JP4773086B2 - 色素増感型光電変換素子、色素増感型光電変換素子の製造方法、及び色素増感型光電変換素子用塗料 - Google Patents

色素増感型光電変換素子、色素増感型光電変換素子の製造方法、及び色素増感型光電変換素子用塗料 Download PDF

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本発明は、色素増感型光電変換素子、色素増感型光電変換素子の製造方法、及び色素増感型光電変換素子用塗料に関する。
色素増感された光電変換素子及び光電気化学電池は、導電性支持体上に形成された色素を吸着した半導体微粒子含有層からなる光電極、電荷移動層、対極から構成される。特にNature(第353巻、737〜740頁、1991年)および米国特許4927721号等には、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子および太陽電池、ならびにこれを作製するための材料および製造技術が開示されている。
上述した光電変換素子及び太陽電池は、光吸収色素によって分光増感された多孔質半導体膜によって構成される光電極と、ヨウ素、臭素等のハロゲン類の酸化還元種を含有する、電荷移動層としての電解質と、導電性を有する基体上に、必要に応じて酸化還元電解質への電子授受を容易ならしめる触媒が固定された対電極とを具える。特に、前記多孔質半導体膜を酸化チタンから構成し、増感色素をルテニウム金属錯体から構成し、電解質をヨウ素レドックスを有機溶媒に溶解させて得た電解液から構成し、対電極を白金金属を酸化スズ透明導電性ガラスに固定したものから構成した場合において、高い光電変換効率が得られる事が知られている。
しかしながら、このような例の光電変換素子及び太陽電池において、電解液に周囲の系から水分が混入されると、対電極を構成する白金がヨウ素レドックス電解液と反応して溶解してしまうため、長期的な耐久性に劣るという問題があった。これは、例えば、Solar Energy Materials and Solar Cells, Volume 63, Issue 3, 30 July 2000, Pages 267-273などを参照すると、白金がヨウ素及び水の存在下にある場合、以下に示す反応式に基づいて白金が溶解するためと考えられている。
Pt (s)=2I 2 (aq)=PtI 4 (s)
このように、対電極を構成する白金が溶解してしまうと、前記光電変換素子及び前記太陽電池の性能を劣化させてしまう。
このような白金の溶解を防止すべく、ヨウ素を含む電解液を使用する場合には、特別にセル構成環境に十分な配慮を行い、大気中からの水蒸気や水分の混入を避けるようにしているが、水分の除去は完全ではない。また、セルを構成する隔壁に種々の工夫を加えたり、封止材などでセル外部を保護することなどの種々試みられているが、長期間経過後には微量の水分が進入する事は避けられない。この結果、長期的な見地からは、前記光電変換素子及び前記太陽電池の性能劣化は避けることができなかった。
本発明は、対電極が電荷移動層を構成する電解液と接触した場合においても、その溶解を防止して、耐久性に優れた色素増感型光電変換素子を得ることを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
所定の色素を吸着した半導体層を有し、光吸収によって励起されることにより起電力を生ぜしめる光電極と、
前記光電極と対向して設けられた対電極と、
前記光電極と前記対電極との間に設けられた電荷移動層とを具え、
前記電荷移動層は所定の電解質を含み、
前記対電極の、少なくとも前記電解質と接触する側において、酸化ルテニウム及び金属ルテニウムの少なくとも一方を含むことを特徴とする、色素増感型光電変換素子に関する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、光電変換素子を構成する対電極の、少なくとも電荷移動層と接触する側を、従来の白金に代えて、金属ルテニウム及び酸化ルテニウムの少なくとも一方から構成することにより、前記光電変換素子の、光電極と対電極との間に設けられた電荷移動層の種類によらず、前記対電極の溶解を防止し、その結果、前記対電極の溶解に伴う前記光電変換素子の長期的な特性劣化を抑制できることを見出し、本発明を想到するに至った。
また、特に前記電荷移動層をヨウ素レドックス電解液を含むように構成した場合においても、前記光電変換素子の外方に封止材などを設けずに、前記電解液中に水分が混入しても、前記対電極の、少なくとも前記電解液に接触する側を、金属ルテニウム及び酸化ルテニウムの少なくとも一方から構成することにより、前記対電極の溶解を防止し、前記光電変換素子の長期的な特性劣化を抑制できる。
本発明によれば、前記ヨウ素レドックス電解液中の、酸化還元対の濃度が0.1モル/リットル以上の高濃度であっても、前記対電極の溶解を防止し、前記光電変換素子の長期的な特性劣化を抑制できる。
また、本発明によれば、前記酸化ルテニウム及び前記金属ルテニウムは、前記対電極中に粒子の状態で存在することができる。具体的には、前記粒子の大きさが50nm以下であることが好ましい。この場合、前記対電極の総表面積を増大させることができ、具体的には、例えば前記総表面積を見かけの面積の1−1000倍とすることができる。この場合、前記電荷移動層との酸化還元反応を良好に行うことができ、前記光電変換素子内の抵抗値を実質的に低減させることができるようになる。したがって、前記光電変換素子から高電流密度の電流を簡易に取り出すことができるようになる。
