JP4401848B2 - 薄肉プラスチックボトル - Google Patents
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Description
こうした軽量化詰替えボトルは一般にPET・PPなどの素材を2軸延伸成形法により成形し、リブ・ディンプル・微小平面などの立体構造を部分的ないし全体に適用することで剛性を高めている。また、その商品意匠(ラベル)は熱収縮フィルムを用いて成されることが一般的である。
これらのボトルは、成形後の空ボトルの保管や輸送、また液体の充填時や充填後の製品の輸送、保管、店頭陳列、更に消費者における使用の過程などでさまざまな外力を受けて復元不能に変形したり、また白化や亀裂を生じることがある。この変形や亀裂を防止するために、ボトルの製造時や充填時には、工程ラインにガードを設けて外力を排除したり、輸送時や店頭陳列時には強化された外箱に収容するなどの保護策が講じられている。
この種のボトルの形状面でも、例えば図2、3または図4に示すように、胴壁部にさまざまな形状の凹凸パターンを形成し、この凹凸パターンによって外力に対する緩衝性を強化しようとする試みが広く行われている。従来のボトルの胴壁部に形成される凹凸パターンは、大きく分類して次の二つの型、およびそれらの複合型に分けることができる。その一つの型は、典型例を図2に示すように、胴壁部21の少なくとも一部分を水平断面多角形の筒状に成形し、その平板部に凹凸パターン22を設け、口部23と底部24を有したボトル20(例えば以下の特許文献1、2等参照)、他の型は、典型例を図4に示すように、胴壁部31を巻回する環状または弧状のリブ32、32…を胴壁部31の上下方向に平行に複数本形成し、口部33と底部34を有したボトル30(例えば以下の特許文献3等参照)であり、複合型は、これらの二つのパターンまたはその変形が併設されたものである(例えば、以下の特許文献4、5参照)。
そこで本願出願人らは上記の課題を解決するために、外部からの変形応力に対する反発復元力を改善でき、かつ従来のボトルより更に軽量化が可能な薄肉プラスチックボトルを先に特許出願した。(特許文献6参照)
ところで、この種の薄肉プラスチックボトルの胴壁部に商品紹介、意匠性向上などのために熱収縮フィルムを巻き付けてラベル表示を施すと、ボトルの胴壁部に形成した凹凸や溝部などの部分よりも熱収縮性フィルムの収縮率がより大きいため、フィルムが溝や凹凸に食い込み、フィルムが溝や凹凸の形に添って変形し、溝や凹凸に沿った模様や線がフィルムに浮き出るなどの弊害を生じることがあり、意匠外観の低下は基より、前記フィルムの変形に起因して物流・販売上必要とされる流通用JANコード(バーコード)の読み取り不良にも繋がるおそれがあり、その製品価値を低下させるおそれを有していた。
なお、先に本願出願人が特許出願している特開平9−240647号公報(特許第3515848号)に開示されている薄肉プラスチックボトルにおいても製品として使用するためにはラベルを張り付ける必要があるが、この特許に係る構造の薄肉プラスチックボトルにおいても胴壁部に熱収縮性フィルムを巻き付けた場合に先の問題を解消する必要があるので、先の熱収縮フィルムと薄肉プラスチックボトルに関連して本発明者が鋭意研究した結果本発明に到達した。
本発明にあっては、胴壁部の少なくとも一部分が水平断面多角形の筒状に成形され、この部分に、胴壁部を環状に巻回する波線状の凹部からなる波形リブが胴壁部の上下方向に複数本形成され、それぞれの波形リブの山部または谷部のいずれか一方または双方が、胴壁部に形成された稜線部と交差するように配設されてなり、前記上下方向に隣接する複数の波形リブが、上方の波形リブの谷部どうしを結ぶ線と、下方の波形リブの山部どうしを結ぶ線との間に間隙を形成するように離間して配設されるとともに、前記胴壁部の上下方向に隣接する複数の波形リブが互いの山部どうしおよび谷部どうしをそれぞれ対向するように並列させて、上下の波形リブの間にセグメントを設けてなり、前記胴壁部の外周面に熱収縮性フィルムが被覆されてなり、前記凹部からなる波形リブの幅が胴壁部よりも稜線部において狭くされてなることを特徴とする。
本発明は、前記熱収縮性フィルムが前記胴壁部の面の両側の稜線部を支持部として稜線部間に張設されてなることを特徴とする。
本発明は、前記セグメントが前記胴壁部の稜線により複数に区画されるとともに、前記稜線が断面丸められてなり、前記セグメントが前記波形リブと前記稜線によって連結されてなることを特徴とする。
本発明において前記熱収縮性フィルムが前記胴壁部の面の両側の稜線部を支持部として稜線部間に張設されてなることを特徴とするものでも良い。
また、胴壁部を内方向に向けられた凹曲面とし、胴壁部の稜線部を凹曲面の両縁部とすることで、凹曲面側に位置する幅の広い波形リブがフィルムに接触することがなく、波形リブにフィルムが押し付けられることを防止でき、フィルムに波形リブに起因する凹凸模様や線などの変形部分を生じることはない。
更に、胴壁部の面の両側の稜線部を支持部としてフィルムを稜線部間に張設することで胴壁部とフィルムとの密着や接触を確実に防止できるので、フィルムに波形リブに起因する凹凸や線などの変形部分を生じることはない。
しかも、リブが波形であることで、歪の力線がリブを直角に折り曲げる方向に働かず、捻る方向に働くためにリブが折れ難い。更に、水平断面多角形の胴壁部の稜線の反発力と波形リブの歪応力分散性とのバランスによって、長いストロークの繰り返し押圧に対しても歪を分散緩和でき、除力によって直ちに復元する反発復元力が得られるとともに、リブが折れ難いので、白化や亀裂を防止できる薄肉プラスチックボトルを提供できる。
