JP4392728B2 - 建設機械の履帯構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械の履帯構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、パワーショベル、ブルトーザ、高所作業車などの建設機械で用いられている無端状のキャタピラは金属で形成されたものが採用されている。
しかしながら、金属で形成されたキャタピラは作業車の移動時に路面を傷つけてしまう虞れがあり、これを防止するのに、特にアスファルト上を走行する場合や、舗装路面上を移動する場合などには、下面に足場板などを敷かなければならず、多大な労を要していた。
【0003】
このため、近年では、金属キャタピラにゴム製の緩衝材を取り付けたものも広く採用されている。
このような緩衝材を取り付けることにより、路面の損傷が防止されるとともに、騒音の発生が防止されている。通常、このような緩衝材は、無端状に連続して形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような緩衝材を取り付ける場合であっても、無端状のゴム製の緩衝材を取り付けた場合は、使用の途中でゴムが破断してしまったり、ゴム製緩衝材が脱輪してしまうなどの問題があった。また、無端状に連続して形成されていると、一部が劣化した場合であっても全部を取替なければならず、コスト高になるとととも、取替作業が手間であった。
【0005】
そこで、今日では、無端状のゴム製の緩衝材に代えて合成樹脂からなる平板状の緩衝材を採用し、さらにこれを金属プレートに取り付けて、この金属プレートを介してシュープレートに取り付ける場合もある。
しかしながら、例えばウレタン樹脂は金属との接着性が悪く、例え接着されたとしても、金属プレートから剥がれてしまうなどの問題があり、改善が求められていた。
【0006】
本発明は上記実情に鑑み、路面の損傷を防止する緩衝材として、例えば合成樹脂または合成ゴムを金属プレートに緊密に取り付けすることが可能な建設機械の履帯構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る建設機械の履帯構造は、
合成樹脂または合成ゴムを充填する2つの凹所6、6を中央の突出部4の両側に備えてなる断面略W字状の金属プレート1に対し、前記2つの凹所6、6の上方に金属製の1枚の多孔板11または金属製の1枚の金網12からなるインサートプレート片を差し渡して、このインサートプレート片の両端部を、前記金属プレート1の両側に形成された舌片5、5に溶接により固設するとともに、前記金属製の多孔板11または金属製の金網12からなるインサートプレート片を埋設するように前記凹所6、6内に合成樹脂または合成ゴムを充填し、合成樹脂または合成ゴムを、前記金属製の多孔板11または金属製の金網12と前記金属プレート1とに、一体化したことを特徴としている。
【0008】
ここで、前記合成樹脂として、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートのうちから選択される熱可塑性樹脂を好ましく用いることができる。また、前記合成樹脂として、ウレタン樹脂を好ましく用いることができる。また、前記合成ゴムとして、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、多化ゴムのうちから選択されるゴムを好ましく用いることができる。
【0009】
このような構成による履帯構造によれば、合成樹脂または合成ゴムが金属プレートのインサープレート片の回りに回り込んで固まるので、このインサープレート片がアンカーとなって、合成樹脂または合成ゴムを金属プレートに一体化させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施例を説明する。
先ず、参考例を説明する。
図1は本発明の参考例による建設機械の履帯構造を示したものである。この参考例では、金属プレート1にウレタン樹脂2が一体化されることにより、履帯ユニット3が構成されている。この履帯ユニット3は、建設機械のキャタピラに固設されているシュープレートに着脱自在に取り付けられるもので、破損、磨耗が生じた場合などに、その部分を交換することが可能になっている、この履帯ユニット3の全体の大きさは、取り付けられる建設機械の大きさにもよるが、通常、幅Sは70mm〜160mm、長さTは270〜800mm程度である。この参考例のものは、幅が90mm、長さが390mmで、高さUは40mmに形成されている。
【0011】
上記金属プレート1は、中央の突出部4と両側の舌片5、5とにより、全体として断面略W字状に形成され、突出部4の両側には、2つの凹所6、6が形成されている。また、これらの凹所6、6内に所定間隔置きに形成されたボルト孔には、ボルト7が挿通され、他方側に螺合されたナット8により、プレート1に緊密に固定されている。
【0012】
一方、両側の舌片5と中央の突出部4との間には、凹所6を横断するように、インサープレート片9がそれぞれ差し渡されている。
このようなプレート片9は、舌片5と突出部4とに溶接により固設され、所定間隔置きに複数個、設置されている。なお、このプレート片9は、少なくとも両端部と中央部に配置されていると良い。また、プレート片9は、少なくとも一側部が金属プレート1に溶接されていれば良く、他方側は溶接されていなくても良い。例えば、突出部4には、溶接されていなくても良い。
【0013】
このようなインサープレート片9が固設された金属プレート1を作成したら、通常のインジェクション成形により履帯ユニット3を形成する。すなわち、この金属プレート1の凹所6内に、インジェクション成形により、例えば、通常使用されているウレタン樹脂を充填する。流し込まれたウレタン樹脂は、インサープレート片9の下部を通り、隅々にまで流入し、上部の樹脂と一体化し、固化した場合に、インサープレート片9が埋設され、アンカー作用を果たすことにより、ウレタン樹脂2が金属プレート1と一体化される。
【0014】
このように、上記参考例では、接着材を使用せずに、ウレタン樹脂2を金属プレート1に一体化しているが、後述する本発明でも接着剤を使用せずに、ウレタン樹脂を金属プレートに一体化することができる。また、本発明では、適宜な染料をウレタン樹脂2に含ませることにより、様々な色に着色することができ、例えば、建設機械本体のボディの色に合わせることが可能であり、製造メーカーが望む色の履帯を製造することができる。
【0015】
このように形成された履帯ユニット3は、建設機械側のシュープレートに着脱自在に取り付けることができ、また、取外しも容易であるので、交換作業などを簡単に行うこともできる。
