JP4376564B2 - 微細黒鉛化炭素繊維及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents

微細黒鉛化炭素繊維及びその製造方法並びにその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂、セラミックスや金属などの母材中に均一に分散することができ、樹脂との親和性の高い微細黒鉛化炭素繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
更に詳しくは、気相法により得られた炭素繊維を破砕し、所望の長さに調整した後、不活性雰囲気中2000℃以上の高温で熱処理することにより樹脂との親和性、分散性、耐劣化性に優れ、また複合体に高い表面平滑性を付与することができる微細黒鉛化炭素繊維およびその製造方法に係わる。
【0003】
また、導電性や熱伝導性を改善するために使用するフィラー材として、あるいはFED(フィールドエミッションディスプレー)用の電子放出素材として、更には水素やメタン、もしくは各種気体を吸蔵する媒体として、透明電極、電磁遮蔽、二次電池などに有用な微細黒鉛化炭素繊維およびその製造方法に関するものである。
【0004】
また、乾電池、Pb蓄電池、キャパシタや最近のLiイオン2次電池をはじめとする各種二次電池の正極または負極にこの微細な炭素繊維を添加したり、導電基材に塗布して充放電容量の改善、極板の強度を改善した電池用電極に関する。
【0005】
【従来の技術】
炭素繊維は、その高強度、高弾性率、高導電性等の優れた特性から各種の複合材料に使用されている。近年のエレクトロニクス技術の発展に伴ない、電磁波遮蔽材、静電防止材用の導電性フィラーとして、あるいは、樹脂への静電塗装のためのフィラーや透明導電性樹脂用のフィラーとしての用途が期待されている。また、摺動性、耐磨耗性が高い材料として電気ブラシ、可変抵抗器などの応用にも期待されている。さらに、高導電性、耐熱伝導性、耐エレクトロマイグレーションを有するため、LSI等のデバイスの配線材料としても注目を浴びている。
【0006】
従来の有機繊維を不活性雰囲気中で熱処理して、炭化することにより製造されているポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、セルロース炭素繊維などは糸径が5〜10μmと比較的太く、導電性があまりよくないため、主に樹脂やセラミックス等の補強材料として広く用いられてきた。
【0007】
1980年代に遷移金属触媒下で炭化水素等のガスを熱分解によって生成する気相法炭素繊維の研究がされるようになり、これらの方法により、繊維径が0.1〜0.2μm(100〜200nm)程度で、アスペクト比10〜500程度のものが得られるようになった。例えば、ベンゼン等の有機化合物を原料とし、触媒としてフェロセン等の有機遷移金属化合物をキャリアガスとともに高温の反応炉に導入し、基盤上に生成させる方法(特許文献1)、浮遊状態で生成させる方法(特許文献2)、あるいは反応炉壁に成長させる方法(特許文献3)等が開示されている。
【0008】
さらに、この炭素繊維は易黒鉛化炭素で2000℃以上で熱処理を行うと、結晶性が非常に発達し、電気伝導性を向上することができるため、この炭素繊維は導電性フィラー材として樹脂用フィラーや二次電池の添加材等に使用されるようになった。
【0009】
これらの炭素繊維は、形状や結晶構造に特徴があり、グラフェンシート(炭素六角網面)の結晶が年輪状に円筒形に巻かれ積層した構造を示し、その中心部には極めて細い中空構造を有する繊維である。また、2000℃以上で熱処理した炭素繊維は、繊維断面が多角化し、その内部に間隙が生成する場合もある。
【0010】
また、これらの炭素繊維は直径が細いので比較的大きなアスペクト比を有し、通常これら繊維は互いに絡まりあって毛玉のような凝集体を形成している。
【0011】
上述の炭素繊維を樹脂などの母材と混合した場合、繊維が毛玉のように絡まりあっているため、樹脂やセラミックス等の母材中にに均一に炭素繊維を分散させることができず、望んだ電気的、熱的、機械的特性を得ることができない。
【0012】
