JP4396877B2 - ジッタ除去装置及びデジタルオーディオ再生システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルオーディオ再生装置とオーディオ出力装置との間でデジタルオーディオインターフェースのデータフォーマット、伝送手順等により伝送される信号(以下、「デジタルオーディオインターフェース信号」という。)のジッタを除去するジッタ除去装置、および、ジッタ除去装置を備えたデジタルオーディオ再生システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンパクトディスク、デジタルオーディオテープ等の記録媒体に記録されているデジタルオーディオデータを再生するデジタルオーディオ再生装置では、記録媒体からオーディオデータを読み出すためのデジタルデータ再生部で発生するサーボノイズ、再生信号に含まれるノイズ、信号処理回路のデジタルノイズ等の再生ノイズが、電源やグランドの配線パターン又は電源回路等を介して、デジタルアナログ変換器(DAC:Digital Analog Converter)や出力アンプ等を備えるオーディオ出力部に混入する可能性がある。このようなオーディオ出力部への再生ノイズの混入は、オーディオ信号の音質劣化の原因となる。
【0003】
そのため、業務用や高級民生用のシステムにおいては、デジタルオーディオ再生装置からのデジタルオーディオ出力信号をデジタルオーディオインターフェース信号により伝送してオーディオ出力装置に入力し、オーディオ出力装置側でD/A変換を行っている。
【0004】
このように、デジタルデータ再生部とオーディオ出力部とを分離することにより、回路基板内、筐体内でのデジタルデータ再生部やデジタル回路からアナログ回路へのノイズの回り込みを防止することができる。
【0005】
しかし、デジタルオーディオ再生装置とオーディオ出力装置とに分離しても、デジタルオーディオ再生装置内部のノイズが、デジタルオーディオデータインターフェース信号にわずかに混入し伝搬されるため、ノイズによる音質劣化を防ぐことはできない。
【0006】
例えば、デジタルオーディオ再生装置の内部の再生ノイズに加え、デジタルオーディオ再生装置のアナログ回路に起因するノイズが、デジタルオーディオインターフェース信号に重畳し、オーディオ出力装置に伝送される可能性がある。これらのノイズは、いずれも伝送信号のジッタ(時間軸方向のゆらぎ)の原因ともなる。
【0007】
また、デジタルオーディオインターフェース線を長くした場合、伝送されるデジタルオーディオデータ自体のビットパターンによる直流成分の変化が、低周波数のノイズやジッタの原因となることもある。
【0008】
オーディオ出力装置において、このようにノイズやジッタを含んだデジタルオーディオインターフェース信号を受信した場合、ノイズは、電源やグランドの配線パターン等を介して直接アナログ回路に悪影響を及ぼし、ジッタは、D/A変換のクロックのジッタとなり、D/A変換誤差の要因となる。したがって、デジタルオーディオインターフェース信号のノイズやジッタは、共に音質劣化の原因となる。
【0009】
このようなノイズを低減する方法としては、データを平衡伝送(差動送受信器を用いて+信号と−信号とを2線伝送する方法)することにより、コモンモードノイズ(2線の両方に同じように重畳されるノイズ)を除去する方法や、デジタルオーディオデータの送信側(デジタルオーディオ再生装置)と受信側(アナログオーディオ出力装置)とを、トランスを用いて磁気結合したり光ファイバやフォトカプラを用いて光結合して電気的に絶縁し、グランドノイズを除去する方法がとられている。
【0010】
また、ジッタを除去する方法としては、デジタルオーディオ再生装置とオーディオ出力装置との間に接続する各種ジッタ除去装置が提案されている。
【0011】
ジッタ除去装置の一例としては、ジッタ除去装置内に高精度マスタークロックを用意し、そのクロックをデジタルオーディオ再生装置とオーディオ出力装置に供給し、デジタルオーディオ再生装置から出力されたデジタルオーディオデータをジッタ除去装置においてラッチし直す方法がある。
【0012】
また、さらに改良したジッタ除去装置の例として、一次側(デジタルオーディオ再生装置側)と二次側(オーディオ出力装置側)とを電気的に分離し、フォトカプラを用いて光学的に結合し、二次側でマスタークロックを発生して一次側に供給し、一次側は供給されたマスタークロックを用いてデジタルオーディオデータを二次側に伝送し、二次側でデジタルオーディオデータの波形の安定した部分をマスタークロックを用いてラッチし直す方法が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このようにマスタークロック発生器を内蔵したジッタ除去装置を用いる方法は、最初からデータ伝送線の他にクロック伝送線がそれらの位相関係まで含めて定義されている複線式のデータ伝送方式を用いている場合は、容易に実現できる。
