びTiN層の図示は省略している。層間絶縁層16上のタングステン層、TiN層、Ti層は、化学的/機械的研磨法(CMP法)にて除去してもよい。また、タングステンの代わりに、不純物がドーピングされたポリシリコンを用いることもできる。
【0046】
[表1]
Ti層(厚さ:5nm)のスパッタリング条件
プロセスガス:Ar=35sccm
圧力 :0.52Pa
RFパワー :2kW
基板の加熱 :無し
TiN層(厚さ:50nm)のスパッタリング条件
プロセスガス:N2/Ar=100/35sccm
圧力 :1.0Pa
RFパワー :6kW
基板の加熱 :無し
タングステンのCVD形成条件
使用ガス:WF6/H2/Ar=40/400/2250sccm
圧力 :10.7kPa
形成温度:450゜C
タングステン層及びTiN層、Ti層のエッチング条件
第1段階のエッチング:タングステン層のエッチング
使用ガス :SF6/Ar/He=110:90:5sccm
圧力 :46Pa
RFパワー:275W
第2段階のエッチング:TiN層/Ti層のエッチング
使用ガス :Ar/Cl2=75/5sccm
圧力 :6.5Pa
RFパワー:250W
【0047】
[工程−130]
次に、少なくともコンタクトプラグ18Aの頂面に、より具体的には、コンタクトプラグ18Aの頂面から層間絶縁層16上に亙って、TiNから成り、パターニングされた拡散バリア層20と、パターニングされた下部電極31との積層構造を形成する。
【0048】
拡散バリア層20の形成方法として、例えば、DCマグネトロンスパッタリング法に基づき全面に厚さ30nmのTi層を成膜した後、RTA(Rapid Thermal Annealing)法によって750゜Cの窒素ガス雰囲気中で30秒間、このTi層に対して熱処理を施し、Ti層を窒化してTiN層とする方法を挙げることができるが、このような方法に限定するものではない。即ち、TiN層を、例えば反応性スパッタリング法やCVD法等によって成膜してもよい。更には、拡散バリア層20を構成する材料もTiNに限られず、TaNやTiAlN等、強誘電体層32を形成する温度での相互拡散バリア効果を有する材料であればよい。
【0049】
また、下部電極31の形成方法として、Hfを15atom%添加したIr−Hf膜を20nm、その上にIr膜を230nm、それぞれDCマグネトロンスパッタリング法によって形成する方法を例示することができる。尚、Ir−Hf膜は密着層として機能する。図面においては、下部電極31を1層で表した。
【0050】
次いで、下部電極31及び拡散バリア層20の緻密化と応力緩和のために、700゜Cの窒素ガス雰囲気中で30分の熱処理を施すことが好ましい。尚、この温度は、後述する強誘電体層32の形成(結晶化)と同じ温度である。
【0051】
その後、リソグラフィ技術あるいはハードマスク技術及びドライエッチング技術に基づき、下部電極31及び拡散バリア層20をパターニンする。下部電極31と拡散バリア層20とは、略同じ平面形状を有する。こうして、図1の(A)に示す構造を得ることができる。
【0052】
[工程−140]
次に、コンタクトプラグ18Aの酸化防止のための酸化防止膜21を、下部電極31の全面及び層間絶縁層16上に形成する。具体的には、ECRスパッタリング法により厚さ30nmのAl23から成る酸化防止膜21を全面に形成する(図1の(B)参照)。こうして、下部電極31及び拡散バリア層20の側壁を酸化防止膜21で被覆し、且つ、酸化防止膜21を層間絶縁層16上を延在させる。尚、この酸化防止膜21は、熱的に安定で、しかも、下部電極31を構成する材料と密着性の良い他の材料を用いてもよく、また、成膜方法もECRスパッタリング法に限らず、緻密な膜を形成する方法であればよく、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法を採用することもできる。
【0053】
[工程−150]
次いで、酸化防止膜21上に絶縁膜22を形成する。具体的には、先ず、厚さ50nmのSiO2から成る第1の絶縁膜22Aをプラズマ−TEOS CVD法にて成膜し、その後、高密度プラズマCVD法(HDP−CVD法)にて厚さ約0.6μmのSiO2から成る第2の絶縁膜22Bを形成する(図2の(A)参照)。
【0054】
次に、絶縁膜22及び酸化防止膜21の緻密化と応力緩和のために、700゜Cの窒素ガス雰囲気中で30分の熱処理を施すことが好ましい。尚、この温度は、後述する強誘電体層32の形成(結晶化)と同じ温度である。
【0055】
[工程−160]
