JP4390949B2 - 繊維用サイジング剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂に補強、あるいはその他の物性付与のために混合される連続繊維束のサイジング剤に関する。更に詳しくは、屈曲・擦過による糸切れ、毛羽・粉の発生が少なく、取り扱い性に優れた連続繊維束を与えるサイジング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂は、成形加工性に優れることから、射出成形、押出成形、ブロー成形等様々な成形方法で成形され幅広い分野で用いられている。更に、導電性の付与や剛性、耐衝撃性、耐熱性等の機械的物性を向上させる目的で、炭素繊維、ガラス繊維、その他金属繊維等が熱可塑性樹脂に配合された複合材料により、その利用分野はますます広がりつつある。
【0003】
通常、熱可塑性樹脂中での分散繊維がある程度の長さを保持していると、その繊維の配合効果が高くなることが知られている。そのため、数千本から数万本の繊維が束になった連続繊維束にサイジング処理を施し、これを所定長さにカッティングした複合材料ペレットを熱可塑性樹脂の成形時に配合する方法が広く用いられる。
【0004】
一般に炭素繊維などの有機繊維束には糸切れ、毛羽発生の抑制のため、あるいは熱可塑性樹脂中への分散性改良のために、エポキシ系、ウレタン系、不飽和カルボン酸、またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂等のサイジング剤により処理されている。一方、無機繊維束には熱可塑性樹脂との接着性改良のためにエポキシシラン系、アミノシラン系等のカップリング処理が施されている。しかしながら、炭素繊維やガラス繊維等は一般に脆く、これらの処理を施しても屈曲による糸切れが発生しやすく、複合材料ペレット製造工程が煩雑なものとなったり、製造されたペレットの強度が充分でないため、ペレタイズ工程、あるいはペレット取り扱い時にペレットが割れ、ペレットから分離した繊維が毛羽・粉となって作業環境の悪化を招いてしまう等の問題があった。
【0005】
この問題を解決する手段として、繊維束中の個々の繊維表面をさらに熱可塑性樹脂にて均一に被覆することにより保護し、且つそれぞれを溶着することにより製造工程中の糸切れを抑制し、且つペレット割れによる毛羽・粉の発生を抑制する方法が提案されている。例えば、連続繊維束に熱可塑性樹脂を溶融引き出し法により含浸、被覆させる方法が挙げられるが、この方法は結晶性熱可塑性樹脂には適しているものの、非晶性熱可塑性樹脂は一般に溶融粘度が高いため、繊維束に充分熱可塑性樹脂を含浸させ個々の繊維表面を被覆することが困難であった。
【0006】
その結果、熱可塑性樹脂により被覆された後も製造工程中の屈曲により糸切れが発生したり、ペレット割れによる毛羽・粉が作業環境の悪化を招いてしまうという問題があった。その他の方法としては、熱可塑性樹脂を溶媒に溶解した溶液中に連続繊維束を浸漬して繊維表面を熱可塑性樹脂にて被覆する方法、水中に熱可塑性樹脂を分散させたラテックスをサイジング処理に用いる方法等が挙げられる。しかし、溶媒を用いる方法は、溶剤に有機溶剤を用いる場合が多く、乾燥工程では防爆使用の乾燥機など特別な設備が必要となる。
【0007】
一方、水中に熱可塑性樹脂を分散させたラテックスは、従来の熱可塑性樹脂ラテックスを用いた場合、繊維束表面近傍の繊維を被覆することは出来ても中心付近の繊維表面を充分均一に被覆することが出来ないため、ペレットが割れやすく、毛羽・粉が発生してしまうという問題があった。仮に連続繊維束の引き取り速度を下げたり、ラテックス浸漬前に連続繊維束に張力や静電気等により開繊させて連続繊維束内部へのラテックスの浸透を促進したとしても、繊維束を被覆する熱可塑性樹脂自体の強度が充分でないため、やはり満足できるものを得ることは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術では困難であった、簡便に繊維束中の個々の繊維表面を強度に優れた熱可塑性樹脂にて均一に被覆することにより、連続繊維束の糸切れが無く、ペレット割れによる毛羽・粉の発生を抑制することの出来る連続繊維束用サイジング剤の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ある特定の分散粒径分布、及び組成を持つラテックスをサイジング剤として用いることにより、上記問題を解決できることを発見するに至った。より詳細には、該ラテックスは、ラテックス浸漬工程では迅速に繊維束中に浸透し、乾燥・溶融工程で繊維束中の個々の繊維表面を均一に被覆し、且つ繊維同士を強固に固着することにより、ペレット割れによる毛羽・粉の発生を抑制出来る。
【0010】
