JP4384259B2 - 保護膜付きレンズ及びその製造方法 - Google Patents

保護膜付きレンズ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4384259B2
JP4384259B2 JP2009524381A JP2009524381A JP4384259B2 JP 4384259 B2 JP4384259 B2 JP 4384259B2 JP 2009524381 A JP2009524381 A JP 2009524381A JP 2009524381 A JP2009524381 A JP 2009524381A JP 4384259 B2 JP4384259 B2 JP 4384259B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
protective film
lens
pad
shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009524381A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2009013872A1 (ja
Inventor
範久 高原
夕佳 岡田
晶子 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP4384259B2 publication Critical patent/JP4384259B2/ja
Publication of JPWO2009013872A1 publication Critical patent/JPWO2009013872A1/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B3/00Simple or compound lenses
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29DPRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
    • B29D11/00Producing optical elements, e.g. lenses or prisms
    • B29D11/00865Applying coatings; tinting; colouring
    • G02B1/105
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/14Protective coatings, e.g. hard coatings
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B3/00Simple or compound lenses
    • G02B3/02Simple or compound lenses with non-spherical faces
    • G02B3/08Simple or compound lenses with non-spherical faces with discontinuous faces, e.g. Fresnel lens

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Ophthalmology & Optometry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Printing Methods (AREA)