その後、絶縁膜22及び酸化防止膜21をエッチングして、少なくとも下部電極31の頂面を露出させ、層間絶縁層16上に酸化防止膜21及び絶縁膜22(第1の絶縁膜22A及び第2の絶縁膜22B)を残すが、その前に、先ず、第2の絶縁膜22Bを化学的機械的研磨法(CMP法)にて約180nmだけ研磨し、次いで、下部電極31の上方の第2の絶縁膜22Bの厚さが約15nmとなるように、第2の絶縁膜22Bを、以下の表2に例示する条件にてエッチバック(エッチング)する(図2の(B)参照)。これらの第2の絶縁膜22BのCMP法による研磨、及びエッチバックは必須ではないが、次に、絶縁膜22及び酸化防止膜21をエッチングする際の面内ばらつきを抑えるために、第2の絶縁膜22BのCMP法による研磨及びエッチバックを実行することが好ましい。
【0056】
[表2]
使用エッチングガス:CHF3/He=15/100sccm
圧力 :1.3Pa(10mTorr)
パワー :130W
エッチング時間 :60秒
【0057】
次いで、以下の表3に例示する条件にて、絶縁膜22(第2の絶縁膜22B及び第1の絶縁膜22A)並びに酸化防止膜21をエッチングして、少なくとも下部電極31の頂面を、より具体的には、下部電極31の頂面及び側壁上部を露出させ、且つ、層間絶縁層16上に酸化防止膜21及び絶縁膜22(第2の絶縁膜22B及び第1の絶縁膜22A)を残す。第2の絶縁膜22B及び第1の絶縁膜22Aがエッチング(エッチバック)されて下部電極31の頂面上の酸化防止膜21が露出した状態を図3の(A)に示し、第2の絶縁膜22B、第1の絶縁膜22A及び酸化防止膜21がエッチング(エッチバック)されて下部電極31の頂面が露出した状態を図3の(B)に示し、第2の絶縁膜22B及び酸化防止膜21がオーバーエッチングされて下部電極31の頂面及び側壁上部が露出した状態を図4の(A)に示す。こうして、台座型電極構造を得ることができる。ここで、層間絶縁層16の上方の第2の絶縁膜22Bの平均厚さは100nmであり、下部電極31及び拡散バリア層20の側壁を覆う酸化防止膜21の高さは約200nmである。層間絶縁層16の上方には十分なる膜厚を有する第2の絶縁膜22Bが残される。尚、図3の(B)に示す状態を得るためのエッチング時間は60秒である。下部電極31及び拡散バリア層20の側壁を覆う酸化防止膜21の頂部は、下部電極31の頂部よりも、10nm乃至50nm程度低いところに位置することが好ましい。
【0058】
[表3]
使用エッチングガス:Cl2/BCl3=25/75sccm
圧力 :1.3Pa(10mTorr)
バイアスパワー :100W
エッチング時間 :90秒
【0059】
尚、表3に例示した条件にあっては、絶縁膜22のエッチング速度をER1(第1の絶縁膜22Aのエッチング速度をER11、第2の絶縁膜22Bのエッチング速度をER12)、酸化防止膜21のエッチング速度をER2としたとき、ER1≒ER2(より具体的には、ER11≒ER12≒ER2)である。ここで、エッチング速度とは、半導体基板に垂直な方向のエッチング速度を意味する。
【0060】
このようなER11≒ER12≒ER2となるエッチング条件は、エッチング条件を種々変えて試験エッチングを行うことで得ることができる。
【0061】
エッチングガスであるCl2/BCl3の割合を変化させ、第1の絶縁膜22A、酸化防止膜21をエッチング(エッチバック)したときの第1の絶縁膜22Aのエッチング速度ER11、酸化防止膜21のエッチング速度ER2の値を、以下の表4に示。尚、表4においては、酸化防止膜21のエッチング速度ER2を基準として、第1の絶縁膜22Aのエッチング速度ER11を正規化している。ここで、基板温度を30゜Cとした。
【0062】
[表4]
Cl2/BCl3 圧力(Pa) バイアスパワー(W) ER11/ER2
50/50 1.3 100 1.17
50/50 1.3 150 1.30
50/50 0.7 100 1.09
25/75 1.3 100 1.10
【0063】
また、O3−TEOS CVD法にて形成されたSiO2膜、SOG膜、酸化防止膜としてのプラズマCVD法にて形成されたSiN膜を、表5及び表7に示す条件でエッチングしたときの各膜のエッチング速度を表6及び表8に示す。尚、SiN膜のエッチング速度を基準として、SiO2膜及びSOG膜のエッチング速度を正規化している。表6及び表8から、エッチング条件を最適化することによって、ER11≒ER12≒ER2を得ることができることが判る。
【0064】
[表5]
使用エッチングガス:CHF3/He=15/100sccm
圧力 :1.3Pa(10mTorr)
バイアスパワー :130W
【0065】
[表6]
SiO2膜のエッチング速度:0.65
SOG膜のエッチング速度 :1.00
【0066】
[表7]
使用エッチングガス:CHF3=100sccm
圧力 :1.3Pa(10mTorr)
バイアスパワー :130W
【0067】
[表8]
SiO2膜のエッチング速度:1.05
SOG膜のエッチング速度 :1.04
