JP4377960B2 - 低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気伝導度が高い導電性バナジン酸塩ガラスの処理技術に関し、特に電気伝導度の低下を抑制しつつ、使用時及び保存時における発塵や、継続的に使用した際の黄変化を低減する技術に関する。
ホッピング伝導性ガラスである導電性バナジン酸塩ガラスには、電気伝導度が10−4〜10−1S・cm−1という、その電気抵抗がニクロム線程度と従来の導電性ガラスと比較して極めて良好な導電性を示すものも存在することが知られている。そのため、ヒーター、サーミスタ、二次電池用カソード電極、燃料電池用電極、pHヒーター用ガラス電極、太陽電池電極、電子顕微鏡等プラズマ発生装置における電極等の電極材料、Ba2+イオンの移動を利用した固体電解質等に応用できるとされている(特許文献1)。
また、導電性バナジン酸塩ガラスは、電気伝導度が非常に高く、荷電蓄積に関係する問題が発生しないため、イオンビーム照射による加工に適しており、寸法精度が1.0μ未満のサブミクロンオーダとなるような精密加工にも耐えうる素材である。このため、精密加工を必要とするようなナノテクノロジー分野においても、その応用が期待される(特許文献2)。
特開2003−34548 特開2006−248867
本発明者らは、このような導電性バナジン酸塩ガラスについて各種用途への適用を検討しているが、当該検討の過程で、導電性バナジン酸塩ガラスは、製造後、使用環境において空気中で数日間放置すると表面上に黄色の粉体が発生したり(発塵)、当該ガラスを例えば電子材料として使用した場合に当該ガラスが黄変してしまうことを発見した。当該発塵は、半導体分野をはじめとする一部分野においては、当該用途への適用が妨げられる程の致命的な性質である。更に、当該黄変も、一部分野においては商品価値を低下させる事態を招く。
そこで、本発明者らは、導電性バナジン酸塩ガラスを実用レベルまで向上させるため、導電性バナジン酸塩ガラスを製造する際に、新たな成分の付加や混合比の変更等を行うことにより製造原料の組成を変更したり、溶融条件やアニーリング等の製造条件を変更することを実施することで、発塵や黄変の低減化を目指した。更には、導電性バナジン酸塩ガラスを製造した後に、当該ガラスに対して汎用の粉塵低減手法(例えば、階層被膜処理)を施してみた。しかしながら、当業者が想定するいずれの手法によっても、導電性バナジン酸塩ガラスの電気伝導度を高いレベルに維持したまま、粉塵を低減できる有効な手法は存在しなかった。そこで、本発明は、導電性バナジン酸塩ガラスの電気伝導度を高いレベルに維持しつつ、粉塵や黄変を低減させる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、製造後のバナジン酸塩ガラスを所定条件下で水系液体媒体に浸漬させることにより、当該バナジン酸塩ガラスの電気伝導度を下げることなく、粉塵や黄変を低減させることができることを見出し、本発明を完成させたものである。ここで、導電性バナジン酸塩ガラスを長時間水系液体媒体(例えば水)に浸漬させたとき、ガラス表面と水等との反応により表面上に遊離層を形成する場合があることが知られている。そして、導電性バナジン酸塩ガラスに当該遊離層が形成された場合、導電性ガラスの導電率を著しく低下させることに加え、当該遊離層が粉塵の更なる原因となることが危惧されていた。しかしながら、当該常識に反して実施したところ、当該バナジン酸塩ガラスの電気伝導度を下げることなく、粉塵や黄変を低減させることができたという驚くべき効果を奏することが確認され、本発明を完成したものである。
すなわち本発明(1)は、酸化バナジウムを含む混合物を調製した後に溶融及び急冷して得られる導電性バナジン酸塩ガラス又は当該ガラスに対して更にアニーリング処理を施した導電性バナジン酸塩ガラスを、水系液体媒体中に浸漬する工程を含む、低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの製造方法である。
本発明(2)は、前記工程が、導電性バナジン酸塩ガラスに通電しながら行うものである、発明(1)の方法である。
本発明(3)は、前記工程が、30kHz〜5MHzの超音波処理下で行うものである、発明(1)又は(2)の方法である。
本発明(4)は、前記工程が、30℃〜沸点以下の温度条件下で行うものである、発明(1)〜(3)のいずれか一の方法である。
本発明(5)は、温度25℃、湿度80%の条件下、24時間放置したときの1μm以上の塵が0個の発塵量である、25℃における電気伝導度が10−13S・cm以上の低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスである。
本発明(6)は、酸化バナジウムを含む混合物を調製した後に溶融及び急冷して得られる導電性バナジン酸塩ガラス又は当該ガラスに対して更にアニーリング処理を施した導電性バナジン酸塩ガラスを、水系液体媒体中に浸漬する工程を含む、耐黄変性導電性バナジン酸塩ガラスの製造方法である。
本発明(7)は、前記工程が、導電性バナジン酸塩ガラスに通電しながら行うものである、発明(6)の方法である。
