まず、本発明に係る第1の発光素子について説明する。
本発明に係る第1の発光素子によれば、低電圧を印加しても色素の酸化還元反応が生じ、電解質の分解を抑制することができるため、色素の酸化還元反応の可逆性を向上することができ、発光素子の寿命が向上される。
本発明に係る第1の発光素子は、少なくとも2つの電極、すなわち第1の電極と第2の電極を具備する。第1の電極と第2の電極は、1つのセル内に配置され、かつ互いに電気的に絶縁されている。例えば、第1の電極と第2の電極は、絶縁性の取れた同一基板上に配置されていても良いが、第1の電極に第2の電極を所望の距離を開けて対向させてもよい。
また、第1の電極と第2の電極には多孔質層を設けなくても良いが、第1の電極及び第2の電極のうち少なくとも一方に多孔質層を形成すると、発光強度をさらに高くすることができる。多孔質層は、第1の電極の第1の面か、第2の電極の第2の面、あるいは第1の面と第2の面の双方に形成することができる。
以下、第1の電極、第2の電極、多孔質層、及び電解質について説明する。
(第1の電極及び第2の電極)
まず1番目の方法を説明する。第1の電極及び第2の電極としては、それぞれに透明電極を用いるか、あるいは一方をカーボンシート、金属基板もしくは合金基板から形成し、他方を透明電極から形成することが可能である。カーボンシートとしては、炭素材料が導電性成分として機能するものであれば、特に限定されない。金属基板および合金基板としては、後述する第2の発光素子において説明するものを使用することが可能である。これにより発光強度を向上することができる。
透明電極は、可視光領域の吸収が少なく、かつ導電性を有する透明導電膜を備えることが好ましい。この透明導電膜には、フッ素あるいはインジウムなどがドープされた酸化スズ膜、フッ素あるいはインジウムなどがドープされた酸化亜鉛膜などが好ましい。また、伝導性を向上させて抵抗の上昇を防ぐ観点から、透明電極と併用して低抵抗な金属マトリクスを配線することが望ましい。
もうひとつの方法としては第1の電極および第2の電極を絶縁された同一の基板上に配置する方法がある。このとき、配線は1番目と同様の基板を使用することが可能である。電極は第1の電極と第2の電極を互い違いに櫛形に配置する方法がある。第一の電極と第2の電極の間隔絶縁基板に対向する基板は導電性を具備しない通常の透明基板でかまわない。
(支持基板)
透明電極は、透明導電膜を担持するための支持基板をさらに備えることが望ましい。支持基板の透明導電膜が形成された面と反対側の面を発光面として機能させるため、支持基板には、ガラス基板、プラスチック基板などの可視光領域の吸収が少ない透明基板を用いるのが好ましい。
(多孔質層)
多孔質層は、例えば、金属や合金などの導体、半導体、絶縁体から形成することが可能である。中でもチタニアなどのn型半導体がもっとも好ましい。チタニアなどのn型半導体によると、色素は第1,第2の電極だけでなく多孔質層とも電子のやり取りが可能になるため、アルミナのような絶縁体を使用する場合に比して発光強度を高くすることが可能になるからである。
金属としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、白金、銀等を挙げることができる。また、合金としては、上記種類の金属を含むものを挙げることができる。
半導体としては、例えば、可視光領域の吸収が少ない透明な半導体から構成することが望ましい。かかる半導体としては、金属酸化物半導体が好ましい。具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、亜鉛、インジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンあるいはタングステンなどの遷移金属の酸化物、SrTiO3、CaTiO3、BaTiO3、MgTiO3、SrNb2O6のようなペロブスカイト、あるいはこれら複合酸化物または酸化物の混合物、GaNなどを挙げることができる。
絶縁体には、例えば、アルミナ、シリカなどを用いることができる。
(電解質)
電解質は、第1の電極と第2の電極と電気的に接触している。また、電解質は、下記式(A)で表される構造を有するカチオン成分及びアニオン成分を含む溶融塩と、可逆的な酸化還元体構造をとる発光色素とを含有する。
発光色素は特に限定されないが、りん光色素であることが望ましい。りん光色素は重金属の錯体であることが望ましい。用いられる重金属はIr、Tb、Yb、Nd、Er、Ru、Os、Reなどが用いられる。錯体中の重金属の種類は1種類または2種類以上にすることができる。配位子はピリジン誘導体、ビピリジル誘導体、ターピリジル誘導体、フェナントロリン誘導体キノリン誘導体、アセチルアセトン誘導体、ジカルボニル化合物誘導体などが用いられる。中でも、中心金属にRuをもつ錯体が望ましい。これにより高い発光強度を得ることができる。
前述した式(A)で表されるカチオン成分を有する溶融塩は、室温で蒸気圧を持たない室温溶融塩であることが望ましい。構造は特に限定されないが、カチオン種にはイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、4級アンモニウム塩などを用いることができる。その中でもイミダゾリウム塩が長寿命を得られるために望ましい。
カチオンは、以下の化11〜化16に示す6種類のカチオンのうちの少なくとも1種類を用いることが望ましい。中でも、化12が好ましい。化12の化合物は粘度が低く、色素の拡散がしやすいため電気化学反応が速やかに行われるために好ましい。
前述した化11に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
前述した化11に示すカチオンを構成するR1、R2、R3及びR4については、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、もしくはCとHとOを含む置換基にすることができる。中でも、アルキル基、フェニル基、ベンジル基が好ましい。また、炭素、水素及び酸素を含む置換基の中では、アルキル基が好ましい。R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも一つの置換基がフェニル基もしくはベンジル基であることが望ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して電解質のイオン拡散性が低下する恐れがあるからである。炭素数のより好ましい範囲は、1〜4である。
(1)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下のアルキル基であるカチオンとして、例えば、N,N,N,N−テトラメチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルイソプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルイソブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルイソペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルネオペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−tert−ペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−(2−メチルブチル)アンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘプチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルオクチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N,N−ジメチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルイソプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルイソブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルペンチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−イソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N,N−ジイソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチル−N−メチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルイソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルイソブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルペンチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N,N−ジイソプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルイソブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルイソブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N,N−テトラエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルイソプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N,N−ジプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−イソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N,N−ジイソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルブチルアンモニウムイオン、N,N,N,N−テトラプロピルアンモニウムイオン、N,N,N,N−テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
(2)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下のフェニル基であるカチオンとして、例えば、N,N,N−トリメチルアニリニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルアニリニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルアニリニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルアニリニウムイオン、N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルアニリニウムイオン、N,N,N−トリエチルアニリニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルアニリニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−ペンチルアニリニウムイオン、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N−ヘプチル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−オクチルアニリニウムイオン、N,N,N−トリメチルトルイジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルトルイジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルトルイジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルトルイジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルトルイジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルトルイジニウムイオン、N,N,N−トリエチルトルイジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルトルイジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルトルイジニウムイオンが挙げられる。
(3)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下のベンジル基であるカチオンとして、例えば、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルベンジルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルベンジルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−ペンチルベンジルアンモニウムイオン、N−ヘキシル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N−ヘプチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−オクチルベンジルアンモニウムイオンが挙げられる。
(4)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下で炭素、水素及び酸素を含む置換基であるカチオンとして、例えば、2−メトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−エトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−プロポキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−イソプロポキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−メトキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルペンチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルヘキシルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルヘプチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルオクチルアンモニウムイオン、2−エトキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、2−プロポキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、2−イソプロポキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルアニシジニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルアニシジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルアニシジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルアニシジニウムイオン、N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルアニシジニウムイオン、N,N,N−トリエチルアニシジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルアニシジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−ペンチルアニシジニウムイオン、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N−ヘプチル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−オクチルアニシジニウムイオンが挙げられる。
中でも、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオンが好ましい。
前述した化12に示すカチオンを構成するR5、R6、R7及びR8については、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基、CとHとOを含む置換基もしくは水素原子にすることができる。中でも、アルキル基が好ましい。また、炭素、水素及び酸素を含む置換基の中では、アルキル基が好ましい。炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して電解質のイオン拡散性が低下する恐れがあるからである。炭素数のより好ましい範囲は、R5及びR7においては1〜4であり、R6及びR8においては0〜2である。炭素数が0の場合とは、水素の場合である。
前述した化12に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