なお、前記粒子状の酸化ルテニウムなどは、それ自体が粒子状を呈することもできるし、導電性粒子上に担持されることにより、間接的に粒子状を呈することもできる。
上述した色素増感型光電変換素子は、
金属ルテニウム、酸化ルテニウム、ルテニウム金属塩及びルテニウム金属錯体からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む溶液を形成する工程と、
前記溶液を所定の導電性基板上に塗布することによって、酸化ルテニウム及び金属ルテニウムの少なくとも一方を含む導電層を形成し、前記導電性基板と前記導電層とを有する対電極を形成する工程と、
所定の色素を吸着した半導体層を有し、光吸収によって励起されることにより起電力を生ぜしめる光電極を形成する工程と、
前記対電極と前記光電極との間に電荷移動層を形成する工程と、
を具えることを特徴とする、色素増感型光電変換素子の製造方法(第1の製造方法)によって製造することができる。
また、
金属ルテニウムコロイド及び酸化ルテニウムコロイドの少なくとも一方を含むコロイド溶液を作製する工程と、
前記コロイド溶液を所定の導電性基板上に塗布することによって、酸化ルテニウム及び金属ルテニウムの少なくとも一方を含む触媒層を形成し、前記導電性基板と前記触媒層とを有する対電極を形成する工程と、
所定の色素を吸着した半導体層を有し、光吸収によって励起されることにより起電力を生ぜしめる光電極を形成する工程と、
前記対電極と前記光電極との間に電荷移動層を形成する工程と、
を具えることを特徴とする、色素増感型光電変換素子の製造方法(第2の製造方法)によって製造することができる。
さらに、
金属ルテニウム、酸化ルテニウム、ルテニウム金属塩及びルテニウム金属錯体からなる群より選ばれる少なくとも一つを導電性粒子に担持させてなるコロイドを含むコロイド溶液を作製する工程と、
前記コロイド溶液を導電性基板上に塗布することによって、酸化ルテニウム及び金属ルテニウムの少なくとも一方を含む触媒層を形成し、前記基板と前記触媒層とを有する対電極を形成する工程と、
所定の色素を吸着した半導体層を有し、光吸収によって励起されることにより起電力を生ぜしめる光電極を形成する工程と、
前記対電極と前記光電極との間に電荷移動層を形成する工程と、
を具えることを特徴とする、色素増感型光電変換素子の製造方法(第3の製造方法)によって製造することができる。
この際、「導電性基板上に塗布する」とは、前記導電性基板が導電層を含む場合においては、この導電層上に形成することを含むものである。また、導電性基板が導電層を含む場合においては、前記導電層基板を構成する基板自体は必ずしも導電性を有している必要はない。
以上説明したように、本発明によれば、対電極が電荷移動層を構成する電解液と接触した場合においても、その溶解を防止して、耐久性に優れた色素増感型光電変換素子を得ることができる。したがって、この色素増感型光電変換素子を用いることにより、長期的な特性劣化を抑制することができ、耐久性に優れた色素増感型太陽電池などの光電気化学電池を提供することができる。
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
(光電変換素子)
図1は、本発明の光電変換素子の一例を概略的に示す構成図である。図1に示す光電変換素子100は、光電極101及び対電極109が互いに対向するようにして設けられている。光電極101及び対電極109の間隔は数μm〜数mmである。光電極101は、透明基板104上に透明導電層105が形成されてなる透明導電性基板102と、この透明導電性基板102上に設けられた酸化物半導体電極103とを具えている。また、光電極101及び対電極109の間には、隔壁120とともに電荷移動層としての電解質108が封入されている。
酸化物半導体電極103は、図2に拡大して示すように、酸化物半導体微粒子106の表面に増感色素107が吸着担持された構成を採っている。一方、対電極109は、図3に拡大して示すように、導電性基板110上に導電層111及び触媒層112が順次に形成された構成を採っている。
また、電解質108が固体、半固体又は擬固体の状態であって漏れ出す可能性がない場合、隔壁120は無くても良いが、以下に詳述するように、本発明は電解質108として、ヨウ素レドックス電解液を用いる場合に特に効果を発揮するので、このような前記電解液を封止すべく隔壁120は必須の要素となる。
本発明においては、対電極109を構成する触媒層112の、少なくとも電解質108に接触する部分を酸化ルテニウム及び金属ルテニウムの少なくとも一方から構成する。但し、実用的には、以下に詳述する製造方法に起因して、触媒層112自体が酸化ルテニウム及び金属ルテニウムの少なくとも一方から構成されるか、触媒層112の厚さ方向の全体に亘って分布するようにすることが好ましい(粒子状として存在する場合)。
対電極109の、触媒層112が酸化ルテニウム及び金属ルテニウムの少なくとも一方を含むようにすることにより、光電極101と対電極109との間に設けられた電解質108の種類によらず、対電極109の溶解を防止し、その結果、対電極109の溶解に伴う光電変換素子100の長期的な特性劣化を抑制できる。また、特に電解質108が以下に説明するように、ヨウ素レドックス電解液を含むように構成した場合において、前記電解液中に水分が混入したとしても、対電極109の溶解を防止し、光電変換素子100の長期的な特性劣化を抑制できる。
