JP4380188B2 - 色素増感型太陽電池用電解質及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

色素増感型太陽電池用電解質及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は色素増感型太陽電池用電解質及び色素増感型太陽電池に係り、特に色素増感型太陽電池に用いられるゲル状電解質と、このようなゲル状電解質を備える色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
増感色素を吸着させた酸化物半導体を電極に用いて太陽電池を構成することは既に知られている。図1は、このような色素増感型太陽電池の一般的な構造を示す断面図である。図1に示す如く、ガラス基板等の基板1上に透明電極2が設けられ、この透明電極2上に分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜3が形成されている。この色素増感型半導体電極の透明電極2と対向して間隔をあけて対向電極4が設置されており、そして側部が封止材5により封止され、色素増感型半導体電極と対向電極4との間に電解質6が封入されている。色素吸着半導体膜3は、通常、色素を吸着させた酸化チタン薄膜よりなり、この酸化チタン薄膜に吸着されている色素が可視光によって励起され、発生した電子を酸化チタン微粒子に渡すことによって発電が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、色素増感型太陽電池の電解質は、一般に酸化還元性物質を溶媒に溶解してなる液状電解質であるため、封止部分からの液漏れ等の問題があり、このことが色素増感型太陽電池の耐久性、信頼性に影響を及ぼしていた。
【0004】
この問題を解決するために、従来、液状電解質をゲル状にして擬固体化することが検討されている。
【0005】
従来、一般的なゲル化手段として、各種ゲル化用モノマーにパーオキサイド等の重合開始剤を作用させてラジカル重合させる方法が知られているが、電解質中に酸化還元性物質として含まれるヨウ素が、パーオキサイドによる重合を阻害するために、電解質のゲル化にはこの方法を採用することはできない。これに対して、ゲル化用モノマーとしてアクリルモノマーを用い、重合開始剤の存在下に加熱重合させる方法もあり、具体的には、色素吸着半導体膜(例えば、色素を吸着させた酸化チタン薄膜)上で、酸化還元性物質とアクリルモノマーと重合開始剤を含むゲル化用電解質溶液を加熱重合させることによりゲル状電解質を形成することが行われる。しかし、この方法では、加熱重合のために、色素吸着半導体膜上で80℃程度の熱処理を数時間行う必要があり、一方で、色素吸着半導体膜に吸着された色素の耐熱性は高々80℃程度であり、耐熱限界の加熱処理を受けることにより色素吸着半導体膜の色素が劣化し、この結果、太陽電池の変換効率を低下させるという問題がある。また、このような加熱処理は、電解質形成用溶液の配合組成にも変化を及ぼす点からも好ましくない。
【0006】
本発明は上記従来の問題点を解決し、熱処理等の、電解質、その他の電池要素に影響を及ぼす操作を必要とすることなく、ゲル化が可能な色素増感型太陽電池用電解質と、この色素増感型太陽電池用電解質を用いた色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の色素増感型太陽電池用液状電解質は、酸化還元性物質と、アクリル系重合体のシロキサン変性物と、アミノシランを含む色素増感型太陽電池用電解質であって、酸化還元性物質と、アクリル系重合体のシロキサン変性物とアミノシランとを溶媒に溶解してなり、該酸化還元性物質の含有量が0.1〜20モル/Lで、該アクリル系重合体のシロキサン変性物の含有量が1〜50重量%であり、該アミノシランの含有量がアクリル系重合体のシロキサン変性物に対して30〜80重量%であることを特徴とする。
【0008】
本発明者らは、電解質のゲル化について鋭意研究を重ねた結果、アクリル重合体のシロキサン変性物(以下「シロキサン変性アクリル」と称す場合がある。)であれば、ラジカル重合反応を阻害するヨウ素を含む電解質中でも、大気中の水分を吸収して重合することによりゲル化すること、また、更にアミノシランが共存することにより、密閉状態でもゲル化することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、シロキサン変性アクリルは、導入されたシロキサン単位部分が大気中の水分(HO)と反応することによりこの部分で縮合してゲル化する。また、アミノシランが共存する場合には、シロキサン単位部分がアミノシランと反応することによりこの部分で縮合してゲル化する。又はアミノシランで自己縮合反応を促進するものと推定される
【0010】
発明の色素増感型太陽電池用ゲル状電解質は、このような本発明の色素増感型太陽電池用液状電解質をゲル化させてなるものである。即ち、本発明のゲル状電解質は、酸化還元性物質とシロキサン変性アクリルとアミノシランとを含む液状電解質を密封状態で、好ましくは、太陽電池用セル内に封入した状態でゲル化させてなる。
