JP2004292720A - 流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびガス発電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス燃料とするための生成ガス中のタール発生を従来以上に抑制することができる、流動床ガス化炉およびガス燃料製造方法を提供すること。
【解決手段】流動床ガス化炉1は、供給されるガス燃料製造原料を流動ガスおよび流動触媒を用いて熱分解しガス燃料を製造するためのガス化炉であって、該流動触媒は、原料の熱分解を行って熱分解生成ガスを生成するための流動触媒保有部6に備えられたタール分解機能を有する触媒であり、該流動触媒保有部6の後流側かつ生成燃料ガス排出部の前流側には、別の触媒保有部である触媒層12が設けられ、該触媒層12には熱分解生成ガス中に残存するタール分を分解する機能を有する触媒が備えられている構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】流動床ガス化炉1は、供給されるガス燃料製造原料を流動ガスおよび流動触媒を用いて熱分解しガス燃料を製造するためのガス化炉であって、該流動触媒は、原料の熱分解を行って熱分解生成ガスを生成するための流動触媒保有部6に備えられたタール分解機能を有する触媒であり、該流動触媒保有部6の後流側かつ生成燃料ガス排出部の前流側には、別の触媒保有部である触媒層12が設けられ、該触媒層12には熱分解生成ガス中に残存するタール分を分解する機能を有する触媒が備えられている構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびガス発電システムに係り、特に、木質バイオマスを原料としたガス生成過程におけるタールの発生を効果的に抑制するための流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびこれを用いたガス発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、流動床ガス化炉では一般に、発生したタールを流動触媒に吸着して、その流動媒体を燃焼炉に通して、タールを燃焼させて除去する方式が取られていた。たとえば、特開平11−21566公報に開示された「可燃性ガス中のタール分解処理方法」(特許文献1)では、廃棄物を流動層方式のガス化炉においてガス化処理するに際し、生成した可燃性ガス中に含有されているタールを効率的に分解除去するために、生成ガスを熱交換器で所定温度まで昇温させ、タール改質塔において触媒と接触させて、ガス中のタールを炭化水素等に分解する方法が提案されている。
【0003】
また、特開平10−236801公報に開示された「有機性廃棄物の資源化方法及び資源化装置」(特許文献2)では、 有機性廃棄物の焼却によるガス生成において、低温ガス化と高温ガス化を組合せ、低温ガス化には流動層ガス化炉、高温ガス化には溶融炉を用い、ガス化に用いる流動層ガス化炉では流動層部で450〜650℃、フリーボード部で600〜850℃にてガス化し、高温ガス化に用いる溶融炉では、1300℃以上で高温燃焼することにより、チャー、タール分をガス化する方法が提案されている。
【0004】
また、特開平9−111254公報に開示された「有機物のガス化・分解装置」(特許文献3)では、プラスチック、重質油、残渣油などの有機物を部分ガス化し、すす又はタールをほとんど含有しないメタノール合成用の原料ガスを製造するに際し、ガス化炉の後流側にガス分解炉を設け、これにはニッケル含有合金またはニッケルの触媒を内装するとともに、水蒸気供給手段および支燃ガス供給手段を備える構成が提案されている。
【0005】
一方、特開2001−81478号公報に開示された「ガス化炉」(特許文献4)では、低コストで安全で、場所に限定されずにタール分除去性能を有するガス化炉の提供を目的として、廃棄物を熱分解させてガス化させるガス化炉において、ガス化によって発生した熱分解ガスに暴露される部分の一部又は全部の表面に高沸点有機化合物を酸化分解する触媒の層を設ける提案がなされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−21566公報。「可燃性ガス中のタール分解処理方法」。特許請求の範囲、請求項1。図面、図1。要約書。
【特許文献2】
特開平10−236801公報。「有機性廃棄物の資源化方法及び資源化装置」。特許請求の範囲、請求項1〜14。図面、図1。要約書。
【特許文献3】
特開平9−111254公報。「有機物のガス化・分解装置」。特許請求の範囲、請求項1、2。図面、図1。要約書。
【特許文献4】
特開2001−81478号公報。「ガス化炉」。特許請求の範囲、請求項1。要約書。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されたような従来のガス化炉では、ガス化炉の他に燃焼炉を設ける必要があり、プラントの構成が複雑になること、また、バイオマス原料を用いた場合、タール分を燃焼させることでバイオマスのガス生成への転換効率が低下するなどの問題点がある。また、上記特許文献4に開示された技術では、ガス化炉の他に設備を設ける必要はないものの、ガス化炉内部の暴露表面に触媒層を設ける構成であり、熱分解ガスがこれと反応する機会は限定的であり、タール含有量の極めて少ない上質のガス燃料製造を可能とする観点からは、充分なタール発生抑制効果は期待できない。
【0008】
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解決して、ガス燃料とするための生成ガス中のタール発生を従来以上に抑制することができる、流動床ガス化炉およびガス燃料製造方法を提供することである。そして、生成ガス中のタール発生を抑制することによりタール含有量の極めて低いガス燃料製造を可能とし、これを燃料とする発電装置で用いられる原動機の燃料仕様条件を満足することができる、流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびこれを用いたガス発電システムを提供することである。
【0009】
また本発明の課題は、これに加えて、ガス化炉内で生成ガス中のタール分を改質して、発熱量の高い生成ガスを得ることのできる、流動床ガス化炉およびガス燃料製造方法を提供することである。さらに本発明の課題は、プラントの構成の複雑さを排して、プラントの小型化および設備導入ならびに運転コスト低減を図ることのできる、流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびこれを用いたガス発電システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らが上記課題について鋭意検討した結果、ガス化炉内の前流側および後流側にそれぞれタール分発生抑制のための触媒部を設けることによって課題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本願で特許請求される発明は、以下の通りである。
【0011】
(1) 供給されるガス燃料製造原料(以下、単に「原料」ともいう。)を流動ガスおよび流動触媒を用いて熱分解しガス燃料を製造するための流動床ガス化炉であって、該流動触媒は原料の熱分解を行って熱分解生成ガスを生成するための流動触媒保有部に備えられた、タール分解機能を有する触媒であり、該流動触媒保有部の後流側かつ生成燃料ガス排出部(以下、「ガス化炉出口部」ともいう。)の前流側には別の触媒保有部である触媒層が設けられ、該触媒層には熱分解生成ガス中に残存するタール分を分解する機能を有する触媒が備えられていることを特徴とする、流動床ガス化炉。
