JP2004319131A - 光電変換素子の製造方法、光電変換素子、電子装置の製造方法、電子装置、金属膜の製膜方法および積層構造体 - Google Patents
光電変換素子の製造方法、光電変換素子、電子装置の製造方法、電子装置、金属膜の製膜方法および積層構造体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】対極となる白金などからなる金属膜の金属酸化物膜に対する付着性の大幅な向上を図ることができ、しかもその対極となる金属膜の異種金属による汚染が生じない光電変換素子の製造方法および光電変換素子を提供する。
【解決手段】半導体微粒子からなる半導体電極と対極となる金属膜とを有する光電変換素子において、ITOなどの金属酸化物からなる透明電極12上にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)膜13をスピンコートなどにより製膜した後、その上に対極となる白金膜14を製膜する。
【選択図】 図3
【解決手段】半導体微粒子からなる半導体電極と対極となる金属膜とを有する光電変換素子において、ITOなどの金属酸化物からなる透明電極12上にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)膜13をスピンコートなどにより製膜した後、その上に対極となる白金膜14を製膜する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光電変換素子の製造方法、光電変換素子、電子装置の製造方法、電子装置、金属膜の製膜方法および積層構造体に関し、例えば、半導体微粒子からなる半導体電極を用いた湿式太陽電池に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
バンドギャップの大きな半導体を色素によって増感する色素増感型太陽電池はシリコンまたは化合物半導体からなる従来の太陽電池に取って代わる安価な太陽電池として有望であり、現在盛んに研究されている(非特許文献1)。
【非特許文献1】
Nature,353(1991)737
【0003】
これまでの研究は主にセル効率を最大にすることに焦点が絞られていた。最近の研究では、グレッツェルらによって10%のエネルギー変換効率が報告されている(非特許文献2)。
【非特許文献2】
J.Am.Chem.Soc.,114(1993)6382
【0004】
高効率を達成するには光エネルギーを十分に吸収する必要があり、色素が吸着する半導体表面を大きくするためにナノスケールの半導体微粒子からなる多孔質膜が用いられている。現在、半導体としてアナターゼ型酸化チタンが広く用いられている。
【0005】
この色素増感型太陽電池の一般的な構造は、透明導電性基板上に形成した酸化チタンなどの半導体微粒子層に増感色素を担持させた半導体電極と、白金膜などからなる対極とを組み合わせ、両極間にヨウ素やヨウ化物イオンなどの酸化・還元種を含む有機電解液を充填したものである。
対極としての上記の白金膜は通常、インジウム(In)−スズ(Sn)酸化物(ITO)などの金属酸化物からなる透明電極上にスパッタリング法などにより製膜される。
【0006】
なお、有機導電性高分子化合物およびp型無機半導体を含有する液を塗布した透明導電材が提案されている(特許文献1)。また、ITOなどの導電性基質の被覆材としてPEDOT/PSSをコーティングすることが提案されている(特許文献2)。また、ITOを形成したガラス基板上にPEDOT/PSSをコーティングすることが提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】
特開2002−93242号公報
【特許文献2】
特表2002−526801号公報
【特許文献3】
特表2002−508599号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにITOなどの金属酸化物からなる透明電極上に白金膜を製膜すると、白金膜の付着性が極めて悪いため、簡単に剥がれてしまうという問題があった。
【0008】
この問題を防止するために、ITOなどの金属酸化物からなる透明電極上にこの透明電極に対する付着性が良好なタングステンやクロムからなる膜を製膜し、その上に白金膜を製膜する方法があるが、この方法では、白金膜の下地層が異種金属の膜となるため、白金膜がこの異種金属により汚染されるおそれがあり、好ましくない。
【0009】
従って、この発明が解決しようとする課題は、対極となる白金などからなる金属膜の金属酸化物膜に対する付着性の大幅な向上を図ることができ、しかもその対極となる金属膜の異種金属による汚染が生じない光電変換素子の製造方法および光電変換素子を提供することである。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、より一般的には、白金などからなる金属膜の金属酸化物膜に対する付着性の大幅な向上を図ることができ、しかもその金属膜の異種金属による汚染が生じない電子装置の製造方法および電子装置を提供することである。
【0011】
この発明が解決しようとする課題は、さらに一般的には、白金などからなる金属膜の金属酸化物膜に対する付着性の大幅な向上を図ることができ、しかもその金属膜の異種金属による汚染が生じない金属膜の製膜方法および積層構造体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術が有する上記課題を解決すべく種々実験および検討を行った結果、ITOなどの金属酸化物膜上に白金膜などを製膜する場合には、その金属酸化物膜上にまず導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)からなる膜を製膜し、その上に白金膜などを製膜することにより、上記の課題を一挙に解決することができることを見い出した。さらに検討を行った結果、より一般的に、ポリチオフェンまたはその誘導体とポリスチレンスルホン酸などとからなる膜を金属酸化物膜上に製膜し、その上に白金膜などを製膜しても同様な効果を得ることができるという結論に至った。
この発明は上記の検討に基づいて案出されたものである。
【0013】
すなわち、上記課題を解決するために、この発明の第1の発明は、
半導体電極と金属酸化物膜上に製膜した対極となる金属膜とを有する光電変換素子の製造方法において、
金属酸化物膜上に、
【化18】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化19】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜するようにした
ことを特徴とするものである。
【0014】
この発明の第2の発明は、
半導体電極と金属酸化物膜上に製膜した対極となる金属膜とを有する光電変換素子において、
金属酸化物膜上に、
【化20】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化21】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜した
ことを特徴とするものである。
【0015】
第1および第2の発明において、ポリスチレンスルホン酸、RSO3 H、R´OSO3 H、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 は、ポリチオフェンまたはその誘導体に対してドーパントとなり、これらの化合物により導電性高分子が構成される。
【0016】
中間膜は、最も典型的には、
【化22】
で示されるポリエチレンジオキシチオフェンと、
【化23】
で示されるポリスチレンスルホン酸とからなる、すなわちPEDOT/PSSからなる。この中間膜は、最も典型的には、
【化24】
で示されるポリエチレンジオキシチオフェンと、
【化25】
で示されるポリスチレンスルホン酸イオンと、
【化26】
で示されるポリスチレンスルホン酸とを含む水溶液を用い、これを金属酸化物膜上にスピンコートすることなどにより製膜される。
【0017】