(1)R5及びR7が、炭素数が8以下のアルキル基、R6及びR8が、水素であるカチオンとして、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ネオペンチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−tert−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−フェニルイミダゾリウムイオン、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ネオペンチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−イソペンチルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−tert−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジ−プロピルイミダゾリウムイオン、1−プロピル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ネオペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−イソペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ネオペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−イソペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1,3−ジブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−イソブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−sec−ブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−tert−ブチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジイソブチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−sec−ブチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−tert−ブチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジーsec−ブチルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−tert−ブチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
(2)R5、R6、R7及びR8が、炭素数が8以下のアルキル基であるカチオンとして、例えば、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、3−エチル−1,2−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジエチル−4−メチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
(3)R5及びR7が、炭素数が8以下のアルキル基、R6及びR8が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素を含む置換基であるカチオンとして、例えば、2−(2−メトキシエチル)ー1−エチルー3−メチルイミダゾリウムイオン、2−(2−メトキシエチル)−1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、2−(2−メトキシエチル)ー1,3−ジエチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
(4)R5及びR7が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素を含む置換基、R6及びR8が水素であるカチオンとして、例えば、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジ(2−メトキシエチル)イミダゾリウムイオン、1−(2−エトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
(5)R5及びR7が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素を含む置換基、R6及びR8が、炭素数が8以下のアルキル基であるカチオンとして、例えば、1−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジ(2−メトキシエチル)−2−メチルイミダゾリウムイオン、1−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
(6)R5、R6、R7及びR8が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素を含む置換基であるカチオンとして、例えば、1,2−ジ(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジ(2−メトキシエチル)−3−エチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
中でも、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオンが好ましい。
前述した化13に示すカチオンを構成するR9については、アルキル基が好ましい。また、炭素、水素及び酸素を含む置換基の中では、アルキル基が好ましい。炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して電解質のイオン拡散性が低下する恐れがあるからである。炭素数のより好ましい範囲は、1〜4である。
前述した化13に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
(1)R9が炭素数が8以下のアルキル基であるカチオンとして、例えば、N−メチルピリジニウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−イソプロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、N−イソブチルピリジニウムイオン、N−sec−ブチルピリジニウムイオン、N−tert−ブチルピリジニウムイオン、N−ペンチルピリジニウムイオン、N−ネオペンチルピリジニウムイオン、N−イソペンチルピリジニウムイオン、N−(2−メチルブチル)ピリジニウムイオン、N−tert−ペンチルピリジニウムイオン、N−ヘキシルピリジニウムイオン、N−へプチルピリジニウムイオン、N−オクチルピリジニウムイオンが挙げられる。
(2)R9が炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素を含む置換基のカチオンとして、例えば、N−(2−メトキシエチル)ピリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)ピリジニウムイオンが挙げられる。
前述した化14に示すカチオンを構成するR10及びR11については、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、もしくはCとHとOを含む置換基にすることができる。中でも、アルキル基、フェニル基、ベンジル基が好ましい。また、炭素、水素及び酸素を含む置換基の中では、アルキル基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して電解質のイオン拡散性が低下する恐れがあるからである。炭素数のより好ましい範囲は、1〜4である。
前述した化14に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
(1)R10及びR11が炭素数が8以下のアルキル基のカチオンとして、例えば、N,N−ジメチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N,N−ジエチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−イソブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘキシルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘプチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオンが挙げられる。