【0012】
(2) 前記触媒層に備えられる触媒は改質触媒であり、該触媒層(以下、かかる触媒層を特に「改質触媒層」という。)には水蒸気供給ラインにより水蒸気が供給され、これにより該改質触媒層においてはこれに流入する前記熱分解生成ガス中の残存タール分を一酸化炭素および水素に転換することが可能であることを特徴とする、(1)に記載の流動床ガス化炉。
【0013】
(3) 前記改質触媒層に用いられる改質触媒は、金属担持ハニカム触媒であることを特徴とする、(2)に記載の流動床ガス化炉。
【0014】
(4) 前記改質触媒層に用いられる改質触媒は、金属担持アルミナハニカム触媒であることを特徴とする、(2)に記載の流動床ガス化炉。
【0015】
(5) 前記流動触媒保有部に備えられる触媒としては、少なくとも金属担持ゼオライト触媒が含まれていることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0016】
(6) 前記流動触媒保有部に備えられる触媒としては、少なくともニッケル担持ゼオライト触媒が含まれていることを特徴とする、(1)ないし(5)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0017】
(7) 前記流動触媒保有部に備えられる触媒は複数の触媒の集合体であって、該触媒の集合体にはタール分解機能および水素生成機能が備えられていることを特徴とする、(1)ないし(6)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0018】
(8) 前記触媒層の前流側かつ前記流動触媒保有部の後流側に、サイクロン型粒子分離部が設けられていることを特徴とする、(1)ないし(7)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0019】
(9) 前記熱分解生成ガス中の粒子の分離は、ガス化炉内の前記サイクロン型粒子分離部においてのみ行われ、タール分の分解は、ガス化炉内の前記流動触媒保有部および前記触媒層においてのみ行われることを特徴とする、(8)に記載の流動床ガス化炉。
【0020】
(10) 前記流動触媒保有部には、原料の熱分解により生じる灰分を排出するための灰分排出ラインが設けられていることを特徴とする、(8)または(9)に記載の流動床ガス化炉。
【0021】
(11) 前記サイクロン型粒子分離部の前流側に原料の投入口が設けられていることを特徴とする、(8)ないし(10)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0022】
(12) 流動床ガス化炉を用いたガス燃料製造方法であって、供給された原料を該ガス化炉の流動触媒保有部において流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒により、タール生成を抑制しつつ熱分解し熱分解生成ガスを生成する第1過程と、ついで該熱分解生成ガス中の粒子を分離除去するとともに該粒子を再度第1過程に供する第2過程と、ついで改質触媒層において、粒子の除去された熱分解生成ガスを、水蒸気およびタール分解機能を有する改質触媒を用いて、ガス中の残存タール分を一酸化炭素と水素に転換させる第3過程と、を経て、タール含有量の低減されたガス燃料を得ることのできる、ガス燃料製造方法。
【0023】
(13) 前記流動床ガス化炉が(1)ないし(11)のいずれかに記載の流動床ガス化炉を用いたガス燃料製造方法であって、供給された原料を該ガス化炉の流動触媒保有部において流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒により、タール生成を抑制しつつ熱分解し熱分解生成ガスを生成する第1過程と、ついで該熱分解生成ガス中の粒子を分離除去するとともに該粒子を再度第1過程に供する第2過程と、ついで改質触媒層において、粒子の除去された熱分解生成ガスを、水蒸気およびタール分解機能を有する改質触媒を用いて、ガス中の残存タール分を一酸化炭素と水素に転換させる第3過程と、を経て、タール含有量の低減されたガス燃料を得ることのできる、ガス燃料製造方法。
【0024】
(14) 前記第1過程の流動触媒保有部には金属担持ゼオライト触媒が用いられ、前記第3過程の改質触媒層には金属担持ハニカム触媒が用いられることを特徴とする、(12)または(13)に記載のガス燃料製造方法。
【0025】
(15) 前記第1過程の流動触媒保有部にはニッケル担持ゼオライト触媒が用いられ、前記第3過程の改質触媒層には金属担持アルミナハニカム触媒が用いられることを特徴とする、(12)または(13)に記載のガス燃料製造方法。
【0026】
(16) 前記原料が木質バイオマス等のバイオマスであることを特徴とする、(12)ないし(15)のいずれかに記載のガス燃料製造方法。
【0027】
(17) (1)ないし(11)のいずれかに記載の流動床ガス化炉と、流動ガスラインおよび生成ガスラインを介して該流動床ガス化炉に連通して設けられている、発電装置の原動機たるガスタービンと、該ガスタービンに備えられているロータと連結している発電機と、からなるガス発電システム。
【0028】
(18) 前記ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンと、ならびに再生器からなり、該再生器の後流側には排熱を利用して温水を供給するための温水器が設けられていることを特徴とする、(17)に記載のガス発電システム。
【0029】
(19) 用いられる原料が木質バイオマス等のバイオマスであることを特徴とする、(17)または(18)に記載のガス発電システム。
【0030】
つまり本発明は、ガス化炉下部の流動層部に位置する第1段にタールを分解する機能を有する金属担持ゼオライトの流動触媒を配し、ガス化炉上部のフリーボード部に位置する第2段に蒸気改質によるタールの水素と一酸化炭素への転換の機能を有する金属担持ハニカムの改質触媒層を配したガス化炉を提供することにより上記課題を解決したものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の流動床ガス化炉の構成を示す説明図である。図において本発明の流動床ガス化炉1は、前流側から、流動ガスを流動ガス導入ライン2から導入するための流動ガス導入部3、該流動ガス導入部3で導入された流動ガスを流動ガス噴流5とするための分散板4、触媒が設けられ、該流動ガス噴流5により流動触媒の噴流が生じ、供給された原料の熱分解反応が行われる流動触媒保有部6、該流動触媒保有部6の後流側の空間であるフリーボード14、その後流側に設けられた触媒層12、生成ガスを搬送する生成ガスライン16、を基本的に備えてなる。
【0032】
図において本流動床ガス化炉1は、供給されるガス燃料製造原料(以下、単に「原料」ともいう。)を流動ガスおよび流動触媒を用いて熱分解しガス燃料を製造するためのガス化炉であって、該流動触媒は、原料の熱分解を行って熱分解生成ガスを生成するための流動触媒保有部6に備えられたタール分解機能を有する触媒であり、該流動触媒保有部6の後流側かつ生成燃料ガス排出部(以下、「ガス化炉出口部」ともいう。)の前流側には、別の触媒保有部である触媒層12が設けられ、該触媒層12には熱分解生成ガス中に残存するタール分を分解する機能を有する触媒が備えられていることを、主たる構成とする(請求項1)。
【0033】
図において本流動床ガス化炉1は、前記触媒層12に備えられる触媒が改質触媒であり、該触媒層12(以下、同じ符号を用いて、「改質触媒層12」ともいう。)には、これに水蒸気を供給するための水蒸気供給ライン13が設けられ、これにより該改質触媒層12においては、これに流入する前記熱分解生成ガス中の残存タール分を、一酸化炭素および水素に転換可能な機能を有する構成をとる(請求項2)。
