JP4387224B2 - 車両用エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等においてインストルメントパネル内部に設けられる車両用エアバッグ装置に関するものである。
一般に自動車などの車両においては、緊急時の安全手段としてエアバッグ装置が設置されている。エアバッグ装置は、車体に所定値以上の衝撃力が加わったときに、インストルメントパネルなどの内部に配設されたハウジングに折り畳んで収納されているエアバッグ本体が、インフレータからの圧力気体の供給によって車室内乗員側へ膨出し、所定位置に着座している乗員を受け止めて、乗員がインストルメントパネルなどに衝突しないようにするものである。
内部にエアバッグ本体が配設されたインストルメントパネルの裏側には脆弱線が日の字型に形成され、この脆弱線によってインストルメントパネルは固定部とリッド部とに区画されている。インストルメントパネルの裏面側にはエアバッグユニットがリッド部に対向配置され、固定部にはリッド部のヒンジに相当する箇所の近傍に凸状のボス部が複数設けられ、エアバックユニットはブラケットを介してボス部に固定されている。そして、インストルメントパネルの固定部には、ボス部を通り且つリッド中央部を中心にして放射状に延びる複数のリブ(メインリブ)が設けられ、これらリブによって、インストルメントパネルのリッド部付近の強度が高められている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−144998号公報
しかしながら、上記従来の技術では、ボス部を通るリブ間の間隔が広く、各リブの先端部分に応力集中が生じやすい構造であるため、エアバッグユニットの開裂時に、リッド部が脆弱線に沿って均一に破断されない場合がある。
本発明の課題は、開裂時にリッド部を脆弱線に沿って均一に破断させることのできる車両用エアバッグ装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、日の字状に形成された脆弱線によって、樹脂製のインストルメントパネルが固定部とリッド部とに区画され、且つ前記脆弱線の一部には前記固定部と前記リッド部との間にヒンジ部が予め設定されて、前記リッド部の裏面側に配置されたエアバッグユニットの開裂時に、前記リッド部が前記ヒンジ部周りに回動する一方、前記固定部には前記ヒンジ部の近傍に凸状のボス部が複数設けられ、前記エアバッグユニットがブラケットを介して前記ボス部に固定された車両用エアバッグ装置であって、前記固定部には、前記ヒンジ部の近傍に、前記ボス部を通り且つ前記リッドの中央部を中心にして放射状に延びる複数のメインリブと、前記複数のメインリブの間に配置され且つ前記リッドの中央部を中心にして放射状に延びる複数のサブリブとが設けられ、前記ヒンジ部の近傍には、前記メインリブおよび前記サブリブと交わり、且つ前記脆弱線に平行直線状の外周リブが複数設けられ、前記メインリブおよび前記サブリブが、前記ボス部よりも前記ヒンジ部の近くに配置された外周リブにT字状に交わっていることを特徴としている。
上記構成によれば、メインリブの間にサブリブが配置され、さらに、メインリブおよびサブリブと交わり、且つ脆弱線に平行で直線状の外周リブが複数設けられているので、メインリブと脆弱線とが交わる部分に集中していた応力を、サブリブと脆弱線とが交わる部分やサブリブと外周リブとが交わる部分にも分散させることが可能となり、その結果、エアバッグユニットの開裂時に、リッド部を脆弱線に沿って均一に破断させることができる。
また、メインリブおよびサブリブと交わる直線状の外周リブを複数設けることにより、ヒンジ部近傍の強度を高めることができるため、インストルメントパネルを成形加工した際にヒンジ部近傍に発生しやすい撓み(ヒケ)を極力抑えることができる。
本発明によれば、メインリブの先端部分に応力集中が生じるのを回避することができるため、エアバッグユニットの開裂時に、リッド部を脆弱線に沿って均一に破断させることが可能となる。
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
図4は、本発明に係る車両用エアバッグ装置が取り付けられたインストルメントパネルの断面図である。車両用エアバッグ装置1は、自動車のフロントウインドウガラス(図示省略)の下方に位置する助手席側のインストルメントパネル2の部分に設けられている。
インストルメントパネル2は樹脂製であり、芯材のみからなるハードパネルとなっている。また、インストルメントパネル2には、助手席側から見てほぼ日の字型(すなわち閉じた形状)に脆弱線3が形成され、この脆弱線3によって、インストルメントパネル2は、固定部としてのインストルメントパネル本体4と、リッド部としてのエアバッグリッド5とに区画されている。
脆弱線3はインストルメントパネル2の裏面に入れられた切り込み線で、その切り込み量は例えばインストルメントパネル2の板厚の約半分に設定されている。このように脆弱線3はインストルメントパネル2の裏面に入れられた切り込み線であるから、インストルメントパネル2の表面側からは確認できず、つまりインストルメントパネル2の表面を見ただけでは、エアバッグリッド5がどこに設けられているかは分からないようになっている。
エアバッグリッド5は、脆弱線3によって車両前後方向Aに沿って前後2つに展開可能で、前側にエアバッグリッド5Aが、後側にエアバッグリッド5Bがそれぞれ配置されている。エアバッグリッド5の展開時には、図に二点鎖線で示すように、エアバッグリッド5Aはヒンジ部3A周りに、エアバッグリッド5Bはヒンジ部3B周りにそれぞれ回動する。
枠部材8は後述するエアバッグユニット12をインストルメントパネル2の裏面に取り付けるためのブラケットを構成している。
また、車両用エアバッグ装置1は、枠部材8に形成されたフック係止孔に対して挿入・係止可能なリッド取付フック11を有するエアバッグユニット12を備えている。このように、枠部材8に対しリッド取付フック11を介してエアバッグユニット12を取り付けることにより、エアバッグ本体13展開時の反力をインストルメントパネル2に直接に作用させないようにしている。
エアバッグユニット12は、圧力気体を噴出する筒状のインフレータ14を収容可能なインフレータ収容部15を備えている。このインフレータ収容部15は、ステアリングサポートメンバなどの図示しない車体側メンバへボルトなどの締結部材16を用いて締結固定される。
さらに、エアバッグユニット12は、インフレータ14から噴出された圧力気体によって膨張・展開されるエアバッグ本体13が折り畳んだ状態で収納されたエアバッグ本体収納部17を備えている。
インストルメントパネル本体4の裏面には、図1に示すように、脆弱線3(ここでは、ヒンジ部3A近傍の脆弱線)に沿って外周リブ18が設けられている。外周リブ18の外側には直線状の外周リブ19,20が設けられ、これら外周リブ19,20は外周リブ18に平行に配置されている。
また、インストルメントパネル本体4の裏面には、脆弱線3(つまり、ヒンジ部3A近傍の脆弱線)の近傍に、エアバッグリッド5の中央部を中心にして放射状に延びる複数のメインリブ21が設けられている。各メインリブ21は、外周リブ18とはT字型または略T字型に交わり、外周リブ19,20とは十字型または略十字型に交わっている。メインリブ21と外周リブ19との交点には交点一つおきにボス部22が設けられ、またメインリブ21と外周リブ20との交点には同様に交点一つおきにボス部23が設けられている。これらボス部22,23は千鳥足状に配置されている。
本実施例では、各メインリブ21の間にサブリブ24が設けられている。各サブリブ24も、メインリブ21と同様、エアバッグリッド5の中央部を中心にして放射状に配置され、外周リブ18とはT字型または略T字型に交わり、外周リブ19,20とは十字型または略十字型に交わっている。
図2は、ボス部22のうちでヒンジ部3Aの中央付近のボス部22およびその周囲の詳細構成を示している。ボス部22は円柱状をなしており、その上面にはスクリュウ孔25が形成されている。そして、タッピングスクリュウを枠部材8(図4参照)を通してスクリュウ孔25に結合することにより、枠部材8をインストルメントパネル2の裏面に固定することができるようになっている。
外周リブ19およびメインリブ21は、ボス部22付近ではリブ高さが高くなっており、ボス部22に対する補強が充分な構造となっている。外周リブ19およびメインリブ21は、ボス部22から所定距離離れた所ではリブ高さが低くなっており、リブ高さの高い部分と低い部分との間には傾斜面が形成されている。また、外周リブ18は全体に亘ってリブ高さ低くなっている。
図3は、ボス部23のうちでヒンジ部3Aの中央付近のボス部23およびその周囲の詳細構成を示している。ボス部23も円柱状をなしており、その上面にはスクリュウ孔26が形成されている。このスクリュウ孔26の機能は上述したスクリュウ孔25と同様である。
