JP4380288B2 - 映像信号処理装置、映像信号処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばプラズマディスプレイ装置において、画像信号の平均輝度レベルの情報に基づくオートパワーコントロール制御を行う映像信号処理装置とその方法に関する。
画像表示のためのディスプレイ装置として、プラズマディスプレイ装置が普及している。
プラズマディスプレイの表示原理としては、周知のようにして、例えば2枚のガラス基板を対向させることで形成した空間内にガスを封入したうえで、このガス内に対して電圧を印加して真空放電を起こさせる。これにより、ガラス基板の空間内においては、ガスが電離してプラズマ状態となり紫外線が放射される。ここで、ガラス基板間の空間内に蛍光体層を形成しておくと、この蛍光体層では、上記紫外線が照射されることで、所定色の可視光を放射する。このような蛍光体としてR,G,Bの3色に対応するものを形成しておき、例えばマトリクス状に形成した表示セルごとに上記した放電発光現象が得られるようにすることで、カラー画像表示が可能なプラズマディスプレイが構成されることになる。
また、このようなプラズマディスプレイを表示駆動する方式としては、サブフィールド方式が知られている。
サブフィールド方式は、1フィールドを、複数のサブフィールドに分割して、各サブフィールドごとに、表示セルの発光期間を制御することで、各表示セルの階調(輝度)を表現する駆動方式である。この際、1画素を形成するR,G,Bの各表示セルの階調を制御することで、画面全体の階調バランスだけではなく、1画素ごとの色再現が行われることになる。つまり、カラー画像の表現が可能となる。
このような表示原理、駆動方法が採用されるプラズマディスプレイ装置では、一般的にパネル部の消費電力が増大する傾向となることが知られている。そして、このようなプラズマディスプレイ装置において、例えば入力映像信号どおりに輝度再現を行おうとすると、パネル部の消費電力が過大となり、また、パネル部に供給すべき電流レベルの変化量が大きくなって、動作が不安定となってしまう可能性がある。
そこで、一般的にプラズマディスプレイ装置においては、入力映像信号の平均輝度レベル(APL:Average Picture Level)の情報に基づいて、オートパワーコントロール(APC)と呼ばれる消費電力制御を行うようにされている。
このようなAPCでは、先ずは入力映像信号からフレーム画像単位の平均輝度レベルを検出するようにされる。そして、予め用意された輝度レベルの変換テーブル(ルックアップテーブル:LUT)を参照し、このように検出された平均輝度レベルに対応する制御値を読み出し、この制御値に基づいて各画素についての輝度レベルの設定を行うようにされる。
このとき、上記LUTには、フレーム画像の平均輝度レベルとして所要値よりも高い値に対しては、上記制御値として、表示データに設定されるべき輝度レベルを下げるような値を対応づけておく。また、逆にフレーム画像の平均輝度レベルとして比較的低いとされる値に対しては、輝度レベルを上げるような制御値を対応づけておくようにされる。
これにより、フレーム画像の平均輝度レベルが高いとされる場合は、表示画像の輝度レベルが下げられる傾向となり、また、逆に低いとされる場合は輝度レベルを上昇傾向とする制御が行われるものとなる。従ってこの場合、パネル部の消費電力は安定傾向なり、結果的にパネル部の消費電力の抑制が図られるようになる。
なお、このようなプラズマディスプレイ装置におけるAPC制御に関する従来技術としては、例えば下記特許文献を挙げることができる。
特開2003−244480号公報
上記のようにして、APC制御では、入力映像信号から得られる平均輝度レベルの情報に応じたLUTの値に基づいて、輝度レベルが再設定されるものであるが、このとき、入力される映像信号には、例えば量子化の過程などで発生したノイズ成分が重畳されている場合がある。そして、このように入力映像信号にノイズが発生していると、本来のフレーム画像の平均輝度レベルが正しく検出されなくなってしまう可能性があり、これに伴って適正なAPC制御が行われなくなってしまうという問題が生じる。
例えばこの際、本来の入力映像信号では、平均輝度レベルの差のほとんどない画像で遷移するものとされていたとすると、ノイズ成分が発生した場合は、ほぼ同一とされるべき各フレーム画像間の平均輝度レベルに差が生じてしまうこととなる。そして、このようなノイズ成分に起因した平均輝度レベルの差が生じると、APC制御では、この差分に追従した輝度レベルの設定が行われてしまい、本来は同等の輝度により再現されるべき各フレーム画像間に、明るさの差が生じてしまうことになる(いわゆる画面フリッカ現象)。
このようなフリッカ現象は、場合によってはそのちらつきがユーザによって容易に認識されてしまうものであり、ユーザに違和感を与えるものとして以前から問題とされていた。
なお、上記した特許文献1に記載の技術では、以下に説明するような動作を行うことで画面フリッカ現象の抑制を図るようにしている。
すなわち、この特許文献1では、現在のフレーム画像のAPL値と、1フレーム前のAPL値との差を算出した結果に基づき、その差が所定以下である場合には、フレーム画像間の平均輝度レベルの変化がノイズによるものであるとみなし、LUTの参照値を変化させないように制御を行っている。
具体的には、フレーム画像間の平均輝度レベルの差について、先ずは第1の閾値、及び第2の閾値を設ける。そして、平均輝度レベルの差が上記第1の閾値以下では、LUTの値を維持するようにしている。つまり、上記のようにノイズ成分であるとみなされる場合は、LUTの値(APC制御値)を固定するようにしている。
また、平均輝度レベルの差が第1の閾値〜第2の閾値の範囲内では、固定された制御値に、所定値を加えた値を出力するようにしたものである。
しかしながら、このような特許文献1の技術では、実際の映像信号の平均輝度レベルの変化に対応した制御を行うことが困難となる。
例えば、映像信号の平均輝度レベルの変化としては、上記した第1閾値を超えない差で、フレーム画像ごとに徐々に変化していく場合も考えられる。そして、このような変化が起こった場合、上記のような制御によると、APC制御値が一定に維持されたままとなり、実際の平均輝度レベルの変化に追従した適正なAPC制御を行うことが困難となってしまう。
つまり、このような特許文献1に記載の技術では、フリッカ現象は効果的に抑制できるが、実際の入力映像信号とは大幅に輝度の異なる画像が表示されてしまう可能性がある。
また、この場合、実際には平均輝度レベルがかなり低下していたとしても、上記のようにAPC制御値が固定されたままとなることで、有効な消費電力抑制効果が得られなくなってしまうという問題も生じる可能性がある。
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、映像信号処理装置として以下のように構成することとした。
すなわち、先ず、入力映像信号について、フレーム画像ごとの平均輝度レベルを検出する平均輝度レベル検出手段を備える。
そして、上記平均輝度レベル検出手段により検出される現在のフレーム画像の平均輝度レベルの情報に基づき、ルックアップテーブルから表示データに設定すべき輝度レベルについての制御値を読み出す読出手段と、上記平均輝度レベル検出手段により検出された、現在のフレーム画像の平均輝度レベルと1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルとの差分値を算出する第1の算出手段と、上記第1の算出手段により算出された差分値が、第1の閾値を超えているか否かについて判別する第1の判別手段とを備える。
さらに、上記第1の判別手段によって上記差分値が上記第1の閾値を超えていると判別された場合、又は現在のフレーム画像の平均輝度レベルが1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルよりも上昇している場合に、上記読出手段により上記ルックアップテーブルから読み出される、現在のフレーム画像の平均輝度レベルに対応する上記制御値が出力されるように制御を行い、上記差分値が上記第1の閾値を超えてはいないと判別され且つ現在のフレーム画像の平均輝度レベルが1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルに対して上昇していない場合に、直前に出力された同じ制御値が出力されるように制御を行う第1の制御手段を備えるようにする。
その上で、上記第1の制御手段の制御により、上記同じ制御値の出力が開始されたときのフレーム画像よりも1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルと、上記平均輝度レベル検出手段により検出される現在の平均輝度レベルとの差分値を算出する第2の算出手段と、上記第2の算出手段により算出される差分値が、第2の閾値を超えたか否かについて判別する第2の判別手段とを備え、
さらに、上記第2の判別手段によって上記差分値が上記第2の閾値を超えていないと判別された場合に、引き続き上記同じ制御値が出力されるように制御を行い、上記差分値が上記第2の閾値を超えていると判別された場合は、上記読出手段により上記ルックアップテーブルから読み出される現在の平均輝度レベルに対応した制御値が出力されるように制御を行う第2の制御手段を備えるようにした。
また、本発明では、映像信号処理方法として以下のようにすることとした。
つまり、本発明の映像信号処理方法は、入力映像信号について、フレーム画像ごとの平均輝度レベルを検出する平均輝度レベル検出手順を有する。
また、上記平均輝度レベル検出手順により検出したフレーム画像の平均輝度レベルの情報に基づき、ルックアップテーブルから表示データに設定すべき輝度レベルについての制御値を読み出す読出手順を有する。
また、上記平均輝度レベル検出手順により検出した、現在のフレーム画像の平均輝度レベルと1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルとの差分値を算出する第1の算出手順と、上記第1の算出手順により算出した差分値が、第1の閾値を超えているか否かについて判別する第1の判別手順とを有する。
また、上記第1の判別手順によって上記差分値が上記第1の閾値を超えていると判別された場合、又は現在のフレーム画像の平均輝度レベルが1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルよりも上昇している場合に、上記読出手順により上記ルックアップテーブルから読み出した、現在のフレーム画像の平均輝度レベルに対応する上記制御値が出力されるように制御を行い、上記差分値が上記第1の閾値を超えてはいないと判別され且つ現在のフレーム画像の平均輝度レベルが1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルに対して上昇していない場合には、直前に出力された同じ制御値が出力されるように制御を行う第1の制御手順を有する。
また、上記第1の制御手順の制御により、上記同じ制御値の出力が開始されたときのフレーム画像よりも1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルと、上記平均輝度レベル検出手順により検出される現在の平均輝度レベルとの差分値を算出する第2の算出手順と、上記第2の算出手順により算出した差分値が、第2の閾値を超えたか否かについて判別する第2の判別手段とを有する。
さらに、上記第2の判別手順によって上記差分値が上記第2の閾値を超えていないと判別された場合に、引き続き上記同じ制御値が出力されるように制御を行い、上記差分値が上記第2の閾値を超えていると判別された場合は、上記読出手順により上記ルックアップテーブルから読み出した現在の平均輝度レベルに対応した制御値が出力されるように制御を行う第2の制御手順を有するものである。

上記構成によれば、フレーム画像間の平均輝度レベルの差が、上記第1の閾値内で収まるときは、輝度レベルについての制御値は、直前に出力されたものと同じ値が出力される。つまり、フレーム画像間の平均輝度レベルが、ノイズ成分によるものと推測される微少な範囲で変化する場合は、制御値が固定され、これによってノイズ成分による平均輝度レベルの変化については、APC制御が追従しないようにすることができる。
また、上記構成によれば、このように第1の閾値以下の範囲で平均輝度レベルが変化し、制御値を固定とした以降は、このような第1の閾値以下の平均輝度レベルの変化が開始されたときのフレーム画像の平均輝度レベルと、現在のフレーム画像の平均輝度レベルとの差分値が、第2の閾値によって比較される。そして、この差分値が第2の閾値を超えるのに応じて、現在のフレーム画像に対応した制御値が出力されるものとなる。
つまり、本発明では、このように第1の閾値以下により徐々に平均輝度レベルが変化していく場合は、制御値が固定され続けるものとはならず、上記のように平均輝度レベルの総変化量が所定値を超えるのに応じて、この固定状態が解除されるものである。
上記のように本発明によれば、フレーム画像間の平均輝度レベルが、ノイズ成分によるものと推測される微少な変化範囲で推移する場合は、輝度レベル設定についての制御値が固定される。つまり、ノイズ成分による平均輝度レベルの変化に、APC制御を追従させないようにすることができるものである。
そして、このようにノイズ成分による平均輝度レベルの変化にAPC制御を追従させないようにすることができることで、所謂画面フリッカ現象と呼ばれる画面のちらつきを防止することができる。
その上で、本発明では、上記もしたように所要以下の範囲で平均輝度レベルが徐々に変化していく場合は、その総変化量が所定値(第2の閾値)を超えるのに応じて、上記した制御値の固定状態が解除される。そして、これによっては、例えばこのような徐々の変化が映像信号自体の変化によるものである場合に制御値が固定され続けてしまい、適切なAPC制御が行われなくなってしまうといった事態を、効果的に防止することができるようになる。