【0011】
本発明の色素増感型太陽電池は、色素増感型半導体電極と、この色素増感型半導体電極に対向して設けられた対向電極と、該色素増感型半導体電極と対向電極との間に配置された電解質とを有する色素増感型太陽電池において、該電解質が、このような本発明の色素増感型太陽電池用ゲル状電解質であるか、或いは密閉状態でゲル化可能な色素増感型太陽電池用液状電解質であるものであり、電解質、その他の電池要素に影響を及ぼすことなくゲル化可能な電解質により、電解質を凝固体化して、その液漏れを防止することができ、発電効率、耐久性、信頼性、安全性に優れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の色素増感型太陽電池用電解質及び色素増感型太陽電池の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
まず、本発明におけるゲル化剤としてのシロキサン変性アクリルについて説明する。
【0014】
シロキサン変性アクリルは、アクリル系重合体(共重合体を含む)にシロキサンを導入して変性したものであり、主鎖のアクリル系重合体を構成するアクリル系単量体としては、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルメチルメタアクリレート等の1種又は2種以上、好ましくはメチルメタアクリレート等が挙げられる。
【0015】
このアクリル系重合体の分子量が過度に小さいとゲル化し難く、逆に過度に大きいと、電解質液の粘度が高くなり、酸化チタン膜の細孔に浸入し難くなり、又イオンが動き難くなるため電池性能が低下する。但し、高分子量ほどゲル化し易くなることから、分子量360〜8万程度のオリゴマーであることが好ましい。
【0016】
このようなアクリル系重合体に導入されるシロキサン単位としては、(RO)SiO−で表されるものが挙げられ、ここでRは、メチル基、エチル基等のアルキル基、好ましくは、メチル基である。
【0017】
このようなシロキサン単位の導入量が過度に少ないとシロキサン単位による縮合反応が不十分であり、ゲル化が十分に進行しない。また、シロキサン単位の導入量が過度に多いと疎水性が強くなり、酸化チタン細孔に浸入し難くなり、電池性能が低下するため、アクリル基に対するシロキサン(RO)SiOの割合で1〜50重量%程度であることが好ましい。
【0018】
また、このようなシロキサン変性アクリルと併用するアミノシランとしては、アミノ系シランカップリング剤と称されるものを用いることができ、例えば、次のようなものが挙げられる。
【0019】
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン:(CHO)SiCOCOCH
=CH
N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン:
(CHO)Si(CH)CNHCNH
N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン:
(CHSiCNHCNH
N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン:
(CO)SiCNHCNH
3−アミノプロピルトリメトキシシラン:(CHO)SiCNH
3−アミノプロピルトリエトキシシラン:(CO)SiCNH
3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン:
(CO)SiCN=C(CH)C
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン:
(CHO)SiCNH(Ph)
【0020】
酸化還元性物質としては、一般に電池や太陽電池などにおいて使用することができるものであれば特に限定されないが、LiI、NaI、KI、CaI2などの金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせ、LiBr、NaBr、KBr、CaBr2などの金属臭化物と臭素の組み合わせが好ましく、これらの中でも、金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせが好ましい。
【0021】
本発明の色素増感型太陽電池用液状電解質は、酸化還元性物質とシロキサン変性アクリルとアミノシランとを溶媒に溶解して調製される。
【0022】
この溶媒としては、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質などの1種又は2種以上が挙げられるが、これらの中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が好ましい
【0023】