すなわち、ゴム状重合体に、シアン化ビニル化合物を必須とし、さらに芳香族ビニル化合物及びα、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルから選ばれた1種以上をグラフト共重合してなる熱可塑性樹脂のラテックスからなり、
(1)ラテックス中における熱可塑性樹脂の割合が20〜50重量%であり、熱可塑性樹脂中におけるゴム状重合体の割合が10〜50重量%
(2)ラテックス中の熱可塑性樹脂の体積平均分散粒径が0.10〜0.45μmであり、粒子径が1μmを越える粒子の割合が全体の粒子体積の2%を越えない
(3)熱可塑性樹脂ラテックス中における未反応ビニル化合物の量が50〜15、000ppm
(4)熱可塑性樹脂のグラフト率が15〜60重量%
(5)熱可塑性樹脂におけるゴム状重合体にグラフトしていない成分の還元比粘度が0.20〜0.45の範囲
(6)熱可塑性樹脂におけるゴム状重合体を除く成分のうち、シアン化ビニル化合物の占める割合が10〜50重量%
を満たすことを特徴とする繊維用サイジング剤に関する。
【0011】
本発明におけるゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などの共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴムなどであるが、好ましくは共役ジエン系ゴムのポリブタジエンとブタジエン−スチレン共重合体およびブタジエン−アクリロニトリル共重合体である。また、これらは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0012】
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられるが、この中で好ましいのはアクリロニトリルである。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α− メチルスチレン、クロル化スチレン、ブロム化スチレン等のハロゲン化スチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン等のアルキル化スチレン、ビニルナフタレン等が挙げられるが、これらの中で好ましいのは、スチレン、α−メチルスチレンである。
【0013】
α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、炭素数1〜10のアルキル基を持つアルキル(メタ)アクリレ−ト、例えば、メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、プロピル(メ タ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシエチ ル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、フェニル(メタ)アクリレ−ト、ベンジル (メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。これらの中で 好ましいのは、メチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、プロピルアクリレ−ト、ブチルアクリレ−ト、メチルメタクリレ−ト、フェニルアクリレ−ト、フェニルメタクリレ−ト、シクロヘキシルアクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−トである。
【0014】
熱可塑性樹脂のラテックスの製造方法は特に限定されないが、例えば乳化重合で製造されたゴム状重合体ラテックスの存在下にシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物及びα、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルから選ばれた1種以上をグラフト共重合させる乳化グラフト重合、あるいは該ラテックスにシアン化ビニル化合物、及び芳香族ビニル化合物、α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルから選ばれた1種以上を乳化共重合させて得られたラテックスとを混合する方法等が挙げられる。さらに、別々に乳化重合したものを混合して用いることも出来る。
【0015】
ラテックス中の固形分量は、ラテックスにイソプロピルアルコールを加えた後、乾燥機にて水分、及び重合しなかったビニル化合物を除去することにより測定することが出来る。これがラテックスの20〜50重量%、好ましくは30〜45重量%、さらに好ましくは35〜42重量%である。これが20重量%未満であると、繊維表面の熱可塑性樹脂による被覆量が少なくなるため毛羽・粉発生防止効果が少ないものとなる。一方、50重量%を越えるとラテックスの粘度が高くなるため、繊維束中への浸透しにくく、繊維表面を熱可塑性樹脂により均一に被覆することが出来ない。その結果、やはりペレットが割れやすく、毛羽・粉の発生を抑制出来ないばかりか、ラテックスの貯蔵安定性や機械的安定性が低いため、取り扱いが煩雑なものになる。ラテックス中における固形分量は、高濃度のラテックスを製造した後、水を加えて調整することが出来る。
