JP4388245B2 - バイオマスガス化炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオマスを有効利用してクリーンで高効率なガス化を行うことができるバイオマスガス化炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にバイオマスとは、エネルギー源又は工業原料として利用することのできる生物体(例えば農業生産物又は副産物、木材、植物等)をいい、太陽エネルギー、空気、水、土壌等の作用により生成されるので、無限に再生可能である。
【0003】
上記バイオマスを利用することで燃料及びメタノール等の製造が可能となる。また、廃棄物としてのバイオマスを処理できるので、環境の浄化にも役立つと共に、新規に生産されるバイオマスも光合成によりCO2の固定により生育されるので、大気のCO2を増加させない。
【0004】
従来のバイオマスをアルコールに転換する方法としては、例えば発酵法や水熱分解法等が提案されているが、前者の発酵法は、糖分とでんぷん質しか原料とならず、発酵時間がかかるので大型で大容量の発酵タンクを設置する必要があると共に、後者の水熱分解法では高温・高圧・低収率、という問題がある。また、共に供給したバイオマスの残渣物が多く発生し、バイオマスの利用率が低いという問題もある。
【0005】
一方、バイオマスをガス化する場合においては、例えば固定床或いは流動床等のガス化炉等を用いるようにしていたが、バイオマスの粒子の表面のみが反応し、内部まで均一に反応しないことにより、タールが発生し、生成したガス化ガスは、H2,COが少ないため、効率的なメタノール合成の原料とならない、という問題がある。
【0006】
また、上記発生したタールが炉内へ付着すると共に、後流側に設置する機器等への付着等が起こり、運転に不具合を来す、という問題がある。
【0007】
そこで、従来においては、酸素を多量に供給することで高温で燃焼することとしたが、この場合部分的に1200℃を超える高温域が形成され、ガスにならずに、バイオマス自身が酸素不足の状態で燃焼し、スート化してしまうという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題に鑑み、クリーンで高効率なガス化を行い、バイオマスの完全ガス化を図ることができるバイオマスガス化炉を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する第1の発明は、鉛直方向一方側から他方側へ向って内部でガスを流通させると共に内部の前記一方側に高温反応場が形成されて内部の前記一方側と前記他方側との間にガス化反応場が形成されるガス化炉本体と、前記ガス化炉本体の内部の前記高温反応場へバイオマスを供給するバイオマス供給手段と、前記ガス化炉本体の内部の前記高温反応場へ酸素を供給する燃焼酸化剤供給手段と、前記ガス化炉本体の内部へ水蒸気を供給する水蒸気供給手段とを備えているバイオマスガス化炉において、前記水蒸気供給手段が、前記ガス化炉本体の内部の前記高温反応場と前記ガス化反応場とへそれぞれ別々に水蒸気を供給するものであることを特徴とするバイオマスガス化炉である。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記水蒸気供給手段が、前記ガス化炉本体の前記ガス化反応場へ供給する前記水蒸気の量の割合を20〜60%とするように、当該ガス化炉本体の当該ガス化反応場と前記高温反応場とへそれぞれ別々に前記水蒸気を供給するものであることを特徴とするバイオマスガス化炉である。
【0011】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記水蒸気供給手段が、前記ガス化炉本体の周方向及びガスの流通方向の少なくとも一方に沿って複数箇所から前記水蒸気を供給するものであることを特徴とするバイオマスガス化炉である。
