JP4433663B2 - 塗布材塗布方法、被塗布基材、及び被塗布基材を含む塗布材塗布装置 - Google Patents

塗布材塗布方法、被塗布基材、及び被塗布基材を含む塗布材塗布装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布材塗布方法、被塗布基材、及び被塗布基材を含む塗布材塗布装置に関し、特に、曲面を有する基材にレジストを塗布して、均一な膜厚分布を得ることができるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば光リソグラフ、EB(電子ビーム)リソグラフなどにおいて、Si基板などの基材上の平面に、レジスト等の塗布材を回転塗布するいわゆるスピンコートが知られている。
【0003】
このスピンコートでは、平板状の基材の中央部付近にレジスト液滴を垂らすとともに、前記基材を回転させることで、当該回転による遠心力を受けて前記レジストが前記基材の表面上を塗り広がると同時に、余分なレジストを回転により振り切ることとなる。なお、基材上のレジストの膜厚分布は、レジストの物性(粘度、表面張力等)と基材を回転させる場合の回転部材(スピンコータ)の回転数、周囲環境条件(温度等)により決まる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のスピンコートにおいては、塗布対象の基材の一面が平面である場合には、ほぼ均一な膜厚分布を得ることができるものの、一面に曲面形状を有する基材に対して同様のスピンコートを行うと、均一な膜厚分布を得ることはできずにいた。乃ち、例えば図22(A)に示すような曲面形状を有する基材200に対してレジスト塗布を行うと、膜厚が不均一となる領域が生じていた。
【0005】
加えて、スピンコートを行う際には、レジスト液を滴下して基材の表面を覆った後、所定の回転数で回転させてプレスピンを行い、その後、所定の回転数で本スピンを行うこととなる。
【0006】
しかしながら、このような手法で前記曲面形状の基材に対してスピンコートを行うと、頂部の部分で膜厚が薄くなり、基材回転中心から周辺部に向かうに従い膜厚分布が単調増加する傾向が顕著となり、膜厚を均一にすることができなかった。
【0007】
特に、曲面形状という特殊な形状のために、レジストに加わる重力の影響に起因する膜厚の変化を取除くことはできなかった。
【0008】
さらに、所望の膜厚を得るために、レジスト塗布工程及びベーキング(加熱)工程を複数回行うことが考えられるが、1回目のレジスト塗布により生じた膜厚の不均一領域に加えて、n回目のレジスト塗布により生じる膜厚の不均一部が重なるために、回数を重ねる度に、膜厚の不均一部の格差が広がってしまった。
【0009】
また、前記基材の曲面部の周囲に亘って平板部を構成し、遠心力による液滴の流れを良好としてスピンコートにおける均一な膜厚形成を促すことが考えられるが、製造段階での基材(母材)サイズが大きくなり、部材使用量の増大によりコストがかかるとともに、基材加工に時間を要し工期が長期化するという問題があった。
【0010】
さらにまた、汎用旋盤加工にて切削することにより前記基材200の形状を得る場合、図22(C)に示すように、基材の表面にツールマークと称される同心円状の複数のラインTMが生じてしまう。乃ち、旋盤に固定された基材が回転し、この回転する基材に対してバイトの刃先を当て、外周から連続的に移動して切削するために、刃が当たる領域が外周に生じ、基材表面に同心円状のツールマークが形成されてしまう。
【0011】
このツールマークの形成により、バイトの切削による粗さがそのまま「基材の表面粗さ」として反映されてしまい、例えば、図22の基材200のKD部分における表面粗さが例えば600[nm]程度位の基材の表面形状となるために、最終的にレジストを塗布して得られる膜厚分布の変位を、許容される粗さ以下に制御することが困難となる。ここに、「表面粗さ」とは、図22(B)に示すように、ある面を粗さ曲線f(y)として定義し、当該粗さ曲線f(y)からその中心線方向に測定長さlの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸として粗さ曲線をx=f(y)で表したとき、図の式によって求められる値Raを表したものをいう。従って、この表面粗さたる値Raが、前記のような値となると、レジスト膜の膜厚分布にも影響を与えてしまう。
【0012】
特に、前記ツールマークが形成されることにより、光学的に膜厚を測定する際に、ツールマークの溝部により光が乱反射し、膜厚を測定できず、膜厚測定評価に対しても支障をきたしていた。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、曲面形状を有する基材において通常のスピンコートにより生じる膜厚の単調増加による影響、重力による影響を低減し、さらには、複数回に亘り塗布工程を行う際にも不均一部分の格差が広がらないようにして、結果として膜厚の不均一を防止することのできる塗布材塗布方法、被塗布基材、及び被塗布基材を含む塗布材塗布装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の第2の目的は、スピンコートを良好に行いながらも、基材のサイズが大きくなることを防止し、工期の短縮化を図ることのできる塗布材塗布方法、被塗布基材、及び被塗布基材を含む塗布材塗布装置を提供することにある。
【0015】
さらに、本発明の第3の目的は、ツールマークが形成されたとしても、最終的な膜厚分布を許容される粗さ以下に制御可能とし、膜厚測定評価を行うことのできる塗布材塗布方法、被塗布基材、及び被塗布基材を含む塗布材塗布装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、塗布材が塗布される被塗布基材を回転させて、前記被塗布基材に前記塗布材を塗布する塗布材塗布方法であって、前記被塗布基材の形状を予め作りこむための形状加工工程を含み、前記被塗布基材は、曲面部を有すると共に、前記被塗布基材の前記曲面部の頂部に対して前記塗布材を連続的に流下し、前記被塗布基材を第1の回転数で回転することにより前記頂部に流下された前記塗布材が、前記頂部より前記曲面部の周辺の周囲面部に向けて塗布される回転塗布工程と、前記塗布材の流下を停止し、前記回転塗布工程によって前記塗布材が塗布された前記被塗布基材を前記第1の回転数より大きい第2の回転数にて回転する回転工程と、を含み、前記形状加工工程において、前記周囲面部は、前記曲面部の周囲に亘って形成された周囲平面部と、前記塗布材がなだらかに流下するように前記周囲平面部と前記曲面部との境界領域に形成された周囲曲面部と、を含むように形成されることを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗布材塗布方法であって、前記形状加工工程において、前記周囲面部と前記曲面部との境界領域位置に、塗布材塗布後の膜厚を修正する膜厚修正用凹凸部が形成されることを特徴とする。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項に記載の塗布材塗布方法であって、前記形状加工工程において、前記曲面部は、流下される前記塗布材が付着する頂部中心より、塗布材塗布後に膜厚分布がほぼ均一となることが必要とされる所定の有効径までの有効曲面部を含み、前記曲面部の第1の半径は、前記周囲曲面部を構成する曲面の第2の半径の1倍〜10倍にて形成され、前記第2の半径の接線の傾きがほぼゼロになる前記周囲平面部と前記周囲局面部との境界領域位置が、前記有効曲面部の有効径の少なくとも2倍より離間した位置に形成されることを特徴とする。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の塗布材塗布方法であって、前記形状加工工程において、前記曲面部の回転中心より前記周囲曲面部の周囲端までの距離を、前記曲面部の半径の4倍以下となるように形成されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、請求項に記載の塗布材塗布方法であって、前記形状加工工程は、前記被塗布基材を切削する切削工程を含むことを特徴とする。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の塗布材塗布方法であって、前記曲面部の表面粗さは、前記切削加工により50nm以下とされることを特徴とする。
【0022】
また、請求項7に記載の発明は、請求項に記載の塗布材塗布方法であって、前記形状加工工程は、前記曲面部を研磨する研磨工程を含むことを特徴とする。
【0023】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、塗布材が塗布される被塗布基材を回転させて、前記被塗布基材に前記塗布材を塗布する塗布材塗布方法であって、前記被塗布基材は、曲面部を有すると共に、前記被塗布基材の前記曲面部の頂部に対して前記塗布材を連続的に流下し、前記被塗布基材を第1の回転数で回転することにより前記頂部に流下された前記塗布材が、前記頂部より前記曲面部の周辺の周囲面部に向けて塗布される回転塗布工程と、前記塗布材の流下を停止し、前記回転塗布工程によって前記塗布材が塗布された前記被塗布基材を前記第1の回転数より大きい第2の回転数にて回転する回転工程と、を含み、前記被塗布基材は、前記周囲面部に、前記曲面部の周囲に亘って形成された周囲平面部と、前記塗布材がなだらかに流下するように、前記周囲平面部と前記曲面部との境界領域に形成された周囲曲面部と、を含むことを特徴とする。
【0024】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の塗布材塗布方法であって、前記被塗布基材は、前記周囲面部と前記曲面部との境界領域位置に、塗布材塗布後の膜厚を修正する膜厚修正用凹凸部を有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の塗布材塗布方法であって、前記曲面部は、流下される前記塗布材が付着する頂部中心より、塗布材塗布後に膜厚分布がほぼ均一となることが必要とされる所定の有効径までの有効曲面部を含み、前記曲面部の第1の半径は、前記周囲曲面部を構成する曲面の第2の半径の1倍〜10倍にて形成され、前記第2の半径の接線の傾きがほぼゼロになる前記周囲平面部と前記周囲曲面部との境界領域位置が、前記有効曲面部の有効径の少なくとも2倍より離間した位置に形成されることを特徴とする。
【0026】
また、請求項11に記載の発明は、請求項8乃至請求項10の何れか一項に記載の塗布材塗布方法であって、前記曲面部の回転中心より前記周囲面部の周囲端までの距離を、前記曲面部の半径の4倍以下とすることを特徴とする。
【0027】
上記目的を達成するために、請求項12に記載の発明は、少なくとも一面に形成され、塗布材が回転塗布される曲面部と、前記回転塗布に伴い前記塗布材が、ほぼ均一な膜厚を維持しつつ前記曲面部の頂部より周辺に向かうに従い滑らかに流下するように形成された周囲面部と、を含み、前記曲面部の回転中心より前記周囲面部の周囲端までの距離を、前記曲面部の半径の4倍以下に形成したことを特徴とする。
【0028】
上記目的を達成するために、請求項13に記載の発明は、少なくとも一面に形成され、塗布材が回転塗布される曲面部と、前記回転塗布に伴い前記塗布材が、ほぼ均一な膜厚を維持しつつ前記曲面部の頂部より周辺に向かうに従い滑らかに流下するように形成された周囲面部と、を含み、前記周囲面部と前記曲面部との境界領域位置に、塗布材塗布後の膜厚を修正するための膜厚修正用凹凸部を形成したことを特徴とする。
【0029】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の被塗布基材であって、前記周囲面部は、前記曲面部の周囲に亘って形成された周囲平面部と、前記塗布材が滑らかに流下するように、前記周囲平面部と前記曲面部との境界領域に形成された周囲曲面部と、を含み、前記膜厚修正用凹凸部は、前記周囲曲面部と前記曲面部との境界領域位置に形成したことを特徴とする。
【0030】
また、請求項15に記載の発明は、請求項13に記載の被塗布基材であって、前記膜厚修正用凹凸部により、塗布材塗布後の第1層目の前記境界位置に形成される不均一部が吸収されることを特徴とする。
【0031】
また、請求項16に記載の発明は、請求項13に記載の被塗布基材であって、前記膜厚修正用凹凸部により、塗布材を複数回塗布する場合に、塗布材塗布後の全層による不均一部が吸収されることを特徴とする。
【0032】
また、請求項17に記載の発明は、請求項14に記載の被塗布基材であって、前記曲面部は、流下される前記塗布材が付着する頂部中心より、塗布材塗布後に膜厚分布がほぼ均一となることが必要とされる所定の有効径までの有効曲面部を含み、前記曲面部の第1の半径は、前記周囲曲面部を構成する曲面の第2の半径のほぼ1倍〜ほぼ10倍にて形成され、前記第2の半径の接線の傾きがほぼゼロになる前記周囲平面部と前記周囲曲面部との境界領域位置を、前記有効曲面部の有効径の少なくともほぼ2倍より離間した位置に形成することを特徴とする。
【0033】
また、請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の被塗布基材であって、前記膜厚修正用凹凸部は、前記境界領域位置での膜厚分布特性に応じて不均一部を吸収することを特徴とする。
【0034】
また、請求項19に記載の発明は、請求項12又は請求項15に記載の被塗布基材であって、前記曲面部の表面粗さを、50nm以下とすることを特徴とする。
【0035】
また、請求項20に記載の発明は、請求項12又は請求項15に記載の被塗布基材であって、前記曲面部の表面粗さを、20nm以下とすることを特徴とする。
【0036】
また、請求項21に記載の発明は、請求項12乃至請求項20のうちいずれか一項に記載の被塗布基材であって、前記被塗布基材は、樹脂にて形成されることを特徴とする。
【0037】
上記目的を達成するために、請求項22に記載の発明は、被塗布基材を保持して回転させる保持部材と、前記被塗布基材の回転中心とをほぼ一致させた状態で前記保持部材を回転駆動する回転駆動手段と、前記塗布材を塗布する塗布材塗布手段と、前記回転駆動手段による回転数に基づき、前記塗布材塗布手段からの塗布量を制御する制御手段と、前記保持部材を昇降駆動する昇降手段と、前記保持部材を回転させつつ前記昇降手段による昇降を制御して、前記塗布材に働く重力を制御する重力制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0088】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。
【0089】
[第1の実施の形態]
(塗布材塗布装置の全体構成について)
先ず、本発明の特徴的な構成である被塗布基材の構成などの説明に先立って、本発明にいう「塗布材塗布装置」を「レジスト塗布装置」に適用したレジスト塗布装置の全体の概略構成について、図1を参照して説明する。図1は、本例のレジスト塗布装置の全体の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0090】
本実施の形態のレジスト塗布装置1(塗布材塗布装置)は、図1に示すように、塗布材例えばレジストが塗布される被塗布基材である被レジスト塗布基材10を回転軸Aを中心にして回転しつつ保持する保持部材であるスピンコータチャック20と、塗布材であるレジスト(図1に示すL)を、被レジスト塗布基材10に対して回転中心軸Aの位置にて上方向から連続的に流下することでレジストを塗布する塗布材塗布手段31と、前記レジストの粘度を制御する粘度制御手段32と、前記塗布材塗布手段31にて塗布されるレジストの量を調整制御する塗布量制御手段33と、前記レジストを連続的に流下させる際のレジストの供給時間を制御する塗布材供給時間制御手段34と、前記スピンコータチャック20を回転中心軸Aを中心としてθ方向に回転駆動するための回転駆動手段であるθ方向回転駆動手段35と、このθ方向回転駆動手段35において回転する場合のスピンコータチャック20の回転数を制御する回転数制御手段36と、塗布されるレジストの膜厚がほぼ均一となるように例えば所定のレジスト量と回転数との相関関係を示した相関テーブルやさらには周囲環境条件例えば温度制御条件をも加味した条件情報などの各種制御条件情報を格納した記憶手段37と、を有する。
【0091】
さらに、レジスト塗布装置1は、スピンコータチャック20を上下方向であるZ方向に昇降駆動するための昇降手段であるZ方向駆動手段41と、このZ方向駆動手段41の駆動制御を行うZ方向制御手段42と、レジストが流下する際の重力の影響を取り除くよう上下方向の移動制御を行い、Z方向制御手段42に対してその旨の指示を与えることで制御する重力制御手段43と、スピンコータチャック20に基材10を固定した状態でψ方向に回転駆動させる(言い換えれば上下に反転させる)ための上下反転手段44に含まれるψ方向回転駆動手段44aと、この上下反転に係るXYZ各方向に基材10を保持しつつ前記スピンコータチャック20を微小移動させるための(上下反転手段44に含まれる)XYZ方向移動手段44bと、前記ψ方向回転駆動手段44aの回転駆動を制御するψ方向回転駆動制御手段45と、前記XYZ方向移動手段のXYZの各方向の移動を各々制御するXYZ方向移動制御手段46と、スピンコータチャック20が反転された場合でも基材20を固定しておくための(例えば孔部を設けて真空吸着等により基材20を固定するための)基材固定手段47と、この基材固定手段47による基材10に対するスピンコータチャック20の着脱を制御する基材固定制御手段48と、前記記憶手段37での各種制御条件情報に基づき、上述の各部乃ち塗布量制御手段36並びに回転数制御手段32などの全体の制御を司る制御手段49と、スピンコータチャック20を上下反転させて下降させることで、基材10を溶液に含浸させるための溶液漕であるディップ槽50と、を含んで構成されている。
【0092】
なお、当然のことながら、このレジスト塗布装置1には、レジスト塗布時にレジスト塗布の制御条件の一つである周囲環境条件例えば温度条件を膜厚がほぼ均一となるように制御するために上述の制御手段40とリンクする図示しない温度制御手段を備えることとなる。また、この温度制御条件としては、例えば22〜24℃、ベーキング時は、100〜200℃等にて設定制御されることが好ましい。
【0093】
被レジスト塗布基材10は、レンズ等を形成するのに好ましい材質、例えば樹脂部材例えばポリオレフィン等にて形成され、断面略半円状に形成されて曲面を構成する曲面部12と、この曲面部12の周辺領域に亘って形成される周囲平面部14と、前記曲面部12とこの周囲平面部14との間が滑らかな曲面となるように形成された周囲曲面部16と、を含んで構成されている。なお、本例の周囲平面部14と、周囲曲面部16とで、本発明の「周囲面部」を構成している。
【0094】
スピンコータチャック20は、被レジスト塗布基材10を回転保持するために、被レジスト塗布基材10の周縁部を規定することで、回転する際の遠心力が生じる第1の方向Fでの移動を規制する第1の方向規制部、あるいは被レジスト塗布基材10をチャックするためのチャック部である凹部側壁部22と、被レジスト塗布基材10の底面を自重により保持する凹部底壁部24と、を有してなり、断面略凹状に形成されている。すなわち、スピンコータチャック20は、凹部を形成している。
【0095】
なお、θ方向回転駆動手段35、Z方向駆動手段41の他、被レジスト塗布面を構成するXY平面上をX軸及びY軸方向にそれぞれ、スピンコータチャック20を移動させるように駆動するX軸方向駆動手段及びY軸方向駆動手段(不図示)と、被レジスト塗布基材10を載置したスピンコータチャック20を、所定の載置位置よりレジスト塗布位置まで搬送した後に、レジスト塗布位置でのスピンコータチャック20のアライメント動作を行うための各方向(θ方向・Z方向・X方向・Y方向)の各調整機構(不図示)と、を含んで構成されている。
【0096】
制御手段49は、前記θ方向回転駆動手段35による回転数と、レジストの塗布量に基づき、粘度を制御する。また、前記塗布材供給時間制御手段34にて制御される供給時間に基づいて、前記塗布材塗布手段31による塗布材の供給の有無に応じ前記回転数制御手段36による第1、第2の回転数を制御する。さらに、塗布材塗布手段31により前記レジストが連続供給された後、前記θ方向回転駆動手段35により前記スピンコータチャック20を回転させつつZ方向駆動手段41による昇降を制御して、重力制御手段43でのレジストに働く重力を制御する。またさらに、基材固定手段47により前記被レジスト塗布基材10を前記スピンコータチャック20に固定しつつ、前記上下反転手段44及び前記Z方向駆動手段41により前記被レジスト塗布基材10の前記頂部を下方に向けた状態で前記ディップ槽50に含浸させ、その後、前記頂部が下方を向いた状態で、前記レジストに浸された前記被レジスト塗布基材10を回転させながら前記Z方向駆動手段42により上昇させるように制御する。
【0097】
上述のような構成を有するレジスト塗布装置1によれば、概略次のように作用する。すなわち、本実施形態のレジスト塗布装置1においては、後述の「処理手順」の項目にて詳述するが、「プレスピン中にレジストを連続供給して、本スピンを行い、さらに、ベーキングを行う」第1の処理(本発明の第2の処理)手順と、「曲面部の頂部を下向きにした状態で溶液槽に浸し、その後引き上げて本スピンを行い、さらにベーキングを行う」第2の処理(本発明の第1の処理)手順と、を有する。
【0098】
このために、前記第1の処理手順にてレジスト塗布を行おうとする場合には、先ず、「プレスピン」と称される第1回目の回転の際には、θ方向駆動手段35によりスピンコータチャック20を回転しつつ、塗布材塗布手段31は、被レジスト塗布基材10に対して連続的にレジストLを流下させる。この際、記憶手段37には、例えば図16に示すタイミングで駆動制御を行うよう各種制御情報がプログラムされており、前記制御情報に基づき、制御手段49は、塗布材供給時間制御手段34にてプレスピン中の一定期間に塗布材塗布手段31からレジストを供給するよう指示するとともに、所定の第1の回転数(例えば200rpm)にてθ方向回転駆動手段35が回転するように回転数制御手段36に指示(制御信号を供給)し、さらには、レジストの塗布量、粘度なども制御するよう、塗布量制御手段33、粘度制御手段32を制御する。
【0099】
但し、前記所定の第1の回転数は、レジストLの塗布量や粘度などに応じて、後述する「本スピン」における第2の回転数より小となる200rpm〜700rpmの範囲内において適当な値が選択され用いられることが好ましい。
【0100】
この点について詳述すると、まず、前記所定の第1の回転数の上限が700rpmであることの理由は、そもそもプレスピンを行う目的が、被レジスト塗布基材10を後述する「本スピン」よりも小となる回転数にて回転させて、これに連続的にレジストLを流下させることで、被レジスト塗布基材10上にレジストLを大まかに塗り広げることにあり、且つ、後述するように前記「本スピン」の回転数がほぼ700rpmとなっていることにある(このことの理由については、後述する)。また、前記所定の第1の回転数の下限が200rpmであることの理由は、図23に示すように、プレスピン中の回転数、即ち、前記所定の第1の回転数を50rpm、100rpm、200rpm、300rpm、500rpm、700rpmと変化させた場合の被レジスト塗布基材10の最終的なレジストLの膜厚分布(後述するレジスト液を回転塗布する工程とベーキング工程を繰り返すことにより得られたレジストLの膜厚分布)が、前記所定の第1の回転数が100rpm以下となる条件においては均一性に欠ける結果となったことにある。具体的には、特に被レジスト塗布基材10の中心部からの測定位置が3mmを超えた範囲において、他の回転数の場合と比較して膜厚分布に著しい不均一性が見られ、さらに他の測定位置(0〜3mmの範囲)においても、他の回転数の場合と比較して膜厚分布に不均一性が見られる結果となった。この理由は、前者においては、回転数の低下により遠心力の作用が弱まりレジストLの周囲に塗り広がる際の速度が低下して、レジストLが周辺部に塗り広がる以前にこれが乾燥してしまっていることが考えられる。また、後者においては、この前者による影響が主として考えられる。因みに、前記被レジスト塗布基材10の中心部からの測定位置が3mmを超える範囲というのは、実際に使用される範囲、即ち、製品相当部(実際には、およそ0〜2.6mmの範囲)からは外れた部分であり、この部分の膜厚分布の不均一性は、製品とは無関係であると思われがちであるが、その影響が実際に使用される範囲、即ち、製品相当部(測定位置が0〜2.6mmの範囲)にも及んでいることから、これに対処する必要がある。
【0101】