(2)R10及びR11が炭素数が8以下のフェニル基のカチオンとして、例えば、N−メチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−フェニル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−フェニル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−ペンチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−オクチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリル−ピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピロリジニウムイオンが挙げられる。
(3)R10及びR11が炭素数が8以下のベンジル基のカチオンとして、例えば、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ブチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘキシルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘプチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピロリジニウムイオンが挙げられる。
(4)R10及びR11が炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素を含む置換基のカチオンとして、例えば、N−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)ーN−メチルピロリジニウムイオン、N−メチルーN−(2−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオン、N−メチルーN−(4−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオン、N−エチルーN−(2−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオン、N−エチルーN−(4−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオンが挙げられる。
中でも、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオンが好ましい。
前述した化15に示すカチオンを構成するR12及びR13については、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、もしくはCとHとOを含む置換基にすることができる。中でも、アルキル基、フェニル基、ベンジル基が好ましい。また、炭素、水素及び酸素を含む置換基の中では、アルキル基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して電解質のイオン拡散性が低下する恐れがあるからである。炭素数のより好ましい範囲は、1〜4である。
前述した化15に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
(1)R12及びR13が炭素数が8以下のアルキル基のカチオンとして、例えば、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N,N−ジエチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−イソブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘキシルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘプチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオンが挙げられる。
(2)R12及びR13が炭素数が8以下のフェニル基のカチオンとして、例えば、N−メチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−フェニル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−フェニル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−ペンチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−オクチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピペリジニウムイオンが挙げられる。
(3)R12及びR13が炭素数が8以下のベンジル基のカチオンとして、例えば、N−ベンジル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ブチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘキシルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘプチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリル−ピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピペリジニウムイオンが挙げられる。
(4)R12及びR13が炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素を含む置換基のカチオンとして、例えば、N−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)ーN−メチルピペリジニウムイオン、N−メチルーN−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−メチルーN−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチルーN−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチルーN−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオンが挙げられる。
中でも、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオンが好ましい。
前述した化16に示すR14、R15、及びR16については、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基、もしくはCとHとOを含む置換基にすることができる。中でも、アルキル基が好ましい。また、炭素、水素及び酸素を含む置換基の中では、アルキル基が好ましい。炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して電解質のイオン拡散性が低下する恐れがあるからである。炭素数のより好ましい範囲は、R14及びR16においては1〜4であり、R15においては1〜2である。
前述した化16に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
(1)R14、R15、及びR16が、炭素数が8以下のアルキル基であるカチオンとして、例えば、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウムイオン、3−エチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオン、1,2−ジメチル−3−イソプロピルイミダゾリニウムイオン、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリニウムイオンが挙げられる。
(2)R14及びR16が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素を含む置換基、R15が炭素数が8以下のアルキル基であるカチオンとして、例えば、1−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリニウムイオン、1,3−ジ(2−メトキシエチル)−2−メチルイミダゾリニウムイオン、1−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリニウムイオンが挙げられる。
中でも、3−エチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウムイオンが好ましい。