【0012】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一の発明において、前記バイオマス供給手段が、前記ガス化炉本体の内部の前記ガス化反応場へもバイオマスを供給するものであることを特徴とするバイオマスガス化炉である。
【0013】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一の発明において、前記ガス化炉本体が、前記高温反応場と前記ガス化反応場とを区分けするようにくびれ部を有していることを特徴とするバイオマスガス化炉である。
【0014】
第6の発明は、第1乃至5のいずれか一の発明において、前記ガス化炉本体の前記一方側が下方側であることを特徴とするバイオマスガス化炉である。
【0015】
第7の発明は、第1乃至6のいずれか一の発明において、前記バイオマスの平均粒径(D)が0.05mm≦D≦5mmの粉砕物であることを特徴とするバイオマスガス化炉である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を図1を用いて説明する。図1は本実施の形態にかかるバイオマスガス化炉の概略図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態にかかるバイオマスガス化炉10は、バイオマス13を原料とし、酸素と蒸気をガス化剤とする部分酸化ガス化反応により生成ガス24を得るものであって、耐火材よりなるガス化炉本体11の頂部12に、所定粒径に粉砕したバイオマス13をガス化炉本体11の内部に供給するバイオマス供給手段14と、酸素又は空気15をガス化炉本体11の内部に供給する燃焼酸化剤供給手段16と、水蒸気17をガス化炉本体11の内部に供給する水蒸気供給手段18とを設けてなるものである。
【0019】
本実施の形態では、上記水蒸気供給手段18はガス化炉本体11の頂部12から供給する第1の水蒸気供給手段18Aと、ガス化炉本体11の略中央部分から供給する第2の水蒸気供給手段18Bとから構成されており、バイオマス13を供給する箇所での燃焼反応による高温反応場19Aと、酸化剤が消費され、バイオマス13が熱により分解されるガス化反応場(又は熱分解反応場ともいう)19Bとに別々に水蒸気17を供給するようにしている。
【0020】
また、ガス化炉本体11の下部には、バイオマス13中の灰21の灰溜め部22が形成されている。
【0021】
また、ガス化炉本体11の側壁下部側にはガス排出部23が設けられており、バイオマス13のガス化により生成した生成ガス24を後流側へ送り出している。
【0022】
ここで、ガス化炉本体11内に供給するバイオマス13としては、生産又は廃棄されたバイオマスを必要に応じて粉砕・乾燥したものを供給するのが好ましい。本発明でバイオマスとは、エネルギー源又は工業原料として利用することのできる生物資源(例えば農業生産物又は副産物、木材、植物等)をいい、例えばスイートソルガム,ネピアグラス,スピルリナ等を例示することができる。
【0023】
本発明では、上記バイオマス13の粉砕物の平均粒径(D)は、0.05mm≦D≦5mmとするのが好ましい。これは、平均粒径(D)が0.05mm以下であるとバイオマスの粉砕効率が悪くなり、好ましくないからである。一方、平均粒径(D)が5mmを超えた場合には、バイオマスの内部まで良好に燃焼がなされずに反応が促進せず、高効率のガス化が困難となるからである。
【0024】
ここで、図1に示す実施の形態においては、上記燃焼酸化剤15をガス化炉本体11の頂部12より燃焼酸化剤供給手段16を介して及び同箇所において水蒸気17を第1の水蒸気供給手段18Aを介して供給すると共に、ガス化炉本体11の側面中央部近傍側からも水蒸気17を第2の水蒸気供給手段18Bを介して供給して、ガス化効率を向上させるようにしている。
【0025】
このように水蒸気17の供給を分けたのは、水蒸気の温度は通常に加熱した場合であっても400〜600℃程度であるので、高温反応場19Aに供給した場合には、冷却剤として作用することになり、高温反応場19Aが充分に形成されないことによる。
【0026】
