JP4389017B2 - 扉のシリンダ筒挿通穴閉塞装置 - Google Patents

扉のシリンダ筒挿通穴閉塞装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、扉のシリンダ筒挿通穴閉塞装置(以下単に閉塞装置という)に係り、特に、簡単な構造で容易に扉の外面におけるシリンダ筒挿通穴を閉塞することができ、錠前の安全性を向上させることができる閉塞装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリンダ錠の扉への装着の態様は、例えば図1に示すように、シリンダ錠1を収納したカップ状のシリンダ筒2を、錠箱3の側板及び扉4を貫通させて扉面外に突出させ、その突出部分を化粧リング5で覆う構造である。
【0003】
ちなみに、シリンダ筒2そのものは、その開口端縁部外周面に形成された取付ブロック10、10及び錠箱3を貫通する装着杆6、6を介して錠箱3に固定される。
【0004】
また、他のシリンダ筒2の固定方法は、例えば図2に示すように、その開口端縁外周部に形成された雄ねじ部60を、錠箱3の側面部に設けられた図示しない雌ねじ部に螺合させ、これも図示しないセットビスにより扉の自由側端縁側から固定する。
【0005】
しかして、或種の高級な扉においては、化粧リングの代りに、エスカチオン(化粧座板:図示せず)を装着する場合がある。
【0006】
このエスカチオンは、通常、縦長の板材で、表面に彫刻等の装飾が施されており、室内側から取付ビスで扉外面に呼びつけられるようにして装着される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、錠箱3の寸法及びエスカチオンの取付ビスの位置は事実上一定に定まっており、図3に示すように、取付ビスの位置は生憎錠箱の上端を掠めるような位置にある。
【0008】
そのため、図3に示すように、エスカチオンの取付ビスとの干渉を避けるため、錠箱3の天井板3aにビス溝7を、錠箱の側板3bの上端にビス孔8を夫々形成しなければならないが、これらビス溝7及びビス孔8は化粧リングを用いる扉用の錠箱には必要無いものである。
【0009】
なお、図3においてはビス孔8は矩形であるが、取付ビスの横断面形状に応じて半円形のビス孔もあるし、U字形のものもある。
【0010】
しかしながら、同じ機構の錠箱でありながら取付ビス用のビス溝7及びビス孔8を形成したものとしないものとを別個に製造することは、コストの上昇の原因にもなるし、また、管理も困難になるので、化粧リングを装着する扉用の錠箱にもビス溝及びビス孔を形成している。
【0011】
なお、これらビス溝7及びビス孔8は、図3に示すように、デッドボルト等の錠止部材を操作するデッドカム9の近傍に開口している。
【0012】
一方、図1及び図2に示すように、扉4の外面にはシリンダ筒2や取付ブロック10を通すためのシリンダ筒挿通穴11が開口しており、シリンダ錠装着時扉外面側からシリンダ筒の取付ブロック10を錠箱3内に差込み、或いは捩じ込み、扉の自由側端縁側から前記装着杆6、6を取付ブロック10に差し通したり、セットビスで固定する構造である。
【0013】
そのため、化粧リングの可動部を持上げ、特殊な形状をした針金の先端部を、シリンダ筒挿通穴11及び扉の外面と錠箱3との間を通して、上記ビス溝7から錠箱3内に挿入すると、これを引くことによりデッドボルトが引込むので、不正解錠が不可能ではなく、したがって錠前の防犯性が失われる、という不都合がある。
【0014】
なお、この不正解錠の方法は、これを公表すると防犯上問題があるし、また、実用新案登録第3080899号に係る登録実用新案公報に記載されているので、ここではその記載を省略する。
【0015】
この発明は、上記した扉外面に開口したシリンダ筒挿通穴11を閉塞する簡単な構造の閉塞装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、シリンダ錠を担持したカップ状のシリンダ筒を、開口端を内側にして扉外面に開口したシリンダ筒挿通穴に挿通し、錠箱の側板を貫通するようにして錠箱に固定し、その突出部分を化粧リングで覆ったものにおいて、上記シリンダ筒挿通穴に嵌合可能な薄肉短円筒体である閉塞筒を、内端を錠箱に向けてシリンダ筒挿通穴に嵌合させ、その内端を錠箱に近接させることにより、シリンダ筒挿通穴を通り、錠箱側板に沿っての針金の挿入経路を閉塞すると共に、この閉塞筒に抜け止めを施し、以て、化粧リングの可動部を扉外面から持上げ、シリンダ筒挿通穴から針金を通しての不正解錠を防止するようにしたことを特徴とする。
【0017】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図4乃至図6を参照して説明する。
図4において符号12は閉塞筒を示し、この閉塞筒12は扉外面に開口した前記シリンダ筒挿通穴11に嵌合可能な薄肉短円体で、図4及び図5に示すように、その外端(図で左端)における開口端にはフランジ12a(図5参照)が形成されている。
【0018】
そして、この閉塞筒12の外径は扉外面に開口したシリンダ筒挿通穴11(図1参照)に嵌合、或いは僅かな隙間を介して遊嵌可能に設定されており、更に、その内径はシリンダ筒の前記取付ブロック10が挿通できるように設定されている。なお、ここでは遊嵌も嵌合の一種とする。
【0019】
なお、取付ブロック10の最大寸法とシリンダ筒挿通穴11の内径との差が小さく、閉塞筒12の肉厚が極端に小さくなる場合には、シリンダ筒挿通穴11を拡径すべきであるが、通常両者の差は3mm(ミリメートル)以上あるので、シリンダ筒挿通穴11の拡径の必要はない。
【0020】
