JP4389709B2 - 楽譜表示装置および楽譜表示プログラム - Google Patents
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Description
曲データは、イベントタイミング(時間情報)を伴うMIDIイベント列で記述されるファイルである。SMF(Standard MIDI File)や、各種のシーケンサの独自形式のファイルが知られている。
従来、曲データを楽譜表示に利用する場合、個々の音の音高(ノートナンバ)のみに基づいて音符の音高を決定していた。
ところが、曲データの録音時にピッチベンダーを操作したり、編集時にデータの打ち込みをしたりして、曲データにピッチ変更値(ピッチベンド値)を指示するピッチベンドチェンジを挿入する場合がある。
従って、上述したように音の音高のみに基づいて音符の音高を決定すると、ピッチベンドチェンジで半音以上のピッチ変更値が与えられたときは、曲データを用いて楽譜上に表示される音符構成が、自動演奏されるときの音構成と一致しなくなる。
そのため、楽譜と自動演奏との両方を同時に確認できる上級者にとっては、違和感のある楽譜表示、自動演奏になってしまう場合があった。
また、上述した特許文献1では、各音符の符頭付近にピッチベンドのグラフを添えているが、通常の記譜法とは異なっているため、直観的には理解しにくい。
一方、個々の音の音高にピッチ変更値を加味した音高を解析する装置が知られている(特許文献2参照)。しかし、これは曲の調や和音を検出するためのものであって、音構成と対応のとれた音符構成の楽譜を表示させるためのものではない。
また、請求項2に記載の発明においては、上述した請求項1に記載の発明を、コンピュータを用いて実現させるための楽譜表示プログラムである。
また、楽譜表示態様を設定する手段を設ければ、ユーザ要求に応じて、表示させる音符にピッチ変更値を加味しない楽譜表示にすることも可能となる。
音源回路を内蔵するパーソナルコンピュータに電子音楽用プログラムをインストールして、楽譜表示機能を実現する場合を説明する。
図中、1はバス、2はCPU、3はタイマ、4はRAM、5はROM、6は外部記憶装置である。
ROM5に基本入出力システム(BIOS)が記憶され、外部記憶装置6のハード磁気ディスク装置(HDD)にオペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム、および、曲データや設定データなどの各種データが記憶されている。外部記憶装置6として、CD-ROMやMO,DVDなどの可搬型光学式記録媒体の記録再生装置、フラッシュメモリのようなメモリカードを備えてもよい。
CPU2は、タイマ3によるタイマ割込制御に従い、RAM4をワークエリアとしてOSのもとに、アプリケーションプログラムを実行する。
9は操作入力画面や楽譜等の表示がなされるディスプレイ、操作子による設定状態を表示するLED(発光ダイオード)等を含む表示装置である。10はディスプレイに画像を表示させたり、LEDの点灯を制御したりする表示回路である。
11はサウンドシステム、12は音源回路である。音源回路12は、音源LSI(集積回路)あるいはDSP(Digital Signal Processor)を用いたもので、CPU2が演奏情報に基づいて生成した音源パラメータ(キーオン、ノートナンバ、エンベロープレベル等)に基づいて、楽音信号を生成し、サウンドシステム11に出力する。
音源回路12で生成された音に、残響や歪みなどのエフェクトを付加する場合は、CPU2により演奏情報に基づいて生成されるエフェクト制御パラメータにより制御される。
電子音楽装置13は、演奏情報の入力装置およびまたは出力装置として利用され、鍵盤型、弦楽器型、管楽器型、その他どのようなものであってもよい。MIDI鍵盤、シーケンサ、音源装置でもよい。
電子音楽装置13は、本装置にMIDI、RS232C、USB(Universal Serial Bus)等の規格に応じたケーブルで本装置に接続され、MIDI規格に従った演奏情報を本装置に出力したり本装置から入力したりする。
15は通信ネットワーク、16は通信インタフェースである。
OSおよびアプリケーションプログラム、曲データや設定データ等の各種データは、外部記憶装置6において、上述した可搬型光学式記録媒体に記憶されたものを読み出したり、LAN(Local Area Network)あるいはインターネット上の通信ネットワーク15上のサーバから受信したりして、外部記憶装置6のHDDにインストールすることができる。
