以下に、本発明のスイッチ装置の一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。尚、以下の説明では、図1(a)における上方をスイッチ装置の前方、図1(a)における下方をスイッチ装置の後方と規定し、図1(a)における左方をスイッチ装置1の左方と規定し、図1(a)における右方をスイッチ装置1の右方と規定する。
本実施形態のスイッチ装置1は、図2(a),(b)に示すように、電源用接点機構部2と、電源用接点機構部2が収納されるボディ4と、ボディ4に揺動自在に支持される電源用接点機構部2のオンオフ操作用のハンドル5と、電源用接点機構部2とハンドル5とを連結するコイルばねからなる反転ばね3とを備え、反転ばね3は、ハンドル5がオフ位置に位置している際に一方向側(右方向側)に屈曲することで電源用接点機構部2をオフし、ハンドル5がオン位置に位置している際に他方向側(左方向側)に屈曲することで電源用接点機構部2をオンし、ハンドル5がオン位置とオフ位置との間を移動する際に最も圧縮された状態となることで、弾性力によって一方向側(右方向側)又は他方向側(左方向側)に屈曲する屈曲動作を行うように構成されているものであって、ボディ4に収納される一対の信号用固定接点60a,60aと、ハンドル5に固定されてハンドル5のオン位置又はオフ位置への移動に応じて、一対の信号用固定接点60a,60aにそれぞれ接離される信号用可動接触子61とを有し、スイッチ装置1のオンオフ状態の判断に用いられる信号用接点機構部6を備え、信号用接点機構部6は、反転ばね3の屈曲動作中に、信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aとそれぞれ接触するように構成されている。
電源用接点機構部2は、図1(a)に示すように、電源用固定接点20を有する電源用固定端子板21と、電源用固定接点20に接離される電源用可動接点22を有する電源用可動接触子23と、電源用可動接触子23を揺動自在に接触支持する共通端子板24とで構成されている。
電源用固定端子板21は、例えば銅系材料等の導電性材料からなる金属板から曲成され、電源用固定接点20が前面に固着される接点保持片21aと、接点保持片21aから後方へ延設され、外部の電気回路等との接続に用いられる固定端子片21bとを一体に備える略L字状に形成されている。尚、電源用固定接点20は、耐溶着性、耐環境性、及び耐熱性の高い導電性金属材料(例えば、銀系の金属材料)が用いられる。
電源用可動接触子23は、電源用固定端子板21と同様に、銅系材料等の導電性材料からなる金属板から曲成されて、反転ばね3の外径と同程度の距離を隔てて互いに対向する一対の側片23a,23a及び一対の側片23a,23aの後端部間を連結する連結片23bを有する略コ字状に形成され、一対の側片23a,23a及び連結片23bで囲まれる空間部に反転ばね3の後端部が嵌入されるばね保持部23cを有している。このばね保持部23cの連結片23bの略中央部には、電源用可動接触子23を共通端子板24に揺動自在に支持させるための軸孔(図示せず)が前後方向に貫設されており、この軸孔に後述する共通端子板24の軸部24cが貫挿されることで、電源用可動接触子23が共通端子板24に揺動自在に支持されることになる。
また、ばね保持部23cの一方(図1(a)における右方)の側片23aの前端部には、右方に向けて接点保持片23dが一体に突設されており、この接点保持片23dは、所定の弾性を有するように、前方に折れ曲がった略く字状に形成されている。この接点保持片23dの右端側の後面には、電源用可動接点22が固着されている。尚、電源用可動接点22としては、上記の電源用固定接点20と同様の材料が用いられている。
共通端子板24は、電源用固定端子板21と同様に、銅系材料等の導電性材料からなる金属板から曲成され、電源用可動接触子23を揺動自在に支持するための支持片24aと、支持片24aから後方へ延設され、外部の電気回路等との接続に用いられる共通端子片24bとを一体に備える略L字状に形成されている。そして、支持片24aの右端縁部には、可動接触子23を揺動自在に支持するための前述の軸部24cが前方に向けて一体に突設されている。
信号用接点機構部6は、図1(d)〜(f)に示すように、一対の信号用固定接触子60,60と、信号用可動接触子61とで構成されている。
信号用固定接触子60は、例えば銅系材料等の導電性材料を用いて形成された略丸棒状の部材から折曲され、信号用可動接触子61が接離される信号用固定接点60aと、信号用固定接点60aの左端部から後方へ延設され、外部の電気回路等との接続に用いられる信号用端子部60bとを一体に備える略L字状に形成されている。
