JP4399966B2 - 風力選別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックを主成分とする破砕物から、フイルム状破砕物、発泡体、塵埃等の軽量物と、それ以外のプラスチックを主成分とする重量物に分離する風力選別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、リサイクルプラントで利用されている風力選別装置は、図8に示すように構成していた。以下、この装置の構成および動作を説明する。
【0003】
図8に示すように、縦型ジグザグ経路1の下端部に空気吸入ダクト2と第1の排出部3を配置し、上端部には第2の排出部4を配置し、ジグザグ経路1の下部側に原料供給管5を配置した構成としている。
【0004】
破砕物を原料供給管5からジグザグ経路1内に供給すると、空気吸入ダクト2から供給された空気流で、破砕物はジグザグ経路1の内壁と衝突しながら上部へ吹き上げられる。
【0005】
このとき、破砕物中の重量物はジグザグ経路1内の空気流の弱い部分あるいは形状的に空気抵抗の少ないように位置した状態で、重力に従い空気流に抗しながら落下し、第1の排出口3から排出され、プラスチックを主成分とする重量物aが回収される。一方、破砕物中のフイルム状の軽量物と発泡体と塵埃等の軽量物bはジグザグ経路1内の空気流に吹き上げられ、第2の排出口4から排出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の風力選別装置では、ジグザグ経路1内で、プラスチックを主成分とする重量物aが落下しようとする重力と、上昇しようとする空気流の力が略バランスする範囲が狭く、重力と上昇力が略バランスする範囲に滞留する時間が短くなるために、破砕物を重量物aと、フイルム状破砕物、発泡体、塵埃等の軽量物bに分離させるほぐしが作用する時間も短い。
【0007】
この結果、重量物aの重力と上昇力が略バランスする範囲で重量物aの間に軽量物bが挟まれた状態で完全に分離できなかった軽量物bは、重量物aと一緒に降下し、第1の排出口3から排出されるので、重量物aに異物(軽量物)が混入するという問題があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するもので、破砕物の移動距離を大きくして、破砕物中の重量物と軽量物をほぐし、重量物に働く鉛直方向の重力と上昇力がほぼバランスした状態での滞留時間を長くして重量物と軽量物の重なりを少なくするとともに、重量物と軽量物を水平方向に分離させ、分離精度を向上することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、中心軸が略鉛直方向の略円筒形状の筒体の上端部に軽量物を回収する回収手段を連結し、筒体の下端部に重量物を排出する選別物排出部を設け、筒体の下部に斜め上方向で略接線方向に空気を吐出する空気供給管を設け、空気供給管に使用済み家電製品の破砕後のプラスチックを主成分とする破砕物を供給する原料供給手段を配置し、空気供給管に供給された破砕物は、空気供給管より筒体内に圧送され、筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流により筒体内を渦巻状に吹き上げられるようにし、筒体の内壁面上部には、筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流が衝突する凸部を少なくとも1箇所設け、凸部は、筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流が衝突する側の面を、破砕物が筒体の略中心軸方向に誘導されるように傾斜させたものである。
【0010】