【0034】
【作用】
図1において本発明の流動床ガス化炉は上述のように構成されているため、流動ガスは流動ガス導入ライン2から流動ガス導入部3に導入され、該流動ガスは分散板4を通過することにより流動ガス噴流5とされ、これにより流動触媒保有部6に保有されている触媒は流動触媒の噴流となり、一方、該流動触媒保有部6には原料が供給され、該流動触媒保有部6で原料は流動触媒の噴流存在下で熱分解され、その際タール分解機能を有する触媒の作用によりタール分の発生は抑制され、熱分解により生成した熱分解生成ガスはフリーボード14を通ってその後流側に設けられた触媒層12に導入され、該触媒層12には水蒸気供給ライン13から水蒸気が供給され、そこで熱分解生成ガス中に残存するタール分を分解する機能を有する触媒によってガス中に残存するタール分が一酸化炭素(CO))および水素(H2)に転換する転換反応が行われ、このようにして生成した生成ガスはガス化炉1出口部から排出され、生成ガスライン16により搬送される。かかる作用により、供給される原料は流動ガスおよび流動触媒によって熱分解され、ガス燃料(生成ガス)が製造される。
【0035】
図1において、前記改質触媒層12に用いられる改質触媒としては、金属担持ハニカム触媒を用いることができる(請求項3)。また、これは特に、金属担持アルミナハニカム触媒とすることもできる(請求項4)。
【0036】
図において本流動床ガス化炉1では、前記流動触媒保有部6に備えられる触媒としては、少なくとも金属担持ゼオライト触媒が含まれるものとすることができる(請求項5)。また、特に、少なくともニッケル担持ゼオライト触媒が含まれるものとすることができる(請求項6)。
【0037】
図において本流動床ガス化炉1ではまた、前記流動触媒保有部6に備えられる触媒は複数の触媒の集合体であって、該触媒の集合体には全体として、タール分解機能および水素生成機能が備えられているものとすることができる(請求項7)。
【0038】
図1において本流動床ガス化炉1は、前記触媒層12の前流側かつ前記流動触媒保有部6の後流側に、サイクロン型粒子分離部9を設けた構成とすることができる(請求項8)。これにより、前流側で生成した熱分解生成ガス中に触媒粒子などの粒子が存在する場合、該ガスの成分は該サイクロン型粒子分離部9において粒子を含まない粒子分離部通過流れ10と、粒子を含む粒子流れ11に分離され、粒子分離部通過流れ10は後流側の触媒層12へと導入されて残存タール分の転換に供され、一方粒子流れ11は下方(前流側)へ移動して、再度流動触媒保有部6での熱分解反応に供される。かかる構成および作用により、本発明の流動床ガス化炉1では、ガス化炉外に特別サイクロンを設ける必要がない。
【0039】
本発明の流動床ガス化炉1は、上述の構成および作用により、前記熱分解生成ガス中の粒子の分離を、ガス化炉1内の前記サイクロン型粒子分離部9においてのみ行い、一方生成するガス中のタール分の分解は、ガス化炉1内の前記流動触媒保有部6および前記触媒層12においてのみ行うことができる(請求項9)。
【0040】
図1においてまた、本流動床ガス化炉1は、前記流動触媒保有部6には、原料の熱分解により生じる灰分を排出するための灰分排出ライン17を設け(請求項10)、前記サイクロン型粒子分離部9の前流側の該流動触媒保有部6には原料の投入口が設けられる構成をとる(請求項11)。これにより、原料の熱分解により生じる灰分は該灰分排出ライン17により排出される。また原料は、原料供給装置8を備える原料供給ライン7から該流動触媒保有部6に供給される。
【0041】
すなわち図1および上述の説明に示されるように、本発明の流動床ガス化炉1では、ガス化炉1の下部(前流側)に流動ガス導入部3があり、この部位の下部(前流側)には流動ガスライン2が接続され、上部(後流側)には分散板4が配されている。該分散板4の上部(後流側)には流動触媒保有部6が設けられ、この部位に合わせて原料供給装置8が設けられた原料供給ライン7が接続されている。また、該分散板4の上部(後流側)には灰分排出ライン17が接続している。該流動触媒保有部6の上部(後流側)の空間はフリーボード14で、その上部(後流側)にはサイクロン型粒子分離部9、続いて改質触媒層12が設けられる。これらサイクロン型粒子分離部9と改質触媒層12との間には水蒸気供給ライン13が接続し、ガス化炉1の最上部(後流側)には生成ガスライン16が接続している。
【0042】
したがってかかる構成により、流動ガスライン2から供給された空気などの流動ガスはガス化炉1の流動ガス導入部3に導かれて、分散板4を通って流動ガス噴流5として流動触媒保有部6に噴き出されて流動触媒を形成、これを噴流する。このとき、原料供給ライン7から原料供給装置8によって原料がガス化炉内に供給され、流動触媒保有部6に入って、たとえばニッケル担持ゼオライトなどのタール分分解機能を有する流動触媒と混合しながら噴流される。この部位(流動触媒保有部6)で原料は空気などの流動ガスと反応して熱分解し、発熱反応により700℃程度の温度状態になり、炭酸ガス(CO2)、一酸化炭素(CO)、水素(H2)、およびメタンガス(CH4)を発生し、タール分の発生は流動触媒の作用によって抑制される。
【0043】
これら前記流動触媒保有部6における熱分解により生成したガスは、サイクロン型粒子分離部9に導かれて旋回流れを形成し、触媒粒子等を含まない粒子分離部通過流れ10と、粒子を含む粒子流れ11とに分離される。粒子分離部通過流れ10は、たとえば金属担持アルミナハニカムなどの改質触媒が設けられた改質触媒層12に向い、一方粒子流れ11は下方(前流側)に向かって流れる。そのため、触媒粒子等は再度、流動触媒と原料が混合して噴流する流動触媒保有部6に混入し、原料の熱分解反応に供される。
【0044】
このとき、前記流動触媒保有部6において熱分解反応で生成した灰分は、灰分排出ライン17から炉外に排出される。前記サイクロン型粒子分離部9を出た熱分解生成ガスは、前記改質触媒層12に向い、この層を通過する間に、水蒸気供給ライン13から供給された水蒸気と、設けられた改質触媒の触媒作用によって、ガス体に残存するタール分が改質されて一酸化炭素(CO)と水素(H2)に転換する。該改質触媒層12を出た生成ガス15は、燃料ガスとして生成ガスライン16に導かれる。
【0045】
図2は、本発明のガス燃料製造方法の構成を示すフロー図である。つまり、上述の流動床ガス化炉を用いてガス燃料を製造する方法の概要は、図のフローにまとめることができる。すなわち本製造方法は、供給された原料を該ガス化炉(1。以下、図1で用いた符号を()内に示す。)の流動触媒保有部(6)において流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒により、タール生成を抑制しつつ熱分解し熱分解生成ガスを生成する第1過程P1と、ついで該熱分解生成ガス中の粒子を分離除去するとともに該粒子を再度第1過程に供する第2過程P2と、ついで改質触媒層(12)において、粒子の除去された熱分解生成ガス(10)を、水蒸気、およびタール分解機能を有する改質触媒を用いて、ガス中の残存タール分を一酸化炭素と水素に転換させる第3過程P3と、から構成され、これらの過程を順に経ることによって、タール含有量の低減されたガス燃料を得ることができる(請求項12)。
【0046】
図2のガス燃料製造方法は、上述した本発明に係る前記流動床ガス化炉1を用いて、これを行うことができる(請求項13)。
【0047】