【0068】
[工程−170]
次いで、厚さ120nmのSBTから成る強誘電体層32をゾル−ゲル法にて形成する。具体的には、SBT前駆体溶液をスピン・オン法により塗布し、結晶化のために700゜Cの酸素ガス雰囲気中で熱処理を30分間行うという工程を3回繰り返すことで、強誘電体層32を得ることができる。
【0069】
[工程−180]
次に、全面に、DCマグネトロンスパッタリング法により厚さ100nmのPtから成る上部電極33を成膜する。そして、上部電極33、強誘電体層32を、順次、2段階のリソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきパターニングする。尚、ハードマスク等を用いて、上部電極33及び強誘電体層32を一括してエッチングしてもよい。その後、パターニングによる強誘電体層32の特性劣化を回復するため、酸素ガス雰囲気中で700゜C、30分の熱処理を行うことが好ましい。
【0070】
[工程−190]
その後、厚さ約0.3μmのSiO2から成る絶縁層34をプラズマ−TEOS CVD法にて全面に形成し、次いで、上部電極33の上方の絶縁層34に、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき開口部を形成する。そして、開口部内を含む絶縁層34上に、配線層として、TiN(厚さ20nm)/Ti(厚さ20nm)の積層膜(図示せず)を、更に、その上に、Siを1atom%添加した厚さ約0.6μmのAl−Si層を、それぞれDCマグネトロンスパッタリング法により形成する。最後に、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき配線層をパターニングして、上部電極33に接続されたプレート線PLを得ることができる。こうして、図4の(B)に示す不揮発性メモリを得ることができる。その後、全面にパッシベーション膜(図示せず)を形成して、不揮発性メモリを完成させる。
【0071】
例えば、MOD法やMOCVD法によって、Bi系層状構造ペロブスカイト型の強誘電体材料から成る強誘電体層32を形成してもよい。例えば、SrBi2Ta29から成る強誘電体層32のMOCVD法に基づく形成条件を以下の表9に例示する。尚、表9中、「thd」は、テトラメチルヘプタンジネートの略である。また、表9に示したソース原料はテトラヒドロフラン(THF)を主成分とする溶媒中に溶解されている。
【0072】
Figure 0004402875
【0073】
あるいは又、SrBi2Ta29から成る強誘電体層32をパルスレーザアブレーション法、上述のようにゾル−ゲル法、あるいはRFスパッタリング法にて全面に形成することもできる。これらの場合の形成条件を、それぞれ、以下の表10、表11、表12に例示する。尚、ゾル−ゲル法によって厚い強誘電体層32を形成する場合、所望の回数、スピンコート及び乾燥、あるいはスピンコート及び焼成(又は、アニール処理)を繰り返せばよい。
【0074】
[表10]
パルスレーザアブレーション法による形成
ターゲット:SrBi2Ta29
使用レーザ:KrFエキシマレーザ(波長248nm、パルス幅25n秒、5Hz)
形成温度 :400〜800゜C
酸素濃度 :3Pa
【0075】
Figure 0004402875
【0076】
[表12]
RFスパッタリング法による形成
ターゲット:SrBi2Ta29セラミックターゲット
RFパワー:1.2W〜2.0W/ターゲット1cm2
雰囲気圧力:0.2〜1.3Pa
形成温度 :室温〜600゜C
プロセスガス:Ar/O2の流量比=2/1〜9/1
【0077】
強誘電体層を、PZTあるいはPLZTから構成するときの、マグネトロンスパッタリング法によるPZTあるいはPLZTの形成条件を以下の表13に例示する。あるいは又、PZTやPLZTを、反応性スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、ゾル−ゲル法、又は、MOCVD法にて形成することもできる。
【0078】
[表13]
ターゲット :PZTあるいはPLZT
プロセスガス:Ar/O2=90体積%/10体積%
圧力 :4Pa
パワー :50W
形成温度 :500゜C
【0079】
更には、PZTやPLZTをパルスレーザアブレーション法にて形成することもできる。この場合の形成条件を以下の表14に例示する。
【0080】
[表14]
ターゲット:PZT又はPLZT
使用レーザ:KrFエキシマレーザ(波長248nm、パルス幅25n秒、3Hz)
出力エネルギー:400mJ(1.1J/cm2
形成温度 :550〜600゜C
酸素濃度 :40〜120Pa
【0081】