Description

本発明は、レンズ機能を有する領域の表面に保護膜が形成された保護膜付きレンズ及びその製造方法に関する。
従来、コンタクトレンズ、カメラ用レンズ、CDやDVDなどの光ピックアップ用レンズには、種々の目的で、レンズ表面に保護膜が形成される場合がある。保護膜としては、例えば、レンズ表面で光が反射するのを防止するための反射防止保護膜、レンズ表面が傷付くのを防止するためのハードコート保護膜、レンズ基材の色収差を補正するための屈折率調整保護膜などがある。このような保護膜を形成する方法として、保護膜の形状あるいは被覆状態がレンズ性能に大きな影響を及ぼす場合、金型成形が用いられる。金型成形では、レンズ基材を保護膜形成用金型にセットし、レンズ基材と保護膜形成用金型との間に保護膜となる塗料を流し込み、塗料を硬化した後に、金型からレンズを取り出す。この金型成形では、形成される保護膜の形状は、保護膜形成用金型によって規定されるため、所望の形状および被覆性を有する保護膜が得られる。
しかしながら、この金型成形は大量生産を想定した場合、高価である金型が多数必要となり、また、時間当たりの生産数も限られるため、生産コストにおいて不利であるという問題を抱えている。
このような問題に対し、レンズのような曲面を有する基材上に保護膜を低コストで生産性良く形成する方法として、パッド印刷およびスクリーン印刷が知られている。
パッド印刷の工法を図24A〜図24Fを用いて説明する。最初に、図24Aに示すように、印刷版241の所望の印刷パターンにパターニングされた凹部内に塗料242を充填する。次に、図24Bに示すように印刷版241にパッド243を圧着し、図24Cに示すように塗料242を印刷版241からパッド243に転写させる。次に、図24Dに示すように、パッド243を被印刷物244上に移動する。そして、図24Eに示すように被印刷物244にパッド243を圧着することにより、図24Fに示すように塗料242をパッド243から被印刷物244に転写させる。この工法において、パッド243として柔軟性のあるシリコンゴム製パッドを用いることにより、被印刷物244が凹凸のある表面形状を有していても、パッド243がその形状に追従して変形するので、良好な印刷物を得られる。
パッド印刷を用いてレンズの表面に保護膜を形成する方法が特許文献1に開示されている。特許文献1では、色付きコンタクトレンズを製造する際に、コンタクトレンズ上にベース層および色付き層を形成する方法として、パッド印刷が用いられている。即ち、光学部品型の成形面にベース層および色付き層をパッド印刷した後、型にレンズ材料を充填・硬化することによって、色付きコンタクトレンズを得ている。
また、スクリーン印刷を用いてレンズの表面に保護膜を形成する方法が特許文献2に開示されている。特許文献2では、プラスチックレンズの染色方法として、スクリーン印刷が用いられている。即ち、プラスチックレンズの凸面の湾曲形状と略同一の湾曲形状で窪む様に加工されたエッジを有するスキージを用いて、プラスチックレンズを回転させながら、スクリーン印刷することによって、着色層が形成されたプラスチックレンズを得ている。
特表2004−533629号公報 特許第3758857号明細書
しかしながら、例えば、デジタルスチルカメラやカメラ付き携帯電話に使用されるレンズのように、レンズ機能を有する曲面部とその周辺の平面部とで構成されるレンズに対してパッド印刷またはスクリーン印刷を用いた場合、平面部と曲面部との境界部分では、パッドまたはスキージングの際に変形したスクリーンが曲面部の周辺部分に接触しにくい。そのため、曲面部の全領域を均一な膜厚の保護膜で被覆して、曲面部の表面形状と保護膜の表面形状とをほぼ一致させることによって、集光性を高めるように設計しても、曲面部の周辺部分に保護膜が形成されないことによって保護膜の表面形状が不良となり、レンズの集光性が低下するという課題があった。
本発明は、上記の従来の課題を解決し、レンズ機能を有する曲面部の全領域が、この曲面部の表面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜で被覆された安価な保護膜付きレンズを提供することを目的とする。また、本発明は、このような保護膜付きレンズを低コストで生産性良く製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の保護膜付きレンズは、レンズ機能を有する第1領域と、前記第1領域の周囲に形成された、平面からなる第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域とを少なくとも一方の面に有するレンズ基材、及び、前記第1領域の表面に形成された保護膜を備える。前記第1領域は第2領域に対して突出している。前記第3領域は前記第1領域の全周囲にわたって形成されている。そして、前記第3領域の表面は、前記第1領域の表面形状に沿った曲面を前記第2領域にまで延長した仮想曲面に対して後退していることを特徴とする。
また、本発明の保護膜付きレンズの製造方法は、レンズ機能を有する第1領域と、前記第1領域の周囲に形成された、平面からなる第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域とを少なくとも一方の面に有し、前記第1領域は第2領域に対して突出しており、前記第3領域の表面は、前記第1領域の表面形状に沿った曲面を前記第2領域にまで延長した仮想曲面に対して後退しているレンズ基材を作成する工程と、前記第1領域の表面に保護膜を形成する工程とを備える。そして、前記保護膜を形成する工程において、前記保護膜を形成するための塗料を前記第1領域の表面にパッド印刷又はスクリーン印刷により付与することを特徴とする。
本発明によれば、レンズ基材が、第1領域と第2領域との間に、第1領域の表面形状に沿った曲面を第2領域にまで延長した仮想曲面に対して後退した表面を有する第3領域を有するので、低コストで生産性の優れたパッド印刷またはスクリーン印刷を用いて保護膜を形成しても、レンズ機能を有する第1領域の全領域に第1領域の表面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜を形成することができる。従って、集光特性が良好な保護膜付きレンズを提供することができる。
図1Aは、本発明の実施の形態1に係るレンズ基材の上面図である。 図1Bは図1Aの1B−1B線での矢視断面図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係る保護膜付きレンズの断面図である。 図3Aは、本発明の実施の形態2に係るレンズ基材の上面図である。 図3Bは図3Aの3B−3B線での矢視断面図である。 図4は、本発明の実施の形態2に係る保護膜付きレンズの断面図である。 図5Aは、本発明の実施の形態3に係るレンズ基材の上面図である。 図5Bは図5Aの5B−5B線での矢視断面図である。 図6Aは、本発明の実施の形態4に係るレンズ基材の上面図である。 図6Bは図6Aの6B−6B線での矢視断面図である。 図7Aは、比較例1に係るレンズ基材の上面図である。 図7Bは図7Aの7B−7B線での矢視断面図である。 図8は、比較例1に係る保護膜付きレンズの断面図である。 図9は、屈折レンズ上に形成された保護膜の膜厚の測定方法を説明する断面図である。 図10は、実施例1および比較例1の保護膜の膜厚の測定結果を示したグラフである。 図11は、実施例2および比較例2の保護膜の膜厚の測定結果を示したグラフである。 図12Aは、比較例3に係るレンズ基材の上面図である。 図12Bは図12Aの12B−12B線での矢視断面図である。 図13は、比較例3に係る保護膜付きレンズの断面図である。 図14は、回折格子レンズ上に形成された保護膜の膜厚の測定方法を説明する断面図である。 図15は、実施例3および比較例3の保護膜の膜厚の測定結果を示したグラフである。 図16は、実施例4および比較例4の保護膜の膜厚の測定結果を示したグラフである。 図17Aは、比較例5に係るレンズ基材の上面図である。 図17Bは図17Aの17B−17B線での矢視断面図である。 図18は、実施例5の保護膜の膜厚の測定結果を示したグラフである。 図19は、比較例5の保護膜の膜厚の測定結果を示したグラフである。 図20Aは、比較例6に係るレンズ基材の上面図である。 図20Bは図20Aの20B−20B線での矢視断面図である。 図21は、実施例6の保護膜の膜厚の測定結果を示したグラフである。 図22は、比較例6の保護膜の膜厚の測定結果を示したグラフである。 図23は、実施例7および比較例7の保護膜の膜厚の測定結果を示したグラフである。 図24Aは、従来のパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図24Bは、従来のパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図24Cは、従来のパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図24Dは、従来のパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図24Eは、従来のパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図24Fは、従来のパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図25Aは、本発明の実施例1におけるパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図25Bは、本発明の実施例1におけるパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図25Cは、本発明の実施例1におけるパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図25Dは、本発明の実施例1におけるパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図25Eは、本発明の実施例1におけるパッド印刷の一工程を示した断面図である。 図25Fは、本発明の実施例1におけるパッド印刷の一工程を示した断面図である。
本発明において保護膜とは、その表面形状がレンズ基材の第1領域の表面形状に概ね沿っており、その厚みが数μm〜数十μm程度の膜を意味する。
本発明の上記の保護膜付きレンズにおいて、前記第1領域の表面に回折格子形状が形成されていても良い。これにより、レンズ基材及び保護膜の材料と回折格子形状の段差とを適切に設定することにより、色収差が低減されたレンズを得ることができる。
本発明の上記の保護膜付きレンズにおいて、少なくとも一方の面に、複数の前記第1領域を有していても良い。これにより、複数の第1領域を介して得た複数の画像から複数の第1領域間の視差を求めることで被写体までの距離を測定することができる。