中間膜の厚さは、数nm程度であっても下地の金属酸化物膜に対する付着性およびこの中間膜に対する金属膜の付着性の向上を図ることが可能であるが、製膜時の厚さのばらつきや厚さの面内不均一性などによる付着性の不安定性を少なくしたり、製膜を容易にしたりする観点より、好適には、15nm以上500nm以下、より好適には、30nm以上400nm以下である。
【0018】
金属酸化物膜は、例えば、In−Sn複合酸化物、SnO2 (フッ素ドープSnO2 (FTO)も含む)、TiO2 およびZnOからなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属酸化物からなり、典型的には透明電極として用いられる。
金属酸化物膜は、典型的には、導電性または非導電性の透明支持基板上に製膜される。この透明支持基板の材質は特に制限されず、透明であれば種々の基材を用いることができるが、光電変換素子外部から侵入する水分やガスの遮断性、耐溶剤性、耐候性などに優れているものが好ましい。この透明支持基板としては、具体的には、石英、ガラスなどの透明無機基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、テトラアセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルフォン類、ポリオレフィン類などの透明プラスチック基板が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この透明支持基板としては特に、加工性、軽量性などを考慮すると、ポリエチレンテレフタレートなどに代表される透明プラスチック基板を用いるのが好ましい。この透明支持基板の厚さは特に制限されず、光の透過率、光電変換素子の内部と外部との遮断性などによって自由に選択することができる。
【0019】
金属膜は、例えば、白金、金、アルミニウム、銅、銀およびチタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属からなり、典型的には、これらの金属からなる単層膜または多層膜からなる。
【0020】
半導体電極は典型的には半導体微粒子からなる。この半導体微粒子の材料としては、シリコンに代表される元素半導体のほかに、各種の化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などを使用することができる。これらの半導体は、光励起下で伝導帯電子がキャリアーとなり、アノード電流を与えるn型半導体であることが好ましい。これらの半導体は、具体的に例示すると、TiO2 、ZnO、WO3 、Nb2 O5 、TiSrO3 、SnO2 などであり、これらのうちTiO2 、特にアナターゼ型TiO2 が光触媒活性の点から特に好ましい。このアナターゼ型TiO2 は市販の粉末、ゾル、スラリーでもよいし、あるいは酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって所定の粒径のものを作ってもよい。半導体の種類はこれらに限定されるものではなく、これらの半導体を二種類以上混合して用いることもできる。
【0021】
半導体微粒子の粒径に特に制限はないが、一次粒子の平均粒径で1〜200nmが好ましく、特に好ましくは5〜100nmである。また、この平均粒径の半導体微粒子にこの平均粒径より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合し、平均粒径の大きい半導体微粒子により入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する半導体微粒子の平均粒径は20〜500nmであることが好ましい。
【0022】
半導体微粒子からなる半導体電極の形成方法は、特に制限はないが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合には湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水などの溶媒に均一分散したものや、これにさらに結着剤を添加して調製されたペーストを透明導電性基板上に塗布する方法が好ましい。この透明導電性基板としては、例えば、上記と同様に導電性または非導電性の透明支持基板上に金属酸化物膜を形成したものなどが用いられる。塗布方法は特に制限はなく、公知の各種の方法を用いることができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの各種の方法を用いることができる。半導体微粒子として市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、塗布液調製時に乳鉢やボールミルなどを使用して粒子の粉砕を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解かれた粒子が再度凝集するのを防ぐため、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤などを添加するのが好ましい。また、増粘の目的でポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、セルロース系の増粘剤などの各種増粘剤を添加することもできる。
【0023】
半導体微粒子に担持させる色素としては、増感作用を示すものであれば特に制限はないが、例えば、ローダミンB、ローズベンガル、エオシン、エリスロシンなどのキサンテン系色素、キノシアニン、クリプトシアニンなどのシアニン系色素、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシン、メチレンブルーなどの塩基性染料、クロロフィル、亜鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリンなどのポルフィリン系化合物、その他アゾ色素、フタロシアニン化合物、クマリン系化合物、Ruビピリジン錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素などが挙げられる。この中でも、ルテニウム(Ru)ビピリジン錯化合物は量子収率が高く特に好ましいが、これに限定されるものではなく、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0024】
上記色素の半導体微粒子層への担持方法に特に制限はなく、例えば上記色素をアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水などの溶媒に溶解させ、その中に半導体微粒子層を浸漬し、もしくは色素溶液を半導体微粒子層に塗布する方法が一般的である。この場合、1半導体微粒子に対する色素分子の仕込み量は好ましくは1〜1000分子であり、1〜100分子がさらに好ましい。また、色素分子が半導体微粒子に対して大過剰に担持された場合、光エネルギーによって励起された電子が半導体微粒子に注入されず電解質を還元するためエネルギーロスの原因となる。従って、色素分子は半導体微粒子に対して単分子吸着が理想的な状態であり、必要に応じて担持させる温度や圧力を変化させることが可能である。色素同士の会合を低減する目的でデオキシコール酸などのカルボン酸類を添加してもよい。また紫外線吸収剤を併用することもできる。
【0025】
過剰に吸着した色素の除去を促進する目的で、色素が吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子層の表面を処理してもよい。アミン類の例としては、ピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0026】
電解質は、ヨウ素(I2 )と金属ヨウ化物もしくは有機ヨウ化物との組み合わせ、臭素(Br2 )と金属臭化物あるいは有機臭化物との組み合わせのほか、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。上記金属化合物のカチオンとしては、Li、Na、K、Mg、Ca、Csなど、上記有機化合物のカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類などの4級アンモニウム化合物が好ましいが、これらに限定されるものではなく、これらを2種類以上混合して用いることもできる。この中でも、I2 と、LiI、NaIやイミダゾリウムヨーダイドなどの4級アンモニウム化合物とを組み合わせた電解質が好適である。電解質塩の濃度は溶媒に対して0.05〜5Mが好ましく、さらに好ましくは0.2〜1Mである。I2 やBr2 の濃度は0.0005〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.0001〜0.1Mである。また、開放電圧、短絡電流を向上させる目的で、4−tert−ブチルピリジンやカルボン酸などの各種添加剤を加えることもできる。