本発明(8)は、前記工程が、30kHz〜5MHzの超音波処理下で行うものである、発明(6)又は(7)の方法である。
本発明(9)は、前記工程が、30℃〜沸点以下の温度条件下で行うものである、発明(6)〜(8)のいずれか一の方法である。
本発明(10)は、温度25℃、湿度80%の条件下、24時間放置したときのL表色データがL=5〜20 a=5〜20 b=10〜30とならない、25℃における電気伝導度が10−13S・cm以上の耐黄変性導電性バナジン酸塩ガラスである。
ここで、本特許請求の範囲及び本明細書における各用語の定義を記載する。まず、「水系液体媒体」とは、水、例えば、純水、塩化ナトリウム等の他の成分を含有する水(例えば水道水や海水)、アルコール、例えば、エタノール、水とアルコールとの混合液、例えば、エタノールと水との混合液体、を挙げることができる。「導電性バナジン酸塩ガラス」は、一般的意義の導電性バナジン酸塩ガラスと同義であり、バナジン酸を必須的に含有し、電気伝導度が、25℃において10−13S・cm−1以上(好適には、10−9S・cm−1以上、より好適には、10−7S・cm−1以上)のガラスを意味する。尚、上限値は特に限定されないが、例えば、10S・cm−1以下である。「低発塵性導電性バナジン酸塩ガラス」は、JIS B 9920:2002に準じた発塵性測定法(例えばシスメックス製モデル110を使用)で測定を行った場合、用途により異なるが、1μm以上の塵が0個であるガラスを指す(好適には、0.5μm以上の塵が0個、更に好適には、0.3μm以上の塵が5個以下)。「沸点」とは、常圧下(1atm)で測定された沸点のことを意味し、共沸しない混合液体の場合、成分のうち最も低い成分の沸点を指し、更に、共沸する混合液体の場合には、共沸点を意味する。「アニーリング処理」とは、ガラス転移温度以上結晶化温度以下のみならず、結晶化温度以上であっても軟化点温度以下であればよい。
尚、本最良形態に係る低発塵性処理は、導電性バナジン酸塩ガラスの耐黄変性処理としても使用することができる。当該耐黄変性処理により、通電等の使用により黄変しにくい耐黄変性導電性バナジン酸塩ガラスが得られる。「耐黄変性導電性バナジン酸塩ガラス」は、JIS Z 8701に従った耐黄変性測定法(例えばマイセック製NF−777を使用)で測定を行った場合、L=5〜20 a=5〜20 b=10〜30とならないことを指す。
本発明に係る低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスは、水系液体媒体中に浸漬する工程を施されたものであり、当該工程により得られる低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスは、高い導電性が維持されていると共に、一定期間空気中又は水中で保存しても、表面には、ほとんど粉体が析出せず、更には、黄変しない。
以下、本発明の最良形態を詳述する。尚、以下の記載はあくまで最良形態に係るものであるため、当該記載によって本発明の技術的範囲は限定されるものではない。また、以下の最良形態では、水系液体媒体として水を例に採り詳述する。
本発明は、通常の手法により製造した導電性バナジン酸塩ガラスを水中に浸漬することにより、粉体が表面に析出しない低発塵性導電性ガラスを得ることを本質とする。そこで、まずは、水処理前の導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)を構成する各成分について説明し、続いて、当該導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)の性質を説明し、その次に、当該導電性ガラス(未処理)を製造する方法について説明する。
《導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)を構成する各成分》
本最良形態に係る導電性バナジン酸塩ガラスの組成は、酸化バナジウム、酸化バリウム、酸化鉄を含むことが好適であり、その他、リン酸、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化銀、ヨウ化銀、酸化リチウム、ヨウ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化セシウム、ヨウ化ナトリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化レニウム等を含んでいてもよい。当該導電性バナジン酸塩ガラスとしては、酸化バナジウムを好適には0.1〜98モル%、より好適には40〜98モル%含有し、酸化バリウムを好適に1〜40モル%含有し、酸化鉄を1〜20モル%含有するものが特に好ましい。更に、酸化バリウム(B)と酸化バナジウム(V)のモル比(B:V)は、好適には5:90〜35:50である。また、酸化鉄(F)と酸化バナジウム(V)のモル比(F:V)は、好適には5:90〜15:50である。但し、どのような組成とするかは、電気・電子材料の種類や用途等により変動するものであるので、前記範囲には何ら限定されない。