これにより、渦巻き状の上昇空気流により破砕物を渦巻き状に移動させることにより、破砕物の移動距離を大きくできて、破砕物中の重量物と軽量物をほぐすことができ、重量物に働く鉛直方向の重力と上昇力がほぼバランスした状態での滞留時間を長くできて重量物と軽量物の重なりを少なくすることができるとともに、重量物と軽量物を水平方向に分離させることができ、分離精度を向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、中心軸が略鉛直方向の略円筒形状の筒体と、前記筒体の上端部に連結し軽量物を回収する回収手段と、前記筒体の下端部に設け重量物を排出する選別物排出部と、前記筒体の下部に設け斜め上方向で略接線方向に空気を吐出する空気供給管と、前記空気供給管に使用済み家電製品の破砕後のプラスチックを主成分とする破砕物を供給する原料供給手段とを備え、前記空気供給管に供給された破砕物は、前記空気供給管より前記筒体内に圧送され、前記筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流により前記筒体内を渦巻状に吹き上げられるようにし、前記筒体の内壁面上部には、前記筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流が衝突する凸部を少なくとも1箇所設け、前記凸部は、前記筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流が衝突する側の面を、前記破砕物が筒体の略中心軸方向に誘導されるように傾斜させ風力選別装置であり、空気供給管より圧送される空気により、筒体の内部に筒体の内壁に沿って渦巻き状の上昇空気流を形成することができ、筒体の内部は中心軸から外縁部へ行くほど周速度が速く、遠心力の大きな渦巻き状の上昇空気流となる。原料供給手段より供給された破砕物は、渦巻き状の上昇空気流により渦巻き状に移動し、破砕物が実際に移動する距離(螺旋状に移動する距離)を大きくできて、破砕物中の重量物と軽量物をほぐすことができ、重量物に働く鉛直方向の重力と上昇力がほぼバランスした状態での滞留時間を長くできて重量物と軽量物の重なりを少なくすることができ、分離精度を向上することができる。また、筒体内で略水平方向の遠心力が作用し、重量物と軽量物を水平方向に分離させる力が作用する。したがって、重量物は渦巻き流の遠心力で外側へ移動し、軽量物は遠心力が小さいので筒体の中心軸側となるので、分離精度を一層向上することができる。さらに、破砕物が渦巻き状の上昇空気流の慣性力で筒体の上部に達したとき、重量物は筒体の内壁面上部に設けた凸部の傾斜面に衝突して、上方向の慣性力は筒体の略中心軸方向へ変わる。このとき、筒体の略中心軸方向は遠心力が小さく、弱い渦巻き状の上昇空気流を形成している。また、破砕物は筒体の内壁に沿って渦巻き状に上昇しているので、筒体の略中心軸は破砕物のない状態(疎な状態)の領域となっている。したがって、凸部の傾斜面に衝突して筒体の略中心軸付近に跳ね返った重量物は、筒体の略中心軸の弱い上昇空気流で減速しながら上昇する破砕物がほとんどない領域を選別物排出部に落下し回収される。また、重量物間に重なり、筒体の略中心軸付近に寄せられた軽量物は、破砕物の疎な領域なので重量物と離れ、筒体の略中心軸付近の空気流に乗り、筒体の上部から排出され回収され、分離精度と重量物の回収歩留まりを一層向上することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、回収手段は、筒体内の内圧を負圧にする内圧調整手段を有する風力選別装置であり、筒体の内部を負圧とすることで、選別物排出部を開放した状態でも、筒体から粉塵等が飛散することがなく、重量物を回収する容器の入れ替えも容易にできる
【0013】
請求項に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、空気供給管は、少なくとも略円筒形状の筒体との連通部近傍の内部をスパイラル形状とした風力選別装置であり、空気供給管から筒体へ空気と破砕物を供給するとき、空気と破砕物に回転を加えることができ、筒体の内部で破砕物を分散させることができる。したがって、重量物間に軽量物が挟まれることが少なくなり、さらに分離精度を向上することができる。
【0014】
請求項に記載の発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、筒体の少なくとも一部を透視可能とした風力選別装置であり、筒体の内部の破砕物の動きを透視することができ、破砕物の分離精度を左右する上昇力と重力のバランスを破砕物の動きを透視しながら、空気供給管からの送風量と回収手段の排風量とのバランス調整を容易にできる。