よって、本実施の形態においては、前記所定の第1の回転数を200rpm以上とすることで、遠心力の作用を必要最小限以上に確保し、レジストLが周辺部に塗り広がる以前に乾燥してしまうことを防止して、被レジスト塗布基材10のレジストLの膜厚分布が、製品相当部(測定位置が0〜2.6mmの範囲)を含む全範囲に関して他の回転数(200rpm以上)と同様(均一)になるようにする。尚、膜厚分布の不均一性は、前記所定の第1の回転数が200rpm〜700rpmの範囲内であっても、レジストの塗布量や粘度などに応じて若干生じる場合があることから、プレスピンにおける第1の回転数は、これらに応じて200rpm〜700rpmの範囲内から適当な値が選択され用いられることが好ましい。
【0102】
次に、「本スピン」と称される第2回目の回転の際には、塗布材塗布手段31により連続流下されていたレジスト液を停止した上で、θ方向回転駆動手段35によりスピンコータチャック20を回転させる。この際、制御手段49は、一定期間レジストが供給されないよう塗布材供給時間制御手段34が制御するように指示するとともに、前記第1の回転数より大となる第2の回転数(例えば700rpm)にてθ方向回転駆動手段35が回転駆動するように回転数制御手段36に対して指示する。尚、前記第2の回転数がほぼ700rpmとされることの理由については後述する。
【0103】
本実施の形態においては、さらに加えて、「本スピン」を行う際に、Z方向駆動手段41によりスピンコータチャック20を下方向に、所定の加速度(例えば、9.8[m/(s^2)])にて移動させつつ回転させる。この際、制御手段49は、重力制御手段43により回転数に応じた加速度となるようにZ方向制御手段42を制御し、これに応じて必要な加速度でZ方向駆動手段41が駆動することにより、スピンコータチャック20を移動させる。このようにすることにより、レジストが流下する際の重力の影響を低減することができる。
【0104】
一方、前記第2の処理手順にてレジスト塗布を行おうとする場合には、上下反転手段44により前記被レジスト塗布基材10を下向きにした状態で、被レジスト塗布基材10をティップ槽50内の溶液Wに浸す。この際、被レジスト塗布基材10がスピンコータチャック20から離脱しないよう、基材固定手段47が被レジスト塗布基材10とスピンコータチャック20とを固定する。そして、ψ方向回転駆動手段44aによりスピンコータチャック20を回転させるとともに、XYZ方向移動手段44bによりティップ槽50に向けて当該スピンコータチャックを下方移動させることとなる。
【0105】
次に、被レジスト塗布基材10を溶液Wに含浸させた後、XYZ方向移動手段44bによりスピンコータチャック20を引き上げた上で、下向きの状態でθ方向回転駆動手段35により所定の第3の回転数(例えば700rpm)にて回転駆動し、「本スピン」を行うこととなる。その後、所定の温度にてベーキング(加熱)処理を行う。この処理によって、塗布材を硬化する硬化処理を行うことができるが、具体的な方法として、前記ベーキング処理以外にも、塗布材に応じて紫外線硬化処理等の方法を用いることも可能である。尚、前記第3の回転数がほぼ700rpmとされることの理由については、前記第2の回転数がほぼ700rpmとされることの理由と同様であり、併せて後述する。
【0106】
そして、被レジスト塗布基材10をψ方向回転駆動手段44aにより上向きにした後、θ方向駆動手段35によりスピンコータチャック20を回転しつつ、塗布材塗布手段31は、被レジスト塗布基材10に対して連続的にレジストLを流下させる、「プレスピン」を行う。この際、制御手段49は、塗布材供給時間制御手段34にてプレスピン中の一定期間に塗布材塗布手段31からレジストを供給するよう指示するとともに、所定の第4の回転数(例えば200rpm)にてθ方向回転駆動手段35が回転するように回転数制御手段36に指示(制御信号を供給)し、さらには、レジストの塗布量、粘度なども制御するよう、塗布量制御手段33、粘度制御手段32を制御する。尚、前記所定の第1の回転数と同様に、前記所定の第4の回転数は、レジストの塗布量や粘度などに応じて、後述する第5の回転数より小となる200rpm〜700rpmの範囲内において適当な値が選択され用いられる。
【0107】
さらに、塗布材塗布手段31により連続流下されていたレジスト液を停止した上で、θ方向回転駆動手段35によりスピンコータチャック20を回転させる、「本スピン」を行う。この際、制御手段49は、一定期間レジストが供給されないよう塗布材供給時間制御手段34が制御するように指示するとともに、前記第4の回転数より大となる第5の回転数(例えば700rpm)にてθ方向回転駆動手段35が回転駆動するように回転数制御手段36に対して指示する。尚、前記第5の回転数がほぼ700rpmとされることの理由については、前記第2の回転数がほぼ700rpmとされることの理由と同様であり、併せて後述する。
【0108】
(被レジスト塗布基材の構成について)
次に、レジスト液が塗布される被レジスト塗布基材10の具体的構成について、図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0109】
本実施の形態の被レジスト塗布基材10は、レジストと親和性を持たせるための表面処理後、レジストがスピンコートされるものであり、上述のように曲面部12、周囲平面部14、周囲曲面部16を構成している。
【0110】
具体的には、図3に示すように、曲面例えば球面の頂部X1(被レジスト塗布基材10の頂部)よりX2に至る領域を曲面部12とし、一方、被レジスト塗布基材10の周縁X4よりX3に至る球面である曲面部12の周辺に亘って形成された周囲領域を周囲平面部14とし、X2からX3の間までの周囲平面部14と曲面部12との境界領域を周囲曲面部16としている。これにより、曲面部12より周囲曲面部16を介して周囲平面部14に向けてレジストが滑らかに流下しながら、レジストが曲面部16及び周囲曲面部16並びに周囲平面部14に塗布される。
【0111】
曲面部12は、図2(B)に示すように、流下するレジストが付着する頂部中心より、レジスト塗布後に膜厚分布がほぼ均一となることが必要とされる所定の有効径r1(図2(B)においては、説明を簡単にするために片側の領域のみを図示しており、本例において「径」とは半径を意味する。しかし、球面の場合は、概念上は、半径を2倍とすれば直径となるので「径」を直径を意味するように用語を置き換えたとしても相違はない)までの有効曲面部12aを含む。なお、曲面部12は、図2(B)に示すような球面に限らず、非球面である他のあらゆる曲面であってもよい。
【0112】
周囲平面部14を構成することにより、遠心力によって周囲に飛ばされて、レジスト液が膜厚均一性を保ちながら流下することができる。
【0113】
さらに、周囲平面部14は、図2(A)に示すように、被レジスト塗布基材10自身の位置を認識するための位置認識部15を有する。この位置認識部15は、複数例えば3個形成されており、本例においては、図2(B)に示すように、断面凸状の凸部を構成している。これにより、周囲平面部14の表面がレジストにより被覆されたとしても、凸状の位置認識部15によって、次工程の例えば露光等の位置認識を行うことができる。
【0114】
乃ち、より詳細には、周囲平面部14の位置認識部15にレジストが塗り広がらないようにしたことで、位置認識部15の認識精度が向上し、次工程の露光装置、EB(電子ビーム)描画装置での位置決め精度を向上させることができる。なお、位置認識部15の配置位置は、有効曲面部12aの有効径r1の少なくともほぼ3倍より離間した位置r3にて形成することが好ましい。こうすると、周囲曲面部16と干渉しないからである。さらに、上述の例では、位置認識部15を、凸状の凸部にて形成する例を挙げたが、これに限定されず、断面凹状の凹部であっても、さらには、位置認識マークにて形成する構成としてもよい。このような構成によっても上記同様の作用効果を奏することができる。
【0115】
周囲曲面部16は、図2(B)に示すように、曲面部12の第1の半径R1が、周囲曲面部16を構成する曲面の第2の半径R2のほぼ1倍〜ほぼ10倍にて形成されるように、構成することが好ましい。さらには、第2の半径R2の接線の傾きがほぼゼロになる周囲平面部14と周囲曲面部16との境界領域位置X3を、有効曲面部12aの有効径r1の少なくともほぼ2倍より離間した位置r2に形成することが好ましい。こうすると、周囲曲面部16によるレジストの滑らかな流下を促し、有効径r1内の曲面部12aに均一な膜厚を得ることができるからである。
【0116】
この点について詳述すると、例えば、図6に示すように、有効径(図2(B)におけるr1)と、接線の傾きがほぼ0になる点まででの距離(図2(B)におけるr2との関係は、第1の半径R1=4mmの曲面で、有効径をr1=2mm得るにあたって、第2の半径R2の接線の傾きがほぼ0になる点を、基材10の回転中心からr2=4mmとした場合、基材10の回転中心からほぼ2mmまで、ほぼ均一な膜厚を得ることができたことが判明した。これによって、周囲平面部14と周囲曲面部16との境界領域位置X3を、有効径r1の少なくともほぼ2倍より離間した位置r2に形成することが好ましい理由が得られる。
【0117】
なお、本例においては、周囲曲面部16を、球面に形成する例を示したがこれに限定されず、非球面であるあらゆる曲面にて形成してもよい。あるいは、レジスト膜の膜厚の均一化を得ることができるのであれば、周囲曲面部16を曲面と平面(テーパ)との組み合わせや平面にて形成してもよい。
【0118】
周囲平面部14と周囲曲面部16との境界X2では、膜厚修正用凹凸部13が形成され、この領域で生じる所定回転数での膜厚不均一部を吸収できるようになっている(詳細は後述)。
【0119】
また、本例においては、塗布材であるレジストを、所定の回転数にて蒸発量が少ない組成とするのが好ましい。この組成としては、例えば、粘度が少なくとも150(mPa・S)より小さい(低い)レジストを用い、スピンコートを行うことが好ましい。こうすると、図1に示すように、レジストLを流下しつつ回転を開始すると遠心力及びレジストLに加わる重力によって矢印T方向に沿ってレジストLが膜厚が均一となるように周囲領域に広がるからである。
【0120】
なお、各粘性における回転数と膜厚との関係を示した相関テーブルを図1の記憶手段38などに格納することにより、粘度制御手段37は、所望のレジストの粘度に応じた回転数の制御をも行うことができる構成とすればより好ましい。
【0121】
さらに、周囲曲面部16を構成したことにより、曲面部12と平坦部14との間のなだらかな曲面によってレジストLが滑らかに流下しつつ広がることとなり、曲面部12におけるレジスト塗布膜厚の均一化を図ることができる。また、曲面部12の周辺領域に周囲平面部14を形成したことにより、図2(A)に示すように、周囲平面部14の外周、乃ち、曲面部の頂部X1から等高の位置からレジストLが飛散することにより、レジスト膜に外周方向への均一な力(レジストの粘性、遠心力、並びに降下する際の重力等の組み合わせ)が加わり膜厚をコントロールできる。
【0122】
さらにまた、被レジスト塗布基材10の材質を例えば樹脂部材にて形成することにより、被レジスト塗布基材10を射出成型や切削成型等の加工が容易となり、供給しやすくすることができる。すなわち、本発明者等が鋭意検討した結果、電子ビーム用レジスト、現像液に用いられる溶剤に対して、被レジスト塗布基材10を、樹脂例えばボリオレフィン等にて形成したときに、溶剤による変化が少ないことが判明した。さらに、被レジスト塗布基材10を、第1導電型の不純物部材例えば、n型シリコン等にて形成することが好ましい。こうすると、レジスト塗布後の光学的な膜厚評価を適用しやすいからである。
【0123】
(本実施の形態の特徴)
ここで、上記のような構成からなる被レジスト塗布基材10は、概略以下のように作用する。なお、本実施の形態においては、「r4を曲面部の半径の4倍未満とする」、「膜厚修正用凹凸部を予め基材側に作り込んでおく」、「回転数及び粘度を所定の範囲とする」、「レジストをプレスピン時に連続供給する」、「重力制御による修正」、「下向きにしてディップ槽に浸して回転塗布することによる修正」、「表面粗さ」等に特徴があるものであるから、以下、これらの各項目別に詳述する。
【0124】
(曲面部の半径の4倍未満)
先ず、本実施の形態の第1の特徴は、曲面部12の回転中心より周囲平面部14の周囲端までの距離r4を、曲面部12の半径R1のほぼ4倍以下に形成した点にある。
【0125】
例えば、図11(A)に示すように、R1=4mm、R2=4mmとして、曲面部12と周囲曲面部16との境界領域たる屈曲点X2を回転中心から3mmとした場合には、周囲端までの距離r4を11mmとした場合に、膜厚が均一となることが判明した。これにより、r4は、R1のほぼ4倍よりやや小さいことが好ましく、逆に言えば、r4は、R1の4倍以上の長さを有していてもサイズが大きくなるだけで、長ければ長いほど膜厚を均一にするという効果が得られるわけではない。