【0027】
上記電解質組成物を構成する溶媒として水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。また、溶媒としてテトラアルキル系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系4級アンモニウム塩の室温イオン性液体を用いることも可能である。
【0028】
光電変換素子の漏液、電解質の揮発を低減する目的で、上記電解質組成物へゲル化剤、ポリマー、架橋モノマーなどを溶解させ、ゲル状電解質として使用することも可能である。ゲルマトリクスと電解質組成物との比率は、電解質組成物が多ければイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下する。また、逆に電解質組成物が少な過ぎると機械的強度は大きいがイオン導電率は低下するため、電解質組成物はゲル状電解質の50〜99wt%が望ましく、80〜97wt%がより好ましい。また、上記電解質と可塑剤とを用いてポリマーに溶解させ、可塑剤を揮発除去することで全固体型の光電変換素子を実現することも可能である。
【0029】
光電変換素子の製造方法は特に限定されないが、例えば電解質組成物が液状、もしくは光電変換素子内部でゲル化させることが可能であり、導入前は液状の電解質組成物の場合、色素を担持させた半導体電極と対極とを向かい合わせ、これらの電極が互いに接しないように半導体電極が形成されていない基板部分を封止する。封止方法は特に制限されないが、対光性、絶縁性、防湿性を備えた材料が好ましく、種々の溶接法、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル系接着剤、EVA(エチレンビニルアセテート) 、アイオノマー樹脂、セラミック、熱融着フィルムなどを用いることができる。また、電解質組成物の溶液を注液する注入口が必要であるが、色素を担持した半導体電極およびそれに対向する部分の対極上でない限り、注入口の場所は特に限定されない。注液方法に特に制限はないが、予め封止され、溶液の注入口を開けられた上記セルの内部に注液を行う方法が好ましい。この場合、注入口に溶液を数滴垂らし、毛細管現象により注液する方法が簡便である。また、必要に応じて減圧もしくは加熱下で注液の操作を行うこともできる。完全に溶液が注入された後、注入口に残った溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限はないが、必要であればガラス板やプラスチック基板などを封止剤で貼り付けて封止することもできる。また、ポリマーなどを用いたゲル状電解質、全固体型の電解質の場合、色素を担持した半導体電極上で電解質組成物と可塑剤とを含むポリマー溶液をキャスト法により揮発除去させる。可塑剤を完全に除去した後、上記方法と同様に封止を行う。この封止は真空シーラーなどを用いて、不活性ガス雰囲気下、もしくは減圧中で行うことが好ましい。封止を行った後、電解質を半導体電極へ十分に含侵させるため、必要に応じて加熱、加圧の操作を行うことも可能である。
光電変換素子はその用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。
光電変換素子は、最も典型的には、色素増感型湿式光電変換素子(特に、色素増感型湿式太陽電池)である。
【0030】
金属酸化物膜上に上記のような中間膜を製膜し、この中間膜上に白金などからなる金属膜を製膜する上記の方法は、光電変換素子のみならず、金属酸化物膜上に白金などからなる金属膜を製膜する電子装置全般あるいは金属酸化物膜上に白金などからなる金属膜を製膜する場合にも同様に適用することができるものである。
【0031】
そこで、この発明の第3の発明は、
金属酸化物膜上に製膜した金属膜を有する電子装置の製造方法において、
金属酸化物膜上に、
【化27】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化28】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜するようにした
ことを特徴とするものである。
【0032】
この発明の第4の発明は、
金属酸化物膜上に製膜した金属膜を有する電子装置において、
金属酸化物膜上に、
【化29】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化30】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜した
ことを特徴とするものである。
【0033】
この発明の第5の発明は、
金属酸化物膜上に金属膜を製膜するようにした金属膜の製膜方法において、
金属酸化物膜上に、
【化31】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化32】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜するようにした
ことを特徴とするものである。
【0034】
この発明の第6の発明は、
金属酸化物膜上に金属膜を製膜した積層構造体において、
金属酸化物膜上に、
【化33】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化34】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜した
ことを特徴とするものである。
【0035】
第1および第2の発明に関連して述べた上記のことは、その性質に反しない限り、第3〜第6の発明においても同様に成立する。電子装置には光電変換素子のほか、各種の半導体装置などが含まれ、その用途や機能によっては半導体電極を有しない場合もある。
【0036】
上述のように構成されたこの発明によれば、金属酸化物膜上にポリチオフェンまたはその誘導体とポリスチレンスルホン酸などとからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に白金などからなる金属膜を製膜するようにしているため、金属酸化物膜に対するこの中間膜の付着性およびこの中間膜に対する白金などからなる金属膜の付着性とも極めて良好であることにより、この金属膜を金属酸化物膜上に直接製膜する場合に比べて、金属膜の付着性の大幅な向上を図ることができる。また、付着性を向上させるためにタングステンやクロムからなる膜を用いる場合と異なり、異種金属による金属膜の汚染の問題がない。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1〜図5はこの発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を示す。
【0038】
この一実施形態においては、まず、図1に示すように、透明基板11上にITOなどの金属酸化物からなる透明電極12を形成したものを用意する。
次に、図2に示すように、この透明電極12上にPEDOT/PSS膜13を製膜する。このPEDOT/PSS膜13の厚さは例えば30〜400nmとする。このPEDOT/PSS膜13を製膜するには、PEDOT/PSS水溶液を透明電極12上にスピンコートした後、これを加熱して水分を蒸発させ、固化する。
次に、図3に示すように、このPEDOT/PSS膜13上に対極として白金膜14を製膜する。
【0039】
一方、図4に示すように、透明導電性基板15を用意し、その上に増感色素を担持した半導体微粒子層16を形成する。この増感色素を担持した半導体微粒子層16は例えば次のようにして形成することができる。すなわち、まず、半導体微粒子が分散されたコロイド溶液をスピンコートした後、透明導電性基板15の耐熱温度以下の温度で加熱することにより溶媒を蒸発させて乾燥を行う。これによって、半導体微粒子層16が形成される。この後、この半導体微粒子層16を色素溶液に浸漬するなどにより色素を担持させる。
