JP4386631B2 - ジルコニウム系無機高分子を使用した選択的モリブデン吸着剤を利用する中性子照射天然モリブデン型テクネチウム99mジェネレータシステム及びその製造装置 - Google Patents

ジルコニウム系無機高分子を使用した選択的モリブデン吸着剤を利用する中性子照射天然モリブデン型テクネチウム99mジェネレータシステム及びその製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、がんの検査等の臓器診断のために利用されているTc99mを得るための新しいシステムに関し、特にMo99から生成するTc99mを溶離することができるMo99吸着担持体を用いたMo99−Tc99mジェネレータシステムとそれに使用するカラムの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
Tc99mは、6.0hの短い半減期、荷電粒子の放射がないこと、ガンマエネルギーが140keV程度である等の核物性により、核医学の診断に最適であるため、その分野に最も広く用いられている放射性核種である。この核種は簡単に現在主にU(ウラン)235の核分裂から製造されているMo99を原料としてその崩壊生成物として得られる。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】
ウラン(U235)の核分裂反応によって生成するMo99は最も広く利用されている放射性元素の一つである。しかし、その利用は以下の3つの欠点を持っており、特に長期的且つ継続的な生産ではそれらを考慮しなければならない。
(1)核分裂は気体放射性核種を含めた高レベル放射性廃棄物を生み出す。したがって、これには複雑なプロセスと設備が必要で、運転コストが非常に高い。
(2)核分裂によるMo99の製造に核兵器に使われる高濃縮U235が必要であるため、厳重な警備が必要とする。また、国際核不拡散条約により、将来高濃縮U235の調達ができなくなる恐れがある。
(3)照射したU235の化学プロセスに事故による放射性核種の環境への漏れが起こる場合、これは深刻な環境問題になる。
【0004】
本件発明者らは、このようなU235を用いる従来のTc99mの製造技術の課題に鑑み、検討の結果、Moを含む水溶液からMoのみを吸着するジルコニウム系無機高分子(PZC)を開発するに至った。このPZCは、ジルコニウム、酸素、塩素の繰り返し単位から構成される水に不溶の無機高分子であり、Tc99mの親核種であるMo99の水溶液から、Moのみを選択的に吸着し、Tc99mを溶離させて回収することが可能である。これらの吸着剤は例えば、特開平8−309182号公報(JP8−309182A)及び特開平10−30027号公報(JP10−30027A)に開示されている。
【0005】
本発明の目的は、前述のようなU235を用いる従来のTc99mの製造技術の課題に鑑み、Tc99mの親核種であるMo99を得る方法として、前記のようなMo吸着剤を用い、U235を用いることなく、新しく改善されたTc99mの製造プロセスを提供することであ。また、本発明の他の目的は、多量の放射性廃棄物を発生しないTc99mの製造プロセスを提供することである。これらの目的のために、天然同位体のMoをU235の替りに用いる非核分裂プロセスによるTc99mを製造する新しいプロセスを提供するものである。
【0006】
また、他の観点からの本発明の目的は、健康と環境のリスクを最小限に押さえる新しく改善されたTc99mの製造プロセスを提供することである。その他、生産コストの削減と合理的な生産を可能としたTc99mの製造方法としての提供も本発明の目的である。各種放射性医薬品の調製に適したTc99mを提供することもこの研究の目的である。本発明の他の目的はここに含まれる記述から明らかである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明によるMo99−Tc99mジェネレータシステムでは、Moを含む水溶液からMoのみを吸着するジルコニウム、酸素、塩素の繰り返し単位から構成されるPZCを、放射性同位元素であるMo99から生成するTc99mを溶離することができるMo吸着担持体として用いる。
より具体的には、本発明によるMo99−Tc99mジェネレータシステムでは、Moの天然同位体組成を有するMoO3を中性子照射し、それをアルカリ溶液で溶解させた後PZCへ吸着担持させ、そのMo99吸着PZCをTc99mジェネレータ用のカラムへ装着したものを使用する。
【0008】
このジェネレータシステムからTc99mを溶離させる溶液としては、酸化剤を含む生理的食塩水、特に酸化剤として0.5%NaOClまたは0.1%Crを含む生理食塩水が用いられる。そして、カラムを通過した後のTc99mの溶離液である生理的食塩水中に含まれる少量のMo99だけを吸着除去するため、アルミナや活性炭等の吸着剤をカラムに詰め、Mo99−Tc99mジェネレータカラムの後段に設置し、高純度のTc99m溶離液を得る。
【0009】
このようなMo99−Tc99mジェネレータシステムに使用されるカラムを製造するためには、PZCを一定量分取し反応容器に入れる機構、一定量のPZCが複数入りしかもMo99を含むMo溶液を一定量入れ加温反応できる機構、Moを吸着したPZCを洗浄しながらジェネレータカラムへ充填するための供給機構、以上の操作が複数回繰り返し行える機構を有するMo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置が使用される。
【0010】
さらにこのようなカラムの製造装置においては、PZCのMo吸着反応のためのガラス製容器を加温するヒーターと、PZCのMo吸着反応の終了後にMo溶液の上澄み液を廃棄するための配管とその減圧吸引機構、Mo吸着PZCを水洗浄する機構と洗浄を繰り返しながらジェネレータカラムへそのMoを吸着したPZCを移送する供給機構を有するPZCを一定量分取し反応容器に入れる機構、一定量のPZCが複数入りしかもMo99を含むMo溶液を一定量入れ加温反応できる機構、Moを吸着したPZCを洗浄しながらジェネレータカラムへ充填するための減圧吸引機構を有している。
この製造装置において、反応容器の底壁に定量のPZCが分配供給される窪みを有し、この窪みにMo99を含むMo溶液を注入する機構を有する。
【0011】
このような本発明の好ましい中性子捕獲手段では、少量の放射性廃棄物しか生み出さず、複雑なプロセス設備を必要とせずにTc99mを簡単に溶離出来る。この中性子捕獲によるTc99mの製造のターゲット材料は天然Moである。従って、製造に核分裂を伴わず、気体放射性核種を含めた高レベル放射性廃棄物を生み出すことはなく、それに伴い、複雑な施設が不要である。また、厳重な警備を必要とする核兵器に使われる材料の必要性がなくなる。さらに、天然Moは手に入りやすく、環境への影響が殆どない。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
既に述べた通り、本発明では、ジルコニウム、酸素、塩素の繰り返し単位から構成されるジルコニウム系無機高分子(PZC)を、放射性同位元素であるMo99から生成するTc99mを溶離するMo吸着担持体として用いる。
【0013】
このようなPZCは、式1で示す(A)〜(D)で示す繰返し単位から主として成る骨格構造を有するもので、Rは1個から6個までの炭素原子を有するアルキレン、ポリメチレンあるいは不飽和結合を有する炭素鎖であり、繰返し単位(D)は繰返し単位(A)、(B)、(C)のいずれかに結合し、繰返し単位(A)、(B)、(C)の含有量により分岐構造が制御され、水に不溶である。
【0014】
【化1】
Figure 0004386631
【0015】
このようなPZCは、ジルコニウムの塩化物と塩化ジルコニウムの少なくとも1つとアルコールを溶媒中または無溶媒で反応させる第一工程と、必要によりさらに加水分解あるいは水を配位させる第二工程と、こうして得られた前駆体を必要により水分を含んだ酸化性あるいは非酸化性雰囲気中で加熱して架橋させることにより水に不溶とする第三工程とからなる製造プロセスにより製造される。
【0016】
このPZCの製造方法では、原料である塩化ジルコニウムあるいは塩化酸化ジルコニウムとアルコールの反応で生成する前駆体を熱処理することにより、水に不溶の高分子体を得ることができる。この水に不溶の高分子体は、ほぼ熱処理温度に対応したMo吸着能をもたせることができるので、Moの水溶液からMoを吸着する吸着剤として使用することができる。
【0017】
より具体的には、出発原料としてZrCl4と、アルコールとして炭素数が1個から6個までのアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどの一価アルコール、エチレングリコールなどの二価アルコール、グリセリンやポリビニルアルコールなどの多価アルコールとを用意する。そして第一工程ではこれらを反応させる。
【0018】
この第一工程の反応は無溶媒で進行するが、生成物が固体となるために反応が不均一となるおそれがある場合には、反応に不活性な溶媒、たとえばテトラヒドロフランなどを使用することができ、また、アルコールを過剰に用いて未反応のアルコールを溶媒として用いることができる。これは、例えばZrCl4が過剰のアルコール、ROH、の反応でもZrClx(OR)4-xを生成し、Moの吸着に必要と考えられる塩素が残るので、未反応アルコールが溶媒として働くことを利用するものである。この第一工程の反応温度は室温でよいが、未反応アルコールや溶媒を除去するために、150℃以下で加熱してもよい。
【0019】
この第一工程の後、必要によりさらに加水分解あるいは水を配位させるため少量の水を加える第二工程を経る。この第二工程は、第一工程で生成した前駆体中のアルコキシル基を加水分解して生成した水酸基間の脱水縮合、あるいはジルコニウムに水を配位させることを利用して、第三工程での前駆体間の架橋を効果的に行なわせることを目的とする。この第二工程の反応温度は室温でよいが、加水分解で生成したアルコールや未反応の水、アルコール、溶媒を除去する場合にはそれらが蒸留される温度まで加熱される。
【0020】
次に、第三工程として、前記第一あるいは第二工程で生成した前駆体を架橋し分子量を増加させる。具体的には、空気中、酸素中などの酸化性雰囲気あるいは窒素やアルゴンなどの非酸化性雰囲気中で加熱して、例えば脱アルコール、脱水、脱炭化水素あるいは酸化する。加熱温度は第一工程あるいは第二工程の反応温度以上で1000℃以下とするが、特に150℃〜700℃が好適である。但し、400℃以上の熱処理では場合によってはMo99から生成するTc99mの溶離効率が低くなることがあり、その場合には400℃以下で熱処理しなければならない。
【0021】
このようにして合成されたMo吸着剤は、乾燥状態では経時変化を起こさず、吸着剤1g当たり通常250mg以上のMoを吸着することができると共に、Mo99から生成するTc99mを80%以上溶離できる。
例えば、合成されたMo吸着剤について(n,γ)法で得られた比放射能14.8mCi(Mo99)/g(Mo)のモリブデン酸ナトリウム水溶液を用いてMoを吸着させる。より具体的の方法としては、モリブデン酸ナトリウム水溶液にMo吸着剤1gを混合し、室温あるいは90℃で飽和吸着量になるまで吸着させる。Moの吸着は室温では約18時間、90℃では約2時間で飽和する。このMo吸着剤のMo吸着機構は、例えば次の化2のようにMoO4 2-がZrに化学結合するものと推考できる。
【0022】
【化2】
Figure 0004386631
【0023】
さらに他のPZCとしては、次の化3で表わされる繰返し単位から主としてなる骨格構造を有し、繰返し単位 (A), (B), (C) の含有量により分岐構造が制御されたブロック(I)と、次の化4(式中Mはケイ素又はチタン、Yはハロゲン、アルコキシ基及び水酸基から成る群より選ばれる1種を示す)で表わされる繰返し単位から主としてなる骨格構造を有するメタロキサンブロック(II)とから成るものを挙げることが出来る。
このようなPZCは、ブロック(I)とブロック(II)とが無機系共重合体を構成するのがよい
【0024】
【化3】
Figure 0004386631
【0025】
【化4】
Figure 0004386631
【0026】
このようなPZCは、ジルコニウムの塩素化合物の少なくとも1種と、前記PZCの製法と同様にアルコールとを反応させる第一工程と、得られた反応生成物を加熱して上記ブロック(I)を生成させる第二工程と、前記ブロック(I)をケイ素又はチタンのアルコキシドと反応させる第三工程と、得られた反応生成物を加熱して上記ブロック(II)を生成し、ブロック(I)とブロック(II)とを結合させる第四工程とからなるプロセスにより製造される。
【0027】
また、ジルコニウムの塩素化合物の少なくとも1種と、ケイ素又はチタンのアルコキシドの少なくとも1種とを反応させる第一工程と、得られた反応生成物を加熱して、上記ブロック(I)とブロック(II)とを同時に生成せしめる第二工程とからプロセスにより製造される。
【0028】
具体的な製造方法は、前述したPZCと同様であるが、その第一工程と第二の工程との間に、第二工程で生成した前記ブロック(I)を、ケイ素又はチタンのアルコキシドの少なくとも1種と反応させる工程を挿入する点が異なる。
ケイ素又はチタンのアルコキシドには、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシドやチタンテトライソブトキシドなどを用いる。前記アルコキシドはブロック(I)中の水酸基のみと反応すると考えられるので、前記アルコキシドを過剰に加えてよい。
【0029】
この反応は無溶媒で進行するが、ケイ素やチタンのアルコキシドが固体の場合には、溶液にして反応を均一に行なわせるために、また、ケイ素やチタンのアルコキシドが液状であっても、その粘度が高く、反応後、過剰のアルコキシドをろ過によって除去することが十分できない場合には、粘度を低下させる目的で溶媒を用いることもできる。このような溶媒としては、ベンゼンやエーテル等の、ブロック(I)に対して不活性な溶媒を使用することができるが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシドやチタンテトラブトキシドなどの液状のアルコキシドを用いた場合には、粘度を低下させる必要がなければ溶媒は必ずしも必要ではない。
【0030】
反応温度は室温でよいが、反応を早く進行させるために加熱してもよく、その温度は100℃以下が好ましい。
また、反応を早く進行させるために、さらに反応系に水を添加してもよいが、水分を含んだ雰囲気下で反応させれば十分である。反応時間は水を添加した場合としない場合とで異なるが、通常5分以上2時間以内である。次いでろ過することにより得られた反応生成物から、過剰のアルコキシドと反応により生成したアルコールおよび溶媒を除去する。
【0031】
この第三工程の後、第四工程として、前述したPZCの第三工程と同様に、生成した前駆体を架橋し分子量を増加させる工程として、例えば、空気中、酸素中などの酸化性雰囲気あるいは窒素やアルゴンなどの非酸化性雰囲気中で加熱して、例えば脱アルコール、脱水、脱炭化水素あるいは酸化する工程を行う。
【0032】
このようなPZCもまた、前記と同様にしてMoの水溶液からMoを吸着する吸着剤として使用することができる。例えば、モリブデン酸ナトリウム水溶液にMo吸着剤1gを添加し、90℃で約2時間飽和吸着させる。このMo吸着剤のMo吸着機構は、例えば次の化5のようにMoO4 2-がZrに化学結合するものと推考できる。
【0033】
【化5】
Figure 0004386631
【0034】
PZC材料のMoイオンに対する吸着容量(〜280mgMo/gPZC)はアルミナや活性炭より2桁高い。従って、Moを吸着させたPZCの反応生成物を充填したカラムを使用したジェネレータはTc99mを選択的に抽出するための最適なジェネレータである。
【0035】
このMo99を吸着したPZCをカラムに詰め、このカラムの中のMo吸着PZCに生理食塩水を通し、この生理食塩水にTc99mのみ選択的に溶離させる。このようなTc99mの溶離を行う実験室レベルでのジェネレータシステムの例を図1と図2に示す。
【0036】
このジェネレータシステムでは、Moを吸着させたPZCの1〜10g相当の容積を有するガラス製のジェネレータカラム66にMoを吸着したPZCを充填している。このジェネレータカラム66の下端には、図1に示すように、2方バルブ68か、または図2に示すようにすり合わせガラス継手63により、アルミナまたは活性炭等の吸着剤を充填したガラス製の後段カラム71を接続している。図1に示したジェネレータシステムの例と図2に示したジェネレータシステムの例では、このジェネレータカラム66と後段カラム71との間の接続構造が違うのみで、他の構成は共通している。
【0037】
図1に示したジェネレータシステムの例では、Moを吸着したPZCが充填されたジェネレータカラム66の下端に2方弁68を設けている。この2方弁68の一方の排出口側は、アルミナまたは活性炭が充填された後段カラム71のゴム栓とアルミキャップからなる蓋70に差し込んだニードルを介して後段カラム71に接続されている。択一的に切り替えられる2方弁68の他方の排出側は、廃液排出口69となっている。
【0038】
他方、図2に示したジェネレータシステムの例では、Moを吸着したPZCが充填されたジェネレータカラム66の下端が、一様な粗面状のすり合わせガラス面からなるテーパ外周面を有する雄の継手となっている。また、アルミナまたは活性炭が充填された後段カラム71の上端は、一様な粗面状のすり合わせガラス面からなるテーパ内周面を有する雌の継手となっている。これら雄雌のすり合わせガラス面を嵌め合わせることにより、上のジェネレータカラム66の下端が下の後段カラム71の上端に気密に接続されている。
【0039】
図1と図2に示したジェネレータシステムの例は、それ以外は基本的に共通している。次にその共通的な構成について説明する。
10ml程度の生理食塩水を満たしたガラス製の容器61の開口部を閉じたゴム栓とアルミキャップからなる蓋62側が下方に向けられ、このゴム栓とアルミキャップからなる蓋62がジェネレータカラム66の上端のゴム栓とアルミキャップからなる蓋65と対向している。そして、それらゴム栓とアルミキャップからなる蓋62と蓋65とに両端を突き刺したニードル64を介して容器61とジェネレータカラム66とが接続されている。
【0040】
前述したように、ジェネレータカラム66にはMo99を吸着したPZCが詰め込まれる。このPZCはジェネレータカラム66の下端側に設けた焼結ガラス製のミクロフィルタ67により保持される。このカラム66の下端は、前述したように、アルミナまたは活性炭を詰めた後段カラム71と接続されている。
【0041】
後段カラム71にはアルミナまたは活性炭が詰め込まれており、この後段カラム71の下端側には、吸着材のアルミナまたは活性炭のカラム71からの漏れを防ぐため、ミクロフィルタ72が設けられ、さらに焼結ガラス製の仕切73とにより保持されている。このアルミナまたは活性炭を充填したカラム71はアルミナまたは活性炭1〜5g相当の容量を有する。
【0042】
この後段カラム71の下端を閉じたゴム栓とアルミキャップからなる蓋74がその下のガラス製の回収容器75の上端を閉じたゴム栓とアルミキャップからなる蓋77と対向している。そして、それらゴム栓とアルミキャップからなる蓋74と蓋77とに両端を突き刺したニードル76を介して後段カラム71と回収容器75とが接続されている。この回収容器75は、溶液の回収を促進するため大気圧以下の気圧に減圧される。
【0043】
このようなジェネレータシステムでは、例えば、温水槽で1gのPZCに5ml(20mCi)の放射性Mo99溶液(80mgMo/ml)を90℃で2〜3時間で反応させる。こうして得られるMoを吸着したPZCのスラリを前記のカラム66に充填する。そして、生理食塩水を満たしたガラス製の容器61からカラム66に生理食塩水を流し込み、Moを吸着したPZCを洗浄し、その中から生理食塩水中にTc99mを選択的に溶離させる。その結果、85%以上のTc99mの溶離率が得られ、Moの脱離率も許容範囲に入る。
【0044】
しかしながら、Moの放射能が80mCi以上になると、Tc99mの溶離率が急激に低下し、Moの脱離率も急激に増加する。ここでは、β線から放出された電子が高酸化数Tc(VII)とMo(VI)を還元すると考えられる。低酸化数のTcがPZCマトリックス中に残りやすく、これがTc99mの低い溶離率につながる。また、還元されたMoは溶離溶液に脱離することでMoの脱離率が増加する。酸化剤の添加と水溶液のカラムからの排除はTc99mの溶離率とMo99の脱離率を改善し、ジェネレータとして必要な条件を満足させる。
【0045】
図1と図2に示されたジェネレータシステムを使用し、Tc99mを溶離する好ましい方法は、次の通りである。ただし、ここで記された濃度や量等のパラメータは厳密な値ではない。またここでは、Tc99mの溶離を毎日1回行う場合について説明した。
【0046】
ステップ1:前述したようなPZCの1gに、水酸化ナトリウム溶液で溶解した中性子照射天然Mo(100mCi以上、Mo=267mgram)を添加し、この混合物を90℃で3時間反応させる。
ステップ2:この反応混合物を室温に冷却した後、0.1NのHClあるいは0.1NのNaOHでpHを6〜7に調節する。
ステップ3:未反応のMoと微粒子を取り除き、反応生成物を40mlの蒸留水で数回洗浄する。未反応のMoと洗浄の廃液を回収し、Mo99の放射能から、PZCに対するMoの吸着容量を求める。
ステップ4:この反応生成物を図1と図2に示した前記のジェネレータカラム66に充填する。
ステップ5:ジェネレータカラム66に充填したMoを含むPZCを、0.5%のNaOClまたは0.1%のK2Cr27を含む生理食塩水で洗浄処理した後、残っている水溶液をジェネレータカラム66から取り除く。減圧ポンプまたは蠕動ポンプ等を使用して、水溶液をジェネレータカラム66から強制的に絞り出すすことができる。
ステップ6:ジェネレータカラム66の上端開口部をゴム栓とアルミキャップからなる蓋65で閉じ、2方バルブ68(図1)またはすり合わせガラス継手63(図2)を介してアルミナまたは活性炭を充填した後段カラム71を接続する。後段カラム71の下端開口部をゴム栓とアルミキャップからなる蓋74で閉じる。
ステップ7:ジェネレータカラム66に充填したMoを含むPZCを、容器61に満たした通常の生理食塩水で洗浄し、Tc99mを溶離し、このTc99m溶液を針で後段カラム71の出口に接続した真空とした回収容器75に回収する。
ステップ8:Tc99mの溶離後、ステップ5と同様にして充填カラムを再びNaOClを0.5%、または、K2Cr2O7を0.1%を含む生理食塩水で処理し、その中に残っている水溶液を排除する。図1に示すように、2方バルブ68を用いる場合、その2方バルブ68を廃液排出口69側に切り替え、廃液する。
ステップ10:ステップ7とステップ8を繰り返す。
【0047】
前述のようにして、本発明によるMo99−Tc99mジェネレータシステムでは、ジェネレータカラム66に充填したMoを吸着したPZCを医療等に使用する生理食塩水で洗浄することにより、Tc99mを選択的に溶離し、抽出することが出来る。この生理食塩水に含まれるTc99mは核医学の診断等に利用出来る。
【0048】
しかし、核医学の診断等を行う医療機関において、前述したジェネレータカラム66に相当するMo99−Tc99mジェネレータ用カラムを独自に製造することは必ずしも容易でなく、現実的ではない。そこで、Mo99−Tc99mジェネレータ用カラムを安定して比較的多量に製造し、供給出来れば、医療機関ではそのカラムを使用して図1や図2に示すMo99−Tc99mジェネレータシステムを使用してTc99mを生理食塩水中に溶離させて使用することは容易である。そこで、このようなMo99−Tc99mジェネレータ用カラムを比較的多量に製造することを目的とした好ましい製造装置を図7〜図9に示し、以下これについて説明する。
【0049】
図7は、このMo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置の全体を示す一部を断面した側面図、図8は、その平面図である。
このMo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置は、PZCを一定量分取し、反応容器に入れる機構、一定量のPZCが複数入りしかもMo99を含むMo溶液を一定量入れ加温反応できる機構、Moを吸着したPZCを洗浄しながらガラス製のフィルタ付きジェネレータカラムへ充填するための供給機構、以上の操作が複数回繰り返し行える機構を有する。
【0050】
PZCを一定量分取し反応容器に入れる機構は、PZCを収納したホッパ状のPZC容器6から繰り返し定量のPZCを送り出すスライド板7を有するディストリビュータである。このスライド板7は、PZC容器6の下部開口部とPZCを送り出す投入シュート11の上端部との間を水平にスライドする。このスライド板7はPZCを収納する穴を有し、スライド板7のスライドにより、その穴がPZC容器6の下端開口部とそれから投入シュート11の上端との間を往復し、繰り返し穴の容積に相当する定量のPZCをPZC容器6から投入シュート11に送り出す。
【0051】
スライド板7の前記スライドは、モータ2により回転駆動されるカム機構10によりなされる。このカム機構10は、後述する反応容器8の間欠回転と同期するように、その反応容器8を間欠回転させる間欠回転伝達機構9と連動している。反応容器8の1ピッチ分の回転毎にスライド板7が1往復する。
さらに、前記スライド板7、PZC容器6及び投入シュート11を組み付けたフレームは、昇降機構21により昇降される。この昇降ストロークは、後述する反応容器8の深さ以上である。
【0052】
一定量のPZCが複数入り、しかもMo99を含むMo溶液を一定量入れ、加温反応できる機構は、間欠回転伝達機構9により間欠回転される反応容器8と、この反応容器8にMo99を含むMo溶液を供給するMo供給容器14と、反応容器8を加熱するヒータ15とを有する。さらに図示していないが、反応容器8内のPZCとMo99を含むMo溶液を攪拌するガラス製或いはフッ素系樹脂製の攪拌棒を有する。
【0053】
図9と図10は、反応容器8の平面図と縦断側面図である。この反応容器8は、上面を開口し、内側と外側の二重の周壁及びその間の底壁を有する円筒状容器であり、これら二重の周壁と底壁に囲まれた空間が容器となる部分である。底壁には一定の角度間隔で半球形状の窪み24が形成され、図示の例では、45゜間隔に合計8つの窪み24が形成されている。この反応容器8は、間欠回転伝達機構9を介して、モータ3の駆動により間欠回転される。その回転間隔は前記の窪み24の間隔、すなわち45゜である。この回転間隔は、反応容器8の径等に応じて窪み24の数が変わるとそれに応じて変わる。
【0054】
反応容器8の中心の上部には鍔状の支持部30を有し、この支持部30を前述した間欠回転伝達機構9の回転軸の上端に嵌合することにより、反応容器8を間欠回転伝達機構9に着脱自在に取り付けることが出来る。この反応容器8を加熱する前記ヒータ15は、この反応容器の下部外周と底面を囲むように設けられている。
【0055】
図7と図8に示すように、この反応容器8の近くには、Mo99を含むMo溶液を満たしたMo容器14が配置されている。Mo99を含むMo溶液としては、水酸化ナトリウム溶液で溶解した中性子照射天然MoO3を使用する。
このMo容器14には、図示してないN2ボンベからMo容器14内のMo99を含むMo溶液の液面より上の部分にN2ガスを圧送するためのN2ガス供給パイプ28が配管されている。さらに、このMo容器14には、その中に圧送されたN2ガスにより、その中に満たしたMo99を含むMo溶液を前記の反応容器8へ送るMo溶液供給パイプ12が配管されている。
【0056】
Moを吸着したPZCを洗浄しながらジェネレータカラムへ充填するための供給機構は、複数のジェネレータカラム22を装着したテーブル18を有している。図示の例では、前記反応容器8の窪み24の数と同様に8個のジェネレータカラム22がテーブル18の周辺近くに装着される。図示してないが、これらジェネレータカラム22内の下端側にはガラス製フィルタが張られており、またそれらの上下両端はアルミニウムキャップ付のゴム栓で閉じられている。
【0057】
このテーブル18は、間欠回転伝達機構20のシャフトの上端に着脱自在に取り付けられる。この状態で、モータ5の駆動により、間欠回転伝達機構20を介してテーブル18がジェネレータカラム22の間隔、すなわち45゜間隔で間欠回転される。なおこのテーブル18は、取っ手を有しており、この取っ手をつかんでハンドリングすることにより、間欠回転伝達機構20のシャフトの上端に着脱される。
【0058】
前記反応容器8の窪み24の底部近くから、前記テーブル18に装着されたジェネレータカラム22の一つが停止する位置の真上にわたってPZC−Moスラリ供給配管16が配管されている。さらに、前記テーブル18に装着されたジェネレータカラム22の一つが停止する位置の真下から第一の廃液タンク27にわたって第一の廃液配管23が配管されている。PZC−Moスラリ供給配管16の下端と第一の廃液配管23の上端とは、テーブル18に装着され、停止位置で停止したジェネレータカラム22を挟んで上下に対向している。また図示してないが、PZC−Moスラリ供給配管16の下端と第一の廃液配管23の上端には先が尖ったニードルパイプがそれぞれ取り付けられている。
【0059】
前記PZC−Moスラリ供給配管16は、反応容器8の間欠回転に同期してその回転時に上昇し、停止時に降下するよう間欠回転伝達機構9に連動した昇降機構31により昇降される。その昇降ストロークは、反応容器8の底壁の窪み24の深さ以上である。
【0060】
他方、第一の廃液配管23の上端側は、ニップルホルダ19により保持されている。このニップルホルダ19は、テーブル18の間欠回転に同期してその停止時に一時上昇し、それ以外の時に降下するよう間欠回転伝達機構20に連動した昇降伝達機構29を介してモータ4の駆動により昇降される。また、この第一の廃液配管23の他端が接続された第一の廃液タンク27は真空ポンプ25により減圧される。
【0061】
前記反応容器8には、図示してない洗浄水供給源から洗浄水を供給する洗浄配管13が接続され、その洗浄水噴出口が反応容器8に底部付近に配置されている。
さらに、この反応容器8には、前記洗浄配管13供給されてくる洗浄水を排水するための排水配管17が接続され、この排水配管の吸引口がやはり反応容器8に底部付近に配置されている。この排水配管17は第二の廃液タンク26に接続されている。この排水配管17が接続された第二の廃液タンク26は、前記第一の廃液タンク27と同様に真空ポンプ25により減圧される。
【0062】
次に、このような構成からなるMo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置の一連の動作について説明する。
まず、図7と図8に示したように、上下両端をアルミニウムキャップ付のゴム栓で閉じられたジェネレータカラム22を装着したテーブル18を取り付ける。
【0063】
他方、反応容器8側では、図7と図8に示したように、前記スライド板7、PZC容器6及び投入シュート11を組み付けたフレームが下方にあり、投入シュート11が反応容器8の中に挿入され、停止した反応容器8の窪み24の真上に投入シュート11が位置する状態とする。この状態において、PZC容器6の蓋を開け、前述のように製造されたPZCをPZC容器6の中に収納し、蓋を閉める。
【0064】
図7と図8に示すように、スライド板7の穴がPZC容器6の下部排出口と一致した状態では、PZC容器6の中に収納したPZCの一部は、スライド板7の穴に入り込む。この状態で、モータ2を駆動させ、カム機構10によるスライド板7を図7において右方向、図8において上方向にシフトさせ、スライド板7の穴を投入シュート11の上端に一致させると、スライド板7の穴の中のPZCが投入シュート11を通して反応容器8の底部の窪み24に落とされ、収納される。
【0065】
その後、モータ3の駆動とそれに伴う間欠回転伝達機構9の動作により、反応容器8が窪み24に1つ分だけ、つまり1ピッチ分だけ回転される。続いて、スライド板7が1往復し、その穴にPZC容器6からPZCを受け、これを投入シュート11に送り出し、反応容器8の底部の窪み24に落とし込む。これを反応容器8の底部の窪み24の数だけ繰り返すことにより、反応容器8の全ての窪み24にスライド板7の穴の容積に応じた定量のPZCが分配、供給される。
【0066】
こうして反応容器8の全ての窪み24に定量のPZCが供給された後、前記N2ガス供給パイプ28からN2ガスを圧送し、Mo99を含むMo溶液を満たしたMo容器14から反応容器8にMo99を含むMo溶液を供給する。Mo99を含むMo溶液は、反応容器8を間欠回転しながらPZCを収納したその窪み24に個々に供給してもよいが、図示の装置の例では、反応容器8の全ての窪み24の容積を僅かに超えるMo99を含むMo溶液を供給し、1回のMo99を含むMo溶液の供給で全ての窪み24にMo99を含むMo溶液がいきわたるようにするものである。
【0067】
このようにMo99を含むMo溶液を供給した後、ヒータ15で反応溶液を90℃で2〜3時間加熱し、窪み24の中のPZCにMo99を吸着反応させる。その後、PZC−Moスラリ供給配管16の反応容器8側の端部が下降し、その端部が反応容器8の窪み24の中のMo99を吸着したPZCスラリに浸漬される。続いて、モータ4の駆動の駆動とそれに伴う昇降伝達機構29の動作により、ニップルホルダ19が上昇し、第一の廃液配管23の上端のニードルがジェネレータカラム22の下端のゴム栓に差し込まれて接続される共に、ジェネレータカラム22がテーブル18から持ち上げられ、PZC−Moスラリ供給配管16の下端のニードルがジェネレータカラム22の上端のゴム栓に差し込まれて接続される。
【0068】
続いて、真空ポンプ25により第一の廃液タンク27が減圧されると、ジェネレータカラム22も減圧され、これにより反応容器8の一つの窪み24からMo99を吸着したPZCのスラリがジェネレータカラム22内に吸引される。図示してないが、ジェネレータカラム22の下端側にはガラス製フィルタが張られており、ジェネレータカラム22内にはMo99を吸着したPZCのスラリのみが残り、廃液のみが第一の廃液配管23を通して第一の廃液タンク27に吸引される。
【0069】
こうして1つのジェネレータカラム22内にMo99を吸着したPZCのスラリが充填された後、PZC−Moスラリ供給配管16の反応容器8側の端部が上昇し、その端部が反応容器8の窪み24から上に持ち上げられる。同時に或いはこれと前後して、モータ4の駆動の駆動とそれに伴う昇降伝達機構29の動作により、ニップルホルダ19が下降し、ジェネレータカラム22がテーブル18に戻されると共に、第一の廃液配管23の上端とPZC−Moスラリ供給配管16の下端のニードルがジェネレータカラム22の上下のゴム栓から抜き出され、切り離される。
【0070】
その後、モータ5の駆動とそれに伴う間欠回転伝達機構20の動作により、テーブル18がジェネレータカラム22の1個分、つまり1ピッチ分だけ回転し、次のジェネレータカラム22が第一の廃液配管23の上端とPZC−Moスラリ供給配管16の下端の間に搬送される。同時に、モータ3の駆動とそれに伴う間欠回転伝達機構9の動作により、反応容器8が窪み24に1つ分だけ、つまり1ピッチ分だけ回転される。
【0071】
以下、同様にして次のジェネレータカラム22に反応容器8の次の窪み24からMo99を吸着したPZCのスラリが充填される。これを反応容器8の底部の窪み24とジェネレータカラム22の数だけ繰り返すことにより、反応容器8の全ての窪み24から全てのジェネレータカラム22にMo99を吸着したPZCのスラリが充填される。その後、取っ手をつかんでテーブル18を間欠回転伝達機構20のシャフトの上端から外し、Mo99を吸着したPZCのスラリが充填されたジェネレータカラム22を回収する。
【0072】
次に、図示してない洗浄水供給源から洗浄配管13を通して前記反応容器8に洗浄水を供給する。これと同時に、真空ポンプ25により第二の廃液タンク26を減圧しながら、排水配管17を通して反応容器8から洗浄水を排水し、この排水配管17を第二の廃液タンク26に回収する。以上で、Mo99を吸着したPZCのスラリが充填された8つのジェネレータカラム22が完成する。8つのジェネレータカラム22にMo99を吸着したPZCのスラリを充填するときは、前記の動作を繰り返す。
【0073】
このようなMo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置では、前述のようにして高レベルのMo99をPZCに担持させた後、ジェネレータカラム22に充填する工程を行うため、その装置は高レベルの放射性元素の取り扱いが可能な鉛ガラスの覗き窓が付いたホットセルと呼ばれる隔離された部屋に設置する必要がある。このため、前述した装置は、前記の一連の工程を複数回連続して自動的に行うようにし、ホットセルの外からの人的操作を省略出来るようにする。
【0074】
前述のようにしてMo99を吸着したPZCのスラリが充填されたジェネレータカラム22は、核医学の診断を行う医療機関に供給され、そこで図1と図2に示したような装置により、生理食塩水中にTc99mを抽出する。そしてこのTc99mを含む生理食塩水溶液を核医学の診断に使用する。
【0075】
【実施例】
次に、本発明のより具体的な実施例を、数値データと共に説明する。
(実施例1)
図1と図2により前述した装置を使用し、2つのジェネレータカラムからTc99mを10mlの生理食塩水で溶離した。Tc99mの溶離は毎日1回行い、9日間行なった。表1に示すように、2つのジェネレータカラム共にTc99mの溶離率は殆ど毎日90%以上の値を示した。
【0076】
【表1】
Figure 0004386631
【0077】
図3は、前述のようにしてジェネレータカラムから生理食塩水でTc99mの溶離を開始してから最大10mlの生理食塩水で溶離を行うまでの1ml毎のTc99mの溶離プロファイルを最終の放射能を100%として示した。この溶離プロファイルからTc99mは少なくも8mlの生理食塩水で溶離量がほぼ飽和することが明らかである。また、生理食塩水溶離液の2〜3mlがTc99mの溶離率のピークである。
【0078】
図4は前述のようにしてジェネレータカラムから10mlの生理食塩水で溶離したTc99mの累積放射能を最終値を100として示した。この結果からも、Tc99mは少なくも8mlの生理食塩水で溶離量がほぼ飽和することが明らかである。
【0079】
図5は、前述したように、2つのジェネレータカラムからTc99mを10mlの生理食塩水で毎日1回9日間溶離したときのTc99mの溶離率とMo99の脱離率を示す。このグラフから明らかな通り、Tc99mの溶離率に比べてMo99の脱離率はごく僅かであった。
【0080】
(実施例2)
実施例1で得られた過テクネチウム酸Tc99mO4 -でピロリン酸を標識した。この標識化反応は一時間で80%以上の反応率が得られた。
この標識化した溶液をネズミに注射し、各臓器の集積放射能を測定した。この生体分布の結果を核分裂から製造したMo99−Tc99mジェネレータからの結果と比較した。図6は、注射してから一時間後のネズミの各臓器毎の集積放射能を示す。
【0081】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によるMo99−Tc99mジェネレータシステムでは、少量の放射性廃棄物しか生み出さず、複雑なプロセス設備を必要とせずにTc99mを簡単に溶離出来る。この中性子捕獲によるTc99mの製造のターゲット材料は天然Moである。従って、製造に核分裂を伴わず、気体放射性核種を含めた高レベル放射性廃棄物を生み出すことはない。こに伴い、複雑な施設が不要である。また、厳重な警備を必要とする核兵器に使われる材料の必要性がなくなる。さらに、天然Moは手に入りやすく、環境への影響も殆どない。
【0082】
さらに、本発明によるMo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置を使用することにより、Mo99−Tc99mジェネレータ用カラムを安定して比較的多量に製造し、核医療診断を行う医療機関等に供給出来る。これにより核医療診断を行う医療機関等では、そのカラムを使用して前記Mo99−Tc99mジェネレータシステムを使用して生理食塩水中に容易に溶離させて使用することが出来る。これにより、核医療診断がより容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Mo99を吸着したPZCをカラムに詰め、このカラムの中のMo99が吸着されたPZCに生理食塩水を通し、この生理食塩水にTc99mのみ選択的に溶離させる。ジェネレータシステムの例を示す概略図である。
【図2】Mo99を吸着したPZCをカラムに詰め、このカラムの中のMo99が吸着されたPZCに生理食塩水を通し、この生理食塩水にTc99mのみ選択的に溶離させる。ジェネレータシステムの他の例を示す概略図である。
【図3】前記ジェネレータカラムから生理食塩水でTc99mの溶離を開始してから最大10mlの生理食塩水で溶離を行うまでのTc99mの溶離プロファイルを最終の放射能を100%として示したグラフである。
【図4】前記ジェネレータカラムから10mlの生理食塩水で溶離したTc99mの累積放射能を最終値を100として示したグラフである。
【図5】前記ジェネレータカラムからTc99mを10mlの生理食塩水で毎日1回9日間溶離したときのTc99mの溶離率とMo99の脱離率を示すグラフである。
【図6】前記ジェネレータカラムから溶離したTc99mをピロリン酸の標識化に使用し、この標識化した溶液をネズミに注射し、注射してから一時間後のネズミの各臓器毎の集積放射能を示すグラフである。
【図7】Mo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置の全体を示す一部を断面した側面図である。
【図8】前記Mo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置の全体を示す一部を断面した平面図である。
【図9】前記Mo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置に使用する反応容器の平面図である。
【図10】前記Mo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置に使用する反応容器の縦断側面図である。
【符号の説明】
6 PZC
7 スライド板
8 反応容器
11 投入シュート
12 Mo溶液供給パイプ
13 洗浄配管
14 Mo供給容器
15 ヒータ
16 PZC−Moスラリ供給配管
17 排水配管
22 ジェネレータカラム
24 反応容器の窪み
23 廃液配管
25 真空ポンプ
26 廃液タンク
27 廃液タンク
61 生理食塩水を満たした容器
66 ジェネレータカラム
71 後段カラム
75 回収容器

Claims (6)

  1. モリブデン(以下「Mo」と記す)を含む水溶液からMoのみを吸着する下記の化3で表わされる(A)、 (B)、 (C)の繰返し単位から主としてなる骨格構造を有し、繰返し単位 (A)、 (B)、 (C) の含有量により分岐構造が制御されるジルコニウム系無機高分子(以下「PZC」と記す)を、放射性同位元素であるMo99から生成するテクネチウム(以下「Tc」と記す)99mを溶離することができるMo吸着担持体として用い、このMo吸着担持体からTc99mを溶離させる溶液として酸化剤を含む生理食塩水を用いることを特徴とするMo99−Tc99mジェネレータシステム。
    Figure 0004386631
  2. 前記請求項1に記載のPZCを用いるMo99−Tc99mジェネレータシステムにおいて、Moの天然同位体組成を有するMoOを中性子照射し、それをアルカリ溶液で溶解させた後PZCへ吸着担持させ、そのMo99吸着PZCをTc99mジェネレータ用のカラムへ装着したことを特徴とするMo99−Tc99mジェネレータシステム。
  3. 前記請求項1または2に記載のPZCを用いるMo99−Tc99mジェネレータシステムにおいて、そのジェネレータシステムからTc99mを溶離させる溶液として、酸化剤として0.5%のNaOClまたは0.1%のKCrを含む生理食塩水を用いることを特徴とするMo99−Tc99mジェネレータシステム。
  4. 前記請求項3に記載のPZCを用いるMo99−Tc99mジェネレータシステムにおいて、Tc99mの溶離液である生理的食塩水中にMo99吸着PZCカラムから脱離してくる少量のMo99だけを吸着除去するため、アルミナや活性炭をカラムに詰めMo99−Tc99mジェネレータカラムの後段に設置し、高純度のTc99m溶離液を得ることを特徴とするMo99−Tc99mジェネレータシステム。
  5. Mo99−Tc99mジェネレータ用カラムを製造する装置であって、反応容器の底壁に定量の下記の化3で表わされる(A)、 (B)、 (C)の繰返し単位から主としてなる骨格構造を有し、繰返し単位 (A)、 (B)、 (C) の含有量により分岐構造が制御されるジルコニウム系無機高分子(以下「PZC」と記す)が分配供給される窪みを有し、この反応容器の窪みに一定量のPZCを分取して入れる機構、PZCが分配供給された前記反応容器の窪みにMo99を含むMo溶液を一定量注入して加温反応できる機構、Moを吸着したPZCを洗浄しながらジェネレータカラムへ充填するための供給機構、以上の操作が複数回繰り返し行える機構を有することを特徴とするMo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置。
    Figure 0004386631
  6. 前記請求項5に記載のMo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置において、PZCのMo吸着反応のため反応容器を加温するヒーターと、PZCのMo吸着反応の終了後にMo溶液の上澄み液を廃棄するための配管とその減圧吸引機構、Mo吸着PZCを水洗浄する機構と洗浄を繰り返しながらジェネレータカラムへそのMoを吸着したPZCを移送する供給機構を有することを特徴とするMo99−Tc99mジェネレータ用カラムの製造装置。
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