図において本製造方法では、第1過程P1において、供給された原料は、前記ガス化炉(1)の流動触媒保有部(6)で流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒によってタール生成を抑制しつつ熱分解されて熱分解生成ガスが生成され、ついで第2過程P2において、該熱分解生成ガス中の粒子が分離除去されるとともに該粒子が再度第1過程に供され、ついで第3過程P3において、粒子の除去された熱分解生成ガス(10)が改質触媒層(12)で水蒸気およびタール分解機能を有する改質触媒によってガス中の残存タール分が一酸化炭素と水素に転換させられ、このようにして、タール含有量の低減されたガス燃料が製造される。
【0048】
図の製造方法において、前記第1過程P1の流動触媒保有部には金属担持ゼオライト触媒を用い、前記第3過程P3の改質触媒層には金属担持ハニカム触媒を用いることができる(請求項14)。また特に、前記第1過程P1の流動触媒保有部としてニッケル担持ゼオライト触媒を用い、前記第3過程P3の改質触媒層として金属担持アルミナハニカム触媒を用いることができる(請求項15)。また、前記原料としては、木質バイオマス等のバイオマスを用いることができる(請求項16)。
【0049】
図3は、本発明のガス発電システムの構成を示す説明図である。図において本システム100は、上述したいずれかの流動床ガス化炉1と、流動ガスライン2および生成ガスライン16を介して該流動床ガス化炉1に連通して設けられている、発電装置の原動機たるガスタービン30と、該ガスタービン30に備えられているロータと連結している発電機23と、からから主として構成される(請求項17)。
【0050】
図3で、本ガス発電システム100においては、前記ガスタービン30は圧縮機26と、燃焼器18と、タービン19と、ならびに再生器20からなり、該再生器20の後流側には排熱を利用して温水を供給するための温水器21が設けられる構成とすることができる(請求項18)。また、原料として木質バイオマス等のバイオマスを用いたシステムとすることができる(請求項19)。
【0051】
【作用】
図において本発明のガス発電システム100は上述のように構成されているため、ガスタービンの圧縮機26では吸気ダクト24を通して大気から空気が吸い込まれ、この空気が圧縮されて該圧縮機26から吐出される。吐出された空気の一部は、再生器20との間の空気ライン25を通って再生器に送られ、残りの空気は流動ガスライン2を通って、流動床ガス化炉1に送られる。
【0052】
前記流動床ガス化炉1において生成された生成ガス15は、生成ガスライン16を通ってガスタービンの前記燃焼器18に燃料ガスとして供給され、前記再生器20で高温状態となって送られた空気を酸化剤として燃焼し、高温ガスが発生する。この高温ガスは前記タービン19に導かれて、膨張仕事により出力を発生する。この出力は、前記圧縮機26の駆動動力を差し引いた出力でもって前記発電機23を回転させて、電気出力に変換される。
【0053】
前記タービン19出口の排ガス22は、前記再生器20を通って空気を昇温させた後、その後流側に設けられた前記温水器21を通って水を昇温させ、温水27を供給する。該温水器21を出た排ガス22は、大気に放出される。すなわち以上の作用により、本システム100を構成する流動床ガス化炉1において生成された生成ガスを燃料として、ガスタービン30で発電機23を回転させるための出力が発生、発電機23が運転されて発電がなされる。
【0054】
また、本システム100の圧縮機26で発生した圧縮空気の一部は、システム100を構成する流動床ガス化炉1の流動層ガスとして供給され、再生器20で発生した高温空気は同じくシステム100内の燃焼器18に供給され、また該再生器20を通過した排ガス22は、温水器27による温水供給に利用される。
【0055】
【発明の効果】
本発明の流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびこれを用いたガス発電システムは上述のように構成されるため、以下のような効果を得ることができる。
1.本発明の流動床ガス化炉およびガス燃料製造方法により、タールを含有する割合を極めて低く抑えたガス燃料を供給することが可能となり、発電装置で用いられる原動機の燃料仕様条件を満足する燃料を得ることができる。
2.また、従来はガス化炉出口ラインに設けられていたサイクロンが不要となり、プラントの小型化とコスト低減に寄与できる。
3.また同じく、従来はガス化炉出口ラインに設けられていたタール除去装置が不要となり、プラントの小型化とコスト低減に寄与できる。
4.また、ガス化炉内でタール分を水素と一酸化炭素に分解するため、生成ガスの発熱量を高くすることができる。
5.このような流動床ガス化炉を用いたガス発電システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流動床ガス化炉の構成を示す説明図である。
【図2】本発明のガス燃料製造方法の構成を示すフロー図である。
【図3】本発明のガス発電システムの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ガス化炉、 2…流動ガスライン、 3…流動ガス導入部、 4…分散板、5…流動ガス噴流、 6…流動触媒保有部、 7…原料供給ライン、 8…原料供給装置、 9…サイクロン型粒子分離部、 10…粒子分離部通過ガス、 11…粒子流れ、 12…改質触媒層、 13…水蒸気供給ライン、 14…フリーボード、 15…生成ガス、 16…生成ガスライン、 17…灰分排出ライン、 18…燃焼器、 19…タービン、 20…再生器、 21…温水器、22…排ガス、 23…発電機、 24…吸気ダクト、 25…空気ライン、26…圧縮機、 27…温水、 30…ガスタービン、 P1…第1過程、 P2…第2過程、 P3…第3過程
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびガス発電システムに係り、特に、木質バイオマスを原料としたガス生成過程におけるタールの発生を効果的に抑制するための流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびこれを用いたガス発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、流動床ガス化炉では一般に、発生したタールを流動触媒に吸着して、その流動媒体を燃焼炉に通して、タールを燃焼させて除去する方式が取られていた。たとえば、特開平11−21566公報に開示された「可燃性ガス中のタール分解処理方法」(特許文献1)では、廃棄物を流動層方式のガス化炉においてガス化処理するに際し、生成した可燃性ガス中に含有されているタールを効率的に分解除去するために、生成ガスを熱交換器で所定温度まで昇温させ、タール改質塔において触媒と接触させて、ガス中のタールを炭化水素等に分解する方法が提案されている。
【0003】
また、特開平10−236801公報に開示された「有機性廃棄物の資源化方法及び資源化装置」(特許文献2)では、 有機性廃棄物の焼却によるガス生成において、低温ガス化と高温ガス化を組合せ、低温ガス化には流動層ガス化炉、高温ガス化には溶融炉を用い、ガス化に用いる流動層ガス化炉では流動層部で450〜650℃、フリーボード部で600〜850℃にてガス化し、高温ガス化に用いる溶融炉では、1300℃以上で高温燃焼することにより、チャー、タール分をガス化する方法が提案されている。
【0004】
また、特開平9−111254公報に開示された「有機物のガス化・分解装置」(特許文献3)では、プラスチック、重質油、残渣油などの有機物を部分ガス化し、すす又はタールをほとんど含有しないメタノール合成用の原料ガスを製造するに際し、ガス化炉の後流側にガス分解炉を設け、これにはニッケル含有合金またはニッケルの触媒を内装するとともに、水蒸気供給手段および支燃ガス供給手段を備える構成が提案されている。