本発明の上記の保護膜付きレンズにおいて、第1領域の中心軸に対して第1領域の表面形状が回転対称であることが好ましい。また、第1領域の中心軸に対して第3領域の表面形状が回転対称であることが好ましい。更に、第1領域の中心軸は第2領域の面に対して垂直であることが好ましい。これらにより、パッド印刷またはスクリーン印刷を用いて、第1領域の中心軸に対する回転対称性に優れた保護膜を形成することができる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1Aは、本発明の実施の形態1に係るレンズ基材の上面図、図1Bは図1Aの1B−1B線での矢視断面図である。本発明の実施の形態1におけるレンズ基材10の一方の面は、レンズ機能を有する第1領域11と、第1領域11の周囲に形成された平面状の第2領域12と、第1領域11と第2領域12との間の第3領域13とからなる。第1領域11は第2領域12に対して突出し、その表面は所定の非球面形状を有している。この結果、第1領域11は屈折現象を利用したレンズ機能を発揮する。第1領域11の表面形状は第1領域11の中心軸15に対して回転対称である。図1Bにおいて、破線11aは、第1領域11の非球面形状に沿った曲面を第2領域12にまで延長した仮想曲面を示す。第3領域13の表面は、この仮想曲面11aに対して後退している。即ち、第3領域13の表面形状は、第1領域11の非球面形状に沿った曲面とは不連続である。第3領域13は、第2領域12に対して、第1領域11を厚み方向に嵩上げしている。第3領域13は、第1領域11を取り囲むようにその全周囲にわたって形成されており、第3領域13の表面形状は中心軸15に対して回転対称である。
本発明の実施の形態1の保護膜付きレンズは、上記のレンズ基材10の第1領域11の表面に保護膜を形成することにより得られる。
保護膜を形成する工法としては、パッド印刷またはスクリーン印刷を用いることができる。
パッド印刷は、図24A〜図24Fで説明したように、最初に、印刷形状がパターニングされた印刷版に塗料を充填し、印刷版にシリコン等からなる柔軟性を有するパッドを圧着し、塗料を印刷版からパッドに転写させ、パッドを被印刷物に圧着し、塗料をパッドから被印刷物に転写させる手法である。柔軟なパッドを媒介させて印刷を行うため、表面に曲面又は凹凸を有する被印刷物に対しても、良好な印刷を行うことが可能である。
一方、スクリーン印刷は、印刷形状がパターニングされたスクリーン版に塗料を充填し、被印刷物上にスクリーン版を接触させてスキージングすることにより、被印刷物に塗料を印刷する手法である。スクリーン印刷は、一般的に表面が平面である被印刷物に対して行われるが、柔軟性のある素材からなるスクリーン版を用いれば、レンズなどのように曲面を有する被印刷物に対しても印刷を行うことが可能である。
第1領域11がその周囲の第2領域12に対して嵩上げされているので、第1領域11の表面にパッド印刷またはスクリーン印刷を適用した場合、パッドまたはスクリーン版の変形の自由度が向上し、パッドまたはスクリーン版を第1領域11の全領域と容易に接触させることができる。従って、図2に示すように、第1領域11の全領域にわたってほぼ均一な膜厚を有する保護膜24が形成された保護膜付きレンズ20を得ることができる。保護膜24の表面形状は、保護膜24が形成される前の第1領域11の表面形状とほぼ一致し、これにより第1領域11に形成されたレンズの集光特性を高めることが可能となる。
上述したように、パッド印刷またはスクリーン印刷を用いて第1領域11に保護膜24を形成すると、図2に示すように、第2領域12と第3領域13との境界近傍には保護膜24は形成されにくい。しかしながら、第3領域13がレンズ機能に寄与しないようにレンズ20を設計しておくことにより、何ら問題は生じない。
本実施の形態1と異なり、第3領域13を設けない場合、即ち、第1領域11を第2領域12に対して嵩上げしない場合は以下の問題が生じる。第1領域11の表面にパッド印刷のパッド又はスクリーン印刷のスクリーン版を押し当てたとき、第1領域11の第2領域12近傍の周辺部分にまでパッド又はスクリーン版を接触させることが困難である。従って、第1領域11の周辺部分に保護膜を形成することができなかったり、第1領域11の周辺部分で保護膜の膜厚が薄くなったりする。
一方、第3領域13を第1領域11の表面形状に沿った曲面を延長した仮想曲面11a(図1B参照)に沿って形成した場合や、第3領域13の表面が仮想曲面11aよりも突出している場合には以下の問題が生じる。一般に、パッド印刷やスクリーン印刷では、塗料が付着する領域の周辺部では塗料の付着量が多くなりやすい。本実施の形態1では、第3領域13の表面が仮想曲面11aに対して後退しているので、仮想曲面11aと第3領域13の表面との間の空間に余剰な塗料を収納することができる。ところが、第3領域13の表面が仮想曲面11aに沿っていたり、仮想曲面11aよりも突出していたりすると、余剰な塗料を収納する空間が存在しないので、第1領域11の第3領域13近傍の周辺部分で保護膜の膜厚が厚くなりやすい。
即ち、本実施の形態では、第1領域11の周囲に、仮想曲面11aに対して後退した表面を有する第3領域13が設けられているので、第1領域11の周辺部にパッド又はスクリーン版が接触し難くなることによって第1領域11の周辺部分で保護膜の厚みが薄くなるという問題の発生を防止できる。さらに、パッド印刷やスクリーン印刷の特性によって第1領域11の周辺部分で保護膜の厚みが厚くなるという問題の発生も防止できる。かくして、本実施の形態によれば、第1領域11の全域にわたって均一な膜厚の保護膜24を形成することが可能となる。
更に、第3領域13の表面が仮想曲面11aに沿っていたり、仮想曲面11aよりも突出していたりする場合、レンズ機能に寄与しない第3領域13の、中心軸15を中心とする半径方向の幅が大きくなるので、第3領域13がレンズを小型化、集積化するのを妨げるという問題が生じる可能性がある。本実施の形態では第3領域13の表面が仮想曲面11aに対して後退しているので、このような問題は生じにくく、レンズの小型化、集積化が容易である。
以上のように、第3領域13は、第1領域11を第2領域12に対して嵩上げし、且つ、第3領域13の表面が第1領域11の表面形状に沿った曲面を延長した仮想曲面11aに対して後退していることにより、第1領域11の全領域にその表面形状とほぼ一致した表面を有する保護膜24を形成することができるのである。
第3領域13の大きさ(図1Aのように平面視したときの半径方向の幅)や高さ(図1Bにおいて第1領域11の第2領域12からの嵩上げ量)等は、パッド印刷のパッド又はスクリーン印刷のスクリーン版の第1領域11に対する接触状態等を考慮して適宜設定することができる。第3領域13の高さが高いほど、パッド印刷においては、パッド押し付け圧力が適正な範囲内である限り、保護膜24の厚みはパッドの硬度や形状の影響を受けにくくなり、スクリーン印刷においては、スクリーン版の押し付け圧力が適正な範囲内である限り、保護膜24の厚みはスクリーン版のテンションの影響を受けにくくなる。一般に、第3領域13の高さが第1領域11の厚みの10分の1以上であると、均一な厚みの保護膜24が得られやすくなる。但し、第3領域13の高さが高くなりすぎると、第2領域12に対して第1領域11が大きく突出するので、印刷時にパッドまたはスクリーン版に局所的な圧力が加わりやすくなり、それらが短寿命化しやすい。そのため、第3領域13の高さは第1領域11の厚みと同程度以下であることが好ましい。
第3領域13は、第1領域11及び第2領域12を備えた基材を得た後、第2領域12を厚み方向に切削するなどの手法により薄くすることによって形成しても良いし、第1領域11及び第2領域12を備えた基材を得る際に一体成形により同時に形成しても良い。
上記の説明では第1領域11の表面形状は非球面であったが、本発明はこれに限定されず、球面であっても良く、この場合も上記と同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
図3Aは、本発明の実施の形態2に係るレンズ基材の上面図、図3Bは図3Aの3B−3B線での矢視断面図である。本発明の実施の形態2におけるレンズ基材30の一方の面は、レンズ機能を有する第1領域31と、第1領域31の周囲に形成された平面状の第2領域12と、第1領域31と第2領域12との間の第3領域13とからなる。第1領域31は第2領域12に対して突出し、その表面は所定の球面又は非球面であるレンズ曲面にブレーズと呼ばれる階段状の段差が設けられた回折格子曲面形状を有している。第1領域31の表面形状は第1領域31の中心軸35に対して回転対称である。この結果、第1領域31は回折現象を利用したレンズ機能を発揮する。図3Bにおいて、破線31aは、第1領域31の表面形状に沿った曲面、即ち回折格子曲面(ブレース段差の上端を結ぶ曲面)を第2領域12にまで延長した仮想曲面を示す。第3領域13の表面は、この仮想曲面31aに対して後退している。即ち、第3領域13の表面形状は、第1領域31の表面形状に沿った曲面とは不連続である。第3領域13は、第2領域12に対して、第1領域31を厚み方向に嵩上げしている。第3領域13は、第1領域31を取り囲むようにその全周囲にわたって形成されており、第3領域13の表面形状は中心軸35に対して回転対称である。
本発明の実施の形態2の保護膜付きレンズは、上記のレンズ基材30の第1領域31の表面に保護膜を形成することにより得られる。
保護膜を形成する工法としては、実施の形態1で説明したのと同様に、パッド印刷またはスクリーン印刷を用いることができる。
実施の形態1と同様に、第1領域31がその周囲の第2領域12に対して嵩上げされているので、第1領域31の表面にパッド印刷またはスクリーン印刷を用いた場合、パッドまたはスクリーン版の変形の自由度が向上し、パッドまたはスクリーン版を第1領域31の全領域と容易に接触させることができる。従って、図4に示すように、第1領域31の全領域にわたって保護膜44が形成された保護膜付きレンズ40を得ることができる。保護膜44の表面形状は、保護膜44が形成される前の第1領域31の表面形状に沿った曲面形状とほぼ一致し、これにより第1領域31に形成されたレンズの集光特性を高めることが可能となる。
本実施の形態2でも、パッド印刷またはスクリーン印刷を用いて第1領域31に保護膜44を形成すると、図4に示すように、第2領域12と第3領域13との境界近傍には保護膜44は形成されにくい。しかしながら、第3領域13がレンズ機能に寄与しないようにレンズ40を設計しておくことにより、何ら問題は生じない。
本実施の形態2と異なり、第3領域13を設けない場合、即ち、第1領域31を第2領域12に対して嵩上げしない場合は以下の問題が生じる。
回折格子レンズでは段差形状が第1領域31の外周端近傍にまで形成されるので、第1領域31の表面にパッド印刷のパッド又はスクリーン印刷のスクリーン版を押し当てても、段差形状が設けられていない球面レンズや非球面レンズに比べて、その段差形状により第1領域31の外周端にパッド又はスクリーン版を接触させることが特に困難である。従って、第1領域31の周辺部分に保護膜を形成することができなかったり、第1領域31の周辺部分で保護膜の膜厚が薄くなったりする。
また、回折格子レンズでは、第1領域31内に形成された段差形状が、印刷時に塗料が第1領域31で移動し拡がるのを防止するので、段差形状が設けられていない球面レンズや非球面レンズに比べて、保護膜の膜厚の均一性を保つことが困難である。場合によっては、段差部に非印刷領域が生じ、これが第1領域31内に気泡として残存する場合がある。これを防止するためには、回折格子レンズに対するパッド又はスクリーン版の押し付け圧力を厳密に制御して、回折格子レンズとパッド又はスクリーン版との良好な接触を確保することが重要である。第1領域31を第2領域12に対して嵩上げする第3領域13は、第1領域31とパッド又はスクリーン版との接触性を向上させるので、回折格子形状が形成された第1領域31に保護膜44を形成する場合に特に有効である。