【0016】
熱可塑性樹脂中におけるゴム状重合体の割合は10〜50重量%、好ましくは10〜30重量%、さらに好ましくは12〜30重量%、最も好ましくは15〜25重量%である。これが10重量%未満であると熱可塑性樹脂の強度に劣るため、ペレット強度も低いものとなり、毛羽・粉発生を抑制することが出来ない。一方、これが50重量%を越えると溶融粘度が高くなるため、乾燥・溶融工程において、繊維束内部の繊維表面は熱可塑性樹脂にて均一に被覆されにくくなり、毛羽・粉発生の抑制効果の低いものとなる。
【0017】
また、熱可塑性樹脂中におけるゴム状重合体の平均粒子径は、ペレット強度を考慮すると0.08〜0.8μm、好ましくは0.08〜0.6μm、更に好ましくは0.15〜0.6μmである。ゴム状重合体の粒子径分布は単分散、二山分布、あるいは多分散を用いることが出来る。
【0018】
熱可塑性樹脂ラテックスの体積平均分散粒径は0.10〜0.45μm、好ましくは0.15〜0.40μm、更に好ましくは0.15〜0.30μmである。これが0.10μm未満である場合には、ラテックス中における熱可塑性樹脂の粒子数が多いため、ラテックスの粘度が高くなり過ぎて熱可塑性樹脂ラテックスの繊維束中への浸透速度が遅くなる。その結果、繊維表面を均一に被覆することが困難となり、毛羽・粉発生の抑制効果の低いものとなる。
【0019】
一方、これが0.45μmを越えると、貯蔵安定性に欠けるばかりか、やはり繊維表面を均一に被覆することが困難となり、毛羽・粉発生の抑制効果の低いものとなる。このラテックスの分散粒径をコントロールする方法としては、熱可塑性樹脂ラテックスを乳化重合により製造する際、乳化剤量や攪拌回転数にて調整する方法が一般的である。この方法に加え、乳化重合時に追添するビニル化合物の混合物に水、及び乳化剤を加え、予めホモジナイザー等で予備乳化したものを滴下してグラフト共重合を行うと、予備乳化しないものと比較して、より小さい分散粒径のラテックスを得ることが出来るばかりでなく、重合安定性も増すので好ましい。
【0020】
熱可塑性樹脂ラテックス中における未反応ビニル化合物とは、ゴム状重合体ラテックス製造時の未反応ビニル化合物、及びゴム状重合体の存在化で行ったグラフト共重合のシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物及びα、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルから選ばれた1種以上を共重合する際の未反応ビニル化合物を言う。これが50〜15、000ppm、好ましくは100〜10、000ppm、更に好ましくは500〜10、000ppmである。これが50ppm未満であると、乾燥・溶融工程において、溶融した熱可塑性樹脂が更に繊維束内部に浸透することが困難となる。その結果、繊維束内部の繊維表面が熱可塑性樹脂で均一に被覆されにくくなり、毛羽・粉発生の抑制効果の低いものとなる。。一方、15000ppmを越えると、臭気や有毒蒸気の発生等、製造工程の環境悪化を招く。
【0021】
本発明において、グラフト率とは、ゴム状重合体にグラフト共重合した成分の、ゴム状重合体に対する重量割合として定義される。ラテックスに多量のイソプロピルアルコールを加えた後、乾燥機にて水分、及び重合しなかったビニル化合物を除去して得られた熱可塑性樹脂成分をアセトンに溶解し、遠心分離機によりアセトン可溶分と不溶分とに分離する。この時、アセトンに溶解する成分は重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、アセトン不溶分はゴム状重合体、及びゴム状重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)である。
【0022】
アセトン不溶分の重量からゴム状重合体の重量を差し引いた値がグラフト成分の重量として定義されるので、これらの値からグラフト率を求めることが出来る。本発明における熱可塑性樹脂のグラフト率は、15〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは25〜45重量%、最も好ましくは25〜40重量%である。これが20重量%未満であると、熱可塑性樹脂の強度が劣るため、ペレットが割れやすく、毛羽・粉発生を抑制することが出来ない。一方、これが60重量%を越えると溶融粘度が高くなるため、乾燥・溶融工程において、繊維束内部の繊維表面が熱可塑性樹脂にて均一に被覆されにくくなり、毛羽・粉発生の抑制効果の低いものとなる。