外周リブ20およびメインリブ21は、ボス部23付近ではリブ高さが高くなっており、ボス部23に対する補強が充分な構造となっている。外周リブ20およびメインリブ21は、ボス部22から所定距離離れた所ではリブ高さが低くなっており、リブ高さの高い部分と低い部分との間には傾斜面が形成されている。
次に、本実施例の作用について図4を用いて説明する。
インフレータ14が作動すると、このインフレータ14から圧力気体が噴出され、エアバッグ本体13内へと圧力気体が導入される。エアバッグ本体13は、この圧力気体の導入に伴って膨張(展開)し、この膨張圧力によって、エアバッグリッド5Aはヒンジ部3Aを中心にして矢印Bのように反時計方向に、エアバッグリッド5Bはヒンジ部3Bを中心にして矢印Cのように時計方向にそれぞれ回動して、インストルメントパネル本体4に開口部が形成される。同時に、この開口部からエアバッグ本体13が車体斜め後方(車室内乗員側)へ向かって膨出する。これによって、エアバッグ本体13は定位置に着座している助手席側の乗員の頭部等を受け止め、頭部等がインストルメントパネル2などにぶつからないように保護することができる。
本実施例では、メインリブ21の間にサブリブ24が配置されているので、外周リブ18とメインリブ21とが交わる部分に集中していた応力を、外周リブ18とサブリブ24とが交わる部分にも分散させることができる。その結果、エアバッグユニット12の開裂時に、エアバッグリッド5Aを脆弱線3に沿って均一に破断させることが可能となる。
次に、本実施例のように各メインリブ21の間にサブリブ24を設けた場合と、従来例(図6)のように各メインリブ21の間にサブリブ24が設けられていない場合とについて、エアバッグユニット開裂時の脆弱線3(ヒンジ部3A近傍の脆弱線)付近の応力集中を測定したので、その結果について説明する。図5はその測定結果を示している。測定箇所は、図1および図6に示すようにa〜kの11箇所であり、◆は本実施例での測定結果を、■は従来例での測定結果をそれぞれ示している。
図5から分かるように、従来例では上下に変動が大きく、つまり応力集中が生じていることを示しているが、本実施例では上下変動が小さく、つまり応力が分散されていることを示している。
なお、本実施例においては、各メインリブ21および各サブリブ24がエアバッグリッド5の中央部を中心にして放射状に配置されていたが、各メインリブ21および各サブリブ24を脆弱線3に対して直角方向に配置してもよい。
エアバッグリッド付近におけるインストルメントパネルの裏面構成を示した図である。 脆弱線に近い側に設けられたボス部とその周囲の詳細構成を示した斜視図である。 脆弱線に遠い側に設けられたボス部とその周囲の詳細構成を示した斜視図である。 本発明に係る車両用エアバッグ装置が取り付けられたインストルメントパネルの断面図である。 応力集中の測定結果を示した図である。 従来技術による、エアバッグ付近におけるインストルメントパネルの裏面構成を示した図である。
符号の説明
1 車両用エアバッグ装置
2 インストルメントパネル
3 脆弱線
3A,3B ヒンジ部
4 インストルメントパネル
5,5A,5B エアバッグリッド
12 エアバッグユニット
18,19,20 外周リブ
21 メインリブ
22,23 ボス部
24 サブリブ

Claims (1)

  1. 日の字状に形成された脆弱線によって、樹脂製のインストルメントパネルが固定部とリッド部とに区画され、且つ前記脆弱線の一部には前記固定部と前記リッド部との間にヒンジ部が予め設定されて、前記リッド部の裏面側に配置されたエアバッグユニットの開裂時に、前記リッド部が前記ヒンジ部周りに回動する一方、
    前記固定部には前記ヒンジ部の近傍に凸状のボス部が複数設けられ、前記エアバッグユニットがブラケットを介して前記ボス部に固定された車両用エアバッグ装置であって、
    前記固定部には、前記ヒンジ部の近傍に、前記ボス部を通り且つ前記リッドの中央部を中心にして放射状に延びる複数のメインリブと、前記複数のメインリブの間に配置され且つ前記リッドの中央部を中心にして放射状に延びる複数のサブリブとが設けられ、
    前記ヒンジ部の近傍には、前記メインリブおよび前記サブリブと交わり、且つ前記脆弱線に平行直線状の外周リブが複数設けられ
    前記メインリブおよび前記サブリブが、前記ボス部よりも前記ヒンジ部の近くに配置された外周リブにT字状に交わっていることを特徴とする車両用エアバッグ装置。
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