一方、第3領域13を第1領域31の表面形状に沿った曲面を延長した仮想曲面31a(図3B参照)に沿って形成した場合や、第3領域13の表面が仮想曲面11aよりも突出している場合には、実施の形態1で説明したように、第1領域31の第3領域13近傍の周辺部分で保護膜の膜厚が厚くなりやすい。
即ち、実施の形態1で説明したように、本実施の形態でも第1領域11の周囲に、仮想曲面11aに対して後退した表面を有する第3領域13が設けられているので、第1領域31の周辺部分で保護膜の厚みが薄くなったり又は厚くなったりするという問題の発生を防止できる。かくして、本実施の形態によれば、第1領域31の全域にわたって均一な膜厚の保護膜44を形成することが可能となる。
更に、実施の形態1で説明したように、本実施の形態でも第3領域13の表面が仮想曲面11aに対して後退しているので、レンズの小型化、集積化が容易である。
以上のように、第3領域13は、第1領域31を第2領域12に対して嵩上げし、且つ、第3領域13の表面が第1領域31の表面形状に沿った曲面を延長した仮想曲面31aに対して後退していることにより、第1領域31の全領域にその表面形状とほぼ一致した表面を有する保護膜44を形成することができるのである。
第3領域13の大きさ(図3Aのように平面視したときの半径方向の幅)や高さ(図3Bにおいて第1領域31の第2領域12からの嵩上げ量)等は、パッド印刷のパッド又はスクリーン印刷のスクリーン版の第1領域31に対する接触状態等を考慮して適宜設定することができる。実施の形態1で説明したように、本実施の形態でも、第3領域13の高さは第1領域31の厚みの10分の1以上であることが、均一な厚みの保護膜44を得る観点から好ましい。一方、第3領域13の高さは第1領域31の厚みと同程度以下であることが、パッドまたはスクリーン版の短寿命化を防止する観点から好ましい。
回折格子レンズの表面に設けられる保護膜としては、カメラ等において色収差を補正するための屈折率調整用保護膜が知られている。回折格子上に、回折格子レンズの材料の波長に対する屈折率の変化(即ち、分散)を相殺するような分散を有する保護膜を形成した場合、広帯域にわたって高い回折効率が得られる。その結果、屈折率調整用保護膜を形成した回折格子レンズをカメラモジュールに組み込むと、色収差を低減することが可能となる。ある波長λにおいて保護膜付きレンズの1次回折効率が100%となるブレーズの段差dは、回折格子レンズの屈折率をnL、保護膜の屈折率をnPとすると、式(1)で与えられる。
d=λ/|nL−nP| ・・・(1)
式(1)の右辺が可視域全領域にわたって一定値になれば、可視域における回折効率の波長依存性がなくなることになり、色収差を低減することが可能となる。
本実施の形態2の保護膜付き回折格子レンズでは、回折格子の段差が波長以上であるため、保護膜44の表面は第1領域31の表面の凹凸によらず平滑に形成することが重要である。
第3領域13は、第1領域31及び第2領域12を備えた基材を得た後、第2領域12を厚み方向に切削するなどの手法により薄くすることによって形成しても良いし、第1領域31及び第2領域12を備えた基材を得る際に一体成形により同時に形成しても良い。
(実施の形態3)
図5Aは、本発明の実施の形態3に係るレンズ基材の上面図、図5Bは図5Aの5B−5B線での矢視断面図である。本発明の実施の形態3におけるレンズ基材50の一方の面には、レンズ機能を有する2個の第1領域51a,51b(これらを総称して「第1領域51」と呼ぶ)が設けられている。本実施の形態3のレンズ基材50は、レンズの数が2個である点を除いて実施の形態1のレンズ基材10と同じである。第1領域51a,51bの表面は同一の非球面形状を有している。第1領域51a,51bの表面形状は第1領域51a,51bの中心軸55a,55bに対して回転対称である。実施の形態1と同様に、第1領域51a,51bの周囲に平面状の第2領域12が形成されており、第1領域51a,51bと第2領域12との間に第3領域13が設けられている。第3領域13は、第1領域51a,51bを取り囲むようにその全周囲にわたって形成されており、第3領域13の表面形状は中心軸55a,55bに対して回転対称である。2個のレンズを備えた複眼構成とすることにより、レンズ間の視差を利用して三角測量の原理を用いて被写体までの距離を測定することができる。
本発明の実施の形態3の保護膜付きレンズは、上記のレンズ基材50の第1領域51a,51bの表面に実施の形態1と同様に保護膜を形成することにより得られる。実施の形態1と同様に、保護膜が形成される前の第1領域51a,51bの表面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜を形成することができ、これにより第1領域51a,51bに形成されたレンズの集光特性を高めることが可能となる。
一般に、同一面内に複数個のレンズが配置された多眼レンズのレンズ基材では、レンズ同士が近接して配置されることが多い。このようなレンズ基材の各レンズの第1領域に保護膜を形成する場合、特に各レンズ表面の隣のレンズに近い周辺部分では、パッド印刷のパッド又はスクリーン印刷のスクリーン版が第1領域の表面に接触しにくく、第1領域の全領域にわたって保護膜を形成することが困難である。しかしながら、本実施の形態3では、第3領域13が、第1領域51a,51bを第2領域12に対して嵩上げしているので、パッドまたはスクリーン版の変形の自由度が向上し、パッドまたはスクリーン版を第1領域51a,51bの全領域と容易に接触させることができる。従って、第1領域51a,51bの全領域にわたってほぼ均一な膜厚を有する保護膜が形成された保護膜付きレンズを得ることができる。
また、第3領域13の表面が、第1領域51a,51bの表面形状に沿った曲面を延長した仮想曲面に沿っていたり、仮想曲面よりも突出していたりする場合、レンズ機能に寄与しない第3領域13の、中心軸55a,55bを中心とする半径方向の幅が大きくなるので、第3領域13がレンズを小型化、集積化するのを妨げるという問題が生じる可能性がある。本実施の形態では第3領域13の表面が仮想曲面に対して後退しているので、このような問題は生じにくく、レンズの小型化、集積化が容易である。
上記の説明では第1領域51a,51bの表面形状は非球面であったが、本発明はこれに限定されず、球面であっても良く、この場合も上記と同様の効果が得られる。
(実施の形態4)
図6Aは、本発明の実施の形態4に係るレンズ基材の上面図、図6Bは図6Aの6B−6B線での矢視断面図である。本発明の実施の形態4におけるレンズ基材60の一方の面には、レンズ機能を有する2個の第1領域61a,61b(これらを総称して「第1領域61」と呼ぶ)が設けられている。本実施の形態4のレンズ基材60は、回折格子レンズの数が2個である点を除いて実施の形態2のレンズ基材30と同じである。第1領域61a,61bの表面は同一形状を有し、所定の球面又は非球面であるレンズ曲面にブレーズと呼ばれる階段状の段差が設けられた回折格子曲面形状を有している。第1領域61a,61bの表面形状は第1領域61a,61bの中心軸65a,65bに対して回転対称である。実施の形態2と同様に、第1領域61a,61bの周囲に平面状の第2領域12が形成されており、第1領域61a,61bと第2領域12との間に第3領域13が設けられている。第3領域13は、第1領域61a,61bを取り囲むようにその全周囲にわたって形成されており、第3領域13の表面形状は中心軸65a,65bに対して回転対称である。2個の回折格子レンズを備えた複眼構成とすることにより、レンズ間の視差を利用して三角測量の原理を用いて被写体までの距離を測定することができる。
本発明の実施の形態4の保護膜付きレンズは、上記のレンズ基材60の第1領域61a,61bの表面に実施の形態2と同様に保護膜を形成することにより得られる。実施の形態2と同様に、保護膜が形成される前の第1領域61a,61bの表面形状に沿った曲面とほぼ一致した表面形状を有する保護膜を形成することができ、これにより第1領域61a,61bに形成されたレンズの集光特性を高めることが可能となる。
一般に、同一面内に複数個の回折格子レンズが配置された多眼レンズのレンズ基材では、回折格子レンズ同士が近接して配置されることが多い。このようなレンズ基材の各レンズの第1領域に保護膜を形成する場合、特に各レンズ表面の隣のレンズに近い周辺部分では、パッド印刷のパッド又はスクリーン印刷のスクリーン版が第1領域の表面に接触しにくく、第1領域の全領域にわたって保護膜を形成することが困難である。しかしながら、実施の形態3と同様に、本実施の形態4では、第3領域13が、第1領域61a,61bを第2領域12に対して嵩上げしているので、パッドまたはスクリーン版の変形の自由度が向上し、パッドまたはスクリーン版を第1領域61a,61bの全領域と容易に接触させることができる。従って、第1領域61a,61bの全領域にわたってほぼ均一な膜厚を有する保護膜が形成された保護膜付きレンズを得ることができる。
また、第3領域13の表面が、第1領域61a,61bの表面形状に沿った曲面(即ち、回折格子曲面)を延長した仮想曲面に沿っていたり、仮想曲面よりも突出していたりする場合、レンズ機能に寄与しない第3領域13の、中心軸65a,65bを中心とする半径方向の幅が大きくなるので、第3領域13がレンズを小型化、集積化するのを妨げるという問題が生じる可能性がある。本実施の形態では第3領域13の表面が仮想曲面に対して後退しているので、このような問題は生じにくく、レンズの小型化、集積化が容易である。
上記の実施の形態1〜4は一例であり、本発明はこれらに限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、実施の形態3,4では、2個のレンズが設けられたレンズ基材を示したが、レンズの数はこれに限定されず3個以上であっても良く、その場合も上記と同様の効果が得られる。
実施の形態1〜4では、第1領域の中心軸を含む断面図において、第3領域13の外周面は該中心軸と平行な2直線であったが、本発明ではこれに限定されず、第1領域側より第2領域側で間隔が広いテーパ状の2直線や、第1領域と第2領域とを滑らかに結ぶ2曲線などであっても良い。
第1領域の中心軸は、実施の形態1〜4では第2領域の面に対して垂直であったが、第2領域の面に対して傾斜していても良い。また、第1領域及び第3領域は、実施の形態1〜4では第1領域の中心軸に対して回転対称であったが、第1領域及び第3領域の一方又は両方が第1領域の中心軸に対して回転非対称であってもよい。更に、第3領域の高さ(第2領域の面から第1領域の外周端までの、第2領域の面に対する法線方向に沿った距離)は、実施の形態1〜4では第1領域の周方向において一定であったが、第1領域の周方向において変化していても良い。例えば、第1領域の周方向において第3領域の高さがほとんどゼロに近い部分があっても、その部分の前記周方向の長さが極めて短い場合などのように、第1領域の全周囲にわたって第3領域が実質的に形成されていると認められるならば、そのような構成は本発明に含まれ、上記と同様の効果が得られる。
また、実施の形態1〜4では、レンズ基材の一方の面にレンズ(第1領域)が形成され、他方の面は平面であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、レンズ基材の両面にレンズが形成されていても良く、その場合も上記と同様の効果が得られる。
レンズ基材の両面にレンズを形成する場合、両面のレンズ形状は同一でも異なっていても良い。例えば、一方の面に非球面屈折レンズを形成し、他方の面に回折格子レンズを形成することができる。更に、レンズ基材の両面にレンズを形成する場合、保護膜を、両面のレンズに形成しても良いし、一方の面のレンズのみに形成しても良い。これらのいずれの場合も、上記と同様の効果が得られる。