《導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)の性質》
本最良形態に係る導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)の電気伝導度は、25℃において10−13S・cm−1以上で好適であり、10−9S・cm−1以上でより好適であり、10−7S・cm−1以上で更に好適である。ここで、電気伝導度は、四端子法により測定された体積抵抗率を意味する。
《導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)の製造方法》
本最良形態に係る導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)は、公知の方法により製造することができる。例えば、特許第3854985号や特開2004−2181、特開2004−331416、特開2003−277101に開示されているように、酸化バナジウム、酸化バリウム、酸化鉄等の混合物を溶融し、急冷することによって得ることができる。更に、前記ガラス組成物を該組成物のガラス転移温度以上、結晶化温度以下の温度で熱処理することにより、特に高い電気伝導度を有する導電性バナジン酸塩ガラスを得ることができる。より好適な導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)の製造方法は、酸化バナジウム、酸化バリウム及び酸化鉄を含む混合物を溶融、急冷してそのガラス組成物を得た後、前記ガラス組成物のガラス転移温度以上、結晶化温度以下のアリーリング処理の温度に加熱した後、所定時間保持させる方法である。尚、特許第3854985号、特開2004−2181、特開2004−331416、特開2003−277101の記載内容は、本明細書に取り込まれているものとし、本明細書で特記しない当該導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)の概念及び製造方法については、これら文献の内容を参照すべきである。
以上で、水処理前の導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)を構成する各成分、当該導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)の製造方法を説明した。次に、本発明の特徴であるところの、当該導電性バナジン酸塩ガラスの発塵を低減化する方法(低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの製造方法)を説明し、その後、当該低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの性質について説明し、続いて、当該低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの用途を説明する。
《導電性バナジン酸塩ガラスの発塵低減方法》
当該方法は、導電性バナジン酸塩ガラス(未処理)を水中に浸漬する工程からなる。尚、本最良形態に係る工程は、前記の導電性バナジン酸塩ガラスの製造工程において、ガラス組成物の溶融・急冷後に行ってもよいし、また、前記アニーリング処理後に行ってもよい。
具体的には、水中に導電性バナジン酸塩ガラスを浸して水温を所定温度に設定し、所定時間粉塵由来成分を水中に溶かす処理を実行する。ここで、当該浸漬の際、当該バナジン酸塩ガラスに対して所定の大きさの電気を流すこと、及び/又は、超音波処理を行うことが好適である。これらを組み合わせることにより、粉塵由来成分の抽出を効率的かつ短時間で実行することが出来る。
ここで、水温は30〜100℃が好適であり、40〜70℃でより好適である。また、電気を流す場合には、電源は、交流であっても、直流であってもよく、1〜100mAが好適であり、1〜20mAでより好適である。また、水中で電流を流さず工程を行う場合には、好適には1〜2000時間、更に好適には1〜1500時間の処理を行うのがよい。また、電流を流しながら当該処理を行う場合には、好適には1〜300時間、より好適には1〜150時間、処理を行うのがよい。また、超音波処理をしながら行う場合、超音波の周波数は、30kHz〜4MHzで好適であり、30kHz〜3MHzでより好適であり、30〜80kHzで更に好適である。また超音波処理の時間は、1〜30時間で好適であり、1〜10時間でより好適であり、1〜3時間で更に好適である。
尚、当該処理直後に得られる低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの表面には、黄色の粉が付着しており、これをふき取り、得られた導電性バナジン酸塩ガラスを使用する。
超音波処理を行った場合、超音波によるキャビテーション効果を得ることが出来る。当該キャビテーション効果は、超音波照射により、液体が激しく揺さぶられて局所的に圧力が高い部分と低い部分が発生し、これにより圧力が低い部分で液体中に小さな真空の気泡(キャビテーション)が生じ、当該気泡が押しつぶされ破裂することにより衝撃波が生じる現象である。当該キャビテーション効果を利用して低発塵性処理を行うことにより、当該衝撃波が、試料に対して衝撃を与えるため、発塵由来成分の抽出を効率的に行うことができる。更に、試料表面に析出した成分がキャビテーション効果に伴う洗浄効果により層状に張り付くことを防止し、円滑に操作が進められる。