さらに、これら毛玉のように凝集し、低い嵩密度を有する繊維は樹脂と混練が難しく、複合体の表面を走査型電子顕微鏡で観察すると、その複合体表面は平滑ではなく、樹脂で覆われてない繊維が毛羽立っているように見える。例えば、これを静電防止材として集積回路(IC)用トレーなどに用いた場合、トレーとの接触箇所で微小な傷の発生などによりディスクまたはウェハの品質、歩留まりの低下の原因となり得る。
従来、フィラーとして分散性の向上、複合体表面の平面性を得るためや、電池材料として層間化合物の生成速度を促進する破断面を得るために長繊維を粉砕する試みが行われてきた。これまでは、短繊維を得るために炭素繊維をボールミルなど乾式粉砕によって炭素繊維の粉砕を行っていた(特許文献4、5)。しかし、ボールミルによるよる炭素繊維の粉砕は、磨砕により発生した微粉がミル内部で凝集したり、固結して、粉砕時間を長時間にしても効率よく微細化が進行しない欠点がある。得られる繊維は長さが数μm程度であるという問題があった。ロッドミルによる粉砕では互いに絡まり合う炭素繊維を解砕する程度で、30μm以下に粉砕することは困難である。一方、ビーズミルなどの湿式粉砕は、粉砕効率が高いという特徴を有するが、粉砕後の分散剤の除去および溶媒の乾燥、乾燥凝集した繊維の解砕という後処理工程がありコストアップの問題がある。
また、粉砕原料として黒鉛化繊維を用いた場合(特許文献6〜9)、黒鉛化繊維は結晶が発達しているため強度が強く、乾式粉砕あるいは湿式粉砕何れの手段を用いても効率的かつ均一な粉砕を行うことができない。また、粉砕後のメディアからの不純物の混入およびその処理の問題がある。
さらに、粉砕後の断面は活性が高いため、母材と相互作用を起こしやすく、例えば樹脂の劣化などによりフィラーとの密着性が損なわれ、その結果、複合体の導電性や熱伝導性など低下を引き起こす問題がある。
また、特許文献10では、炭素繊維端部が閉じた端面を有する炭素繊維が開示されているが、破断面を同時に有する繊維については開示されていない。
【0013】
【特許文献1】
特開昭60−27700号公報
【特許文献2】
特開昭60−54998号公報
【特許文献3】
特開平7−150419号公報
【特許文献4】
特開平1−65144号公報
【特許文献5】
特開平11−322314号公報
【特許文献6】
特開平6−73615号公報
【特許文献7】
特開平6−81218号公報
【特許文献8】
特開平6−84517号公報
【特許文献9】
特開平11−250911号公報
【特許文献10】
特開2002−146634号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、上記問題点を鑑み、樹脂などの母材と混合したときに優れた分散性、密着性、耐劣化性、導電性、熱伝導性を発揮させるために、結晶性の低い炭素繊維を原料とし、それを所定の長さまで粉砕した後、2000℃以上の温度で熱処理することにより、繊維端部に破断面を有するグラフェンシートの不連続面と、少なくとも1枚以上のグラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面を有する、特にBET比表面積が4m2/g以上であり外径が2〜500nm、アスペクト比1〜50である中空多層構造をもつ微細黒鉛化繊維を得ることが目的である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
樹脂や電解液の耐劣化性を改善する方法としては、炭素繊維の活性点および金属などの不純物の減少を減らすことがある。
炭素繊維の粉砕により生じた新たな断面は活性点となり、反応活性なダングリングボンドをもち価電子結合が飽和せず結合相手なしに固体中に存在する状態となっている。例えば、この炭素繊維を電池に用いた場合、活性面において電解液を分解し、繰り返し充放電特性の低下を招く。また、粉砕により発生したメディアからの不純物は樹脂の劣化などの原因となり、機械的強度の低下を招く。
これら問題を解決するために、われわれは予め炭素繊維を粉砕した後、高温で熱処理を行い結晶を発達させ、且つ不純物を除去する方法を発明した。その際、粉砕に用いる炭素繊維としては熱履歴を受けていない低結晶性炭素繊維が高効率、高収率で粉砕することができることを見出した。さらに、これらを黒鉛化して得られる微細黒鉛化炭素繊維が特有の形態的特徴を有することを見出した。
【0016】
すなわち、本発明によれば以下の微細黒鉛化炭素繊維、その製造方法が提供される。