【0023】
熱可塑性樹脂におけるゴム状重合体にグラフトしていない成分の還元比粘度は、該成分0.25gを2−ブタノン50mlにて溶解した溶液を30℃にてcannon−fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。この還元比粘度は0.20〜0.45、好ましくは0.30〜0.45、さらに好ましくは0.30〜0.42、最も好ましくは0.30〜0.40である。これが0.20未満であると熱可塑性樹脂の強度が低いため、ペレット強度も劣ったものとなり、毛羽・粉発生を抑制することが出来ない。一方、これが0.45を越えると溶融粘度が高くなるため、乾燥・溶融工程において、繊維束内部の繊維表面が熱可塑性樹脂にて均一に被覆されにくくなり、毛羽・粉発生の抑制効果の低いものとなる。
【0024】
熱可塑性樹脂におけるゴム状重合体を除く成分のうち、シアン化ビニル化合物の占める割合は10〜50重量%、好ましくは20〜45重量%、さらに好ましくは25〜45重量%である。これが10重量%未満であると、熱可塑性樹脂の強度が低いため、ペレット強度も劣ったものとなり、毛羽・粉発生を抑制することが出来ない。一方、これが50重量%を越えると溶融粘度が高くなるため、乾燥・溶融工程において、繊維束内部の繊維表面が熱可塑性樹脂で均一に被覆されにくくなり、毛羽・粉発生の抑制効果の低いものとなる。さらに、得られたペレットが乾燥・溶融工程において黄色に着色しやすくなるため、好ましくない。
【0025】
熱可塑性樹脂のラテックスには、必要に応じて、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、消泡剤等各種添加剤をその物性を損なわない程度に配合することが出来る。また、該ラテックスに他の熱可塑性樹脂のラテックス、例えばアクリル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、塩化ビニリデン系ラテックス、SB系ラテックス、ウレタン系ラテックス等を混合して用いることが出来る。本発明の繊維用サイジング剤を用いて処理することの出来る繊維については特に制限はなく、熱可塑性樹脂に様々な性能を付与する目的で用いられている既知の繊維を用いることが出来る。
【0026】
例えば炭素繊維、ガラス繊維、硼素繊維、炭化ケイ素繊維、あるいはアルミウム繊維、ステンレス繊維、銅繊維、ニッケル繊維などの金属繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ポリイミド繊維などの有機繊維等である。これらの繊維は1種または2種以上を組み合わせて用いることが出来る。これらの繊維は熱可塑性樹脂の濡れ性や接着性等を向上させる目的で、表面処理剤で予め処理しておいても良い。この表面処理剤としては、例えばシラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系、ボラン系カップリング材等が挙げられる。該繊維を、前記表面処理剤で処理する方法については特に制限は無く、既知の方法を用いることが出来る。例えば、水溶液法、有機溶媒法、スプレー法などが挙げられる。
【0027】
また、繊維が100〜15000本程度収束した連続繊維束を用いることが望ましい。この時、連続繊維束が例えばウレタン系、アクリル系、ブタジエン系、エポキシ系等の既知の収束剤により処理されていても良い。該連続繊維束を本発明の繊維用サイジング剤中を通過させる前に、物理的に開繊させた方が、より繊維用サイジング剤が繊維束中に浸透し、個々の繊維表面を被覆することが出来るので好ましい。この開繊方法については、特に制限は無いが、例えば押圧法、張力を与えて開繊させる方法、静電気によって開繊させる方法等、既知の方法を用いることが出来る。
【0028】
本発明の繊維用サイジング剤中を通過させた後は、水分の蒸散だけではなく、付着した熱可塑性樹脂固形分を溶融させ、個々の繊維表面を更に均一に被覆させるためにも、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度雰囲気中を張力を加えながら通過させることが望ましい。この後、該連続繊維束を冷却した後、適当な長さに切断してペレット化するか、あるいは該連続繊維束をさらに溶融した熱可塑性樹脂中を通過させ、冷却・固化しした後切断してペレット化する。
【0029】
本発明の繊維用サイジング剤を用いて製造された複合材料ペレットは、様々な熱可塑性樹脂と混合することが出来る。例えば、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中で好ましいのは、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂である。これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いることも出来る。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何らその範囲を限定されるものではない。