レンズ基材の一方の面に複数のレンズを設ける場合、複数のレンズが全て同一の構成を有している必要はない。例えば、第1領域又は第3領域の構成が異なるレンズが含まれてていても良く、あるいは、保護膜を有するレンズと有しないレンズとが含まれていても良い。
以下に、本発明の保護膜付きレンズおよびその製造方法について、具体例をあげて説明する。
(実施例1)
実施例1として、ポリカーボネート(帝人化成AD−5503)を材料とした図1A及び図1Bに示すようなレンズ基材10を作成した。レンズ基材10は、非球面形状を有する第1領域11と、その周囲に形成された平面からなる第2領域12と、第1領域11と第2領域12との間に設けられた第3領域13とからなっている。レンズ基材10の平面視形状(第2領域12の法線方向と平行に見た形状)は4mm×4mmの正方形とし、その中央に配置した第1領域11の平面視形状は直径1.2mmの円形とした。レンズ基材10の底面から第1領域11の頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.5mm、第3領域13は直径1.2mm、厚み0.1mmの円柱状とした。
保護膜24のための塗料として、アクリル系のオリゴマー(日本合成化学:UV−7000B)に光重合開始剤を配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルで、粘度が5Pa・sになるように希釈した溶液を準備した。この塗料をパッド印刷にて上記レンズ基材10の第1領域11に付与した。その方法を図25A〜図25Fを用いて説明する。
図25Aに示すように、印刷版251として、深さ25μm、直径1.6mmの凹部がパターニングされたスチール版を準備した。この印刷版251の凹部に前記塗料252を充填した。パッド253として、その先端部が略円錐形状を有しシリコンゴム製であるパッドを用いた。パッド印刷機として株式会社ミシマ製パッド印刷装置80GPH−PLUSを用いた。図25Bに示すように、パッド253を、その頂部が凹部から外れた位置に着地するように、印刷版251に圧着し、図25Cに示すように塗料252をパッド253の円錐面(斜面)に転写させた。次に、図25Dに示すように塗料252が付着したパッド253をレンズ基材10上に移動し、パッド253の頂部をレンズ基材10の第1領域11から外れた位置に着地させ、図25Eに示すようにパッド253をレンズ基材10に圧着することにより、図25Fに示すように塗料252を第1領域11に転写させた。印刷版251上の塗料252を略円錐形状のパッド253の頂部に転写させ、その後、この塗料252をレンズ基材10の第1領域11に転写させると、第1領域11上に形成される保護膜の膜厚が、中央で薄く周辺で厚くなることを経験的に確認していた。従って、塗料252を付着させるパッド253上の位置を、その頂部から外れた円錐面とした。所望する厚みの保護膜を得るために、1つの第1領域11に対して同一の条件で3回のパッド印刷を行った。
その後、室温で10分間の減圧処理を行い塗料中の溶剤分を揮発させた後、照度120mW/cm2、積算光量5000mJ/cm2の条件でUV照射を行い、塗料を硬化させ、図2に示す保護膜24が形成された保護膜付きレンズ20を得た。保護膜24は、パッド印刷時に、塗料252が付着したパッド253が接触した部分にのみ形成される。従って、第1領域11と第2領域12との間の第3領域13には、パッド253がほとんど接触しないので、保護膜24は形成されなかった。
(比較例1)
比較例1として、図7A及び図7Bに示すようなレンズ基材70を作成した。レンズ基材70は、第3領域13を設けなかった以外は実施例1のレンズ基材10と同一とした。レンズ基材70の底面から第1領域11の頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.6mmとし、その他の寸法および材料は、実施例1と全く同じとした。このレンズ基材70の第1領域11に、実施例1と同じ塗料を用いて同じ方法で保護膜24を形成し、図8に示すような保護膜付きレンズ80を得た。比較例1でも、保護膜24は、パッド印刷時に、塗料が付着したパッドが接触した部分にのみ形成される。従って、第1領域11と第2領域12との境界部分には、パッドがほとんど接触しないので、保護膜24は形成されなかった。
実施例1と比較例1で得られた保護膜付きレンズの第1領域11における保護膜24の膜厚を測定した。膜厚の測定方法を図9を用いて説明する。第1領域11の中心軸15を含む任意の一断面に沿って、保護膜24の形成の前後の表面形状をレーザ反射式形状測定装置を用いて測定した。そして、保護膜24が形成される前の第1領域11の表面形状と、保護膜24の表面形状との前記中心軸15方向の差t1,t2,t3,・・・を保護膜24の膜厚とした。測定ピッチを0.05mmとした。結果を図10に示す。
図10より、第3領域13が形成されていない比較例1では、第1領域11の周辺部分で膜厚がほとんどゼロであり、第1領域11内に保護膜24が形成されていない領域が存在することが確認された。一方、第3領域13が形成された実施例1では、第1領域11の中心部分から周辺部分に至る全領域で膜厚はほとんど変化がなく、第1領域11の全領域にわたってほぼ均一な保護膜24が形成されていることが確認された。つまり、第1領域11の非球面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜24が形成されていることが確認された。
上記の結果は、実施例1では、第1領域11を第2領域12に対して嵩上げする第3領域13を設けたために、パッド印刷時に第1領域11に対するパッド253の接触状態が良好であったことに起因している。
(実施例2)
実施例2として、光学ガラス(住田光学K-LaKn14)を材料とした図1A及び図1Bに示すようなレンズ基材10を作成した。レンズ基材10の形状寸法は、実施例1と同じとした。このレンズ基材10の第1領域11に実施例1と同じ塗料を用いて、同じ方法で保護膜24を形成し、図2に示すような保護膜付きレンズ20を得た。
(比較例2)
比較例2として、第3領域13を設けなかった以外は実施例2のレンズ基材10と同一の、図7A及び図7Bに示すようなレンズ基材70を作成した。レンズ基材70の底面から第1領域11の頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.6mmとし、その他の寸法および材料は、実施例2と全く同じとした。このレンズ基材70の第1領域11に、実施例2と同じ塗料を用いて同じ方法で保護膜24を形成し、図8に示すような保護膜付きレンズ80を得た。
実施例2と比較例2で得られた保護膜付きレンズの第1領域11における保護膜24の膜厚を図9で説明した方法により測定した。結果を図11に示す。
図11より、第3領域13が形成されていない比較例2では、比較例1と同様に、第1領域11の周辺部分に保護膜24が形成されていない領域が存在することが確認された。一方、第3領域13が形成された実施例2では、実施例1と同様に、第1領域11の中心部分から周辺部分に至る全領域で膜厚はほとんど変化がなく、第1領域11の全領域にわたってほぼ均一な保護膜24が形成されていることが確認された。つまり、第1領域11の非球面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜24が形成されていることが確認された。
(実施例3)
実施例3として、ポリカーボネート(帝人化成AD−5503、d線屈折率1.59、アッベ数28)を材料とした図3A及び図3Bに示すようなレンズ基材30を作成した。レンズ基材30は、ブレーズが形成された回折格子曲面を有する第1領域31と、その周囲に形成された平面からなる第2領域12と、第1領域31と第2領域12との間に設けられた第3領域13からなっている。レンズ基材30の平面視形状は4mm×4mmの正方形とし、その中央に配置した第1領域31の平面視形状は直径1.2mmの円形とした。レンズ基材30の底面から第1領域31の頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.5mm、第3領域13は直径1.2mm、厚み0.1mmの円柱状とした。第1領域31に形成されたブレーズの段差は15.5μmとした。
保護膜24のための塗料として、脂環式炭化水素基含有アクリル系オリゴマー(d線屈折率1.53、アッベ数52)と酸化ジルコニウムフィラー(一次粒径3〜10nm、シラン系表面処理剤を30重量%含有、固形分中における重量比が56重量%)との混合物のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を準備した。塗料は、その粘度が5Pa・sになるように調製した。そして、実施例1と同じ条件で、パッド印刷、溶剤揮発処理、UV照射処理を行い、図4に示す保護膜44が形成された保護膜付きレンズ40を得た。パッド印刷は、実施例1と同様に、1つの第1領域31に対して同一条件で3回行った。保護膜44は、パッド印刷時に、塗料が付着したパッドが接触した部分にのみ形成される。従って、実施例1と同様に、第1領域31と第2領域12との間の第3領域13には、パッドがほとんど接触しないので、保護膜44は形成されなかった。硬化後の保護膜44の屈折率特性を評価したところ、d線屈折率1.62、アッベ数43であった。
回折格子レンズが形成されたレンズ基材30の材料と保護膜44の材料を上記のように選択し、且つブレーズの段差を上記のように設定することによって、色収差が低減した回折格子レンズが得られた。
(比較例3)
比較例3として、第3領域13を設けなかった以外は実施例3のレンズ基材30と同一の、図12A及び図12Bに示すようなレンズ基材120を作成した。レンズ基材120の底面から第1領域31の頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.6mm、その他の寸法および材料は、実施例3と全く同じとした。このレンズ基材120に、実施例3と同じ塗料を用いて同じ方法で保護膜44を形成し、図13に示すような保護膜付きレンズ130を得た。
実施例3と比較例3で得られた保護膜付きレンズの第1領域31における保護膜44の膜厚を測定した。膜厚の測定方法を図14を用いて説明する。第1領域31の中心軸35を含む任意の一断面に沿って、保護膜44の形成の前後の表面形状をレーザ反射式形状測定装置を用いて測定した。次に、保護膜44の形成前の表面形状の測定結果からブレース段差下面を結ぶ曲線(図14に示す破線32)を求め、これと保護膜44の表面形状との前記中心軸35方向の差t1,t2,t3,・・・を保護膜44の膜厚とした。膜厚t1,t2,t3,・・・が一定であれば、保護膜44の表面形状は、回折格子曲面の表面形状と一致することとなる。測定ピッチを0.05mmとした。結果を図15に示す。
図15より、第3領域13が形成されていない比較例3では、比較例1および比較例2と同様に、第1領域31の周辺部分に保護膜44が形成されていない領域が存在することが確認された。一方、第3領域13が形成された実施例3では、第1領域31の中心部分から周辺部分に至る全領域で膜厚はほとんど変化がなく、第1領域31の全領域にわたってほぼ均一な保護膜44が形成されていることが確認された。つまり、第1領域31の回折格子曲面の非球面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜44が形成されていることが確認された。