次に本発明は、前記セグメントが前記胴壁部の稜線により複数に区画されるとともに、前記稜線が断面丸められてなり、前記セグメントが前記波形リブと前記稜線によって連結されてなるので、各セグメント自体の剛性が強く、胴壁部全体の変形が非セグメント化ボトルと同等であっても、前記連結部を介して各セグメントが弾性回復範囲内の歪内にあり、外力の除力とともに全体を即座に復元できるという効果がある。
図1(A)(B)(C)に示す本形態のボトルAは、平面視略円形の延伸ポリプロピレン製ボトルであり、正立した状態で上から順に、注口部1、肩部2、胴壁部3、および底部4が一体に成形されてなる。注口部1は内容物を注出する管体であって、その側面に図面では略したがキャップ取付ネジが形成され、肩部2は注口部1の基部から下方に向けてボトルの最大径まで断面円形に漸次拡径している。胴壁部3は、上下方向に延びる稜線部5、5…を有する断面正8角形の多角筒状に成形され、底部4はボトルの最大径から下方に向けて断面円形に漸次縮径するように成形され、その接地部は周辺から中央部に凹部10を形成している。
前記薄肉プラスチックボトルAの胴壁部3には図面では略したが、熱収縮フィルムFが巻き付けられる。このフィルムFはOPS(二軸延伸ポリスチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)などの熱収縮性樹脂からなり、表面に印刷などによって商品名の表示や絵柄、模様、あるいはバーコードなどの各種情報が印刷される。
しかも、リブが波形であることで、歪の力線がリブを直角に折り曲げる方向に働かず、捻る方向に働くためにリブが折れ難い。更に、水平断面多角形の胴壁部の稜線の反発力と波形リブの歪応力分散性とのバランスによって、長いストロークの繰り返し押圧に対しても歪を分散緩和でき、除力によって直ちに復元する反発復元力が得られるとともに、リブが折れ難いので、白化や亀裂を防止できる薄肉プラスチックボトルを提供できる。
次に薄肉プラスチックボトルAは、前記セグメント9aが前記胴壁部3の稜線部5により複数に区画されるとともに、前記稜線部5が断面丸められてなり、前記セグメント9aが前記波形リブ6と前記稜線部6によって連結されてなるので、各セグメント自体の剛性が強く、胴壁部3全体の変形が非セグメント化ボトルと同等であっても、前記連結部を介して各セグメント9aが弾性回復範囲内の歪内にあり、外力の除力とともに全体を即座に復元できるという効果がある。
それらの試料ボトルについて形状復元性評価とラベル外観評価を行った。評価基準は○印がリブ部2(幅狭部)においてフィルムに凹みが見られないもの、△印が凹みがやや目立つもの、×印が凹みが目立つものを示している。
また、これら3つの試料ボトルとは別に、以下の表1に示す各種の条件で各種の試料ボトルを作成し、それら試料ボトルの形状復元性評価とラベル外観評価を行った結果も表1に併せて示す。また、表1に示す形状復元性評価とは、評価者(20代女性)が内容物を充填していない空ボトルを周方向に把持し、親指と中指とでボトルを押し潰した後、直ちに把持力を開放した際の残留変形を比較評価した。評価は同様の操作を5回繰り返した際の平均をとった。この際、親指、中指で圧縮する部分を胴周上の凹面部とした。
なお、先の各試料ボトルは金型を用いたブロー成型法で製造したが、リブ部2(幅狭部)の溝幅を2mm未満とすると、幅2mm未満の成形キャビティを形成するための金型部分が薄くなりすぎて金型が傷みやすくなるとともに、場合によっては成形用の樹脂が金型の狭い成形キャビティの隙間に回り込み難くなり、成形不良を生じるおそれがある。
従ってこの例では幅狭部の最小値を2mmに設定した。また、ラベル用のフィルムについては最小厚さを15μmとしたが、これより薄いものは強度が弱くなるとともに、ラベル用のフィルムの最大厚さは60μmとした。これよりも厚いフィルムでは加熱時の収縮状態の均一性が低下し、外観が悪くなることに加え、コストの面でも問題がある。
4…底部、5…稜線部、6…波形リブ、6a…幅広部、6b…幅狭部、7…山部、
8…谷部、9a…セグメント、F…フィルム。
Claims (3)
- 胴壁部の少なくとも一部分が水平断面多角形の筒状に成形され、この部分に、胴壁部を環状に巻回する波線状の凹部からなる波形リブが胴壁部の上下方向に複数本形成され、それぞれの波形リブの山部または谷部のいずれか一方または双方が、胴壁部に形成された稜線部と交差するように配設されてなり、
前記上下方向に隣接する複数の波形リブが、上方の波形リブの谷部どうしを結ぶ線と、下方の波形リブの山部どうしを結ぶ線との間に間隙を形成するように離間して配設されるとともに、前記胴壁部の上下方向に隣接する複数の波形リブが互いの山部どうしおよび谷部どうしをそれぞれ対向するように並列させて、上下の波形リブの間にセグメントを設けてなり、
前記胴壁部の外周面に熱収縮性フィルムが被覆されてなり、前記凹部からなる波形リブの幅が胴壁部よりも稜線部において狭くされてなることを特徴とする薄肉プラスチックボトル。 - 前記胴壁部が内方向に向けられた凹曲面とされ、前記胴壁部の稜線部が前記凹曲面の両縁部とされてなることを特徴とする請求項1に記載の薄肉プラスチックボトル。
- 前記セグメントが前記胴壁部の稜線により複数に区画されるとともに、前記稜線が断面丸められてなり、前記セグメントが前記波形リブと前記稜線によって連結されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の薄肉プラスチックボトル。
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