以上、本発明を、発明の実施の形態に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。発明の実施の形態にて説明した不揮発性メモリの構造、使用した材料、各種の形成条件等は例示であり、適宜変更することができる。例えば、場合によっては、プレート線の形成を省略し、上部電極がプレート線を兼ねる構成とすることができる。
【0082】
また、本発明においては、台座型電極構造を得るために、第2の絶縁膜22B、第1の絶縁膜22A、酸化防止膜21をエッチングしたが、2層以上の多層構造を有する被エッチング物において、エッチング後に露出した層の表面に凹凸が発生することを抑制するために、本発明を適用することができる。即ち、この場合、エッチングすべき第n層のエッチング速度をERnとし、エッチングすべき層のエッチング速度の平均値をERAVEとしたとき、0.5≦ERn/ERAVE≦2を満足すればよい。
【0083】
本発明における強誘電体層をBaTiO3(チタン酸バリウム)や、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)、(Ba,Sr)TiO3(チタン酸バリウムストロンチウム)等の高誘電体材料から成る高誘電体層と置き換えれば、本発明の製造方法をDRAMの製造方法に適用することが可能である。また、また、本発明の製造方法をDRAMの製造方法に適用することもできる。この場合に得られたDRAMにあっては、強誘電体層の分極を、分極反転の起きない付加電圧の範囲で利用する。即ち、外部電界による最大(飽和)分極Pmaxと外部電界が0の場合の残留分極Prとの差(Pmax−Pr)が、電源電圧に対して一定の関係(ほぼ比例する関係)を有する特性を利用する。強誘電体層の分極状態は、常に飽和分極(Pmax)と残留分極(Pr)の間にあり、反転しない。データはリフレッシュによって保持される。
【0084】
【発明の効果】
本発明にあっては、絶縁膜のエッチング速度と酸化防止膜のエッチング速度との割合を規定することによって、絶縁膜や酸化防止膜のエッチングに起因して下部電極や絶縁膜の表面に凹凸が生成することを確実に抑制することができる。従って、その後の工程において強誘電体層を形成するときに何ら問題が発生しない。しかも、層間絶縁層の上方に位置する絶縁膜の膜厚が薄くなるといった問題の発生を回避することができるので、強誘電体層の形成に有利であるし、コンタクトプラグが酸化され難い構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(A)及び(B)は、発明の実施の形態1の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法を説明するための半導体基板等の模式的な一部断面図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、図1の(B)に引き続き、発明の実施の形態1の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法を説明するための半導体基板等の模式的な一部断面図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、図2の(B)に引き続き、発明の実施の形態1の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法を説明するための半導体基板等の模式的な一部断面図である。
【図4】図4の(A)及び(B)は、図3の(B)に引き続き、発明の実施の形態1の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法を説明するための半導体基板等の模式的な一部断面図である。
【図5】図5の(A)は、強誘電体型不揮発性半導体メモリの等価回路図であり、図5の(B)は、強誘電体のP−Eヒステリシスループを模式的に示す図である。
【図6】図6の(A)は、従来の強誘電体型不揮発性半導体メモリの模式的な一部断面図であり、図6の(B)は、従来の強誘電体型不揮発性半導体メモリにおける問題点を説明するための強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造途中における模式的な一部断面図である。
【図7】図7の(A)及び(B)は、従来の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法を説明するための半導体基板等の模式的な一部断面図である。
【図8】図8の(A)及び(B)は、図7の(B)に引き続き、従来の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法を説明するための半導体基板等の模式的な一部断面図である。