【0040】
次に、図5に示すように、透明電極12、PEDOT/PSS膜13および白金膜14を形成した透明基板11と半導体微粒子層16を形成した透明導電性基板15とを、白金膜14と半導体微粒子層16とが所定の間隔を持って互いに対向するように配置するとともに、所定の封止部材を用いて電解質層が封入される空間を作り、この空間に、予め形成された注液口から電解質層17を注入する。その後、この注液口を塞ぐ。これによって、色素増感型湿式太陽電池が製造される。
【0041】
次に、この色素増感型湿式太陽電池の動作について説明する。
図6に示すように、透明導電性基板15側からこの透明導電性基板15を透過して入射した光は、半導体微粒子層15の表面に担持された増感色素を励起して電子を発生する。この電子は速やかに増感色素から半導体微粒子層16の半導体微粒子に渡される。一方、電子を失った増感色素は、電解質層16のイオンから電子を受け取り、電子を渡したイオンは、再び対極の白金膜14で電子を受け取る。この一連の過程により、半導体微粒子層16と電気的に接続された透明導電性基板15と、白金膜14とPEDOT/PSS膜13を介して電気的に接続された透明電極12との間に起電力が発生する。このようにして光電変換が行われる。
【0042】
以上のように、この一実施形態によれば、ITOなどの金属酸化物からなる透明電極12上にまずPEDOT/PSS膜13を製膜した後、その上に対極として白金膜14を製膜していることにより、透明電極12上に白金膜14を直接製膜する場合に比べて、白金膜14の付着性を大幅に向上させることができ、それによって白金膜14は極めて剥がれにくくなる。このため、対極としての白金膜14の耐久性が大幅に向上し、ひいては色素増感型湿式太陽電池の耐久性、信頼性および寿命の大幅な向上を図ることができる。また、白金膜14の下地はPEDOT/PSS膜13であるので、白金膜14の異種金属による汚染の問題がない。また、PEDOT/PSS膜13は導電性高分子であるため、透明電極12と白金膜14との電気的接触も良好に保つことができ、色素増感型湿式太陽電池の動作を良好に行うことができる。さらに、PEDOT/PSS膜13はスピンコート法により容易に製膜することができる。
【0043】
【実施例】
色素増感型湿式太陽電池の製造方法の実施例について説明する。
まず、透明基板11および透明電極12として、厚さ120μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に厚さ300nmのITO膜を真空蒸着したものを準備する。次に、このITO付きPETフィルムを25mm角にカットする。
次に、このITO膜からなる透明電極12の表面を順に純水中、イソプロパノール中にて超音波洗浄して脱脂した後、窒素気流下で乾燥する。
次に、このITO膜からなる透明電極12上に、PEDOT/PSSの1.3wt%水溶液を毎分3000回転でスピンコートした後、120℃に加熱したホットプレート上にて30分間乾燥し、PEDOT/PSS膜13を作製する。
【0044】
次に、このPEDOT/PSS膜13上にスパッタリング法により白金膜14を製膜する。この白金膜14の厚さは40nmとした。
次に、酸化チタン濃度が10%に調製された酸化チタンコロイド溶液(100mL)にこのコロイド溶液中の酸化チタンと等量になるようにアナターゼ型酸化チタン粉末を混合し、これを容量250mLのジルコニアポットに100gのジルコニアビーズとともに入れ、3時間遊星型ボールミルで分散した。この後、この溶液からビーズを濾過して除き、白色の酸化チタン分散液を得た。次に、透明導電性基板15として、厚さ120μmのPETフィルム上に厚さ300nmのITO膜を真空蒸着したものを準備する。次に、このITO付きPETフィルムを25mm角にカットする。次に、このITO膜の表面を順に純水中、イソプロパノール中にて超音波洗浄して脱脂した後、窒素気流下で乾燥する。次に、このITO膜上に、酸化チタン濃度が10%に調製された酸化チタンコロイド溶液を1層スピンコートした後、上記のようにして得た酸化チタン分散液を3層スピンコートした。この後、このスピンコートを行ったPETフィルムを120℃に加熱されたホットプレート上に置き、そのまま30分間乾燥させる。このようにして、酸化チタン微粒子からなる半導体微粒子層16を形成した。得られた半導体微粒子層16の厚さは約3〜5μmであった。
【0045】
次に、酸化チタン微粒子からなる半導体微粒子層16が形成されたPETフィルムをルテニウム色素のエタノール溶液(ルテニウム色素(0.5mM):デオキシコール酸(20mM))に一晩浸漬し、半導体微粒子層16に増感色素を担持させた後、これを取り出してエタノールですすぎ、すぐに太陽電池を組み立てる。太陽電池の組み立ては次の手順で行った。まず、白金膜14が形成された透明基板11と酸化チタン微粒子からなる半導体微粒子層16を形成した透明導電性基板15とを、白金膜14と半導体微粒子層16とが幅5mmのコの字型のポリテトラフルオロエチレン製スペーサー(厚さ0.3mm)を挟んで互いに対向するように保持し、その外周を厚さ30μmのEVAフィルムとエポキシ樹脂とにより封止することで、電解質層を注入する空間を形成する。次に、この空間に予め形成された注液口から電解質層17を注入する。電解質層17としては、LiI(0.5M)、ヨウ素(0.05M)、tert−ブチルピリジン(0.5M)のプロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1)溶液を用いた。その後、注液口を塞ぐ。以上のようにして色素増感型湿式太陽電池を得た。
一方、比較例として、透明電極12上に白金膜14を直接製膜すること以外は上記の実施例と同様にして色素増感型湿式太陽電池を作製した。
【0046】
実施例のようにITO膜からなる透明電極12上にPEDOT/PSS膜13を介して製膜した白金膜14と、比較例のようにITO膜からなる透明電極12上に直接製膜した白金膜14とに対し、ラビング(rubbing)試験を行った。ただし、このラビング試験は、指先にガーゼを巻き、一定の力を加えた状態で指先を白金膜14上で往復させたときの剥がれを評価することにより行った。図7および図8はそれぞれラビング前およびラビング後の白金膜14の写真を示し、各図において左側の試料が実施例のもの、右側の試料が比較例のものである。図7と図8とを比較すると分かるように、比較例ではラビングにより完全に白金膜14が剥がれ落ちているのに対し、実施例では白金膜14上に擦過痕が少し見られるものの、白金膜14の剥がれは生じなかった。
【0047】
以上、この発明の一実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、金属酸化物膜上にポリチオフェンまたはその誘導体とポリスチレンスルホン酸などとからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜するようにしていることにより、金属膜の付着性の大幅な向上を図ることができるとともに、金属膜が異種金属により汚染されるおそれがない。これによって、耐久性、信頼性および寿命に優れた高性能の光電変換素子あるいは電子装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図2】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の動作を説明するための断面図である。
【図7】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池において白金膜のラビング試験の結果を説明するための図面代用写真である。
【図8】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池において白金膜のラビング試験の結果を説明するための図面代用写真である。
【符号の説明】
11…透明基板、12…透明電極、13…PEDOT/PSS膜、14…白金膜、15…透明導電性基板、16…半導体微粒子層、17…電解質層
【発明の属する技術分野】