発明の色素増感型太陽電池用液状電解質、酸化還元性物質とシロキサン変性アクリルとアミノシランとを含む密閉ゲル化型の液状電解質であ、酸化還元性物質の含有量が0.1〜20モル/Lでシロキサン変性アクリルの含有量が1〜20重量%で、アミノシランの含有量がシロキサン変性アクリルに対して30〜80重量%である。酸化還元性物質の含有量が0.1モル/L未満では十分な発電効率を得ることができず、20モル/Lを超えると電解質液の粘度が高くなり不適である。好ましい酸化還元性物質の含有量は0.3〜15モル/Lである。また、シロキサン変性アクリルの含有量が1重量%未満では十分なゲル化が起こらず、20重量%を超えると電解質液の粘度が高くなり、酸化チタン膜の細孔に浸入し難くなり、又イオンが動き難くなるため電池性能が低下する。好ましいシロキサン変性アクリルの含有量は2〜15重量%である。また、アミノシランの含有量がシロキサン変性アクリルに対して30重量%未満では十分なゲル化が起こらず、80重量%を超えると硬い固形物となり、電池性能が低下し不適である。好ましいアミノシランの含有量は40〜70重量%である
【0024】
化還元性物質とシロキサン変性アクリルとアミノシランとを含む密閉ゲル化型の液状電解質は、これを直接太陽電池用セルに封入して用いることができ、この液状電解質は、封入された状態で経時によりゲル化する。この放置温度も室温で良く、ゲル化に要する時間は、液状電解質の組成や液量によっても異なるが、通常1〜3日程度である。
【0025】
なお、色素増感型太陽電池の電解質の厚さは、通常の場合10nm〜2mm程度であるため、本発明のゲル状電解質は、このような厚さとなるようにゲル化させることが好ましい。
【0026】
本発明の色素増感型太陽電池は、電解質としてこのような本発明の色素増感型太陽電池用電解質を用いたものであるが、電解質以外の他の構成は、図1に示すような従来の色素増感型太陽電池と同様の構成とされる。
【0027】
色素増感型太陽電池の基板1は、通常ガラス板であり、通常珪酸塩ガラスであるが、可視光線の透過性を確保できる限り、種々のプラスチック基板等を使用することができる。基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス板は、化学的に或いは熱的に強化させたものが好ましい。
【0028】
透明電極2としては、InやSnOの導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料からなる基板が用いられる。導電性金属酸化物の好ましい例としては、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:Al、ZnO:F、CdSnOを挙げることができる。
【0029】
分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜3の金属酸化物半導体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化インジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウムなどの公知の半導体の1種又は2種以上を用いることができる。特に、安定性、安全性の点から酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしてはアナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の酸化チタン或いは水酸化チタン、含水酸化チタンが含まれるが、特に本発明ではアナタース型酸化チタンが好ましい。また金属酸化物半導体膜は微細な結晶構造を有することが好ましい。また多孔質膜であることも好ましい。金属酸化物半導体の膜厚は、1〜20μm以上であることが一般的であり、5〜15μmが好ましい。
【0030】
酸化物半導体膜に吸着させる有機色素(分光増感色素)は、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つものであり、種々の金属錯体や有機色素の1種又は2種以上を用いることができる。分光増感色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基の官能基を有するものが半導体への吸着が速いため、好ましい。また、分光増感の効果や耐久性に優れているため、金属錯体が好ましい。金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、特開平1−220380号公報、特表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体を用いることができる。有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素を用いることができる。シアニン系色素としては、具体的には、NK1194、NK3422(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。メロシアニン系色素としては、具体的には、NK2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。キサンテン系色素としては、具体的には、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセインが挙げられる。トリフェニルメタン色素としては、具体的には、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