(製造例1)ラテックス1の製造
ポリブタジエンゴムラッテックス(体積平均粒子径0. 25μm、固形分量48.5重量%)41.2重量部、脱イオン水68.7重量部、アルケニルコハク酸カリウム(アルケニル基はC13〜C1 5)1重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部、及び過硫酸ナトリウム0.02重量部を環冷却器付き重合槽に入れ、80℃に昇温した。
【0031】
アクリロニトリル24重量部、スチレン56重量部、アルケニルコハク酸カリウム(アルケニル基はC13〜C1 5)1.5重量部、t−ドデシルメルカプタン0.6重量部、及び過硫酸ナトリウム0.05重量部、及び脱イオン水45重量部をホモジナイザーにて乳化したものを5時間にわたり連続追添加した。この間、重合系の温度を80℃にコントロ −ルし、追添加終了後更に1時間その状態を維持し、重 合を完結させた。
【0032】
これに4,4’−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)のエマルジョン(50重量%)0.36重量部を添加し、充分に攪拌し、さらに固形分40重量%となるように脱イオン水にて希釈した。ラテックスの体積平均分散粒径はマイクロトラックUPAによる測定の結果、0.27μm、1μmを越える粒子の体積は全体の1%未満であった。ラテックス中の未反応の全モノマー量はガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、7640ppmであった。また、ラテックス中の熱可塑性樹脂の分析の結果、グラフト率は33%、還元比粘度は0.36であった。
【0033】
(製造例2)ラテックス2の製造
追添加系のアクリロニトリル24重量部、スチレン41重量部、ブチルアクリレート5重量部、及びt−ドデシルメルカプタン0.4重量部とした以外は製造例1と同様に製造した。得られたラテックスを、水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去した。ラテックスの体積平均分散粒径は、0.33μm、1μmを越える粒子の体積は全体の1%未満であった。ラテックス中の全未反応モノマー濃度はガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、550ppmであった。また、ラテックス中の熱可塑性樹脂の分析の結果、グラフト率は40%、還元比粘度は0.42であった。
(製造例3)ラテックス3の製造
製造例1で製造したラテックス1を脱イオン水にて希釈、固形分15重量%とした。
【0034】
(製造例4)ラテックス4の製造
初期のポリブタジエンゴムラテックス123.7重量部、脱イオン水26.3重量、t−ドデシルメルカプタン0重量部、追添加系のアクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、t−ドデシルメルカプタン0.4重量部とした以外は製造例1と同様に製造した。ラテックスの体積平均分散粒径は、0.30μm、1μmを越える粒子の体積は全体の1%未満であった。ラテックス中の全未反応モノマー濃度はガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、3550ppmであった。また、ラテックス中の熱可塑性樹脂の分析の結果、グラフト率は25%、還元比粘度は0.33であった。
【0035】
(製造例5)ラテックス5の製造
初期のポリブタジエンゴムラテックス0重量部、t−ドデシルメルカプタン0重量部、追添加系のアクリロニトリル30重量部、スチレン70重量部、t−ドデシルメルカプタン0.6重量部とした以外は製造例1と同様に製造した。ラテックスの体積平均分散粒径は、0.37μm、1μmを越える粒子の体積は全体の1%未満であった。ラテックス中の全未反応モノマー濃度はガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、1250ppmであった。また、ラテックス中の熱可塑性樹脂の分析の結果、還元比粘度は0.43であった。
【0036】
(製造例6)ラテックス6の製造
初期のt−ドデシルメルカプタン0.2重量部、追添加のt−ドデシルメルカプタン0.2重量部とした以外は製造例1と同様に製造した。ラテックスの体積平均分散粒径は、0.31μm、1μmを越える粒子の体積は全体の1%未満であった。ラテックス中の全未反応モノマー濃度はガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、10500ppmであった。また、ラテックス中の熱可塑性樹脂の分析の結果、グラフト率は82重量%、還元比粘度は0.55であった。