1)炭素繊維が、中心軸に中空構造を持つ多層構造で、繊維端部に破断面を有するグラフェンシートの不連続面と、少なくとも1枚以上のグラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面を有することを特徴とする微細黒鉛化炭素繊維、
2)グラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面が、3枚以上のグラフェンシートが積層した湾曲部を有することを特徴とする上記1に記載の微細黒鉛化炭素繊維、
3)グラフェンシートの端部が近接する他のグラフェンシートの端部と結合している連続面が、炭素繊維の外周部に存在することを特徴とする上記1または2に記載の微細黒鉛化炭素繊維、
4)炭素繊維の端部において、繊維端部に破断面を有するグラフェンシートの不連続面が存在する面積が、グラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面が存在する面積より少ないことを特徴とする上記1乃至3のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維、
5)BET比表面積が4m2/g以上で、外径2〜500nm、アスペクト比1〜50であることを特徴とする上記1乃至4のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維、
6)中空構造が、一部閉じている領域を少なくとも1つ有する上記1乃至5のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維、
7)結晶内あるいは結晶表面にホウ素またはホウ素化合物を含有し、ラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が0.1〜1である上記1乃至6のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維、
8)ホウ素(ボロン、B)を炭素繊維の結晶内に0.01〜5質量%含有する上記7に記載の微細黒鉛化炭素繊維、
9)X線回折法による炭素六角網平面(002)の面間隔(d002)が0.345nm以上、ラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が1以上である炭素繊維を粉砕処理し、不活性ガス雰囲気下で温度2000〜3000℃で該炭素繊維を熱処理することにより上記1乃至8のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を製造する方法、
10)炭化水素を熱分解して得られた気相法炭素繊維、または、該気相法炭素繊維を不活性ガス雰囲気下で温度600〜1300℃で熱処理した気相法炭素繊維を粉砕した後、不活性ガス雰囲気下で温度2000〜3000℃で熱処理することを特徴とする上記1乃至8のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を製造する方法、
11)粉砕方法が、衝撃力を利用した衝撃粉砕であって、水または/及び有機溶媒の非存在下で行う乾式粉砕であることを特徴とする上記9または10記載の微細黒鉛化炭素繊維を製造する方法、
12)気相法炭素繊維が、分岐状気相法炭素繊維を含む炭素繊維であって、外径2〜500nm、アスペクト比10〜15000であることを特徴とする上記10または11に記載の微細黒鉛化炭素繊維の製造方法、
13)不活性ガス雰囲気下で温度2000〜3000℃で熱処理する工程において、ホウ素化合物を添加して熱処理することを特徴とする上記9乃至12のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維の製造方法、
14)炭素繊維全量に対して、上記1乃至8のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を5体積%〜90体積%含む微細黒鉛化炭素繊維混合物、
15)上記1乃至8のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を含む微細黒鉛化炭素繊維組成物、
16)微細黒鉛化炭素繊維組成物が、樹脂組成物であって、上記1乃至8のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を5〜90質量%含む微細黒鉛化炭素繊維組成物、
17)上記15または16に記載の微細黒鉛化炭素繊維組成物を用いた導電性材料、