この発明は、光電変換素子の製造方法、光電変換素子、電子装置の製造方法、電子装置、金属膜の製膜方法および積層構造体に関し、例えば、半導体微粒子からなる半導体電極を用いた湿式太陽電池に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
バンドギャップの大きな半導体を色素によって増感する色素増感型太陽電池はシリコンまたは化合物半導体からなる従来の太陽電池に取って代わる安価な太陽電池として有望であり、現在盛んに研究されている(非特許文献1)。
【非特許文献1】
Nature,353(1991)737
【0003】
これまでの研究は主にセル効率を最大にすることに焦点が絞られていた。最近の研究では、グレッツェルらによって10%のエネルギー変換効率が報告されている(非特許文献2)。
【非特許文献2】
J.Am.Chem.Soc.,114(1993)6382
【0004】
高効率を達成するには光エネルギーを十分に吸収する必要があり、色素が吸着する半導体表面を大きくするためにナノスケールの半導体微粒子からなる多孔質膜が用いられている。現在、半導体としてアナターゼ型酸化チタンが広く用いられている。
【0005】
この色素増感型太陽電池の一般的な構造は、透明導電性基板上に形成した酸化チタンなどの半導体微粒子層に増感色素を担持させた半導体電極と、白金膜などからなる対極とを組み合わせ、両極間にヨウ素やヨウ化物イオンなどの酸化・還元種を含む有機電解液を充填したものである。
対極としての上記の白金膜は通常、インジウム(In)−スズ(Sn)酸化物(ITO)などの金属酸化物からなる透明電極上にスパッタリング法などにより製膜される。
【0006】
なお、有機導電性高分子化合物およびp型無機半導体を含有する液を塗布した透明導電材が提案されている(特許文献1)。また、ITOなどの導電性基質の被覆材としてPEDOT/PSSをコーティングすることが提案されている(特許文献2)。また、ITOを形成したガラス基板上にPEDOT/PSSをコーティングすることが提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】
特開2002−93242号公報
【特許文献2】
特表2002−526801号公報
【特許文献3】
特表2002−508599号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにITOなどの金属酸化物からなる透明電極上に白金膜を製膜すると、白金膜の付着性が極めて悪いため、簡単に剥がれてしまうという問題があった。
【0008】
この問題を防止するために、ITOなどの金属酸化物からなる透明電極上にこの透明電極に対する付着性が良好なタングステンやクロムからなる膜を製膜し、その上に白金膜を製膜する方法があるが、この方法では、白金膜の下地層が異種金属の膜となるため、白金膜がこの異種金属により汚染されるおそれがあり、好ましくない。
【0009】
従って、この発明が解決しようとする課題は、対極となる白金などからなる金属膜の金属酸化物膜に対する付着性の大幅な向上を図ることができ、しかもその対極となる金属膜の異種金属による汚染が生じない光電変換素子の製造方法および光電変換素子を提供することである。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、より一般的には、白金などからなる金属膜の金属酸化物膜に対する付着性の大幅な向上を図ることができ、しかもその金属膜の異種金属による汚染が生じない電子装置の製造方法および電子装置を提供することである。
【0011】
この発明が解決しようとする課題は、さらに一般的には、白金などからなる金属膜の金属酸化物膜に対する付着性の大幅な向上を図ることができ、しかもその金属膜の異種金属による汚染が生じない金属膜の製膜方法および積層構造体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術が有する上記課題を解決すべく種々実験および検討を行った結果、ITOなどの金属酸化物膜上に白金膜などを製膜する場合には、その金属酸化物膜上にまず導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)からなる膜を製膜し、その上に白金膜などを製膜することにより、上記の課題を一挙に解決することができることを見い出した。さらに検討を行った結果、より一般的に、ポリチオフェンまたはその誘導体とポリスチレンスルホン酸などとからなる膜を金属酸化物膜上に製膜し、その上に白金膜などを製膜しても同様な効果を得ることができるという結論に至った。
この発明は上記の検討に基づいて案出されたものである。
【0013】
すなわち、上記課題を解決するために、この発明の第1の発明は、
半導体電極と金属酸化物膜上に製膜した対極となる金属膜とを有する光電変換素子の製造方法において、
金属酸化物膜上に、
【化18】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化19】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜するようにした
ことを特徴とするものである。
【0014】
この発明の第2の発明は、
半導体電極と金属酸化物膜上に製膜した対極となる金属膜とを有する光電変換素子において、
金属酸化物膜上に、
【化20】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化21】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜した
ことを特徴とするものである。
【0015】
第1および第2の発明において、ポリスチレンスルホン酸、RSO3 H、R´OSO3 H、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 は、ポリチオフェンまたはその誘導体に対してドーパントとなり、これらの化合物により導電性高分子が構成される。
【0016】
中間膜は、最も典型的には、
【化22】
で示されるポリエチレンジオキシチオフェンと、
【化23】
で示されるポリスチレンスルホン酸とからなる、すなわちPEDOT/PSSからなる。この中間膜は、最も典型的には、
【化24】
で示されるポリエチレンジオキシチオフェンと、
【化25】
で示されるポリスチレンスルホン酸イオンと、
【化26】
で示されるポリスチレンスルホン酸とを含む水溶液を用い、これを金属酸化物膜上にスピンコートすることなどにより製膜される。
【0017】
中間膜の厚さは、数nm程度であっても下地の金属酸化物膜に対する付着性およびこの中間膜に対する金属膜の付着性の向上を図ることが可能であるが、製膜時の厚さのばらつきや厚さの面内不均一性などによる付着性の不安定性を少なくしたり、製膜を容易にしたりする観点より、好適には、15nm以上500nm以下、より好適には、30nm以上400nm以下である。
【0018】
金属酸化物膜は、例えば、In−Sn複合酸化物、SnO2 (フッ素ドープSnO2 (FTO)も含む)、TiO2 およびZnOからなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属酸化物からなり、典型的には透明電極として用いられる。
金属酸化物膜は、典型的には、導電性または非導電性の透明支持基板上に製膜される。この透明支持基板の材質は特に制限されず、透明であれば種々の基材を用いることができるが、光電変換素子外部から侵入する水分やガスの遮断性、耐溶剤性、耐候性などに優れているものが好ましい。この透明支持基板としては、具体的には、石英、ガラスなどの透明無機基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、テトラアセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルフォン類、ポリオレフィン類などの透明プラスチック基板が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この透明支持基板としては特に、加工性、軽量性などを考慮すると、ポリエチレンテレフタレートなどに代表される透明プラスチック基板を用いるのが好ましい。この透明支持基板の厚さは特に制限されず、光の透過率、光電変換素子の内部と外部との遮断性などによって自由に選択することができる。