また、酸化ルテニウム及び金属ルテニウムは触媒層112内に微粒子の状態で存在することが好ましい。この場合、触媒層112の、見かけ面積に対する総表面積が増大し、電解質108と接触する面積が実質的に増大するため、電解質108から触媒層112への電荷移動抵抗を低減することができるようになる。この結果、電解質108から導電層111への電子授受性を向上させることができるようになる。
なお、酸化ルテニウム及び金属ルテニウムが微粒子として存在する場合、その大きさは50nm以下であることが好ましい。これによって、上述した電荷移動抵抗の低減、それに伴う電子授受性の向上をより効果的に実現することができる。なお、前記大きさの下限は特に限定されるものではないが、現在の微粒子化技術などに起因して、5nm程度である。
酸化ルテニウム及び金属ルテニウムはそれ自体が微粒子として存在することもできるが、導電性微粒子上に担持させることもできる。これらの場合においても、微粒子全体に要求される大きさは、50nm以下であることが好ましい。
また、触媒層112の総表面積、すなわち対電極109の電解質108と接触する側の総表面積が、触媒層112の見かけ面積、すなわち対電極109の電解質108と接触する側の見かけ面積に対して1−1000倍であることが好ましい。これによって、上述した電荷移動抵抗を十分に低減できるとともに、電子授受性を十分に向上させることができる。このように相対的に大きな総表面積は、上述したように、酸化ルテニウム及び金属ルテニウムを微粒子化し、必要に応じて多孔質化することによって実現することができる。
なお、上述のようにして触媒層112、すなわち対電極109の、電解質108と接触する側の総表面積が増大すると、製造過程において、触媒層112を塗布形成した後などにおいて、酸素分圧下で熱処理やプラズマ照射などのエネルギーを付加することによって、金属ルテニウムの一部あるいは全部を酸化させることができるようになる。このようにして得た酸化物は、金属ルテニウムなどと比較しても化学的に極めて安定であり、導電性を有することもできる。
図1に示す光電変換素子100においては、光電極101をアノード電極とし、対電極109をカソード電極とすることができる。所定の波長及び強度を有する光が光電極101に入射すると、増感色素107は前記光を吸収して電子を放出する。この電子を酸化物半導体粒子106が吸収するとともに、電解質108に電子を放出する。この電子は電解質108内を対電極109へ向けて移動し、対電極109で電子授受が行われるようになる。この結果、光電変換素子100において所定の電流が生成され、発電が行われる結果となる。
透明基板104としては、例えば白板ガラス、青板ガラス、石英ガラスなどのガラス基板やプラスチックなどの透明基板が使用できる。プラスチックはポリエステル、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の延伸又は未延伸の透明プラスチックフィルム及び板等が挙げられる。
透明導電層105は酸化スズ(SnO)、フッ素ド−プ酸化スズ(FTO)、錫ド−プ酸化インジウム(ITO)等の透明導電性酸化物から構成することができる。この透明導電層105の厚さは、0.05〜10μm程度であることが好ましい。表面抵抗としては100Ω/cm以下が好ましく、さらには20Ω/cm以下であることが好ましい。この下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/cm程度である。また、透明導電層105の光透過率は50%以上であることが好ましく、70%以上が特に好ましい。上限については特に制限はないが通常90%程度である。また光入射側に反射防止層を付け光透過率を上げることも出来る。
酸化物半導体電極103は、上述したように酸化物半導体微粒子106を含むことが好ましい。酸化物半導体電極103は、増感色素107を担持させるための酸化物半導体基体を有することが必要であるが、前記酸化物半導体基体を酸化物半導体微粒子106から構成することにより、その実質的な表面積を増大させることができ、増感色素107の担持できる量を増大させることができる。この結果、光電変換素子100全体としての発電量を増大させることができる。
なお、酸化物半導体微粒子106の、見かけ面積に対する総表面積の割合が100倍以上であることが好ましく、さらには100〜2000倍であることが好ましい。これによって、吸着担持できる増感色素107の量を増大させることができるようになる。したがって、酸化物半導体微粒子106は、微粒子であるばかりでなく、多孔質であることが好ましい。但し、酸化物半導体微粒子106は、本発明の必須の要件ではなく、非粒子状の酸化物半導体基体とすることもできる。
酸化物半導体微粒子106は、単金属酸化物やまたはペロブスカイト構造を有する化合物等を使用することができる。単金属酸化物として好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する化合物として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。
本発明に用いられる酸化物半導体としてより好ましくは、具体的には、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、SrTiO、BaTiOが挙げられる。さらに好ましくはTiO、ZnO、SnO、Nb、SrTiO、BaTiOであり、最も好ましくはTiOである。またこれらの半導体の導電性を上げる目的でCr、Nb、Ta、Sb、W、As、N等の元素をド−プしたものも用いることが出来る。