【0015】
請求項に記載の発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、筒体内の帯電を防止する手段を設けた風力選別装置であり、静電気を帯電しやすいプラスチックの乾燥した破砕物が筒体内に供給する前にすでに静電気を帯電している場合、または筒体の内部で破砕物間の摩擦により静電気を発生した場合のいずれの場合にも、静電気を除去することができる。したがって、静電気による破砕物間の静電引力を防止できるので、軽量物が重量物に静電気で吸着したり、異なる材質の重量物が静電気を帯電して吸着するために軽量物が挟まれるようなことがなく、分離精度を一層向上することができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、使用済み家電製品を破砕後、磁選機で鉄を回収し、つぎに非鉄選別装置で非鉄類を回収した後の残渣(プラスチック群)を選別、分離する例について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施例1)
図1に示すように、筒体6は、胴体部6aを有する略円筒形状とし、中心軸を略鉛直方向になるよう設置し、胴体部6aの上下に略円錐台形に形成した上端部6bと下端部6cとを設けている。この筒体6の上端部6aに設けた排出口7に集塵機(回収手段)8を連結し、原料ホッパー(原料供給手段)9から供給される破砕物の内、軽量物を回収するようにしている。
【0018】
空気供給管10は、ブロワー11により筒体6内に空気を圧送するもので、この空気供給管10の先端を筒体6の下端部6cの上部に、斜め上方向で略接線方向に向けて設けている。ここで、空気供給管10の先端は筒体6の胴体部6aの下部に設けてもよい。空気供給管10より圧送される空気に、原料ホッパー9から破砕物(原料)を供給するように構成している。なお、原料ホッパー9から破砕物を供給する位置は、空気供給管10の先端近傍を含めて空気供給管10のどこであってもよい。
【0019】
筒体6の下端部6cに、破砕物の内、重量物を排出する選別物排出部12を設けている。また、集塵機8は、回転数を制御して排風量を制御し、排風量をブロワー11の送風量よりも若干大きく設定することにより、筒体6内の内圧を負圧になるようにしている。
【0020】
上記構成において動作を説明する。原料ホッパー9内に、プラスチックを主成分とする破砕物、すなわち、フイルム状破砕物、発泡体、塵埃等の軽量物bと、それ以外のプラスチックを主成分とする重量物aとを混在したプラスチックを主成分とする破砕物を入れ、集塵機8とブロワー11の運転を開始すると、空気供給管10を介して筒体6内へ空気が圧送される。この空気供給管10より圧送される空気に、原料ホッパー9から破砕物を供給することにより、圧送空気とともに破砕物が筒体6の下端部6cの上部より、斜め上方向で略接線方向に向けて筒体6内に供給される。
【0021】
ここで、集塵機8の排風量はブロワー11の送風量よりも若干大きく設定しており、筒体6内が負圧となるために、筒体6内に渦巻き状の上昇空気流と選別物排出部12から筒体6内へ弱い上昇空気流が発生する。したがって、筒体6内に送られた破砕物は渦巻き状の上昇空気流により渦巻き状に吹き上げられる。
【0022】
このとき、重量物(プラスチック)aは、遠心力で筒体6の内壁側へ移動するとともに減速して重力により筒体6の内部を落下し、選別物排出部12から排出され回収される。ここで、破砕物中の重量物aの大きさ(重量)は大きなばらつきがあり、大きい重量物aは速い段階で落下し、小さくなるほど落下するタイミングが遅くなる。一方、軽量物(フイルム状破砕物、発泡体、塵埃等)bは、渦巻き状の上昇空気流により筒体6上部まで渦巻き状に吹き上げられ、集塵機8に回収される。
【0023】
この結果、重量物aの上下方向の力が近似した分離効果のある筒体6の胴体部6aで移動距離を大きくできる(分離帯での滞留時間を長くできる)ことから、重量物aと軽量物bの分離精度を向上することができる。また、構造も極めてシンプルで、安価な風力選別装置を得ることができる。
【0024】