【0019】
金属膜は、例えば、白金、金、アルミニウム、銅、銀およびチタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属からなり、典型的には、これらの金属からなる単層膜または多層膜からなる。
【0020】
半導体電極は典型的には半導体微粒子からなる。この半導体微粒子の材料としては、シリコンに代表される元素半導体のほかに、各種の化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などを使用することができる。これらの半導体は、光励起下で伝導帯電子がキャリアーとなり、アノード電流を与えるn型半導体であることが好ましい。これらの半導体は、具体的に例示すると、TiO2 、ZnO、WO3 、Nb2 O5 、TiSrO3 、SnO2 などであり、これらのうちTiO2 、特にアナターゼ型TiO2 が光触媒活性の点から特に好ましい。このアナターゼ型TiO2 は市販の粉末、ゾル、スラリーでもよいし、あるいは酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって所定の粒径のものを作ってもよい。半導体の種類はこれらに限定されるものではなく、これらの半導体を二種類以上混合して用いることもできる。
【0021】
半導体微粒子の粒径に特に制限はないが、一次粒子の平均粒径で1〜200nmが好ましく、特に好ましくは5〜100nmである。また、この平均粒径の半導体微粒子にこの平均粒径より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合し、平均粒径の大きい半導体微粒子により入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する半導体微粒子の平均粒径は20〜500nmであることが好ましい。
【0022】
半導体微粒子からなる半導体電極の形成方法は、特に制限はないが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合には湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水などの溶媒に均一分散したものや、これにさらに結着剤を添加して調製されたペーストを透明導電性基板上に塗布する方法が好ましい。この透明導電性基板としては、例えば、上記と同様に導電性または非導電性の透明支持基板上に金属酸化物膜を形成したものなどが用いられる。塗布方法は特に制限はなく、公知の各種の方法を用いることができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの各種の方法を用いることができる。半導体微粒子として市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、塗布液調製時に乳鉢やボールミルなどを使用して粒子の粉砕を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解かれた粒子が再度凝集するのを防ぐため、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤などを添加するのが好ましい。また、増粘の目的でポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、セルロース系の増粘剤などの各種増粘剤を添加することもできる。
【0023】
半導体微粒子に担持させる色素としては、増感作用を示すものであれば特に制限はないが、例えば、ローダミンB、ローズベンガル、エオシン、エリスロシンなどのキサンテン系色素、キノシアニン、クリプトシアニンなどのシアニン系色素、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシン、メチレンブルーなどの塩基性染料、クロロフィル、亜鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリンなどのポルフィリン系化合物、その他アゾ色素、フタロシアニン化合物、クマリン系化合物、Ruビピリジン錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素などが挙げられる。この中でも、ルテニウム(Ru)ビピリジン錯化合物は量子収率が高く特に好ましいが、これに限定されるものではなく、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0024】
上記色素の半導体微粒子層への担持方法に特に制限はなく、例えば上記色素をアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水などの溶媒に溶解させ、その中に半導体微粒子層を浸漬し、もしくは色素溶液を半導体微粒子層に塗布する方法が一般的である。この場合、1半導体微粒子に対する色素分子の仕込み量は好ましくは1〜1000分子であり、1〜100分子がさらに好ましい。また、色素分子が半導体微粒子に対して大過剰に担持された場合、光エネルギーによって励起された電子が半導体微粒子に注入されず電解質を還元するためエネルギーロスの原因となる。従って、色素分子は半導体微粒子に対して単分子吸着が理想的な状態であり、必要に応じて担持させる温度や圧力を変化させることが可能である。色素同士の会合を低減する目的でデオキシコール酸などのカルボン酸類を添加してもよい。また紫外線吸収剤を併用することもできる。
【0025】
過剰に吸着した色素の除去を促進する目的で、色素が吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子層の表面を処理してもよい。アミン類の例としては、ピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0026】
電解質は、ヨウ素(I2 )と金属ヨウ化物もしくは有機ヨウ化物との組み合わせ、臭素(Br2 )と金属臭化物あるいは有機臭化物との組み合わせのほか、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。上記金属化合物のカチオンとしては、Li、Na、K、Mg、Ca、Csなど、上記有機化合物のカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類などの4級アンモニウム化合物が好ましいが、これらに限定されるものではなく、これらを2種類以上混合して用いることもできる。この中でも、I2 と、LiI、NaIやイミダゾリウムヨーダイドなどの4級アンモニウム化合物とを組み合わせた電解質が好適である。電解質塩の濃度は溶媒に対して0.05〜5Mが好ましく、さらに好ましくは0.2〜1Mである。I2 やBr2 の濃度は0.0005〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.0001〜0.1Mである。また、開放電圧、短絡電流を向上させる目的で、4−tert−ブチルピリジンやカルボン酸などの各種添加剤を加えることもできる。
【0027】
上記電解質組成物を構成する溶媒として水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。また、溶媒としてテトラアルキル系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系4級アンモニウム塩の室温イオン性液体を用いることも可能である。
【0028】
光電変換素子の漏液、電解質の揮発を低減する目的で、上記電解質組成物へゲル化剤、ポリマー、架橋モノマーなどを溶解させ、ゲル状電解質として使用することも可能である。ゲルマトリクスと電解質組成物との比率は、電解質組成物が多ければイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下する。また、逆に電解質組成物が少な過ぎると機械的強度は大きいがイオン導電率は低下するため、電解質組成物はゲル状電解質の50〜99wt%が望ましく、80〜97wt%がより好ましい。また、上記電解質と可塑剤とを用いてポリマーに溶解させ、可塑剤を揮発除去することで全固体型の光電変換素子を実現することも可能である。