【0126】
このため、被レジスト塗布基材10の当該サイズを、膜厚均一に必要な最低限のサイズとすることにより、製造段階での母材サイズを小型化することができる。よって、基材加工に時間を要さず、工期の短縮化が図れ、スループットが向上する。また、部材使用量の低減によりコストダウンをも図ることができる。
【0127】
なお、例えば図6に示すように、第1の半径R1=4mmの曲面で、有効径をr1=2mm得るにあたって、第2の半径R2の接線の傾きがほぼ0になる点X3を、基材10の回転中心からr2=4mmとした場合、基材10の回転中心からほぼ2mmまで、ほぼ均一な膜厚を得ることができることが判明した。乃ち、r2(X3)=3の場合(10B)に比して、r2(X3)=4の場合(10A)の方がより膜厚が均一となる。
【0128】
つまり、r2(X3)=4の場合(10A)においては、屈曲点X2付近では膜厚の不均一部が生じるが、他の領域はほぼ膜厚が均一となる。ただし、前記不均一部については、この不均一部を解消する(吸収する)形状(点線部分)を予め被レジスト塗布基材10の屈曲点X2(曲面部12と周囲曲面部16との境界)領域に作り込んで膜厚修正用凹凸部13(オフセット修正)を形成することが好ましい。これにより、前記不均一部が形成されたとしても、「被レジスト塗布基材+レジスト」の外形を所定の形状に納めることができる。
【0129】
(X2の形状について)
次に、「膜厚修正用凹凸部13」のより詳細な構成について説明する。先ず、図7には、レジストを連続供給した場合に、回転数並びに各層における基材の回転中心からの距離とレジストの厚みとの関係が開示されている。
【0130】
例えば最終的なレジストの所望の膜厚がほぼ1600nm前後であるとすると、図の例では、レジスト塗布及びベーキングを各々2回行い、レジストを2層構成にすることで最終的な膜厚を得る場合を想定している。この場合、回転数が700rpmの場合には、第1層目ではほぼ700nm前後のレジストの厚みを有し、第2層目ではほぼ900nm前後のレジストの厚みを有し、結果として最終的な厚みは、ほぼ1600nm前後となっている。
【0131】
ところで、700rpmの第1層目では、中心からの距離が2mmまでは、ほぼ一定の膜厚を有しているものの、屈曲点X2付近の領域では、やや膜厚が不均一となる不均一部M1を形成している。さらに、700rpmの第2層目においても、同様に、屈曲点X2付近の領域において、やや膜厚が不均一となる不均一部M2を形成している。この不均一部M2は、不均一部M1による不均一部分の厚みの影響を含むものと考えられる。
【0132】
そこで、本実施形態においては、前記不均一部M1による厚みを吸収するために、被レジスト塗布基材10の屈曲点X2近傍領域に、予め膜厚修正用凹凸部13を形成している。すなわち、不均一部M1が盛り上がり厚みが大となる部分に対しては、膜厚修正用凹凸部13は凹むようにして形成し、不均一部M1の厚みが小となる部分に対しては、膜厚修正用凹凸部13は凸になるようにして、「被レジスト塗布基材10+レジスト」の厚みを均一とすることができる。
【0133】
ここで、この膜厚修正用凹凸部13の形状を決定する方法について説明する。前述のように、被レジスト塗布基材10の中心からおよそ2mmの距離までの範囲内では、膜厚はほぼ一定となることから、本例においては、被レジスト塗布基材10の中心から1.8mmの距離までの範囲のことを膜厚平坦部と定義し、この膜厚平坦部におけるレジスト膜厚の平均値を基準値と称することとする。図24に示すように、まずレジストが全層塗布された複数、例えば32個の被レジスト塗布基材10の各ラジアル位置におけるレジスト膜厚を測定する。そして、各ラジアル位置におけるレジスト膜厚の前記基準値からの変位量を各々算出する。さらに、図25に示すように、それら変位量の平均値(本例では32個の平均値)を求め、これを基に膜厚修正用凹凸部13の基準形状データ、即ち、ベースラインを作成する。そして、これ以降、被レジスト塗布基材10に膜厚修正用凹凸部13を形成する際には、このベースラインに基づいて、その形状加工を行う。より詳しくは、後述する被レジスト塗布基材10を加工する工程において、被レジスト塗布基材10を切削加工するために、超精密旋盤にてダイアモンド切削を行う際に、その送り量、切込量をこのベースラインに基づいて決定して、膜厚修正用凹凸部13を形成する。
【0134】
ここで、図26に、前記ベースラインからの前記複数(任意の20個)の被レジスト塗布基材10の各ラジアル位置におけるレジスト膜厚の変位量を示す。同図においては、製品相当部であるラジアル位置が0〜2.6mmの範囲が抽出され、その膜厚変位量が示されている。本例においては、個体数20個の内、3個が管理値である±14[nm]/0.2[mm]から外れることとなった。しかしながら、残りの17個に関しては管理値内に収まり、その結果、良品率は17個/20個=85パーセントという結果となった。
【0135】
ところで、此処にいう管理値とは、次のように定義されるものである。「被レジスト塗布基材10+レジスト」で構成される実際の形状と設計上の形状(理想形状)とに誤差が生じると、被レジスト塗布基材10が光学レンズとして製作された場合、例えば球面収差を始めとする波面収差劣化が発生する。この波面収差ΔWは、レーリーリミットとして知られるように、入射光の波長λの1/4以下であることが望ましく、これを式に表せば、以下の様になる。
ΔW=(n−1)d≦λ/4
ここで、例えば入射光の波長λがλ=400nm、屈折率nがn=1.5であるとした場合、許容形状誤差dは、
Figure 0004433663
しかしながら、実際には他の誤差要因も考慮しなければならないことから、許容形状誤差dは、安全率を考慮して決定する必要がある。特に、本実施例の場合のように、転写工程を含む多工程を経て金型形状が作り込まれる場合(後述を参照のこと)には、一つの工程のみによって全てのマージンを使い切ってしまうわけにはいかないことから、このレジスト回転塗布工程及び後述するベーキング工程に関しては、その膜厚分布形状の誤差管理値を±35[nm]/0.5[mm](=±14[nm]/0.2[mm])と決定することにした。
【0136】
尚、前記被レジスト塗布基材10の各ラジアル位置におけるレジスト膜厚を測定する方法については、本発明者の先願である特願2002−008162に詳細に開示されているが、その基本原理について簡単に説明すれば、次のようになる。図27に示すように、膜Mが被覆された基板Bに対して光L1(ハロゲン光のような比較的広い可視帯域を有するもの)を照射すると、その反射光は、膜Mの表面で反射した反射光L2と、基板Bの表面で反射した反射光L3とに分岐される。ここで、膜Mの膜厚をd、その屈折率をnとすると、反射光L3は、反射光L2に対して光路差がおよそ2dだけ長くなることから光の干渉が生じ、膜厚dに応じて、所定の長さで光強度のピークが生じる。そこで、かかる反射光を固体撮像素子等で電気信号に変換し解析することで、反射光スペクトルを得ることができる。ここで光源波長は、例えばi線やg線などを用いた場合、ある程度広い波長帯域を有するため、光強度のピークが不明瞭となる。そこで、予め膜Mが被覆されていない基板Bに対して、光源から光を照射することで、その反射率スペクトルを同様にして得て、膜Mの被覆前後における反射スペクトルの差に基づいて、図28に示すごときグラフを得ることができる。図28は、図27に示す状態での反射光のスペクトル(反射率スペクトル)分析を行ったものであり、582nmに山のピークがあり、548nm、622nmに谷のピークがある。ここで、山のピークの波長をλ2mとし、谷のピークの波長をλ2m+1とすると、膜Mの膜厚d、屈折率nは、
nd=(λ2m×λ2m+1)/4(λ2m−λ2m+1)で表せる。
従って、屈折率nが既知であれば、膜厚dを算出することができる。但し、ここで注意すべきは、本実施形態に関しては、測定対象物である被レジスト塗布基材10が曲面形状をなしているため、レジストLの膜厚dを精度良く測定するためには、その都度、光L1の入射角度を被レジスト塗布基材10の測定対象曲面に対して略90度に、即ち、光L1の進行方向と被レジスト塗布基材10の測定対象曲面とを略直交させた上で測定を行う必要がある。尚、これを実現するための装置及び方法については、前記特願2002−008162に詳述されている。
【0137】
このように、被レジスト塗布基材10の屈曲点X2近傍領域に、予め膜厚修正用凹凸部13を形成することで、本実施形態においては、700rpmの1層目において膜厚を均一にすることができるので、2層目以降に生じる不均一部の高低差を最小限度(許容範囲内)にとどめて、膜厚をほぼ均一にすることができる。
【0138】
なお、上述の例では、膜厚修正用凹凸部13として、700rpmの第1層目の特性による不均一部M1を吸収する形状を例示したが、700rpmの第2層目の特性による不均一部M2を吸収する形状であってもよい。さらには、レジスト膜を2層に形成する場合を例示したが、これに限らず、1層のみの場合や、2以上の複数層で形成する場合であってもよい。
【0139】
その際、第n層目の特性による不均一部Mnの特性形状に応じて、膜厚修正用凹凸部13を当該特性形状を吸収できるような形状とすれば、多層形成による各層の不均一部の影響を全て取り除いて、最終的にほぼ均一な膜厚を確実に得ることができるのでなお好ましい。
【0140】
一方、700rpmの場合について説明したが、他の特定の回転数の特性に合わして、膜厚修正用凹凸部13の形状を作り込んでおく場合であってももちろんよい。この際、例えば、2000rpmでは、2層目において顕著な不均一部が見られるので、2層目での不均一部に対応した形状とするのが好ましい。また、4000rpmになると1層目において不均一部が見られないので、このような場合には、膜厚修正用凹凸部13を形成する必要はなく、これらは回転数に応じて適宜変更可能としてよい。
【0141】
なお、前記不均一部の形状は、各回転数に応じてある程度の再現性があるため、各回転数の特性での各不均一部の形状の加算平均の形状を基準として、膜厚修正用凹凸部13の形状を設定してもよい。
【0142】
以上のように、膜厚修正用凹凸部13を予め被レジスト塗布基材10に形成することにより、最終のレジスト膜の表面を均一にすることができる。
【0143】
(粘度、回転数について)
次に、粘度及び回転数の設定範囲について説明する。ここで、回転数あるいは粘度と膜厚との関係について説明するに先立ち、一般的なスピンコートのメカニズムについて説明する。
【0144】
先ず、被レジスト塗布基材10が平板状の形状である場合には、遠心力による溶液(レジスト液)の外周方向への広がりを表す関係式は、図9のS11のようになる。この結果、レジストの塗布量(流量)qは、図9のS12のようになり、また、単位時間当たりのレジストの膜厚は、図9のS12のようになる。ここで、これら各式において、図8(A)に示すように、スピンコート(回転塗布時)の回転角速度ω、レジストの厚さh、レジスト部分の半径r、レジストの粘度η、微小厚さz、レジスト塗布量q、蒸発速度eとする。
【0145】
一方、被レジスト塗布基材10が曲面状の形状である場合には、遠心力による溶液(レジスト液)の外周方向への広がりを表す関係式は、図10のS21のようになる。この結果、レジストの塗布量(流量)qは、図10のS22のようになる。ここで、図8(B)に示すように、曲面上のラジアル角度Θとする。
【0146】
これにより、例えば図10に示すS22により、特定の粘度η、角速度ωでの、曲面上の所定の位置における膜厚hの関係が理論的に設定できる。ただし、これは本実施形態の曲面部についてのみ該当し、周囲曲面部や周囲平面部についての影響は含まれていない。
【0147】
次に上述のような前提の下、本実施の形態のような曲面部、周囲曲面部、周囲平面部の形状を有する被レジスト塗布基材において、膜厚が均一となるための回転数及び屈曲点X2位置について検討する。
【0148】
例えば、図11(A)に示すように、R1=4mm、R2=4mmとして、曲面部12と周囲曲面部16との境界領域たる屈曲点X2を回転中心から3mmとした場合においては、曲面部12上のレジスト液に加わる重力と遠心力との関係は、図11(B)に示すように、回転数が700rpmの場合は、遠心力A1と重力A2が屈曲点X2上で釣り合うが、回転数が800rpmの場合(図11(C))には、遠心力A1と重力A2のが釣り合う位置が、屈曲点X2よりも回転中心軸側のラジアル位置となり、逆に、回転数が600rpmの場合(図11(d))には、遠心力A1と重力A2のが釣り合う位置が、屈曲点X2よりも外周側のラジアル位置となる。