また、溶融塩を構成するアニオン成分は特に限定されないが、BF4 -、PF6 -、B(C2O4)2 -、あるいは下記(化学式A)〜(化学式D)に示すアニオンのうちの少なくとも1種類を含有することが望ましい。
(CmF2m+1SO3)- (化学式A)
但し、前記(化学式A)式におけるmは1以上、8以下である。
(CnF2n+1SO2)(CpF2p+1SO2)N- (化学式B)
但し、前記(化学式B)式において、n及びpはそれぞれ1以上、8以下の範囲内で、かつ互いに同じ値でも異なっていても良い。
(CqF2q+1SO2)(CN)N- (化学式C)
N-(CN)2 (化学式D)
但し、前記(化学式C)式において、qは1以上、8以下の範囲内である。上記化学式A〜Cにおけるm、n、p及びqそれぞれの値を8以下にするのは、それぞれの値が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して電解質のイオン拡散性が低下する恐れがあるからである。
中でも、置換基にフッ素原子が存在するものが望ましい。これにより、電解質層の粘度を低下させて電解質層のイオン拡散性を向上することができるため、発光強度を高くすることができる。特に(CF3SO2)2N-が好ましい。
溶融塩添加による十分な寿命改善効果を得るには、電解質中の溶融塩の含有量は、体積比で80%以上であることが好ましい。さらに好ましい範囲は体積比で90%以上である。
また、電解質には、非イオン性の有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒を添加することにより粘度が低下し、さらに発光強度を向上させることが可能になるからである。この有機溶媒はリチウム二次電池に用いられる有機溶媒を用いることができ、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルプロピルカーボネートなどの炭酸エステル類や、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどのエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、及びこれら化合物にフッ素などの置換基を導入した各種溶媒からなる群より選択される溶媒を用いることができる。有機溶媒の種類は1種類もしくは2種類以上にすることができるが、中でも、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートまたはビニレンカーボネートが好ましい。
但し、有機溶媒の多量添加は、酸化還元反応の可逆性を損なう恐れがあることから、有機溶媒の添加量としては、電解質の20体積%以下とすることが望ましい。
上述した第1,第2の電極として平板電極を使用し、第1の電極と第2の電極を対向させ、これら第1,第2の電極をスペーサで隔て、第1,第2の電極とスペーサによって設けられた空間内に電解質を収容し、エポキシ樹脂のような封止材で封止しても良いが、第1,第2の電極、多孔質層及び電解質を備えたセルをフィルム製容器に封入しても良い。これにより、封止材が不要となるため、封止材が電解質へ溶出して色素の発光が阻害されるのを回避することができる。また、製造工程の簡素化を図ることが可能となる。
本発明に係る第3の発光素子は、フィルム製容器と、
前記容器内に収納され、第1の面を有する第1の電極と、
第2の面を有する第2の電極と、
前記第1の電極の第1の面と前記第2の電極の第2の面の間に介在され、前記第1の電極と前記第2の電極と電気的に接触しており、前記式(A)で表される構造を有するカチオン成分及びアニオン成分を含む溶融塩と発光色素とを含有する電解質と
を具備することを特徴とするものである。
この第3の発光素子によれば、発光素子のセル全体をフィルム製容器内に封入することができるため、第1の電極と第2の電極間に電解質を封入するための封止材を不要にすることができる。その結果、電解質に封止材が溶出するのを防止することができるため、電解質中の発光色素の劣化を抑制することができ、発光強度が高く、かつ長寿命な発光素子を実現することができる。
発光素子においては、第1の電極及び第2の電極のうち少なくとも一方は、光の取り出しのために透明電極が使用される。この透明電極の電解質と電気的に接する面と反対側の面は、発光面(光取り出し面)として機能する。よって、フィルム製容器の発光面と対向する面は、透明な熱可塑性樹脂から形成することが望ましく、この面以外の箇所は、酸素透過による色素の失活を抑制するために、Al層もしくはAl合金層を含むラミネートフィルムから形成することが望ましい。
透明な熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンが使用できる。
Al層もしくはAl合金層を含むラミネートフィルムとしては、特に限定されないが、例えば、容器内面を構成する熱可塑性樹脂層と、容器外表面を構成する樹脂層と、熱可塑性樹脂層と樹脂層との間に配置されたAl層もしくはAl合金層とを備えるラミネートフィルムを挙げることができる。
熱可塑性樹脂層は、容器を封止するためのシーラント層として機能するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンから形成することができる。
樹脂層は、Al層及びAl合金層を補強するためのものであり、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子から形成することができる。
フィルム製容器を構成するフィルムの厚さは、0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下にすることが望ましい。これにより、発光素子セルの薄型化を図ることが可能になるからである。また、容器の機械的強度を確保するため、フィルム厚さの下限値は0.01mmにすることが望ましい。
発光素子中の発光色素は、外部から印加される電圧によって第1の電極及び第2の電極で酸化還元反応が行なわれた結果、酸化体および還元体となる。Ruビピリジル錯体の場合、2価のRuが1価に還元される電位と2価のRuが3価に酸化される電位との差は、アセトニトリルなどの有機溶剤中では約2.2Vである。この電位差は、溶融塩(イオン性液体)中では1.3Vと減少する。これは、2価から3価への酸化電位はほとんど変わらないが、2価から1価への還元電位が正電位方向にシフトするからである。
n型半導体から形成された多孔質層は、色素に効率よく電位を注入することが可能な電極である。n型半導体としてはチタニアが望ましい。アセトニトリルなどの有機溶剤を電解質に使用する場合、Ruを含む発光色素の還元電位が、n型半導体のコンダクションバンド(conduction band)より負電位側にある。このため、発光色素を還元するために、n型半導体から形成された多孔質層に電子を注入し、n型半導体電極の電位をより負電位側に移動させる必要がある。その結果、駆動電圧が高くなる。
本実施形態のように電解質に溶融塩(イオン性液体)を使用すると、Ruを含む発光色素の還元電位が正電位にシフトするため、多孔質層への電子の注入を不要にすることができる。その結果、必要な電圧は酸化側の電位に依存するため、低電圧駆動が可能となる。本実施形態に係る発光素子は、発光開始電圧を1.5V以上、2.0V以下にすることができる。なお、発光開始電圧は、トプコン社製BM−8輝度計またはこれと同等の機能を有する輝度計を使用した際の最低表示単位である1cd/m2を示した電圧である。
ところで、第1の電極及び第2の電極にITO電極が用いられる発光素子に外部から電圧を印加する際、この電圧を与える電位を一定に定めることができない。よって、この発光素子では、駆動中に電位がずれるため、要求する酸化体と還元体が得られなくなることがある。その結果、溶融塩の分解反応が生じやすいため、寿命が低下する。本実施形態のように、n型半導体から形成された多孔質層を使用することによって、電圧を印加する際の電位を一定に定めることができるため、絶対電位の変化による溶融塩の分解反応を防ぐことができる。これにより、発光素子の寿命を向上することができる。
次いで、本発明に係る第2,4の発光素子について説明する。
この第2の発光素子は、第1の面を有する第1の電極と、第1の電極の第1の面上に配置された多孔質層と、多孔質層と対向する第2の面を有する第2の電極と、多孔質層と第2の面との間に介在されて第1の電極と第2の電極と電気的に接触しており、かつ発光色素を含有する電解質層とを具備する発光素子であって、第1の電極もしくは第2の電極が金属もしくは合金の基板から形成されていることを特徴とするものである。
本発明に係る第2の発光素子によれば、多孔質層が形成される第1の電極か、あるいは多孔質層と対向する第2の電極が金属もしくは合金から構成されているため、発光素子の内部抵抗を低下させて発光効率を向上させることができ、発光強度を向上することができる。