また、閉塞筒12の長さ、すなわち図4及び図5において左右方向の寸法は、例えば閉塞筒のフランジ12aが扉4の外面に接触するとき、その内端が錠箱3の側板外面に接触するか、或いは図4に示すように閉塞筒の内端が僅かの隙間を介して錠箱3に対向するように設定する。
【0021】
更にまた、閉塞筒12には抜け止めが施されていて、一旦装着されたら外側に抜き出すことができないような構造となっている。
【0022】
図示の実施例では、例えば図5に示すように、閉塞筒12の円筒部の2個所が外側に切り起こされて抜け止め片12bが形成され、図4に示すようにこの閉塞筒12が扉外面に装着されたとき、フランジ12aと抜け止め片12bとで扉4の外面を挟むように構成されている。
【0023】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による閉塞装置は、新築の家或いはマンションの扉にシリンダ錠を装着する前に扉外面に装着する。
【0024】
ちなみに、図1に示すようにシリンダ筒2を介してシリンダ錠を扉に装着するときには、先ずアルミサッシの扉の自由側端縁から錠箱を扉内に埋設し、その後図5に示す閉塞筒12を図4に示すように装着する。
【0025】
このとき、閉塞筒12の図5における右端をシリンダ筒挿通穴11に整合させた状態で錠箱方向に押し込むと、閉塞筒の上記抜け止め片12bがシリンダ筒挿通穴11の開口端縁によって閉塞筒中心軸線方向に弾性変形する方向に力を受けるが、抜け止め片12bがシリンダ筒挿通穴11を潜り抜けると復元してその自由端が外方に拡開し、図4に示すようにシリンダ筒挿通穴11の開口端縁の外方に位置するようになるので、確実な抜け止となる。
【0026】
しかる後、化粧リング5と一体のシリンダ筒2の取付ブロック10を閉塞筒12の内筒部を挿通させて錠箱3内に挿入し、前記したように扉4の自由側端縁から装着杆6、6を差込んでシリンダ筒2を固定し、最後にフロント板(図示せず)を装着する。
【0027】
一方、既設の扉にこの発明による閉塞装置を装着するときには、扉の自由側端縁からフロント板を外して、上記した操作とは逆に先ず装着杆6、6を抜いて化粧リング5と一体のシリンダ筒2を取り外し、しかる後前記した取付作業を行う。
【0028】
ちなみに、図2に示すように捩じ込みによりシリンダ筒2を扉に装着するときには、先ずアルミサッシの扉の自由側端縁から錠箱を扉内に埋設し、その後閉塞筒12をシリンダ筒挿通穴11に差し込む。
【0029】
しかる後、化粧リング5と一体のシリンダ筒2の内端雄ねじ部を閉塞筒12の内筒部を挿通させて錠箱3の側板部に螺入し、所定の角度位置で扉の自由側端縁から図示しないセットビスによりシリンダ筒を固定する(図示せず)。
【0030】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による閉塞装置は、図4から明らかなように、化粧リング5の可動部を扉外面から持上げてその隙間及びシリンダ筒挿通穴から前記特殊な形状の針金を挿入しようとしても、結局閉塞筒12の筒部によってその挿入を阻止されるので、錠箱3にビス溝7或いはビス孔8が開口していても前記した不正解錠を完全に防止することができる。
【0031】
図6はこの発明の他の実施例を示し、この実施例は、閉塞筒12の外端開口に形成されたフランジ12a(図5参照)を廃し、その代わりに外端部を少し延長して化粧リング5の内部空間にまで延伸させたものである。
【0032】
図6に示す実施例による閉塞装置は、化粧リング5の可動部を持上げて特殊な形状の針金を錠箱のねじ溝まで届かせようとしても、化粧リング5と扉外面との隙間から差し入れた針金をUターンさせなければ閉塞筒12の内筒部に進入させることができないので、図4に示すものよりも不正解錠が困難である。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、閉塞筒をシリンダ筒挿通穴に嵌合させ、更にこの閉塞筒に抜け止めを施したので、シリンダ筒挿通穴を閉塞することができ、シリンダ筒挿通穴から針金を差込んでの不正解錠を完全に防止することができる、という所期の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリンダ筒の取付の一例を示す線図的断面図。
【図2】シリンダ筒の取付の他の例を示す線図的断面図。
【図3】錠箱の構造の一例を示す一部側面図。
【図4】この発明の一実施例による閉塞装置の線図的断面図。
【図5】閉塞筒の構造の一例を示す拡大一部断面側面図。
【図6】この発明の他の実施例による閉塞装置の線図的断面図。
【符号の説明】
1 シリンダ錠
2 シリンダ筒
3 錠箱
4 扉
5 化粧リング
6 装着杆
7 ビス溝
8 ビス孔
9 デッドカム
10 取付ブロック
11 シリンダ筒挿通穴
12 閉塞筒
60 雄ねじ部

Claims (1)

  1. シリンダ錠を担持したカップ状のシリンダ筒を、開口端を内側にして扉外面に開口したシリンダ筒挿通穴に挿通し、錠箱の側板を貫通するようにして錠箱に固定し、その突出部分を化粧リングで覆ったものにおいて、上記シリンダ筒挿通穴に嵌合可能な薄肉短円筒体である閉塞筒を、内端を錠箱に向けてシリンダ筒挿通穴に嵌合させ、その内端を錠箱に近接させることにより、シリンダ筒挿通穴を通り、錠箱側板に沿っての針金の挿入経路を閉塞すると共に、この閉塞筒に抜け止めを施し、以て、化粧リングの可動部を扉外面から持上げ、シリンダ筒挿通穴から針金を通しての不正解錠を防止するようにしたことを特徴とする扉のシリンダ筒挿通穴閉塞装置。
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