このようにして本発明によれば、ノイズ成分にAPC制御を追従させずに画面フリッカ現象を防止することと、映像信号自体の変化による平均輝度レベルの変化に追従して、適切なAPC制御を図ることの両立を図ることができる。
以下、発明を実施するための最良の形態のうちの1つの形態(以下、実施の形態とする)について説明していく。
図1は、本発明の実施の形態としての映像信号処理装置が備えられる、プラズマディスプレイ装置の表示パネル7の構造を示している。なお、この場合のプラズマディスプレイ装置としては、AC型(交流型)を例に挙げることとする。表示パネル7としては、3電極構造による面放電型の構成を採る。
この図1に示すようにして、表示パネル7の最前面に、透明の前面ガラス基板101が配置される。そして、この前面ガラス基板101の背面側に対して、維持電極X(102A)及び走査電極Y(102B)が配置される。維持電極X(102A)及び走査電極Y(102B)は、例えば図示するようにして、所定の間隔を有して平行に配置される。この対となる維持電極X(102A)及び走査電極Y(102B)が、1つの「行」としてのラインを形成することになる。また、これら維持電極X(102A)、走査電極Y(102B)は、それぞれ、透明導電膜102aと金属膜(バス導体)102bとを組み合わせて形成される。
前面ガラス基板101の背面側に対しては、上記のようにして維持電極X、走査電極Yが配置された上で、さらに、例えば低融点ガラスから成る誘電体層103が配置され、この誘電体層103の背面側に対して、例えばMgOなどによる保護膜104が形成される。
また、背面ガラス基板105の前面側には、データ電極D(107)が、維持電極X、走査電極Yに対して直交する方向に配置される。データ電極は、「列」としてのラインを形成する。また、隣り合うデータ電極Dの間には、隔壁106を形成するようにしている。
そして、各データ電極Dが配置される背面ガラス基板上面部と、その両側の隔壁106の側壁部を覆うようにして、R,G,Bの各色の蛍光体層108R、108G、108Bが順次配列されるようにして形成される。
このような構造を有した上で、隔壁106の前面側端部が、実際には、保護膜104に対して当接するようにして組み合わされる。このような構造により、蛍光体層108R、108G、108Bが形成されている放電空間109が形成されることになる。この放電空間109は、真空としたうえで例えばネオン(Ne)、キセノン(Xe)、ヘリウム(He)などのガスが封入される。
そして、このガスが封入された放電空間109内で、維持電極X、走査電極Y間での面放電が生じることで紫外線が放射され、この紫外線により蛍光体層108が励起されて可視光としての表示光を放射することになる。
図2は、上記した表示パネル7の構造を前提とした駆動回路系の構成を示している。
例えば表示パネル7全体としてみた場合には、維持電極X(102A)は、上方向から下方向にかけて水平に電極X1〜Xnが配列され、走査電極Y(102B)も同様にして、上方向から下方向にかけて水平に、電極Y1〜Ynが配列される。そして、[電極X1、電極Y1][電極X2、電極Y2]・・・[電極Xn、電極Yn]の各組により1つの「行」方向のラインを形成する。
また、データ電極D(107)は、例えば左から右方向にかけて垂直方向にデータ電極D1〜Dmが配列されて、「列」方向のラインを形成する。
そして、対となる維持電極X1〜Xn、走査電極Y1〜Ynから成る行方向ラインと、データ電極D1〜Dmとしての列方向のラインとの各交点が、1つのセル(表示セル)30として形成されることになる。
ここでいうセル30とは、上記のようにして、維持電極X、走査電極Yとデータ電極Dとが交差する位置から成る表示パネルの構造体部分を指すものである。そして、このセル30は、図1に示した表示パネル7の構造に依れば、図1及び図3に示すようにして、対応して配置される蛍光体層108の色に応じて、Rのセル30R、Gのセル30G、Bのセル30Bとが得られることになる。そして、水平方向に隣接して並ぶR,G,Bのセル30R、30G、30Bの組により、カラー表現が可能な1つの画素31が形成されることになる。
また、この図2示される維持電極ドライバ22、走査電極ドライバ23、データ電極ドライバ21は、それぞれ上記した維持電極X1〜Xn、維持電極Y1〜Yn、データ電極D1〜Dmを、後に図5により説明する表示駆動タイミングに基づいて駆動するようにされる。これによって、以下で説明するようにして表示パネル7に所要の画像が表示されるものとなる。
続いては、上記構造による表示パネル7に対する表示駆動について説明する。
ここでは、いわゆるサブフィールド方式により画像表示を行うこととしている。サブフィールド方式では、図4に示すようにして、1フィールド分(=16.7ms)の期間を複数のサブフィールドに分割する。図4では、1フィールド期間を8つのサブフィールドSF1〜SF8に分割することとしている。
ここで、サブフィールドSF1〜SF8の各々に対応する1つのサブフィールド期間は、図示するようにして、予備放電期間A、書き込み放電期間B、維持放電期間Cとから成る。各期間の動作については後述する。
1フィールド期間を8つのサブフィールドに分割した場合には、各サブフィールドSF1〜SF8により表現すべき輝度の相対比率について、1:2:4:8:16:32:64:128となるようにバイナリーの重み付けを設定する。そして、この設定した重み付けに応じて、各サブフィールドSF1〜SF8により表現すべき輝度を設定する。この輝度設定は、実際には維持放電期間Cにおいて維持電極X,走査電極Yに対して、面放電を発生させるために印加する維持放電パルス数により設定することになる。
ここで、維持放電パルスを印加する際のパルス出力周期は一定であるので、輝度の重み付けが大きいほど維持放電パルス数が増加して維持放電期間Cは長くなる。これに対して、予備放電期間A、及び書き込み放電期間Bの長さは、行方向ラインの総数nによって決まり、輝度の重みに付けにかかわらず一定となる。
そして、このようなサブフィールドSF1〜SF8を利用した発光/非発光の組み合わせによっては、R,G,Bの各セル毎に256階調を表現することが可能になる。
図5の波形図は、1サブフィールド期間における表示駆動タイミングを示している。
先ず、1サブフィールド期間において最初の期間となる予備放電期間Aは、直前のサブフィールド期間における発光状態の影響をキャンセルして、後の書き込み放電期間Bにおいて安定した書き込み放電特性を得るための期間である。
このために、この予備放電期間Aにおいては、図示するように維持電極X1〜Xnに対して、同時に、電位Vpによる予備放電パルスPpを印加するようにされる。この予備放電パルスPpによっては、強度の面放電が生じて、誘電体層103には大量の壁電荷が蓄積されるが、その後に、走査電極Y1〜Y2に対して、図のように一斉に消去パルスPpeを印加することにより、この壁電荷を消去して不必要な電荷を除去するようにされている。
続く書き込み放電期間Bでは、ライン順次によりアドレッシングを行って、このサブフィールド期間におけるセル30ごとの発光/非発光を設定する。つまり、書き込み放電期間Bは、1サブフィールド期間により発光させるべきセル30を選択する期間となる。
この書き込み放電期間Bでは、先ず維持電極Xを、走査ベースパルスとしての、例えば図のような接地電位(0V)で維持するようにされる。このように維持電極Xに走査ベースパルスが与えられることで、後述もするように、この間にデータ電極Dに対してデータパルスPdを印加したとしても、データ電極Dと維持電極Xとの間で放電が生じないようにされている。
そして、この状態のもとで、走査電極Y1〜Ynに対して、電位Vwによる負極性の走査パルスPwを順次印加していく。つまり、水平ラインについて、例えば上から下方向にかけて順次スキャンするようにして選択を行っていく。そして、走査パルスPwの印加によりライン選択が行われている期間内において、データ電極D1〜Dmのうちで、その選択されたラインにおいて発光させるべきセルに対応したデータ電極Dに対して、電位Vdによる正極性のデータパルスPdを印加する。
上記走査パルスPwが印加されている選択中の水平ラインにおいて、データパルスPdが印加されたセル30では、走査電極Yとデータ電極Dとの間で対向放電が発生して壁電荷が生じる。
また、この際の維持電極Xに対しては、上記もしたように走査ベースパルスが与えられていることから、データパルスPdがうち消されることになり、維持電極Xとデータ電極Dとの間での放電は発生しないものとなる。
続く維持放電期間Cは、上記書き込み放電期間Bでのアドレッシングにより発光させるべきものとして設定されたセル30に対する発光状態を維持するための期間である。
このためには、先ず、維持電極X1〜Xnに対して、負極性の電位Vsによる所定パルス幅の維持放電パルスPsを同時に印加する。そして、これら維持電極X1〜Xnに対する維持放電パルスPsの印加が終了した後に、走査電極Y1〜Ynに対して、同様にして、負極性の電位Vsによる所定パルス幅の維持放電パルスPsを同時に印加する。これら走査電極Y1〜Ynに対する維持放電パルスの印加が終了した後は、同様にして、維持電極X1〜Xn、走査電極Y1〜Ynに対して、交互に維持放電パルスPsを印加していくようにされる。なお、このとき、走査電極Y側に印加する維持放電パルスは、上記維持電極X側に印加する維持放電パルスよりも位相が例えば180°遅れるようにされている。
このように維持放電パルスPsが印加されるごとに、先の書き込み放電期間Bにおいて発光させるべきとして設定されたセル、つまり、壁電荷の蓄積が行われたセル30において、維持電極X、走査電極Yとの間で面放電が生じる。
ここで、図6により、このような表示パネル7における発光動作について説明しておく。この図においては、本実施の形態としての構造の表示パネル7において、1つのセル30に相当する部位を断面図により示している。なお、この図において図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
上記のようにして、書き込み放電期間BにおいてデータパルスPdが印加されたことにより壁電荷が蓄積されたセル30では、維持放電期間Cにおいて、維持電極X、走査電極Yに対して交互に維持放電パルスPsが印加されるのに応じて面放電が生じる。この面放電は、放電空間109内に封入されたガスをプラズマ状態とするプラズマ放電であり、これにより、放電空間109内では、紫外線が放射されることになる。
そして、この紫外線の照射に反応して蛍光体層108からは可視光が放射される。この可視光は、蛍光体層の実際が、R蛍光体層108R、G蛍光体層108G、B蛍光体層108Bのいずれかとされていることに対応して、R,G,Bのいずれかの色により放射されるものとなる。
そして、この可視光は、蛍光体層108にて反射されるようにして、保護膜104、誘電体層103、前面ガラス基板101を透過して、表示光として前面側に照射されることになる。
上記のようにして各セル30は、上記図6により説明した原理によって、点灯するようにして発光制御される。そして、このような点灯の動作が、先に図4及び図5により説明したサブフィールド方式による表示駆動によって行われることで、各セル30は、1フィールド期間内において、256階調の範囲での所要の輝度が得られるようにして発光制御されることになる。
ここで、上記説明のように表示駆動されるプラズマディスプレイ装置においては、先にも述べたように原理的に表示パネル7における消費電力が比較的大きなものとなってしまうことから、従来よりオートパワーコントロール(APC)と呼ばれる発光制御を行うようにされている。
図7は、これまでに説明してきた表示パネル及びパネル駆動部を備えたプラズマディスプレイ装置内部に備えられる、主にこのようなAPCの制御動作を行うための構成としての、本実施の形態の映像信号処理装置の構成例について示している。
先ず、この図7において、プラズマディスプレイ装置に対して入力された映像信号は、図示するR(赤)G(緑)B(青)信号の形で映像信号処理装置におけるAPL(Average Picture Level)検出回路1に対して入力される。
APL検出回路1は、入力されるRGB信号に基づき、フレーム画像単位で平均輝度レベル(APL値)の検出を行う。例えば、このようなAPL値は、フレーム画像中の全画素データの輝度レベルを積分した結果に基づいて算出される。そして、このように検出したAPL値の情報を、システムコントローラ2に対して供給する。
なおこの場合、入力映像信号としての上記RGB信号は、画像表示に利用されるべく、図示されない後段の所要部位に対しても供給される。
システムコントローラ2は、CPU(Central Processing Unit)、及び図示するROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4を備えたマイクロコンピュータとされ、例えばプラズマディスプレイ装置の全体制御を行う。
上記ROM3には、システムコントローラ2が各部を制御する上で必要となる、各種のプログラムや設定データが格納される。
特に本実施の形態の場合、このROM3に対しては、APC制御動作として輝度レベルの再設定を行う際に必要となる、ルックアップテーブル(LUT)3aが格納される。
このルックアップテーブル3aには、APL検出回路1にて検出されるフレーム画像のAPL値の各値と対応づけられて、輝度レベルの再設定を行うための制御値の情報(以下APC制御値とする)が記憶されている。このようなAPC制御値としては、例えばフレーム画像のAPL値として高いとされる値に対応づけては、表示データの輝度レベルを下げるような値が設定されている。また、APL値として低いとされる値に対応しては、輝度レベルを上げるような値が設定されている。
システムコントローラ2は、このようなルックアップテーブル3aから、上記APL検出回路1より供給されるAPL値の情報に対応づけられたAPC制御値を読み出すようにされる。そして、このように読み出されたAPC制御値の情報に基づいて、表示データの輝度レベルが再設定されることで、映像信号の平均輝度レベルが高いとされる場合では、そのレベルに応じて表示輝度を減少させるように、輝度を所定量低下させる制御が行われ、これに伴ってサブフィールド期間における発光量が減少するようにされる。つまり、これによって消費電力の削減を図ることができるものである。
また、逆に映像信号の平均輝度レベルが低いとされる領域では、そのレベルに応じて表示輝度を増加させるように、輝度を所定量増加させる制御が行われることになるから、結果としてパネル駆動のための電流レベルを安定化傾向とすることができるようになる。
また、この場合、上記ROM3に対しては、システムコントローラ2が、後の図9に示すような本例としてのAPC制御動作を実現するための、図示するAPCプログラム3bが格納される。
また、上記RAM4は、システムコントローラ2の作業領域として利用される。
特にこの場合、上記APL検出回路1から供給されるAPL値の情報などが一時保持される。
セレクタ5は、システムコントローラ2によりルックアップテーブル3aより読み出され、供給されるAPC制御値の情報を一時保持する。そして、セレクタ5は、システムコントローラ2より供給される制御信号に基づき、このように保持したAPC制御値の情報の出力を維持するか、或いはシステムコントローラ2より新たに供給されたAPC制御値の情報に出力を切換られるようにして制御される。
なお、このようなセレクタ5としては、例えばフリップフロップによって構成されればよい。
表示輝度レベル制御回路6は、セレクタ5より出力されたAPC制御値の情報に基づいて各画素データについての輝度を設定する。
このように表示輝度レベル制御回路6により設定された輝度の情報は、表示制御に用いられるべく、図示されない後段の所要部位(例えばパネルドライバ)に対して供給される。
ここで、上記構成による本例の映像信号処理装置において、APC制御が行われる下では、例えば入力映像信号(RGB信号)にノイズが発生している場合に、先にも説明したようにAPC制御がノイズ成分に追従して、実際の入力信号に応じた適切なAPC制御を行うことができなくなる可能性がある。
このような事態を防止すべく、本例では映像信号処理装置として、次の図8に示すような動作を行うものとしている。
図8は、本例の映像信号処理装置が行うAPC制御動作について、模式的に示した図である。
この図においては、入力映像信号に基づくフレーム画像のAPL値の遷移を示している。本例では、このようにフレーム画像のAPL値が徐々に変化していく場合として、図8(a)、図8(b)、図8(c)に示すような3つのパターンを想定している。
先ず、図8(a)では、時間経過と共にフレーム画像のAPL値が徐々に上昇してく場合が示されている。
このようにAPL値が徐々に上昇していく場合、本例では、常にフレーム画像のAPL値に対応するルックアップテーブル3aの参照値を出力するものとしている。
つまり、例えば図示するようにフレーム画像のAPL値が「A」であるときに、このAPL値「A」に対応するルックアップテーブル3aの参照値(図中LUT値)「a」を出力していた場合において、次のフレーム画像として例えばAPL値「A+1」が得られた場合は、このAPL値「A+1」に対応したルックアップテーブル3aの参照値「b」を出力する。また、図示するようにこのAPL値「A+1」のフレーム画像の次に、例えばAPL値「A+2」となるフレーム画像が得られた場合は、APL値「A+2」に対応するルックアップテーブル3aの参照値「c」を出力するものである。
また、図8(b)では、フレーム画像のAPL値が徐々に低下してく場合の一例が示されている。
このようにAPL値が徐々に低下していく場合については、現在得られているフレーム画像のAPL値と1つ前のフレーム画像のAPL値との差分値と、予め設定された閾値kの値とに基づいてAPC制御を行うものとする。具体的には、現在のフレーム画像のAPL値と1つ前のフレーム画像のAPL値との差分値が、上記閾値kを超えているか否かの判別結果に基づいて、出力すべきLUT値を決定するものである。
この場合、例えば上記閾値kとして「5」が設定されている下で、図のようにある時点でフレーム画像のAPL値として「A」が得られ、APC制御値として、このAPL値「A」に対応したルックアップテーブル3aの参照値「a」が出力されていたとすると、次のフレーム画像として例えばAPL値「A−1」が得られた場合は、直前に出力されたルックアップテーブル3aの参照値「a」を出力する。
つまり、このように現在のフレーム画像と1つ前のフレーム画像のAPL値の差分値(この場合は「1」)が、閾値k=5を超えない場合は、出力すべきAPC制御値として、直前に出力されたLUT値と同じLUT値を出力するものである。
これに対し、図示するように次のフレーム画像として、例えばAPL値「A−7」が検出された場合は、APC制御値として、このAPL値「A−7」に対応するルックアップテーブル3aの参照値「d」を出力する。つまり、この場合は現在のフレーム画像と1つ前のフレーム画像のAPL値の差分値が「6」となり、この場合の閾値k=5を超えるから、APC制御値を、現在のフレーム画像のAPL値に対応したLUT値に追従させるようにするものである。
このような動作によれば、現在のフレーム画像と1つ前のフレーム画像とのAPL値の差が、上記閾値kにより設定されるノイズ成分による差の範囲内であるとされる場合には、APC制御値として、直前に出力されたAPC制御値と同じ値が出力されるようになる。すなわち、APL値の変化量が、ノイズ成分によるものであると推測される微少なものである場合には、APC制御値が直前の値に固定されて、APC制御がこのようなノイズ成分に不要に追従することを防止できるようになる。
また、現在のフレーム画像と1つ前のフレーム画像とのAPL値の差が、上記閾値kを超えて、このような変化がノイズ成分によるものではないと推測される場合には、現在のフレーム画像のAPL値に対応したルックアップテーブル3aの参照値が出力される。これによって、APL値の変化が映像信号自体の変化(本来の信号変化)によるものであるとされる場合に、この輝度変化にAPC制御を追従させて、入力映像信号に応じた適切なAPC制御動作を図ることができる。
さらに、図8(c)は、フレーム画像のAPL値が徐々に低下してく場合として、他の例が示されている。
この図8(c)では、フレーム画像のAPL値が「A」→「A−1」→「A−3」→「A−4」→「A−7」と変化していく場合が示されている。
この場合、先の図8(b)にて説明した閾値kに基づいた制御が行われることによっては、APL値「A」のフレーム画像からAPL値「A−1」のフレーム画像への遷移時には、その差分値が閾値kを超えないから、図のようにAPC制御値はLUT値=aにより固定される。同様に、APL値「A−3」のフレーム画像からAPL値「A−4」のフレーム画像への遷移時にも、差分値は閾値kを超えないことから、引き続きAPC制御値は固定される。
そして、仮に、このように閾値kにのみ基づいた制御が行われる下では、APL値「A−4」から次のAPL値「A−7」のフレーム画像への遷移時にも、ルックアップテーブル3aの参照値は固定されることになる。
つまり、このように閾値kに基づいた制御のみが行われる場合は、次のフレーム画像として、この閾値kを超えるような差分値となる画像が現れない限り、徐々にAPL値が低下しているにも関わらずこの低下にAPC制御が追従しなくなってしまう。そしてこのとき、例えばこのような微少な変化の継続が、入力映像信号自体の変化によるものであった場合には、このようにAPC制御が追従しなくなることで、入力映像信号に応じた適切なAPC制御を行うことができなくなってしまうことになる。
このような事態を防止するために、本例では、上記した閾値kに基づく制御と共に、図のような閾値Lに基づいた制御も並行して行うものとしている。つまり本例では、APL値の低下が開始された際のフレーム画像のAPL値(この場合は図中「A」)と、現在得られているフレーム画像のAPL値との差分値を逐次算出するようにし、この差分値が上記閾値Lを超えた場合には、現在のAPL値に対応したルックアップテーブル3aの参照値を出力するようにする。
例えばこの場合であれば、APL値の低下が開始されたフレーム画像「A」とのAPL値の差分値が、閾値L=5よりも大きくなる「A−7」のフレーム画像の時点で、APC制御値が現在のAPL値に対応したLUT値に追従するものである。
このような閾値Lに基づいた制御が行われれば、上述のように映像信号自体の変化によりAPL値の微少な変化が続く場合にも、その変化が開始された時点(以下、初回変化点とする)のフレーム画像のAPL値からの総変化量が、所定値以上となったときに、APC制御値を現在のフレーム画像のAPL値に対応したものに追従させることができる。
つまり、これによって、入力映像信号自体の変化に応じた、適切なAPC制御を行うことが可能となるものである。
なお、ここでは、上記閾値kと閾値Lとは同一の値を設定するものとしたが、これらは別の値が設定されてもよい。
但し、ここでの閾値Lは、その値が大きくされるほど、APC制御値が現在のAPL値に追従しずらくなることから、この場合の閾値kと閾値Lとは同一の値とするか或いはできるだけ近い値を設定することが好ましいものとなる。
また、上記図8の説明によれば、図8(a)にて例示したように現在のフレーム画像のAPL値が、1つ前のフレーム画像のAPL値よりも大きくなる場合は、図8(b)、図8(c)にて説明したような本例のAPC制御が実行されないものとなる。つまり、APC制御値を固定する、フリッカ現象抑制のための動作を行わないようにしているものである。
本例において、このようにAPL値が増加する場合にフリッカ現象抑制のための動作を行わないものとしたのは、このように画面が明るく遷移するときの方が、画面が暗く遷移するときよりも、輝度レベルの変化が視覚的に感じ易くなってしまうことを考慮してのことである。
つまり、APL値が上昇傾向にあって画面が明るく遷移するとき、APC制御値が固定されると、仮にAPL値の変化がノイズ成分によるものではなかった場合に、設定された輝度が不自然であることが視覚的に感じ取られ易くなる傾向となる。つまり、これによってユーザに違和感を与える可能性が高くなる。そこで、本例では、このようにAPL値が増加する傾向にある場合は、常にルックアップテーブル3aの値に追従させ、このような違和感を生じさせないようにしているものである。
また、このようにAPL値が増加する場合は本例としてのAPC制御動作を行わないようにすることによっては、APL値が増加する場合についてはAPC制御値固定のための諸処理を実行する必要がなくなり、その分の負担を低減できるというメリットもある。
続いては、上記のような本例としてのAPC制御動作を実現するために、図7に示したシステムコントローラ2が実行すべき処理動作について、次の図9のフローチャートを用いて説明する。
先ず、システムコントローラ2は、図示するステップS101の処理によって、フラグFLGとして「1」を設定する。なお、このフラグFLGについては後述する。
そして、ステップS102においては、1つ前のAPL値Aと現在のAPL値Bと差が、閾値kよりも小さいか否かについての判別処理を行う。
つまり、図7に示したAPL検出回路1より供給された、1つ前のフレーム画像のAPL値と、現在のフレーム画像のAPL値とを比較した結果に基づき、これらの差分値(絶対値)が閾値kよりも小さいか否かについての判別処理を実行するものである。
このステップS102において、現在のAPL値と1つ前のAPL値との差分値が、上記閾値kよりも小さくなってはいないとされ、否定結果が得られた場合には、図示するようにステップS107に処理を進めて、ルックアップテーブル3aの参照値がそのまま出力されるようにセレクタ5を制御するようにされる。
つまり、現在のフレーム画像の1つ前のフレーム画像からのAPL値の変化量が、上記閾値kに基づくノイズ成分による変化量を超えているとされた場合は、APC制御値として、現在のAPL値に対応したルックアップテーブル3aの参照値をそのまま出力するようにするものである。
そして、ステップS107において、ルックアップテーブル3aの参照値をそのまま出力させると、続くステップS112において、フラグFLGとして「1」を設定して再びステップS102の処理を実行するようにされる。
また、ステップS102において、現在のAPL値と1つ前のAPL値との差分値が、上記閾値kよりも小さくなっているとして肯定結果が得られた場合は、ステップS103に処理を進めて、現在のフレーム画像のAPL値Bが、1つ前のフレーム画像のAPL値Aよりも大きいか否かについての判別処理を実行する。
ステップS103において、現在のフレーム画像のAPL値Bが1つ前のフレーム画像のAPL値Aよりも大きいとされ、肯定結果が得られた場合は、先に説明したステップS107の処理を実行するようにされる。
すなわち、先にも説明したように、現在のフレーム画像の方がAPL値が大きくなり、画面が明るくなる方向に遷移する場合は、常に現在のフレーム画像に対応したルックアップテーブル3aの参照値が出力されるようになるものである。
一方、ステップS103において、現在のフレーム画像のAPL値Bが、1つ前のフレーム画像のAPL値Aよりも大きくないとされて否定結果が得られた場合は、ステップS104に処理を進める。
ステップS104においては、フラグFLGとして「1」が設定されているか否かについての判別処理を行う。
ここで、この場合のフラグFLGとは、フレーム画像の遷移として、既にAPL値が徐々に低下する傾向にあるか否かの情報を示すものとなる。
具体的には、このフラグFLG=0が設定されているときに、フレーム画像の遷移として既にAPL値が徐々に低下する傾向にあることを示すものである。これは、後述するステップS110として、1つ前から現在のフレーム画像への遷移で、APL値が微少に低下した場合に対応して、フラグFLG=0を設定する処理が設けられていることによる。
このステップS104において、上記フラグFLGが「1」である、つまり、フレーム画像の遷移としてAPL値が既に低下傾向とはなっておらす、現在のフレーム画像からAPL値の低下が開始されたと判別された場合は、ステップS105に処理を進めて、1つ前のルックアップテーブル3aの参照値が出力されるように、セレクタ5を制御する。
すなわち、先の図8(b)、図8(c)にて示したように、現在のフレーム画像と1つ前のフレーム画像のAPL値との差分値が閾値kよりも小さく、且つ、このように現在のフレーム画像のAPL値が低下している場合には、APC制御値として、直前のフレーム画像のルックアップテーブル3aの参照値に固定して出力するようにするものである。
そして、続くステップS106においては、1つ前のAPL値Aを、初回変化点のAPL値Cとして保持する。
つまり、上記のようにAPL値が低下したときのフレーム画像よりも1つ前のフレーム画像のAPL値を、このようにAPL値の低下が開始された初回変化点のAPL値Cとして保持しておくようにするものである。このような初回変化点のAPL値Cを保持しておくことで、先の図8(c)にて説明したような閾値Lに基づく制御を行うことが可能となる。
さらに、このステップS106の処理を実行すると、ステップS110に処理を進めて、フラグFLGとして「0」を設定し、再び先のステップS103に処理を進める。このようにステップS110にてフラグFLG=0が設定されることで、既にフレーム画像のAPL値が低下傾向にあることが示されるものである。
また、先のステップS104において、上記のように設定されたフラグFLG=0が認識されて、既にフレーム画像のAPL値が低下傾向にあるとされた場合は、ステップS108に処理を進める。
このステップS108においては、初回変化点のAPL値Cと、現在のAPL値Bとの差が、閾値Lよりも小さいか否かについての判別処理を実行する。
ステップS108において、先のステップS106の処理により保持された初回変化点のAPL値Cと、APL検出回路1から供給される現在のフレーム画像のAPL値との差分値が、上記閾値Lよりも小さいとして肯定結果得られた場合は、ステップS109において、前と同じ制御値が出力されるようにセレクタ5を制御する。
つまり、先のステップS103において、現在のAPL値と1つ前のAPL値との差分値が閾値kよりも小さいとされ、且つ、上記ステップS108において、初回変化点のAPL値と現在のAPL値との差分値が閾値Lよりも小さいとされた場合は、APC制御値を、直前に出力された値に固定して出力するものである。
一方、ステップS108において、初回変化点のAPL値Cと現在のAPL値Bとの差分値が、閾値Lよりも小さくないとして否定結果が得られた場合は、ステップS111に処理を進めて、ルックアップテーブル3aの参照値がそのまま出力されるように、セレクタ5を制御するようにされる。
つまり、APL値の低下の開始点から、APL値の総変化量が閾値Lよりも大きくなったことに応じて、現在のフレーム画像のAPL値に対応したルックアップテーブル3aの参照値を出力するようにするものである。
そして、このようにルックアップテーブル3aの参照値をそのまま出力させると、続くステップS112において、フラグFLG=1を設定し、再び先のステップS102の処理を実行するようにされる。
このように、ステップS112にてフラグFLG=1が設定されることによっては、以降の処理であるステップS104にてフラグFLG=1が判別されて、ステップS105以降の処理が実行されるものとなる。
つまりこの場合、ステップS111によりAPC制御値が現在のフレーム画像のAPL値に追従した以降においては、ステップS106の処理によって初回変化点のAPL値として新たな値が設定されて、このような閾値Lに基づく制御動作がリセットされるようになるものである。
なお、図示はしていないが、この図9に示す処理動作は、電源がオフとされたことに応じるなどして終了されればよい。
また、先のステップS103において、現在のフレーム画像のAPL値と1つ前のフレーム画像のAPL値が同じ値となったときは、APL値が低下したものとして扱えばよい。
以上のようにして本実施の形態の映像信号処理装置では、入力映像信号に基づくフレーム画像間のAPL値の差分値が、閾値kを超えないときは、APC制御値を直前の値に固定するようにしている。つまり、フレーム画像間のAPL値が、上記閾値kに基づいて設定されるノイズ成分による微少な差分値の範囲内で変化する場合は、APC制御値を変化させないようにし、これによって、このようなノイズ成分によるAPL値の変化に、APC制御が追従しないようにしているものである。
このようにして、ノイズ成分にAPC制御を追従させないようにすることができれば、このようなノイズ成分に起因して発生する画面フリッカ現象の抑制を図ることができる。
そして、画面フリッカ現象の抑制が図られれば、表示画面のちらつきを抑えて表示画質の向上を図ることができる。
また、実施の形態では、このように閾値k以下の範囲でAPL値が徐々に変化し、APC制御値として固定の値を出力した以降は、このようなAPL値の変化が開始された初回変化点のAPL値と現在得られるフレーム画像のAPL値との差分値を、閾値Lによって比較するようにしている。そして、この差分値が上記閾値Lを超えるのに応じて、APC制御値の固定を解除し、現在のフレーム画像に対応したルックアップテーブル3aの参照値を出力するものとしている。
ここで、例えば先に説明した閾値kに基づく制御のみが行われた場合、この閾値kの範囲内でAPL値が変化する限りは、APC制御値の固定が継続されてしまうが、このような閾値Lに基づく制御が並列的に行われることにより、その総変化量が所定以上となった場合に、APC制御値を現在のフレーム画像のAPL値に追従させることができる。
つまり、このような制御によれば、上記のような閾値kの範囲内でのAPL値の変化が、ノイズによるものではなく映像信号自体の変化によるものであった場合に、その総変化量が所定以上となるのに応じてAPC制御値の固定状態を解除することができる。すなわち、この場合、入力映像信号に基づく適切なAPC制御を図ることができるようになるものである。
このようにして、本実施の形態の映像信号処理装置によれば、ノイズ成分にAPC制御を追従させずに画面フリッカ現象を防止することと、映像信号自体の変化による平均輝度レベルの変化に追従して、適切なAPC制御を図ることの両立を図ることができるようになる。
なお、先にも述べたように実施の形態では、フレーム画像のAPL値が低下する傾向となる場合にのみ、APC制御値の固定を行うものとしたが、勿論、APL値が増加する傾向となる場合についても、同様にAPC制御値の固定、及び閾値Lに基づいた制御を行うようにされてもよい。
また、この場合、実際のAPL値の変化としては、先の図8(c)に示したように閾値k以下の範囲内で徐々に低下して閾値Lに基づく制御が行われている下で、例えばノイズ成分の影響により微少に上昇する場合も考えられる。
このような場合、先の図9に示した動作によると、APL値の上昇時には、常にAPC制御値を現在のフレーム画像のAPL値に追従させているから、この場合の微少なAPL値の上昇に応じては、閾値Lに基づく制御がリセットされてしまうことになる。
しかしながら、この場合におけるAPL値の微少な上昇は、ノイズ成分によるものである可能性が高い。このことから、このような閾値Lに基づく制御が行われる下では、APL値が上昇し、且つその上昇が微少範囲である場合(例えば閾値kを超えない範囲である場合)には、APC制御値の固定を継続するようにしてもよい。
本発明における、実施の形態としての映像信号処理装置が内蔵されるプラズマディスプレイ装置のディスプレイパネルの構造を示す斜視図である。 実施の形態のプラズマディスプレイ装置の構成を、電極ドライバと電極とにより示す図である。 実施の形態のディスプレイパネルにおけるR,G,Bセルと、画素との関係を示す図である。 実施の形態で適用されるサブフィールドパターンの例を示す図である。 サブフィールド方式における電極の駆動(電圧印加)タイミング例を示すタイミングチャート(波形図)である。 実施の形態のディスプレイパネルにおける表示原理を説明するための、ディスプレイパネルの断面図である。 実施の形態の映像信号処理装置の構成例について示すブロック図である。 実施の形態の映像信号処理装置が行う動作について模式的に示した説明図である。 実施の形態の映像信号処理装置において行われるべき処理動作について示したフローチャートである。
符号の説明
1 APL検出回路、2 システムコントローラ、3 ROM、3a ルックアップテーブル(LUT)、3b APCプログラム、4 RAM、5 セレクタ、6 表示輝度レベル制御回路

Claims (2)

  1. 入力映像信号について、フレーム画像ごとの平均輝度レベルを検出する平均輝度レベル検出手段と、
    上記平均輝度レベル検出手段により検出される現在のフレーム画像の平均輝度レベルの情報に基づき、ルックアップテーブルから表示データに設定すべき輝度レベルについての制御値を読み出す読出手段と、
    上記平均輝度レベル検出手段により検出された、現在のフレーム画像の平均輝度レベルと1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルとの差分値を算出する第1の算出手段と、
    上記第1の算出手段により算出された差分値が、第1の閾値を超えているか否かについて判別する第1の判別手段と、
    上記第1の判別手段によって上記差分値が上記第1の閾値を超えていると判別された場合、又は現在のフレーム画像の平均輝度レベルが1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルよりも上昇している場合に、上記読出手段により上記ルックアップテーブルから読み出される、現在のフレーム画像の平均輝度レベルに対応する上記制御値が出力されるように制御を行い、上記差分値が上記第1の閾値を超えてはいないと判別され且つ現在のフレーム画像の平均輝度レベルが1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルに対して上昇していない場合に、直前に出力された同じ制御値が出力されるように制御を行う第1の制御手段と、
    上記第1の制御手段の制御により、上記同じ制御値の出力が開始されたときのフレーム画像よりも1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルと、上記平均輝度レベル検出手段により検出される現在の平均輝度レベルとの差分値を算出する第2の算出手段と、
    上記第2の算出手段により算出される差分値が、第2の閾値を超えたか否かについて判別する第2の判別手段と、
    上記第2の判別手段によって上記差分値が上記第2の閾値を超えていないと判別された場合に、引き続き上記同じ制御値が出力されるように制御を行い、上記差分値が上記第2の閾値を超えていると判別された場合は、上記読出手段により上記ルックアップテーブルから読み出される現在の平均輝度レベルに対応した制御値が出力されるように制御を行う第2の制御手段
    を備える映像信号処理装置。
  2. 入力映像信号について、フレーム画像ごとの平均輝度レベルを検出する平均輝度レベル検出手順と、
    上記平均輝度レベル検出手順により検出したフレーム画像の平均輝度レベルの情報に基づき、ルックアップテーブルから表示データに設定すべき輝度レベルについての制御値を読み出す読出手順と、
    上記平均輝度レベル検出手順により検出した、現在のフレーム画像の平均輝度レベルと1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルとの差分値を算出する第1の算出手順と、
    上記第1の算出手順により算出した差分値が、第1の閾値を超えているか否かについて判別する第1の判別手順と、
    上記第1の判別手順によって上記差分値が上記第1の閾値を超えていると判別された場合、又は現在のフレーム画像の平均輝度レベルが1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルよりも上昇している場合に、上記読出手順により上記ルックアップテーブルから読み出した、現在のフレーム画像の平均輝度レベルに対応する上記制御値が出力されるように制御を行い、上記差分値が上記第1の閾値を超えてはいないと判別され且つ現在のフレーム画像の平均輝度レベルが1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルに対して上昇していない場合には、直前に出力された同じ制御値が出力されるように制御を行う第1の制御手順と、
    上記第1の制御手順の制御により、上記同じ制御値の出力が開始されたときのフレーム画像よりも1つ前のフレーム画像の平均輝度レベルと、上記平均輝度レベル検出手順により検出される現在の平均輝度レベルとの差分値を算出する第2の算出手順と、
    上記第2の算出手順により算出した差分値が、第2の閾値を超えたか否かについて判別する第2の判別手段と、
    上記第2の判別手順によって上記差分値が上記第2の閾値を超えていないと判別された場合に、引き続き上記同じ制御値が出力されるように制御を行い、上記差分値が上記第2の閾値を超えていると判別された場合は、上記読出手順により上記ルックアップテーブルから読み出した現在の平均輝度レベルに対応した制御値が出力されるように制御を行う第2の制御手順
    を有する映像信号処理方法。
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