さらに、集塵機8の排風量を制御し、排風量をブロワー11の送風量よりも若干大きく設定することにより、筒体6内の内圧を負圧としていることから、選別物排出部12を開放した状態でも、筒体6から粉塵等が飛散することがなく、重量物aを回収する容器の入れ替えも容易である。
【0025】
なお、本実施例では、集塵機8の排風量を制御して筒体6内の内圧を負圧としているが、ブロワー11の送風量を制御して筒体6内の内圧を負圧としてもよいことはいうまでもない。
【0026】
また、筒体6の内部を負圧としなくとも、重量物aを排出する選別物排出部12に若干の通気性がある回収袋で密閉した状態(筒体6内部は正圧となっている)にすることで、同様に重量物と軽量物の優れた分離性能が得られることはいうまでもない。
【0027】
(実施例2)
図2に示すように、衝突板(凸部)13は、筒体6の内面上部に衝突面14が垂直方向で、中心軸方向へ突出するよう少なくとも1箇所に配置し、筒体6内の渦巻き状の上昇空気流が衝突面14に衝突するよう構成している。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0028】
上記構成において動作を説明する。なお、圧送空気とともに筒体6内に供給された破砕物を重量物aと軽量物bに分別する基本的な動作は、上記実施例1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0029】
図2に示すように、空気供給管(図示せず)より筒体6内へ圧送された空気により、筒体6の内部に渦巻き状の上昇空気流を形成し、この上昇空気流で筒体6の内部を上昇する破砕物(重量物a、軽量物b)には、上昇中に渦巻き状の上昇空気流の遠心力が作用する。
【0030】
このとき、重量物aは内壁を沿うように上昇しながら衝突板13に衝突し、渦巻き状の上昇空気流の流れ方向と反対方向へ跳ね返され、徐々に失速しながら落下し、下部の選別物排出部12から排出される。一方、軽量物bは遠心力よりも上昇空気流に影響されながら、筒体6の内壁に概ね沿うように上昇し、衝突板13の付近では衝突板13の影響で、上昇空気流は衝突板13の上下および中心軸側方向等と複雑に回避しながら略渦巻き状に上昇し、上端部6bの排出口7から排出される。
【0031】
この結果、衝突板13との衝突で重量物aがばらけることにより、重量物aの間に挟まれていた軽量物bが開放され、重量物aと軽量物bが分離される。また、重量物aに弱く付着していた塵埃等も分離されることから、分離精度を向上することができる。さらに、重量物aが渦巻き状の上昇空気流で吹き上げられて、軽量物b側へ混入する量を少なくできるので、重量物aの回収歩留まり(回収量)を向上することができる。
【0032】
(実施例3)
図3に示すように、衝突板(凸部)13aは、筒体6の内面上部に衝突面14aを傾斜させて、中心軸方向へ突出するよう少なくとも1箇所に配置し、筒体6内の渦巻き状の上昇空気流が衝突面14aに衝突したとき、筒体6の下方向に誘導するよう傾斜させている。他の構成は上記実施例1または2と同じである。
【0033】
上記構成において動作を説明する。なお、圧送空気とともに筒体6内に供給された破砕物を重量物aと軽量物bに分別する基本的な動作は、上記実施例1または2の動作と同じであるので説明を省略する。
【0034】
図3に示すように、空気供給管(図示せず)より筒体6内へ圧送された空気により、筒体6の内部に渦巻き状の上昇空気流を形成し、この上昇空気流で筒体6の内部を上昇する破砕物(重量物a、軽量物b)には、上昇中に渦巻き状の上昇空気流の遠心力が作用する。
【0035】
重量物aが衝突板13aの衝突面14aに衝突すると筒体6の下方向に跳ね返り、上昇空気流の力で減速しながら落下し、下部の選別物排出部12から排出される。軽量物bは上記実施例2と同様に、衝突板13aの上下および中心軸側方向等と複雑に回避しながら略渦巻き状に上昇し、筒体6の上端部6bの排出口7から排出される。
【0036】
この結果、衝突板13aに衝突した重量物aは下方向に跳ね返され、重力方向の慣性力が増すので、跳ね返された大部分の重量物aは速やかに選別物排出部12から排出される。また、小片で質量が小さいもの(慣性力が小さいもの)でも渦巻き状の上昇空気流に再び吹き上げられるものが減ることから、筒体6の内部の破砕物の絶対量を少なくできるので、重量物a間に軽量物bが挟まれる確率も減る。また、重量物aの回収歩留まり(回収量)を向上することができる。