【0031】
有機色素(分光増感色素)を半導体膜に吸着させるこのためには、有機色素を有機溶媒に溶解させて調製した有機色素溶液中に、常温又は加熱下に酸化物半導体膜を基板ととも浸漬すれば良い。前記の溶液の溶媒としては、使用する分光増感色素を溶解するものであれば良く、具体的には、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドを用いることができる。
【0032】
また、対向電極4としては、導電性を有するものであれば良く、任意の導電性材料が用いられるが、電解質のI イオン等の酸化型のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン、コバルト、ニッケル、クロム等が挙げられる。
【0033】
色素増感型半導体電極は、基板1上に、透明電極(透明性導電膜)2をコートし、その上に光電変換材料用半導体膜を形成し、上述のように色素を吸着して形成される
【0034】
述の密閉ゲル化型の液状電解質は、上述の色素増感型半導体電極に対向電極4として別の透明性導電膜をコートしたガラス板などの基板を対面させ、これらの電極間に封止材5により封入すれば良く、これにより、液状の電解質は太陽電池用セル内に密封された状態で経時によりゲル化する。このようにして密封状態でゲル化させることにより、ゲル化の過程での電解質の組成変化や変質等の問題を防止することができ、初期性能を高く維持することができる。
【0035】
本発明の色素増感型太陽電池は、前記色素増感型半導体電極、電解質及び対向電極をケース内に収納して封止するが、それら全体を樹脂封止しても良い。この場合、その色素増感型半導体電極には光があたる構造とする。このような構造の電池では、その色素増感型半導体電極に太陽光又は太陽光と同等な可視光を当てると、色素増感型半導体電極とその対向電極との間に電位差が生じ、両極間に電流が流れるようになる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
【0037】
なお、以下において、シロキサン変性アクリルとアミノシランとしては、以下のものを用いた。
【0038】
[シロキサン変性アクリル]
大日本インキ工業(株)製「HARDIC」(メチルメタアクリレートオリゴマー部に対して(CHO)SiO−基が約5重量%導入されたもの。分子量約6万(Mw))
[アミノシラン]
3−アミノプロピルトリメトキシシラン
【0039】
参考例1
下記配合の酸化還元性物質溶液0.4gにシロキサン変性アクリル20重量%溶液(イソプロパノール)0.1gを添加して大気開放型の液状電解質を調製した。
【0040】
[酸化還元性物質溶液]
溶媒(アセトニトリル)
ヨウ化リチウム:0.1モル/L
1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド
:0.15モル/L
ヨウ素:0.04モル/L
t−ブチルピリジン:0.4モル/L
【0041】
この液状電解質を用いて、以下のようにして色素増感型太陽電池を作製した。
【0042】
ガラス基板(厚さ:2mm)上に、厚さ9000ÅのFTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜を形成し、この上に厚さ10μmの酸化チタン膜を塗布し乾燥した後、450℃で、30分焼成した。
【0043】
分光増感色素として、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)をエタノール液に3×10−4モル/Lで溶解した液に上記酸化チタン膜を形成した基板を入れ、室温で18時間浸漬して、色素増感型半導体電極を得た。分光増感色素の吸着量は、酸化チタン膜の比表面積1cmあたり10μgであった。
【0044】
この色素増感型半導体電極上に、液流れ防止テープを取り付けて堰を設け、上記液状電解質を塗布、含浸させて室温にて大気中に6時間放置してゲル化させて、ゲル状電解質膜を形成した。この電解質膜面に、対向電極として、白金を担持した透明導電性ガラス板を積層し、側面を樹脂で封止した後、リード線を取付けて、本発明の色素増感型太陽電池を作製した。
【0045】
得られた色素増感型太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100mWの強度の光を照射したところ(セル面積1cm)、Isc電流(7.4mA電流)及びEff変換効率(2.84)は表1に示す通りであり、また、電圧−電流密度曲線は図2に示す通りであった。