【0149】
乃ち、回転数が700rpm前後の場合には、遠心力と重力は屈曲点X2付近で釣り合う傾向があるが、回転数が1000rpm、2000rpmと増大すると、rω^2の項が大となり遠心力が大きくなり、回転中心軸側により近い位置で重力よりも遠心力が大きくなるので、遠心力と重力と屈曲点X2で釣り合わなくなる。
【0150】
従って、図11(A)に示す設定例においては、屈曲点X2において釣り合う位置となるので、回転数をほぼ700rpm前後とすることが好ましい。
【0151】
このようにして、前記屈曲点X2の位置及び回転数を選択することにより、レジスト液の粘度を変更することで、膜厚を制御することもできる。
【0152】
ここで、上記条件を満たしたとしても、上述の図7で示したような、屈曲点X2近傍領域における膜厚不均一部が生じるが、この膜厚不均一部は、前記膜厚修正用凹凸部により解消できることとなる。
【0153】
この場合において重要なことは、そのような屈曲点X2領域で膜厚不均一部が生じるものの、屈曲点X2以外の領域では、前記ほぼ700rpm前後の回転数にて膜厚の均一化を図ることができた点にある。従って、このような回転数の選択と、前記膜厚修正用凹凸部を組み合わせることにより、膜厚の均一化を図ることができるのである。
【0154】
次に、比較例として、連続流下と似たようにレジストを塗布する場合を想定する。例えば、図12(A)に示すように、回転数を700rpm、粘度を当該回転数で蒸発量が顕著でない粘度例えば66〜276cpとした場合の時間0〜135秒の間の膜厚の経時変化は、図中のH0〜H12となるが、時間経過に従い、膜厚は均一となる。当然のことながら、レジスト液が流れていくので、ある時間で膜厚は平らになる。
【0155】
一方、図12(B)に示すように、回転数を2000rpm、粘度を当該回転数で蒸発量が顕著でない粘度例えば100〜400cpとした場合の時間0〜9秒の間の膜厚の経時変化は、図中のH0〜H12となるが、いずれの場合でも屈曲点近傍領域で膜厚の不均一部が生じる。
【0156】
この結果、回転数が特に大となる2000rpmでは好ましくなく、必然的にほぼ700rpm前後の回転数とするのが、膜厚均一化の観点から好ましいことが伺える。
【0157】
また、その粘度は、66cp〜276cp程度とするのが好ましいが、さらには、150(mPa・S)以下とすることが好ましい。
【0158】
以上のように、曲面上のレジストに加わる重力と遠心力とのバランスを取れるように、ほぼ粘度150[mPa・S]以下のレジスト液を、ほぼ700[rpm]で回転塗布する工程と、ベーキング工程を繰り返すことにより、ほぼ均一な所望の膜厚を得ることができる。
【0159】
(連続供給による利点について)
例えば、比較例として、図20(A)に示すように、期間T0でレジスト液を滴下して被レジスト塗布基材の表面を覆った後、期間T2で所定の回転数(例えば200rpm)で回転させてプレスピンを行い、その後、期間T4で所定の回転数(例えば1500rpm〜400rpm)で本スピンを行うスピンコートの手法を想定する。この場合には、図20(B)(C)に示すように、回転数が700rpmで粘度が100cp、回転数が2000rpmで粘度が100cp、回転数が4000rpmで粘度が100cp、回転数が2000rpmで粘度が300cp、回転数が4000rpmで粘度が300cpなどのいずれの場合にも、屈曲点より回転中心軸側で膜厚が単調増加する傾向が顕著である。
【0160】
これに対し本実施の形態では、プレスピン中にレジスト液を連続供給している。具体的には、例えば、図16に示すように、先ず、期間T1(例えば2sec)で回転数を増大させ、期間T2(例えば5sec)の間、第1の回転数(例えば200rpm)で被レジスト塗布基材10を回転させるプレスピン中にレジスト液Lを連続供給して常に補充する。
【0161】
これにより、重力及び遠心力に起因して曲面部12の頂部領域で薄くなる傾向にある膜厚に対して、薄くなろうとする速度(頂部の部分で力が加わり留まっていられなくなる分)以上にレジスト液を連続供給することにより、結果として薄くなろうとする分が補充され、曲面部12上で均一な膜厚を得ることができる。
【0162】
その後は、レジスト液の供給を停止して、期間T3(例えば2sec)で回転数を増大させ、期間T4(例えば600sec)で本スピンを行い、期間T5(例えば2sec)でスピンコートを終了する。
【0163】
なお、レジスト液Lを連続供給するにあたり、塗布材塗布手段31を構成する注射器等に対して、空圧を使って塗布材供給時間制御手段34からのトリガーと同時にスタートし、回転数に合わせてディスペンサー等の空圧を制御することにより実現できる。なお、塗布材塗布手段31には、連続供給時の脈動の影響を低減する脈動防止手段を構成することが好ましい。
【0164】
このように、プレスピン中にレジスト液を被レジスト塗布基材の回転中心軸に対して連続的に供給することで、回転による回転中心部のレジスト液減少を補償することができ、前記被レジスト塗布基材の回転中心部から周辺部にかけて、膜厚分布が単調増加することがなくなった。
【0165】
(重力制御による修正)
また、本実施の形態においては、本スピン中ないしはプレスピン中に、前記重力制御手段43により、図17に示すように、被レジスト塗布基材10が搭載されたスピンコータチャック20を鉛直方向下向き(Z1方向)に所定の加速度で移動させることにより、曲面部12上のレジスト液に加わる重力の影響を低減している。
【0166】
乃ち、回転時には、曲面部12上のレジスト液に下向きの力が加わるので、回転させる区間だけ、重力制御手段43により下方に移動させることで前記下向きの力をキャンセルする上向きの力が生成されて、結果として、回転時におけるレジスト液に加わる重力の影響を除くことができる。特に、レジスト液Lが曲面部12の斜面を伝わりきる期間だけ、下向きに動作させると、その効果が顕著となる。
【0167】
以上のように、回転時に鉛直方向に下向きに移動させることで、曲面部上のレジスト液に加わる重力の影響を低減することができ、レジスト膜の膜厚分布の均一化に寄与できる。
【0168】
(ディップ槽に浸すことによる修正)
次に、前記「X2の形状について」の項で説明した、図7に示す膜厚の不均一部を解消するための他の手法について説明する。
【0169】
詳述すると、図19に示すように、被レジスト塗布基材10の頂部を下向きにした状態で、ディップ槽50に浸す。次に、前記被レジスト塗布基材10を回転させながら引き上げて1層目を形成し、ベーキングを行う。
【0170】
ここで、図7では、上向きで700rpmで回転しながらレジストを連続供給した場合に、屈曲点X2近傍領域にて重力の影響の度合いが変わり不均一部M1が形成された。これに対して、下向きで所定回転数(700rpm)で回転させた場合には、屈曲点X2の領域で前記不均一部と逆の形状の膜厚(乃ち図7の形状が凸形状なら、この下向き回転の場合には凹形状)が形成されることとなる。従って、少なくとも第1層目においては、凹んだ形状の逆不均一部が構成されることとなる。
【0171】
次いで、逆不均一部が形成された状態において、図19に示すように、被レジスト塗布基材10の頂部の向きを再び上向きに(最初の状態)に戻して、レジスト液Lを回転中心に連続的に供給して回転塗布するプレスピンを行い、その後本スピンを行って、ベーキングを行うことで、第2層目を構成する。
【0172】
ここで、第2層目が形成される際には、この層の形成による前記屈曲点X2近傍領域における不均一部が形成されることとなるが、この第2層目の不均一部と前記第1層目の逆不均一部は互いに逆の形状であることから、全体として不均一がキャンセルされることとなる。これにより、屈曲点に拘わらず均一な膜厚を得ることができる。
【0173】
このように、被レジスト塗布基材の頂部を下向きにしてディップ槽に浸けて回転させながら引き上げて1層目を形成し、ベーク後に、被レジスト塗布基材の頂部を上向きにして、レジスト液を回転中心部に連続的に供給して回転塗布し、ベークを行うことで、塗布毎に、重力の影響をキャンセルさせて均一な膜厚を得ることができる。尚、上記の例では、被レジスト塗布基材を回転させながら引き上げているが、被レジスト塗布基材を引き上げ終えた後に回転させることも可能である。
【0174】
なお、本実施の形態においては、レジスト膜を2層で構成する場合について説明したが、n層構成する場合であってもよい。ただし、n層を構成する際に、nが偶数である場合には、奇数層目で下向きとし偶数層目で上向きとするように構成することが好ましい。また、nが偶数である場合に、第1層目から第(n/2)層までは、連続して下向きとし、第(n/2+1)層目以降は上向きとする構成としてもよい。なお、これら下向き、上向きの順序を逆としてもよい。
【0175】
さらに、n(n≠1)が奇数である場合には、第1層目から第k(2≦k≦n―1)層目までを下向きとして、第k+1層目以降を上向きとしてもよい。ただし、この場合第k層目までの各逆不均一部の合計と、第k+1層目以降の不均一部の合計とがキャンセルされるように、各々の回転数等を調整制御するような手法を行う必要がある。このような場合には、予め各回転数、屈曲点位置X2に応じた不均一部の膜厚の形状を定義したテーブル等を前記記憶手段37に格納しておき、制御することが好ましい。
【0176】
(表面粗さについて)
次に、本実施の形態において利用される被レジスト塗布基材を加工する際の表面粗さについて説明する。先ず、被レジスト塗布基材10を加工するための超精密旋盤例えば、SPDT(Single Point Diamond Turning)の概略構成について、図13及び図14を参照しつつ説明する。
【0177】
超精密旋盤100は、図13に示すように、被レジスト塗布基材などのワーク110を固定するための固定部111と、前記ワーク110に対して加工を施すための刃先であるダイアモンド工具112と、前記固定部111をZ軸方向に移動させるZ軸スライドテーブル120と、前記ダイアモンド工具112を保持しつつX軸方向(あるいは加えてY軸方向)に移動させるX軸スライドテーブル122と、Z軸スライドテーブル120及びX軸スライドテーブル122を移動自在に保持する定盤124と、を含んで構成されている。なお、固定部111もしくはダイアモンド工具112のいずれか一方又は双方を回転駆動するための不図示の回転駆動手段が設けされ、後述の制御手段138に電気的に接続されている。
【0178】
また、超精密旋盤100は、図13に示すように、Z軸スライドテーブル120の駆動を制御するZ方向駆動手段131と、X軸スライドテーブル122のX軸方向での駆動(あるいは加えてY軸方向での駆動)を制御するX方向駆動手段132及びY方向駆動手段133と、これらにより送り量を制御する送り量制御手段134と、切込量を制御する切込量制御手段135と、温度を制御する温度制御手段136と、各種制御条件や制御テーブルないしは処理プログラムを記憶した記憶手段137と、これら各部の制御を司る制御手段138と、を含んで構成される。
【0179】
ダイアモンド工具112は、図14に示すように、本体部分を構成するダイアモンドチップ113と、この先端部に構成された頂角αからなるすくい面114と、側面部を構成する第1逃げ面115、第2逃げ面116から構成される。
【0180】
上記のような構成を有する超精密旋盤100において、概略以下のように作用する。すなわち、セットされたワーク110に対して、ダイアモンド工具112が相対移動することによって、ワーク110の加工を行うこととなる。この際、ダイアモンド工具112は、図14に示すように、刃先がRバイトの構成を有していることから、刃先の当たるポイントが順次変化し、摩耗に対しても強い。
【0181】
そして、本実施の形態においては、上述のような超精密旋盤を用いて、前記被レジスト塗布基材10を加工する際には、温度コントロールを実施しながら、送り量、切込量を制御して曲面の表面粗さが例えば、50nm以下、さらに好ましくは20nm以下となるように切削加工されることとなる。
【0182】
その後、目視で虹色に見える(回折による構造色)ツールマークを研磨して当該虹(構造色)が見えなくなるまで研磨する。
【0183】
なおここに、「表面粗さ」とは、図22(B)に示すように、ある面を粗さ曲線f(y)として定義し、当該粗さ曲線f(y)からその中心線方向に測定長さlの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸として粗さ曲線をx=f(y)で表したとき、図の式によって求められる値Raを表したものをいう。