(実施例4)
実施例4として、光学ガラス(住田光学K-LaKn14,d線屈折率1.74、アッベ数53)を材料とした図3A及び図3Bに示すようなレンズ基材30を作成した。レンズ基材30は、実施例3と同様に、ブレーズが形成された回折格子曲面を有する第1領域31と、その周囲に形成された平面からなる第2領域12と、第1領域31と第2領域12との間に設けられた第3領域13とからなっている。レンズ基材30の平面視形状は4mm×4mmの正方形とし、その中央に配置した第1領域31の平面視形状は直径1.2mmの円形とした。レンズ基材30の底面から第1領域31の頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.5mm、第3領域13は直径1.2mm、厚み0.1mmの円柱状とした。第1領域31に形成されたブレーズの段差は4.7μmとした。
保護膜24の塗料として、エポキシ系オリゴマー(旭電化オプトマーKRX、d線屈折率1.62、アッベ数24)のメチルエチルケトン溶液を準備した。塗料は、その粘度が5Pa・sになるように調製した。そして、実施例3と同じ条件で、パッド印刷、溶剤揮発処理、UV照射処理を行い、図4に示す保護膜44が形成された保護膜付きレンズ40を得た。パッド印刷は、1つの第1領域31に対して同一条件で2回行った。本実施例4でも、実施例3と同様に、回折格子レンズが形成されたレンズ基材30の材料と保護膜44の材料を上記のように選択し、且つブレーズの段差を上記のように設定することによって、色収差が低減した回折格子レンズが得られた。
(比較例4)
比較例4として、第3領域13を設けなかった以外は実施例4のレンズ基材30と同一の、図12A及び図12Bに示すようなレンズ基材120を作成した。レンズ基材120の底面から第1領域31の頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.6mm、その他の寸法および材料は、実施例4と全く同じとした。このレンズ基材120に、実施例4と同じ塗料を用いて同じ方法で保護膜44を形成し、図13に示すような保護膜付きレンズ130を得た。
実施例4と比較例4で得られた保護膜付きレンズの第1領域31における保護膜44の膜厚を図14に示した方法により測定した。結果を図16に示す。
図16より、第3領域13が形成されていない比較例4では、比較例3と同様に、第1領域31の周辺部分に保護膜44が形成されていない領域が存在することが確認された。一方、第3領域13が形成された実施例4では、実施例3と同様に、第1領域31の中心部分から周辺部分に至る全領域で膜厚はほとんど変化がなく、第1領域31の全領域にわたってほぼ均一な保護膜44が形成されていることが確認された。つまり、第1領域31の回折格子曲面の非球面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜44が形成されていることが確認された。
(実施例5)
実施例5として、ポリカーボネート(帝人化成AD−5503)を材料とした図5A及び図5Bに示すような複眼レンズ基材50を作成した。レンズ基材50の一方の面上に、レンズ機能を有する2個の第1領域51a,51bが配置されている。本実施例5のレンズ基材50は、2個のレンズを有する点を除いて実施例1のレンズ基材10と同じであり、非球面形状を有する2個の第1領域51a,51bと、その周囲に形成された平面からなる第2領域12と、第1領域51a,51bと第2領域12との間に設けられた第3領域13とからなっている。レンズ基材50の平面視形状は5mm×5mmの正方形とし、その中央付近に配置した2個の第1領域51a,51bの平面視形状はいずれも直径1.2mmの円形とした。レンズ基材50の底面から第1領域51a,51bの頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.5mm、第3領域13は直径1.2mm、厚み0.1mmの円柱状とした。第1領域51a,51bの中心軸55a,55b間の距離は2.2mmとした。
保護膜のための塗料として、実施例1と同じ溶液を準備した。印刷版として、深さ25μm、直径1.6mmの2個の凹部が中心間距離2.2mmでパターニングされたスチール版を準備した。この印刷版の凹部に充填した前記塗料をパッド印刷にて上記レンズ基材50の第1領域51a,51bに付与した。第1領域51a,51bのそれぞれに対して、同一条件で3回のパッド印刷を行った。その後、実施例1と同じ条件で、溶剤揮発処理、UV照射処理を行い、保護膜付きレンズを得た。
(比較例5)
比較例5として、第3領域13を設けなかった以外は実施例5のレンズ基材50と同一の、図17A及び図17Bに示すような複眼レンズ基材170を作成した。レンズ基材170の底面から第1領域51a,51bの頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.6mm、その他の寸法および材料は、実施例5と全く同じとした。このレンズ基材170に、実施例5と同じ塗料を用いて同じ方法で保護膜を形成し、保護膜付きレンズを得た。
実施例5及び比較例5で得られた各保護膜付きレンズの第1領域51a,51bにおける保護膜の膜厚を図9に示した方法により測定した。測定は、2個の第1領域51a,51bの中心軸55a,55bを含む断面に沿って行った。実施例5の測定結果を図18に、比較例5の測定結果を図19にそれぞれ示す。
図19より、第3領域13が形成されていない比較例5では、第1領域51a,51bの周辺部分に保護膜が形成されていない領域が存在することが確認された。一方、図18より、第3領域13が形成された実施例5では、第1領域51a,51bの中心部分から周辺部分に至る全領域で膜厚はほとんど変化がなく、第1領域51a,51bの全領域にわたってほぼ均一な保護膜が形成されていることが確認された。つまり、第1領域51a,51bの非球面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜が形成されていることが確認された。
(実施例6)
実施例6として、ポリカーボネート(帝人化成AD−5503、d線屈折率1.59、アッベ数28)を材料とした図6A及び図6Bに示すような複眼レンズ基材60を作成した。レンズ基材60の一方の面上に、レンズ機能を有する2個の第1領域61a,61bが配置されている。本実施例6のレンズ基材60は、2個のレンズを有する点を除いて実施例3のレンズ基材30と同じであり、ブレーズが形成された回折格子曲面を有する2個の第1領域61a,61bと、その周囲に形成された平面からなる第2領域12と、第1領域61a,61bと第2領域12との間に設けられた第3領域13とからなっている。レンズ基材60の平面視形状は5mm×5mmの正方形とし、その中央付近に配置した2個の第1領域61a,61bの平面視形状はいずれも直径1.2mmの円形とした。レンズ基材60の底面から第1領域61a,61bの頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.5mm、第3領域13は直径1.2mm、厚み0.1mmの円柱状とした。第1領域61a,61bの中心軸65a,65b間の距離は2.2mmとした。
第1領域61a,61bに、実施例3と同じ塗料を用いて同じ方法で保護膜を形成し、保護膜付きレンズを得た。
(比較例6)
比較例6として、第3領域13を設けなかった以外は実施例6のレンズ基材60と同一の、図20A及び図20Bに示すような複眼レンズ基材200を作成した。レンズ基材200の底面から第1領域61a,61bの頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.6mm、その他の寸法および材料は、実施例6と全く同じとした。このレンズ基材200に、実施例6と同じ塗料を用いて同じ方法で保護膜を形成し、保護膜付きレンズを得た。
実施例6及び比較例6で得られた各保護膜付きレンズの第1領域61a,61bにおける保護膜の膜厚を図14に示した方法により測定した。測定は、2個の第1領域61a,61bの中心軸65a,65bを含む断面に沿って行った。実施例6の測定結果を図21に、比較例6の測定結果を図22にそれぞれ示す。
図22より、第3領域13が形成されていない比較例6では、比較例5と同様に、第1領域61a,61bの周辺部に保護膜が形成されていない領域が存在することが確認された。一方、図21より、第3領域13が形成された実施例6では、実施例5と同様に、第1領域61a,61bの中心部分から周辺部分に至る全領域で膜厚はほとんど変化がなく、第1領域61a,61bの全領域にわたってほぼ均一な保護膜が形成されていることが確認された。つまり、第1領域61a,61bの回折格子曲面の非球面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜が形成されていることが確認された。
(実施例7)
実施例7として、実施例3に用いたものと同じ図3A及び図3Bに示すようなレンズ基材30を作成した。保護膜のための塗料は、実施例3に用いたものと同組成で、溶剤量を調整することにより、その粘度を10Pa・sに調製した。次に、テトロン製の乳剤厚み20μmのスクリーン版を用いて、上記塗料を第1領域31上にスクリーン印刷した。その後、室温で10分間の減圧処理を行い塗料中の溶剤分を揮発させた後、UV照射を行い、塗料を硬化させた。上記のスクリーン印刷、揮発処理、UV照射処理の工程を2回繰り返し行い、保護膜付きレンズを得た。
(比較例7)
比較例7として、第3領域13を設けなかった以外は実施例7のレンズ基材30と同一の、図12A及び図12Bに示すようなレンズ基材120を作成した。レンズ基材120の底面から第1領域31の頂部までの厚みは0.8mm、該底面から第2領域12の上面までの厚みは0.6mm、その他の寸法および材料は、実施例7と全く同じとした。このレンズ基材120に、実施例7と同じ塗料を用いて同じ方法で保護膜を形成し、保護膜付きレンズを得た。
実施例7と比較例7で得られた保護膜付きレンズの第1領域31における保護膜の膜厚を図14に示した方法により測定した。結果を図23に示す。
図23より、第3領域13が形成されていない比較例7では、パッド印刷により保護膜を形成した場合と同様に、第1領域31の周辺部分に保護膜が形成されていない領域が存在することが確認された。一方、第3領域13が形成された実施例7では、第1領域31の中心部分から周辺部分に至る全領域で膜厚はほとんど変化がなく、第1領域31の全領域にわたってほぼ均一な保護膜が形成されていることが確認された。つまり、第1領域31の回折格子曲面の非球面形状とほぼ一致した表面形状を有する保護膜が形成されていることが確認された。
上記の実施例1〜8では、保護膜形成用の塗料は溶剤を含んでいたが、塗料の粘度が用いる工法に適当であれば、必ずしも溶剤を含まなくても良く、その場合も上記と同様の効果が得られる。
以上に説明した実施の形態及び実施例は、いずれもあくまでも本発明の技術的内容を明らかにする意図のものであって、本発明はこのような具体例にのみ限定して解釈されるものではなく、その発明の精神と請求の範囲に記載する範囲内でいろいろと変更して実施することができ、本発明を広義に解釈すべきである。
本発明にかかる保護膜付きレンズの利用分野は特に制限はないが、例えば携帯電話用、車載用などのカメラモジュール用のレンズとして利用することができる。

