JP4392719B2 - 母材表面の下地処理方法及びこの方法により下地処理された表面を持つ母材及び製品 - Google Patents

母材表面の下地処理方法及びこの方法により下地処理された表面を持つ母材及び製品 Download PDF

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本発明は、塗料や母材と異なる物質をイオンプレーテイング法、スパッタリング法、イオン蒸着法などの任意の方法により、母材表面に塗装或いはコーテイングする場合の母材表面の下地処理方法及びこの方法により下地処理された表面を持つ母材及び製品に関するものである。
塗料や母材と異なる物質を、イオンプレーテイング法、スパッタリング法、イオン蒸着法、あるいはその他の方法により金属製の母材表面に塗装或いはコーテイングする場合には、母材側に下地処理が施される。従来一般には、ブラスト処理により母材表面の錆、付着物、酸化スケールなどを除去するとともに、母材表面に塗装或いはコーテイングに適合した表面粗し、生地調整をする。このブラスト処理は一般にISO 8504−1、JSI Z0310で規定されている表面清浄度のほか、表面粗さで加工程度を表示している場合が多いが、処理目的により発注者と加工者が処理の都度設定しているのが実情である。
しかし塗装やコーテイングをする母材表面について、単に粗さの大きさ或いは粗さの範囲を示すのみでは目的とする母材と塗装の密着力、塗膜の寿命は得られない。また従来から、これらの密着力を上げるため投射材の形状として鋭角を成したものが使用されるが、一般には表面粗さを大きくするほど塗料或いはコーテイング材料が多く必要で、処理コストが高いという問題点があった。また、塗料或いはコーテイング材料の皮膜量が少ないと母材側の荒れた表面部上の塗膜或いはコーテイング材の厚みが著しく薄く荒れた部分を覆うことができず、皮膜の寿命を短かくするという問題点があった。
そこで従来から単純なブラスト処理ではなく、投射材の種類を替えて複数回のブラスト処理を行うことが行われている。例えば特許文献1には、アルミニウム合金からなる母材表面に耐磨耗性材料を溶射するための母材の下地処理法として、硬質の投射材を用いた一次ブラスト処理を行った後に、低比重で粒径の細かい投射材による二次処理を行うことが記載されている。しかしこの方法による下地処理面も図4(ロ)に示すように鋭角状の先端部分が残るため、コーテイング膜が厚い場合はともかく、コーテイング膜がダイヤモンドライクカーボン膜のように薄い場合には、鋭角状の先端部がコーテイング膜にクラックを生じさせるおそれがある。
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)は特許文献2に示された潤滑性と硬度に優れた炭素膜であり、工具表面に形成することによって潤滑剤を用いないドライな塑性加工を可能とする技術として注目されている。しかしダイヤモンドライクカーボン膜は金属母材との密着性に問題があり、非特許文献にはブラスト処理による下地処理によって密着性が向上することが記載されているものの、密着性の向上とクラック発生防止とを両立できる下地処理法は未だ確立されていない。
特許第3430427号公報 特開2000−96233号公報 「材料試験技術」Vol.4、No.2,11〜15頁、「金型用DLC膜の密着性評価法」2003年4月
本発明は上記した従来の問題点を解決して、塗装あるいは各種コーテイングをする母材の表面を活性化させ、塗装あるいは各種コーテイングと母材間に高い密着力を形成するとともに、クラックの発生を防止し、低処理コストで良好な皮膜を提供することができる母材表面の下地処理方法及びこの方法により下地処理された表面を持つ母材及び製品を提供することを目的としてなされたものである。
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明は、コーテイングが施される母材表面の下地処理方法であって、母材表面に一次ブラスト処理として0.8mm径以下0.2mm径以上の球形状の投射材或いは多角形の投射材を投射し、フルカバレージ以上の投射処理にてショットピーニングをし、その後、研磨法でショットピーニング後の打痕の深さが3〜5μmになるように削り落し、二次処理として一次処理に使用した投射材より細かい投射材でブラスト処理し、一次のショットピーニング処理面に二次ブラスト処理を施した表面と、二次ブラスト面とを混在させた表面とすることを特徴とするものである。