また酸化物半導体電極106から電解質108の間で電子が流れることを防止するために酸化物半導体電極106の表面上、具体的には酸化物半導体微粒子106の表面上に金属酸化物や金属炭酸塩を形成する事もできる。特に、酸化物半導体微粒子106がTiOから構成される場合は、ZnO、Y、Al、SrO、MgO、Nb、TaO、ZrO、CeO、SrCO、MgCOを好適に使用できる。
増感色素107は、実用的な見地から、自然光の波長範囲である300nm〜1200nmの波長範囲に光吸収性を持つ金属錯体色素および/または有機色素から構成することが好ましい。また、増感色素107は、酸化物半導体微粒子106の表面に対する適当な結合基を有していることが好ましい。色素の1例としてはルテニウム錯体色素が挙げられる。例えば、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号に記載の錯体色素が好適に使用される。
電解質108はレドックスを含む電子伝導性物質が好適に使用される。電子伝導性物質の形態としては常温で液体であっても良いし、ゲル状物質であっても良いし、固体であっても良く、特に制限するものではない。溶媒を用いる場合にはアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等が好適に使用される。溶融塩としては、例えばヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩や1,3−ジメチルプロピルイミダゾリウムが挙げられる。
またこれらの有機溶媒や溶融塩にゲル化剤を加え、半固体状の電子伝導性物質とすることもできる。ゲル化剤の1例としては ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。
酸化還元対としてはヨウ素の酸化体、還元体の組み合わせが好適に使用される。ヨウ素酸化還元対を形成する原料としてはIと各種のヨウ化物(たとえばLiI、NaI、KI、CsI、CaI、MgIなどの金属ヨウ化物、4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩、4級ピリジニウム化合物のヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩など)を使用することが出来る。この中では、LiI、NaI、KI、CsI、CaI、MgIの金属ヨウ化物、4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩、4級ピリジニウム化合物のヨウ素塩またはテトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩とIの組み合わせが好ましく、さらに複数のヨウ化物とIを組み合わせることがより好ましい。さらに好ましくは、LiIとI2と4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩が好適に使用できる。
酸化還元対の濃度としては好ましくは0.1モル/リットル以上であり、特に好ましくは0.3モル/リットル以上である。また特に制限はないが、溶媒への溶解性から通常3モル/リットル程度が上限である。
図1に示す光電変換素子100においては、対電極109を構成する触媒層112を酸化ルテニウム及び金属ルテニウムの少なくとも一方を含むようにしているので、上述のようなヨウ素レドックス電解液を用い、さらにはその中の酸化還元対の濃度を0.1モル/リットル以上、さらには0.3モル/リットル以上まで増大させた場合において、外部から水分が混入しても、触媒層112すなわち対電極109を溶解させることがない。したがって、光電変換素子100の長期に亘る特性劣化を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
但し、図1に示す光電変換素子100においては、隔壁120を設けているので、外部からの水分の浸入は極力低減することができる。隔壁120はポリマーや接着剤等の有機物や、ガラスフリットや金属箔等の無機物から構成することができる。
対電極109の基板110は、Ni、Fe、Pt、Al、In、Sn、Cu、Zn、Ag、Au、Mo、Ti、Zr、SUS等の金属板または酸化スズ、フッ素ド−プ酸化スズ、錫ド−プ酸化インジウム等の導電性酸化物基板、またはNi、Fe、Pt、Al、In、Sn、Cu、Z、Ag、Au、Mo、Ti、Zr、SUS等の金属板上に酸化スズ、フッ素ド−プ酸化スズ、錫ド−プ酸化インジウム等導電性酸化物膜を形成したもの、酸化スズ、フッ素ド−プ酸化スズ、錫ド−プ酸化インジウム等の導電性酸化物基板上にNi、Fe、Pt、Al、In、Sn、Cu、Zn、Ag、Au、Mo、Ti、Zr、SUS等の金属膜を形成したものを用いることが出来る。また、透明基板104と同様のガラス基板、透明プラスチックフィルム及び板などを使用することができる。
この中でも特にコスト面を考慮すると、上述したプラスチックフィルム及び金属板上に導電性酸化物膜を形成したものを使用することが好ましい。但し、プラスチックフィルムを用いた場合は、耐腐食性が若干低下する。一方、コスト的には不利であるが、ガラス基板上に導電性酸化物膜を形成したものは高い耐腐食性を呈するようになる。
なお、上述したように、基板110が上述した金属板あるいは導電性酸化物基板から構成される場合、又は導電性酸化物膜や金属膜を含むことにより導電性を呈する場合、導電層111は特に設ける必要はない。