信号用可動接触子61は、例えば銅系材料等の導電性及び可撓性を有する材料からなる金属板から曲成されることで、ハンドル5に固定される固定片61aと、固定片61aの右端側から左後方に向けて突設され、一対の信号用固定接点60a,60aにそれぞれ接触される一対の接触片61b,61bとを一体に備える略V字状に形成されている。したがって、信号用可動接触子61は、接触片61bが固定片61aに接離する方向においては、可撓性を有しており、これにより信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aに弾接するようにしている。
ボディ4は、図3(a)に示すように、例えば合成樹脂成形品であって、前面が開口した略直方体の箱状に形成され、ボディ4の短手方向の両内側面には、ハンドル5を揺動自在に取り付けるための略円形状の軸受孔4aがそれぞれ形成されている。また、ボディ4の長手方向の外側面には、短手方向に離間した一対のばね片4b,4bが一体に突設されており、これらばね片4b,4bは、スイッチ装置1を取付パネル(図示せず)等に取り付けるために用いられる。
一方、ボディ4の内部は、ボディ4の短手方向において互いに対向する第1隔壁40,40によって短手方向に3分割されており、短手方向両側の空間部がそれぞれ電源用接点機構部2を収納する電源用接点収納室4A,4Aとして用いられる。また、第1隔壁40,40は、ボディ4の長手方向において互いに対向する第2隔壁41,41によって連結されており、これら第1隔壁40,40及び第2隔壁41,41で囲まれる空間部が、信号用接点機構部6を収納する信号用接点収納室4Bとして用いられる。また、図1(d)〜(f)に示すように、信号用接点収納室4B内のボディ4の底面には、前方へ突出する矩形状の支持台42が設けられており、この支持台42の前面が、信号用固定接触子60の固定接点60a,60aの載置面として用いられる。
つまり、ボディ4内では、商用電源等の大電流が流れる電源用接点機構部2と、商用電源に比べれば非常に小さい電流が流れる信号用接点機構部6とが、第1隔壁40,40及び第2隔壁41,41によって分離されており、これにより信号用接点機構部6が、電源用接点機構部2で発生するアーク等の影響を受けることがないようにしている。
また、ボディ4の後壁部43において電源用接点収納室4A,4Aにそれぞれ対応する部位には、図2(a),(b)に示すように、電源用接点機構部2の共通端子板24の共通端子片24b及び固定端子板21の固定端子片21bをそれぞれボディ4の外部に突出させるための一対の電源用端子挿通孔43a,43bが、ボディ4の長手方向で離間するようにして設けられている。また、ボディ4の後壁部43において信号用接点収納室4Bに対応する部位には、一対の信号用固定接触子60,60の信号用端子部60b,60bをそれぞれボディ4の外部に突出させるための一対の信号用端子挿通孔43c,43cが、ボディ4の短手方向で離間するようにして設けられている。尚、図2(b)に示すように、ボディ4の後壁部43には、各挿通孔の近傍に番号が付されている。すなわち、一方の電源用接点収納室4Aの各電源用端子挿通孔43a,43bには、それぞれ番号1,2が付され、他方の電源用接点収納室4Aの各電源用端子挿通孔43a,43bには、それぞれ番号3,4が付され、信号用接点収納室4Bの各信号用端子挿通孔43,43cには、それぞれ番号5,6が付されている。
さらに、ボディ4の後壁部43の後面には、図2(b)に示すように、電源用端子挿通孔43aから突出される共通端子片24bと、電源用端子挿通孔43bから突出される固定端子片21bとの間の絶縁性を確保するための第1絶縁壁44が一体に突設されている。また、ボディ4の後壁部43の後面には、電源用端子挿通孔43a,43aからそれぞれ突出される共通端子片24b,24b間の絶縁性を確保するための一対の第2絶縁壁45,45と、電源用端子挿通孔43b,43bからそれぞれ突出される固定端子片21b,21b間の絶縁性を確保するための一対の第3絶縁壁46,46とが一体に突設されている。
さらに、後壁部43の後面において、信号用端子挿通孔43c,43cの周辺部には、図2(a)に示すような、信号用コネクタ7が取り付け可能なコネクタ部47が設けられている。ここで、信号用コネクタ7は、一対の信号用可動接触子60,60の信号用端子部60b、60bがそれぞれ差し込み接続される一対の接続端子(図示せず)を有するプラグ部70と、プラグ部70の一対の接続端子にそれぞれ接続される一対の電源線71,71とを少なくとも備え、プラグ部70の両側部には、外方に突出するガイドリブ70a,70aが一体に突設されている。尚、このような信号用コネクタ7は、既存のものを採用することができる。