【0014】
このような複線式のデータ伝送方式は、クロック(例えば、ワードクロック)とデータ伝送信号との位相関係が規定されているため、受信側がクロックマスターの場合、送信側は、規定された位相関係に従ってデータを送信しなければならないため、受信側でマスタークロックを用いて正確に伝送データをラッチし直すことが容易にできる。
【0015】
しかし、一般に用いられているIEC(International Electrotechnical Commission)958、IEC60958などの1線式のシリアルデータ伝送方式を用いた場合、前記システムを実現することは容易でなくなる。
【0016】
すなわち、1線式のシリアルデータ伝送ではセルフクロック伝送方式をとっているため、基本的にはデジタルオーディオ再生装置などの送信側がクロックマスターとなる。業務用デジタルオーディオ再生装置等では、外部ワードクロック入力に同期してスレーブ動作するものが多い。
【0017】
通常、外部クロック入力に対応したデジタルオーディオ再生装置では、サンプリング周波数に等しいワードクロックを受けて、内部のPLL(Phase Locked Loop)回路により高周波のシステムクロックを生成し、このシステムクロックによりデジタルオーディオデータに基づくデジタルオーディオインターフェース信号を送出している。しかし、外部クロック入力に対するデジタルオーディオインターフェース信号出力の位相関係の規定は特にない。
【0018】
前述したジッタ除去装置において、入力されるデジタルオーディオインターフェース信号の位相が不明である場合、これを正確にラッチすることは困難である。デジタルオーディオデータの符号変化点近傍でラッチした場合には、符号を取り違える可能性がある。
【0019】
本発明は、スレーブ動作が可能なデジタルオーディオ再生装置からオーディオ出力装置へのデジタルオーディオインターフェース信号の伝送路の途中に挿入し、デジタルオーディオ再生装置から伝送されてきた任意の位相のデジタルオーディオインターフェース信号を適切なタイミングでラッチすることにより、安定してジッタ除去することができるジッタ除去装置、および、該ジッタ除去装置を備えたデジタルオーディオ再生システムを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1記載の発明は、デジタルオーディオインターフェース信号のジッタを除去するジッタ除去装置において、マスタークロック、ラッチクロック及びワードクロックを生成するクロック生成部と、前記デジタルオーディオインターフェース信号の符号変化点を検出しエッジパルスを発生するエッジ検出部と、前記エッジパルスの前記ラッチクロックに対する位相を判別して位相検出信号を出力する位相検出部と、該位相検出信号に基づいて前記デジタルオーディオインターフェース信号を遅延させる可変ディレイ部と、前記ラッチクロックを用いて前記遅延されたデジタルオーディオインターフェース信号をラッチするラッチ部と、該位相検出部に再度位相検出を行わせるための位相範囲を設定する位相チェック信号生成部とを備えたことを特徴とする。
【0021】
本願の請求項2記載の発明は、記録媒体に記録されたデジタルオーディオデータを再生し外部ワードクロックに同期してデジタルオーディオインターフェース信号を出力するデジタルオーディオ再生装置と、ジッタ除去装置と、前記ジッタ除去装置から出力された前記デジタルオーディオインターフェース信号をオーディオ信号に変換して出力するオーディオ出力装置とを備え、前記ジッタ除去装置は、マスタークロック、ラッチクロック及びワードクロックを生成するクロック生成部と、前記デジタルオーディオインターフェース信号の符号変化点を検出しエッジパルスを発生するエッジ検出部と、前記エッジパルスの前記ラッチクロックに対する位相を判別して位相検出信号を出力する位相検出部と、該位相検出信号に基づいて前記デジタルオーディオインターフェース信号を遅延させる可変ディレイ部と、前記ラッチクロックを用いて前記遅延されたデジタルオーディオインターフェース信号をラッチするラッチ部と、前記位相検出部に再度位相検出を行わせるための位相範囲を設定する位相チェック信号生成部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のデジタルオーディオ再生システムの一実施例の概略構成を示す模式図である。