また、図3に示すように導電層111を設ける場合、この導電層111は酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、及び錫ドープ酸化インジウムなどから構成することが好ましい。この場合、電解質108がヨウ素レドックス電解液を含む場合においても、電解質108に対して高い腐食耐性を呈するようになる。
対電極109の触媒層112は、前述した金属ルテニウムおよび酸化ルテニウムから構成できる他、膜付着強度、導電性などの一層の向上を目的として、必要なら他の成分、例えばケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、セリウム、チタン、イットリウム、亜鉛、マグネシウム、インジウム、錫、アンチモン、ガリウムなどの酸化物または複合酸化物の微粒子を適宜含むことができる。
触媒層112が金属ルテニウム、酸化ルテニウムから構成されるとともに、使用した金属ルテニウムなどが導電層111と同じである場合、触媒層112は基本的に導電層111と同じ材料組成を有するようになるので、触媒層112は導電層111に組み込まれ、実質的に導電層として機能するようになる。すなわち、このような場合においては、あえて触媒層112を設ける必要はなく、導電層111のみを設ければ良い。
(光電変換素子の製造方法)
次に、本発明の光電変換素子の製造方法を、図1〜3に示す光電変換素子100と関連させながら説明する。
最初に、光電極101の作製方法について説明する。透明基板104を準備し、この上に透明導電層105を形成して、透明導電性基板102を作製する。透明導電層105はスパッタリング法やCVD法、あるいは塗布法など公知の成膜技術を用いて形成することができる。また、市販の透明導電層105が形成された透明基板104を透明導電性基板102として直接的に使用することもできる。
次いで、所定のバインダを含んでなる酸化物半導体微粒子ペーストを準備し、透明導電性基板102上に塗布し、焼成して前記バインダを除去することによって、透明導電性基板102上に酸化物半導体微粒子106を形成する。
前記塗布は、スクリーン印刷法、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、バーコート法、ディップ法、メニスカスコート法、グラビア印刷法、ディスペンス法、インクジェット法などの通常の薄膜塗布技術がいずれも使用可能である。この内、スクリーン印刷法は、印刷基体上の所望の位置に膜を形成する事ができるので特に好ましい塗布法である。
次いで、所定の溶媒中に増感色素107を溶解させて増感色素溶液を作製し、この溶液中に酸化物半導体微粒子106を基板ごと浸漬させることによって、増感色素107を酸化物半導体微粒子106上に吸着させ担持させる。前記溶媒としては、メタノール、エタノール、2プロパノール、1ブタノール、t-ブタノール等のアルコール類、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3メトキシプロピオニトリル等のニトリル類、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。
以上のような操作を経ることにより、増感色素107が吸着した酸化物半導体微粒子106、すなわち酸化物半導体電極103を具えた光電極101を得ることができる。
次に、対電極109の作製方法について説明する。最初に、基板110を準備し、必要に応じて導電層111を塗布法など公知の方法によって形成する。次いで、基板110又は導電層111上に触媒層112を塗布法など公知の方法によって形成する。以下に触媒層112の形成方法について説明する。
最初に、所定の溶媒中に金属ルテニウム、酸化ルテニウム、ルテニウム金属塩及びルテニウム金属錯体からなる群より選ばれる少なくとも一つを溶解させて、ルテニウムを含む溶液を作製する。
前記溶媒としては、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メチルセロソルブ(β−オキシエチルメチルエーテル)、エチルセロソルブ(β−オキシエチルエーテル)、ブチルセロソルブ(ブチル−β−オキシエチルエーテル)等のセロソルブ類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル類を好適に用いることができる。
前記溶液はそのままでも用いることができるが、必要に応じてバインダを加え、ペーストとすることもできる。
次いで、前記溶液又は前記ペーストを基板110あるいは導電層111上に塗布し、必要に応じて溶媒を除去し、さらには必要に応じて所定時間焼成したり、紫外線又はプラズマを照射したりすることにより、金属ルテニウム及び酸化ルテニウムに少なくとも一方を含む触媒層112を形成することができる。
前記塗布は、上述したように、スクリーン印刷法、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、バーコート法、ディップ法、メニスカスコート法、グラビア印刷法、ディスペンス法、インクジェット法などの通常の薄膜塗布技術がいずれも使用可能である。この内、スクリーン印刷法は、印刷基体上の所望の位置に膜を形成する事ができるので特に好ましい塗布法である。
前記ルテニウム金属塩としては、3塩化ルテニウム、3塩化ルテニウム水和物、3臭化ルテニウム、3臭化ルテニウム水和物などを例示することができる。前記ルテニウム金属錯体としては、ルテニウムアセチルアセトナート、ルテニウムポルフィリン錯体、ルテニウムビピリジル錯体を例示することができる。