【0029】
光電変換素子の製造方法は特に限定されないが、例えば電解質組成物が液状、もしくは光電変換素子内部でゲル化させることが可能であり、導入前は液状の電解質組成物の場合、色素を担持させた半導体電極と対極とを向かい合わせ、これらの電極が互いに接しないように半導体電極が形成されていない基板部分を封止する。封止方法は特に制限されないが、対光性、絶縁性、防湿性を備えた材料が好ましく、種々の溶接法、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル系接着剤、EVA(エチレンビニルアセテート) 、アイオノマー樹脂、セラミック、熱融着フィルムなどを用いることができる。また、電解質組成物の溶液を注液する注入口が必要であるが、色素を担持した半導体電極およびそれに対向する部分の対極上でない限り、注入口の場所は特に限定されない。注液方法に特に制限はないが、予め封止され、溶液の注入口を開けられた上記セルの内部に注液を行う方法が好ましい。この場合、注入口に溶液を数滴垂らし、毛細管現象により注液する方法が簡便である。また、必要に応じて減圧もしくは加熱下で注液の操作を行うこともできる。完全に溶液が注入された後、注入口に残った溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限はないが、必要であればガラス板やプラスチック基板などを封止剤で貼り付けて封止することもできる。また、ポリマーなどを用いたゲル状電解質、全固体型の電解質の場合、色素を担持した半導体電極上で電解質組成物と可塑剤とを含むポリマー溶液をキャスト法により揮発除去させる。可塑剤を完全に除去した後、上記方法と同様に封止を行う。この封止は真空シーラーなどを用いて、不活性ガス雰囲気下、もしくは減圧中で行うことが好ましい。封止を行った後、電解質を半導体電極へ十分に含侵させるため、必要に応じて加熱、加圧の操作を行うことも可能である。
光電変換素子はその用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。
光電変換素子は、最も典型的には、色素増感型湿式光電変換素子(特に、色素増感型湿式太陽電池)である。
【0030】
金属酸化物膜上に上記のような中間膜を製膜し、この中間膜上に白金などからなる金属膜を製膜する上記の方法は、光電変換素子のみならず、金属酸化物膜上に白金などからなる金属膜を製膜する電子装置全般あるいは金属酸化物膜上に白金などからなる金属膜を製膜する場合にも同様に適用することができるものである。
【0031】
そこで、この発明の第3の発明は、
金属酸化物膜上に製膜した金属膜を有する電子装置の製造方法において、
金属酸化物膜上に、
【化27】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化28】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜するようにした
ことを特徴とするものである。
【0032】
この発明の第4の発明は、
金属酸化物膜上に製膜した金属膜を有する電子装置において、
金属酸化物膜上に、
【化29】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化30】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜した
ことを特徴とするものである。
【0033】
この発明の第5の発明は、
金属酸化物膜上に金属膜を製膜するようにした金属膜の製膜方法において、
金属酸化物膜上に、
【化31】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化32】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜するようにした
ことを特徴とするものである。
【0034】
この発明の第6の発明は、
金属酸化物膜上に金属膜を製膜した積層構造体において、
金属酸化物膜上に、
【化33】
で示されるポリチオフェンまたはその誘導体と、
【化34】
で示されるポリスチレンスルホン酸、RSO3 H(ただし、R=アルキル、アリール)、R´OSO3 H(ただし、R´=H、アルキル、アリール)、HCl、HClO4 、HPF6 、HBF4 およびHI5 からなる群より選ばれた少なくとも一種類の化合物とからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜した
ことを特徴とするものである。
【0035】
第1および第2の発明に関連して述べた上記のことは、その性質に反しない限り、第3〜第6の発明においても同様に成立する。電子装置には光電変換素子のほか、各種の半導体装置などが含まれ、その用途や機能によっては半導体電極を有しない場合もある。
【0036】
上述のように構成されたこの発明によれば、金属酸化物膜上にポリチオフェンまたはその誘導体とポリスチレンスルホン酸などとからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に白金などからなる金属膜を製膜するようにしているため、金属酸化物膜に対するこの中間膜の付着性およびこの中間膜に対する白金などからなる金属膜の付着性とも極めて良好であることにより、この金属膜を金属酸化物膜上に直接製膜する場合に比べて、金属膜の付着性の大幅な向上を図ることができる。また、付着性を向上させるためにタングステンやクロムからなる膜を用いる場合と異なり、異種金属による金属膜の汚染の問題がない。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1〜図5はこの発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を示す。
【0038】
この一実施形態においては、まず、図1に示すように、透明基板11上にITOなどの金属酸化物からなる透明電極12を形成したものを用意する。
次に、図2に示すように、この透明電極12上にPEDOT/PSS膜13を製膜する。このPEDOT/PSS膜13の厚さは例えば30〜400nmとする。このPEDOT/PSS膜13を製膜するには、PEDOT/PSS水溶液を透明電極12上にスピンコートした後、これを加熱して水分を蒸発させ、固化する。
次に、図3に示すように、このPEDOT/PSS膜13上に対極として白金膜14を製膜する。
【0039】
一方、図4に示すように、透明導電性基板15を用意し、その上に増感色素を担持した半導体微粒子層16を形成する。この増感色素を担持した半導体微粒子層16は例えば次のようにして形成することができる。すなわち、まず、半導体微粒子が分散されたコロイド溶液をスピンコートした後、透明導電性基板15の耐熱温度以下の温度で加熱することにより溶媒を蒸発させて乾燥を行う。これによって、半導体微粒子層16が形成される。この後、この半導体微粒子層16を色素溶液に浸漬するなどにより色素を担持させる。
【0040】
次に、図5に示すように、透明電極12、PEDOT/PSS膜13および白金膜14を形成した透明基板11と半導体微粒子層16を形成した透明導電性基板15とを、白金膜14と半導体微粒子層16とが所定の間隔を持って互いに対向するように配置するとともに、所定の封止部材を用いて電解質層が封入される空間を作り、この空間に、予め形成された注液口から電解質層17を注入する。その後、この注液口を塞ぐ。これによって、色素増感型湿式太陽電池が製造される。
【0041】
次に、この色素増感型湿式太陽電池の動作について説明する。
図6に示すように、透明導電性基板15側からこの透明導電性基板15を透過して入射した光は、半導体微粒子層15の表面に担持された増感色素を励起して電子を発生する。この電子は速やかに増感色素から半導体微粒子層16の半導体微粒子に渡される。一方、電子を失った増感色素は、電解質層16のイオンから電子を受け取り、電子を渡したイオンは、再び対極の白金膜14で電子を受け取る。この一連の過程により、半導体微粒子層16と電気的に接続された透明導電性基板15と、白金膜14とPEDOT/PSS膜13を介して電気的に接続された透明電極12との間に起電力が発生する。このようにして光電変換が行われる。