さらに同一の課題を解決するためになされた請求項2の発明は、コーテイングが施される母材表面の下地処理方法であって、母材表面に一次処理として1.2mm径以下0.2mm径以上の多角形の投射材を投射し、フルカバレージ以上の投射処理にてショットピーニングをし、その後、研磨法でショットピーニング後の打痕の深さが3〜5μmになるように削り落し、二次処理として一次処理に使用した投射材より細かい多角形状の投射材0.2mm径以下で下地強化処理をし、一次のショットピーニング処理面に二次ブラスト処理面が混在した表面と、二次ブラスト面とを混在させた表面とすることを特徴とするものである。請求項3の発明は請求項1、請求項2の何れかの方法がダイヤモンドライクカーボン(DLC)をコーテイングするためになされることを特徴とするものである。
なお請求項4の発明は母材を対象とし、請求項1〜請求項2の何れかの方法により下地処理された表面を持つことを特徴とするものであり、請求項5の発明は金属或いはセラミックス製品或いはセラミックス複合製品を対象とし、請求項3の方法により下地処理し、その処理面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)をコーテイングした表面を持つことを特徴とするものである。
上記の本発明によれば、母材表面に塗装或いはDLC膜はじめ各種コーテイング膜を施工するにあたり、予め母材の表面に微細かつ密着性を考慮したブラスト肌を得られるよう下地強化の処理を行うので、その表面に成膜される塗装や各種コーテイング膜と母材との密着性は著しく向上し、過酷な使用条件での使用に耐え得る皮膜加工ができる。また本発明の方法によるブラスト処理面は、主として一種類の投射材を使用して凹凸を形成した従来のブラスト処理面に比較し、一次処理後研磨加工を加え更に二次処理として一次処理に使用した投射材より細かい投射材を使用して全面に及ぶ表面粗さを小さくしているため、塗装或いはコーテイング膜にクラックを生じさせないうえ、塗装或いはコーテイング膜の絶対量も少なくでき、塗料或いは成膜材料にかかる材料費用も少なくできる。
そのほか、この処理方法は簡便な加工法であり、製造管理方法も簡単ということから製造費全体も安価になる。以上のように本発明によれば、コーテイング品質が高く、製造にかかる費用も安価になるという優れた効果が得られる。特にプレス加工用の金型や工具は、高荷重、高面圧下で使用されるため、使用条件にあわせ各種コーテイング膜が選択、適用されているが繰返しの使用に耐えられず、寿命が短いという問題があったが、本発明の処理方法で製造された部品を適用することでこれらの問題を解決することができる。
以下に本発明の実施形態を、参考形態とともに示す。
参考形態1は、塗装或いはコーテイングが施される母材表面の下地処理方法に関するもので、母材としては用途に応じた金属が選択されるのが普通である。図1のフローに示すように、先ず母材表面に一次ブラスト処理として、0.2〜2.5mm径の球形状の投射材或いは多角形の投射材を投射する。ここで投射材の径を0.2〜2.5mmとしたのは、これよりも小径では母材表面に十分な深さの打痕を与えにくく、逆にこれよりも大径では打痕の深さが過大となってコーテイング膜にクラックを生じさせ易くなるためである。
これにより母材表面に図2(イ)のような断面形状の打痕を与えたうえ、研磨法で一次ブラスト処理による打痕の深さの一部が残るように削り落し、図2(ロ)のような断面形状とし、さらに一次ブラスト処理に使用した投射材より細かい投射材で二次ブラスト処理を行う。これにより図2(ハ)に示すとおり、一次ブラスト面のうえに二次ブラストが施された表面(一次、二次ブラスト面)1と、研磨された平坦面のうえに二次ブラストが施された表面(二次ブラスト面)2とが混在させた表面が得られる。