よって、高温反応場19Aが十分に形成された後の酸素量が少ないガス化反応場19Bに供給する場合には、水蒸気17は当該雰囲気に晒されて高温(約900〜1200℃程度)になり、高温となった水蒸気17により、CO+H2O←→CO2+H2というCOシフト反応が右辺側へ進み、H2濃度を向上することができ、後述するメタノール生成原料として好適なCO/H2モル比がほぼ1/2となる組成の生成ガス24を得ることができる。
【0027】
また、ガス化炉本体11内の温度や生成ガス24の組成を調整するために、第1の水蒸気供給手段18Aと第2の水蒸気供給手段18Bとにおける水蒸気17の供給割合が調整可能である。
【0028】
更には、本発明では、バイオマスガス化炉10に供給する水蒸気17を2段階で供給しているが、本発明はこれに限定されず、図2に示すように、後流側のガス化反応場(又は熱分解反応場ともいう)19Bに供給する水蒸気17の供給を複数の供給ノズル等の供給手段を用いて複数箇所から供給するようにしてもよい。また鉛直方向のみならず、周方向においても複数箇所から水蒸気17を供給するようにしてもよい。
【0029】
また、図3に示すように、ガス化炉本体11の頂部12から水蒸気17を全く供給せずに、ガス化炉本体11のガス化反応場19Bにのみ水蒸気17を水蒸気供給手段18により供給するようにしてもよい。
【0030】
ここで、上記燃焼酸化剤15と水蒸気17の合計量との投入割合を、酸素[O2]/炭素[C]のモル比率が0.1≦O2/Cの範囲、好ましくは0.1≦O2/C<1.0の範囲(特に好ましくは0.2≦O2/C<0.5の範囲)とすると共に、水蒸気[H2O]/炭素[C]のモル比率が1≦H2O/Cの範囲(特に好ましくは2≦H2O/C≦6の範囲)とすることで、タール,スートの発生が少ないクリーンなガス化が可能となる。
【0031】
これは、上記範囲とすると水蒸気と酸素の供給により熱分解ガス化が良好となり、生成ガス24中のH2及びCOの量を向上させることができるからである。
【0032】
また、バイオマス13のガス化のために、ガス化炉本体11の内部温度を700〜1200℃のガス化条件とするのが好ましい。これは、ガス化炉本体11の内部温度が700℃未満であると、バイオマス13の熱分解が良好でなく、好ましくなく、一方1200℃を超えた場合には、バイオマス13自身の燃焼によりスートが発生し、好ましくないからである。
【0033】
また、ガス化炉本体11の内部圧力は1〜30気圧とするのが好ましい。これは、メタノール(又はジメチルエーテル)合成に直結する場合には、80気圧近傍が好ましいが、ガス化炉本体11を耐圧構造とする必要があり、製造費用が嵩み好ましくないからである。なお、30気圧程度の場合には、空塔速度が低くなり、装置もコンパクト化でき、好ましい。
【0034】
また、ガス化炉本体11の内部の空塔速度は0.1〜5m/sのガス化条件とするのが好ましい。これは、空塔速度が0.1m/s以下ではガス化炉本体11の内部の滞留時間が長く、燃焼過多となり好ましくなく、一方5m/sを超える場合には、燃焼・熱分解が完全になされずに、良好なガス化ができないからである。
【0035】
本発明のバイオマスガス化炉10によれば、バイオマス13を部分酸化により効率よくガス化し、COシフト反応がH2生成側へ進行し、後述するメタノール合成に必要なH2を多量に含む生成ガス24を得ることができる。
【0036】
得られた上記生成ガス24はガス精製手段により精製した後、ガスタービン用の燃料ガスとして直接利用することが可能である。
【0037】
また、生成ガス24中のH2とCOガスの組成を調整することで、メタノール(又はジメチルエーテル)製造用のガスとして利用することも可能である。
【0038】
[第2の実施の形態]
図4は本発明の第2の実施の形態にかかるガス化炉の概略図である。
本実施の形態では、水蒸気17を供給する第1の水蒸気供給手段18Aはガス化炉本体11の頂部12に設けると共に、第2の水蒸気供給手段18Bはガス化炉本体11の側面に設けてなるものである。そして、第1の水蒸気供給手段18Aからの水蒸気17は高温反応場19A内に供給すると共に、第2の水蒸気供給手段18Bからの水蒸気17はガス化反応場19B内に供給するようにしている。
