JP4383119B2 - 超音波治療器 - Google Patents
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Description
上記超音波発生素子は、たとえば、ジルコン酸チタン酸バリウムなどが多く用いられていて、その数は2枚〜4枚など各種存在しており、所望の出力に応じて素材素子枚数が自由に変えられる。上記ホーンは、たとえばチタン6A14バナジウム材が使用される。
超音波振動子の後端には、超音波発生素子に電力を供給するためのケーブルが一体的に、あるいは着脱可能に備えられている。超音波振動子から伸びるケーブルは超音波発振装置に接続され、超音波発振装置からの出力信号を超音波発生素子に入力している。
内視鏡下外科手術において管腔臓器を挙上(持ち上げる)し、かつ挙上部位の処置を行う手技においては、ほぼ同様の問題を有している。すなわち、胃の部分切除の手技にあたって、胃の病変部を挙上し、その状態を保持することで内視鏡の視野範囲を拡大させ、病変部を確認しながら切離・除去することが容易になる。
請求項5として、請求項1記載の超音波治療器において上記プローブの先端部には、のう腫を吸引するための吸引孔が設けられ、上記プローブの先端部から基端部にかけて上記吸引孔に連通するガイド用孔が設けれていることを特徴とする。
超音波治療器1として、ハンドピース2を備えている。このハンドピース2内には超音波振動を発生する超音波振動子3が収容されている。上記超音波振動子3には、超音波発振装置4からケーブル5を介してエネルギーが供給されるようになっている。上記超音波発振装置4の出力は、フットスイッチやハンドスイッチのような出力制御機器6で制御される。
上記シース10の素材は、プローブ8に対して滑り性が良く、かつ耐熱性が高い、生体適合性素材である、たとえばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を選択することが好ましい。
このような滑り止め部11を構成する微小レベルの突起では、プローブ8が超音波振動をなした状態で、プローブ8とシース11との間に摩擦熱などが生じる余地がなく、熱的な悪影響を及ぼすことはない。また、シース11が体壁や臓器を貫通する際にも、滑り止め部11が大きな抵抗にはならない。
なお、シース11の基端部c外周面にはOリング装着溝が設けられていて、ここにOリングが嵌着されている(いずれも図示しない)。シース11をプローブ8に嵌め込み、シース基端部cをハンドピース2下端部の接続筒部2a内に挿入することにより、基端部cのOリングが接続筒部2aの内周面に圧接され、シース基端部cがハンドピース2に係合されるとともに、シース11とハンドピース接続筒部2aとの間隙部がシールされる。
図2は超音波治療器1を実際に生体組織に作用させた状態を説明する断面図、図3(A)(B)(C)は超音波治療の実際をステップ順に示す図、図4(A)(B)は図3(C)に引き続いて超音波治療の実際をステップ順に示す図である。
たとえば、フットスイッチである出力制御機器6を操作して超音波発振装置4を出力制御する。この超音波発振装置4で発生した駆動エネルギーは、ケーブル5を介して接続されるハンドピース2内の、ここでは図示しない上記超音波振動子3に入力される。超音波振動子3では入力に応じた超音波振動を発生させ、その超音波振動はホーン7である振動拡大部が増幅する。
超音波振動エネルギーが与えられ、かつシース10を装着した上記プローブ8を病変部近傍位置の体壁Tおよび臓器Zに穿刺する。換言すれば、上記プローブ8は、少なくとも体壁Tおよび臓器Zを貫通するのに必要な長さを有している。超音波振動エネルギーを利用しての穿刺であるから、出血を防止しながら、しかもスムーズな穿刺ができる。
上記シース10が体壁Tおよび臓器Zを貫通したら、上記超音波振動子3への駆動エネルギーの供給を停止し、ハンドピース2を穿刺方向とは逆方向に引き上げ操作する。このとき、上記滑り止め部11が臓器Zに対する抵抗となる。すなわち、滑り止め部11を構成する多数の突起が臓器Zに掛止して滑り止めをなし、臓器Zの貫通部分を挙上保持する。したがって、病変部に対する必要な処置をスムーズに行えることとなる。
全ての処置が終了したら、シース10を強制的に抜去する。滑り止め部11は挙上保持していた部位から抜去され、体壁Tも無理なく通過して手術の完了となる。
図3(A)に示すように、ハンドピース2を持ってシース10を装着したプローブ8の先端部aを治療すべき部位に対向する。そして、超音波振動子3を超音波振動させながら、ハンドピース2を降下操作する。
図3(B)に示すように、プローブ8の先端部aが体壁Tに穿刺し、かつシース10とともに貫通させる第1の挿入工程を行う。プローブ8は先端部aのみが露出し、他の部分はシース10によって覆われているので、生体組織に超音波振動エネルギーを過剰に与えずにすむ。
図3(C)に示すように、引き続いてプローブ8を、臓器Z、たとえば胃の病変部近傍に穿刺する第2の挿入工程を行う。体壁Tと同様に、超音波振動の作用により臓器Zからの出血を抑えてスムーズな穿刺をなす。
なお、穿刺する際に、各種処置具を用いて事前に臓器Zを掴んで挙上しておけば、臓器Zの低部Za(穿刺部とは反対側の内周面)にプローブ8先端が接触する可能性も小さくなり、より安全な穿刺が可能になる。
つぎに、留置したシース10を穿刺方向とは逆方向である上方向に引張り上げる。シース10に設けられる滑り止め部11が臓器Zに到達するまでの間は、シース10は円滑に臓器Zを移動するが、滑り止め部11が臓器Zに到達すると抵抗となる。すなわち、滑り止め部11が臓器Zに掛止し、臓器Zの一部を挙上保持する持ち上げ工程となる。このときも、出血の防止に寄与することができる。
なお、ハンドピース2とプローブ8に図示しない微小孔を貫通し、この微小孔内部に細いスコープを通して観察しながら臓器Zにプローブ8を穿刺すれば、より安全な処置が可能になる。
機能手段Sとして、シース10A先端部は湾曲変形自在な変形部15となっていて、この変形部15におけるシース10Aの軸方向に沿って複数の湾曲駒16が互いに回動自在に連結される。これら湾曲駒16の最先端部には2本の操作ワイヤ17の端部が結ばれ、それぞれのワイヤ17の他端部はシース10Aの上端部まで延び、シース10A上端部に設けられるワイヤ挿通孔18を挿通して外部に突出され、それぞれリング19に連結されている。
湾曲駒16の位置がずれてシース10Aの湾曲部15が湾曲変形する図の状態になる。そして、シース10Aを引き上げて臓器Z一部を挙上する持ち上げ工程をなす。シース10A端部が湾曲変形していることから、湾曲部15が確実に臓器Zの一部を挙上し、このあとの処置が確実となる。
機能手段Sとして、シース10Bの先端縁から所定間隔を存した位置に設けられ、スリット(切開線)によって弾性的に突出する一対の屈曲片である可変部20から構成される。これら可変部20の頂点相互間の距離は、当然ながらシース10Bの直径よりも大である。
可変部20部分が体壁Tおよび臓器Zを貫通すると、弾性復帰力が作用して自然的に図のように突出形成される。持ち上げ工程にあたってシース10Bを引き上げると、可変部20が臓器Xに掛止して挙上し易くなる。上記シース10Bを体腔外まで引き出したいときは、さらにシース10Bを引き抜くことで、無理なくスムーズに抜去可能である。
機能手段Sとして、シース10Cの先端部から所定間隔を存した位置に装着するバルーン30から構成される。必要時にはバルーン30を膨張させ、それ以外は収縮させることが可能である。上記バルーン30の素材は、シリコン等の生体適合性があり、かつ膨張収縮が容易な素材を選択する。
上記バルーン30により、臓器Z一部を容易に挙上でき、しかも臓器Zへの穿刺の際に形成される孔部内でバルーン30を膨張させることで、出血の凝固が可能となる。ここで説明する機能手段Sであるバルーン30は、シース10Cの最大外径寸法を可変する可変部でもある。
この実施例4は、たとえば疾患のある卵巣を治療するのに適している。すなわち、卵巣に疾患のある場合は、卵巣内にいわゆるチョコレートのう腫と呼ばれる、粘性が非常に高いのう腫が内在していて、上記チョコレートのう腫を卵巣から除去する治療に用いることができる。
先に説明したように、第1の挿入工程および第2の挿入工程をなすと、プローブ8およびシース10は、体壁Tの厚さおよび臓器である卵巣Zaの厚さよりも十分長く設定されていて、プローブ8の先端部aおよびシース10に設けられる機能手段Sである滑り止め部11が卵巣Za内部に到達する。
つぎに、持ち上げ工程に移るのだが、この実施例の場合はシース10からプローブ8を抜去することなく、そのままの状態で臓器Zの一部を挙上保持する。このとき、シース10がプローブ8から抜き出ないように、ハンドピース2とシース10とを一体となって移動させることが必要である。
ここでは、先に図1で説明した構成の超音波治療器1を用いて、第1の挿入工程と第2の挿入工程を経て、持ち上げ工程をなす。この持ち上げ工程では、シース10からプローブ8を抜去した状態で行う。
この場合、吸引チューブ42Aをシース10に挿入する手間が必要であり、図8で説明した超音波治療と比較して面倒であることは否定できない。しかしながら、プローブ8は持ち上げ工程で抜去しているので、卵巣Za内をプローブ8先端で傷つけることもなく、より安全に操作できる。
なお、図示していないが、チョコレートのう腫Qを吸引する際に、送水を同時に行う構成を用いれば、さらに吸引能を向上させることも可能である。
なお、以上説明した全ての実施例においてはシース10,10A,10B,10Cに設けられる機能手段Sによって臓器Zの一部を挙上するようにしたが、これに限定されるものではなく、シースたとえば10を体壁Tに貫通したあと、その体壁Tの貫通部分を挙上する機能手段Sを採用することもできる。
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
記
(付記項1) 超音波振動を発生する超音波振動素子を備えたハンドピースと、超音波振動を生体組織に伝達するプローブと、プローブを覆うためのシースを備えた超音波治療器において、前記プローブとシースは、少なくとも体壁と臓器とを貫通しうる十分な長さを備えたことを特徴とする超音波治療器。
Claims (5)
- 内部に、超音波振動を発生する超音波振動素子を収容するハンドピースと、
このハンドピース内の上記超音波振動素子に接続され、少なくとも体壁および臓器を貫通するのに必要な長さを有し、超音波振動素子から伝達される超音波振動を生体組織に伝達して上記体壁および臓器を穿刺するプローブと、
このプローブの先端部のみを露出させ他の部分は覆うようプローブに着脱自在に嵌め込まれる中空筒体であり、プローブの体壁および臓器への穿刺にともなって体壁および臓器を貫通するシースと、
このシース自体の体内に挿入される部位に設けられ、上記シースが体壁もしくは臓器を貫通した状態で上記シースを引き上げることにより、貫通した体壁もしくは臓器に掛止して、体壁もしくは臓器を挙上保持する機能手段と
を具備することを特徴とする超音波治療器。 - 上記機能手段は、上記シースの外周面に設けられる連続する凹凸状の滑り止め部からなることを特徴とする請求項1記載の超音波治療器。
- 上記機能手段は、上記シースの所定の部位に設けられる湾曲変形自在な変形部と、この変形部においてシースの軸方向に沿って互いに回動自在に連結される複数の湾曲駒と、これら湾曲駒の一端に連結され引張り操作をすることによって湾曲駒の位置がずれてシースの変形部を湾曲変形させる操作ワイヤとを具備することを特徴とする請求項1記載の超音波治療器。
- 上記機能手段は、上記シースの最大外径寸法を可変させる可変部であることを特徴とする請求項1記載の超音波治療器。
- 上記プローブの先端部には、のう腫を吸引するための吸引孔が設けられ、
上記プローブの先端部から基端部にかけて上記吸引孔に連通するガイド用孔が設けれていることを特徴とする請求項1記載の超音波治療器。
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