図1において、デジタルオーディオ再生システム101は、デジタルオーディオ再生装置102、ジッタ除去装置103、アナログオーディオ出力装置104を備えている。本実施例において、オーディオ出力装置は、デジタルオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換して出力するアナログオーディオ出力装置104として説明する。
【0023】
デジタルオーディオ再生装置102とジッタ除去装置103との間、および、ジッタ除去装置103とアナログオーディオ出力装置104との間のデジタルオーディオデータ伝送は、デジタルオーディオインターフェースによるデータフォーマットや伝送手順等により行われる。本実施例において、デジタルオーディオインターフェースは、IEC958又はIEC60958に規定されたものとする。
【0024】
IEC958におけるデジタルオーディオインターフェース信号は、チャンネル毎に24ビットのオーディオデータスロットと4ビットの付加情報と4ビット相当の同期信号(プリアンブル)を有し、左右チャンネル合わせて1サンプル当たり64ビットからなるシリアルデータ列であり、バイフェースマーク変調されたサンプル当たり128ビットのシリアル信号である。
【0025】
したがって、伝送するデジタルオーディオデータのサンプリング周波数fs(例えば、44.1kHz、48kHz、96kHzなど)に対して、128倍の128fsが伝送チャンネルクロック周波数となる。
【0026】
デジタルオーディオ再生装置102は、デジタル記録媒体(例えば、コンパクトディスク等の光記録媒体やデジタルオーディオテープ等の磁気記録媒体)に記録されているデジタルオーディオデータを再生する。再生されたデジタルオーディオデータは、ジッタ除去装置103から供給されるワードクロック(WCK:Word ClocK)に同期したデジタルオーディオインターフェース信号として出力される。
【0027】
ジッタ除去装置103は、内部生成したワードクロックWCKを、デジタルオーディオ再生装置102とアナログオーディオ出力装置104とに供給し、デジタルオーディオ再生装置102から入力されるデジタルオーディオインターフェース信号のジッタを除去してアナログオーディオ出力装置104に出力する。
【0028】
アナログオーディオ出力装置104は、デジタルオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換するD/A変換器を備え、ジッタ除去装置103から供給されるワードクロックWCKに基づいて、受信したデジタルオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換して出力する。
【0029】
ワードクロックWCKは、ジッタ除去装置103で生成され、デジタルオーディオ再生装置102及びアナログオーディオ出力装置104に供給される。すなわち、ジッタ除去装置103がクロックマスターであり、デジタルオーディオ再生装置102及びアナログオーディオ出力装置104はスレーブとなる。
【0030】
デジタルオーディオ再生装置103は、ジッタ除去装置103から供給されるワードクロックWCKに同期したデジタルオーディオインターフェース信号を出力する。このデジタルオーディオインターフェース信号とワードクロックWCKは、周波数は同じであるが、両者の位相関係は装置により異なるため不明である。
【0031】
ジッタ除去装置103は、デジタルオーディオ再生装置103から入力されたデジタルオーディオインターフェース信号の位相を調整した後、内部で生成した高精度クロックを用いて、シリアル伝送チャンネルビット毎にラッチし直す。
【0032】
この結果、ジッタ除去装置103からは、デジタルオーディオ再生装置102に起因するジッタが取り除かれたデジタルオーディオインターフェース信号が出力される。アナログオーディオ出力装置104は、ジッタ除去装置103からのジッタのないデジタルオーディオインターフェース信号と、高精度なワードクロックWCKにより忠実度の高いアナログオーディオ信号を再現することができる。
【0033】
図2は、本実施例におけるジッタ除去装置の概略構成を示す模式図である。
図2において、ジッタ除去装置103は、クロック生成部201、エッジ検出部202、位相検出部203、位相チェック信号生成部204、可変ディレイ部205、ラッチ部206を備えている。
【0034】