【0184】
ここで、被レジスト塗布基材10がレンズである場合には、光学面として、表面粗さが例えばほぼ20nm以下とする必要がある。しかし、レンズでない場合を想定した場合には、この限りではなく、膜厚分布の差異の認められる75nm以下としてもよい。従って、ほぼ75nm以下とし、さらに好ましくはほぼ20nm以下とする。
【0185】
このように、本実施の形態では、ツールマーク等の表面粗さを取り除くことができるので、膜厚を測定する際の光学的評価に支障をきたすことがない。また、測定結果を、全てレジスト塗布方法の検討にフィードバックできるようになった。
【0186】
(処理手順について)
次に、上述のような構成を有する被レジスト塗布基材にレジストを塗布するに際し、その前提となる加工工程、さらには、前述のレジスト塗布する際における第1の処理手順、第2の処理手順について詳述する。
【0187】
(加工工程)
先ず、被レジスト塗布基材を切削加工する際には、超精密旋盤例えば、SPDT(Single Point Diamond Turning)にて、ダイアモンド切削を行うことにより、温度コントロールを実施しながら、送り量、切込量を制御して曲面の表面祖さ50[nm]ないしは20nmを得る(切削工程)。その後、目視で虹色に見えるツールマークを研磨して虹が見えなくなるまで研磨する(研磨工程)。このようにして、被レジスト塗布基材10を加工し完成すると、次にレジスト塗布を行うこととなる。
【0188】
(レジスト塗布工程)
(第1の処理手順)
次に、上述のような構成を有する被レジスト塗布基材にレジストを塗布する場合の塗布工程を、被レジスト塗布基材の作用とともに図15〜図17を参照しつつ説明する。
【0189】
不図示の搬送手段によって搬送された被レジスト塗布基材10を、スピンコータチャック20上に載置してセットを行う(ステップ、以下「S」101)。この際に、スピンコータチャック20には、凹部が形成されているので、被レジスト塗布基材10が当該凹部内に挿入されることで一義的に保持固定される。そして、所定のレジスト滴下位置にて駆動手段30によりスピンコータチャック20のアライメント動作が行われる。
【0190】
次に、回転数制御手段36によって、所定の第1の回転数(例えば200rpm)にまで、期間T1を利用して上昇させ、スピンコータチャック20をθ方向駆動手段35によりθ方向に回転して、期間T2にてプレスピンを開始する(S102)。
【0191】
そして、被レジスト塗布基材10が回転された状態で、塗布材塗布手段31にて所定量のレジスト液Lを回転中心に連続的に流下して供給することとなる(S103)。この際に、膜厚が均一となるような、スピンコータチャック20の回転数に応じたレジスト塗布量、環境条件などの各種制御条件は、塗布量制御手段33及び回転数制御手段36並びに制御手段49により制御される。例えば、本実施の形態においては、レジスト100cpに対して、塗布材塗布手段31の供給針内径を0.2mmとした場合に、供給圧力は、例えば0.3MPa程度となる。
【0192】
このプレスピンでは、被レジスト塗布基材10の前記曲面部12の頂部に対して前記レジストを連続的に流下し、前記被レジスト塗布基材10の所定の第1の回転数での回転に伴い前記頂部に流下された前記レジストが、ほぼ均一な膜厚を維持しつつ前記頂部より前記曲面部12の周辺の周囲曲面部16及び周囲平面部14に向かうに従い滑らかに流下しながら前記レジストが塗布される(回転塗布工程)。
【0193】
この間、レジストが連続供給されつつ、所定の回転数にて回転されると、レジストLは、図1に示す矢印Tに示すように、曲面部12から周囲曲面部16を経由して周囲平面部14にまで広がることとなる。
【0194】
この際に、図3に示すように、X1からX2までの曲面部12にて広がる際には、曲面部12の曲面に沿ってレジスト(図2に示すL)が広がり、次に周囲曲面部16に至ると、前記曲面部12にて広がるレジストの速度に対して、ほぼ同様かより早い速度となって広がることとなる。これにより、曲面部12と周囲平面部14とが不連続な面である場合に周囲平面部14にレジストがぶつかる際に生じる衝撃に起因した減速により、膜厚が不均一となる場合に比して、周囲曲面部16の連続面によって滑らかにレジストが広がる。
【0195】
さらにこの場合に、曲面部12及び周囲平面部14において膜厚が均一となるが、この周囲曲面部16においては、その境界領域において不均一となる領域が生じることが考えられるが、膜厚修正用凹凸部13が形成されることでこれら不均一部は解消される。
【0196】
次に、期間T3において、2secが経過したか否かについての判断処理が行われる(S104)。この判断処理において、2secが経過したものと判断されない場合には、S103に戻る。一方、前記S104の判断処理において、2secが経過したものと判断された場合には、塗布材供給時間制御手段34は、レジスト供給を停止するように塗布材塗布手段31に指示を出し、レジスト供給を停止することとなる(S105)。
【0197】
次に、期間T3において、前記第1の回転数より大となる第2の回転数(例えば700rpm)にまで、回転数制御手段36を用いて回転数を上げた後、期間T4において本スピンを開始することとなる(S106)。この本スピンでは、回転数を例えば700rpmとし、600secの期間回転させることが好ましい。
【0198】
この本スピンでは、レジストの連続供給を停止し、前記レジストが塗布された前記被レジスト塗布基材10を前記第1の回転数より大きい第2の回転数にて回転する(回転工程)。
【0199】
そして、この際、Z方向駆動手段41によりスピンコータチャック20を下向きに移動させる(S107)。ここで、移動させるには、重力制御手段43により加速度例えば、9.8[m/(s^2)]にて移動させるよう制御する。これにより、レジストに加わる重力の影響を取り除くことができる。
【0200】
次に、(2*h[m]/9.8[m/(s^2)])^(1/2)[sec]なる時間が経過したか否かの判断処理が行われる(S108)。この判断処理において、当該時間が未だ経過していないと判断された場合には、S107に戻る。一方、前記S108の判断処理において、当該時間が既に経過したものと判断された場合には、Z方向駆動手段41によりスピンコータチャック20の下方向への移動を停止する(S109)。
【0201】
そして、被レジスト塗布基材10に対して、ベーキング(加熱)処理を施す(S110)。この際、温度はほぼ170℃とし、ほぼ20minの間加熱することとなる。
【0202】
以上のようにこの処理手順によれば、回転時には、曲面部上のレジスト液に下向きの力が加わるので、回転させる区間だけ、重力制御手段43により下方に移動させることで前記下向きの力をキャンセルする上向きの力が生成されて、結果として、回転時におけるレジスト液に加わる重力の影響を除くことができる。特に、レジスト液Lが曲面部12の斜面を伝わりきる期間だけ、下向きに動作させると、その効果が顕著となる。従って、回転時に鉛直方向に下向きに移動させることで、曲面部上のレジスト液に加わる重力の影響を低減することができ、レジスト膜の膜厚分布の均一化に寄与できる。
【0203】
なお、この後、レジスト塗布後においては、周囲平面部14を、図4に示すように、周囲曲面部16を図5に示すように、各々切削加工することによって、曲面部14のみのレジストを塗布した被レジスト塗布基材10を構成することができる。
【0204】
(第2の処理手順)
次に、レジスト塗布にかかる別の処理手順(第2の処理手順)について、図18及び図19を参照しつつ説明する。
【0205】
先ず、被レジスト塗布基材10の頂部の向きを、上下反転手段24のψ方向回転駆動手段44aにより下向きにする(S201)。この際、前提として、基材固定手段47により被レジスト塗布基材10がスピンコータチャック20から離脱することがないように、被レジスト塗布基材10とスピンコータチャックとが固定される。
【0206】
次に、XYZ方向移動手段44bなどを利用して、下向きにされた状態でスピンコータチャック20に保持された被レジスト塗布基材10がディップ槽50内の溶液に含浸される(S202)。そして、含浸された後、下向きにされた状態で、前記XYZ方向移動手段44bなどを利用して、図19の矢印Z2方向に移動させて、被レジスト塗布基材10を引き上げる(S203)。
【0207】
さらに、下向きにされた状態で、例えば600secの間、θ方向回転駆動手段35などにより所定の第3の回転数(例えば700rpm)にて回転駆動し、「本スピン」を行うこととなる(S204)。その後、所定の温度例えば170度で20minの期間ベーキング(加熱)処理を行う(S205)。
【0208】
ここで、下向きで所定回転数で回転させた場合には、屈曲点X2の領域で前記不均一部と逆の形状の膜厚(乃ち図7の形状が凸形状なら、この下向き回転の場合には凹形状)が形成されることとなる。従って、少なくとも第1層目においては、凹んだ形状の逆不均一部が構成されることとなる。
【0209】
そして、被レジスト塗布基材10をψ方向回転駆動手段44aにより上向きにした後(S206)、θ方向駆動手段35によりスピンコータチャック20を回転してプレスピンを行ない(S207)、塗布材塗布手段31は、被レジスト塗布基材10に対して連続的にレジストLを流下させる(S208)。
【0210】
この際、制御手段49は、塗布材供給時間制御手段34にてプレスピン中の一定期間に塗布材塗布手段31からレジストを供給するよう指示するとともに、所定の第4の回転数(例えば200rpm)にてθ方向回転駆動手段35が回転するように回転数制御手段36に指示(制御信号を供給)し、さらには、レジストの塗布量、粘度なども制御するよう、塗布量制御手段33、粘度制御手段32を制御する。例えば、本実施の形態においては、レジスト100cpに対して、塗布材塗布手段31の供給針内径を0.2mmとした場合に、供給圧力は、例えば0.3MPa程度となる。
【0211】
次に、2secが経過したか否かについての判断処理が行われる(S209)。この判断処理において、2secが経過したものと判断されない場合には、S208に戻る。一方、前記S209の判断処理において、2secが経過したものと判断された場合には、塗布材供給時間制御手段34は、レジスト供給を停止するように塗布材塗布手段31に指示を出し、レジスト供給を停止することとなる(S210)。
【0212】
次に、前記第4の回転数より大となる第5の回転数(例えば700rpm)にまで、回転数制御手段36を用いて回転数を上げた後、本スピンを開始することとなる(S211)。この本スピンでは、回転数を例えば700rpmとし、600secの期間回転させることが好ましい。なお、この際に、前記第1の処理手順のS107、S108を実施してもよい。
【0213】
そして、被レジスト塗布基材10に対して、ベーキング(加熱)処理を施す(S212)。この際、温度はほぼ170℃とし、ほぼ20minの間加熱することとなる。
【0214】
このようにして、逆不均一部が形成された状態において、被レジスト塗布基材10の頂部の向きを再び上向きに(最初の状態)に戻して、レジスト液Lを回転中心に連続的に供給して回転塗布するプレスピンを行い、その後本スピンを行って、ベーキングを行うことで、第2層目を構成する。
【0215】
ここで、第2層目が形成される際には、この層の形成による前記屈曲点X2近傍領域における不均一部が形成されることとなるが、この第2層目の不均一部と前記第1層目の逆不均一部は互いに逆の形状であることから、全体として不均一がキャンセルされることとなる。これにより、屈曲点に拘わらず均一な膜厚を得ることができる。
【0216】
このように第2の処理手順によれば、被レジスト塗布基材の頂部を下向きにしてディップ槽に浸けて回転させながら引き上げて1層目を形成し、ベーク後に、被レジスト塗布基材の頂部を上向きにして、レジスト液を回転中心部に連続的に供給して回転塗布し、ベークを行うことで、塗布毎に、重力の影響をキャンセルさせて均一な膜厚を得ることができる。
【0217】
以上のように本実施の形態によれば、被レジスト塗布基材の当該サイズを、膜厚均一に必要な最低限のサイズとすることにより、製造段階での母材サイズを小型化することができる。よって、基材加工に時間を要さず、工期の短縮化が図れ、スループットが向上する。また、部材使用量の低減によりコストダウンをも図ることができる。
【0218】
