JP4402582B2 - 大型フォトマスク用ケース及びケース交換装置 - Google Patents

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Description

本発明は主として液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの製造工程において、露光用原版として使用される大型フォトマスク(以後、単に「マスク」とも記す。)を収納するためのマスク用ケース及びケースを交換する装置に関する。
大型フォトマスクは板厚10mm程度のガラス基板の表面に、クロム等の遮光性の薄膜にて微細なパターンを形成したものである。ディスプレイの大型化に伴い、その原版となる大型フォトマスクも1辺が1mを超えるサイズにまで大型化し、その重さも1枚のマスクで数10kgを示すものがあるなど重量化している。
大型フォトマスクは通常、フォトマスクメーカーの工場内(通常はクリーンルーム)で作製された後、ディスプレイパネルメーカーに出荷され、ディスプレイパネルメーカーの工場内(通常はクリーンルーム)で使用されている。マスクメーカーではマスクをクリーンな状態に保ちつつ、かつ破損しないように輸送するために、頑強でかつ密閉性の高い出荷専用のケースにマスクを入れて梱包し、出荷している。
半導体用フォトマスクの分野におけるマスク用ケースとしては、種々のマスク用ケースが用いられている(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかし、大型化、重量化したフラットパネルディスプレイ用の大型フォトマスクに適合したものではなかった。
従来、大型マスクのケースは、主にアクリル樹脂や塩化ビニル樹脂等の樹脂板を貼り合わせて作製されている。ケースの形状としては、図9に示すように、マスク91を垂直にしてケース本体92のマスク固定用溝94で保持して収納するマスク用ケース90と、図10に示すように、マスク101をトレー102のマスク支持体104で支えて水平に収納するマスク用ケース100が存在する。
出荷用のケースとしては、開口部が小さく、剛性の取りやすい、マスクを垂直に収納する型のマスク用ケースが主に用いられてきた。
マスクユーザーの工場内では、通常、マスクは出荷用ケースから、工程内でマスクを保管するためのケースや露光装置等にセットして装置内部の搬送機がマスクを取り出すための専用ケース(以降、内部工程用ケースと総称する)に入れ替えられて運用される。内部工程用ケースとしては、通常、人間や搬送装置がマスクを取り出しやすい、水平収納型のケースが用いられる。出荷用ケースから内部工程用ケースにマスクを移し換えるためには、従来、搬送ロボットや専用の冶具や人間が直接手でマスクを掴んで行っていた。
実開平3−81945号公報 特開平10−142773号公報 特開2003−264225号公報
しかしながら、ディスプレイサイズの大型化によるマスク重量の増大に伴い、従来使用されてきたマスク垂直収納型ケースでは、マスクの上部を掴んで引き上げ、取り出すことが非常に困難になってきた。一方、水平収納型ケースの場合、マスクの4辺が利用できるため把持しやすくはなるが、巨大で重いマスクを把持し、搬送することはやはり困難であった。更に大型フォトマスクは精密電子装置の原版となるため、高い清浄度を維持して作業を行う必要があり、作業は困難を極めた。また、水平収納型ケースでは、ケースの分割領域(開口部)が大きくなるため、構造上剛性が弱くなり、重量のあるマスクを安全に輸送するのに問題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、大型化、重量化する大型フォトマスクを高清浄度で把持し、保管時および運搬時に、マスクが損傷したり、汚染したりすることを防止し、マスクの出し入れが容易なマスク用ケース、及びケース交換装置を提供するものである。