このコネクタ部47は、ボディ4の短手方向から信号用端子挿通孔43c,43cを挟むように突設された一対の側片47a,47aと、一対の側片47a,47aの左端部を連結する連結片47bとを一体に備える略コ字状の第1リブ47c、及び連結片47bとで信号用端子挿通孔43c,43cを挟むようにして突設された第2リブ47dで構成されており、第1リブ47cと第2リブ47dとで囲まれる空間部が、信号用コネクタ7のプラグ部70と凹凸嵌合する凹部として用いられる。
また、上記の一対の側片47a,47aと、第2リブ47dとの間の隙間は、信号用コネクタ7のガイドリブ70aが挿入されるスリットとして用いられるようになっており、このスリットに信号用コネクタ7のプラグ部70のガイドリブ70aを挿入することで、信号用コネクタ7のプラグ部70とコネクタ部47との凹凸嵌合がスムーズに行えるようになっている。しかも、コネクタ部47は、信号用端子挿通孔43c,43cを囲むようにして設けられているため、信号用端子挿通孔43c,43cからそれぞれ突出される信号用端子部60b,60bと、電源用端子挿通孔43aから突出される共通端子片24b及び電源用端子挿通孔43bから突出される固定端子片21bとの間の絶縁性を確保するための絶縁壁としても機能する。
ハンドル5は、図3(b)に示すように、後端部がボディ4内に収納された状態で、ボディ4に揺動自在(回動自在)に支持されるものであり、例えば合成樹脂成形品であって、後面が開口した略直方体の箱状に形成されている。ハンドル5の短手方向の両外側面には、ボディ4の軸受孔4aに揺動自在に支持される略円形状の軸部5aが一体の突設されている。このハンドル5の内部は、ハンドル5の短手方向において対向する一対の隔壁50,50によって短手方向に略3等分され、これにより、ボディ4の電源用接点収納室4A,4Aに対応する電源用接点収納室5A,5Aと、ボディ4の信号用接点収納室4Bに対応する信号用接点収納室5Bとが設けられている。ここで、一対の隔壁50,50間の間隔は、ボディ4の第1隔壁40,40間の間隔よりも大きく設定されており、ハンドル5をボディ4に取り付けた際には、ハンドル5の一対の隔壁50,50間の部位に、ボディ4の第1隔壁40,40が位置するようにしている。これによりボディ4に収納される電源用接点機構部2と、信号用接点機構部6との間の絶縁距離が大きくなり、さらなる絶縁性の向上が図られている。一方、ハンドル5の前壁部51の後面において電源用接点収納室5Aに対応する部位には、反転ばね3の外径と同程度の内径を有する円柱状の保持孔部52aが形成された保持筒部52が一体に突設されており、この保持筒部52の保持孔部52aに、反転ばね3の前端部が嵌入されることで、ハンドル5が反転ばね3に連結される。
また、ハンドル5の前壁部51の後面において信号用接点収納室5Bに対応する部位には、信号用可動接触子61を固定するための略角棒状の固定片53が一体に突設されている。ここで、固定片53は、信号用可動接触子61をボディ4内の所定位置に配置するためのものであり、この固定片53によって、信号用可動接触子61は、ハンドル5がオフ位置に位置している際に両信号用固定接点60a,60aから離間し、ハンドル5がオン位置に位置している際に両信号用固定接点60a,60aに接触し、ハンドル5をオフ位置からオン位置へと移動させた際には、反転ばね3の屈曲動作中に、両信号用固定接点60a,60aに接触する位置に配置されることになる。さらに、信号用可動接触子61は、固定片53により、図1(e)に示すように、ハンドル5の揺動軸Sに直交するハンドル5の厚み方向(前後方向)において揺動軸S上を通る線Vの近傍に配置される。
以上述べた部材により本実施形態のスイッチ装置1は構成されており、スイッチ装置1は、次のようにして組み立てられている。
すなわち、ボディ4の各電源用接点収納室4A,4Aには、それぞれ電源用接点機構部2,2が収納される。ここで、電源用接点機構部2の収納は、電源用端子挿通孔43aから共通端子片24bをボディ4の外部に突出させた状態で、共通端子板24を電源用接点収納室4Aに収納するとともに、電源用端子挿通孔43bから固定端子片21bをボディ4の外部に突出させた状態で、電源用固定端子板21を電源用接点収納室4Aに収納した後に、電源用可動接点22を電源用固定接点20に対向させるとともに電源用可動接触子23の軸受孔に共通端子板24の軸部24cを挿通させた状態で、電源用可動接触子23を電源用接点収納室4Aに収納することで行われる。
