JP4399066B2 - アミノ基含有オルガノポリシロキサンの製造方法 - Google Patents

アミノ基含有オルガノポリシロキサンの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアミノ基含有オルガノポリシロキサンの製造方法に関し、詳しくは、透明性に優れ、経時的に白濁しないアミノ基含有オルガノポリシロキサンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アミノ基含有オルガノポリシロキサンの製造方法としては、アミノ基含有オルガノアルコキシシランを予め加水分解縮合してから低重合度ジメチルポリシロキサンおよびオクタメチルシクロテトラシロキサンを加えて、これらを水酸化アルカリ金属またはそのシラノレートのような触媒を用いて所定の反応条件下で反応させ、次いで、得られた反応混合物に中和剤を添加して触媒を中和した後、低重合度ポリシロキサンを除去する方法が知られている(特開平10−182827号公報参照)。しかしこの方法では、通常、反応時に触媒を水酸化アルカリ金属量として100ppm程度と多量に使用するため、反応後にこの触媒を中和して失括させると大量の中和塩が生成し、これを除去するための精製ろ過工程が、設備の大型化、製造時間およびコストの点で製造上大きな負担となる。また、精製ろ過工程の負担を軽減するために、上記の方法において水酸化アルカリ金属濃度を10ppm以下にすると重合不良が起こり、その結果、得られたアミノ基含有オルガノポリシロキサンは透明性に劣り、経時で白濁するという欠点がある。
【0003】
一方、水酸化テトラn−ブチルホスホニウムのような熱分解触媒と水酸化アルカリ金属触媒を併用することにより、水酸化アルカリ金属量を20ppm以下にする方法も知られているが(特許第2799637号公報参照)、この方法で得られたアミノ基含有オルガノポリシロキサンは熱分解触媒特有の臭いが残るという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記欠点を解消すべく鋭意研究した結果、アミノ基の導入にあたり、アミノ基含有アルコキシシランを予め加水分解縮合せずに、アミノ基含有オルガノアルコキシシランそのものを始発原料とすることにより、水酸化アルカリ金属触媒の使用量を従来の1/10〜1/100に減らすことができ、かつ、得られたアミノ基含有オルガノポリシロキサンは無色透明で経時的に白濁しないことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の目的は、透明性に優れ、かつ、経時的に白濁しないアミノ基含有オルガノポリシロキサンを生産性よく製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)アミノ基含有オルガノアルコキシシラン、(B)アミノ基を含有しない低重合度オルガノポリシロキサンおよび(C)水に、(D)水酸化アルカリ金属触媒を、(A)成分と(B)成分の合計量に対して1〜9ppm(重量)の範囲である量加えて平衡化反応させることを特徴とする、製造直後における580nmにおける光透過率が95%以上であるアミノ基含有オルガノポリシロキサンの製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
これを説明すると、本発明に使用される始発原料の(A)アミノ基含有オルガノアルコキシシランとしては、一般式:
【化1】
Figure 0004399066
で表されるシランが挙げられる。上式中、Rは一価炭化水素基であり、メチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基;ビニル基,アリル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基が例示される。 R1は水素原子またはアルキル基であり、アルキル基としてはメチル基,エチル基,プロピル基が挙げられる。Xはアミノ基含有有機基であり、式:−Q−(NHCH2CH2aNHR2で表される。式中、Qは二価炭化水素基であり、具体的には、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン基などのアルキレン基;式:−C64−で示されるようなアリーレン基;式:−(CH2264−で示されるようなアルキレンアリーレン基が例示される。これらの中でもプロピレン基が最も一般的である。R2は水素原子または一価炭化水素基であり、一価炭化水素基としては、メチル基,エチル基,プロピル基,フェニル基,シクロヘキシル基が例示される。aは0〜5の整数であり、0または1が一般的である。このようなアミノ基としては、下記式で示される基が例示される。
【化2】
Figure 0004399066