なお、上記溶液は、コロイド溶液とすることができる。この場合は、上述したルテニウム金属塩などを含む水溶液中に所定のコロイド化剤を加えることによって作製する。その後、上述したようなコロイド溶液の塗布工程を経て、触媒層112が形成される。この場合、金属ルテニウム及び酸化ルテニウムはコロイド粒子の状態で触媒層112内に存在することになり、結果として、金属ルテニウム及び酸化ルテニウムが粒子の状態で存在する導電層112を形成することができるようになる。
また、金属ルテニウム、酸化ルテニウムを導電性粒子に担持させ、このような導電性粒子から触媒層112を形成する場合は、前記導電性粒子を分散させるとともに、前述したルテニウム金属塩などを溶解させて得たコロイド溶液を作製し、上述したような塗布工程を経て、触媒層112が形成される。
前記溶液中には、分散剤を添加し、及び/又は超音波分散などの方法を用いて、前記溶液中のルテニウム金属塩あるいはコロイドの分散性を向上させることができる。分散剤としては、有機系カルボン酸、有機系アミン類等を用いることができる。有機系カルボン酸としては、例えば、酢酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸等、及びそれらの金属塩を用いることができる。また、有機系アミン類としては、例えば、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン等のアルカノールアミン等を用いることができる。
また、分散性を制御する目的で、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸等の高分子等を分散補助剤として用いることもできる。
さらに、前記溶液中には、ルテニウム金属塩などの分散性を阻害しない限りにおいて、樹脂成分を含有させることもできる。樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチラール樹脂、アルキド樹脂、塩ビ樹脂等の熱硬化性あるいは熱可塑性有機高分子化合物、紫外線(UV)硬化性有機高分子化合物、電子線(EB)硬化性有機高分子化合物、ポリシロキサン等の無機高分子化合物等を、単独もしくは複合して用いることができる。
なお、上述した溶液及びコロイド溶液は、図1〜3に示す本発明の光電変換素子100の、対電極109における触媒層112を形成する際の塗料としての性質を有する。
以下、本発明を実施例に従って具体的に説明するが、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
(実施例1)
<光電極の作製>
半導体微粒子として酸化チタン微粒子(住友大阪セメント社製、平均粒径10nm)を用い、酸化チタン微粒子含有ペーストを調製した。TiO超微粒子25重量%と1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名):関東化学社製)65重量%、エチルセルロース(関東化学社製)10重量%の仕込み比にて混合した。混合は3本ロール(EXAKT社製)にておこなった。
次いで、酸化スズ透明導電膜つきガラス基板(日本板硝子社製、表面抵抗10Ω/□)を35mm×20mmの大きさに切断し、この導電面側にシルクスクリ−ン印刷法を用いて上記の酸化チタンペ−ストを20mm×10mmの長方形状に印刷した。これを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、500℃にて30分間焼成した。焼成後、基板温度が100℃以下になる前に(シスージ(チオシアネート)ビス(2、2’−ビピリジル−4、4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II))のエタノール溶液(いずれも3×10−4モル/リットル)に3時間浸漬することで色素を吸着させ、前記透明導電膜付きガラス基板上に、酸化物半導体電極を形成し、光電極を作製した。
<対電極の作製>
最初に、0.15ミリモル/lの塩化ルテニウムを含む水溶液と、0.025ミリモル/lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液とを混合し、得られたコロイド状分散液を濃縮し、0.2モル/lの金属ルテニウム微粒子を含む水性ゾル(コロイド溶液)を得た。金属ルテニウム微粒子の平均粒径は20nmであった。
次いで、イソプロパノ−ルに3重量パ−セントの濃度で前記金属ルテニウムコロイドを分散させたものを、1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名):関東化学社製)65重量%及びエチルセルロース(関東化学社製)10重量%の仕込み比にて混合し、ルテニウム含有ペーストを調製した。次いで、機械式ホモジナイザ−(IKA社製)によって混合した後、回転式エバポレ−タ−(東京理化社製)によってイソプロパノ−ルを除去した。3本ロール(EXAKT社製)によって混練を行った。
その後、酸化スズ透明導電膜つきガラス基板(日本板硝子社製、表面抵抗10Ω/□)を35mm×20mmの大きさに切断し、サンドブラスタ−装置にてφ0.6mmの貫通孔を開け電解液注入孔を形成した。この基板の導電面側にシルクスクリ−ン印刷法を用いて上記のルテニウムコロイド含有ペ−ストを20mm×10mmの長方形状に印刷した。その後、前記ペーストを、前記透明導電膜付きガラス基板ごと電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、500℃にて1時間焼成して、対電極を作製した。
<光電変換素子の作製>