また、不均一部が盛り上がり厚みが大となる部分に対しては、膜厚修正用凹凸部は凹むようにして形成し、不均一部の厚みが小となる部分に対しては、膜厚修正用凹凸部は凸になるようにして、「被レジスト塗布基材+レジスト」の厚みを均一とすることができる。これによって、1層目において膜厚を均一にすることができるので、2層目以降に生じる不均一部の高低差を最小限度(許容範囲内)にとどめて、膜厚をほぼ均一にすることができる。
【0219】
さらに、第n層目の特性による不均一部の特性形状に応じて、膜厚修正用凹凸部を当該特性形状を吸収できるような形状とすれば、多層形成による各層の不均一部の影響を全て取り除いて、最終的にほぼ均一な膜厚を確実に得ることができるのでなお好ましい。このようにして、膜厚修正用凹凸部を予め被レジスト塗布基材に形成することにより、最終のレジスト膜の表面を均一にすることができる。
【0220】
また、曲面上のレジストに加わる重力と遠心力とのバランスを取れるように、ほぼ粘度150[mPa・S]以下のレジスト液を、ほぼ700[rpm]で回転塗布する工程と、ベーキング工程を繰り返すことにより、ほぼ均一な所望の膜厚を得ることができる。
【0221】
さらに、プレスピン中にレジスト液を被レジスト塗布基材の回転中心軸に対して連続的に供給することで、回転による回転中心部のレジスト液減少を補償することができ、前記被レジスト塗布基材の回転中心部から周辺部にかけて、膜厚分布が単調増加することはない。
【0222】
またさらに、回転時には、曲面部上のレジスト液に下向きの力が加わるので、回転させる区間だけ、重力制御手段により下方に移動させることで前記下向きの力をキャンセルする上向きの力が生成されて、結果として、回転時におけるレジスト液に加わる重力の影響を除くことができる。特に、レジスト液Lが曲面部12の斜面を伝わりきるとき期間だけ、下向きに動作させると、その効果が顕著となる。従って、回転時に鉛直方向に下向きに移動させることで、曲面部上のレジスト液に加わる重力の影響を低減することができ、レジスト膜の膜厚分布の均一化に寄与できる。
【0223】
さらに、被レジスト塗布基材の頂部を下向きにしてディップ槽に浸けて回転させながら引き上げて1層目を形成し、ベーク後に、被レジスト塗布基材の頂部を上向きにして、レジスト液を回転中心部に連続的に供給して回転塗布し、ベークを行うことで、塗布毎に、重力の影響をキャンセルさせて均一な膜厚を得ることができる。
【0224】
また、ツールマーク等の表面粗さを取り除くことができるので、膜厚を測定する際の光学的評価に支障をきたすことがない。また、測定結果を、全てレジスト塗布方法の検討にフィードバックできる。
【0225】
また、スピンコート時に生じる遠心力が、曲面部上のレジストに均一に伝わり、レジストが周辺に塗り広がってゆく際の障害がなくなり、曲面部上に均一な膜厚分布が得られる。また、基材からレジスト液滴が離れる際の応力による膜厚の不均一部は、周囲曲面部にのみ生じる。
【0226】
また、被レジスト塗布基材の周囲平面部の位置認識部として凹部または凸部を形成することによって、位置認識部にレジストが塗り広がらないため、次工程の露光装置での位置認識部の認識精度が向上する。
【0227】
さらに、曲面を有する被レジスト塗布基材の回転中心と、スピンコータチャックの回転中心とが一致したので、スピンコート時に生じる遠心力が、曲面部上のレジストに均一に伝わり、曲面部上に均一な膜厚分布を得ることができる。
【0228】
[第2の実施の形態]
次に、本発明にかかる第2の実施の形態について、図21に基づいて説明する。なお、以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0229】
上述の第1の実施の形態では、レジスト塗布工程を開示したが、本例では、上記工程を含むプロセス全体の工程、特に、光学素子等の光レンズを成形によって製造するための金型等を製造する工程を説明する。
【0230】
先ず、前述した超精密旋盤により機械加工を行い、金型(無電解ニッケル等)の非球面加工を行う(加工工程)。次に、図21(A)に示すように、金型により前記半球面を有する基材200の樹脂成形を行う(樹脂成形工程)。さらに、基材200を洗浄した後に乾燥を行う。
【0231】
次いで、樹脂の基材200の表面上の処理を行う(樹脂表面処理工程)。この工程では、例えばAu蒸着などの工程を行うこととなる。具体的には、図21(B)に示すように、基材200の位置決めを行い、レジストLを連続流下しつつスピナーを回転させて、前記第1の実施の形態同様のスピンコートを行う。また、プリペークなども行う。
【0232】
スピンコーティングの後には、当該レジスト膜の膜厚測定を行い、レジスト膜の評価を行う(レジスト膜評価工程)。さらに、図21(C)に示すように、基材200の位置決めを行い、当該基材200をX、Y、Z軸にて各々制御しつつ露光ないしは電子ビームによる描画を行う。
【0233】
次に、基材200上のレジスト膜Lの表面平滑化処理を行う(表面平滑化工程)。さらに、図21(D)に示すように、基材200の位置決めなどを行いつつ、現像処理を行う(現像工程)。さらにまた、表面硬化処理を行う。
【0234】
次いで、SEM観察や膜厚測定器などにより、レジスト形状を評価する工程を行う(レジスト形状評価工程)。
【0235】
さらに、その後、ドライエッチングなどによりエッチング処理を行う。
【0236】
なお、レジスト塗布後においては、これらの各工程のいずれかにおいて、周囲平面部及び周囲曲面部の切断処理を行うこととなる。
【0237】
次に、表面処理がなされた基材200に対する金型204を作成するために、図21(E)に示すように、金型電鋳前処理を行った後、電鋳処理などを行い、図21(F)に示すように、基材200と金型204とを剥離する処理を行う。
【0238】
表面処理がなされた基材と剥離した金型204に対して、表面処理を行う(金型表面処理工程)。そして、金型204の評価を行う。評価後、当該金型204を用いて成形品を作成する。その後、当該成形品の評価を行う。
【0239】
以上のように、本実施の形態によれば、上述の光学素子を射出成形するための成形型をも容易に製造できる。
【0240】
なお、本発明にかかる装置と方法は、そのいくつかの特定の実施の形態に従って説明してきたが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく本発明の本文に記述した実施の形態に対して種々の変形が可能である。例えば、上述の各実施の形態では、周囲平面部を平面として形成したが、周囲外方に向かうに従い下方に傾斜するテーパに形成してもよいし、曲面部の膜厚均一化に支障をきたすことがない程度にやや曲がった曲面として形成しても、部分的に曲面や角部を有した構成であってもよい。
【0241】
さらに、半径がR1、R2である各曲面の曲率半径は、上述の条件を満たせば、任意に設定できる。
【0242】
また、本スピンにおいて、重力制御を行う場合について説明したが、これに限らず、プレスピンで重力制御を行うようにしてもよい。この場合、回転塗布工程では、被塗布基材の前記曲面部の頂部に対して前記塗布材を連続的に流下し、前記被塗布基材の所定の回転数での回転に伴い前記頂部に流下された前記塗布材が、ほぼ均一な膜厚を維持しつつ前記頂部より前記曲面部の周辺の周囲面部に向かうに従い滑らかに流下しながら前記塗布材を塗布しつつ、前記被塗布基材を膜厚形成面と反対側の回転軸方向に向けて所定の加速度で移動することとなる。この際、前記加速度での移動を、前記塗布材が前記被塗布基材の曲面部を覆いきるまでの間行うことが好ましい。
【0243】
さらに、第2の処理手順において第1層目を形成した後は、第1、第2の処理手順のいずれの塗布方法を用いて各層を形成しても構わないし、その際に、重力制御などを加えることも任意である。例えば、前記塗布材の第1層目が形成された前記被塗布基材の前記頂部を上向きにし、その後、回転塗布工程では、前記曲面部の前記頂部に対して前記第1層目の上から前記塗布材を連続的に流下し、前記被塗布基材の所定の第1の回転数での回転に伴い前記頂部に流下された前記塗布材が、前記第1層目の上にてほぼ均一な膜厚を維持しつつ前記頂部より前記曲面部の周辺の周囲面部に向かうに従い滑らかに流下しながら第2層目の前記塗布材が塗布される。
【0244】
なお、塗布材の連続供給を停止し、前記第2層目の前記塗布材が塗布された前記被塗布基材を前記第1の回転数より大きい第2の回転数にて回転させながら、前記被塗布基材を膜厚形成面と反対側の回転軸方向に向けて所定の加速度で移動してもよい。
【0245】
一方、前記塗布材の第1層目が形成された前記被塗布基材の前記頂部を上向きにした後、回転塗布工程において、曲面部の前記頂部に対して前記第1層目の上から前記塗布材を連続的に流下し、前記被塗布基材の所定の第1の回転数での回転に伴い前記頂部に流下された前記塗布材が、前記第1層目の上にてほぼ均一な膜厚を維持しつつ前記頂部より前記曲面部の周辺の周囲面部に向かうに従い滑らかに流下しながら第2層目の前記塗布材を塗布しつつ、前記被塗布基材を膜厚形成面と反対側の回転軸方向に向けて所定の加速度で移動するとしてもよい。
【0246】
さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。つまり、上述の各実施の形態同士、あるいはそれらのいずれかと各変形例のいずれかとの組み合わせによる例をも含むことは言うまでもない。また、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除された構成であってもよい。
【0247】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、回転塗布工程の回転時において塗布材を被塗布基材の回転中心に対して連続的に供給することで、回転による回転中心部の塗布材減少を補償することができ、前記被塗布基材の曲面部上の回転中心部から周囲面部との境界領域にかけて、膜厚分布が単調増加することはない。
【0248】
また、回転工程の回転時には、曲面部上の塗布材に下向きの力が加わるので、回転させる区間だけ、重力制御手段により下方に移動させることで前記下向きの力をキャンセルする上向きの力が生成されて、結果として、回転時における塗布材に加わる重力の影響を除くことができる。特に、塗布材が曲面部の斜面を伝わりきるとき期間だけ、下向きに動作させると、その効果が顕著となる。従って、回転時に下向きに移動させることで、曲面部上の塗布材に加わる重力の影響を低減することができ、塗布材の膜厚分布の均一化に寄与できる。
【0249】
さらに、被塗布基材の頂部を下向きにして溶液槽に浸けて回転させながら引き上げて1層目を形成し、加熱後に、被塗布基材の頂部を上向きにして、塗布材を回転中心部に連続的に供給して回転塗布し、加熱を行うことで、塗布毎に、重力の影響をキャンセルさせて均一な膜厚を得ることができる。
【0250】
また、前記曲面部の回転中心より前記周囲面部の周囲端までの距離を、前記曲面部の半径のほぼ4倍以下に形成することで、被塗布基材の当該サイズを、膜厚均一に必要な最低限のサイズとすることにより、製造段階での母材サイズを小型化することができる。よって、基材加工に時間を要さず、工期の短縮化が図れ、スループットが向上する。また、部材使用量の低減によりコストダウンをも図ることができる。
【0251】
さらにまた、曲面部と周囲面部との境界領域に生成される不均一部が盛り上がり厚みが大となる部分に対しては、膜厚修正用凹凸部は凹むようにして形成し、不均一部の厚みが小となる部分に対しては、膜厚修正用凹凸部は凸になるようにして、「被塗布基材+塗布材」の厚みを均一とすることができる。これによって、1層目において膜厚を均一にすることができるので、2層目以降に生じる不均一部の高低差を最小限度(許容範囲内)にとどめて、膜厚をほぼ均一にすることができる。
【0252】
さらに、複数層目の特性による不均一部の特性形状に応じて、膜厚修正用凹凸部を当該特性形状を吸収できるような形状とすれば、多層形成による各層の不均一部の影響を全て取り除いて、最終的にほぼ均一な膜厚を確実に得ることができるのでなお好ましい。このようにして、膜厚修正用凹凸部を予め被塗布基材に形成することにより、最終の層の表面を均一にすることができる。
【0253】
また、回転塗布工程の回転数を200〜700[rpm]の範囲内とすることで、ほぼ粘度150[mPa・S]以下の塗布材を、これが乾き始める前に被塗布基材の曲面部上に適度に塗り広げることができる。
【0254】
また、回転工程の回転数をほぼ700[rpm]とすることで、曲面部上の塗布材に加わる重力と遠心力とのバランスが取れ、ほぼ粘度150[mPa・S]以下の塗布材を均一に塗り広げることができ、さらに、この回転工程と、ベーキング工程を繰り返すことで、ほぼ均一な所望の膜厚を得ることができる。
【0255】