nは1〜3の整数であるが、通常、2である。このような(A)成分のアミノ基含有オルガノアルコキシシランとしては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン,N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン,アミノメチルトリメトキシシラン,アミノエチルトリメトキシシラン,アミノメチル(メチル)ジメトキシシランが例示される。
【0007】
本発明に使用される(B)成分のアミノ基を含有しない低重合度オルガノポリシロキサンとしては、一般式:
【化3】
Figure 0004399066
で表される低重合度オルガノポリシロキサンが挙げられる。上式中、Rは一価炭化水素基であり、前記と同様の基が挙げられるが、メチル基が好ましい。xは0〜30の範囲であり、5〜20の範囲であることが好ましい。yは3〜20の範囲であり、3〜10の範囲であることが好ましい。本発明では、通常、上記のような直鎖状のオルガノポリシロキサンと環状のオルガノポリシロキサンを併用する。これらの比率は、通常、直鎖状オルガノポリシロキサン:環状オルガノポリシロキサンが2〜20重量%:98〜80重量%となる範囲であるが、2〜10重量%:98〜90重量%となる範囲が好ましい。このような(B)成分のオルガノポリシロキサンとしては、重合度が10〜20の分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、ヘキサメチルトリシクロシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサンが例示される。
【0008】
上記(A)アミノ基含有オルガノアルコキシシランと(B)アミノ基を含有しない低重合度オルガノポリシロキサンとの配合比率は、通常、重量比で、1〜40:99〜60であるが、5〜20:95〜80であることが好ましい。
【0009】
本発明に使用される(C)成分の水としては、水道水,工業用水,イオン交換水,天然水が挙げられるが、これらの中でも不純物の少ないイオン交換水が好ましい。その配合量は、(A)成分のアミノ基含有オルガノアルコキシシランの2〜5倍モル量であることが好ましい。
【0010】
本発明に使用される(D)成分の水酸化アルカリ金属触媒としては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム,水酸化セシウムが例示されるが、触媒能の点で水酸化カリウムが好ましい。添加量は、上記(A)成分と(B)成分の合計量に対して1〜9ppm(重量)の範囲である
【0011】
本発明の製造方法では、上記した(A)アミノ基含有オルガノアルコキシシラン、(B)アミノ基を含有しない低重合度オルガノポリシロキサン、(C)水および(D)水酸化アルカリ金属触媒を均一に混合した後、加熱攪拌して平衡重合させるが、原料としてアミノ基含有オルガノアルコキシシランの加水分解縮合物を使用しないので、(D)成分の触媒が1〜9ppm(重量)と微量であっても高分子量のアミノ基含有オルガノポリシロキサンを製造することができる。反応条件は、例えば、還流下に60〜240℃、好ましくは80〜180℃の温度条件下で、30分〜48時間、好ましくは1〜5時間である。反応終了後は、水および他の低留分の除去及びシラノール基の減少のために、ガスを送気しながら、あるいは減圧下に留去を行いながら加熱混合を行うことが好ましい。この場合、80〜200℃、好ましくは120〜180℃の温度条件下で、30分〜10時間、好ましくは1〜5時間加熱すればよい。さらに、水酸化アルカリ金属触媒を酸性化合物で中和して、生成した中和塩をろ過により除去することが好ましい。中和に使用される酸性化合物としては、酢酸,プロピオン酸が例示される。ろ過は、通常、カートリッジフィルターやフィルタープレスを用いた助剤ろ過によって行われる。このろ過工程によって反応生成物中の微細な異物を除去し、より一層透明なアミノ基含有オルガノポリシロキサンを得ることができる。
【0012】
以上のような本発明の製造方法によれば、従来の製法に比べて水酸化アルカリ金属触媒の配合量を著しく低減することができるので、反応終了後の精製ろ過工程の負担が極めて小さく、生産性に優れるという利点を有する。さらに本発明の方法で得られたアミノ基含有オルガノポリシロキサンは着色がなく、580nmにおける光透過率が95%以上の無色透明という性質を有する。加えて臭いもなく、経時的に白濁が発生しないという特徴を有する。これらのことから、本発明の製造方法により得られるアミノ基含有オルガノポリシロキサンは、繊維処理剤,毛髪処理剤,コーテイング剤,樹脂改質剤,艶出し剤等として有用である。
【0013】
【実施例】
次に本発明を実施例にて詳細に説明する。実施例中、動粘度は25℃における値である。また、アミノ基含有オルガノポリシロキサンの光透過率はUV分光光度計(580nm、10mmセル使用)を用いて測定した。