【0005】
一方、特開2001−81478号公報に開示された「ガス化炉」(特許文献4)では、低コストで安全で、場所に限定されずにタール分除去性能を有するガス化炉の提供を目的として、廃棄物を熱分解させてガス化させるガス化炉において、ガス化によって発生した熱分解ガスに暴露される部分の一部又は全部の表面に高沸点有機化合物を酸化分解する触媒の層を設ける提案がなされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−21566公報。「可燃性ガス中のタール分解処理方法」。特許請求の範囲、請求項1。図面、図1。要約書。
【特許文献2】
特開平10−236801公報。「有機性廃棄物の資源化方法及び資源化装置」。特許請求の範囲、請求項1〜14。図面、図1。要約書。
【特許文献3】
特開平9−111254公報。「有機物のガス化・分解装置」。特許請求の範囲、請求項1、2。図面、図1。要約書。
【特許文献4】
特開2001−81478号公報。「ガス化炉」。特許請求の範囲、請求項1。要約書。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されたような従来のガス化炉では、ガス化炉の他に燃焼炉を設ける必要があり、プラントの構成が複雑になること、また、バイオマス原料を用いた場合、タール分を燃焼させることでバイオマスのガス生成への転換効率が低下するなどの問題点がある。また、上記特許文献4に開示された技術では、ガス化炉の他に設備を設ける必要はないものの、ガス化炉内部の暴露表面に触媒層を設ける構成であり、熱分解ガスがこれと反応する機会は限定的であり、タール含有量の極めて少ない上質のガス燃料製造を可能とする観点からは、充分なタール発生抑制効果は期待できない。
【0008】
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解決して、ガス燃料とするための生成ガス中のタール発生を従来以上に抑制することができる、流動床ガス化炉およびガス燃料製造方法を提供することである。そして、生成ガス中のタール発生を抑制することによりタール含有量の極めて低いガス燃料製造を可能とし、これを燃料とする発電装置で用いられる原動機の燃料仕様条件を満足することができる、流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびこれを用いたガス発電システムを提供することである。
【0009】
また本発明の課題は、これに加えて、ガス化炉内で生成ガス中のタール分を改質して、発熱量の高い生成ガスを得ることのできる、流動床ガス化炉およびガス燃料製造方法を提供することである。さらに本発明の課題は、プラントの構成の複雑さを排して、プラントの小型化および設備導入ならびに運転コスト低減を図ることのできる、流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびこれを用いたガス発電システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らが上記課題について鋭意検討した結果、ガス化炉内の前流側および後流側にそれぞれタール分発生抑制のための触媒部を設けることによって課題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本願で特許請求される発明は、以下の通りである。
【0011】
(1) 供給されるガス燃料製造原料(以下、単に「原料」ともいう。)を流動ガスおよび流動触媒を用いて熱分解しガス燃料を製造するための流動床ガス化炉であって、該流動触媒は原料の熱分解を行って熱分解生成ガスを生成するための流動触媒保有部に備えられた、タール分解機能を有する触媒であり、該流動触媒保有部の後流側かつ生成燃料ガス排出部(以下、「ガス化炉出口部」ともいう。)の前流側には別の触媒保有部である触媒層が設けられ、該触媒層には熱分解生成ガス中に残存するタール分を分解する機能を有する触媒が備えられていることを特徴とする、流動床ガス化炉。
【0012】
(2) 前記触媒層に備えられる触媒は改質触媒であり、該触媒層(以下、かかる触媒層を特に「改質触媒層」という。)には水蒸気供給ラインにより水蒸気が供給され、これにより該改質触媒層においてはこれに流入する前記熱分解生成ガス中の残存タール分を一酸化炭素および水素に転換することが可能であることを特徴とする、(1)に記載の流動床ガス化炉。
【0013】
(3) 前記改質触媒層に用いられる改質触媒は、金属担持ハニカム触媒であることを特徴とする、(2)に記載の流動床ガス化炉。
【0014】
(4) 前記改質触媒層に用いられる改質触媒は、金属担持アルミナハニカム触媒であることを特徴とする、(2)に記載の流動床ガス化炉。
【0015】
(5) 前記流動触媒保有部に備えられる触媒としては、少なくとも金属担持ゼオライト触媒が含まれていることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0016】
(6) 前記流動触媒保有部に備えられる触媒としては、少なくともニッケル担持ゼオライト触媒が含まれていることを特徴とする、(1)ないし(5)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0017】
(7) 前記流動触媒保有部に備えられる触媒は複数の触媒の集合体であって、該触媒の集合体にはタール分解機能および水素生成機能が備えられていることを特徴とする、(1)ないし(6)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0018】
(8) 前記触媒層の前流側かつ前記流動触媒保有部の後流側に、サイクロン型粒子分離部が設けられていることを特徴とする、(1)ないし(7)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0019】
(9) 前記熱分解生成ガス中の粒子の分離は、ガス化炉内の前記サイクロン型粒子分離部においてのみ行われ、タール分の分解は、ガス化炉内の前記流動触媒保有部および前記触媒層においてのみ行われることを特徴とする、(8)に記載の流動床ガス化炉。
【0020】
(10) 前記流動触媒保有部には、原料の熱分解により生じる灰分を排出するための灰分排出ラインが設けられていることを特徴とする、(8)または(9)に記載の流動床ガス化炉。
【0021】
(11) 前記サイクロン型粒子分離部の前流側に原料の投入口が設けられていることを特徴とする、(8)ないし(10)のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
【0022】
(12) 流動床ガス化炉を用いたガス燃料製造方法であって、供給された原料を該ガス化炉の流動触媒保有部において流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒により、タール生成を抑制しつつ熱分解し熱分解生成ガスを生成する第1過程と、ついで該熱分解生成ガス中の粒子を分離除去するとともに該粒子を再度第1過程に供する第2過程と、ついで改質触媒層において、粒子の除去された熱分解生成ガスを、水蒸気およびタール分解機能を有する改質触媒を用いて、ガス中の残存タール分を一酸化炭素と水素に転換させる第3過程と、を経て、タール含有量の低減されたガス燃料を得ることのできる、ガス燃料製造方法。
【0023】