ワークエリアには、楽譜表示対象の曲データや各種処理で利用されるバッファやフラグなどの記憶領域が設けられる。曲データは、外部記憶装置6、電子音楽装置13、通信ネットワーク15上のサーバ装置などからRAM4にロードされる。
CPU2は、RAM4にロードされた曲データを読み出して得られる演奏情報、後述する電子音楽装置13からリアルタイムで入力される演奏情報等に基づいて、音源パラメータを生成し、音源回路12に出力する。
図1ではパーソナルコンピュータを用いたが、これに代えて、電子音楽装置が楽譜表示機能を実現してもよい。そのハードウェア構成は、図1と同様の構成が可能である。この場合、楽譜表示を含む制御プログラム、曲データ、設定データ等はROM5に記憶しておいてもよい。ROM5は再書き込み可能なフラッシュメモリにするとよい。操作子7として、鍵盤の他、ピッチベンダー等、種々の操作子を利用して演奏をすることができる。この演奏を曲データとして録音し、編集、再生することができる。
図2(a)は従来の楽譜の一例を示している。楽譜しか表示できないものもあるが、従来のシーケンサソフトウェアでは、上段に楽譜、下段にピッチベンドのグラフが、時間軸を一致させて表示される。
上段の楽譜では、個々の音の音高および発音区間を指示するデータのみに基づいて音符が表示される。
これに対し、SMF(Standard MIDI File)形式では、個々の音の音高および発音区間を指示するデータは、ノートオンとノートオフという対のデータ、および、これらのデータに付加されるイベントタイミングのデータである。ノートオンに上述したゲートタイムが含まれない代わりに、ノートオンのイベントタイミングから次に来る同音高のノートオフのイベントタイミングまでが音の発音区間の長さを指示する。一方、ノートオンのイベントタイミングが発音区間の開始タイミングを指示する。
ピッチベンド値は、音高(ノートナンバ)に対応するピッチを中心とし、−8192から+8191までの数値で表される。実際のピッチ変化量はベンド・レンジによって変わる。−8192から+8191までの数値は、ベンド・レンジ=12のとき±12半音(±1オクターブ)に対応する。
図2(a)の例ではベンド・レンジ=2にして、±2半音に対応させている。
以下には、説明を簡単にするために、シーケンサ独自仕様の演奏情報を用いた場合を説明するが、SMF形式であっても、その他の形式であっても、発音区間のデータを取得する処理を変更するだけで同様の処理により本発明を実施できる。
その結果、四分音符21の発音区間の4拍目の中間点23以降は、ノートナンバ71の音高に相当するピッチとなる。付点二分音符22の発音区間は、全体がノートナンバ71の音高に相当するピッチとなる。
図2(a)に示した四分音符21は、ピッチベンドチェンジによって八分音符24(ノートナンバは72)および八分音符25(ノートナンバは71)に2分割されている。図2(a)の付点二分音符22は、付点二分音符26(ノートナンバは71)にされる。
なお、ピッチベンドチェンジが1つの音の発音期間中に2回以上発生すると、3以上に分割されて3以上の音符が表示される場合がある。
また、操作子7に含まれるある1つの操作子の操作に応じて、楽譜上の音符にピッチ変更値を加味するか否かを設定する楽譜表示態様設定ステップを有している。
音高をノートナンバ(整数値)で表した場合は、ピッチベンド値を半音アップを+1とする音高シフト量に変換し、この音高シフト量を整数値に丸めて、ノートオンにより指示されるノートナンバに加算すればよい。
従って、ピッチベンドチェンジのイベント発生タイミングは、曲データの所定のクオンタイズグリッド(例えば、八分音符単位、十六分音符単位)の最も近い位置に修正するクオンタイズをしておいてから、発音区間の分割をしてもよい。このようにすれば、分割された後の各発音区間に対応する音符の種類を減らすことができる。
しかし、ピッチベンド値を無視して図2(a)上段の楽譜のみを演奏した場合に比べれば、元の演奏の鳴り音に近いといえる。従って、図2(b)に示される楽譜の方が、結果として、鳴り音に近い楽譜表示をすることができる。すなわち、「聴感」に近いピッチを用いた音符列による楽譜表示が可能となる。
従って、楽譜を見ながら音を試聴する上級者の違和感を軽減することができる。
ピッチベンド値を加味した結果、発音区間が特定の関係になるときに、従来の記譜法に従って、通常とは異なる表示をする。
図3(a)は従来の楽譜を示している。この具体例では、ベンド・レンジ=4に設定している。
図示されている小節の1拍目に全音符31(ノートナンバは71)があり、1拍目のタイミング32に、第1のピッチベンドチェンジが発生し、この1拍目のタイミング32の直後のタイミング33に、第2のピッチベンドチェンジが発生している。
第1のピッチベンドチェンジには、ピッチベンド値としてマイナス4半音が指示され、第2のピッチベンドチェンジには、ピッチベンド値として0が指示されている。
その結果、1拍目のタイミング32から直後のタイミング33までのごく短区間において、マイナス4半音シフトさせる。全音符31のピッチは、この間、ノートナンバ67の音高に相当するピッチとなる。
図3(a)の全音符31は、第2のピッチベンドチェンジによって前の音符(ノートナンバは67)と後の音符(ノートナンバは71)とに2分割されている。
ここで、前の音符が第1の所定長以下となり、後の音符が第2の所定長以上になると判定されたとき、前の音符を装飾音符(十六分音符34)、後の音符を通常の音符(全音符31)として表示させる。ここで、第1の所定長は第2の所定長以下の値である。
これに対し、装飾音符(十六分音符34)は、後の音符(全音符31)の直前の、拍とは無関係な位置に、通常の音符よりも小さく、所定の音符記号(例えば16分音符)で表記する。図示の例では、さらに、装飾音符(十六分音符34)と後の音符(全音符31)とをつなぐ弧線35が表示される。
しかし、ユーザが作成した演奏情報によっては、ノートオンにより指示される発音区間内に、ピッチベンドチェンジが2回以上あり、かつ、音高を2回以上変化させる場合もあり得る。
この場合、3個以上の音符が表示されることになる。このような場合でも、最初の音符と、音高の異なるその次の音符とについて、上述したように発音区間の長さを判定し、最初の音符を装飾音符としてもよい。さらに、任意の隣り合う音高の異なる前後の音符について、上述したように発音区間の長さを判定し、前の音符を装飾音符としてもよい。
ノートオンおよびピッチベンドチェンジのデータのみに着目して説明し、その他のデータに基づいて音符以外の音楽記号を楽譜に表示する処理については省略する。
ユーザが、電子音楽用プログラムを起動することにより、初期設定をするとともに、アプリケーションのウインドウ画面を表示させる。ユーザは、曲データのファイル名を指定し、楽譜表示対象のパートを指定するとともに、ピッチベンド値を加味した楽譜表示をするか否かの設定を行い、楽譜表示の開始を指示するボタンを操作する。
以上の操作により、図4に示す楽譜表示処理のフローチャートが起動する。
S42〜S46においては、曲データの先頭からノートオンのデータを一つずつ検出して行き、ピッチベンド値を加味した音高およびこの音高の発音区間を表す音符データを生成し、バッファに追記するステップを最後まで繰り返す。
S44において、ノートオンが検出されたときはS45に処理を進め、音符の音高および発音区間を決定する。
すなわち、指定パートに対応するMIDIチャンネルのピッチベンドチェンジ(例えば、図2(a)のピッチベンドチェンジ23)が検出されたときは、これに含まれるピッチベンド値を加味して、先に、S42において検出されたノートオン(例えば、図2(a)の四分音符21に対応するもの)により指示されたノートナンバを変換する。それとともに、変換されたノートナンバの発音区間を表す音符データを生成する。
S46において、S45で決定されたノートナンバと発音区間の長さを指示するゲートタイム、および、発音区間の開始タイミングを表す音符データを、RAM4内に用意されたピッチベンド加味音符データバッファへ追記する。
そこで、S47において、上述したバッファに格納されたピッチベンド加味音符データに基づいて、図2(b)に示したような楽譜をディスプレイに表示させる。
ただし、後述する図5のS58において、特別に装飾音符フラグが付された音符データについては装飾音符(図3(b)の十六分音符34)を表示させる。
すなわち、ノートオンにより指示されるノートナンバ,ゲートタイムにより音高,発音区間の長さを表し、ノートオンのイベントタイミングにより発音区間の開始タイミングを表す音符データを生成し、この音符データに基づいてディスプレイに楽譜を表示させる。
このような方法に代えて、ディスプレイに一度に表示できる範囲の演奏情報を処理して表示させ、ディスプレイ上で楽譜のスクロールやページ切り換えが行われるときに、その部分だけを処理して、ピッチベンド加味音符データを生成してもよい。
S51において、先に図4のS42において検出されたノートオン(以後、「今回ノートオン」という)の音高に影響を及ぼすピッチベンドチェンジを検出する。
ピッチベンド値は、ピッチベンドチェンジにより更新されない限り、前に設定された値が有効に保持されている。従って、「今回ノートオン」により発音が開始される前に最後に発生していたピッチベンドチェンジも検出する。
S53において、「今回ノートオン」により指示されるゲートタイムに相当する長さの発音区間を、検出されたピッチベンドチェンジのイベントタイミングで区切る。
この発音区間(例えば、図2(a)の四分音符21の場合)においてピッチベンドチェンジのイベントタイミング(第4拍の中間点23)があれば、この発音区間が分割される。一方、この発音区間(例えば、図2(a)の付点二分音符22の場合)にピッチベンドチェンジのイベントタイミング(第4拍の中間点23)がない場合は分割されない。
発音区間が分割された場合、分割された前後の発音区間における音高を、それぞれ、ピッチベンドチェンジのイベントタイミングの前後におけるピッチベンド値を加味した音高に変換する(図2(a)の四分音符21の場合、前半の発音区間のノートナンバを72、後半の発音区間のノートナンバを71とする)。
S57において、各発音区間のゲートタイムを算出し、このゲートタイムとノートナンバ、および、各発音区間の開始タイミングを表す音符データを生成する。
図3を参照して説明したように、元の発音区間が3以上に分割されて3以上の発音区間が生成された場合に、その最初と次の発音区間、あるいは、任意の隣り合う前後の発音区間について、S58の判定を行い、装飾音符フラグを付加してもよい。
これに代えて、図1の外部の電子音楽装置13において、ユーザが鍵盤を操作することによりリアルタイムで出力される演奏情報、あるいは、曲データが自動演奏されるときに、これに伴ってリアルタイムで出力される演奏情報を入力して楽譜表示をさせる場合にも、本発明を適用することができる。
リアルタイムで入力される演奏情報は、入力されたタイミングに応じて発音開始タイミングのデータが作成される。上述した説明と同様に、ノートオンの音高を、ピッチ変更値を加味した音高に変換するとともに、変換した音高および変換した音高の発音区間を表す音符データを生成して、ピッチベンド加味音符データバッファに追記すると同時に、逐次読み出して楽譜表示するようにすればよい。
また、楽譜表示ウインドウ、ピアノロール表示ウインドウ、あるいは、リスト表示ウインドウの画面において、マウスを用いて音符あるいはノートオンのデータを入力させることにより、曲データを新規に作成させたり、既存の曲データを編集させたりすることができる。
外部記憶装置6、外部の電子音楽装置13、サーバ装置や他のパーソナルコンピュータから、曲データをRAM4にロードさせて、この曲データを読み出させ、音源回路12を制御してサウンドシステム11から楽音信号を出力させることもできる。
Claims (2)
- 音高および発音区間を指示する第1のデータ、および、ピッチベンド量および該ピッチベンド量を第1のデータに作用させるタイミングとを指示する第2のデータを含んだ演奏情報を入力する演奏情報入力手段と、
該第2のデータのタイミングを所定の時間間隔でクオンタイズ変換して第3のデータを生成するクオンタイズ手段と、
該演奏情報入力手段により入力された第1のデータにより指示される音高を、該クオンタイズ手段により生成された第3のデータにより指示されるタイミングでのピッチベンド量を加味した音高に変換するとともに、
変換した音高および該変換した音高の発音区間を表す音符データを生成する音符データ生成手段と、
該音符データ生成手段により生成された音符データに基づいて表示装置に楽譜を表示させる楽譜表示制御手段、
を有することを特徴とする楽譜表示装置。 - 音高および発音区間を指示する第1のデータ、および、ピッチベンド量および該ピッチベンド量を第1のデータに作用させるタイミングとを指示する第2のデータを含んだ演奏情報を入力する演奏情報入力ステップと、
該第2のデータのタイミングを所定の時間間隔でクオンタイズ変換して第3のデータを生成するクオンタイズステップと、
該演奏情報入力ステップにより入力された第1のデータにより指示される音高を、該クオンタイズステップにより生成された第3のデータにより指示されるタイミングでのピッチベンド量を加味した音高に変換するとともに、
変換した音高および該変換した音高の発音区間を表す音符データを生成する音符データ生成ステップと、
該音符データ生成ステップにより生成された音符データに基づいて表示装置に楽譜を表示させる楽譜表示制御ステップ、
をコンピュータに実行させることを特徴とする楽譜表示プログラム。
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