熱可塑・熱圧着性の樹脂からなるフィルム状接着剤(タマポリ社製HM52)を上述のようにして作製した光電極及び対電極間に配置し、120℃に保持された電気炉中に2分間入れ、前記接着剤を前記光電極及び前記対電極と接着させることにより、隔壁を形成した。
次いで、電解液(メトキシプロピオニトリルに支持電解質として1−2ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムのヨウ素塩0.65モル/リットル、ヨウ化リチウム0.5モル/リットル、ヨウ素0.05モル/リットル、タ−シャリ−ブチルピリジン0.5モル/リットルを加えたもの)を、前記対電極にあけた電解液注入孔から注入し、前記光電極、前記対電極及び前記隔壁で封止することによって光電変換素子を得た。
(実施例2)
本実施例において、光電極の作製及び光電変換素子の作製は、実施例1と同様にして実施した。但し、対電極は以下のようにして作製した。
<対電極の作製>
イソプロパノ−ルに4重量パ−セントの濃度で塩化ルテニウム(関東化学社製)を溶解させたものを、1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名):関東化学社製)65重量%、エチルセルロース(関東化学社製)10重量%の仕込み比にて混合し、ルテニウム含有ペーストを調製した。機械式ホモジナイザ−(IKA社製)によって混合した後、回転式エバポレ−タ−(東京理化社製)によってイソプロパノ−ルを除去した。3本ロール(EXAKT社製)によって混練を行った。
次いで、酸化スズ透明導電膜つきガラス基板(日本板硝子社製、表面抵抗10Ω/□)を35mm×20mmの大きさに切断し、サンドブラスタ−装置にてφ0.6mmの貫通孔を開け電解液注入孔を形成した。この基板の導電面側にシルクスクリ−ン印刷法を用いて上記のルテニウム含有ペ−ストを20mm×10mmの長方形状に印刷した。次いで、電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、500℃にて1時間焼成し、前記透明導電膜付きガラス基板上に、金属ルテニウムからなる触媒層が形成されてなる、対電極を作製した。
(実施例3)
本実施例においても、光電極の作製及び光電変換素子の作製は、実施例1と同様にして実施した。但し、対電極は以下のようにして作製した。
最初に、塩化ルテニウム水溶液に炭酸水素アンモニウムを加えて得られた沈澱物を洗浄濾別し、乾燥後に500℃で焼成して酸化ルテニウム微粒子を得た。この酸化ルテニウム 微粒子を水に分散し、サンドミルを用いて粉砕し、0.150モル/lの酸化ルテニウム 微粒子を含む水性ゾル(コロイド溶液)を得た。酸化ルテニウム微粒子の平均粒径は30nmであった。
次いで、イソプロパノ−ルに5重量パ−セントの濃度で前記酸化ルテニウムコロイドを分散させたものを、1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名):関東化学社製)65重量%、エチルセルロース(関東化学社製)10重量%の仕込み比にて混合し、酸化ルテニウム含有ペーストを調製した。次いで、機械式ホモジナイザ−(IKA社製)によって混合した後、回転式エバポレ−タ−(東京理化社製)によってイソプロパノ−ルを除去した。3本ロール(EXAKT社製)によって混練を行った。
その後、酸化スズ透明導電膜つきガラス基板(日本板硝子社製、表面抵抗10Ω/□)を35mm×20mmの大きさに切断し、サンドブラスタ−装置にてφ0.6mmの貫通孔を開け電解液注入孔を形成した。この基板の導電面側にシルクスクリ−ン印刷法を用いて上記の酸化ルテニウム含有ペ−ストを20mm×10mmの長方形状に印刷した。その後、前記ペーストを、前記透明導電膜付きガラス基板ごと電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、500℃にて1時間焼成して、対電極を作製した。
(比較例1)
本比較例において、光電極の作製及び光電変換素子の作製は、実施例1と同様にして実施した。但し、対電極はPt膜付き基板を使用した。この基板は、酸化スズ透明導電膜付きガラス基板(日本板硝子社製、表面抵抗10Ω/□)にプラズマスパッタ装置でPtを200nm製膜することによって作製した。これを35mm×20mmの大きさに切断し、サンドブラスタ−装置にてφ0.6mmの貫通孔を開け電解液注入孔を形成した。これを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、500℃にて1時間焼成して、対電極を作製した。
(評価)
<光電変換特性>
AM.5、JIS−クラスAの分光放射特性を持つソ−ラ−シミュレ−タ−(山下電装社製YSS80A)及びシャープカットフィルター(HOYA L−42)を通すことにより、紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は86mW/cmであった。本素子に、模擬太陽光を連続的に照射し、電流電圧測定装置(ケースレー2400)にてI−V特性を測定することによって変換効率を求めた。
実施例1及び比較例1で得た光電変換素子について上記変換効率を求めた結果、図4に示すような結果が得られた。図4から明らかなように、対電極における触媒層を金属ルテニウムから構成した本発明の光電変換素子においても、従来の白金から構成した導電層の対電極を有する従来型の光電変換素子同様の高い変換効率が得られることが判明した。なお、実施例2及び3で得た光電変換素子についても実施例1と同様の結果が得られた。
<光電変換効率の耐久性測定>
40℃に保持した恒温プレ−ト上に得られた光電変換素子を設置し、上記の模擬太陽光を連続照射した。一定時間経過後光電変換特性を測定し性能の維持率を、通算照射1000hまで測定した。