【0037】
(実施例4)
図4に示すように、衝突板(凸部)13bは、筒体6の内面上部に衝突面14bを傾斜させて、中心軸方向へ突出するよう少なくとも1箇所に配置し、筒体6内の渦巻き状の上昇空気流が衝突面14bに衝突したとき、筒体6の中心軸方向に誘導するよう傾斜させている。他の構成は上記実施例1または2と同じである。
【0038】
上記構成において動作を説明する。なお、圧送空気とともに筒体6内に供給された破砕物を重量物aと軽量物bに分別する基本的な動作は、上記実施例1または2の動作と同じであるので説明を省略する。
【0039】
図4に示すように、空気供給管(図示せず)より筒体6内へ圧送された空気により、筒体6の内部に渦巻き状の上昇空気流を形成し、この上昇空気流で筒体6の内部を上昇する破砕物(重量物a、軽量物b)には、上昇中に渦巻き状の上昇空気流の遠心力が作用する。
【0040】
重量物aが衝突板13bの衝突面14bに衝突すると、筒体6の中心軸方向に跳ね返り、中心軸側の弱い渦巻き状の上昇流の力で減速しながら落下し、下部の選別物排出部12から排出される。軽量物bは上記実施例2と同様に、衝突板13aの上下および中心軸側方向等と複雑に回避しながら渦巻き状に上昇し、筒体6の上端部6bの排出口7から排出される。
【0041】
この結果、破砕物は衝突板13bとの衝突でほぐされ、重量物aと軽量物bの重なりも少なくなり、慣性力の大きな重量物aが上昇空気流が弱く破砕物が疎な領域(遠心力で破砕物は筒体外縁部の内壁に沿って上昇している)へ跳ね返るので、重量物aを速やかに落下することができる。したがって、分離精度と重量物aの回収歩留まりを一層向上することができる。
【0042】
(実施例5)
図5に示すように、空気供給管10aは、筒体6内に空気を圧送するもので、この空気供給管10aの少なくとも筒体6との連通部近傍の内部にスパイラル壁15を設けている。他の構成は上記実施例1〜4と同じである。
【0043】
上記構成において動作を説明する。なお、圧送空気とともに筒体6内に供給された破砕物を重量物aと軽量物bに分別する基本的な動作は、上記実施例1〜4の動作と同じであるので説明を省略する。
【0044】
ブロワー(図示せず)より空気供給管10aを介して筒体6内へ空気が圧送され、この圧送される空気に、原料ホッパー9から破砕物を供給し、圧送空気とともに破砕物を筒体6内に供給されるとき、スパイラル壁15により、破砕物と圧送空気とに回転が加えられて送り方向に回転する空気流が形成される。この送り方向に回転する空気流が筒体6内に入ると、送り方向の遠心力で密な状態の破砕物が疎な状態となって分散される。
【0045】
したがって、破砕物にほぐしを加えながら筒体6の内部に破砕物を供給することができ、上記実施例1〜4と同様に、重量物aは選別物排出部12から排出され、軽量物bは排出口7から排出される。
【0046】
この結果、筒体6の内部に破砕物をほぐしを加えながら供給しているので、軽量物bが重量物a間に挟まれたり、絡んだものを筒体6内に供給するとき、ときほぐして分散させることができ、分離精度をさらに向上することができる。
【0047】
(実施例6)
図6に示すように、筒体6に透明カバー16を設け、筒体6の内部を透視可能としている。他の構成は上記実施例1〜5と同じである。
【0048】
上記構成において動作を説明する。なお、圧送空気とともに筒体6内に供給された破砕物を重量物aと軽量物bに分別する基本的な動作は、上記実施例1〜5の動作と同じであるので説明を省略する。
【0049】
空気供給管9より筒体6内へ圧送された空気により、筒体6の内部に渦巻き状の上昇空気流を形成し、この上昇空気流で筒体6の内部を破砕物(重量物a、軽量物b)が上昇する。
【0050】
この筒体6内の破砕物の動きを透視カバー16を介して透視し、重量物aが上部から落下し、軽量物bが上方向へ吸い上げられるように集塵機(図示せず)とブロワー(図示せず)のバランス調整をすることができる。
【0051】
この結果、重量物aと軽量物bの適切な分離状態を実現し、筒体6の内部を負圧とし、粉塵等が選別物排出部12から飛散しない状態に容易に集塵機とブロワーの調節をすることができる。