Claims (5)

  1. レンズ機能を有する第1領域と、前記第1領域の全周囲に形成された、連続した単一平面からなる第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間にこれらと隣接して配された第3領域とを少なくとも一方の面に有するレンズ基材、及び、
    前記第1領域の表面に形成された保護膜
    を備えた保護膜付きレンズであって、
    前記第1領域は第2領域に対して突出しており、
    前記第3領域は前記第1領域の全周囲にわたって形成されており、
    前記第3領域の表面は、前記第1領域の表面形状に沿った曲面を前記第2領域にまで延長した仮想曲面に対して後退していることを特徴とする保護膜付きレンズ。
  2. 前記第1領域の表面に回折格子形状が形成されている請求項1に記載の保護膜付きレンズ。
  3. 少なくとも一方の面に、複数の前記第1領域を有する請求項1又は2に記載の保護膜付きレンズ。
  4. レンズ機能を有する第1領域と、前記第1領域の全周囲に形成された、連続した単一平面からなる第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間にこれらと隣接して配された第3領域とを少なくとも一方の面に有し、前記第1領域は第2領域に対して突出しており、前記第3領域の表面は、前記第1領域の表面形状に沿った曲面を前記第2領域にまで延長した仮想曲面に対して後退しているレンズ基材を作成する工程と、
    前記第1領域の表面に保護膜を形成する工程と
    を備えた保護膜付きレンズの製造方法であって、
    前記保護膜を形成する工程において、前記保護膜を形成するための塗料を前記第1領域の表面にパッド印刷により付与することを特徴とする保護膜付きレンズの製造方法。
  5. レンズ機能を有する第1領域と、前記第1領域の全周囲に形成された、連続した単一平面からなる第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間にこれらと隣接して配された第3領域とを少なくとも一方の面に有し、前記第1領域は第2領域に対して突出しており、前記第3領域の表面は、前記第1領域の表面形状に沿った曲面を前記第2領域にまで延長した仮想曲面に対して後退しているレンズ基材を作成する工程と、
    前記第1領域の表面に保護膜を形成する工程と
    を備えた保護膜付きレンズの製造方法であって、
    前記保護膜を形成する工程において、前記保護膜を形成するための塗料を前記第1領域の表面にスクリーン印刷により付与することを特徴とする保護膜付きレンズの製造方法。
JP2009524381A 2007-07-23 2008-07-14 保護膜付きレンズ及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4384259B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007191178 2007-07-23
JP2007191178 2007-07-23
PCT/JP2008/001886 WO2009013872A1 (ja) 2007-07-23 2008-07-14 保護膜付きレンズ及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4384259B2 true JP4384259B2 (ja) 2009-12-16
JPWO2009013872A1 JPWO2009013872A1 (ja) 2010-09-30