18)上記15または16に記載の微細黒鉛化炭素繊維組成物を電極材料に用いた二次電池、及び
19)上記15または16に記載の微細黒鉛化炭素繊維組成物を用いたガス吸蔵材料。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明の微細黒鉛化炭素繊維は、樹脂との分散性、密着性、耐劣化性に優れた炭素繊維を得るために、気相法で製造した微細炭素繊維の粉砕、熱処理条件の検討を進める中で見出された従来知られていない、繊維端部に破断面を有するグラフェンシートの不連続面と、少なくとも1枚以上のグラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面を有する中心軸に中空構造を持つ多層構造の微細黒鉛化炭素繊維である。
【0019】
本発明の黒鉛化微細炭素繊維は、透明電極用のフィラー、水素貯蔵用材料として用いることができるが、これに限定されるものではなく、電磁遮蔽、二次電池などの導電付与材や熱伝導性フィラーとしても用いることができる。また、OPC(Organic Photo Conductor)ドラム、プリント基板などの表面に導電性を付与させる材料としても用いることができる。
【0020】
本発明の黒鉛化微細炭素繊維は、樹脂に分散させ分散系導電性プラスチックとして主にペースト化されて、印刷抵抗体、面状発熱体、静電防止塗料、電磁波シールド用塗料、導電性ペーストとして用いることができる。
【0021】
本発明の微細黒鉛化炭素繊維について説明する。本発明の微細黒鉛化炭素繊維の特徴を添付図面(図1〜10)を用いて説明する。これらの図において、模式的にグラフェンシート(黒鉛または黒鉛に近い結晶の層)を実線で表す。先ず、従来の微細炭素繊維は図1または図2の模式断面図に示すように、切断面を有するグラフェンシートの不連続面1あるいはグラフェンシートの連続面を有する閉じた面2、中空構造3を繊維端部に持っている。これに対して本発明の微細黒鉛化炭素繊維は、図3、図4に示す如く、繊維端部に破断面を有するグラフェンシートの不連続面1と、少なくとも1枚以上のグラフェンシートの端部が近接(隣り合うシート、近傍のシートを含む)するグラフェンシートの端部と結合している連続面2を有する気相法で製造された炭素繊維であって、中空構造3をもち、好ましくはBET比表面積が4m2/g以上であり、外径が2〜500nm、アスペクト比1〜50の微細黒鉛化繊維である。破断面は粉砕などによって生成した平面を示す。グラフェンシートの連続性は破断面において断たれ、基底面内の欠損部のエッジ炭素原子、結晶子の境界部のエッジ炭素原子などが現れている。破断面は炭素繊維の中心軸に対して、例えばほぼ直角となっている端面であり、低アスペクト比(1〜50)の繊維においても気相法炭素繊維の中空構造、多層構造(年輪構造)が維持されている。
【0022】
図3では、2箇所のグラフェンシートの連続面を有する閉じた面2を有し、一方の部分(a)は2枚の隣り合ったグラフェンシートが端部で結合している。もう一方の部分(b)では、4枚の隣り合ったグラフェンシートが最外部のグラフェンシート同士の端部で結合し、内部のグラフェンシート同士の端部で結合している。グラフェンシートの不連続面1は、部分(a)に隣接し、中空部3側にある。
【0023】
図4では、グラフェンシート4、6、8、10の4層からなる炭素繊維を示している。グラフェンシート4、6では、グラフェンシート4と6の端部が周囲に渡り、結合した連続面を有する閉じた部分2(a)があり、グラフェンシート8、10では、グラフェンシート8と10の端部が結合した連続面を有する閉じた部分2(b)とグラフェンシート8と10の端部が不連続面を有する1(a)が存在している。
【0024】
図5では、図4の構造を有する炭素繊維を端部方向から見た繊維軸に対して垂直な断面図である。白色部分は連続面2(a)、2(b)、黒色部分は不連続面1(a)、中心部は中空部分、灰色部分はグラフェンシート6と8のシート層間を示している。微細黒鉛化炭素繊維の一端に存在するグラフェンシートの連続面は円周方向に対しても連続的である。しかし、粉砕による欠陥、熱処理温度、炭素以外の不純物成分などの影響により円周方向においても不連続が生ずると考えられる。
【0025】
図6では、グラフェンシート12とその隣にあるグラフェンシート14が端部で結合した一つの連続面部分を有している。
【0026】
図7では、グラフェンシート16とその近傍にあるグラフェンシート22が端部で結合した連続面部分、グラフェンシート18とその隣にあるグラフェンシート20が端部で結合した連続面部分の2つを有している。
【0027】
図8では、グラフェンシート24とその近傍にあるグラフェンシート34が端部で結合した連続面部分、グラフェンシート26とその近傍にあるグラフェンシート32が端部で結合した連続面部分、グラフェンシート28とその隣にあるグラフェンシート30が端部で結合した連続面部分の3つを有している。
【0028】
図9では、微細黒鉛化炭素繊維の全体像であり、繊維の一端は従来と同じ連続面のみを有するが、繊維の他の端部は本願発明の構造を有している。
【0029】
図10では、微細黒鉛化炭素繊維の全体像であり、繊維の両端が本願発明の構造を有している。
一方、破断面と同一面内に存在する連続面とは、熱CVD(Chemical
Vapor Deposition)により積層したグラフェンシートに欠陥が発生し、その規則性が失われ隣接するグラフェンシートと結合したもの、あるいは2000℃以上の高温処理により破断したグラフェンシートの端が他のグラフェンシートの端と再結合しているものを示す。湾曲している箇所のグラフェンシートは1枚以上である。しかし、積層枚数が少ない場合、すなわち湾曲したグラフェンシートの曲率半径が小さい場合、湾曲部の表面エネルギーが大きいため安定的に存在しにくくなる。したがって、湾曲している箇所のグラフェンシートの積層枚数は好ましくは3枚以上、更に好ましくは5枚以上、特に好ましくは5〜10枚である。
【0030】
グラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面が、炭素繊維の外周部に存在する本発明の微細黒鉛化炭素繊維は、繊維端部において、炭素繊維の粉砕により生じた反応活性なダングリングボンドが少なく、電解液などの分解を抑えることができる。
【0031】
また、炭素繊維の端部において、繊維端部に破断面を有するグラフェンシートの不連続面が存在する面積が、グラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面が存在する面積より少ない本発明の微細黒鉛化炭素繊維は、不連続面でのイオンのインターカレーション能力を持ちながら、電解液の分解を抑えることができる。連続面が多ければ多いほど電解液の分解等を抑えることができるが、インターカレーション能力は低下するので、好ましくは炭素繊維端部において、不連続面の面積/連続面の面積の比が1より小さいがよく、更に好ましくは0.8〜0.1がよい。
【0032】
本発明の微細黒鉛化炭素繊維は、例えば、気相法で製造された気相法炭素繊維、好ましくは分岐状炭素繊維(特開2002−266170号公報などに開示している方法で製造)を含む炭素繊維を例えば振動ミルで粉砕した後、不活性雰囲気中2800℃で熱処理することにより得ることができる。
【0033】
本発明に用いた炭素繊維は、一般的には、有機遷移金属化合物を用いて有機化合物を熱分解することにより得ることができる。
【0034】
炭素繊維の原料となる有機化合物は、トルエン、ベンゼン、ナフタレン、エチレン、アセチレン、エタン、天然ガス、一酸化炭素等のガス及びそれらの混合物も可能である。中でもトルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素が好ましい。
【0035】
有機遷移金属化合物は、触媒となる遷移金属を含むものである。遷移金属としては、周期律表第IVa、Va、VIa、VIIa、VIII族の金属を含む有機化合物である。中でもフェロセン、ニッケロセン等の化合物が好ましい。
【0036】
炭素繊維は、上記有機化合物と有機遷移金属化合物を気化して、予め500〜1300℃に加熱した水素などの還元性ガスと混合し、800〜1300℃に加熱した反応炉へ供給し、反応させて得る。
炭素繊維は、X線回折法による炭素六角網平面(002)の面間隔(d002)が0.345nm以上、ラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が1以上である炭素繊維が好ましい。Idは炭素構造の乱れの増加と対応しているブロードなバンド領域であり、Igは完全なグラファイト構造と関連づけられる比較的シャープなバンド領域である。