ここで、入力デジタルオーディオインターフェース信号(入力信号)をIDT(Input Digital audio inTerface signal)とし、遅延デジタルオーディオインターフェース信号(遅延信号)をDDT(Delayed Digital audio inTerface signal)とし、出力デジタルオーディオインターフェース信号(出力信号)をODT(Output Digital audio inTerface signal)とする。
【0035】
クロック生成部201は、後述する位相検出部203が4分割位相検出を行うために、伝送チャンネルクロック周波数128fsの2倍の周波数256fsのマスタークロックMCKを発生する高精度の水晶発振器を備えている。
【0036】
また、クロック生成部201は、周波数256fsのマスタークロック(MCK:Master ClocK)を2分周した周波数128fsのラッチクロック(LCK:Latch ClocK)と、さらに128分周したサンプリング周波数fsのワードクロックWCKとを生成する。ワードクロックWCKは、デジタルオーディオ再生装置102とアナログオーディオ出力装置104とに送られる。
【0037】
エッジ検出部202は、入力信号IDTの符号変化点(伝送されるデジタル信号のレベルが「H」から「L」、又は、「L」から「H」に遷移する部分)を検出し、符号変化点でエッジパルス(EGP:EdGe Pulse)を発生する。
【0038】
位相検出部203は、マスタークロックMCK及びラッチクロックLCKに基づいて、ラッチクロックLCKに対する入力信号IDTの符号変化点(エッジ)の位相関係を2ビットで表した位相検出信号を生成し、位相検出信号を後述する可変ディレイ部205に出力する。
【0039】
可変ディレイ部205は、位相検出部203の位相検出信号に応じて、入力信号IDTを遅延させ、遅延信号DDTを出力する。
【0040】
ラッチ部206は、可変ディレイ部206から出力された遅延信号DDTを、ラッチクロックLCKを用いてビット単位でラッチし、出力信号ODTを出力する。
【0041】
電源投入時、結線変更時等により入力信号IDTの位相が大幅にずれた場合、可変ディレイ部205において入力信号IDTを遅延させる遅延量を修正する。
【0042】
位相チェック信号生成部204は、位相検出部203が検出した各初期位相に対して一定の位相許容範囲を規定するインバリッドゲート信号(INV:INValid gate signal)を生成する。
【0043】
位相検出部203は、入力信号IDTの位相が初期位相に対して許容範囲以上ずれた場合、新たに位相検出を行う。可変ディレイ部205は、位相検出部203により新たに検出された位相に応じて、入力信号IDTの遅延量を変更する。
【0044】
エラー表示部207は、位相検出部203からの位相検出信号に基づいて、オーディオ信号の再生中に位相ずれによる伝送エラーが発生したことを示す表示を行う。
【0045】
図3は、本実施例のジッタ除去装置の概略動作の一例を説明するためのタイミング図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、マスタークロックMCKとワードクロックWCKの2ビットの組合せにより区別される区間を区間A〜区間Dと定義する。
【0046】
デジタルオーディオ再生装置102からの入力信号IDTの符号変化点が、図3(c)に示すように、区間D(図3(a))に存在すると仮定する。
【0047】
このとき、ラッチクロックLCK(図3(b))によるラッチタイミング(図3中の上向き矢印)に符号変化点が近いため、このままラッチするとエラーとなる危険性がある。そこで、入力信号IDT(図3(c))に一定の遅延量を与え符号変化点をずらし、信号の安定した位置でラッチすることができるようにする。
【0048】
そのために、エッジ検出部202は、入力信号IDTの符号変化点で、図3(d)に示すようなエッジパルスEGPを発生する。
【0049】
位相検出部203は、入力信号IDTのラッチクロックLCKに対する位相関係を検出するために、エッジ検出部202からのエッジパルスEGPが、前述の区間A〜区間Dの4つの区間のうちのどの区間にあるかを検出する。
【0050】
この例では、エッジパルスEGP(符号変化点)が区間Dにあるので、位相検出部203は、当該位相関係を表す位相検出信号(0,0)を可変ディレイ部205に出力する。
【0051】
可変ディレイ部205は、位相検出信号(0,0)が入力されると、図3(e)に示す2t遅延された遅延信号DDTを選択し、ラッチ部206に出力する。2t遅延信号DDTは、符号変化点が区間Bに存在するため、ラッチクロックLCKでラッチする際にラッチエラーが生じることがない。
【0052】
ラッチ部206は、高精度水晶発振器によるマスタークロックMCKから分周されたラッチクロックLCKを用いて遅延信号DDTをラッチし、図3(f)に示すジッタのない出力信号ODTをアナログオーディオ出力装置104に出力する。
【0053】
入力信号IDT(図3(c))の位相が、位相検出部203で検出した初期位相より大幅にずれ、例えば区間Bとなった場合、遅延信号DDTの2tの遅延量が不適切となるため、位相の再検出が必要となる。そのため、位相チェック信号生成部204は、位相検出部203に対して、図3(g)に示すインバリッドゲート信号INVを常時出力している。
【0054】
位相検出部203は、エッジパルスEGPの位相ずれが許容範囲を超え、インバリッドゲート信号INVのインバリッドエリア内に入ってきた場合、新たにエッジパルスEGPのラッチクロックLCKに対する位相関係を検出し、可変ディレイ部205は、それにしたがって適切な遅延量に再設定する。
【0055】
次に本実施例のジッタ除去装置における各部の動作について詳細に説明する。
図4は、エッジ検出部の一例を説明するための模式図である。
エッジ検出部202は、例えば、図4(a)に示す回路を用い、入力信号IDTを2系統に分け、一方をディレイにより遅延し(IDT’)、入力信号IDTと入力信号IDT’との排他的論理和(XOR)の演算を行うことにより、エッジパルスEGP(図4(b))を得ることができる。
【0056】
図5は、位相検出部の回路構成の一例を説明するための模式図である。
位相検出部203は、例えば、図5(a)に示すように、2つのDフリップフロップ回路により構成する。一方のDフリップフロップ回路のデータ入力(D)には、ラッチクロックLCKが入力され、他方のDフリップフロップ回路のデータ入力には、マスタークロックMCKが入力される。
【0057】
両方のDフリップフロップ回路のクロック入力(CLK)には、エッジパルスEGPをインバリッドゲート信号INVを用いて検出した位相検出パルス(PDP:Phase Detect Pulse)が入力され、位相検出の必要が生じた場合、位相検出パルスPDPの立ち上がり時のラッチクロックLCK、マスタークロックMCKのデータが、図5(b)に示すような位相検出信号(PH1,PH2)として、次のクロックが入力されるまで保持される。
【0058】
以上のエッジ検出部202と位相検出部203とにより、入力信号IDTの符号変化点が、ラッチクロックLCKに対して、どのような位相関係にあるかを、2ビットの位相検出信号(PH1,PH2)により判別することができる。
【0059】
図6は、可変ディレイ部の一例を説明するための模式図である。
可変ディレイ部205は、例えば、図6(a)に示すように、データセレクタ206aと複数のディレイ素子206b〜206dにより構成される。遅延量は、ディレイ1分当たりマスタークロックMCKの1/2周期に設定される。このマスタークロックMCKの1/2周期分の遅延時間を「t」とする。
【0060】
データセレクタ206aの入力端子S1、S2には、位相検出部203から入力された位相検出信号(PH1,PH2)が入力される。
【0061】
入力信号IDTは、単位遅延量1tのディレイ素子(206a、206b、206c)を3個直列に配置した回路に入力される。データセレクタ206aの入力端子C2、C3、C0、C1には、それぞれ入力信号IDT、ディレイ素子206aからの1t遅延信号、ディレイ素子206bからの2t遅延信号、ディレイ素子206cからの3t遅延信号が入力される。
【0062】
出力端子Yからは、図6(b)に示すように、入力端子S1、S2に入力される位相検出信号(PH1,PH2)に基づいて選択された遅延信号DDTが出力される。
【0063】
図6(b)において、出力端子Yからは、位相検出信号(0,0)のとき、入力端子C0に入力された遅延量2tの遅延信号DDTが出力され、位相検出信号(0,1)のとき、入力端子C1に入力された延量3tの遅延信号DDTが出力され、位相検出信号(1,0)のとき、入力端子C2に入力された遅延量0の遅延信号DDTが出力され、位相検出信号(1,1)のとき、入力端子C3に入力された遅延量1tの遅延信号DDTが出力される。
【0064】
図7は、位相検出部及び可変ディレイ部の動作を説明するためのタイミング図である。
入力信号IDTは、図7(c)〜図7(f)に示すように、その符号変化点が存在する位相により、IDT(A)〜IDT(D)の4種類に分類できる。ここで、波形上の四角形は、符号変化点の分布範囲を示す。
【0065】
位相検出部203において、図7(a)に示すマスタークロックMCK及び図7(b)に示すラッチクロックLCKをそれぞれエッジパルスEGPでラッチすると、区間A〜区間Dでは、それぞれ(1,1)、(1,0)、(0,1)(0,0)の4つのパターンの位相検出信号(PH1、PH2)が得られる。これによって、入力信号IDTの符号変化点が、どの区間にあるかを検出することができる。
【0066】
これらの4通りの入力信号IDTのうち、入力信号IDT(A)と入力信号IDT(D)の符号変化点は、ラッチクロックLCKの立ち上がりのタイミングに隣接しているため、ジッタによりラッチエラーが生じる可能性がある。
【0067】
また、入力信号IDT(C)は、ラッチタイミングがラッチクロックLCKのパルスの前半部となるため、符号変化点の過渡応答の影響を受ける可能性がある。
【0068】
したがって、符号変化点が区間Bの範囲にある入力信号IDT(B)のラッチタイミングがラッチクロックLCKのパルスの後半となるため、ラッチクロックLCKにより最も安定してラッチが行われる位相である。
【0069】
IDT(A)〜IDT(D)の入力信号に対して、各々適切な遅延量を加えることにより、ラッチクロックLCKにより安定してラッチすることが可能な区間Bに符号変化点を揃えることができる。
【0070】
可変ディレイ部205は、位相検出信号に基づいて、前述した4パターンのうちのいずれかの遅延量に基づいて、入力信号IDTを遅延させる。
【0071】
それぞれに必要となる遅延量は、図7(c)〜図7(f)に示すように、IDT(A)は「1t」、IDT(B)は0、IDT(C)は「3t」、IDT(D)は「2t」である。
【0072】
したがって、可変ディレイ部205からの遅延信号DDT(A)〜DDT(D)は、常に区間Bに符号変化点をもつ信号となり、ラッチクロックLCKにより安定してラッチされる。
【0073】
図8は、位相チェック信号生成部の一例を説明するための模式図である。
図8(a)は位相チェック信号生成部の一例の回路構成を示し、図8(b)は位相区間とリセット区間との関係を示す表である。
図9は、位相チェック信号生成部の動作を説明するためのタイミング図である。
【0074】
図8(a)に示すように、位相チェック信号生成部204は、初期に位相検出部203で検出されたラッチクロックLCK(図8(b))に対する入力信号IDTの位相関係が、その後、大きくずれたか否かを検出するためのインバリッドゲート信号INVを発生する。
【0075】
本実施例においては、インバリッドゲート信号INVのインバリッドエリアの幅をマスタークロックLCKの半周期の幅とする。
【0076】
図9に示すように、インバリッドゲート信号INVは、位相検出部203の出力パターンに対応する4パターンがあり、例えば、エッジパルスEGPが区間Aの場合に対して反対側の区間C、エッジパルスEGPが区間Bの場合に対して区間D、エッジパルスEGPが区間Cの場合に対して区間A、エッジパルスEGPが区間Dの場合に対して区間Bのように、ラッチクロックLCKに対する位相関係が反対の区間をインバリッドエリアとする。
【0077】
すなちわ、図8(c)〜図8(f)に示すように、区間A〜区間Dのそれぞれに対するインバリッドエリアを有するインバリットゲート信号INVは、それぞれINV(A)〜INV(D)(図8(c)〜図8(f))となる。
【0078】
図8(b)に示すように、4通りのインバリットゲート信号INVの中から、入力信号IDTの初期位相に応じて位相検出部203からの位相検出信号(PH1,PH2)に基づいて選択され、位相検出部203に出力される。
【0079】
位相検出部203は、インバリッドゲート信号INVのLレベルの領域にエッジパルスEGPが存在するときは、位相検出を行わず、それまでの状態を維持する。Hレベルの領域にエッジパルスEGPが入ってきたときのみ、位相検出を行う。従って通常は、一度最適な位相を検出すれば、その状態で固定される。
【0080】
なお、ジッタにより符号変化点がマスタークロックMCKの1/2周期分以上移動する場合は、デジタルオーディオ再生装置102側のPLL回路の精度を上げることにより、ジッタ成分をマスタークロックMCKの1/2周期分以内に抑える必要がある。
【0081】
以上のように、ジッタ除去装置103は、ラッチクロックLCKを用いてデジタルオーディオインターフェース信号IDTの常に安定した部分をラッチしてアナログオーディオ出力装置104に出力する。
【0082】
したがって、デジタルオーディオ再生システムにおいて、デジタルオーディオデータのジッタを除去することができ、オーディオ信号の音質劣化を低減させることができる。
【0083】
図10は、本発明のジッタ除去装置の他の実施例の概略構成を示す模式図である。