Family

ID=40281134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009524381A Expired - Fee Related JP4384259B2 (ja) 2007-07-23 2008-07-14 保護膜付きレンズ及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US8184374B2 (ja)
JP (1) JP4384259B2 (ja)
WO (1) WO2009013872A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102297128B1 (ko) * 2014-09-22 2021-09-02 현대모비스 주식회사 색수차가 저감된 램프 렌즈 및 이를 이용한 차량용 램프
EP3976381A1 (en) * 2019-05-28 2022-04-06 Alcon Inc. Pad transfer printing instrument and method for making colored contact lenses
CN111909625A (zh) * 2020-08-13 2020-11-10 业成科技(成都)有限公司 保护膜、曲面结构及保护膜贴附方法
EP4091805A1 (en) * 2021-05-18 2022-11-23 Essilor International A method for improved coating of an optical article comprising optical elements

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB8630363D0 (en) * 1986-12-19 1987-01-28 Igel Int Ltd Coloured hydrogel objects
WO1993010001A1 (en) * 1991-11-21 1993-05-27 Gds Technology, Inc. Fluid transfer device
JP3153251B2 (ja) 1996-12-17 2001-04-03 ホーヤ株式会社 プラスチック製検眼レンズおよびその射出成形品並びにその成形用型装置とその製造方法
JP3758857B2 (ja) 1998-06-24 2006-03-22 株式会社ニデック 曲面を有する被染色体の染色方法及び転写装置
JP2000352606A (ja) 1999-06-11 2000-12-19 Rohm Co Ltd レンズアレイアッセンブリおよびこれを用いた画像表示装置
EP1176435A1 (en) 1999-03-31 2002-01-30 Rohm Co., Ltd. Lens array unit, method of producing lens array unit and optical device using lens array unit
JP4131891B2 (ja) * 1999-09-03 2008-08-13 ローム株式会社 レンズアレイ、およびレンズアレイの製造方法
US6740615B2 (en) * 2000-12-22 2004-05-25 Hydrocarbon Technologies, Inc. Regeneration of used supported noble metal catalysts
US20020080327A1 (en) 2000-12-22 2002-06-27 Clark Douglas G. Tinted contact lenses
JP4433663B2 (ja) 2001-09-06 2010-03-17 コニカミノルタホールディングス株式会社 塗布材塗布方法、被塗布基材、及び被塗布基材を含む塗布材塗布装置
US6916503B2 (en) * 2001-09-06 2005-07-12 Konica Corporation Base material to be coated, coating apparatus, coating method and element producing method
JP4168618B2 (ja) 2001-11-16 2008-10-22 コニカミノルタホールディングス株式会社 基材の微細加工方法及び基材の製造方法
JP2004126195A (ja) * 2002-10-02 2004-04-22 Pentax Corp レンズ
EP1532219B1 (en) * 2003-07-22 2008-10-15 Leibniz-Institut für Neue Materialien gemeinnützige GmbH Liquid-repellent, alkali-resistant coating composition and coating suitable for pattern forming
JP4336545B2 (ja) 2003-08-07 2009-09-30 キヤノン株式会社 光学部材、当該光学部材を有する照明装置及び露光装置

Also Published As

Publication number Publication date
US8184374B2 (en) 2012-05-22
JPWO2009013872A1 (ja) 2010-09-30
WO2009013872A1 (ja) 2009-01-29
US20100172025A1 (en) 2010-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4286905B2 (ja) レンズおよびその製造方法
CN112888973B (zh) 包含光学元件的改进的光学制品及其制造方法
US20060093793A1 (en) Optical element
JP3959803B2 (ja) ゾルゲル法による最外層に複数の凸部を有する多層被覆基板の製造方法
US8154803B2 (en) Diffractive optical element with improved light transmittance
US20100246008A1 (en) Diffractive optical element and manufacturing method thereof
JP4384259B2 (ja) 保護膜付きレンズ及びその製造方法
US20110164329A1 (en) Fresnel lens coating process
US20220244567A1 (en) Spectacle lens and method for manufacturing same
US20230161078A1 (en) Lens with surface microstructures encapsulated by a thick low refractive index hard coat
US20230146460A1 (en) Method for forming an optical article comprising microlenses
JPWO2020045567A1 (ja) 眼鏡レンズ、眼鏡レンズの製造方法および眼鏡レンズ用被膜
US9285509B2 (en) Optical element, imaging apparatus including the element, and method of manufacturing the optical element
EP4091805A1 (en) A method for improved coating of an optical article comprising optical elements
CN114660688B (zh) 复曲面透镜、光学元件和图像形成设备
JPH11287904A (ja) 回折光学素子及びその製造方法
JP2007206490A (ja) 複合型光学素子および光学系
KR20170110003A (ko) 일정 곡률을 가지는 광학 렌즈 상에 마이크로 패턴을 형성하는 방법
US20240231124A1 (en) A method for improved coating of an optical article comprising optical elements
JP7204363B2 (ja) 回折光学素子、その製造方法および光学機器
CN117940275A (zh) 用于生产光学结构的方法及光学结构
JP2009282358A (ja) 回折レンズの製造方法、及び回折レンズ

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090827

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090924

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121002

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131002

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees