JP4382033B2 - キャリッジアセンブリの組立方法および組立装置 - Google Patents

キャリッジアセンブリの組立方法および組立装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気ディスク装置に用いられるキャリッジアームの先端部にサスペンションを取り付けるキャリッジアセンブリの組立方法、およびそれに用いられる組立装置に関する。
図5は、磁気ディスク装置に用いられているキャリッジアセンブリの外観図を示す。同図で10がキャリッジアームであり、12がキャリッジアーム10の先端に連結されているサスペンションである。サスペンション12の先端部には磁気ヘッド14が搭載されている。磁気ヘッド14はキャリッジアーム10の側面に取り付けたフレキシブル基板16を介して制御部18に電気的に接続されている。19はキャリッジアーム10の基部に固定されたアクチュエータ軸である。キャリッジアーム10は、アクチュエータ軸19が軸線の回りで回動することにより記録媒体の面と平行な面内でシーク動作をなす。
キャリッジアセンブリは、アクチュエータ軸19に互いに平行に取り付けられた各々のキャリッジアーム10の先端部の両面に、サスペンション12をかしめて固定することによって形成されている。
キャリッジアーム10にサスペンション12を固定する従来方法が、特許文献1に開示されている。図7は、特許文献1に開示された、キャリッジアーム10にサスペンション12を固定する従来方法を示す。
この従来方法では、各々のキャリッジアーム10の先端にサスペンション12を位置合わせして取り付けた後、スペーサ孔12bの内径寸法よりも直径が若干大径に形成された金属ボール20を、サスペンション12のスペーサ孔12bに通過させることにより、サスペンション12をキャリッジアーム10にかしめて固定している。22は金属ボール20を押圧してスペーサ孔12bを通過させるための加圧シャフトである。
図6に、金属ボール20をサスペンション12のスペーサ孔12bに通してサスペンション12をキャリッジアーム10にかしめて固定する作用を示す。サスペンション12は、各々のキャリッジアーム10の両面に嵌合孔10aとスペーサ孔12bとを位置合わせして取り付けられている。金属ボール20はスペーサ孔12bよりも若干大径に形成されているから、スペーサ孔12bを通過させる際に、スペーサ孔12bの内周縁に形成されたかしめ部13を押し広げるように作用し、これによってキャリッジアーム10にサスペンション12がくい付くようにして固定される。金属ボール20は、図6に示すように、1回のかしめ操作の際に、キャリッジアーム10の一方側から他方側に加圧シャフト22によって突くようにされてスペーサ孔12bを次々と通過して移動する。
このように、キャリッジアセンブリを組み立てる際に、従来は金属ボール20を用いてスペーサ孔12bを押し広げるようにして、キャリッジアーム10にサスペンション12をかしめて固定しているから、金属ボール20の外径とスペーサ孔12bの内径の兼ね合いによって、スペーサ部12aに作用するかしめ時の応力でスペーサ部12aが変形し、サスペンション12が基準位置から変位するという問題が生じる。すなわち、キャリッジアーム10にサスペンション12をかしめ固定した際に、スペーサ部12aの平坦度が劣化しサスペンション12が基準角度から傾くことが起こり得る。サスペンション12の傾きは記録媒体の表面からの磁気ヘッド14の浮上量に影響を及ぼし、磁気ヘッド14の記
録媒体の表面からの浮上量がばらつくことになる。
最近の磁気ディスク装置はきわめて大容量となってきており、これにともなって、磁気ヘッドの記録媒体の表面からの浮上量が抑えられるようになってきている。このため、磁気ヘッドの浮上量のばらつきが情報の読み書き特性に大きく影響を与えることとなり、所要の特性を得るために磁気ヘッドの浮上量のばらつきを抑えることが求められている。
特許文献1には、さらに、かしめ時に掛かる応力によるスペーサ部12aの変形を抑えることのできるキャリッジアセンブリの組立方法が記載されている。図8は、この変形を抑えることのできる組立方法として特許文献1に記載された、超音波ホーン32を用いたキャリッジアセンブリの組立方法の説明図である。