粉砕の原料としては、熱分解により得られる炭素繊維の表面に付着したタールなどの有機物を除くために900〜1300℃で熱処理した焼成炭素繊維が好ましい。
粉砕方法としては、高速回転ミル、ボールミル、媒体撹拌ミル、ジェット粉砕機などを利用することができる。好ましくは衝撃力を利用した繊維を押し砕く方法による円振動ミル、施動振動ミル、遠心ミルなどの振動ボールミルがよい。粉砕メディアとしては、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素などのセラミックスボールまたはステンレスなどの金属ボールを使用することができる。好ましくは高温熱処理により除去することが可能なステンレスボールがよい。
【0037】
また、水又は/及び有機溶媒の非存在下の乾式粉砕を行うことで、粉砕後の分散剤の除去および溶媒の乾燥、乾燥凝集した繊維の解砕という後処理工程がなく、その後の熱処理(2000〜3500℃)が効率よくできる。
【0038】
粉砕後の微細炭素繊維の欠陥の解消および結晶を発達させるために、微細炭素繊維を不活性雰囲気下で2000〜3500℃で熱処理を行う。さらに結晶を発達させ、導電性を向上させるために、微細炭素繊維に炭化ホウ素(B4C)、酸化ホウ素(B23)、元素状ホウ素、ホウ酸(H3BO3)、ホウ酸塩等のホウ素化合物と混合して不活性雰囲気下で2000〜3500℃で熱処理を行なってもよい。
【0039】
ホウ素化合物の添加量は、用いるホウ素化合物の化学的特性、物理的特性に依存するために限定されないが、例えば炭化ホウ素(B4C)を使用した場合には、粉砕後の微細炭素繊維に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲がよい。本ホウ素化合物との熱処理により、微細黒鉛化炭素繊維の導電性が向上し、炭素の結晶性(層間隔d002)が向上する。
【0040】
使用する熱処理炉は2000℃以上、好ましくは2300℃以上の目的とする温度が保持できる炉であればよく、通常の、アチソン炉、抵抗炉、高周波炉他の何れの装置でもよい。また、場合によっては、粉体または成形体に直接通電して加熱する方法も使用できる。
【0041】
熱処理の雰囲気は非酸化性の雰囲気、好ましくはアルゴン、ヘリウム、ネオン等の1種もしくは2種以上の希ガス雰囲気がよい。熱処理の時間は、生産性の面からは出来るだけ、短い方が好ましい。特に長時間加熱していると、燒結し固まってくるので、製品収率も悪化する。従って、成形体等の中心部の温度が目標温度に達した後、1時間以下の保持時間で十分である。有機遷移金属化合物を用いて有機化合物を熱分解することにより得た炭素繊維は、嵩密度が約0.02g/cm3程度と小さく、これをそのまま熱処理することはプロセツ上で効率が悪く、困難になる場合がある。効率よく熱処理を実施するために、炭素繊維を圧縮し、嵩密度を約0.2g/cm3程度に上げて圧縮粉体を作り、これを熱処理することができる。
【0042】
本発明の微細黒鉛化炭素繊維は電池用電極に添加または導電基材に塗布することで、電池の性能を向上することができる。電池としては、リチウム電池、鉛蓄電池、ポリマー電池、乾電池等の電極板の導電性を向上したり、インターカレーション能力を必要とする電池を挙げることができる。
【0043】
本発明の微細黒鉛化炭素繊維は、導電性が良いので、これらの電池の導電性を高めることができるばかりでなく、リチウム電池では負極用炭素材料として、炭素材料の内部構造、表面構造などが影響するインターカレーション能力が大きいので充放電容量を増加することができる。
【0044】
また、電解液として、プロピレンカーボネート系電解液が充電時に黒鉛によって分解されることが知られているが、本発明の微細黒鉛化炭素繊維は破断面のダングリングボンドを減少させることによって、電解液の分解を抑えることができる。また、エチレンカーボネート系電解液では黒鉛による分解がほとんど起こらないと言われているが、この系においても本発明の微細黒鉛化炭素繊維は電解液の分解をほとんど起こさずに使用できる。
【0045】
電極中への微細黒鉛化炭素繊維の添加量は、0.1質量%以上で20質量%以下の範囲が好ましい、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%がよい。添加量が20質量%より大きくなると電極中の炭素の充填密度が小さくなり、電池にしたときの充放電容量が低下する。また、0.1質量%より少なくなると添加効果が少ない。