【0046】
比較例1
参考例1において、シロキサン変性アクリルを含まない、酸化還元性物質溶液のみを液状電解質として用い、これを色素増感型導電体電極と対向電極との間に封止したこと以外は同様にして色素増感型太陽電池を作製し、同様に評価を行って、結果を表1及び図2に示した。
【0047】
【表1】
Figure 0004380188
【0048】
表1及び図2より、参考例1のゲル状電解質は、従来の液状電解質よりは若干劣るものの優れた電池性能を示すことが明らかである。
【0049】
実施例
参考例1で用いたものと同様の酸化還元性物質溶液0.4gに、シロキサン変性アクリル20重量%溶液0.1gとアミノシランのアセトニトリル溶液(アミノシラン濃度20重量%)0.1gとを添加して、密閉ゲル化型の液状電解質を調製した。
【0050】
この液状電解質を用い、これを色素増感型導電体電極と対向電極との間に封止したこと以外は参考例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し(即ち、注入口のみを残して、予め組み立てたセル状に液状電解質を封入した後、封止した。)、液状電解質のゲル化が進行していない密封初期及び液状電解質がゲル化した密閉6日後の色素増感型太陽電池について、各々、同様に評価を行って、結果を表2及び図3に示した。なお、表2及び図3には比較例1の結果を併記した。
【0051】
【表2】
Figure 0004380188
【0052】
表2及び図3より、本発明のゲル状電解質は、従来の液状電解質とほぼ同等の電池性能を示し、特に、密閉状態でのゲル化の過程においても初期性能が維持され、ゲル化による性能低下は殆どないことが分かる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、電解質、その他の電池要素に影響を及ぼすことなくゲル化可能な色素増感型太陽電池用電解質により、電解質を容易にゲル化することにより凝固体化して、その液漏れを防止することができ、発電効率、耐久性、信頼性、安全性に優れた色素増感型太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 色素増感型太陽電池の一般的な構造を示す断面図である。
【図2】 参考例1及び比較例1の電圧−電流密度曲線のグラフである。
【図3】 実施例及び比較例1の電圧−電流密度曲線のグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 透明電極
3 色素吸着半導体膜
4 対向電極
5 封止材
6 電解質

Claims (6)

  1. 酸化還元性物質と、アクリル系重合体のシロキサン変性物と、アミノシランを含む色素増感型太陽電池用電解質であって、
    酸化還元性物質と、アクリル系重合体のシロキサン変性物とアミノシランとを溶媒に溶解してなり、該酸化還元性物質の含有量が0.1〜20モル/Lで、該アクリル系重合体のシロキサン変性物の含有量が1〜50重量%であり、該アミノシランの含有量がアクリル系重合体のシロキサン変性物に対して30〜80重量%であることを特徴とする色素増感型太陽電池用液状電解質。
  2. 請求項1に記載の色素増感型太陽電池用液状電解質をゲル化させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用ゲル状電解質。
  3. 請求項に記載の色素増感型太陽電池用液状電解質を密封状態でゲル化させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用ゲル状電解質。
  4. 請求項において、該色素増感型太陽電池用液状電解質を太陽電池用セル内に封入した後ゲル化させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用ゲル状電解質。
  5. 色素増感型半導体電極と、この色素増感型半導体電極に対向して設けられた対向電極と、該色素増感型半導体電極と対向電極との間に配置された電解質とを有する色素増感型太陽電池において、該電解質が請求項に記載の色素増感型太陽電池用液状電解質であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  6. 色素増感型半導体電極と、この色素増感型半導体電極に対向して設けられた対向電極と、該色素増感型半導体電極と対向電極との間に配置された電解質とを有する色素増感型太陽電池において、該電解質が請求項ないしのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池用ゲル状電解質であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
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