特許文献1記載のキャリッジアセンブリの組立方法は、超音波ホーン32を用いて、金属ボール20をスペーサ孔12bを通過させるようにしたことを特徴とする。金属ボール20は前述のキャリッジアセンブリの組立方法で使用している金属ボール20と同じものである。図8では、隣接するキャリッジアーム10の間に間隙保持板36を挿入し、キャリッジアーム10の両端面に与圧板37a、37bを当接して、キャリッジアーム10を両側から挟んで支持した状態で組み立てている状態を示す。
超音波ホーン32は軸線方向に超音波振動が作用するもので、金属ボール20は超音波ホーン32の作用により、かしめ固定時にスペーサ部12aに作用するダメージを軽減させることができ、サスペンション12がキャリッジアーム10に取り付けられる際の変形を防止して、より高精度にサスペンション12をキャリッジアーム10に固定することが可能となる。その理由としては、超音波ホーン32による超音波振動応力と、金属ボール20がかしめ部13を押し広げる静的応力が重畳的に作用することによって、変形抵抗を減少させることができ、高速繰り返し衝撃によって平均加工力が減少することによって、サスペンション12とキャリッジアーム10の固定部の変形を抑えて固定することができるものと考えられる。
特開2004−127491号公報(段落0003−0004,0015,0023−0024、第3,5,6図)

しかしながら、前記超音波振動を用いた従来のキャリッジアセンブリの組立方法においては、スペーサ部のかしめ(変形)状態のばらつきが大きい、すなわちスペーサ部のかしめ(変形)状態が過大となったり過小となったりするという課題がある。
これにより、かしめが強い、すなわちスペーサ部の変形が大きいときには、スペーサ部の平坦度が劣化してサスペンションが基準角度から傾く問題が生じ、逆にかしめが弱すぎるときには、キャリッジアームに対してサスペンションが安定的に固定されずにがたつくなどの問題が生じる。

本発明は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、従来方法に比較して、キャリッジアームにサスペンションを取り付ける際のスペーサ部のかしめ(変形)状態のばらつきを小さく抑えることが可能なキャリッジアセンブリの組立方法、およびそれに用いられる組立装置を提供することにある。
本願発明者は、ボールに超音波振動を印加することによる従来のキャリッジアセンブリの組立方法において、ボールのスペーサ孔への入り込みが浅いときに、ボールに対する保持力が小さいため、超音波振動によってボールが暴れてボールの挙動が安定せず、スペーサ部のかしめ(変形)が過大となったり過小となったりして、スペーサ部のかしめ状態がばらついてしまうものとの着想に至り、それを解消すべく精査研究した結果、本願発明を完成させた。
本発明に係るキャリッジアセンブリの組立方法は、上記課題を解決するために、次の構成を備える。
すなわち、磁気ディスク装置に用いられるキャリッジアームの先端部に設けられた嵌合穴と、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔とを位置合わせして、キャリッジアームにサスペンションを組み付け、直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールをスペーサ孔に通過させることで、前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、サスペンションをキャリッジアームの先端部に取り付けるキャリッジアセンブリの組立方法において、前記ボールを二つの押圧部材により前記スペーサ孔の両側から押圧して挟持し、二つの押圧部材に超音波振動を印加しつつ、ボールをスペーサ孔に通過させるように二つの押圧部材を移動させる際に、前記二つの押圧部材を、前記スペーサ孔の中心軸線に対して対称に偏位させて、スペーサ孔を通過する前記ボールに当接させることで、該ボールを自転させることを特徴とする。
これによれば、二つの押圧部材が、スペーサ孔の中心軸線に対して対称に偏位されてボールに当接してボールを押圧するから、ボールに対して押圧部材の押圧力による偶力が作用して、ボールが自転する。本願発明者は、これにより、ボールがスペーサ孔を通過する際にスペーサ部に無理な力が掛からず、スペーサ部の変形が小さくなることを見出した。
また、前記押圧部材に対し2軸方向から、それぞれ所定周波数の整数倍の超音波振動を印加することで、押圧部材を所定平面内の2次元的な運動軌跡で振動させて、前記スペーサ孔を通過する前記ボールを自転させることを特徴とする。
これによれば、押圧部材に対し2軸方向からそれぞれ所定周波数の整数倍の超音波振動を印加することで、押圧部材に、所定平面内で所定軌跡の曲線運動をさせることができる。また、押圧部材は、所定周期で同じ軌道上を繰り返し運動するから、押圧部材がボールに当接する際の運動の方向が一定となる。従って、ボールを、一定方向に自転運動させつつスペーサ孔を通過させることができる。本願発明者は、これによりさらに、ボールがスペーサ孔を通過する際にスペーサ部に無理な力が掛からず、スペーサ部の変形が小さくなることを見出した。
さらに、前記超音波振動による前記押圧部材の運動軌跡が、円または楕円であることを特徴とする。
これによれば、2軸方向から印加する各超音波振動の周波数を互いに等しく設定する単純な構成を採用できる。
また、前記押圧部材に、前記ボールに対する押圧方向と該押圧方向に直交する方向との2軸方向から超音波振動を印加することで、押圧部材を、該押圧方向に平行な面内の運動軌跡で振動させて、前記ボールに、該押圧方向にほぼ直交する自転軸での自転運動をさせることを特徴とする。
これによれば、ボールに、前記押圧方向にほぼ直交する自転軸での自転運動をさせることができる。本願発明者は、これによりさらに、ボールがスペーサ孔を通過する際にスペーサ部に無理な力が掛からなくなり、スペーサ部の変形が小さくなることを見出した。
また、本発明に係るキャリッジアセンブリの組立装置は、上記課題を解決するために、次の構成を備える。
すなわち、磁気ディスク装置に用いられるキャリッジアームの先端部に設けられた嵌合穴と、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔とを位置合わせして、キャリッジアームにサスペンションを組み付け、直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールをスペーサ孔に通過させることで、前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、サスペンションをキャリッジアームの先端部に取り付けるキャリッジアセンブリの組立方法に用いられるキャリッジアセンブリの組立装置において、前記ボールを前記スペーサ孔の両側から押圧して挟持可能であるとともに、挟持したボールをスペーサ孔に通過させるように、移動可能に設けられた二つの押圧部材と、該二つの押圧部材に超音波振動を印加可能な超音波発振手段とを備え、前記二つの押圧部材は、前記スペーサ孔を通過する前記ボールを自転させるべく、スペーサ孔の中心軸線に対して対称に偏位して該ボールに当接するよう設けられていることを特徴とする。
これによれば、二つの押圧部材が、スペーサ孔の中心軸線に対して対称に偏位されてボールに当接してボールを押圧するから、ボールに対して押圧部材の押圧力による偶力が作用して、ボールが自転する。本願発明者は、これにより、ボールがスペーサ孔を通過する際にスペーサ部に無理な力が掛からず、スペーサ部の変形が小さくなることを見出した。
また、前記超音波発振手段は、前記スペーサ孔を通過する前記ボールを自転させるべく、前記押圧部材に対し2軸方向から、それぞれ所定周波数の整数倍の超音波振動を印加することで、押圧部材を所定平面内の2次元的な運動軌跡で振動させることを特徴とする。
これによれば、押圧部材に対し2軸方向からそれぞれ所定周波数の整数倍の超音波振動を印加することで、押圧部材に、所定平面内で所定軌跡の曲線運動をさせることができる。また、押圧部材は、所定周期で同じ軌道上を繰り返し運動するから、押圧部材がボールに当接する際の運動の方向が一定となる。従って、ボールを、一定方向に自転運動させつつスペーサ孔を通過させることができる。本願発明者は、これによりさらに、ボールがスペーサ孔を通過する際にスペーサ部に無理な力が掛からず、スペーサ部の変形が小さくなることを見出した。
さらに、前記超音波発振手段の超音波振動による前記押圧部材の運動軌跡が、円または楕円であることを特徴とする。
これによれば、2軸方向から印加する各超音波振動の周波数を互いに等しく設定する単純な構成を採用できる。
また、前記超音波発振手段は、前記ボールに、前記押圧部材のボールに対する押圧方向にほぼ直交する自転軸での自転運動をさせるべく、押圧部材に、該押圧方向と該押圧方向に直交する方向との2軸方向から超音波振動を印加することで、押圧部材を、該押圧方向に平行な面内の運動軌跡で振動させることを特徴とする。
これによれば、ボールに、前記押圧方向にほぼ直交する自転軸での自転運動をさせることができる。本願発明者は、これによりさらに、ボールがスペーサ孔を通過する際にスペーサ部に無理な力が掛からなくなり、スペーサ部の変形が小さくなることを見出した。
本発明に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置によれば、キャリッジアームにサスペンションを取り付ける際のスペーサ部のかしめ(変形)状態のばらつきを小さく抑えることができる。したがって、スペーサ部の変形が大きく平坦度が劣化することによりサスペンションが基準角度から傾く問題や、逆にかしめが弱すぎてキャリッジアームに対してサスペンションが安定的に固定されずにがたつくなどの問題の発生を抑えることができる。
本実施の形態に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置において組み立ての対象となるキャリッジアセンブリを、図5に示す。図5に示すキャリッジアセンブリの全体構成については、従来の技術で説明したため、説明を省略する。
図1は、本実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。図1で、キャリッジアーム10およびサスペンション12の形状は前述した従来例と変わらない。すなわち、キャリッジアーム10の先端には嵌合孔10aが設けられ、サスペンション12の基部に設けたスペーサ部12aには嵌合孔10aに嵌入するスペーサ孔12bが設けられている。
本実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立方法で用いるキャリッジアセンブリの組立装置は、二つ(一対)の超音波ホーン40a,40bと、各超音波ホーン40a,40bにそれぞれ超音波振動を印加する超音波発振手段としての超音波発振装置42a,42bと、超音波ホーン40a,40bのそれぞれを移動制御可能な駆動装置44a,44bとを備える。
二つの超音波ホーン40a,40bは、円柱状に形成され、スペーサ孔12bの両側からそれぞれスペーサ孔12bに同軸に挿通可能に設けられる。超音波ホーン40a,40bは、それぞれ超音波発振装置42a,42bから発振された超音波振動を伝達可能であるとともに、それぞれ駆動装置44a,44bにより移動駆動されて、金属ボール20をスペーサ孔12bの両側から押圧して挟持した状態でスペーサ孔12bを通過させる押圧部材として機能する。
なお、金属ボール20は、スペーサ孔12bの内径寸法よりも直径が若干大径に形成されている。
超音波発振装置42a,42bは、超音波ホーン40a,40bに超音波振動を印加して、超音波ホーン40a,40bを、金属ボール20の押圧方向(すなわち、スペーサ孔12bの軸線方向)に超音波振動させる。
駆動装置44a,44bは、それぞれ超音波ホーン40a,40bを移動制御可能に設けられる。
駆動装置44a,44bは、共通の制御部に制御されて互いに協働して、超音波ホーン40a,40bを駆動可能に設けられる。具体的には、駆動装置44a,44bは、超音波ホーン40a,40bを、スペーサ孔12bにその両側から挿入するよう移動させて、超音波ホーン40a,40bにより、金属ボール20をスペーサ孔12bの両側から押圧して挟持させる移動制御を行うことができる。さらに、超音波ホーン40a,40b間に金属ボール20を挟持させたまま、金属ボール20をスペーサ孔12bに通過させるよう、超音波ホーン40a,40bを移動制御することができる。
次に、本実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立装置を用いたキャリッジアセンブリの組み立て方法を説明する。
図1は、キャリッジアセンブリの組立装置を用いて、金属ボール20をサスペンション12のスペーサ孔12bに通してサスペンション12をキャリッジアーム10にかしめて固定する動作を示している。
図1に示すように、本実施例1に係るキャリッジアセンブリの組み立て方法においては、サスペンション12は、各々のキャリッジアーム10の両面に嵌合孔10aとスペーサ孔12bとを位置合わせして重ね合わされる。さらに、隣接するキャリッジアーム10の間に間隙保持板36を挿入し、キャリッジアーム10の両端面に与圧板37a、37bを当接して、キャリッジアーム10を両側から挟んで支持した状態とする。
この状態で、キャリッジアセンブリの組立装置を用いて、スペーサ孔12bに金属ボール20を通過させる。
すなわち、まず、金属ボール20を、スペーサ孔12bに位置あわせして、スペーサ孔12bの片側に配する。続いて、駆動装置44a,44bにより、超音波ホーン40a,40bを、スペーサ孔12bにその両側から挿入するよう移動させ、超音波ホーン40a,40bにより、スペーサ孔12bの片側に配された金属ボール20をスペーサ孔12bの両側から押圧して挟持させる。さらに、超音波ホーン40a,40b間に金属ボール20を挟持させたまま、金属ボール20をスペーサ孔12bに通過させるよう、駆動装置44a,44bにより超音波ホーン40a,40bを移動制御する。この際、超音波発振装置42a,42bを駆動して、超音波ホーン40a,40bに対し超音波振動を印加しつつ、金属ボール20をスペーサ孔12bに通過させる。
金属ボール20はスペーサ孔12bよりも若干大径に形成されているから、スペーサ孔12bを通過させる際に、スペーサ孔12bの内周縁に形成されたかしめ部13を押し広げるように作用し、これによってキャリッジアーム10にサスペンション12がくい付くようにして固定される。金属ボール20は、図1および図6に示すように、1回のかしめ操作の際に、キャリッジアーム10の一方側から他方側に超音波ホーン40a,40b間に保持された状態で、スペーサ孔12bを次々と通過して移動する。
従来のキャリッジアセンブリの組立方法では、金属ボールのスペーサ孔への入り込みが浅いときに、ボールに対する保持力が小さいため、超音波振動によってボールが暴れてボールの挙動が安定せず、スペーサ部のかしめ(変形)が過大となったり過小となったりして、スペーサ部のかしめ状態がばらついてしまう。
これに対し、本実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立方法においては、金属ボール20を、二つの押圧部材(超音波ホーン40a,40b)によりスペーサ孔12bの両側から押圧して挟持しているから、金属ボール20のスペーサ孔12bへの入り込みが浅いときでも金属ボール20が暴れることがなく挙動が安定し、したがって、スペーサ部12aのかしめ(変形)状態のばらつきを小さく抑えることができる。
図2は、本発明の実施例2に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。
なお、本実施例2において、実施例1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
実施例2において、実施例1と相違する構成は、図2に示すように、押圧部材としての二つの超音波ホーン41a,41bが、実施例1の超音波ホーン40a,40bに比較して細径に形成されるとともに、それらの各軸線がスペーサ孔12bの中心軸線に対して対称に偏位するよう、配設されている点である。
本実施例2に係るキャリッジアセンブリの組立装置およびそれを用いた組立方法によれば、実施例1の効果に加え、二つの超音波ホーン41a,41bが、スペーサ孔12bの中心軸線に対して対称に偏位されて金属ボール20に当接して金属ボール20を押圧するから、金属ボール20に対して超音波ホーン41a,41bの押圧力による偶力が作用して、金属ボール20が自転する(図2中の矢印参照)。
本願発明者は、金属ボール20が自転運動することにより、金属ボール20がスペーサ孔12bを通過する際にスペーサ部12aに無理な力が掛からず、スペーサ部12aの変形が小さくなることを見出した。スペーサ部12aの変形が小さくなることにより、磁気ヘッドの浮上量のばらつきを抑えることができる。なお、本願発明者は、この理由として、従来方法では金属ボール20とかしめ部13との間には静止摩擦が掛かるのに対し、本実施例2に係る方法では、金属ボール20とかしめ部13との間に、自転運動による、静止摩擦よりも小さな動摩擦が掛かるためと推測している。
図3は、本発明の実施例3に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。
なお、本実施例3において、実施例1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
実施例3において、実施例1と相違する構成は、図3に示すように、超音波発振手段としての超音波発振装置が、超音波ホーン40a,40bのそれぞれに対して二つずつ設けられている点である。
超音波発振装置42aは、実施例1と同様、超音波ホーン40aを、金属ボール20の押圧方向(すなわち、スペーサ孔12bの軸線方向)に超音波振動させる。他方、超音波ホーン40aに対応するもう一つの超音波発振装置43aは、超音波ホーン40aを、前記押圧方向に直交する方向に超音波振動させる。具体的には、超音波発振装置42aの超音波振動する超音波振動子は、超音波ホーン40aにその軸線方向から当接し、他方の超音波発振装置43aの超音波振動子は、超音波ホーン40aにその軸線方向に直行する方向から側面に当接して、それぞれ超音波ホーン40aに超音波振動を伝達する。
すなわち、超音波ホーン40aは、二つの超音波発振装置42aおよび43aにより、前記押圧方向と押圧方向に直交する方向との2軸方向から超音波振動を印加される。これにより、超音波ホーン40aは、前記押圧方向に平行な面内の運動軌跡で振動する。
なお、もう一つの超音波ホーン40bに対しても、同様の構成により、超音波発振装置42b,43bが、押圧方向と押圧方向に直交する方向との2軸方向から超音波振動を印加するよう設けられる。
図4に、超音波ホーン40a,40bの運動軌跡の例を示す。図4において、横軸(X軸)は、超音波ホーン40a,40bの前記押圧方向の変位量を表し、縦軸(Y軸)は、超音波ホーン40a,40bの、前記押圧方向に直交する方向(図3中では上下方向)の変位量を表す。すなわち、超音波ホーン40a,40bの、超音波発振装置42a,42bによる振幅は、図4の横軸(X軸)に表され、超音波発振装置43a,43bによる振幅は、縦軸(Y軸)に表される。
図4に示す例においては、超音波発振装置42a,42bおよび超音波発振装置43a,43bによる超音波振動の変位量の範囲を−1〜1(振幅が2)で表した場合、超音波ホーン40a,40bのX軸およびY軸の変位量はそれぞれ、X=sin(2πft)、Y=cos(2πft)の式で表される(fは超音波振動の周波数(単位:Hz)であり、tは経過時間(単位:秒)である)。
これによれば、超音波ホーン40a,40bは、図1の矢印および図4に示すように、前記押圧方向に平行な面内で円状の運動軌跡で振動される。
本実施例3に係るキャリッジアセンブリの組立装置およびそれを用いた組立方法によれば、実施例1の効果に加え、かしめの際、超音波ホーン40a,40bは、前述の通り、前記押圧方向に平行な面内で円状の運動軌跡で振動される。これにより、超音波ホーン40a,40bは、金属ボール20に対し接離動するとともに、金属ボール20に接する瞬間には一定方向(超音波ホーン40aは図1中で上方向、超音波ホーン40bは図1中で下方向)に運動することから、金属ボール20は、前記押圧方向にほぼ直交する自転軸で一定方向に自転運動される(図1中では、矢印に示すとおり左回りに自転運動される)。
本願発明者は、前述の実施例2と同様、金属ボール20が自転運動することにより、金属ボール20がスペーサ孔12bを通過する際にスペーサ部12aに無理な力が掛からず、スペーサ部12aの変形が小さくなることを見出した。スペーサ部12aの変形が小さくなることにより、磁気ヘッドの浮上量のばらつきを抑えることができる。
なお、本実施例3にあっては、超音波ホーン40a,40bの前記2軸方向の各変位量を表す前記式においてfの値が共通であることから明らかな通り、前記2軸方向から印加される各超音波振動の周波数は、互いに同じとなっている。しかし本発明はこれに限定されず、前記2軸方向のそれぞれに、所定周波数の互いに異なる整数倍の周波数の超音波振動を印加するよう構成しても良い。例えば、Y軸方向に印加する超音波振動の周波数Fを、X軸方向に印加する超音波振動の周波数fの2倍(F=2f)に設定して、各超音波振動による変位量が、X=sin(2πft)、Y=cos(2πFt)の式で表されるよう設定してもよい。これによっても、各超音波ホーン40a,40bが金属ボール20に当接する際の、超音波ホーン40a,40bの運動方向を一定にすることができるから、金属ボール20を「一定方向」(すなわち一定の回転方向)に自転運動させることができる。
また、X軸方向の超音波振動の振幅と、Y軸方向の超音波振動の振幅とを互い異ならせて、すなわち、各式をX=A・sin(2πft)、Y=B・cos(2πft)(AおよびBは、A≠Bを満たす定数)に設定して、超音波ホーン40a,40bの運動軌跡が楕円となるようにしても良い。
また、本実施例3にあっては、超音波ホーン40a,40bに、金属ボール20に対する押圧方向とその押圧方向に直交する方向との2軸方向から超音波振動を印加するよう構成したが、本発明における2軸方向はこれに限定されない。例えば、この2軸方向を、両者が前記押圧方向と直交するとともに、互いに直交する方向に設定すれば、超音波ホーン40a,40bを前記押圧方向と垂直な面内の運動軌跡で運動させることができ、金属ボール20を前記押圧方向と平行な自転軸で回転させることも可能となる。
本発明の実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。 本発明の実施例2に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。 本発明の実施例3に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。 本発明の実施例3に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置における、超音波ホーン(押圧部材)の運動軌跡の例を示す図である。 キャリッジアセンブリの外観図である。 金属ボール(ボール)をサスペンションのスペーサ孔に通してサスペンションをキャリッジアームにかしめて固定する作用を示す説明図である。 従来のキャリッジアセンブリの組立方法を示す説明図である。 従来のキャリッジアセンブリの組立方法を示す説明図である。
符号の説明
10 キャリッジアーム
10a 嵌合孔
12 サスペンション
12a スペーサ部
12b スペーサ孔
13 かしめ部
14 磁気ヘッド
16 フレキシブル基板
20 金属ボール(ボール)
36 間隙保持板
37a,37b 与圧板
40a,40b,41a,41b 超音波ホーン(押圧部材)
42a,42b,43a,43b 超音波発振装置(超音波発振手段)
44a,44b 駆動装置

Claims (8)

  1. 磁気ディスク装置に用いられるキャリッジアームの先端部に設けられた嵌合穴と、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔とを位置合わせして、キャリッジアームにサスペンションを組み付け、
    直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールをスペーサ孔に通過させることで、前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、サスペンションをキャリッジアームの先端部に取り付けるキャリッジアセンブリの組立方法において、
    前記ボールを二つの押圧部材により前記スペーサ孔の両側から押圧して挟持し、二つの押圧部材に超音波振動を印加しつつ、ボールをスペーサ孔に通過させるように二つの押圧部材を移動させる際に、前記二つの押圧部材を、前記スペーサ孔の中心軸線に対して対称に偏位させて、スペーサ孔を通過する前記ボールに当接させることで、該ボールを自転させることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立方法。
  2. 磁気ディスク装置に用いられるキャリッジアームの先端部に設けられた嵌合穴と、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔とを位置合わせして、キャリッジアームにサスペンションを組み付け、
    直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールをスペーサ孔に通過させることで、前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、サスペンションをキャリッジアームの先端部に取り付けるキャリッジアセンブリの組立方法において、