《低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの性質》
本最良形態に係る低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスは、後述の発塵性測定法により得られる結果が、用途により異なるが、好適には、1μm以上の塵が0個であり、より好適には0.5μ以上の塵が0個であり、更に好適には、0.3μm以上の塵が5個以下である。加えて、本最良形態に係る低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの電気伝導度は、25℃において10−13S・cm−1以上で好適であり、10−9S・cm−1以上でより好適であり、10−7S・cm−1以上で更に好適である。
《低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの用途》
本最良形態に係る低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスは、ヒーター、サーミスタ、二次電池用カソード電極、燃料電池用電極、pHヒーター用ガラス電極、太陽電池電極、電子顕微鏡等プラズマ発生装置における電極等の電極材料、Ba2+イオンの移動を利用した固体電解質等に使用できるほか、半導体分野等の発塵が問題となる分野においても使用することができる。
製造例1(導電性バナジン酸塩ガラス)
その化学組成が15BaO・70V・15FeOにそれぞれ調整された混合物を作成し、この混合物を白金るつぼ等に移し電気炉中1000℃で60分間加熱し、溶融した。これを直ちに氷水で急冷する(白金るつぼの外側、底部を氷水に浸ける)ことにより、導電性バナジン酸塩ガラス(電気伝導度:7×10−3S・cm−1)を得た。当該ガラスを400℃で1時間アニーリング処理して、以下の低発塵性処理に付される導電性バナジン酸塩ガラス(電気伝導度:7×10−3S・cm−1)を製造した。
電気伝導度の測定方法
電気伝導度は、厚さが1ミリメートル以下の導電性バナジン酸塩ガラス片を四端子法により求めた。ここでは、溶融した金属インジウムを用いて、ガラス表面にリード線を固定させたものを電極とした。電気伝導度(σ)の値は、電流密度(Acm−2)の値を電場の大きさで割ったものである。
Acm−2÷Vcm−1=A/Vcm−1=S/cm−1=S・cm−1
なお、電気伝導度(S・cm−1)は、比抵抗(Ω・cm)の逆数である。
発塵性の測定方法
発塵性は、図4に示した測定装置100を用いて、測定した。測定装置100は、10cm×10cm×10cmの空間101と、当該空間101内に設置された、細い棒からなるY字状の試料ステージ102と、パーティクルカウンター接続用孔103とを有する。前記パーティクルカウンター接続用孔103は、パーティクルカウンター200(シスメックス製モデル110)の空気吸引口に接続されている。
発塵性の測定方法は、以下の工程(1)〜(4)で実施する。
工程(1):脱脂綿を用いて試料A(3mm×3mm×40mmの直方体形状)を純水で洗浄(10秒)した後、十分に乾燥させる。
工程(2):前記工程の後、試料Aを湿度80%及び25℃の条件下で、1日間放置する。
工程(3):温度50℃、湿度0%の条件下で、1時間放置する。
工程(4):空間100内を充分にクリーンな状態(JIS B 9920:2002におけるクラス1)にして、前記工程により得られた試料Aをステージ102に置き、更に、パーティクルカウンター接続用孔103と試料Aが1cmの距離となるように設置した後に、毎分2.83リットルの速度で空間100内の空気をパーティクルカウンターに吸引し、JIS B 9920:2002における粒子の個数測定方法に準じて、0.1〜0.2μm、0.2〜0.3μm、0.3〜0.5μm、0.5μm〜1.0μm、1.0μm以上で分割測定を実施する。
尚、試験回数は基本的には1回であるが、複数回実施した際に1回でも1μm以上の粒子が確認できなかった場合には、「低発塵性」と認定することとする。
黄変性の測定方法
発塵性の測定方法は、以下の工程(1)〜(3)で実施する。
工程(1):脱脂綿を用いて試料A(3mm×3mm×40mmの直方体形状)を純水で洗浄(10秒)した後、十分に乾燥させる。
工程(2):前記工程の後、試料Aを湿度80%及び25℃の条件下で、1日間放置する。
工程(3):JIS Z 8701に従ってL表色系を測定した。
実施例1