本発明に係る第4の発光素子は、フィルム製容器と、
前記フィルム製容器内に収納され、第1の面を有する第1の電極と、
前記第1の電極の第1の面上に配置された多孔質層と、
前記フィルム製容器内に収納され、前記多孔質層と対向する第2の面を有する第2の電極と、
前記多孔質層と前記第2の電極の第2の面との間に介在されて前記第1の電極と前記第2の電極と電気的に接触しており、かつ発光色素を含有する電解質とを具備する発光素子であって、
前記第1の電極もしくは前記第2の電極が金属もしくは合金の基板から形成されていることを特徴とするものである。
この第4の発光素子によれば、発光素子のセル全体をフィルム製容器内に封入することができるため、第1の電極と第2の電極間に電解質を封入するための封止材を不要にすることができる。その結果、電解質に封止材が溶出するのを防止することができるため、電解質中の発光色素の劣化を抑制することができ、発光強度が高く、かつ長寿命な発光素子を実現することができる。
金属は特に限定されないが、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄などを用いることができる。合金としては、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル及び鉄よりなる群から選択される少なくとも1種類の金属を含有するものを挙げることができる。中でも、ニッケル、ニッケル合金が好ましい。これにより、発光強度を更に向上することが可能である。
金属基板及び合金基板の厚さは、0.02〜10mmにすることが好ましい。これは以下に説明する理由によるものである。厚さを0.02mm未満にすると、発光素子の機械的強度が低下する恐れがある。一方、厚さが10mmを超えると、発光素子の薄型化を図ることが困難になる恐れがある。厚さのより好ましい範囲は、0.2〜2mmである。
第1の電極及び第2の電極のうち一方を金属もしくは合金から形成する。他方は、発光面(光の取り出し面)を確保するために透明電極を使用することが望ましい。透明電極としては、前述した第1の発光素子で説明したのと同様なものを挙げることができる。透明電極の抵抗を下げるために金属を配線として入れることがのぞましい。
多孔質層からの発光強度が、第2の電極からの発光強度に比して高いため、第2の電極を透明電極から形成して発光面として機能させることが望ましい。
多孔質層には、前述した第1の発光素子で説明したのと同様なものを使用することが可能である。多孔質層を金属から形成する場合、金属基板と同一の材料を用いることもできる。金属基板の表面を陽極酸化によって多孔質化することにより多孔質層を形成することが可能である。
電解質には、前述した第1の発光素子で説明したのと同様なものを使用することが可能であるが、これの代わりに、有機溶媒に色素を溶解させたもの、あるいは前述した第1の発光素子で説明したのとは異なる種類の溶融塩と色素を含有するものを使用することができる。
第1,第2の発光素子においては、直流、交流のいずれを印加して発光を行っても良いが、前述した式(A)で表される構造のカチオン成分を含む溶融塩を含有する電解質を使用する場合には、交流を印加することが望ましい。これにより、酸化体と還元体の衝突機会を多くすることができるため、発光強度を高くすることが可能である。
以下、第1,第2の発光素子を図1〜図5を参照して説明する。
図1は本発明に係る第1,第2の発光素子についての一実施形態を示す模式的な斜視図である。図2は、図1の発光素子のII−II線に沿う断面図である。図3は、本発明の発光素子の別な実施形態を示す模式的な断面図である。図4は、図3の発光素子に組み込まれている櫛形電極を示す模式的な平面図である。図5は、本発明の発光素子の別な実施形態を示す模式的な断面図である。
図1に示すように、発光素子セルは、フィルム製容器1内に収納されている。発光素子セルは、第1の面2aを有する平板型の第1の電極2と、第1の電極2の第1の面2aに形成された多孔質層3と、第2の面4aを有する平板型の第2の電極4と、第1の電極2の周縁と第2の電極4の周縁の間に配置された矩形枠状の絶縁性スペーサ5と、電解質6とを備えるものである。多孔質層3は、第2の電極4の第2の面4aと対向している。
多孔質層3は、導体、半導体もしくは絶縁体の粒子の集合体から形成されたものである。また、電解質6は、第1の電極2と第2の電極4とスペーサ5とで囲まれた空間内に収容されており、大部分が多孔質層3に保持されている。このように電解質6を第1の電極2の第1の面2aと第2の電極4の第2の面4aの間に介在させることによって、電解質6を第1の電極2と第2の電極4双方と電気的に接触させることが可能になる。
光の取り出し面(発光面)を確保するために第1の電極2及び第2の電極4のうち少なくとも一方を透明電極とする。例えば図2では、第2の電極4を透明電極とする。フィルム製容器1は、この第2の電極4と対向する面が透明な熱可塑性樹脂フィルム7から形成されており、かつこの面と反対側に位置する面がAl層もしくはAl合金層を含むラミネートフィルム8から形成されている。透明な熱可塑性樹脂フィルム7とラミネートフィルム8の両端部9は、ヒートシールにより貼り合わされている。
第1の電極用リード10は、一端が第1の電極2と電気的に接続されており、かつ他端がフィルム製容器1のヒートシール部9から引き出されている。一方、第2の電極用リード11は、一端が第2の電極4と電気的に接続されており、かつ他端がフィルム製容器1のヒートシール部9から引き出されている。
前述した図1,2では、第1の電極と第2の電極を互いに距離を隔てて対向させた例を説明したが、第1の電極と第2の電極を同一絶縁基板に配置することも可能である。この例を図3〜図5に示す。図3〜図5においては、図1において説明したのと同様な部材については同符号を付して説明を省略する。
1対の櫛形電極12a,12bは、絶縁性の支持基板13に配置されている。第2の電極としての櫛形電極12aは、間隔を隔てて配置された2本のバンド電極141,142を有するものである。第1の電極としての櫛形電極12bは、間隔を隔てて配置された2本のバンド電極143,144を有するものである。櫛形電極12a,12bは、互いのバンド電極を向かい合わせ、一方の櫛形電極のバンド電極の隣に他方の櫛形電極のバンド電極が位置するように噛み合わされている。
図3の発光素子では、櫛形電極12aのバンド電極141,142の第2の面14bと、櫛形電極12bのバンド電極143,144の第1の面14aに多孔質層3が形成されている。また、多孔質層3は、バンド電極143,144の第1の面14aとバンド電極141,142の第2の面14bとの間にも介在されている。このように図3の発光素子は、第1の電極及び第2の電極の双方に多孔質層が形成された実施形態に該当する。このような構成の発光素子は、交流駆動に有利である。絶縁性基板15は、支持基板13の多孔質層3が形成されている面と対向している。支持基板13及び絶縁性基板15には、例えば、ガラス基板、プラスチック基板などの可視光領域の吸収が少ない透明基板を用いることが可能である。また、櫛形電極12a,12bは、前述した透明導電膜、金属基板あるいは合金基板から形成することが可能である。
電解質6は、支持基板13と絶縁性基板15とスペーサ5とで囲まれた空間内に収容されており、大部分が多孔質層3に保持されている。このため、電解質6は、櫛形電極12b(第1の電極)の第1の面14aと櫛形電極12a(第2の電極)の第2の面14bとの間に介在されている。これにより、電解質6を第1の電極と第2の電極双方と電気的に接触させることが可能となる。
一方、図5の発光素子では、第1の電極である櫛形電極12bのバンド電極143、144の第1の面14aのみに多孔質層3が形成されている。電解質6は、支持基板13と絶縁性基板15とスペーサ5とで囲まれた空間内に収容されており、多孔質層3にも保持されている。このため、電解質6は、櫛形電極12b(第1の電極)の第1の面14aと櫛形電極12a(第2の電極)の第2の面14bとの間に介在されており、電解質6を第1の電極と第2の電極双方と電気的に接触させることが可能となる。このような構成の発光素子は、直流駆動に有利である。直流駆動では、第2の電極4である櫛形電極12aに多孔質層3が存在していると、発光しない恐れがあるからである。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
[実施例]
以下、図面を参照して、具体例をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
<第1の電極と多孔質層の作製>
厚さ1000μmのガラス基板上に厚さ約1μmのふっ素ドープ酸化スズ薄膜(シート抵抗6Ω/sq)を形成したものを透明電極として用意した。この透明電極のふっ素ドープ酸化スズ薄膜上に、スイスソラロニクス社製のチタニアペースト、Nanoxide D を50ミクロンギャップで塗布した。乾燥後、450度で30分焼成し、この工程を4回繰り返し、20ミクロン厚のポーラスチタニア膜を多孔質層として得た。