【0039】
ここで、H2O/C=2.5の場合における第1水蒸気供給手段18Aからの水蒸気17の投入量と第2水蒸気供給手段18Bからの水蒸気17の投入量との割合は、第1水蒸気供給手段18Aからの水蒸気17の投入量を10〜90%とした場合に、第2水蒸気供給手段18Bからの水蒸気17の投入量の割合を90〜10%とすればよい。特に、第2水蒸気供給手段18Bからの水蒸気17の投入量の割合を20〜60%の範囲、特に好適には40〜60%の範囲とすることで、図5に示すように、水素(H2)発生量が上昇すると共に、メタン(CH4)発生量が低下するので好ましい。なお、第2水蒸気供給手段18Bからの水蒸気17の投入量の割合が70%を超えるような場合には、高温反応場19Aの温度が上昇し(約1400℃以上)、熱損失が増大すると共に、炉の製造費用が嵩み、好ましくない。
【0040】
このように、COとH2とからメタノール合成の為には、水素濃度を向上することが必要となるが、第2水蒸気供給手段18Bからの水蒸気17の投入量を所定割合とすることでこれを達成することができる。
【0041】
また、本実施の形態では第2の水蒸気供給手段18Bからの水蒸気17の導入は円周方向の4箇所から接線方向に水蒸気17を流入するようにして、混合効率を向上するようにしている。また第2の水蒸気供給手段18Bからの水蒸気17のガス化炉本体11内への水蒸気17の吹き込みを鉛直軸の下方側から上方側に向かって水蒸気17を吹き上げるように供給するようにして、さらに混合比率を向上させるようにしてもよい。
【0042】
[第3の実施の形態]
以下、得られた生成ガス24をメタノール合成に利用するシステム100について、図6を参照して説明する。
【0043】
図6に示すように、上記バイオマスガス化炉10により生成した生成ガス24を用いてメタノール合成を行うバイオマスのメタノール合成システム100は、バイオマスガス化炉10内において発生した生成ガス24中の煤塵を除去する集塵装置101と、集塵後の生成ガス24を精製する精製装置102と、生成ガス24中のH2とCOガスの組成を調整するCOシフト反応装置104と、生成ガス24の圧力を向上させるブースタ装置105と、生成ガス24中のH2とCOとからメタノール(CH3OH)を製造するメタノール製造装置106と、排ガス107とメタノール108とに分離する気液分離装置109とを具備するものである。
【0044】
バイオマスガス化炉10のガス化炉本体11内に供給されたバイオマス13は、燃焼酸化剤15により部分燃焼され、上述した所定の炉内条件とすることで、メタノール108の生成原料として好適な生成ガス24を得る。ここで発生した生成ガス24は、次いで集塵装置101で除塵された後、COシフト装置104でH2量を増大させ、ブースタ装置105で圧力をメタノール108の合成圧力まで向上させてメタノール合成装置106へ導かれ、ここで、メタノール108が製造される。その後、メタノール108と排ガス107とを分離する。
【0045】
ここで、排ガス107には可燃性ガスであるCH4が残存しているので、再度ガス化炉本体11に供給したり、水蒸気17を予加熱する熱源(燃料)等として、再利用をするようにしてもよい。
【0046】
なお、メタノール108の回収率の向上のためには、余分なCO2はシステム最終段階でアミン系湿式CO2除去装置等のようなCO2を除去するCO2除去装置(脱炭酸装置)110をブースタ装置105の上流側へ設け、余分なCO2を除去するようにしてもよい。
【0047】
この結果、メタノール合成装置106に供給されるメタノール108の原料の生成ガス24は、余分なCO2が除去され、[CO]/[H2]=1/2のモル比率組成とすることができ、メタノール108の合成が効率よく進行し、供給したバイオマス13を効率よくメタノール108に合成することができる。