(13) 前記流動床ガス化炉が(1)ないし(11)のいずれかに記載の流動床ガス化炉を用いたガス燃料製造方法であって、供給された原料を該ガス化炉の流動触媒保有部において流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒により、タール生成を抑制しつつ熱分解し熱分解生成ガスを生成する第1過程と、ついで該熱分解生成ガス中の粒子を分離除去するとともに該粒子を再度第1過程に供する第2過程と、ついで改質触媒層において、粒子の除去された熱分解生成ガスを、水蒸気およびタール分解機能を有する改質触媒を用いて、ガス中の残存タール分を一酸化炭素と水素に転換させる第3過程と、を経て、タール含有量の低減されたガス燃料を得ることのできる、ガス燃料製造方法。
【0024】
(14) 前記第1過程の流動触媒保有部には金属担持ゼオライト触媒が用いられ、前記第3過程の改質触媒層には金属担持ハニカム触媒が用いられることを特徴とする、(12)または(13)に記載のガス燃料製造方法。
【0025】
(15) 前記第1過程の流動触媒保有部にはニッケル担持ゼオライト触媒が用いられ、前記第3過程の改質触媒層には金属担持アルミナハニカム触媒が用いられることを特徴とする、(12)または(13)に記載のガス燃料製造方法。
【0026】
(16) 前記原料が木質バイオマス等のバイオマスであることを特徴とする、(12)ないし(15)のいずれかに記載のガス燃料製造方法。
【0027】
(17) (1)ないし(11)のいずれかに記載の流動床ガス化炉と、流動ガスラインおよび生成ガスラインを介して該流動床ガス化炉に連通して設けられている、発電装置の原動機たるガスタービンと、該ガスタービンに備えられているロータと連結している発電機と、からなるガス発電システム。
【0028】
(18) 前記ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンと、ならびに再生器からなり、該再生器の後流側には排熱を利用して温水を供給するための温水器が設けられていることを特徴とする、(17)に記載のガス発電システム。
【0029】
(19) 用いられる原料が木質バイオマス等のバイオマスであることを特徴とする、(17)または(18)に記載のガス発電システム。
【0030】
つまり本発明は、ガス化炉下部の流動層部に位置する第1段にタールを分解する機能を有する金属担持ゼオライトの流動触媒を配し、ガス化炉上部のフリーボード部に位置する第2段に蒸気改質によるタールの水素と一酸化炭素への転換の機能を有する金属担持ハニカムの改質触媒層を配したガス化炉を提供することにより上記課題を解決したものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の流動床ガス化炉の構成を示す説明図である。図において本発明の流動床ガス化炉1は、前流側から、流動ガスを流動ガス導入ライン2から導入するための流動ガス導入部3、該流動ガス導入部3で導入された流動ガスを流動ガス噴流5とするための分散板4、触媒が設けられ、該流動ガス噴流5により流動触媒の噴流が生じ、供給された原料の熱分解反応が行われる流動触媒保有部6、該流動触媒保有部6の後流側の空間であるフリーボード14、その後流側に設けられた触媒層12、生成ガスを搬送する生成ガスライン16、を基本的に備えてなる。
【0032】
図において本流動床ガス化炉1は、供給されるガス燃料製造原料(以下、単に「原料」ともいう。)を流動ガスおよび流動触媒を用いて熱分解しガス燃料を製造するためのガス化炉であって、該流動触媒は、原料の熱分解を行って熱分解生成ガスを生成するための流動触媒保有部6に備えられたタール分解機能を有する触媒であり、該流動触媒保有部6の後流側かつ生成燃料ガス排出部(以下、「ガス化炉出口部」ともいう。)の前流側には、別の触媒保有部である触媒層12が設けられ、該触媒層12には熱分解生成ガス中に残存するタール分を分解する機能を有する触媒が備えられていることを、主たる構成とする(請求項1)。
【0033】
図において本流動床ガス化炉1は、前記触媒層12に備えられる触媒が改質触媒であり、該触媒層12(以下、同じ符号を用いて、「改質触媒層12」ともいう。)には、これに水蒸気を供給するための水蒸気供給ライン13が設けられ、これにより該改質触媒層12においては、これに流入する前記熱分解生成ガス中の残存タール分を、一酸化炭素および水素に転換可能な機能を有する構成をとる(請求項2)。
【0034】
【作用】
図1において本発明の流動床ガス化炉は上述のように構成されているため、流動ガスは流動ガス導入ライン2から流動ガス導入部3に導入され、該流動ガスは分散板4を通過することにより流動ガス噴流5とされ、これにより流動触媒保有部6に保有されている触媒は流動触媒の噴流となり、一方、該流動触媒保有部6には原料が供給され、該流動触媒保有部6で原料は流動触媒の噴流存在下で熱分解され、その際タール分解機能を有する触媒の作用によりタール分の発生は抑制され、熱分解により生成した熱分解生成ガスはフリーボード14を通ってその後流側に設けられた触媒層12に導入され、該触媒層12には水蒸気供給ライン13から水蒸気が供給され、そこで熱分解生成ガス中に残存するタール分を分解する機能を有する触媒によってガス中に残存するタール分が一酸化炭素(CO))および水素(H2)に転換する転換反応が行われ、このようにして生成した生成ガスはガス化炉1出口部から排出され、生成ガスライン16により搬送される。かかる作用により、供給される原料は流動ガスおよび流動触媒によって熱分解され、ガス燃料(生成ガス)が製造される。
【0035】
図1において、前記改質触媒層12に用いられる改質触媒としては、金属担持ハニカム触媒を用いることができる(請求項3)。また、これは特に、金属担持アルミナハニカム触媒とすることもできる(請求項4)。
【0036】
図において本流動床ガス化炉1では、前記流動触媒保有部6に備えられる触媒としては、少なくとも金属担持ゼオライト触媒が含まれるものとすることができる(請求項5)。また、特に、少なくともニッケル担持ゼオライト触媒が含まれるものとすることができる(請求項6)。
【0037】
図において本流動床ガス化炉1ではまた、前記流動触媒保有部6に備えられる触媒は複数の触媒の集合体であって、該触媒の集合体には全体として、タール分解機能および水素生成機能が備えられているものとすることができる(請求項7)。
【0038】
図1において本流動床ガス化炉1は、前記触媒層12の前流側かつ前記流動触媒保有部6の後流側に、サイクロン型粒子分離部9を設けた構成とすることができる(請求項8)。これにより、前流側で生成した熱分解生成ガス中に触媒粒子などの粒子が存在する場合、該ガスの成分は該サイクロン型粒子分離部9において粒子を含まない粒子分離部通過流れ10と、粒子を含む粒子流れ11に分離され、粒子分離部通過流れ10は後流側の触媒層12へと導入されて残存タール分の転換に供され、一方粒子流れ11は下方(前流側)へ移動して、再度流動触媒保有部6での熱分解反応に供される。かかる構成および作用により、本発明の流動床ガス化炉1では、ガス化炉外に特別サイクロンを設ける必要がない。
【0039】
本発明の流動床ガス化炉1は、上述の構成および作用により、前記熱分解生成ガス中の粒子の分離を、ガス化炉1内の前記サイクロン型粒子分離部9においてのみ行い、一方生成するガス中のタール分の分解は、ガス化炉1内の前記流動触媒保有部6および前記触媒層12においてのみ行うことができる(請求項9)。
【0040】
図1においてまた、本流動床ガス化炉1は、前記流動触媒保有部6には、原料の熱分解により生じる灰分を排出するための灰分排出ライン17を設け(請求項10)、前記サイクロン型粒子分離部9の前流側の該流動触媒保有部6には原料の投入口が設けられる構成をとる(請求項11)。これにより、原料の熱分解により生じる灰分は該灰分排出ライン17により排出される。また原料は、原料供給装置8を備える原料供給ライン7から該流動触媒保有部6に供給される。
【0041】