【0052】
(実施例7)
図7に示すように、イオン風発生器(帯電を防止する手段)17は、イオン風供給管18と供給口18aを介して、筒体6内へイオン風を供給し、筒体6内の帯電を防止するよう構成している。他の構成は上記実施例1〜6と同じである。
【0053】
上記構成において動作を説明する。なお、圧送空気とともに筒体6内に供給された破砕物を重量物aと軽量物bに分別する基本的な動作は、上記実施例1〜6の動作と同じであるので説明を省略する。
【0054】
空気供給管(図示せず)より筒体6内へ圧送された空気により、筒体6の内部に渦巻き状の上昇空気流を形成し、この上昇空気流で筒体6の内部を破砕物(重量物a、軽量物b)が上昇する。ここで、破砕物の主成分はプラスチックであり、乾燥雰囲気中では摩擦により容易に静電気を帯電する性質を有している。
【0055】
したがって、筒体6へ破砕物を供給するとき、破砕物間あるいは配管等との摩擦や筒体6内での破砕物間の摩擦で静電気が帯電する。このとき、イオン風発生器17からイオン風を筒体6内へイオン風供給管18と供給口18aを介して供給するので、筒体6の内部の破砕物の静電気を中和除去することができる。
【0056】
この結果、重量物a(プラスチック)同士で静電気吸着することによる軽量物bの挟みこみや重量物aに軽量物bが静電気吸着されたり、同様に重量物aに粉塵が静電気吸着されるのを防止することができ、分離精度を向上することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、中心軸が略鉛直方向の略円筒形状の筒体と、前記筒体の上端部に連結し軽量物を回収する回収手段と、前記筒体の下端部に設け重量物を排出する選別物排出部と、前記筒体の下部に設け斜め上方向で略接線方向に空気を吐出する空気供給管と、前記空気供給管に使用済み家電製品の破砕後のプラスチックを主成分とする破砕物を供給する原料供給手段とを備え、前記空気供給管に供給された破砕物は、前記空気供給管より前記筒体内に圧送され、前記筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流により前記筒体内を渦巻状に吹き上げられるようにし、前記筒体の内壁面上部には、前記筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流が衝突する凸部を少なくとも1箇所設け、前記凸部は、前記筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流が衝突する側の面を、前記破砕物が筒体の略中心軸方向に誘導されるように傾斜させたから、空気供給管より圧送される空気により、筒体の内部に筒体の内壁に沿って渦巻き状の上昇空気流を形成することができ、原料供給手段より供給された破砕物は、渦巻き状の上昇空気流により渦巻き状に移動し、破砕物が実際に移動する距離(螺旋状に移動する距離)を大きくできて、破砕物中の重量物と軽量物をほぐすことができ、重量物に働く鉛直方向の重力と上昇力がほぼバランスした状態での滞留時間を長くできて重量物と軽量物の重なりを少なくすることができ、分離精度を向上することができる。また、筒体の内部は中心軸から外縁部へ行くほど周速度が速く、遠心力の大きな渦巻き状の上昇空気流となり、筒体内で略水平方向の遠心力が作用し、重量物と軽量物を水平方向に分離させる力が作用するため、重量物は遠心力で外縁部へ移動し、軽量物は遠心力が小さいので筒体の中心軸側となるので、分離精度を一層向上することができる。さらに、破砕物が渦巻き状の上昇空気流の慣性力で筒体の上部に達したとき、重量物は筒体の内壁面上部に設けた凸部の傾斜面に衝突して、上方向の慣性力は筒体の略中心軸方向へ変わる。このとき、筒体の略中心軸方向は遠心力が小さく、弱い渦巻き状の上昇空気流を形成している。また、破砕物は筒体の内壁に沿って渦巻き状に上昇しているので、筒体の略中心軸は破砕物のない状態(疎な状態)の領域となっている。したがって、凸部の傾斜面に衝突して筒体の略中心軸付近に跳ね返った重量物は、筒体の略中心軸の弱い上昇空気流で減速しながら上昇する破砕物がほとんどない領域を選別物排出部に落下し回収される。また、重量物間に重なり、筒体の略中心軸付近に寄せられた軽量物は、破砕物の疎な領域なので重量物と離れ、筒体の略中心軸付近の空気流に乗り、筒体の上部から排出され回収され、分離精度と重量物の回収歩留まりを一層向上することができる。したがって、非常にシンプルな構造で分離精度の優れた安価な風力選別装置を提供することができる。