図3は本発明の方法により得られた下地処理面の断面拡大図である。また図4(イ)は従来の1種類の投射材を使用してブラストした下地処理面、図4(ロ)は形状の異なる投射材を混合させてブラスト処理するか、形状の異なる投射材を一次、二次に分けそれぞれを投射してブラスト処理する従来法で得られた下地処理面の断面拡大図である。従来のブラスト処理による下地処理面はコーテイング膜にクラックを生じさせるような先端部が存在するのに対して、本発明の方法による下地処理面はとがった先端部がなく、しかもコーテイング膜の密着性向上に寄与する深い谷部(A部)を有する点に、特徴がある。さらに、コーテイング膜の種類に合せて研磨の量を変えることも可能である。これによりコーテイング膜毎に最適な下地処理が可能となる。なお、研磨後の表面に残存したブラストによる打痕量はコーテイング膜の種類に合せて選択するが、好ましくはカバレージ5%〜70%、より好ましくは5%〜30%で選択する。
参考形態2では、図5のフローに示すように、コーテイングが施される母材表面への一次ブラストを、0.8mm径以下0.2mm径以上の球形状の投射材或いは多角形の投射材を用いて行う。その後の工程は請求項1の発明と同様である。このように請求項2の発明では0.8mm径以下0.2mm径以上の投射材を用いることにより、請求項1の発明よりも均一性に優れた下地処理面を得ることができる。
請求項1の発明では、図6のフローに示すように、コーテイングが施される母材表面に一次ブラスト処理として、0.8mm径以下0.2mm径以上の球形状の投射材或いは多角形の投射材を投射し、フルカバレージ以上の投射処理にてショットピーニングを行う。ここでフルカバレージとは、打痕間に隙間が無い状態で母材の初期の地肌が残っていない加工状態を意味し、フルカバレージに達する加工時間をフルカバレージタイムという。なおカバレージとはブラストの加工程度を示す値であり、母材の加工全面積AとAに含まれる投射材による打痕の総面積Bより、カバレージC=B/A(%)と定義している。図7にカバレージ50%、70%、フルカバレージの表面状態を示す。
特にダイヤモンドライクカーボンを皮膜する母材の下地強化法は一般に母材表面の錆、酸化スケール或いは異物を除去し、表面を活性化させるためにもフルカバレージになるブラスト仕上が必要である。フルカバレージに達しない加工は、錆、酸化スケール或いは異物が残存し、この原因によりダイヤモンドライクカーボン皮膜と母材との密着力が著しく不足することをいままでの実験で実証している。
その後、研磨法でショットピーニング後の打痕の深さの一部が残るよう削り落し、二次処理として一次処理に使用した投射材より細かい投射材でブラスト処理し、前記と同様に一次のショットピーニング処理面に二次ブラスト処理を施した表面と、二次ブラスト面とを混在させた表面を得る。
請求項2の発明では、図8のフローに示すように、コーテイングが施される母材表面に一次ブラスト処理として、1.2mm径以下0.2mm径以上の球形状の投射材或いは多角形の投射材を投射し、フルカバレージ以上の投射処理にてショットピーニングを行う。その後、研磨法でショットピーニング後の打痕の深さの一部が残るよう削り落し、二次処理として一次処理に使用した投射材より細かい多角形状の投射材0.2mm径以下で下地強化処理を行う。このように投射材のサイズと形状が請求項3の発明とは異なるが、一次のショットピーニング処理面に二次ブラスト処理面が混在した表面と、二次ブラスト面とを混在させた表面を得ることは請求項1の発明と同様である。
これらの請求項1,2の発明は特にダイヤモンドライクカーボン膜をコーテイングするための下地処理法として適したものであり、次の実施例に示すとおりの優れた成果を得ることができる。
以下に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を皮膜する母材の下地強化法を説明する。母材は高硬度・高靭性冷間工具鋼(ダイス鋼相当品)で表面硬度HRC60〜63のものである。母材への1次ブラストは0.2〜0.3mm径の多角形状の投射材を用い、母材表面の全面に対してブラストし、その打痕量は打痕間に隙間が無い状態で母材の初期の地肌が残っていないフルカバレージ仕上とした。本発明のブラスト時間はフルカバレージタイムの3倍で実施し、前述の表面の活性化と表面あらさ調整を充分行った。
続いて、前述のブラスト表面を研磨盤にて研磨した。研磨量は前述のブラスト処理により発生した打痕の谷部A部(図7参照)を残すように研磨した。研磨後の研磨面と谷の寸法hは3〜5μmとした。なお研磨については特別な加工条件はない。2次ブラストは0.04〜0.08mm径の多角形状の投射材を用い、母材表面の全面に対してブラストし、その打痕量は打痕間に隙間が無い状態で母材表面の研磨面が残っていないフルカバレージの仕上を行った。二次ブラスト後の表面粗さは平均粗さで1.5〜2.2μmであった。