【0014】
【実施例1】
攪拌機,温度計,N2吹き込み口,水分離機および還流器を取り付けた1リットル四つ口フラスコに、オクタメチルテトラシクロシロキサン715.92g、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン40.72g、水12.3gおよび式:
【化4】
Figure 0004399066
で示される動粘度10mm2/sのジメチルポリシロキサン31.12gを仕込み、これらを攪拌しながら150℃まで昇温した。反応混合物の温度が150℃に達した時点で、水酸化カリウムを上記アミノシランと2種のジメチルシロキサンの合計量に対して9ppm(重量)となる量添加して、150〜160℃の温度条件下で4時間平衡重合させた。反応終了後、中和剤として酢酸を水酸化カリウムの中和当量の1.2倍モル量添加して中和を行った。その後、温度150〜160℃、減圧度1〜10mmHgの条件下で減圧ストリッピングを3時間行って低分子量オルガノシロキサンを除去し、次いで、精密ろ過(CUNO社製,商品名:ゼータプラス05U)により中和塩を除去して無色透明の反応生成物を得た。得られた反応生成物を分析したところ、この反応生成物は、下記平均分子式で示される、動粘度1171mm2/s、屈折率1.4074のアミノ基含有オルガノポリシロキサンであることが判明した。このアミノ基含有オルガノポリシロキサンの580nmにおける光透過率は100%であった。またこのオルガノポリシロキサンを25℃で9ヶ月間保存して外観を測定したところ、9ヶ月経過後も無色透明であり濁りは認められなかった。これらの結果を表1に示した。
【化5】
Figure 0004399066
【0015】
【実施例2】
攪拌機,温度計,N2吹き込み口,水分離機および還流器を取り付けた1リットル四つ口フラスコに、オクタメチルテトラシクロシロキサン715.92g、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン40.72g、水12.3gおよび式:
【化6】
Figure 0004399066
で示される動粘度10mm2/sのジメチルポリシロキサン31.12gを仕込み、これらを攪拌しながら150℃まで昇温した。反応混合物の温度が150℃に達した時点で、水酸化カリウムを上記アミノシランと2種のジメチルシロキサンの合計量に対して5ppm(重量)となる量添加して、150〜160℃の温度条件下で4時間平衡重合させた。反応終了後、中和剤として酢酸を水酸化カリウムの中和当量の1.2倍モル量添加して中和を行った。その後、温度150〜160℃、減圧度1〜10mmHgの条件下で減圧ストリッピングを3時間行って低分子量オルガノシロキサンを除去し、次いで、精密ろ過(CUNO社製,商品名:ゼータプラス05U)により中和塩を除去して無色透明の反応生成物を得た。得られた反応生成物を分析したところ、この反応生成物は、下記平均分子式で示される、動粘度1200mm2/s、屈折率1.4074のアミノ基含有オルガノポリシロキサンであることが判明した。このアミノ基含有オルガノポリシロキサンの580nmにおける光透過率は100%であった。またこのオルガノポリシロキサンを25℃で9ヶ月間保存して外観を測定したところ、9ヶ月経過後も無色透明であり濁りは認められなかった。これらの結果を表1に示した。
【化7】
Figure 0004399066
【0016】
【実施例3】
攪拌機,温度計,N2吹き込み口,水分離機および還流器を取り付けた1リットル四つ口フラスコに、オクタメチルテトラシクロシロキサン715.92g、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン40.72g、水12.3gおよび式:
【化8】
Figure 0004399066
で示される動粘度10mm2/sのジメチルポリシロキサン31.12gを仕込み、これらを攪拌しながら150℃まで昇温した。反応混合物の温度が150℃に達した時点で、水酸化カリウムを上記アミノシランと2種のジメチルシロキサンの合計量に対して1ppm(重量)となる量添加して、150〜160℃の温度条件下で4時間平衡重合させた。反応終了後、中和剤として酢酸を水酸化カリウムの中和当量の1.2倍モル量添加して中和を行った。その後、温度150〜160℃、減圧度1〜10mmHgの条件下で減圧ストリッピングを3時間行って低分子量オルガノシロキサンを除去し、次いで、精密ろ過(CUNO社製,商品名:ゼータプラス05U)により中和塩を除去して無色透明の反応生成物を得た。得られた反応生成物を分析したところ、この反応生成物は、下記平均分子式で示される、動粘度1108mm2/s、屈折率1.4074のアミノ基含有オルガノポリシロキサンであることが判明した。このアミノ基含有オルガノポリシロキサンの580nmにおける光透過率は100%であった。またこのオルガノポリシロキサンを25℃で9ヶ月間保存して外観を測定したところ、9ヶ月経過後も無色透明であり濁りは認められなかった。これらの結果を表1に示した。