また、ボディ4の信号用接点収納室4Bには、一対の信号用固定接触子60が、各々の信号用端子部60bを信号用端子挿通孔43cからボディ4の外部に突出させるとともに、信号用固定接点60aを、支持台42上に載置した状態で、収納される。
一方、ハンドル5には、各保持筒部52の保持孔部52aにそれぞれ反転ばね3の前端部が嵌入されるとともに、固定片53に、信号用可動接触子61が固着され、このようなハンドル5は、軸部5aをボディ5の軸受孔4aに嵌入することで、ボディ4に揺動自在に取り付けられる。このとき、各反転ばね3の後端部は、各電源用可動接触子23のばね保持部23cにそれぞれ嵌入される。
以上により、図2(a),(b)に示すスイッチ装置1が得られ、このスイッチ装置1は、図2(c)に示すような回路構成を有している。尚、図2(c)における括弧内の数字1〜6は、図2(b)に示すように、後壁部43の後面に付された数字1〜6に対応している。
以下にこのスイッチ装置1の動作について図1(a)〜(f)を参照する。図1(a),(d)に示す状態は、スイッチ装置1がオフである状態を示している。この状態では、ハンドル5が右回り方向(図1(a)における時計回り方向)に回動されてオフ位置に位置している。このとき、図1(a)に示すように、反転ばね3は、中腹部が左方に突出するように屈曲された状態(右方向側に屈曲した状態)で安定している。また、両電源用接点機構部2の電源用可動接触子23は、電源用可動接点22が電源用固定接点20から離間する位置に位置しており、これにより電源用接点機構部2はオフ状態となっている。さらに、ハンドル5には、反転ばね3が屈曲状態にあるために、右回り方向に回動するような荷重がかかっている。
このようにハンドル5がオフ位置に位置している際には、図1(d)に示すように、信号用可動接触子61が、両信号用固定接点60a,60aから離間し、これにより信号用接点機構部6がオフ状態となっている。したがって、この状態で、信号用接点機構部6の両信号用固定端子部60b,60b間に電圧を印加すると、信号用接点機構部6がオフ状態であるから、ロウレベル(0V)の電気信号が出力される。
ここで、図1(a)に示すようにハンドル5がオフ位置に位置している状態から、ハンドル5をオン位置に移動させる、すなわちハンドル5の前面の左端側を後方に押圧することでハンドル5を左回り方向(図1(a)における反時計回り方向)に回動させようとすると、この回動方向は、反転ばね3を、中腹部が左方向に突出するように屈曲した状態から全体が軸方向に沿った状態(真っ直ぐになった状態)に移行させる方向であるから、反転ばねを圧縮するために必要な荷重がハンドル5にかかることになる。
ハンドル5を左回り方向に回動させていくと、やがて図1(b)に示すように、反転ばね3が軸方向に沿った状態となり、この状態では、反転ばね3が軸方向に沿っているために、反転ばね3がどちらの方向にも屈曲しようとせず、均衡が保たれることになる。このとき、図1(e)に示すように、信号用可動接触子61は、一対の信号用固定接点60a,60aにまだ接触していない。尚、反転ばね3が軸方向に沿った状態となる前にハンドル5を離すと、反転ばね3は、ハンドル5によって圧縮された状態から伸長しようとし、これにより、右方向側に屈曲する屈曲動作(すなわち、屈曲方向が反転せずに元の状態に戻る復帰動作)を行い、これによりハンドル5は右回り方向に回動されて、図1(a)に示すオフ位置に戻ることになる。
図1(b)に示すように反転ばね3が軸方向に沿った状態から、さらにハンドル5を左回り方向に回動させていくと、ハンドル5によって反転ばね3が左方向側に屈曲するように誘導される。そのため、反転ばね3は、圧縮状態から伸長しようとする弾性力によって左方向側に屈曲する屈曲動作(すなわち、屈曲方向が反転する反転動作)を行い、その結果、図1(c)に示すように、反転ばね3が急速に左方向側に屈曲し、これにより電源用可動接触子23が右回り方向に回動されて、電源用可動接点22が電源用固定接点20に接触することになる。このように反転ばね3の屈曲動作は、反転ばね3の弾性力によって行われるため、反転ばね3に左方向側に屈曲するきっかけを与えた後は、ハンドル5を左回り方向に回動させなくても、自動的に操作が行われる。