すなわち図1および上述の説明に示されるように、本発明の流動床ガス化炉1では、ガス化炉1の下部(前流側)に流動ガス導入部3があり、この部位の下部(前流側)には流動ガスライン2が接続され、上部(後流側)には分散板4が配されている。該分散板4の上部(後流側)には流動触媒保有部6が設けられ、この部位に合わせて原料供給装置8が設けられた原料供給ライン7が接続されている。また、該分散板4の上部(後流側)には灰分排出ライン17が接続している。該流動触媒保有部6の上部(後流側)の空間はフリーボード14で、その上部(後流側)にはサイクロン型粒子分離部9、続いて改質触媒層12が設けられる。これらサイクロン型粒子分離部9と改質触媒層12との間には水蒸気供給ライン13が接続し、ガス化炉1の最上部(後流側)には生成ガスライン16が接続している。
【0042】
したがってかかる構成により、流動ガスライン2から供給された空気などの流動ガスはガス化炉1の流動ガス導入部3に導かれて、分散板4を通って流動ガス噴流5として流動触媒保有部6に噴き出されて流動触媒を形成、これを噴流する。このとき、原料供給ライン7から原料供給装置8によって原料がガス化炉内に供給され、流動触媒保有部6に入って、たとえばニッケル担持ゼオライトなどのタール分分解機能を有する流動触媒と混合しながら噴流される。この部位(流動触媒保有部6)で原料は空気などの流動ガスと反応して熱分解し、発熱反応により700℃程度の温度状態になり、炭酸ガス(CO2)、一酸化炭素(CO)、水素(H2)、およびメタンガス(CH4)を発生し、タール分の発生は流動触媒の作用によって抑制される。
【0043】
これら前記流動触媒保有部6における熱分解により生成したガスは、サイクロン型粒子分離部9に導かれて旋回流れを形成し、触媒粒子等を含まない粒子分離部通過流れ10と、粒子を含む粒子流れ11とに分離される。粒子分離部通過流れ10は、たとえば金属担持アルミナハニカムなどの改質触媒が設けられた改質触媒層12に向い、一方粒子流れ11は下方(前流側)に向かって流れる。そのため、触媒粒子等は再度、流動触媒と原料が混合して噴流する流動触媒保有部6に混入し、原料の熱分解反応に供される。
【0044】
このとき、前記流動触媒保有部6において熱分解反応で生成した灰分は、灰分排出ライン17から炉外に排出される。前記サイクロン型粒子分離部9を出た熱分解生成ガスは、前記改質触媒層12に向い、この層を通過する間に、水蒸気供給ライン13から供給された水蒸気と、設けられた改質触媒の触媒作用によって、ガス体に残存するタール分が改質されて一酸化炭素(CO)と水素(H2)に転換する。該改質触媒層12を出た生成ガス15は、燃料ガスとして生成ガスライン16に導かれる。
【0045】
図2は、本発明のガス燃料製造方法の構成を示すフロー図である。つまり、上述の流動床ガス化炉を用いてガス燃料を製造する方法の概要は、図のフローにまとめることができる。すなわち本製造方法は、供給された原料を該ガス化炉(1。以下、図1で用いた符号を()内に示す。)の流動触媒保有部(6)において流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒により、タール生成を抑制しつつ熱分解し熱分解生成ガスを生成する第1過程P1と、ついで該熱分解生成ガス中の粒子を分離除去するとともに該粒子を再度第1過程に供する第2過程P2と、ついで改質触媒層(12)において、粒子の除去された熱分解生成ガス(10)を、水蒸気、およびタール分解機能を有する改質触媒を用いて、ガス中の残存タール分を一酸化炭素と水素に転換させる第3過程P3と、から構成され、これらの過程を順に経ることによって、タール含有量の低減されたガス燃料を得ることができる(請求項12)。
【0046】
図2のガス燃料製造方法は、上述した本発明に係る前記流動床ガス化炉1を用いて、これを行うことができる(請求項13)。
【0047】
図において本製造方法では、第1過程P1において、供給された原料は、前記ガス化炉(1)の流動触媒保有部(6)で流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒によってタール生成を抑制しつつ熱分解されて熱分解生成ガスが生成され、ついで第2過程P2において、該熱分解生成ガス中の粒子が分離除去されるとともに該粒子が再度第1過程に供され、ついで第3過程P3において、粒子の除去された熱分解生成ガス(10)が改質触媒層(12)で水蒸気およびタール分解機能を有する改質触媒によってガス中の残存タール分が一酸化炭素と水素に転換させられ、このようにして、タール含有量の低減されたガス燃料が製造される。
【0048】
図の製造方法において、前記第1過程P1の流動触媒保有部には金属担持ゼオライト触媒を用い、前記第3過程P3の改質触媒層には金属担持ハニカム触媒を用いることができる(請求項14)。また特に、前記第1過程P1の流動触媒保有部としてニッケル担持ゼオライト触媒を用い、前記第3過程P3の改質触媒層として金属担持アルミナハニカム触媒を用いることができる(請求項15)。また、前記原料としては、木質バイオマス等のバイオマスを用いることができる(請求項16)。
【0049】
図3は、本発明のガス発電システムの構成を示す説明図である。図において本システム100は、上述したいずれかの流動床ガス化炉1と、流動ガスライン2および生成ガスライン16を介して該流動床ガス化炉1に連通して設けられている、発電装置の原動機たるガスタービン30と、該ガスタービン30に備えられているロータと連結している発電機23と、からから主として構成される(請求項17)。
【0050】
図3で、本ガス発電システム100においては、前記ガスタービン30は圧縮機26と、燃焼器18と、タービン19と、ならびに再生器20からなり、該再生器20の後流側には排熱を利用して温水を供給するための温水器21が設けられる構成とすることができる(請求項18)。また、原料として木質バイオマス等のバイオマスを用いたシステムとすることができる(請求項19)。
【0051】
【作用】
図において本発明のガス発電システム100は上述のように構成されているため、ガスタービンの圧縮機26では吸気ダクト24を通して大気から空気が吸い込まれ、この空気が圧縮されて該圧縮機26から吐出される。吐出された空気の一部は、再生器20との間の空気ライン25を通って再生器に送られ、残りの空気は流動ガスライン2を通って、流動床ガス化炉1に送られる。
【0052】
前記流動床ガス化炉1において生成された生成ガス15は、生成ガスライン16を通ってガスタービンの前記燃焼器18に燃料ガスとして供給され、前記再生器20で高温状態となって送られた空気を酸化剤として燃焼し、高温ガスが発生する。この高温ガスは前記タービン19に導かれて、膨張仕事により出力を発生する。この出力は、前記圧縮機26の駆動動力を差し引いた出力でもって前記発電機23を回転させて、電気出力に変換される。
【0053】
前記タービン19出口の排ガス22は、前記再生器20を通って空気を昇温させた後、その後流側に設けられた前記温水器21を通って水を昇温させ、温水27を供給する。該温水器21を出た排ガス22は、大気に放出される。すなわち以上の作用により、本システム100を構成する流動床ガス化炉1において生成された生成ガスを燃料として、ガスタービン30で発電機23を回転させるための出力が発生、発電機23が運転されて発電がなされる。
【0054】
また、本システム100の圧縮機26で発生した圧縮空気の一部は、システム100を構成する流動床ガス化炉1の流動層ガスとして供給され、再生器20で発生した高温空気は同じくシステム100内の燃焼器18に供給され、また該再生器20を通過した排ガス22は、温水器27による温水供給に利用される。
【0055】
【発明の効果】