さらにまた、素子を加工する際には、超精密旋盤を用いて所定の表面粗さとなるように加工し、研磨を行うことにより、ツールマーク等の表面粗さを取り除くことができるので、膜厚を測定する際の光学的評価に支障をきたすことがない。また、測定結果を、全て塗布材の塗布の検討にフィードバックできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布剤塗布装置の全体の概略構成の一例を示す説明図である。
【図2】同図(A)は、図1のレジスト塗布装置にて処理される被レジスト塗布基材を示す平面図であり、同図(B)は、当該被レジスト塗布基材の部分的な断面を示した概略説明図である。
【図3】図1のレジスト塗布装置にて処理される被レジスト塗布基材の加工工程の一例を示す説明図である。
【図4】図1のレジスト塗布装置にて処理される被レジスト塗布基材の加工工程の一例を示す説明図である。
【図5】図1のレジスト塗布装置にて処理される被レジスト塗布基材の加工工程の一例を示す説明図である。
【図6】周囲曲面部と周囲平面部との境界領域位置に応じた、基材の回転中心からの距離と膜厚との関係を示す説明図である。
【図7】レジストをプレスピン中に連続供給した場合に、回転数並びに各層における基材の回転中心からの距離とレジストの厚みとの関係を示す説明図である。
【図8】同図(A)(B)は、スピンコートのメカニズムを説明するための説明図を示し、(A)は、平面の場合、(B)は曲面の場合をそれぞれ示す。
【図9】平面上のスピンコートのメカニズムを説明するための関係式を示す説明図である。
【図10】曲面上のスピンコートのメカニズムを説明するための関係式を示す説明図である。
【図11】同図(A)〜(D)は、回転数に応じた、回転中心からのの距離とレジストに加わる重力及び遠心力との関係を説明するための説明図であり、同図(A)は、中心からの距離と高さとの関係を示し、同図(B)は、700回転の場合、同図(C)は、800回転の場合、同図(D)は、600回転の場合を各々示す。
【図12】同図(A)(B)は、粘度並びに回転数の相違による曲面上の膜厚の経時変化を説明するための説明図であり、(A)は700回転の場合、(B)は2000回転の場合を各々示す。
【図13】基材の加工に用いられる超精密旋盤の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図14】図13の超精密旋盤におけるダイアモンド工具の刃先の一例を示す斜視図である。
【図15】本発明の塗布材塗布装置において処理される塗布材塗布処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】レジストをプレスピン中に連続供給した場合における回転数の経時変化を説明するための説明図である。
【図17】スピンコータチャックを下降させる様子を示す説明図である。
【図18】本発明の塗布材塗布装置において処理される塗布材塗布処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図19】ディップ槽に浸す場合の工程の概略を説明するための説明図である。
【図20】同図(A)〜(C)は、レジスト液を基材上に溜めた状態からスピンを開始した場合の基板中心からの距離と膜厚との関係を説明するための説明図である。
【図21】同図(A)〜(F)は、基材を用いて成形用の金型を形成する場合の全体の処理手順を説明するための説明図である。
【図22】同図(A)は、従来のレジスト塗布装置における処理を示す説明図であり、同図(B)は、表面粗さを説明するための説明図であり、同図(C)は、ツールマークが形成された状態を説明するための説明図である。
【図23】プレスピン中の回転速度を変化させた場合の回転速度とレジストの膜厚分布との関係を示す説明図である。
【図24】複数個の被レジスト塗布基材のレジスト膜厚分布を示す説明図である。
【図25】図24に示す複数個の被レジスト塗布基材のレジスト膜厚分布において、各々、所定の基準値からの変位量を算出した場合のそれらの平均値であるベースラインを示す説明図である。
【図26】図25に示すベースラインに基づいて算出した、図24に示す複数個の被レジスト塗布基材のレジスト膜厚分布形状の誤差を示す説明図である。
【図27】被レジスト塗布基材に被覆されたレジストの膜厚を測定する方法を説明するための説明図である。
【図28】図27に示す状態での反射光のスペクトル(反射率スペクトル)分析を行ったものを示す説明図である。
【符号の説明】
1 レジスト塗布装置(塗布材塗布装置)
10 被レジスト塗布基材(被塗布基材)
12 曲面部
13 膜厚修正用凹凸部
14 周囲平面部
16 周囲曲面部
20 スピンコータチャック(保持部材)
31 塗布材塗布手段
32 粘度制御手段
34 塗布材供給時間制御手段
35 θ方向回転駆動手段
36 回転数制御手段
37 記憶手段
41 Z方向駆動手段
43 重力制御手段
44 上下反転手段
47 基材固定手段
49 制御手段

Claims (22)

  1. 塗布材が塗布される被塗布基材を回転させて、前記被塗布基材に前記塗布材を塗布する塗布材塗布方法であって、前記被塗布基材の形状を予め作りこむための形状加工工程を含み、前記被塗布基材は、曲面部を有すると共に、
    前記被塗布基材の前記曲面部の頂部に対して前記塗布材を連続的に流下し、前記被塗布基材を第1の回転数で回転することにより前記頂部に流下された前記塗布材が、前記頂部より前記曲面部の周辺の周囲面部に向けて塗布される回転塗布工程と、
    前記塗布材の流下を停止し、前記回転塗布工程によって前記塗布材が塗布された前記被塗布基材を前記第1の回転数より大きい第2の回転数にて回転する回転工程と、
    を含み、
    前記形状加工工程において、前記周囲面部は、前記曲面部の周囲に亘って形成された周囲平面部と、前記塗布材がなだらかに流下するように前記周囲平面部と前記曲面部との境界領域に形成された周囲曲面部と、を含むように形成されることを特徴とする塗布材塗布方法。
  2. 前記形状加工工程において、前記周囲面部と前記曲面部との境界領域位置に、塗布材塗布後の膜厚を修正する膜厚修正用凹凸部が形成されることを特徴とする請求項に記載の塗布材塗布方法。
  3. 前記形状加工工程において、前記曲面部は、流下される前記塗布材が付着する頂部中心より、塗布材塗布後に膜厚分布がほぼ均一となることが必要とされる所定の有効径までの有効曲面部を含み、前記曲面部の第1の半径は、前記周囲曲面部を構成する曲面の第2の半径の1倍〜10倍にて形成され、前記第2の半径の接線の傾きがほぼゼロになる前記周囲平面部と前記周囲局面部との境界領域位置が、前記有効曲面部の有効径の少なくとも2倍より離間した位置に形成されることを特徴とする請求項に記載の塗布材塗布方法。
  4. 前記形状加工工程において、前記曲面部の回転中心より前記周囲曲面部の周囲端までの距離を、前記曲面部の半径の4倍以下となるように形成されることを特徴とする請求項に記載の塗布材塗布方法。
  5. 前記形状加工工程は、前記被塗布基材を切削する切削工程を含むことを特徴とする請求項に記載の塗布材塗布方法。
  6. 前記曲面部の表面粗さは、前記切削加工により50nm以下とされることを特徴とする請求項に記載の塗布材塗布方法。
  7. 前記形状加工工程は、前記曲面部を研磨する研磨工程を含むことを特徴とする請求項に記載の塗布材塗布方法。
  8. 塗布材が塗布される被塗布基材を回転させて、前記被塗布基材に前記塗布材を塗布する塗布材塗布方法であって、前記被塗布基材は、曲面部を有すると共に、
    前記被塗布基材の前記曲面部の頂部に対して前記塗布材を連続的に流下し、前記被塗布基材を第1の回転数で回転することにより前記頂部に流下された前記塗布材が、前記頂部より前記曲面部の周辺の周囲面部に向けて塗布される回転塗布工程と、
    前記塗布材の流下を停止し、前記回転塗布工程によって前記塗布材が塗布された前記被塗布基材を前記第1の回転数より大きい第2の回転数にて回転する回転工程と、
    を含み、
    前記被塗布基材は、前記周囲面部に、前記曲面部の周囲に亘って形成された周囲平面部と、前記塗布材がなだらかに流下するように、前記周囲平面部と前記曲面部との境界領域に形成された周囲曲面部と、を含むことを特徴とする塗布材塗布方法。
  9. 前記被塗布基材は、前記周囲面部と前記曲面部との境界領域位置に、塗布材塗布後の膜厚を修正する膜厚修正用凹凸部を有することを特徴とする請求項に記載の塗布材塗布方法。
  10. 前記曲面部は、流下される前記塗布材が付着する頂部中心より、塗布材塗布後に膜厚分布がほぼ均一となることが必要とされる所定の有効径までの有効曲面部を含み、前記曲面部の第1の半径は、前記周囲曲面部を構成する曲面の第2の半径の1倍〜10倍にて形成され、前記第2の半径の接線の傾きがほぼゼロになる前記周囲平面部と前記周囲曲面部との境界領域位置が、前記有効曲面部の有効径の少なくとも2倍より離間した位置に形成されることを特徴とする請求項又は請求項に記載の塗布材塗布方法。
  11. 前記曲面部の回転中心より前記周囲面部の周囲端までの距離を、前記曲面部の半径の4倍以下とすることを特徴とする請求項乃至請求項10の何れか一項に記載の塗布材塗布方法。
  12. 少なくとも一面に形成され、塗布材が回転塗布される曲面部と、
    前記回転塗布に伴い前記塗布材が、ほぼ均一な膜厚を維持しつつ前記曲面部の頂部より周辺に向かうに従い滑らかに流下するように形成された周囲面部と、
    を含み、
    前記曲面部の回転中心より前記周囲面部の周囲端までの距離を、前記曲面部の半径の4倍以下に形成したことを特徴とする被塗布基材。
  13. 少なくとも一面に形成され、塗布材が回転塗布される曲面部と、
    前記回転塗布に伴い前記塗布材が、ほぼ均一な膜厚を維持しつつ前記曲面部の頂部より周辺に向かうに従い滑らかに流下するように形成された周囲面部と、
    を含み、
    前記周囲面部と前記曲面部との境界領域位置に、塗布材塗布後の膜厚を修正するための膜厚修正用凹凸部を形成したことを特徴とする被塗布基材。
  14. 前記周囲面部は、
    前記曲面部の周囲に亘って形成された周囲平面部と、
    前記塗布材が滑らかに流下するように、前記周囲平面部と前記曲面部との境界領域に形成された周囲曲面部と、
    を含み、
    前記膜厚修正用凹凸部は、前記周囲曲面部と前記曲面部との境界領域位置に形成したことを特徴とする請求項13に記載の被塗布基材。
  15. 前記膜厚修正用凹凸部により、塗布材塗布後の第1層目の前記境界位置に形成される不均一部が吸収されることを特徴とする請求項13に記載の被塗布基材。
  16. 前記膜厚修正用凹凸部により、塗布材を複数回塗布する場合に、塗布材塗布後の全層による不均一部が吸収されることを特徴とする請求項13に記載の被塗布基材。
  17. 前記曲面部は、流下される前記塗布材が付着する頂部中心より、塗布材塗布後に膜厚分布がほぼ均一となることが必要とされる所定の有効径までの有効曲面部を含み、
    前記曲面部の第1の半径は、前記周囲曲面部を構成する曲面の第2の半径のほぼ1倍〜ほぼ10倍にて形成され、
    前記第2の半径の接線の傾きがほぼゼロになる前記周囲平面部と前記周囲曲面部との境界領域位置を、前記有効曲面部の有効径の少なくともほぼ2倍より離間した位置に形成することを特徴とする請求項14に記載の被塗布基材。
  18. 前記膜厚修正用凹凸部は、前記境界領域位置での膜厚分布特性に応じて不均一部を吸収することを特徴とする請求項17に記載の被塗布基材。
  19. 前記曲面部の表面粗さを、50nm以下とすることを特徴とする請求項12又は請求項15に記載の被塗布基材。
  20. 前記曲面部の表面粗さを、20nm以下とすることを特徴とする請求項12又は請求項15に記載の被塗布基材。
  21. 前記被塗布基材は、樹脂にて形成されることを特徴とする請求項12乃至請求項20のうちいずれか一項に記載の被塗布基材。
  22. 被塗布基材を保持して回転させる保持部材と、
    前記被塗布基材の回転中心とをほぼ一致させた状態で前記保持部材を回転駆動する回転駆動手段と、
    前記塗布材を塗布する塗布材塗布手段と、
    前記回転駆動手段による回転数に基づき、前記塗布材塗布手段からの塗布量を制御する制御手段と、
    前記保持部材を昇降駆動する昇降手段と、
    前記保持部材を回転させつつ前記昇降手段による昇降を制御して、前記塗布材に働く重力を制御する重力制御手段と、
    含むことを特徴とする塗布材塗布装置。
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