JP4384796B2 - 車両用ドアにおけるモジュールパネルのシール構造 - Google Patents

車両用ドアにおけるモジュールパネルのシール構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アウターパネルとともにドアパネル本体を構成するインナーパネルに開口部が設けられ、少なくともウインドレギュレータが組付けられモジュールパネルが、前記開口部を塞いで前記インナーパネルに締結される車両用ドアにおいて、モジュールパネルおよびインナーパネル間のシール構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
モジュールパネルは、ウインドレギュレータ等を車両用ドアに組付けるにあたり、予め組立てられたウインドレギュレータ等をモジュールパネルに取付けておき、車両用ドアの組立性向上を図るために用いられるものであり、ドアパネル本体内にウインドレギュレータ等を挿入するためにインナーパネルに設けられた開口部をインナーパネルに締結されており、モジュールパネルおよびインナーパネル間をシールするために、従来では、開口部の全周にわたる無端状のシール部材がモジュールパネルおよびインナーパネル間に介装されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、無端状のシール部材を用いた上記従来のようなシール構造では、シール部材の材料費が比較的大となり、しかもシール部材をモジュールパネルおよびインナーパネル間に挟み込む作業が煩雑であり、モジュールパネルのドアパネル本体への組付時の組付工数が増大している。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、シール部材として必要な材料費の低減を図るとともにモジュールパネルの組付工数低減を可能とした車両用ドアにおけるモジュールパネルのシール構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、アウターパネルとともにドアパネル本体を構成するインナーパネルに開口部が設けられ、少なくともウインドレギュレータが組付けられモジュールパネルが、前記開口部を塞いで前記インナーパネルに締結される車両用ドアにおいて、前記開口部からドアパネル本体内に挿入される前記モジュールパネルが、該モジュールパネルの上部および下部を前記開口部の上縁部および下縁部の全長にわたってインナーパネルのアウターパネル側側面に接触させた状態で、ドアパネル本体の内方側から前記インナーパネルに締結され、前記ウインドレギュレータで上限位置に上昇せしめられたウインドガラスの下端よりも上方に上端位置が設定される前記モジュールパネルと、前記開口部の両側縁部との間にのみ、紐状のシール部材がそれぞれ介装されることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、モジュールパネルの下部が開口部の下縁部の全長にわたってインナーパネルのアウターパネル側側面に接触することにより、ウインドガラスの外面を伝わってドアパネル本体内に水が浸入したとしても開口部の下縁部から車室側に水が浸入することが極力抑制される。また上限位置に在るウインドガラスの下端よりも上方に上端位置が設定されるモジュールパネルの上部が開口部の上縁部の全長にわたってインナーパネルのアウターパネル側側面に接触するので、ドアパネル本体内に浸入した水がウインドガラスの下端からモジュールパネルの上端位置まで上方に回り込むことはなく、モジュールパネルの上部および開口部の上縁部間から車室側に水が洩れることはない。したがって、シール部材を開口部の両側縁部およびモジュールパネル間にそれぞれ介装するのみで、開口部の全周にわたるシールが可能となり、シール部材として必要な材料費を節減することができる。また紐状のシール部材をモジュールパネルおよびインナーパネル間に挟み込むのは簡単であり、モジュールパネルのドアパネル本体への組付時の組付工数を低減することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1〜図12は本発明の一実施例を示すものであり、図1はドアパネルを車室側から見た側面図、図2はウインドガラスが上限位置に在る状態での図1の2−2線に沿うドアパネルの断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4はモジュールパネルを取外した状態でのドアパネル本体の車室側から見た側面図、図5はモジュールパネルを車室側から見た側面図、図6はモジュールパネルを車室とは反対側から見た側面図、図7は図1の7矢示部拡大図、図8は図7の8−8線断面図、図9は図1の9矢示部拡大図、図10は図9の10−10線断面図、図11は図1の11−11線断面図、図12は図1の12−12線断面図である。
【0009】
先ず図1〜図4において、たとえば乗用車両の右前部サイドドアである車両用ドアのドアパネル21は、上部に窓26が形成されるようにしてアウターパネル24およびインナーパネル25が溶接されて成るドアパネル本体22と、インナーパネル25に設けられた開口部27を塞ぐようにしてインナーパネル25に締結されるモジュールパネル23とで構成され、インナーパネル25およびモジュールパネル23の車室側側面は、ドアパネル本体22に取付けられる化粧板(図示せず)で覆われる。
【0010】
前記モジュールパネル23には、少なくともウインドレギュレータ29が予め組付けられるものであり、この実施例では、前記ウインドレギュレータ29と、該ウインドレギュレータ29に昇降用動力を付与する昇降駆動用モータ30とがモジュールパネル23に組付られている。
【0011】
図5および図6を併せて参照して、モジュールパネル23は、前記開口部27からドアパネル本体22内に挿入されて開口部27を塞ぎ得るようにして四角形状に形成される。
【0012】
ドアパネル本体22内に挿入されたモジュールパネル23のアウターパネル24側側面には、インナーパネル25における開口部27の上縁部に対応して車両の前後方向に間隔をあけた3つのウエルドナット41…と、前記開口部27の下縁部に対応して車両の前後方向に間隔をあけた3つのウエルドナット42…と、車両の前後方向に沿う前記開口部27の前縁部に対応した単一のウエルドナット43と、車両の前後方向に沿う前記開口部27の後縁部に対応した単一のウエルドナット44とが固着される。而してモジュールパネル23のインナーパネル25への締結時には、車室側から前記開口部27の周縁部に挿通されるボルト45,45…が前記各ナット41…,42…,43,44にそれぞれ螺合され、各ボルト45,45…の締付によりモジュールパネル23がインナーパネル25に締結される。
【0013】
図7および図8において、モジュールパネル23の上部には、該モジュールパネル23を横方向にスライドさせることを可能として開口部27の上縁部の車室側側面に係合するフック46が設けられ、このフック46はたとえば切起し等によりモジュールパネル23と一体に形成される。またインナーパネル25において前記開口部27の上縁部には、前記フック46の挿脱を可能とした切欠き47が設けられる。
【0014】
図9および図10を併せて参照して、開口部27の下縁部でインナーパネル25には、車両の前後方向に間隔をあけた複数たとえば3つの係合溝48…が開口部27にそれぞれ開口するようにして設けられる。これらの係合溝48…には、開口部27の下縁部に対応してモジュールパネル23に設けられている3つのウエルドナット42…にそれぞれ螺合されるボルト45…を、それらのボルト45…の仮締め状態で係合させることが可能である。
【0015】
しかも各係合溝48…は、フック46が切欠き47に対応する位置にあるときに仮締め状態にある前記ボルト45…に対応した位置で上下に延びて開口部27に開口する縦溝部48aと、該縦溝部48aの下端に連なって車両の前後方向に沿う前方側(図10の左方側)に延びる横溝部48bとをそれぞれ有するものであり、フック46を開口部27の上縁部の車室側側面に係合させた状態のモジュールパネル23を正規の取付け位置にスライドさせたときにボルト45…が縦溝部48aから横溝部48bの先端に移動するようにして、それぞれL字状に形成される。
【0016】
また車両の前後方向に沿う開口部27の前縁部には、ウエルドナット43に仮閉めされたボルト45を、前記モジュールパネル23が正規の取付け位置へスライドするのに応じて挿通せしめる挿通溝49が開口部27側に開放するようにして設けられる。さらに車両の前後方向に沿う開口部27の後縁部には、正規の取付け位置にあるモジュールパネル23のウエルドナット44に螺合されるボルト45を挿通せしめる挿通孔50が設けられ、開口部27の上縁部には、各ボルト45…を挿通せしめる挿通孔51…が各ウエルドナット41…に対応して設けられる。
【0017】
図6に特に注目して、ウインドガラス28を昇降させるウインドレギュレータ29は、車両の前後方向に沿うモジュールパネル23の両端部で車室とは反対側の側面に一体に形成されて後上がりにわずかに傾斜するようにして上下に並行に延びる第1および第2ガイドレール52,53と、ウインドガラス28を保持するとともに第1および第2ガイドレール52,53に沿ってそれぞれ移動可能な第1および第2キャリア54,55と、両キャリア54,55を同期して駆動する駆動手段56とを備える。
【0018】
駆動手段56は、第1および第2ガイドレール52,53間でモジュールパネル23に回転自在に支持される回転ドラム57と、該回転ドラム57の一方向58への回転に応じて第1キャリア54を上方に牽引する第1ワイヤ59と、第1および第2キャリア54,55間を結ぶ第2ワイヤ60と、前記回転ドラム57の前記一方向58とは反対方向への回転に応じて第2キャリア55を下方に牽引する第3ワイヤ61とを備える。
【0019】
一端が回転ドラム57に巻掛け連結される第1ワイヤ59の中間部は、第1ガイドレール52の上部に対応してモジュールパネル23に軸支されるプーリ62に巻掛けられる。また第1ワイヤ59の他端は、第1キャリア54に収納されるばね(図示せず)および第1キャリア54を介して第2ワイヤ60の一端に連結される。
【0020】
第2ワイヤ60は、第1ガイドレール52の下部に対応した位置でモジュールパネル23に軸支されるプーリ63と、第2ガイドレール53の上部に対応した位置でモジュールパネル23に軸支されるプーリ64とに巻掛けられる。また第2ワイヤ43の他端は、第2キャリア55に収納されるばね(図示せず)および第2キャリア55を介して第3ワイヤ61の一端に連結される。
【0021】
第3ワイヤ61は、第2ガイドレール53の下部に対応した位置でモジュールパネル23に固定される巻掛け片65に巻掛けられ、回転ドラム57への第1ワイヤ59の連結方向とは逆方向から第3ワイヤ61の他端が該回転ドラム57に巻掛け、連結される。
【0022】
前記回転ドラム57は、正・逆回転を自在に切換え得る昇降駆動用モータ30で駆動されるものであり、該昇降駆動用モータ30は、車両の前後方向に沿うベースパネル35の中間部における車室側側面に取付けられる。
【0023】
図2に特に注目して、ウインドレギュレータ29および昇降駆動用モータ30が組付られたモジュールパネル23は、ドアパネル本体22の内方側からインナーパネル25に締結されるものであり、そのインナーパネル25への締結状態で、ウインドレギュレータ29により上限位置に上昇せしめられたウインドガラス28の下端よりも上方にモジュールパネル23の上端位置が在るように、モジュールパネル23が形成される。
【0024】
しかもモジュールパネル23は、その上部および下部を開口部27の上縁部および下縁部の全長にわたってインナーパネル25のアウターパネル24側側面に接触させるようにしてインナーパネル25に締結される。
【0025】
また図11および図12で明示するように、開口部27の両側縁部と、モジュールパネル23との間には、紐状のシール部材67,68がそれぞれこれらの部分にのみ介装されるものであり、それらのシール部材67,68はモジュールパネル23に貼着される。
【0026】
さらにドアパネル21を車体に係合させたロック状態を保持可能であるドアロック装置31が、ねじ部材71…によりドアパネル本体22に締結される。
【0027】
次にこの実施例の作用について説明すると、ドアパネル本体22のインナーパネル25に設けられた開口部27からドアパネル本体22内に挿入されるモジュールパネル23が、開口部27を塞ぐようにしてドアパネル本体22の内方側からインナーパネル25に締結されており、該モジュールパネル23の下部は開口部27の下縁部の全長にわたってインナーパネル25のアウターパネル24側側面に接触している。このためウインドガラス28の外面を伝わってドアパネル本体22内に水が浸入したとしても開口部27の下縁部から車室側に水が浸入することが極力抑制される。
【0028】
またモジュールパネル23の上部は開口部27の上縁部の全長にわたってインナーパネル25のアウターパネル24側側面に接触しており、しかもモジュールパネル23に組付けられたウインドレギュレータ29で上限位置に上昇せしめられたウインドガラス28の下端よりも上方にモジュールパネル23の上端位置が設定される。このためドアパネル本体22内に浸入した水がウインドガラス28の下端からモジュールパネル23の上端位置まで上方に回り込むことはなく、モジュールパネル23の上部および開口部27の上縁部間から車室側に水が洩れることはない。
【0029】
このように開口部27の上縁部および下縁部から車室側への水の浸入を極力抑制可能とすることにより、シール部材67,68を開口部27の両側縁部およびモジュールパネル23間にのみそれぞれ介装するだけで、開口部27の全周にわたるシールが可能となり、シール部材67,68として必要な材料費を節減することができる。
【0030】
また紐状のシール部材67.68をモジュールパネル23およびインナーパネル25間に挟み込むのは簡単であり、モジュールパネル23のドアパネル本体22への組付時の組付工数を低減することができる。
【0031】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、モジュールパネルの上部および開口部の上縁部間ならびにモジュールパネルの下部および開口部の下縁部間から車室側に水が洩れることを極力抑制し、シール部材を開口部の両側縁部およびモジュールパネル間にのみそれぞれ介装するだけで開口部の全周にわたるシールを可能とし、シール部材として必要な材料費を節減することができる。また紐状のシール部材をモジュールパネルおよびインナーパネル間に挟み込むのは簡単であるので、モジュールパネルのドアパネル本体への組付時の組付工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドアパネルを車室側から見た側面図である。
【図2】ウインドガラスが上限位置に在る状態での図1の2−2線に沿うドアパネルの断面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】モジュールパネルを取外した状態でのドアパネル本体の車室側から見た側面図である。
【図5】モジュールパネルを車室側から見た側面図である。
【図6】モジュールパネルを車室とは反対側から見た側面図である。
【図7】図1の7矢示部拡大図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】図1の9矢示部拡大図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】図1の11−11線断面図である。
【図12】図1の12−12線断面図である。
【符号の説明】
22・・・ドアパネル本体
23・・・モジュールパネル
24・・・アウターパネル
25・・・インナーパネル
27・・・開口部
28・・・ウインドガラス
29・・・ウインドレギュレータ
67,68・・・シール部材

Claims (1)

  1. アウターパネル(24)とともにドアパネル本体(22)を構成するインナーパネル(25)に開口部(27)が設けられ、少なくともウインドレギュレータ(29)が組付けられモジュールパネル(23)が、前記開口部(27)を塞いで前記インナーパネル(25)に締結される車両用ドアにおいて、
    前記開口部(27)からドアパネル本体(22)内に挿入される前記モジュールパネル(23)が、該モジュールパネル(23)の上部および下部を前記開口部(27)の上縁部および下縁部の全長にわたってインナーパネル(25)のアウターパネル(24)側側面に接触させた状態で、ドアパネル本体(22)の内方側から前記インナーパネル(25)に締結され、前記ウインドレギュレータ(29)で上限位置に上昇せしめられたウインドガラス(28)の下端よりも上方に上端位置が設定される前記モジュールパネル(23)と、前記開口部(27)の両側縁部との間にのみ、紐状のシール部材(67,68)がそれぞれ介装されることを特徴とする車両用ドアにおけるモジュールパネルのシール構造。
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