【0058】
また、請求項2に記載の発明によれば、回収手段は、筒体内の内圧を負圧にする内圧調整手段を有するから、筒体の内部を負圧とすることで、選別物排出部を開放した状態でも、筒体から粉塵等が飛散することがなく、重量物を回収する容器の入れ替えも容易にできる
【0059】
また、請求項に記載の発明によれば、空気供給管は、少なくとも略円筒形状の筒体との連通部近傍の内部をスパイラル形状としたから、空気供給管から筒体へ空気と破砕物を供給するとき、空気と破砕物に回転を加えることができ、筒体の内部で破砕物を分散させることができ、重量物間に軽量物が挟まれることが少なくなり、さらに分離精度を向上することができる。
【0060】
また、請求項に記載の発明によれば、筒体の少なくとも一部を透視可能としたから、筒体の内部の破砕物の動きを透視することができ、破砕物の分離精度を左右する上昇力と重力のバランスを破砕物の動きを透視しながら、空気供給管からの送風量と回収手段の排風量とのバランス調整を容易にでき、重量物と軽量物の分離精度を向上できるとともに、重量物の回収量を向上することができる。
【0061】
また、請求項に記載の発明によれば、筒体内の帯電を防止する手段を設けたから、筒体内部で重量物(プラスチック)に帯電した静電気を除電できるので、重量物同士が静電吸着する際に軽量物を挟んだり、重量物に軽量物が静電吸着されることを防止でき、分離精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の風力選別装置の一部切欠したシステム構成図
【図2】 本発明の第2の実施例の風力選別装置の筒体の一部切欠した斜視図
【図3】 本発明の第3の実施例の風力選別装置の筒体の一部切欠した斜視図
【図4】 本発明の第4の実施例の風力選別装置の筒体の一部切欠した斜視図
【図5】 本発明の第5の実施例の風力選別装置の筒体の一部切欠した斜視図
【図6】 本発明の第6の実施例の風力選別装置の筒体の斜視図
【図7】 本発明の第7の実施例の風力選別装置の一部切欠した要部システム構成図
【図8】 従来の風力選別装置の断面図
【符号の説明】
6 筒体
6b 上端部
6c 下端部
8 集塵機(回収手段)
9 原料ホッパー(原料供給手段)
10 空気供給管
12 選別物排出部

Claims (5)

  1. 中心軸が略鉛直方向の略円筒形状の筒体と、前記筒体の上端部に連結し軽量物を回収する回収手段と、前記筒体の下端部に設け重量物を排出する選別物排出部と、前記筒体の下部に設け斜め上方向で略接線方向に空気を吐出する空気供給管と、前記空気供給管に使用済み家電製品の破砕後のプラスチックを主成分とする破砕物を供給する原料供給手段とを備え、前記空気供給管に供給された破砕物は、前記空気供給管より前記筒体内に圧送され、前記筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流により前記筒体内を渦巻状に吹き上げられるようにし、前記筒体の内壁面上部には、前記筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流が衝突する凸部を少なくとも1箇所設け、前記凸部は、前記筒体の内壁に沿った渦巻状の上昇気流が衝突する側の面を、前記破砕物が筒体の略中心軸方向に誘導されるように傾斜させた風力選別装置。
  2. 回収手段は、筒体内の内圧を負圧にする内圧調整手段を有する請求項1記載の風力選別装置。
  3. 空気供給管は、少なくとも略円筒形状の筒体との連通部近傍の内部をスパイラル形状とした請求項1または2に記載の風力選別装置。
  4. 筒体の少なくとも一部を透視可能とした請求項1〜のいずれか1項に記載の風力選別装置。
  5. 筒体内の帯電を防止する手段を設けた請求項1〜のいずれか1項に記載の風力選別装置。
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