このようにして下地強化した凹凸形状をなした表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)を直接成膜する。なお、DLC膜を作製するにあたって、製法の限定は特になく既知のスパッタリング法、イオンプレーテイング等いずれの方法でも良い。また、作製するDLCの膜厚は適用目的、適用時のDLC膜にかかる単位面積あたりの荷重等の使用条件或いは寿命等を考慮し、例えば0.1〜300μmの範囲から選べば良い。本発明のDLC膜は次の条件で作製し、膜の厚さは1μmとした。
成膜条件:
前処理:150℃×60minベーキング。Arボンバード(50min)
使用ガスと流量:C6・2cc/min
蒸着の方法:電子衝撃によるイオン化蒸着
基板電圧:2kV,50mA
真空度:1.5×10Pa
基板温度:149〜168℃
成膜時間:150min
次に、前述の成膜条件で得られたDLC膜の密着性を検討するため、この試料をボールオンディスク型の基礎摩擦試験機により摩擦試験を行った。また比較のため、従来のブラスト処理品についてもDLC膜を前述と同様に直接成膜し、摩擦試験を行った。第9図は、試験機の要部を模式的に示しており、3は試料としての回転ディスク、4は固定側のテストボールで、3個の硬球を治具5上に等間隔に配置しており、治具全体が回転ディスク3に対して押圧されることで垂直荷重を負荷するようになっている。
なお、基礎摩擦試験機の仕様は、次のとおりである。
固定側テストボール:直径1/4inch,材質SUJ2,個数3個
回転側:直径36mm
回転速度:V=160mm/sec, 回転数N=1〜100rpm
また、摩擦条件は次のとおりである。
摩擦径:30mm
摩擦速度:31mm/s
垂直荷重:100,200,400,600,800,1000N(各垂直荷重で10分づつ連続的に摺動)
雰囲気:大気中
潤滑条件:無潤滑
実験に先立って、ボールと試料の表面をアセトンにより脱脂し、乾燥させてから実験に供した。試験は各垂直荷重で10分づつ連続的に摺動させ、最終的に剥離したときの荷重を剥離荷重として耐剥離性を評価した。剥離の発生の有無は、摩擦係数の変化と試料表面の顕微鏡観察によって評価した。1000Nまで剥離を発生しないものについては、この段階で新しいボールに交換し、再び1000Nの垂直荷重を付加し、連続30分間摺動試験を行った。30分間でも膜の剥離が発生しないものについては再びボールを新しい物に交換し、同様に30分づつ合計3時間の摺動試験を行った。上記条件での試験結果を図10(イ)に示す。また従来法による処理を行った母材について同じ試験を行った結果を図10(ロ)に示す。本発明の下地強化法を用いた部品は、図10(ロ)に示した従来法により処理されたものに比較し、低い摩擦係数を示していることがわかる。また、優れた密着性とを備えていることは表1からもわかる。表中、○は剥離発生せず、×は剥離発生を示している。
本発明をもって、中間層としてセラミックスコーテイングを成した超硬合金やセラミックス製母材についても試験したが、前述と同様な効果が得られた。なお、本発明における金属製品とはプレス成型金型、ポンチ押し型等の成型金型などの産業用の耐摩耗性を要求する金属製品をいい、中間層としてセラミックスコーテイングを成した超硬合金とは高硬度材料を加工するプレス用金型等をいい、セラミックス製品とはビン容器の栓等低硬度、低降伏点の材料を絞り加工する穴ダイス等の成形型などの産業用の耐摩耗性を要求するセラミックス製品をいう。
Figure 0004392719