【0042】
以上のように、この一実施形態によれば、ITOなどの金属酸化物からなる透明電極12上にまずPEDOT/PSS膜13を製膜した後、その上に対極として白金膜14を製膜していることにより、透明電極12上に白金膜14を直接製膜する場合に比べて、白金膜14の付着性を大幅に向上させることができ、それによって白金膜14は極めて剥がれにくくなる。このため、対極としての白金膜14の耐久性が大幅に向上し、ひいては色素増感型湿式太陽電池の耐久性、信頼性および寿命の大幅な向上を図ることができる。また、白金膜14の下地はPEDOT/PSS膜13であるので、白金膜14の異種金属による汚染の問題がない。また、PEDOT/PSS膜13は導電性高分子であるため、透明電極12と白金膜14との電気的接触も良好に保つことができ、色素増感型湿式太陽電池の動作を良好に行うことができる。さらに、PEDOT/PSS膜13はスピンコート法により容易に製膜することができる。
【0043】
【実施例】
色素増感型湿式太陽電池の製造方法の実施例について説明する。
まず、透明基板11および透明電極12として、厚さ120μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に厚さ300nmのITO膜を真空蒸着したものを準備する。次に、このITO付きPETフィルムを25mm角にカットする。
次に、このITO膜からなる透明電極12の表面を順に純水中、イソプロパノール中にて超音波洗浄して脱脂した後、窒素気流下で乾燥する。
次に、このITO膜からなる透明電極12上に、PEDOT/PSSの1.3wt%水溶液を毎分3000回転でスピンコートした後、120℃に加熱したホットプレート上にて30分間乾燥し、PEDOT/PSS膜13を作製する。
【0044】
次に、このPEDOT/PSS膜13上にスパッタリング法により白金膜14を製膜する。この白金膜14の厚さは40nmとした。
次に、酸化チタン濃度が10%に調製された酸化チタンコロイド溶液(100mL)にこのコロイド溶液中の酸化チタンと等量になるようにアナターゼ型酸化チタン粉末を混合し、これを容量250mLのジルコニアポットに100gのジルコニアビーズとともに入れ、3時間遊星型ボールミルで分散した。この後、この溶液からビーズを濾過して除き、白色の酸化チタン分散液を得た。次に、透明導電性基板15として、厚さ120μmのPETフィルム上に厚さ300nmのITO膜を真空蒸着したものを準備する。次に、このITO付きPETフィルムを25mm角にカットする。次に、このITO膜の表面を順に純水中、イソプロパノール中にて超音波洗浄して脱脂した後、窒素気流下で乾燥する。次に、このITO膜上に、酸化チタン濃度が10%に調製された酸化チタンコロイド溶液を1層スピンコートした後、上記のようにして得た酸化チタン分散液を3層スピンコートした。この後、このスピンコートを行ったPETフィルムを120℃に加熱されたホットプレート上に置き、そのまま30分間乾燥させる。このようにして、酸化チタン微粒子からなる半導体微粒子層16を形成した。得られた半導体微粒子層16の厚さは約3〜5μmであった。
【0045】
次に、酸化チタン微粒子からなる半導体微粒子層16が形成されたPETフィルムをルテニウム色素のエタノール溶液(ルテニウム色素(0.5mM):デオキシコール酸(20mM))に一晩浸漬し、半導体微粒子層16に増感色素を担持させた後、これを取り出してエタノールですすぎ、すぐに太陽電池を組み立てる。太陽電池の組み立ては次の手順で行った。まず、白金膜14が形成された透明基板11と酸化チタン微粒子からなる半導体微粒子層16を形成した透明導電性基板15とを、白金膜14と半導体微粒子層16とが幅5mmのコの字型のポリテトラフルオロエチレン製スペーサー(厚さ0.3mm)を挟んで互いに対向するように保持し、その外周を厚さ30μmのEVAフィルムとエポキシ樹脂とにより封止することで、電解質層を注入する空間を形成する。次に、この空間に予め形成された注液口から電解質層17を注入する。電解質層17としては、LiI(0.5M)、ヨウ素(0.05M)、tert−ブチルピリジン(0.5M)のプロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1)溶液を用いた。その後、注液口を塞ぐ。以上のようにして色素増感型湿式太陽電池を得た。
一方、比較例として、透明電極12上に白金膜14を直接製膜すること以外は上記の実施例と同様にして色素増感型湿式太陽電池を作製した。
【0046】
実施例のようにITO膜からなる透明電極12上にPEDOT/PSS膜13を介して製膜した白金膜14と、比較例のようにITO膜からなる透明電極12上に直接製膜した白金膜14とに対し、ラビング(rubbing)試験を行った。ただし、このラビング試験は、指先にガーゼを巻き、一定の力を加えた状態で指先を白金膜14上で往復させたときの剥がれを評価することにより行った。図7および図8はそれぞれラビング前およびラビング後の白金膜14の写真を示し、各図において左側の試料が実施例のもの、右側の試料が比較例のものである。図7と図8とを比較すると分かるように、比較例ではラビングにより完全に白金膜14が剥がれ落ちているのに対し、実施例では白金膜14上に擦過痕が少し見られるものの、白金膜14の剥がれは生じなかった。
【0047】
以上、この発明の一実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、金属酸化物膜上にポリチオフェンまたはその誘導体とポリスチレンスルホン酸などとからなる中間膜を製膜し、この中間膜上に金属膜を製膜するようにしていることにより、金属膜の付着性の大幅な向上を図ることができるとともに、金属膜が異種金属により汚染されるおそれがない。これによって、耐久性、信頼性および寿命に優れた高性能の光電変換素子あるいは電子装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図2】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池の動作を説明するための断面図である。
【図7】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池において白金膜のラビング試験の結果を説明するための図面代用写真である。
【図8】この発明の一実施形態による色素増感型湿式太陽電池において白金膜のラビング試験の結果を説明するための図面代用写真である。
【符号の説明】
11…透明基板、12…透明電極、13…PEDOT/PSS膜、14…白金膜、15…透明導電性基板、16…半導体微粒子層、17…電解質層
Claims (13)
- 上記金属酸化物膜はIn−Sn複合酸化物、SnO2 、TiO2 およびZnOからなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属酸化物からなることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記金属膜は白金、金、アルミニウム、銅、銀およびチタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属からなることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記金属膜は白金、金、アルミニウム、銅、銀およびチタンからなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属からなる単層膜または多層膜からなることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記半導体電極は半導体微粒子からなることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記光電変換素子は湿式太陽電池であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
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