【0048】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態を図7を用いて説明する。なお、図1に示すガス化炉と同一部材については同符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】
本実施の形態にかかるバイオマスガス化炉30は、ガス化炉本体31の中央部分にくびれ部32を形成してなり、第1室31Aと第2室31Bとに内部を鉛直軸方向で分割し、下部側にバイオマス13を供給するバイオマス供給手段14と酸化剤15を供給する燃焼酸化剤供給手段16と水蒸気17を供給する水蒸気供給手段18が設けられている。また、本実施の形態においても水蒸気17は第1室31A内のみならず、第2室31B内にも第2の水蒸気供給手段18Bより水蒸気17を供給するようにしている。
【0050】
このように水蒸気17の供給を分けたのは、水蒸気の温度は通常に加熱した場合であっても400〜600℃程度であるので、高温反応場19Aに供給した場合には、冷却剤として作用することになり、酸化、熱分解反応が不十分となることによる。よって、高温反応場19Aが十分に形成された後の酸素量が少ないガス化反応場(熱分解反応場)19Bに供給する場合には、水蒸気17が当該雰囲気に晒されて高温(約900〜1200℃程度)になり、CO+H2O←→CO2+H2というCOシフト反応が右辺側へ進み、H2濃度を向上することができ、メタノール108の生成原料として好適なCO/H2モル比がほぼ1/2となる組成の生成ガス24を得ることができる。
【0051】
バイオマス13の供給方法は本実施の形態のように、下方側から供給するものに限定されるものではない。なお、本実施の形態のように生成ガス24の流れを上向きとすることで、高温ガスは上方へ流れるのでガス化炉本体11内のガス流れは均一になり、ガス化反応が効率よく進行するので、好ましい。
【0052】
また、図1乃至図3に示す第1の実施の形態にかかるバイオマス13を上方から供給するバイオマスガス化炉10においても、本実施の形態のようにガス化炉本体11にくびれ部を形成するようにして、高温反応場19Aとガス化反応場19Bとを明確化させるようにしてもよい。
【0053】
また、図8に示すように、くびれ部32を有するガス化炉本体31の第1室31Aには水蒸気17を供給せずに、第2室31B内のガス化反応場19Bのみに、水蒸気供給手段18から水蒸気17を供給するようにしてもよい。
【0054】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態を図9を用いて説明する。図1に示すガス化炉及び図6に示すガス化システムと同一部材については同符号を付して重複する説明は省略する。
【0055】
本実施の形態にかかるバイオマスガス化システム120は、バイオマス13をガス化させるバイオマスガス化炉10と、該ガス化炉10にて生成した生成ガス24中の煤塵等を除去するスクラバ等の集塵装置103と、集塵後の生成ガス24を再度ガス化炉10内で通過させて、再度生成ガス24を加熱する配管121と、加熱後の生成ガス24の圧力を上昇させるブースタ装置105と、例えばアミン系湿式CO2除去装置等のようなCO2を除去するCO2除去装置110と、生成ガス24中のH2とCOとからメタノール(CH3OH)108を製造するメタノール製造装置106と、排ガス107とメタノール108とに分離する気液分離装置109とを具備するものである。
【0056】
本実施の形態によれば、除塵装置103により生成ガス24中の煤塵等を除塵した後に、水蒸気17を供給してガス化炉10内に配設された配管121内を通過させることで、生成ガス24が再度加熱され、CO+H2O←→CO2+H2というCOシフト反応が右辺側へ進み、H2濃度を向上することができる。
【0057】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態を図10を用いて説明する。図9に示すガス化システムと同一部材については同符号を付して重複する説明は省略する。
【0058】