なお、本発明によるDLC膜の密着性が向上する要因として、次の4つの相乗的なものと考えられる。第一に母材表面にフルカバレージ以上になるようブラスト材を照射することにより、錆、酸化スケールや付着物を除去し表面を活性化させていること。更に1次ブラスト部を研磨加工し、その後再度二次ブラストにより無数の山形状の凹凸を発生するとともに、表面の活性化をさらに高めDLC膜が付着しやすい表面になったこと。第ニに一次ブラスト→研磨加工後に残存した前述の図3(ロ)で示したh寸法部の凹部と二次ブラストで形成された前述のh寸法より細かい凹凸部により母材の表面積が増し、実質的なDLC膜の接着面積が多くなり、それに伴ってDLC膜の接着力が大きくなったこと。第三に前述のブラストにより形成された無数の凹凸部にDLC膜が成膜される際、DLC膜の一部がこの凹凸に入り込み、成膜後部品として使用される場合、DLC膜部にかかる摩擦力などが表面に平行にかかる力に対して母材とDLC膜間で滑りにくく引っかかりとなり、抜けにくくしている。第四に一次ブラスト後研磨加工し、その後細かい投射材を使用してニ次ブラストを実施しているため、一次ブラストのみの処理面に比較し凹凸の高さの数値巾が狭く、また凹凸の山数が著しく多いので、成膜されたDLC膜にかかる荷重をより均等に受けやすく保持し、DLC膜にも負担を掛けないより有利な表面となっている。
また、前述のように一次ブラスト後研磨加工し、その後細かい投射材を使用してニ次ブラストを実施しているため、一次ブラストのみの処理面に比較し凹凸の高さの数値巾が狭くなったことにより、皮膜されたDLC膜の表面のうねりも一次ブラストのみの処理事例に比較し小さくなり、その結果として図10(イ)に示すように試験初期の時点から発生する摩擦係数は著しく低いものになっている。以上のことから本発明の下地強化法はDLCコーティングの密着性向上と摩擦係数の低下に著しく効果があり、特に耐剥離性が著しく向上したことおよび低摩擦係数が得られたことにより、高面圧下での無潤滑による塑性加工、例えば被加工材と擦れ合う金型の表面のDLCコーテイングの下地加工法として有益な処理方法といえる。
参考発明のフロー図である。 参考発明における母材の断面変化を示す拡大断面図である。 参考発明法により処理された母材の拡大断面図である。 従来法により処理された母材の拡大断面図である。 他の参考発明発明のフロー図である。 請求項1の発明のフロー図である。 ブラストによるカバレージの概念図である。 請求項2の発明のフロー図である。 実施例に用いた試験機の要部の模式図である。 (イ)は本発明による処理方法で強化した試験片の試験荷重と時間経過による摩擦係数の変化を示すグラフ、(ロ)は従来技術による処理方法で強化した試験片の同様の試験結果を示すグラフである。
1 一次、二次ブラスト面
2 二次ブラスト面
3 試料としての回転ディスク
4 固定側のテストボール
5 冶具

Claims (5)

  1. コーテイングが施される母材表面の下地処理方法であって、母材表面に一次ブラスト処理として0.8mm径以下0.2mm径以上の球形状の投射材或いは多角形の投射材を投射し、フルカバレージ以上の投射処理にてショットピーニングをし、その後、研磨法でショットピーニング後の打痕の深さが3〜5μmになるように削り落し、二次処理として一次処理に使用した投射材より細かい投射材でブラスト処理し、一次のショットピーニング処理面に二次ブラスト処理を施した表面と、二次ブラスト面とを混在させた表面とすることを特徴とする母材表面の下地処理方法。
  2. コーテイングが施される母材表面の下地処理方法であって、母材表面に一次処理として1.2mm径以下0.2mm径以上の多角形の投射材を投射し、フルカバレージ以上の投射処理にてショットピーニングをし、その後、研磨法でショットピーニング後の打痕の深さが3〜5μmになるように削り落し、二次処理として一次処理に使用した投射材より細かい多角形状の投射材0.2mm径以下で下地強化処理をし、一次のショットピーニング処理面に二次ブラスト処理面が混在した表面と、二次ブラスト面とを混在させた表面とすることを特徴とする母材表面の下地処理方法。
  3. 請求項1、請求項2の何れかの方法がダイヤモンドライクカーボン(DLC)をコーテイングするためになされることを特徴とする母材表面の下地処理方法。
  4. 請求項1〜請求項2の何れかの方法により下地処理された表面を持つことを特徴とする母材。
  5. 請求項3の方法により下地処理し、その処理面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)をコーテイングした表面を持つことを特徴とする金属或いはセラミックス製品或いはセラミックス複合製品。
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