本発明の流動床ガス化炉、ガス燃料製造方法、およびこれを用いたガス発電システムは上述のように構成されるため、以下のような効果を得ることができる。
1.本発明の流動床ガス化炉およびガス燃料製造方法により、タールを含有する割合を極めて低く抑えたガス燃料を供給することが可能となり、発電装置で用いられる原動機の燃料仕様条件を満足する燃料を得ることができる。
2.また、従来はガス化炉出口ラインに設けられていたサイクロンが不要となり、プラントの小型化とコスト低減に寄与できる。
3.また同じく、従来はガス化炉出口ラインに設けられていたタール除去装置が不要となり、プラントの小型化とコスト低減に寄与できる。
4.また、ガス化炉内でタール分を水素と一酸化炭素に分解するため、生成ガスの発熱量を高くすることができる。
5.このような流動床ガス化炉を用いたガス発電システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流動床ガス化炉の構成を示す説明図である。
【図2】本発明のガス燃料製造方法の構成を示すフロー図である。
【図3】本発明のガス発電システムの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ガス化炉、 2…流動ガスライン、 3…流動ガス導入部、 4…分散板、5…流動ガス噴流、 6…流動触媒保有部、 7…原料供給ライン、 8…原料供給装置、 9…サイクロン型粒子分離部、 10…粒子分離部通過ガス、 11…粒子流れ、 12…改質触媒層、 13…水蒸気供給ライン、 14…フリーボード、 15…生成ガス、 16…生成ガスライン、 17…灰分排出ライン、 18…燃焼器、 19…タービン、 20…再生器、 21…温水器、22…排ガス、 23…発電機、 24…吸気ダクト、 25…空気ライン、26…圧縮機、 27…温水、 30…ガスタービン、 P1…第1過程、 P2…第2過程、 P3…第3過程
Claims (19)
- 供給されるガス燃料製造原料(以下、単に「原料」ともいう。)を流動ガスおよび流動触媒を用いて熱分解しガス燃料を製造するための流動床ガス化炉であって、該流動触媒は原料の熱分解を行って熱分解生成ガスを生成するための流動触媒保有部に備えられた、タール分解機能を有する触媒であり、該流動触媒保有部の後流側かつ生成燃料ガス排出部(以下、「ガス化炉出口部」ともいう。)の前流側には別の触媒保有部である触媒層が設けられ、該触媒層には熱分解生成ガス中に残存するタール分を分解する機能を有する触媒が備えられていることを特徴とする、流動床ガス化炉。
- 前記触媒層に備えられる触媒は改質触媒であり、該触媒層(以下、かかる触媒層を特に「改質触媒層」という。)には水蒸気供給ラインにより水蒸気が供給され、これにより該改質触媒層においてはこれに流入する前記熱分解生成ガス中の残存タール分を一酸化炭素および水素に転換することが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の流動床ガス化炉。
- 前記改質触媒層に用いられる改質触媒は、金属担持ハニカム触媒であることを特徴とする、請求項2に記載の流動床ガス化炉。
- 前記改質触媒層に用いられる改質触媒は、金属担持アルミナハニカム触媒であることを特徴とする、請求項2に記載の流動床ガス化炉。
- 前記流動触媒保有部に備えられる触媒としては、少なくとも金属担持ゼオライト触媒が含まれていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
- 前記流動触媒保有部に備えられる触媒としては、少なくともニッケル担持ゼオライト触媒が含まれていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
- 前記流動触媒保有部に備えられる触媒は複数の触媒の集合体であって、該触媒の集合体にはタール分解機能および水素生成機能が備えられていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
- 前記触媒層の前流側かつ前記流動触媒保有部の後流側に、サイクロン型粒子分離部が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
- 前記熱分解生成ガス中の粒子の分離は、ガス化炉内の前記サイクロン型粒子分離部においてのみ行われ、タール分の分解は、ガス化炉内の前記流動触媒保有部および前記触媒層においてのみ行われることを特徴とする、請求項8に記載の流動床ガス化炉。
- 前記流動触媒保有部には、原料の熱分解により生じる灰分を排出するための灰分排出ラインが設けられていることを特徴とする、請求項8または9に記載の流動床ガス化炉。
- 前記サイクロン型粒子分離部の前流側に原料の投入口が設けられていることを特徴とする、請求項8ないし10のいずれかに記載の流動床ガス化炉。
- 流動床ガス化炉を用いたガス燃料製造方法であって、供給された原料を該ガス化炉の流動触媒保有部において流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒により、タール生成を抑制しつつ熱分解し熱分解生成ガスを生成する第1過程と、ついで該熱分解生成ガス中の粒子を分離除去するとともに該粒子を再度第1過程に供する第2過程と、ついで改質触媒層において、粒子の除去された熱分解生成ガスを、水蒸気およびタール分解機能を有する改質触媒を用いて、ガス中の残存タール分を一酸化炭素と水素に転換させる第3過程と、を経て、タール含有量の低減されたガス燃料を得ることのできる、ガス燃料製造方法。
- 前記流動床ガス化炉が請求項1ないし11のいずれかに記載の流動床ガス化炉を用いたガス燃料製造方法であって、供給された原料を該ガス化炉の流動触媒保有部において流動ガスおよびタール分解機能を有する流動触媒により、タール生成を抑制しつつ熱分解し熱分解生成ガスを生成する第1過程と、ついで該熱分解生成ガス中の粒子を分離除去するとともに該粒子を再度第1過程に供する第2過程と、ついで改質触媒層において、粒子の除去された熱分解生成ガスを、水蒸気およびタール分解機能を有する改質触媒を用いて、ガス中の残存タール分を一酸化炭素と水素に転換させる第3過程と、を経て、タール含有量の低減されたガス燃料を得ることのできる、ガス燃料製造方法。
- 前記第1過程の流動触媒保有部には金属担持ゼオライト触媒が用いられ、前記第3過程の改質触媒層には金属担持ハニカム触媒が用いられることを特徴とする、請求項12または13に記載のガス燃料製造方法。
- 前記第1過程の流動触媒保有部にはニッケル担持ゼオライト触媒が用いられ、前記第3過程の改質触媒層には金属担持アルミナハニカム触媒が用いられることを特徴とする、請求項12または13に記載のガス燃料製造方法。
- 前記原料が木質バイオマス等のバイオマスであることを特徴とする、請求項12ないし15のいずれかに記載のガス燃料製造方法。
- 請求項1ないし11のいずれかに記載の流動床ガス化炉と、流動ガスラインおよび生成ガスラインを介して該流動床ガス化炉に連通して設けられている、発電装置の原動機たるガスタービンと、該ガスタービンに備えられているロータと連結している発電機と、からなるガス発電システム。
- 前記ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンと、ならびに再生器からなり、該再生器の後流側には排熱を利用して温水を供給するための温水器が設けられていることを特徴とする、請求項17に記載のガス発電システム。
- 用いられる原料が木質バイオマス等のバイオマスであることを特徴とする、請求項17または18に記載のガス発電システム。
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