【0046】
本発明の微細黒鉛化炭素繊維を添加して電極とするには、例えばリチウム電池の負極は、黒鉛粉末やメソフューズカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維黒鉛化品等が用いられるが、これに微細黒鉛化炭素繊維及びバインダーを添加し、充分に混練して繊維ができるだけ均一に分散するようにして行う。
【0047】
【実施例】
以下、本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものでない。
【0048】
なお、分岐状繊維含有量(質量%)は、透過電子顕微鏡(TEM)による炭素繊維の断面写真において、炭素繊維の断面積合計に対する分岐状炭素繊維の断面積の割合を求め、比重を同じとして質量%とした。
(実施例1)
平均直径が180nm、平均長さが10,000nm、アスペクト比が556で分岐状気相法炭素繊維を30質量%含まれた黒鉛化されていない焼成気相法炭素繊維(アルゴン雰囲気中1200℃、1時間処理)60gと直径10mmのステンレス製ボールを内容積2000cm3のステンレス製容器に入れ、中央化工機製振動ミル(MB1型振動ミル)により10分粉砕処理を行った。その後、アルゴンガス雰囲気中で温度2800℃で1時間熱処理を行った。この粉砕、黒鉛化した炭素繊維を走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察、写真を観察した後、炭素繊維の長さをノギスで1000本分測定し、長さ分布を求めた。また、嵩密度、0.8g/cm3に圧密したときの圧密比抵抗、灰分を測定した。
結果として平均直径が180nm、平均長さ3420nm、アスペクト比が19である微細黒鉛化炭素繊維を得ることができた。このときの標準偏差は11であった。
この粉砕した後、黒鉛化した炭素繊維の嵩密度は0.24g/cm3、圧密比抵抗は0.16Ω・cm、灰分は0.04質量%であった。
(実施例2)
平均直径が180nm、平均長さが10,000nm、アスペクト比が556で分岐状気相法炭素繊維を30質量%含まれた黒鉛化されていない焼成気相法炭素繊維(アルゴン雰囲気中1200℃、1時間処理)60gと直径10mmのステンレス製ボールを内容積2000cm3のステンレス製容器に入れ、中央化工機製振動ミル(MB1型振動ミル)により40分粉砕処理を行った。その後、アルゴンガス雰囲気中で温度2800℃で1時間熱処理を行った。この粉砕、黒鉛化した炭素繊維を走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察、写真を観察した後、炭素繊維の長さをノギスで1000本分測定し、長さ分布を求めた。また、嵩密度、0.8g/cm3に圧密したときの圧密比抵抗、灰分を測定した。結果として平均直径が180nm、平均長さ1260nm、アスペクト比が7である微細黒鉛化炭素繊維を得ることができた。このときの標準偏差は3であった。
この粉砕した後、黒鉛化した炭素繊維の嵩密度は0.44g/cm3、圧密比抵抗は0.27Ω・cm、灰分は0.05質量%であった。
(実施例3)
平均直径が180nm、平均長さが10,000nm、アスペクト比が556で分岐状気相法炭素繊維を30質量%含まれた黒鉛化されていない焼成気相法炭素繊維(アルゴン雰囲気中1200℃、1時間処理)60gと直径10mmのステンレス製ボールを内容積2000cm3のステンレス製容器に入れ、中央化工機製振動ミル(MB1型振動ミル)により130分粉砕処理を行った。その後、アルゴンガス雰囲気中で温度2800℃で1時間熱処理を行った。この粉砕、黒鉛化した炭素繊維を走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察、写真を観察した後、炭素繊維の長さをノギスで1000本分測定し、長さ分布を求めた。また、嵩密度、0.8g/cm3に圧密したときの圧密比抵抗、灰分を測定した。
結果として平均直径が180nm、平均長さ540nm、アスペクト比が3である微細黒鉛化炭素繊維を得ることができた。このときの標準偏差は1であった。この粉砕した後、黒鉛化した炭素繊維の嵩密度は0.57g/cm3、圧密比抵抗は0.28Ω・cm、灰分は0.06質量%であった。
(実施例4)