本実施の形態にかかるバイオマスガス化システム130は、上記ガス化炉本体に配設された配管121にスチームリフォーミング手段である触媒装置131を介装してなるものである。上記触媒装置131は、内部にNi系触媒等の改質触媒132を充填等してなるものであり、該触媒132の改質効果により生成ガス24中のCH4等の炭化水素系物質を、水蒸気17及びニッケル触媒存在下のスチームリフォーミングにより、高温(好適には900℃±100℃)で、CO,H2にすることができる。このスチームリフォーミングにより生成されたH2,COは、上述したように、メタノール108の合成の原料となる。
【0059】
この結果、メタノール合成装置106に供給されるメタノール108の原料の生成ガス24は、余分なCO2が除去されると共にH2が豊富なCO/H2のモル比が1/2のガス組成とすることができ、メタノール108の合成効率が向上し、供給したバイオマス13を効率よくメタノール108に合成することができる。
【0060】
第5及び第6の実施の形態では水蒸気17を多段に導入するガス化炉を用いたものではないが、図2、図3及び図4に示すガス化炉を用いても同様に効率よくメタノール108を合成できることはいうまでもない。
【0061】
【発明の効果】
第1の発明は、鉛直方向一方側から他方側へ向って内部でガスを流通させると共に内部の前記一方側に高温反応場が形成されて内部の前記一方側と前記他方側との間にガス化反応場が形成されるガス化炉本体と、前記ガス化炉本体の内部の前記高温反応場へバイオマスを供給するバイオマス供給手段と、前記ガス化炉本体の内部の前記高温反応場へ酸素を供給する燃焼酸化剤供給手段と、前記ガス化炉本体の内部へ水蒸気を供給する水蒸気供給手段とを備えているバイオマスガス化炉において、前記水蒸気供給手段が、前記ガス化炉本体の内部の前記高温反応場と前記ガス化反応場とへそれぞれ別々に水蒸気を供給するものであることから、高温反応場が十分に形成された後の酸素量が少ないガス化反応場に水蒸気が供給されるので、該水蒸気は当該雰囲気に晒されて高温(約900〜1200℃程度)になり、高温となった水蒸気がバイオマスの熱分解反応に寄与し、H 2 濃度を向上することができ、メタノール生成原料として好適なCO/H 2 モル比がほぼ1/2となる生成ガス組成を得ることができる。このため、ガス化効率を向上させることができるので、クリーンで高効率なガス化を行い、バイオマスの完全ガス化を図ることができる。
【0062】
第2の発明は、第1の発明において、前記水蒸気供給手段が、前記ガス化炉本体の前記ガス化反応場へ供給する前記水蒸気の量の割合を20〜60%とするように、当該ガス化炉本体の当該ガス化反応場と前記高温反応場とへそれぞれ別々に前記水蒸気を供給するものであることから、H2発生量を増加させることができる。
【0063】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記水蒸気供給手段が、前記ガス化炉本体の周方向及びガスの流通方向の少なくとも一方に沿って複数箇所から前記水蒸気を供給するものであることから、メタノール合成に好適なガス組成にガス化することができる。
【0064】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一の発明において、前記バイオマス供給手段が、前記ガス化炉本体の内部の前記ガス化反応場へもバイオマスを供給するものであることから、バイオマスを効率的に燃焼及び部分酸化させることができる。
【0065】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一の発明において、前記ガス化炉本体が、前記高温反応場と前記ガス化反応場とを区分けするようにくびれ部を有していることから、高温反応場を分離することができ、高温化により炭化水素等を分解でき、COシフト反応の原料となるCO量を多くし、高濃度H2を得ることができる。
【0066】
第6の発明は、第1乃至5のいずれか一の発明において、前記ガス化炉本体の前記一方側が下方側であるので、バイオマスを効率的にガス化することができる。
【0067】