そして、この反転ばね3の屈曲動作中において、図1(f)に示すように、初めて信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aに接触するようになっている。
つまり、ハンドル操作により反転ばね3を図1(a)に示すような屈曲状態から、図1(b)に示すような最も圧縮された状態に移行させるときには、信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aに接触しないようになっており、これによりハンドル5の操作性が悪化することを防止している。すなわち、信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aに接触すると、一対の信号用固定接点60a,60aにより信号用可動接触子61の移動が規制されることになり、このような信号用可動接触子61の移動規制による抗力、すなわちハンドル5の左回り方向の回動を妨げるような力がハンドル5にかかることになるが、本実施形態のスイッチ装置1では、反転ばね3の屈曲動作中(換言すれば、反転ばね3により自動的にハンドル5が移動する期間中)に、信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aが接触するので、ハンドル5を手動で回動させている最中には、上記のような抗力を受けず、ハンドル5が反転ばね3の弾性力により自動で回動する最中に上記のような抗力を受けることになる。そのため、使用者がスイッチ装置1のハンドルを操作する際には、上記の抗力による影響がないため、ハンドル5の操作性が悪化することがないのである。当然ながら、反転ばね3としては、上記のような抗力によって反転動作が妨げられることがないようなばね定数を有するコイルばねを用いている。
また、信号用可動接触子61と、一対の信号用固定接点60a,60aとの接触は、図1(f)に示すように、ハンドル5が完全にオン位置に移動する前に行われるようになっている。したがって、信号用可動接触子61は、図4に示すように、反転ばね3の屈曲動作中において、最初に一対の信号用固定接点60a,60aに接触する初期接触位置(図4中にP1で示す)から、反転ばね3の屈曲動作終了後(換言すれば、ハンドル5が図1(c)に示すように完全にオン位置に位置したとき)に一対の信号用固定接点60a,60aに接触する終期接触位置(図4中にP2で示す)まで、一対の信号用固定接点60a,60a上を撓みながら所定距離tだけ摺動していくようになっている。
そのため、一対の信号用固定接点60a,60aにおいて信号用可動接触子61が接触される面に、酸化被膜等の異物が存在した場合でも、上記の摺動動作によって異物を除去することができ、これにより接触信頼性の向上を図ることができる。
ところで、ハンドル5がオン位置に位置している際には、図1(f)に示すように、信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aに接触しているため、ハンドル5は、信号用接点機構部6より右回り方向の力を受けることになる。したがって、信号用接点機構部6を設けたことによって、電源用接点機構部2における電源用可動接点22が電源用固定接点20に接触する際の接触圧が減じられることになる。そこで、本実施形態のスイッチ装置1では、ハンドル5の揺動軸Sに直交するハンドルの厚み方向、すなわち信号用可動接触子61の接離方向において前記揺動軸S上を通る線Vの近傍に位置するように、信号用可動接触子61をハンドル5に固定している。これにより、ハンドル5の左右方向においてハンドル5の揺動軸Sと信号用可動接触子61との距離が短くなり、その結果、信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aに接触することによりハンドル5を揺動させる方向に生じる抗力(信号用接点機構部6がオンの際に信号用接点機構部6から受ける力のモーメント)の影響を低減することができる。
以上述べたようにハンドル5がオン位置に位置している際には、図1(c),(f)に示すように、2つの電源用接点機構部2及び信号用接点機構部6がそれぞれオンとなっている。したがって、この状態で、信号用接点機構部6の両信号用固定端子部60b,60b間に電圧を印加すると、信号用接点機構部6がオンであるから、印加した電圧に応じた電圧値の電気信号が出力される。