請求項1の発明は、大型フォトマスクを収納し搬送するためのトレーと上蓋からなる大型フォトマスク用ケースであって、少なくとも前記ケースの上蓋に金属のフレームと、前記フォトマスクを把持し固定するために前記金属フレームから前記ケース内部に突き出た爪と、前記金属フレームから前記ケースの外側に突き出たハンドルと、を有し、前記トレーと前記上蓋を分離した状態で、前記上蓋の内側に前記フォトマスクを前記爪で固定し、前記上蓋の外側の前記ハンドルを人間あるいは搬送装置が把持して搬送できることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の大型フォトマスク用ケースにおいて、前記フォトマスクを把持し固定するための前記爪が、前記上蓋の外側からの爪固定用ネジによる開閉機構を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載の大型フォトマスク用ケースにおいて、前記フォトマスクを把持し固定するための前記爪が、エアシリンダーによる開閉機構を有することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の大型フォトマスク用ケースにおいて、前記上蓋の側面の下端が、前記フォトマスクの水平位置よりも下にあり、前記フォトマスクが把持された前記上蓋を前記トレーから分離して搬送する際に、前記上蓋が前記フォトマスクに対して防塵カバーの役割をすることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の大型フォトマスク用ケースのケース交換装置において、少なくとも前記ケースの上蓋の前記ハンドル部分を保持して前記上蓋を上下させる機構を有し、前記上蓋を前記トレーから持ち上げた状態で保持し、下にある前記トレーを交換することによりケースを移し換えることを特徴とする。
本発明のマスク用ケースを用いることにより、マスクユーザーは高清浄度が要求されるマスクに全く触れることなく、簡単に、出荷ケースから内部工程用ケースにマスクを移し換えることが可能となる。これにより、マスクユーザーでマスクハンドリングツールあるいはマスク搬送装置を準備する必要がなくなる。また、高価なマスクを汚染したり、破損したりする危険が少なくなる。さらに、本発明のケース交換装置を用いた場合は、安全確実にマスクを移し換えることが可能となる。
本発明のマスク用ケースは、基本的にはマスク水平収納型のケースの形態をもち、ケースの剛性を上げるために樹脂製のケースの外側に金属のフレームを配し、ケース上蓋の該金属フレームからケース内部に突き出たマスクを把持するための爪と、ケース上蓋の金属フレームからケースの外側に突き出たハンドルとを有するものである。工場間の輸送においては、上蓋の内側の爪でマスクをケースに頑強に固定してマスクを保護するケースとして機能するとともに、ユーザーの工場内では、マスクを上蓋に固定したままトレーを外し、上蓋の外側のハンドルを人間あるいは搬送装置が保持して搬送することにより、マスクハンドリングツールとしての機能を有するものである。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
(マスク用ケース)
図1は本発明のマスク用ケースの一例を示す外観図であり、図2はその透視図、図3は図1のA−A' 線における断面模式図である。ただし、図2、及び図3は、ケースを上下に分離した状態での透視図、断面図としてある。
本発明のマスク用ケース10は、トレー12と上蓋13とからなり、各々、マスクの清浄度を維持するためのカバーとなる樹脂板14と、剛性を持たせて、輸送中にマスクを衝撃から保護するための金属フレーム15から構成されている。止め金具17を外すことにより、ケース10はトレー12と上蓋13とに上下に分離される。図2、図3は、トレー12と上蓋13とを上下に分離した状態で示している。トレー12と上蓋13の勘合部にはゴム製のOリング(図示せず)が取り付けられ、組み合わせて上下から押し付け、止め金具17でクランプすることにより、ケース10は密閉される。上蓋13には、マスク11を把持、固定するための開閉動作が可能な爪18と、搬送するためのハンドル16が取り付けられている。
本発明において、樹脂板14の材料としては、従来用いられているアクリル樹脂や塩化ビニル樹脂等が用いられる。また、金属フレーム15、ハンドル16、止め金具17、爪18等の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等が用いられる。
図3に示されるように、マスク11を確実に保持し、マスク荷重をケース外側に伝えるために、マスク把持用の爪18はケース上面の樹脂板14を挟んで上蓋13の金属フレーム15に直接、取り付けられている。爪18は、マスク端面を把握し保持し易いように、マスクを保持する部分が凹部となっている。図1に示す例では、図2に示されるように、爪18は上蓋13の計6箇所に設けてある。
マスク荷重を支えるために、ハンドル16もまた上蓋13の金属フレーム15に直接、取り付けられている。このような構造により、トレー12を外した状態で、上蓋13の爪18でマスク11を把持、固定したまま、ハンドル16を人間あるいは搬送機が保持して、マスク11を安全確実に搬送することができる。
本発明のマスクケース10のトレー12の構造は、基本的には図10に示した水平収納型ケースと同様である。トレー12の内部には、マスク11のコーナーを載置することのできるマスク支持体19が四隅に設けられている。マスク支持体19にはマスクを位置決めするための凹みがある。当該凹み同士の間隔は巨大なマスクを容易に載置できるように、マスクサイズよりも5mm程度、大きく設計されている。
次に、マスクを保持する爪の開閉機構について説明する。以下の説明においては、同一の箇所を示す場合には、同じ符号を用ることとする。
<爪の開閉機構の第1の例>
図4は、マスク11を把持する爪18の開閉機構の第1の例を示す断面図であり、マスク11を把持する工程を順に図4(a)〜図4(b)に示す。図4(a)に示すように、通常、上蓋13に具備された爪18はスプリング41の力で、開いた状態にある。一方、収納するマスク11はトレー12のマスク支持体19上に載せられた状態にある。
次に、上蓋13をトレー12に載せてケースを閉じ、外側から爪固定用ネジ42を挿入し、ネジ42を締めることで、爪18は閉じられ、マスク11は固定される(図4(b))。
この状態で、上蓋13を持ち上げることにより、マスク11は爪18に保持され、マスク11を搬送することができる(図4(c))。
<爪の開閉機構の第2の例>
図5は、爪18の開閉機構の第2の例を示す断面図である。この場合、爪18の開閉は単動式のエアシリンダー51の動作により行う。この場合、爪18が通常閉じた状態の動作とする場合と、逆に、通常開いた状態の動作とする場合の2通りの方法があり、いずれかを用いることが可能である。
まず、第1の方法について説明する。この場合、通常、爪18は単動式エアシリンダー51の内部にあるバネの力により、閉じた状態にある。マスク11を収納する前に、予め上蓋13にエアーの供給ライン52を接続し、エアシリンダー51にエアーを供給して爪18を開状態にしておく。収納するマスク11をトレー12に載せ、ケースを閉じた後、エアーの供給ライン52を外し、エアシリンダー51内の空気を抜いて開放状態にすると、バネの力で爪18が閉じ、マスク11は固定される。爪18はスライドベアリング54により可動する。マスク11を外す場合は、再度、エアシリンダー51にエアーを供給し、爪18を開状態にして上蓋13を取り去る。
次に、第2の方法について説明する。この場合、エアシリンダーを逆の動作にするものである。この場合、通常状態で、爪18は単動式エアシリンダー51の内部にあるバネの力により、開いた状態にある。マスク11をトレー12に載せてケースを閉じた後、エアシリンダー51にエアーを供給し、爪18を閉じてマスク11を固定する。この状態で、エアー供給ライン52のバルブ53を閉じるとエアシリンダー51内の空気の圧力で爪18を閉じた状態で、マスク11を保持し、輸送することができる。エアシリンダー51のバルブ53を開き、圧力を開放すれば、爪18はバネの力で開き、マスク11を取り出すことができる。
本マスク用ケース10にマスク11を収納するためには、まず、搬送装置等を使用して、マスク11をトレー12に載せる。トレー12にはマスク支持体19以外には構造物がないため、各種のハンドリングエリアを有するマスク搬送装置を使用することが可能である。次に、上蓋13の爪18が開いた状態で、上蓋13を載せてケース10を閉じ、止め金具17によりケース10の上下を固定してトレー12と上蓋13の勘合部を密閉する。次に前述の手法にて、爪18を閉じてマスク11をクランプする。この状態でマスク11はケース10に頑強に固定されており、ケース10をこの向きで、あるいは90度回転させて立てた状態で、梱包し、工場間を輸送することが可能である。
(マスク用ケースの交換)
次に、本発明のマスク用ケース10から図6に示す内部工程用ケース60にマスクを入れ換える方法を、図7を使用して説明する。ユーザーの工場に到着後、開梱してマスク用ケース10を取り出し、クリーンルームに入れる。予め、内部工程用ケース60の上蓋63を外しておく。本発明のマスク用ケース10の止め金具を外し、トレー12を分離して、ハンドルを人間あるいは搬送装置が掴み、固定されたマスク11ごと上蓋13を持ち上げ、必要な場所に搬送する(図7(a))。次に、図7(b)に示すように、搬送したマスク11を上蓋13ごと内部工程用ケース60のトレー62に被せ、マスク11を内部工程用ケース60のトレー62のマスク支持体64の上に載せる。その後、ケース上蓋13の爪を開き、上蓋13を持ち上げて取り去り(図7(c))、内部工程用ケース60の上蓋63をして作業を完了する(図7(d))。一連の作業により、マスクユーザーはマスク11に全く触れることなしにマスク11を内部工程用ケース60に収納することができる。
(ケース交換装置)
また、マスクユーザーが出荷ケースから内部工程用ケースにマスクを移し換えるのに際し、図8に示すような、マスク用のケース交換装置80を用いることもできる。当該装置を用い、昇降機81のアーム82により、マスク用ケースの上蓋13のハンドル16部分をつかんでトレー12から持ち上げた状態で保持し、下にあるケースのトレーを交換する。図8では、ケース搬送台車83の上にトレー12が載置してある場合を示す。本発明のマスク用ケース交換装置80によれば、重量の大きなマスクも簡単に内部工程用ケースに移し変えることが可能である。また、本発明のマスク用ケースを用いて、直接、露光装置等のステージにマスクをセットすることも可能である。
上記のように、本発明のマスク用ケースを使用することにより、全く人間がマスクに触れることなく、また、別のマスクハンドリングツールや搬送装置を使用することなく、容易にマスクを内部工程用ケースや装置のステージに移し変えることを可能にするものである。
本発明のマスク用ケースの一例を示す外観図である。 図1に示す本発明のマスク用ケースの一例の透視図である。 図1に示す本発明の一例の断面図である。 本発明における爪の開閉機構の第1の例を説明するための工程断面図である。 本発明における爪の開閉機構の第2の例を説明するための断面図である。 内部工程用のマスク用ケースの断面図である。 本発明のマスク用ケースから図6の内部工程用ケースにマスクを入れ換える方法を示す工程断面図である。 本発明のマスク用ケース交換装置の断面模式図である。 従来の大型マスクの垂直収納型のマスク用ケースの透視図である。 従来の大型マスクの水平収納型のマスク用ケースの外観図であり、構成要素を分離して示してある。
符号の説明
10 マスク用ケース
11 マスク
12 トレー
13 上蓋
14 樹脂板
15 金属フレーム
16 ハンドル
17 止め金具
18 爪
19 マスク支持体
41 スプリング
42 爪固定用ネジ
51 エアシリンダー
52 エアー供給ライン
53 バルブ
54 スライドベアリング
60 内部工程用ケース
62 トレー
63 上蓋
64 マスク支持体
80 ケース交換装置
81 昇降機
82 アーム
83 ケース搬送台車
90、100 マスク用ケース
91、101 マスク
92、102 トレー(ケース本体)
93、103 上蓋
94 マスク固定用溝
104 マスク支持体
















Claims (5)

  1. 大型フォトマスクを収納し搬送するためのトレーと上蓋からなる大型フォトマスク用ケースであって、
    少なくとも前記ケースの上蓋に金属のフレームと、前記フォトマスクを把持し固定するために前記金属フレームから前記ケース内部に突き出た爪と、前記金属フレームから前記ケースの外側に突き出たハンドルと、を有し、
    前記トレーと前記上蓋を分離した状態で、前記上蓋の内側に前記フォトマスクを前記爪で固定し、前記上蓋の外側の前記ハンドルを人間あるいは搬送装置が把持して搬送できることを特徴とする大型フォトマスク用ケース。
  2. 前記フォトマスクを把持し固定するための前記爪が、前記上蓋の外側からの爪固定用ネジによる開閉機構を有することを特徴とする請求項1に記載の大型フォトマスク用ケース。
  3. 前記フォトマスクを把持し固定するための前記爪が、エアシリンダーによる開閉機構を有することを特徴とする請求項1に記載の大型フォトマスク用ケース。
  4. 前記上蓋の側面の下端が、前記フォトマスクの水平位置よりも下にあり、前記フォトマスクが把持された前記上蓋を前記トレーから分離して搬送する際に、前記上蓋が前記フォトマスクに対して防塵カバーの役割をすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の大型フォトマスク用ケース。
  5. 少なくとも前記ケースの上蓋の前記ハンドル部分を保持して前記上蓋を上下させる機構を有し、前記上蓋を前記トレーから持ち上げた状態で保持し、下にある前記トレーを交換することによりケースを移し換えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の大型フォトマスク用ケースのケース交換装置。



















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