第7の発明は、第1乃至6のいずれか一の発明において、前記バイオマスの平均粒径(D)が0.05mm≦D≦5mmの粉砕物であるので、バイオマスの燃焼が効率的に行うことができ、高効率のガス生成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態にかかるバイオマスガス化炉の概略図である。
【図2】 第1の実施の形態の他のバイオマスガス化炉の概略図である。
【図3】 第1の実施の形態の他のバイオマスガス化炉の概略図である。
【図4】 第2の実施の形態にかかるバイオマスガス化炉の概略図である。
【図5】 第2の実施の形態にかかるバイオマスガス化炉を用いた水蒸気投入量と水素の発生量及びメタン発生量との関係図である。
【図6】 第3の実施の形態にかかるバイオマスガス化炉を用いたメタノール合成システムの概略図である。
【図7】 第4の実施の形態にかかるバイオマスガス化炉の概略図である。
【図8】 第4の実施の形態の他のバイオマスガス化炉の概略図である。
【図9】 第5の実施の形態にかかるバイオマスガス化炉を用いたメタノール合成システムの概略図である。
【図10】 第6の実施の形態にかかるバイオマスガス化炉を用いたメタノール合成システムの概略図である。
【符号の説明】
10 バイオマスガス化炉
11 ガス化炉本体(炉本体)
12 頂部
13 バイオマス
14 バイオマス供給手段
15 燃焼酸化剤
16 燃焼酸化剤供給手段
17 水蒸気
18 水蒸気供給手段
18A 第1の水蒸気供給手段
18B 第2の水蒸気供給手段
19A 高温反応場
19B ガス化反応場(熱分解反応場)
21 灰
22 灰溜め部
24 生成ガス
100 バイオマスガス化システム
101 集塵装置
102 精製装置
103 スクラバ
104 COシフト反応装置
105 ブースタ装置
106 メタノール製造装置
107 排ガス
108 メタノール
109 気液分離装置
110 脱炭酸装置
120 バイオマスガス化システム
121 配管
131 触媒装置
132 触媒
Claims (7)
- 鉛直方向一方側から他方側へ向って内部でガスを流通させると共に内部の前記一方側に高温反応場が形成されて内部の前記一方側と前記他方側との間にガス化反応場が形成されるガス化炉本体と、
前記ガス化炉本体の内部の前記高温反応場へバイオマスを供給するバイオマス供給手段と、
前記ガス化炉本体の内部の前記高温反応場へ酸素を供給する燃焼酸化剤供給手段と、
前記ガス化炉本体の内部へ水蒸気を供給する水蒸気供給手段と
を備えているバイオマスガス化炉において、
前記水蒸気供給手段が、前記ガス化炉本体の内部の前記高温反応場と前記ガス化反応場とへそれぞれ別々に水蒸気を供給するものである
ことを特徴とするバイオマスガス化炉。 - 請求項1において、
前記水蒸気供給手段が、前記ガス化炉本体の前記ガス化反応場へ供給する前記水蒸気の量の割合を20〜60%とするように、当該ガス化炉本体の当該ガス化反応場と前記高温反応場とへそれぞれ別々に前記水蒸気を供給するものである
ことを特徴とするバイオマスガス化炉。 - 請求項1又は2において、
前記水蒸気供給手段が、前記ガス化炉本体の周方向及びガスの流通方向の少なくとも一方に沿って複数箇所から前記水蒸気を供給するものである
ことを特徴とするバイオマスガス化炉。 - 請求項1乃至3のいずれか一において、
前記バイオマス供給手段が、前記ガス化炉本体の内部の前記ガス化反応場へもバイオマスを供給するものである
ことを特徴とするバイオマスガス化炉。 - 請求項1乃至4のいずれか一において、
前記ガス化炉本体が、前記高温反応場と前記ガス化反応場とを区分けするようにくびれ部を有している
ことを特徴とするバイオマスガス化炉。 - 請求項1乃至5のいずれか一において、
前記ガス化炉本体の前記一方側が下方側である
ことを特徴とするバイオマスガス化炉。 - 請求項1乃至6のいずれか一において、
前記バイオマスの平均粒径(D)が0.05mm≦D≦5mmの粉砕物である
ことを特徴とするバイオマスガス化炉。
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