【化9】
Figure 0004399066
【0017】
【実施例4】
攪拌機,温度計,N2吹き込み口,水分離機および還流器を取り付けた1リットル四つ口フラスコに、オクタメチルテトラシクロシロキサン599.8g、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン116g、水34.8gおよび式:
【化10】
Figure 0004399066
で示される動粘度10mm2/sのジメチルポリシロキサン49.6gを仕込み、これらを攪拌しながら150℃まで昇温した。反応混合物の温度が150℃に達した時点で、水酸化カリウムを上記アミノシランと2種のジメチルシロキサンの合計量に対して9ppm(重量)となる量添加して、150〜160℃の温度条件下で4時間平衡重合させた。反応終了後、中和剤として酢酸を水酸化カリウムの中和当量の1.2倍モル量添加して中和を行った。その後、温度150〜160℃、減圧度1〜10mmHgの条件下で減圧ストリッピングを3時間行って低分子量オルガノシロキサンを除去し、次いで、精密ろ過(CUNO社製,商品名:ゼータプラス05U)により中和塩を除去して無色透明の反応生成物を得た。得られた反応生成物を分析したところ、この反応生成物は、下記平均分子式で示される、動粘度1300mm2/s、屈折率1.4152のアミノ基含有オルガノポリシロキサンであることが判明した。このアミノ基含有オルガノポリシロキサンの580nmにおける光透過率は100%であった。またこのオルガノポリシロキサンを25℃で9ヶ月間保存して外観を測定したところ、9ヶ月経過後も無色透明であり濁りは認められなかった。これらの結果を表1に示した。
【化11】
Figure 0004399066
【0018】
【比較例1】
攪拌機,温度計,N2吹き込み口,水分離機および還流器を取り付けた1リットル四つ口フラスコに、オクタメチルテトラシクロシロキサン732.8g、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル(メチル)ジメトキシシランの加水分解縮合物33.6gおよび式:
【化12】
Figure 0004399066
で示される動粘度10mm2/sのジメチルポリシロキサン33.6gを仕込み、これらを攪拌しながら150℃まで昇温した。反応混合物の温度が150℃に達した時点で、水酸化カリウムを上記アミノシランの加水分解縮合物と2種のジメチルシロキサンの合計量に対して10ppm(重量)となる量添加して、150〜160℃の温度条件下で4時間平衡重合させた。反応終了後、中和剤として酢酸を水酸化カリウムの中和当量の1.2倍モル量添加して中和を行った。その後、温度150〜160℃、減圧度1〜10mmHgの条件下で減圧ストリッピングを3時間行って低分子量オルガノシロキサンを除去し、次いで、精密ろ過(CUNO社製,商品名:ゼータプラス05U)により中和塩を除去して無色透明の反応生成物を得た。得られた反応生成物を分析したところ、この反応生成物は、下記平均分子式で示される、動粘度1153mm2/s、屈折率1.4074のアミノ基含有オルガノポリシロキサンであることが判明した。このアミノ基含有オルガノポリシロキサンは、製造直後、580nmにおける光透過率が100%の無色透明であったが、25℃で2ヶ月経過後に白濁した。これらの結果を表1に示した。
【化13】
Figure 0004399066
【0019】
【表1】
Figure 0004399066
【0020】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、(A)アミノ基含有オルガノアルコキシシランと(B)アミノ基を含有しない低重合度のオルガノポリシロキサンと(C)水を(D)水酸化アルカリ金属触媒を用いて平衡化反応させる方法であり、上記(D)成分の添加量が、(A)成分と(B)成分の合計量に対して10ppm(重量)を越えない量であるので、透明性に優れ、かつ、経時的に白濁しないアミノ基含有オルガノポリシロキサンを生産性よく製造することができるという特徴を有する。

Claims (1)

  1. (A)アミノ基含有オルガノアルコキシシラン、(B)アミノ基を含有しない低重合度オルガノポリシロキサンおよび(C)水に、(D)水酸化アルカリ金属触媒を、(A)成分と(B)成分の合計量に対して1〜9ppm(重量)の範囲である量加えて平衡化反応させることを特徴とする、製造直後における580nmにおける光透過率が95%以上であるアミノ基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
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