<第2の電極の作製>
ガラス基板上にふっ素ドープ酸化スズ薄膜(シート抵抗6Ω/sq)を形成したものを、対向基板(第2の電極)として用意した。
第1の電極の多孔質層側の面に第2の電極のふっ素ドープ酸化スズ薄膜を対向させ、その間にスペーサとしてアイオノマー樹脂ハイミラン1702(膜厚約50μm)を介在させることにより、第1の電極と第2の電極をその間に50ミクロンのギャップを設けた状態で対向させた。この第1の電極と第2の電極の間に電解液を注入した。電解液には、室温溶融塩としての1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1.1gに、発光色素としてのルテニウム(II)トリスビピリジル(PF6 -)2を0.2g溶解させたものを使用した。この室温溶融塩のカチオン成分である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオンは、前述した化12に示す構造を有するものである。また、アニオン成分であるビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオンは、前述の化学式Bに示す構造を有するものである。
電解液の注入口をエポキシ樹脂で封止した。次いで、第1の電極側をマイナス、第2の電極側をプラスにして3Vの電圧を印加し、電流を流したところ、400cd/m2の光量で発光した。
(実施例2)
電解液として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムPF61.1gに、発光色素としてのルテニウム(II)トリスビピリジル(PF6 -)2を0.2g溶解させたものを使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表1に示す。
(実施例3)
電解液として、ジメチルエチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1.1gに、発光色素としてのルテニウム(II)トリスビピリジル(PF6 -)2を0.2g溶解させたものを使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表1に示す。なお、室温溶融塩のカチオン成分であるジメチルエチルブチルアンモニウムイオンは、前述した化11に示す構造を有するものである。
(実施例4〜10及び参照例11)
下記表1に示す組成の室温溶融塩と発光色素を使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表1に示す。
(実施例12)
多孔質層として、日本アエロジル社製P25(チタニア)のポーラス膜を使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表2に示す。
(参照例13)
多孔質層としてSiO2(粒径は約10nm)のポーラス膜を使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表2に示す。
(参照例14)
第1の電極として透明電極の代わりに厚さ1mmのAl板を使用すると共に、多孔質層としてAl(粒径約10nm)のポーラス膜を使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表2に示す。
(参照例15)
第1の電極として透明電極の代わりに厚さ1mmのNi板を使用すると共に、多孔質層としてAl2O3(粒径約10nm)のポーラス膜を使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表2に示す。
(比較例1)
電解液として、アセトニトリル1.1gに発光色素としてのルテニウム(II)トリスビピリジル(PF6 -)2を0.2g溶解させたものを使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表2に示す。
得られた実施例1〜10,12、参照例11,13〜15及び比較例1の発光素子について、以下に説明する方法で発光強度が初期の1/2になる半減期を測定し、比較例1の半減期を100として下記表1,表2に示す。
輝度の測定はトプコン社製BM−8を使用した。素子の中心部、直径約1mmの範囲の輝度を半減期測定に用いた。
表1,表2から明らかなように、溶融塩を含む電解質を備えた実施例1〜10,12の発光素子は、溶融塩の代わりに有機溶媒を使用した比較例1の発光素子に比して半減期が長いことが理解できる。
実施例1〜10と参照例11を比較することにより、中心金属にRuを有する錯体を含む発光色素を使用した実施例1〜10は、中心金属にIrを有する錯体を含む参照例11に比して発光強度が高く、半減期が長いことがわかる。
実施例8〜10の比較により、溶融塩のカチオン成分としては、実施例8で使用した化12で表されるものが望ましいことが理解できる。
また、実施例1,2,7,8の比較により、溶融塩のアニオン成分としては、実施例1で使用した化学式Bで表されるものが望ましいことが理解できる。
さらに、実施例1と12を比較することにより、TiO2の多孔質膜としては、商品名P25という微粒子を用いた酸無添加の実施例12の方が、発光強度及び半減期の点で望ましいことがわかる。
実施例12と参照例13〜15との比較により、TiO2粒子から形成された多孔質膜を備えた実施例12は、SiO2粒子から形成された多孔質膜を備えた参照例13、Al粒子から形成された多孔質膜を備えた参照例14、Al2O3粒子から形成された多孔質膜を備えた参照例15に比して、発光強度及び半減期の双方が優れていることがわかった。
(実施例16)
実施例1のセルとして、電解液の注入が済んでおり、注入口をエポキシ樹脂で封止していないものを用意し、これをグローブボックス中で厚さ0.2mmのポリエチレン製フィルムで覆い、開封部を200度でヒートシールにより接着した。得られた発光素子と注入口をエポキシ樹脂で封止した実施例1のセルとを80度の恒温槽で500時間加熱し、発光強度を測定したところ、実施例1の発光強度は150cd/m2に低下したが、実施例16のセルは400cd/m2のままであった。
(実施例17)
実施例1のセルとして、電解液の注入が済んでおり、注入口をエポキシ樹脂で封止していないものを用意した。グローブボックス中で実施例1のセルの第2の電極表面を厚さ0.2mmのポリエチレン製フィルムで覆い、かつ第1の電極表面を厚さ0.2mmのラミネートフィルムで被覆し、開封部を200度でヒートシールにより接着し、前述した図1〜図2に示す構造の発光素子を得た。使用したラミネートフィルムは、ポリエチレンフィルムとAl層とPETフィルムとのラミネートフィルムであり、ポリエチレンフィルムが内側に位置してシーラント層として機能するように第1の電極を被覆した。得られた発光素子と注入口をエポキシ樹脂で封止した実施例1のセルとを80度の恒温槽で500時間加熱し、発光強度を測定したところ、実施例1の発光強度は150cd/m2に低下したが、実施例17のセルは400cd/m2のままであった。
(実施例18)
<第1の電極と多孔質層の作製>
厚さ1000μmのガラス基板上に厚さ1μmのふっ素ドープ酸化スズ薄膜(シート抵抗6Ω/sq)を形成したものを透明電極として用意した。この透明電極のふっ素ドープ酸化スズ薄膜上に、スイスソラロニクス社製のチタニアペースト、Nanoxide D を50ミクロンギャップで塗布した。乾燥後、450度で30分焼成し、この工程を4回繰り返し、20ミクロン厚のポーラスチタニア膜を多孔質層として得た。
<第2の電極の作製>
厚さ1mmのニッケル板を、対向基板(第2の電極)として用意した。
第1の電極の多孔質層側の面に第2の電極を対向させ、その間にスペーサとしてアイオノマー樹脂ハイミラン1702(膜厚約50μm)を介在させることにより、第1の電極と第2の電極をその間に50ミクロンのギャップを設けた状態で対向させた。この第1の電極と第2の電極の間に電解液を注入した。電解液には、アセトニトリル1.1gに、発光色素としてのルテニウム(II)トリスビピリジル(PF6 -)2を0.2g溶解させたものを使用した。
電解液の注入口をエポキシ樹脂で封止した。次いで、第1の電極側をマイナス、第2の電極側をプラスにして3Vの電圧を印加し、電流を流したところ、450cd/m2の光量で発光した。
(実施例19)
<第1の電極と多孔質層の作製>
厚さ1mmのニッケル板を第1の電極として用意した。この第1の電極上に、スイスソラロニクス社製のチタニアペースト、Nanoxide D を50ミクロンギャップで塗布した。乾燥後、450度で30分焼成し、この工程を4回繰り返し、20ミクロン厚のポーラスチタニア膜を多孔質層として得た。
<第2の電極の作製>
ガラス基板にふっ素ドープ酸化スズ薄膜(シート抵抗6Ω/sq)を形成し、厚さ1mmの対向基板(第2の電極)を用意した。