【0037】
(製造例7)ラテックス7の製造
製造例1で製造したラテックス1を、水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去した。ラテックス中の全未反応モノマー濃度はガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、20ppm未満であった。
【0038】
(製造例8)ラテックス8の製造
初期のアルケニルコハク酸カリウム(アルケニル基はC13〜C1 5)2重量部、追添加系のアルケニルコハク酸カリウム(アルケニル基はC13〜C1 5)2.5重量部とした以外は製造例1と同様にして製造した。ラテックスの体積平均分散粒径は、0.08μm、1μmを越える粒子の体積は全体の1%未満であった。ラテックス中の未反応の全モノマー量はガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、6700ppmであった。また、ラテックス中の熱可塑性樹脂の分析の結果、グラフト率は47%、還元比粘度は0.24であった。
【0039】
【表1】
Figure 0004390949
【0040】
【実施例1】
ガラスモノフィラメント8000本を1束とした連続繊維束(旭ファイバーグラス株式会社製、0.74g/(m・本))を2束1本とし、これを図1に示すローラー1にて開繊させ、浸漬槽2中のラテックス1中を10m/分の速度で通過させた後、ガイド3で余分なラテックスを除去する。ついで、これを加熱乾燥機4内に導入し、250℃雰囲気にて連続繊維束に付着したラテックスの水分を除去・乾燥すると共に、熱可塑性樹脂を溶融させることにより更に連続繊維束中の個々の繊維表面の被覆を促進する。加熱乾燥機4を出た連続繊維束を室温に冷却した後、ペレタイザー6にて切断し、長さ8mmのペレットを得た。尚、被覆樹脂量は25重量%であった。
【0041】
(毛羽・粉の発生量の測定)
得られたペレット5gを内径34mm、高さ75mmの容器に入れ、振幅幅4cm、300inにて1時間振とうした後、これを水洗して毛羽・粉の発生量を測定した。その結果、0.67重量%であった。
【0042】
【実施例2】
ラテックス2を使用した以外は参考例1と同様に製造、及び評価を行った。被覆樹脂量は24重量%、毛羽・粉の発生量はペレットの0.42重量%であった。
【0043】
【比較例1〜6】
被覆樹脂量が23〜27重量%となるように連続繊維束の引き取り速度を調整し、実施例1と同様に製造、評価を行った。ただし、比較例1については、引き取り速度を調整しても、被覆樹脂量を10重量%以上にすることが出来なかった。
評価結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0004390949
【0045】
【発明の効果】
本発明の繊維用サイジング剤を連続繊維束のサイジング剤として用いることにより、連続繊維束の糸切れが無く、ペレット割れによる毛羽・粉の発生を抑制することの出来、簡便に複合材料ペレットを製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維用サイジング剤を用いた連続繊維束のサイジング工程図である。

Claims (2)

  1. ゴム状重合体に、シアン化ビニル化合物を必須とし、さらに芳香族ビニル化合物及びα、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルから選ばれた1種以上をグラフト共重合してなる熱可塑性樹脂のラテックスからなり、
    (1)ラテックス中における熱可塑性樹脂の割合が20〜50重量%であり、熱可塑性樹脂中におけるゴム状重合体の割合が10〜50重量%
    (2)ラテックス中の熱可塑性樹脂の体積平均分散粒径が0.10〜0.45μmであり、粒子径が1μmを越える粒子の割合が全体の粒子体積の2%を越えない
    (3)熱可塑性樹脂ラテックス中における未反応ビニル化合物の量が50〜15、000ppm
    (4)熱可塑性樹脂のグラフト率が15〜60重量%
    (5)熱可塑性樹脂におけるゴム状重合体にグラフトしていない成分の還元比粘度が0.20〜0.45の範囲
    (6)熱可塑性樹脂におけるゴム状重合体を除く成分のうち、シアン化ビニル化合物の占める割合が10〜50重量%
    を満たすことを特徴とする繊維用サイジング剤。
  2. 請求項1に記載の繊維用サイジング剤と、該サイジング剤で被覆された連続繊維束とからなる複合材料ペレット。
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