図10に示すように、ジッタ除去装置103の構成要素のうち、エッジ検出部202、位相検出部203、位相チェック信号生成部204及び可変ディレイ部205一次側(デジタルオーディオ再生装置側)に備え、クロック生成部201及びラッチ部206を二次側(アナログオーディオ出力装置側)に備え、両者を電気的に分離し、遅延信号DDT、ラッチクロックLCK及びマスタークロックMCKのみ光学的に伝送することも可能である。
【0084】
このとき、ラッチクロックLCKを分周してワードクロックWCKを生成する分周部207を一次側に備えれば、ワードクロックWCKを光伝送しなくてもよい。
【0085】
以上の実施例において、周波数、位相区分、遅延量、パルス幅等の数値は、一例であり、本発明を制限するものではない。また、本実施例においては、ジッタ除去対称を、IEC958のデジタルオーディオインターフェース信号としているが、その他のシリアルデータ伝送フォーマットにも適用可能である。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、デジタルオーディオ再生装置とアナログオーディオ出力装置とを1線式のデジタルオーディオインターフェースを用いて接続する際に、デジタルオーディオデータを最適なタイミングでラッチし、ジッタを除去することができ、オーディオ信号の音質劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデジタルオーディオ再生システムの一実施例の概略構成を示す模式図。
【図2】本発明のジッタ除去装置の一実施例の概略構成を示す模式図。
【図3】本実施例のジッタ除去装置の動作例を説明するためのタイミング図。
【図4】エッジ検出部の回路構成の一例を示す模式図。
【図5】位相検出部の回路構成の一例を示す模式図。
【図6】可変ディレイ部の回路構成の一例を示す模式図。
【図7】位相検出部及び可変ディレイ部の動作を説明するためのタイミング図。
【図8】位相チェック信号生成部の回路構成の一例を示す模式図。
【図9】位相チェック信号生成部の動作を説明するためのタイミング図。
【図10】本発明のジッタ除去装置の他の実施例の概略構成を示す模式図。
【符号の説明】
101・・・デジタルオーディオ再生システム、102・・・デジタルオーディオ再生装置、103・・・ジッタ除去装置、104・・・アナログオーディオ出力装置。
201・・・クロック生成部、202・・・クロック分周部、203・・・エッジ検出部、204・・・位相検出部、205・・・位相チェック信号生成部、206・・・可変ディレイ部205a・・・データセレクタ、206b、206c、206d・・・ディレイ素子、207・・・ラッチ部、208・・・エラー表示部。
Claims (2)
- デジタルオーディオインターフェース信号のジッタを除去するジッタ除去装置において、マスタークロック、ラッチクロック及びワードクロックを生成するクロック生成部と、前記デジタルオーディオインターフェース信号の符号変化点を検出しエッジパルスを発生するエッジ検出部と、前記エッジパルスの前記ラッチクロックに対する位相を判別して位相検出信号を出力する位相検出部と、該位相検出信号に基づいて前記デジタルオーディオインターフェース信号を遅延させる可変ディレイ部と、前記ラッチクロックを用いて前記遅延されたデジタルオーディオインターフェース信号をラッチするラッチ部と、前記位相検出部に再度位相検出を行わせるための位相範囲を設定する位相チェック信号生成部とを備えたことを特徴とするジッタ除去装置。
- 記録媒体に記録されたデジタルオーディオデータを再生し外部ワードクロックに同期してデジタルオーディオインターフェース信号を出力するデジタルオーディオ再生装置と、ジッタ除去装置と、前記ジッタ除去装置から出力された前記デジタルオーディオインターフェース信号をオーディオ信号に変換して出力するオーディオ出力装置とを備え、前記ジッタ除去装置は、マスタークロック、ラッチクロック及びワードクロックを生成するクロック生成部と、前記デジタルオーディオインターフェース信号の符号変化点を検出しエッジパルスを発生するエッジ検出部と、前記エッジパルスの前記ラッチクロックに対する位相を判別して位相検出信号を出力する位相検出部と、該位相検出信号に基づいて前記デジタルオーディオインターフェース信号を遅延させる可変ディレイ部と、前記ラッチクロックを用いて前記遅延されたデジタルオーディオインターフェース信号をラッチするラッチ部と、前記位相検出部に再度位相検出を行わせるための位相範囲を設定する位相チェック信号生成部とを備えたことを特徴とするデジタルオーディオ再生システム。
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