    前記ボールを二つの押圧部材により前記スペーサ孔の両側から押圧して挟持し、二つの押圧部材に超音波振動を印加しつつ、ボールをスペーサ孔に通過させるように二つの押圧部材を移動させる際に、前記押圧部材に対し2軸方向から、それぞれ所定周波数の整数倍の超音波振動を印加することで、押圧部材を所定平面内の2次元的な運動軌跡で振動させて、前記スペーサ孔を通過する前記ボールを自転させることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立方法。
  3. 前記超音波振動による前記押圧部材の運動軌跡が、円または楕円であることを特徴とする請求項記載のキャリッジアセンブリの組立方法。
  4. 前記押圧部材に、前記ボールに対する押圧方向と該押圧方向に直交する方向との2軸方向から超音波振動を印加することで、押圧部材を、該押圧方向に平行な面内の運動軌跡で振動させて、前記ボールに、該押圧方向にほぼ直交する自転軸での自転運動をさせることを特徴とする請求項2または3記載のキャリッジアセンブリの組立方法。
  5. 磁気ディスク装置に用いられるキャリッジアームの先端部に設けられた嵌合穴と、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔とを位置合わせして、キャリッジアームにサスペンションを組み付け、
    直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールをスペーサ孔に通過させることで、前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、サスペンションをキャリッジアームの先端部に取り付けるキャリッジアセンブリの組立方法に用いられるキャリッジアセンブリの組立装置において、
    前記ボールを前記スペーサ孔の両側から押圧して挟持可能であるとともに、挟持したボールをスペーサ孔に通過させるように、移動可能に設けられた二つの押圧部材と、
    該二つの押圧部材に超音波振動を印加可能な超音波発振手段とを備え、
    前記二つの押圧部材は、前記スペーサ孔を通過する前記ボールを自転させるべく、スペーサ孔の中心軸線に対して対称に偏位して該ボールに当接するよう設けられていることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立装置。
  6. 磁気ディスク装置に用いられるキャリッジアームの先端部に設けられた嵌合穴と、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔とを位置合わせして、キャリッジアームにサスペンションを組み付け、
    直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールをスペーサ孔に通過させることで、前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、サスペンションをキャリッジアームの先端部に取り付けるキャリッジアセンブリの組立方法に用いられるキャリッジアセンブリの組立装置において、
    前記ボールを前記スペーサ孔の両側から押圧して挟持可能であるとともに、挟持したボールをスペーサ孔に通過させるように、移動可能に設けられた二つの押圧部材と、
    該二つの押圧部材に超音波振動を印加可能な超音波発振手段とを備え、
    前記超音波発振手段は、前記スペーサ孔を通過する前記ボールを自転させるべく、前記押圧部材に対し2軸方向から、それぞれ所定周波数の整数倍の超音波振動を印加することで、押圧部材を所定平面内の2次元的な運動軌跡で振動させることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立装置。
  7. 前記超音波発振手段の超音波振動による前記押圧部材の運動軌跡が、円または楕円であることを特徴とする請求項記載のキャリッジアセンブリの組立装置。
  8. 前記超音波発振手段は、前記ボールに、前記押圧部材のボールに対する押圧方向にほぼ直交する自転軸での自転運動をさせるべく、押圧部材に、該押圧方向と該押圧方向に直交する方向との2軸方向から超音波振動を印加することで、押圧部材を、該押圧方向に平行な面内の運動軌跡で振動させることを特徴とする請求項6または7記載のキャリッジアセンブリの組立装置。
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