そして、図1(c)に示すようにハンドル5がオン位置に位置している状態から、ハンドル5をオフ位置に移動させる、すなわちハンドル5の前面の右端側を後方に押圧することでハンドル5を右回り方向(図1(c)における時計回り方向)に回動させようとすると、この回動方向は、反転ばね3を、中腹部が右方向に突出するように屈曲した状態(左方向側に屈曲した状態)から全体が軸方向に沿った状態(真っ直ぐになった状態)に移行させる方向であるから、反転ばね3を圧縮するために必要な荷重がハンドル5にかかることになる。
このままハンドル5を右回り方向に回動させていくと、やがて図1(b)に示すように、反転ばね3が軸方向に沿った状態となり、この状態では、反転ばね3が軸方向に沿っているために、反転ばね3がどちらの方向にも屈曲しようとせず、均衡が保たれることになる。また、この状態では、電源用可動接触子23が左回り方向に回動されて、電源用可動接点22が電源用固定接点20から離間することになる。
ここで、反転ばね3が軸方向に沿った状態となる前にハンドル5を離すと、反転ばね3は、ハンドル5によって圧縮された状態から伸長しようとし、これにより、左方向側に屈曲する屈曲動作(すなわち、屈曲方向が反転せずに元の状態に戻る復帰動作)を行うことになる。そして、この屈曲動作が行われた際には、上述したように、電源用接点機構部2及び信号用接点機構部6がオンとなる。
図1(b)に示すように反転ばね3が軸方向に沿った状態から、さらにハンドル5を右回り方向に回動させていくと、ハンドル5によって反転ばね3が右方向側に屈曲するように誘導される。そのため、反転ばね3は、圧縮状態から伸長しようとする弾性力によって右方向側に屈曲する屈曲動作(すなわち、屈曲方向が反転する反転動作)を行い、その結果、図1(a)に示すように、反転ばね3が急速に右方向側に屈曲して、ハンドル5がオフ位置に位置することになる。このような反転ばね3の屈曲動作は、反転ばね3の弾性力によって行われるため、反転ばね3に右方向側に屈曲するきっかけを与えた後は、ハンドル5を右回り方向に回動させなくても、自動的に操作が行われる。
以上述べた本実施形態のスイッチ装置1によれば、信号用接点機構部6を備えているので、オンオフ状態を判断するための電気信号を得ることができるという効果を奏する。しかも信号用接点機構部6を、一対の信号用固定接点60a,60aと、ハンドル5に固定されて該一対の信号用固定接点60a,60aに接離される信号用可動接触子61とで構成するとともに、信号用接点機構部6がオフである際に、ハンドル5を操作して反転ばね3の屈曲状態を反転させようとしても、反転ばね3が屈曲動作を行うまでは信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aから離間した状態となるようにしているので、反転ばね3を屈曲状態から最も圧縮された状態に移行させるときに信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aに接触することによってハンドル操作が妨げられることがないから、ハンドル5の操作性が悪化することがないという効果を奏する。
加えて、スイッチ装置1によれば、信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aに接触する際に、図4中にP1で示す初期接触位置から図4中にP2で示す終期接触位置まで信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60a上を摺動するようになっているので、一対の信号用固定接点60a,60aにおいて信号用可動接触子61が接触される面に、酸化被膜等の異物が存在した場合でも、上記の摺動動作によって異物を除去することができ、これにより接触信頼性の向上を図ることができるという効果を奏する。さらに、スイッチ装置1によれば、信号用可動接触子61が一対の信号用固定接点60a,60aに接触することによりハンドル5を揺動させる方向に生じる抗力の影響を低減することができるという効果を奏する。
しかも、信号用コネクタ7が取り付け可能なコネクタ部47を備えているので、電源用接点機構部2と信号用接点機構部6とを間違うことがなくなって、配線ミスを防止することができるという効果を奏する。また、一対の電源線71,71を有する信号用コネクタ7をコネクタ部47に接続するだけで、信号用接点機構部6の各信号用端子部60bと信号用コネクタ7の各電源線71,71との接続を行え、これにより従来のスイッチ装置200のように電源線を個別に接続するような場合に比べて、施工性が向上するという効果を奏する。
尚、上記の例は、電源用接点機構部2を2つ備えた例であるが、このような電源用接点機構部2の数は2つに限定されるものではなく、使用状況に応じて増減するようにしてもよい。