【図9】図9は、図8の(B)に引き続き、従来の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法を説明するための半導体基板等の模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
10・・・シリコン半導体基板、11・・・素子分離領域、12・・・ゲート絶縁膜、13・・・ゲート電極、14・・・ゲートサイドウオール、15A,15B・・・ソース/ドレイン領域、16・・・層間絶縁層、17A・・・開口部、18A・・・コンタクトプラグ、18B・・・接続孔、20・・・拡散バリア層、21・・・酸化防止膜、22,22A,22B・・・絶縁膜、31・・・下部電極、32・・・強誘電体層、33・・・上部電極、34・・・絶縁層、BL・・・ビット線、PL・・・プレート線

Claims (6)

  1. (A)半導体基板に、ゲート電極、チャネル領域及びソース/ドレイン領域から成る選択用トランジスタを形成する工程と、
    (B)全面に層間絶縁層を形成する工程と、
    (C)一方のソース/ドレイン領域の上方の層間絶縁層の部分にコンタクトプラグを形成する工程と、
    (D)コンタクトプラグの頂面上から層間絶縁層上に亙り、下部電極を形成する工程と、
    (E)コンタクトプラグの酸化防止のための酸化防止膜を、下部電極の全面及び層間絶縁層上に形成する工程と、
    (F)酸化防止膜上に絶縁膜を形成する工程と、
    (G)絶縁膜及び酸化防止膜をエッチングして、少なくとも下部電極の頂面を露出させ、層間絶縁層上に酸化防止膜及び絶縁膜を残す工程と、
    (H)下部電極上に強誘電体層を形成する工程と、
    (I)強誘電体層上に上部電極を形成する工程、
    から成り、
    工程(G)における絶縁膜のエッチング速度をER1、酸化防止膜のエッチング速度をER2としたとき、0.5≦ER2/ER1≦2を満足し、
    工程(F)と工程(G)の間において、工程(H)における強誘電体層の形成時と同じ温度にて絶縁膜及び酸化防止膜に熱処理を施すことを特徴とする強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法。
  2. (A)半導体基板に、ゲート電極、チャネル領域及びソース/ドレイン領域から成る選択用トランジスタを形成する工程と、
    (B)全面に層間絶縁層を形成する工程と、
    (C)一方のソース/ドレイン領域の上方の層間絶縁層の部分にコンタクトプラグを形成する工程と、
    (D)コンタクトプラグの頂面上から層間絶縁層上に亙り、下部電極を形成する工程と、
    (E)コンタクトプラグの酸化防止のための酸化防止膜を、下部電極の全面及び層間絶縁層上に形成する工程と、
    (F)酸化防止膜上に絶縁膜を形成する工程と、
    (G)絶縁膜及び酸化防止膜をエッチングして、少なくとも下部電極の頂面を露出させ、層間絶縁層上に酸化防止膜及び絶縁膜を残す工程と、
    (H)下部電極上に強誘電体層を形成する工程と、
    (I)強誘電体層上に上部電極を形成する工程、
    から成り、
    工程(G)における絶縁膜のエッチング速度をER 1 、酸化防止膜のエッチング速度をER 2 としたとき、0.5≦ER 2 /ER 1 ≦2を満足し、
    工程(D)と工程(E)の間において、工程(H)における強誘電体層の形成時と同じ温度にて下部電極に熱処理を施すことを特徴とする強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法。
  3. 工程(F)と工程(G)の間において、工程(H)における強誘電体層の形成時と同じ温度にて絶縁膜及び酸化防止膜に熱処理を施すことを特徴とする請求項2に記載の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法。
  4. 工程(G)における絶縁膜のエッチング速度をER1、酸化防止膜のエッチング速度をER2としたとき、0.8≦ER2/ER1≦1.2を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法。
  5. 酸化防止膜は、Al23、ZrO2、HfO2、TiOX、TaOX、SiN及びAlNから成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法。
  6. 絶縁膜はSiO2から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の強誘電体型不揮発性半導体メモリの製造方法。
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