第1の電極の多孔質層側の面に第2の電極のふっ素ドープ酸化スズ薄膜を対向させ、その間にスペーサとしてアイオノマー樹脂ハイミラン1702(膜厚約50μm)を介在させることにより、第1の電極と第2の電極をその間に50ミクロンのギャップを設けた状態で対向させた。この第1の電極と第2の電極の間に実施例18で説明したのと同様な電解液を注入した。
電解液の注入口をエポキシ樹脂で封止した。次いで、第1の電極側をマイナス、第2の電極側をプラスにして3Vの電圧を印加し、電流を流したところ、下記表3に示す光量で発光した。
(実施例20)
第1の電極として厚さ1mmのAl板を使用すること以外は、前述した実施例18で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例18で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表3に示す。
(実施例21)
第1の電極として厚さ1mmのAl板を用意し、このAl板の表面を陽極酸化することにより多孔質層を形成すること以外は、前述した実施例18で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例18で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表3に示す。
(実施例22〜27)
第1の電極として下記表1に示す厚さと組成の基板を使用すること以外は、前述した実施例18で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例18で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表3に示す。
なお、実施例26のNi合金の組成は、Ni40%及びCu60%で、実施例27のAl合金の組成は、Al93.5%、Cu5%、Mn1%及びMg0.5%であった。
(比較例2)
第1の電極として、ガラス基板にふっ素ドープ酸化スズ薄膜(シート抵抗6Ω/sq)を形成した厚さ1mmの透明電極を使用すること以外は、前述した実施例18で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例18で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表3に示す。
表3から明らかなように、第1の電極もしくは第2の電極に金属基板あるいは合金基板を使用した実施例18〜27の発光素子は、第1,第2の電極に透明電極を使用した比較例2の発光素子に比して発光強度が高いことが理解できる。
実施例20,21の比較により、TiO2粒子からなる多孔質層を備えた実施例20によると、Al2O3粒子からなる多孔質層を備えた実施例21に比して発光強度が高くなることがわかった。
また、TiO2粒子からなる多孔質層を備えた実施例19、20,22〜27の中でも、Ni,Al,Cu,Ag,Au、Ni合金あるいはAl合金から形成された第1の電極を備えた実施例19,20,22,24〜27によると、400cd/m2以上の高い発光強度を得ることができた。
(実施例28)
実施例19のセルとして、電解液の注入が済んでおり、注入口をエポキシ樹脂で封止していないものを用意し、これをグローブボックス中で厚さ0.2mmのポリエチレン製フィルムで覆い、開封部を200度でヒートシールにより接着した。得られた発光素子と注入口をエポキシ樹脂で封止した実施例19のセルとを80度の恒温槽で500時間加熱し、発光強度を測定したところ、実施例19の発光強度は150cd/m2に低下したが、実施例28のセルは420cd/m2のままであった。
(実施例29)
実施例19のセルとして、電解液の注入が済んでおり、注入口をエポキシ樹脂で封止していないものを用意した。グローブボックス中でこのセルの第2の電極表面を厚さ0.2mmのポリエチレン製フィルムで覆い、かつ第1の電極表面を厚さ0.2mmのラミネートフィルムで被覆し、開封部を200度でヒートシールにより接着した。使用したラミネートフィルムは、ポリエチレンフィルムとAl層とPETフィルムとのラミネートフィルムであり、ポリエチレンフィルムが内側に位置するように第1の電極を被覆した。得られた発光素子と注入口をエポキシ樹脂で封止した実施例19のセルとを80度の恒温槽で500時間加熱し、発光強度を測定したところ、実施例19の発光強度は150cd/m2に低下したが、実施例29のセルは420cd/m2のままであった。
(実施例30)
ガラス基板に第1,第2の電極を図4に示すように互い違いに配置した。第1の電極及び第2の電極ともにAu電極を使用し、各電極(配線)の幅を100μm、電極(配線)間隔を10μm、各電極(配線)の厚さを10μmとした。第1,第2の電極上にチタニアペーストであるソラロニクス社製ナノキサイドHTペーストを塗布し、厚さが約12μmのチタニア膜を形成した。この基板にガラス基板を間隔を開けて対向させ、電解液を注入した。電解液は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1.1gに、発光色素としてのルテニウム(II)トリスビピリジル(PF6 -)2を0.2g溶解させたものを使用した。その後、封止し、前述した図3に示す構造を有する発光素子を得た。得られた発光素子に交流で3V印加したところ、430cd/m2で発光した。
(実施例31)
第1,第2の電極をカーボンシートから形成すること以外は前述した実施例30で説明したのと同様な構成のセルを作製した。得られた発光素子に交流3Vを印加したところ380cd/m2で発光した。
(参照例32)
厚さ1000μmのガラス基板上に厚さ約1μmのふっ素ドープ酸化スズ薄膜(シート抵抗6Ω/sq)を形成したものを透明電極(第1の電極)として用意した。
ガラス基板上にふっ素ドープ酸化スズ薄膜(シート抵抗6Ω/sq)を形成したものを、対向基板(第2の電極)として用意した。
第1の電極と第2の電極のふっ素ドープ酸化スズ薄膜を対向させ、その間にスペーサとしてアイオノマー樹脂ハイミラン1702(膜厚約50μm)を介在させることにより、第1の電極と第2の電極をその間に50ミクロンのギャップを設けた状態で対向させた。この第1の電極と第2の電極の間に電解液を注入した。電解液には、室温溶融塩としての1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド 1.1gに、発光色素としてのルテニウム(II)トリスビピリジル(PF6 -)2を0.2g溶解させたものを使用した。この室温溶融塩のカチオン成分である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオンは、前述した化12に示す構造を有するものである。また、アニオン成分であるビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオンは、前述の化学式Bに示す構造を有するものである。
電解液の注入口をエポキシ樹脂で封止した。次いで、第1の電極側をマイナス、第2の電極側をプラスにして3Vの電圧を印加し、電流を流したところ、180cd/m2の光量で発光した。しかしながら、比較例1の半減期を100とした半減期は、150と、実施例1〜10,12に比して短かった。
前述の実施例1〜10,12と、参照例11,13〜15と比較例1の発光素子について、発光開始電圧を測定し、その結果を下記表4に示す。発光開始電圧はトプコン社製BM-8輝度計を使用し、最低表示単位である1cd/m
2を示した電圧とした。
表4から明らかな通り、n型半導体多孔質層及びRu含有発光色素を用いた実施例1〜10,12の発光素子の発光開始電圧は、1.5〜2.0Vの範囲内にあった。
これに対し、Ruを含まない発光色素を使用した参照例11の発光素子、多孔質層に絶縁体を使用した参照例13,15の発光素子、多孔質層に金属を使用した参照例14の発光素子、比較例1の発光素子では、いずれも駆動電圧が2.0Vを超えていた。
(実施例33)
多孔質層として、酸化スズのポーラス膜を使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表5に示す。
(実施例34)
多孔質層として、酸化亜鉛のポーラス膜を使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の発光素子を作製し、実施例1で説明したのと同様にして評価を行った。その結果を下記表5に示す。
1…フィルム製容器、2,12b…第1の電極、2a,14a…第1の面、3…多孔質層、4,12a…第2の電極、4a,14b…第2の面、5…スペーサ、6…電解質、7…透明な熱可塑性樹脂フィルム、8…ラミネートフィルム、9…ヒートシール部、10…第1の電極用リード、11…第2の電極用リード、13…絶縁性の支持基板、141〜144…バンド電極、15…絶縁性基板。