製造例1により得られた導電性バナジン酸塩ガラスを、蓋付サンプル瓶に用意した水道水の中に浸して、室温で約二ヶ月間、低発塵性処理を行った。その結果、黄色い成分が水中に溶け出し、水全体が黄色に染まった。その後、サンプル瓶から導電性バナジン酸塩ガラスを取り出し、表面をきれいに洗い流し、実施例1に係る低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスを得た。当該低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスを再度、水道水に浸したが、その後2ヶ月間以上サンプル瓶の水に黄色い成分は溶出しなかった。尚、当該低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの電気伝導度は、処理前の導電性バナジン酸塩ガラスと変化は無かった(電気伝導度:7×10−3S・cm−1)。また、発塵試験の結果は表1に示す。尚、当該処理前の導電性バナジン酸塩ガラスは、前記発塵性試験の工程(2)の前後で、色の変化が観測された(黄色に変化した)。一方、当該処理後の低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスは、前記発塵試験の工程(2)の前後で色の変化は観測されなかった(黄色に変化しなかった)。
実施例2
製造例1により得られた導電性バナジン酸塩ガラスを、15℃の水中に浸け、100℃まで昇温し、5〜10V、1〜5mAの電流を流し、3〜15時間、低発塵性処理を行った後、表面に付着した黄色い成分を拭き取った上できれいに洗い流し、実施例2に係る低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスを得た(電気伝導度:7×10−3〜1×10−2S・cm−1)。尚、低発塵・耐黄変性導電性バナジン酸塩ガラス表面に付着した黄色い成分の分析をXPSにて行った結果、表面に付着した成分は、C:36.7、O:46.7、V:8.0、N:1.4、S:1.8、Fe:1.8、Ba:3.6(atom%)であった。また、図5は、当該処理前の導電性バナジン酸塩ガラスの表面の様子{図5(a)}と、処理後の低発塵性導電性バナジン酸塩ガラス表面の様子{図5(b)}を示した図である。尚、当該処理前の導電性バナジン酸塩ガラスは、前記発塵性試験の工程(2)の前後で、色の変化が観測された(黄色に変化した)。一方、当該処理後の低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスは、前記発塵試験の工程(2)の前後で色の変化は観測されなかった(黄色に変化しなかった)。
実施例3
発信周波数40kHzの洗浄機(シチズン製超音波洗浄機 SW7800)に対して、300ccの水を加え、製造例1により製造した導電性バナジン酸塩ガラスを入れ、5分間、超音波処理を行った。その結果、水中内に発塵し黄色に変色し、耐発塵性導電性バナジン酸塩ガラスが得られた(電気伝導度7×10−3S・cm−1)。また、発塵試験の結果は表1に示す。尚、当該処理前の導電性バナジン酸塩ガラスは、前記発塵性試験の工程(2)の前後で、色の変化が観測された(黄色に変化した)。一方、当該処理後の低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスは、前記発塵試験の工程(2)の前後で色の変化は観測されなかった(黄色に変化しなかった)。
実施例4
発信周波数72KHzの洗浄機(Alex社 ATSL3022)に対して、1,000ccの水を加え、製造例1により製造した導電性バナジン酸塩ガラスを入れ、5分間、超音波処理を行った。その結果、水中内に発塵し黄色に変色し、耐発塵性導電性バナジン酸塩ガラスが得られた(電気伝導度:7×10−3S・cm−1)。また、発塵試験の結果は表1に示す。尚、当該処理前の導電性バナジン酸塩ガラスは、前記発塵性試験の工程(2)の前後で、色の変化が観測された(黄色に変化した)。一方、当該処理後の低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスは、前記発塵試験の工程(2)の前後で色の変化は観測されなかった(黄色に変化しなかった)。
Figure 0004377960
図1は、本最良形態において、電流を流す場合の装置の一例を示した図である。 図2は、本最良形態において、加熱する場合の装置の一例を示した図である。 図3は、本最良形態において、超音波による処理を行う場合の装置の一例を示した図である。 図4は、発塵性の測定を行う装置を示した図である。 図5は、本最良形態において、処理前の導電性バナジン酸塩ガラス(a)と処理後の低発塵性導電性バナジン酸塩ガラス(b)の表面の写真を示した図である。

Claims (3)

  1. 酸化バナジウムを含む混合物を調製した後に溶融及び急冷して得られる導電性バナジン酸塩ガラス又は当該ガラスに対して更にアニーリング処理を施した導電性バナジン酸塩ガラスを、水、アルコール又はこれらの混合物の中に浸漬し、導電性バナジン酸塩ガラスに通電する工程を含む、1μm以上の塵が0個の発塵量の低発塵性導電性バナジン酸塩ガラスの製造方法。
  2. 前記工程が、30kHz〜5MHzの超音波処理下で行うものである、請求項1記載の方法。
  3. 前記工程が、30℃〜水系液体媒体の沸点以下の温度条件下で行うものである、請求項1又は2のいずれか一項記載の方法。
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