図5は、実施例1及び比較例1で得た光電変換素子について、上記性能維持率を測定した結果を示すグラフである。図5から明らかなように、対電極における導電層を白金から構成した従来型の光電変換素子では、約230時間の連続照射において維持率がほぼゼロとなり、素子として機能しなくなるのに対し、対電極における触媒層を金属ルテニウムから構成した本発明の光電変換素子は、連続照射によって維持率は減少するものの、約1000時間の連続照射後においても約60%の維持率を有し、素子として機能することが分かる。
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
本発明の光電変換素子の一例を概略的に示す構成図である。 図1に示す光電変換素子の、酸化物半導体電極近傍を拡大して示す図である。 図1に示す光電変換素子の、対電極部分を拡大して示す図である。 光電変換素子の変換効率(I−V特性)を示すグラフである。 光電変換素子の性能維持率を示すグラフである。
符号の説明
100 光電変換素子
101 光電極
102 透明導電性基板
103 酸化物半導体電極
104 透明基板
105 透明導電層
106 酸化物半導体微粒子
107 増感色素
108 電解質
109 対電極
110 導電性基板
111 導電層
112 触媒層
120 隔壁

Claims (10)

  1. 所定の色素を吸着した半導体層を有し、光吸収によって励起されることにより起電力を生ぜしめる光電極と、
    前記光電極と対向して設けられた対電極と、
    前記光電極と前記対電極との間に設けられた電荷移動層とを具え、
    前記電荷移動層は所定の電解質を含み、
    前記対電極の、少なくとも前記電解質と接触する側において、酸化ルテニウム及び金属ルテニウムの少なくとも一方を含み、かつ前記酸化ルテニウム及び前記金属ルテニウムは、前記対電極内に粒子の状態で存在することを特徴とする、色素増感型光電変換素子。
  2. 前記電解質は、ヨウ素レドックス電解液を含むことを特徴とする、請求項1に記載の色
    素増感型の光電変換素子。
  3. 前記ヨウ素レドックス電解液中における酸化還元対の濃度が0.1モル/リットル以上
    であることを特徴とする、請求項2に記載の色素増感型光電変換素子。
  4. 前記粒子の大きさが、50nm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の色素増感型光電変換素子。
  5. 前記酸化ルテニウム及び前記金属ルテニウムは、導電性粒子上に担持した状態で存在す
    ることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一に記載の色素増感型光電変換素子。
  6. 金属ルテニウムコロイド及び酸化ルテニウムコロイドの少なくとも一方を含むコロイド
    溶液を作製する工程と、
    前記コロイド溶液を所定の導電性基板上に塗布することによって、酸化ルテニウム及び
    金属ルテニウムの少なくとも一方を含み、かつ前記酸化ルテニウム及び前記金属ルテニウムは、粒子の状態で存在する触媒層を形成し、前記導電性基板と前記触媒層とを有する対電極を形成する工程と、
    所定の色素を吸着した半導体層を有し、光吸収によって励起されることにより起電力を
    生ぜしめる光電極を形成する工程と、
    前記対電極と前記光電極との間に電荷移動層を形成する工程と、
    を具えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の色素増感型光電変換素子の製造方法。
  7. 金属ルテニウム、酸化ルテニウム、ルテニウム金属塩及びルテニウム金属錯体からなる
    群より選ばれる少なくとも一つを導電性粒子に担持させてなるコロイドを含むコロイド溶
    液を作製する工程と、
    前記コロイド溶液を導電性基板上に塗布することによって、酸化ルテニウム及び金属ル
    テニウムの少なくとも一方を含み、かつ前記酸化ルテニウム及び前記金属ルテニウムは、粒子の状態で存在する触媒層を形成し、前記基板と前記触媒層とを有する対電極を形成する工程と、
    所定の色素を吸着した半導体層を有し、光吸収によって励起されることにより起電力を
    生ぜしめる光電極を形成する工程と、
    前記対電極と前記光電極との間に電荷移動層を形成する工程と、
    を具えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の色素増感型光電変換素子の製造方法。
  8. 金属ルテニウムコロイド及び酸化ルテニウムコロイドの少なくとも一方を含むコロイド
    溶液からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の色素増感型光電変換素子用塗料。
  9. 金属ルテニウム、酸化ルテニウム、ルテニウム金属塩及びルテニウム金属錯体からなる
    群より選ばれる少なくとも一つを導電性粒子に担持させてなるコロイドを含むコロイド溶
    液からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の色素増感型光電変換素子用塗料。
  10. 請求項1〜のいずれか一に記載の色素増感型光電変換素子を具えることを特徴とする、光電気化学電池。
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