また、このようにウレタンを使用したものは、合成ゴムに比べて強度が高いので、耐久性が長く、また、スリップした場合などに、黒い跡が残ることもない。したがって、路面を汚すこともない。しかも、ウレタン樹脂を使用した場合には、ゴムに比べて成形時間が短くて良く、その分、大量生産する場合にコストが易くなる。
【0016】
また、この参考例によれば、金属プレートの凹所6内に開口部が形成されていないので、樹脂を成形した場合に、その樹脂が流れてしまうこともない。この参考例では、金属プレートと一体化する樹脂として、ウレタン樹脂を好ましく使用しているが、本発明では、ウレタン樹脂の他に、熱可塑性樹脂を使用することもできる。
【0017】
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなどを例示することができ、この中から適宜選択することができる。また、合成樹脂に代え、合成ゴムを使用することもできる。合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、多化ゴムなどを例示することができるが、中でも、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を用いることが好ましい。
【0018】
このように、金属プレート1と一体化される樹脂は、ウレタン樹脂に何ら限定されない。さらに、上記参考例では、インサープレート片9を舌片5と突出部4との間に差し渡して溶接で固着しているが、これに代え、図2に示したように、例えば、略U字状のインサープレート片10を、凹所6内に多数、溶接することもできる。
【0019】
また、図3は、U字状のインサープレート片10を長さ方向に配列した参考例を示したものである。
図4は本発明の一実施例を示したものである。
図4に示した本発明の一実施例では、金属プレート1が図1〜図3に示した参考例の場合と同様に、中央の突出部4と、両側の舌片5,5とにより、断面略W字状に形成され、突出部4の両側には、2つの凹所6,6が形成されている。
本実施例では、多数の孔11aが形成された多孔板11を金属プレート1内に差し渡して、この多孔板11は舌片5に溶接により固設されている。このような場合には、ウレタン樹脂が孔11aの間を通って、凹所6内に充填されることなる。
【0020】
図5は、参考例を示したものである。この参考例では、金属プレート1は一つの凹所6を有するように、U字状に形成されている。また、図6は他の参考例を示したものである。図6の参考例では、長さ方向にインサープレート片10を配置している。
図7は、本発明の他の実施例を示したものである。この実施例では、金網からなるインサープレート片12を用意し、このプレート片12を溶接で固設している。
なお、本発明の実施例は、図4および図7に示した態様であり、図1、図2、図3、図5、図6の態様は、本発明には含まれていない。
すなわち、略矩形状のインサートプレート片9が、金属プレート1の両側の舌片5、5から中央の突出部4に差し渡された態様や、金属プレート1の中央が平坦に形成された図5、図6の態様は、本発明に含まれていない。
【0022】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係る建設機械の履帯構造によれば、溶接により金属プレートに固設された金属製の多孔板または金属製の金網からなるインサープレート片が、合成樹脂または合成ゴム内に埋設されるので、接着材を使用しないでも、合成樹脂または合成ゴムと金属プレートとを一体化することができる
【0023】
また、例えばウレタン樹脂を採用した場合は、合成ゴムの場合に比べて強度が高いとともに、合成ゴムのように塊で破損することなく全体が均一的に磨耗するため、合成ゴムの場合に比べて耐久性を良くすることができる。さらには、任意の色に着色することが可能であるので、建設機械のボディの色などに合わせて着色することができ、カラフルにもなる。また、黒いスリップ跡を付けることもない。また、無端状ではなく、金属プレートに取り付けるように平板状に形成したものは、交換作業が容易であり、成形時間が短いことなどから安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は参考例の履帯構造を一部破断して示す斜視図である。
【図2】図2は他の参考例の部分斜視図である。
【図3】図3はさらに他の参考例を示した部分斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施例を示した部分斜視図である。
【図5】図5はさらに他の参考例を示した部分斜視図である。
【図6】図6はさらに他の参考例を示した部分斜視図である。
【図7】図7は本発明のの実施例を示した部分斜視図である。
【符号の説明】
1 金属プレート
2 ウレタン樹脂
3 履帯ユニット
6 凹所
9 インサープレート片

Claims (4)

  1. 合成樹脂または合成ゴムを充填する2つの凹所(6)、(6)を中央の突出部(4)の両側に備えてなる断面略W字状の金属プレート(1)に対し、前記2つの凹所(6)、(6)の上方に金属製の1枚の多孔板(11)または金属製の1枚の金網(12)からなるインサートプレート片を差し渡して、このインサートプレート片の両端部を、前記金属プレート(1)の両側に形成された舌片(5)、(5)に溶接により固設するとともに、前記金属製の多孔板(11)または金属製の金網(12)からなるインサートプレート片を埋設するように前記凹所(6)、(6)内に合成樹脂または合成ゴムを充填し、合成樹脂または合成ゴムを、前記金属製の多孔板(11)または金属製の金網(12)と前記金属プレート(1)とに、一体化したことを特徴とする建設機械の履帯構造。
  2. 前記合成樹脂が、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボ
    ネートのうちから選択される熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の建設機械の履帯構造。
  3. 前記合成樹脂が、ウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の
    建設機械の履帯構造。
  4. 前記合成ゴムが、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレ
    ンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴムのうちから選択されるゴムであることを特徴とする請求項1に記載の建設機械の履帯構造。
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