平均直径が180nm、平均長さが10,000nm、アスペクト比が556で分岐状気相法炭素繊維を30質量%含まれた黒鉛化されていない焼成気相法炭素繊維(アルゴン雰囲気中1200℃、1時間処理)60gと直径10mmのステンレス製ボールを内容積2000cm3のステンレス製容器に入れ、中央化工機製振動ミル(MB1型振動ミル)により40分粉砕処理を行った。その後、粉砕した炭素繊維に炭化ホウ素を2質量%混合してアルゴンガス雰囲気中で温度2800℃で1時間熱処理を行った。この粉砕、黒鉛化した炭素繊維を走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察、写真を観察した後、炭素繊維の長さをノギスで1000本分測定し、長さ分布を求めた。また、嵩密度、0.8g/cm3に圧密したときの圧密比抵抗、灰分を測定した。
結果として平均直径が180nm、平均長さ1260nm、アスペクト比が7である微細炭素繊維を得ることができた。このときの標準偏差は3であった。
この粉砕した後、ホウ素化合物を添加し黒鉛化した炭素繊維の嵩密度は0.44g/cm3、圧密比抵抗は0.17Ω・cm、灰分は0.20質量%であった。
(比較例1)
平均直径が180nm、平均長さが10,000nm、アスペクト比が556で分岐状気相法炭素繊維を30質量%含まれた黒鉛化気相法炭素繊維(アルゴン雰囲気中2800℃、1時間処理)60gと直径10mmのステンレス製ボールを内容積2000cm3のステンレス製容器に入れ、中央化工機製振動ミル(MB1型振動ミル)により90分粉砕処理を行った。この粉砕した黒鉛化炭素繊維を走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察、写真を観察した後、炭素繊維の長さをノギスで1000本分測定し、長さ分布を求めた。また、嵩密度、0.8g/cm3に圧密したときの圧密比抵抗、灰分を測定した。
結果として平均直径が180nm、平均長さ1800nm、アスペクト比が10である微細黒鉛化炭素繊維を得ることができた。このときの標準偏差は4であった。
この粉砕した黒鉛化炭素繊維の嵩密度は0.35g/cm3、圧密比抵抗は0.56Ω・cm、灰分は1.50質量%であった。
【0049】
【表1】
Figure 0004376564
【0050】
焼成気相成長炭素繊維を振動ミルで粉砕した後黒鉛化処理したものは、粉砕により導入された破断面、繊維表面および内部欠陥が高温熱処理により緩和・再配列されている。また、粉砕後に熱処理を行うことにより微細黒鉛化炭素繊維中の不純物濃度を低く抑えることができる。
粉砕後、ホウ素化合物を添加し黒鉛化処理したものは結晶がより発達し、ホウ素化合物無添加黒鉛化品に比べ圧密比抵抗を下げることができた。
黒鉛化気相成長炭素繊維を振動ミルにより粉砕したものは、粉砕により結晶構造に欠陥が導入され、繊維間の接触抵抗が増大したために圧密比抵抗値の増加が見られた。また、粉砕メディアの摩耗による不純物(灰分)が多く存在した。
(実施例5)
焼成気相成長炭素繊維を40分振動ミル粉砕した後、不活性雰囲気中で温度2800℃で1時間熱処理した実施例2の炭素繊維とフェノール樹脂を40:60に混合したときの粘度(25℃;センチポアズ(cPまたはmPa・s)を粘度計でJIS K 7117に準拠して測定した。その結果を表2に示した。
(実施例6)
焼成気相成長炭素繊維を40分振動ミル粉砕した後、炭化ホウ素を2質量%添加して不活性雰囲気中で温度2800℃で1時間熱処理した実施例4の炭素繊維とフェノール樹脂を40:60に混合したときの粘度(25℃;センチポアズ(cPまたはmPa・s)を粘度計でJIS K 7117に準拠して測定した。その結果を表2に示した。
(比較例2)
黒鉛化気相成長炭素繊維を90分振動ミル粉砕で粉砕した比較例1の炭素繊維とフェノール樹脂を40:60に混合したときの粘度(25℃;センチポアズ(cPまたはmPa・s)を粘度計でJIS K 7117に準拠して測定した。その結果を表2に示した。
【0051】
【表2】
Figure 0004376564
【0052】
樹脂にフィラーを混合した場合、焼成気相成長炭素繊維を粉砕した後、黒鉛化処理をしたものの方が黒鉛化気相成長炭素繊維を粉砕したものよりもコンパウンドの粘度は1/2以下に低下した。また、炭化ホウ素を添加して黒鉛化したものの方がより取り扱い性の改善が認められた。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の微細炭素繊維の構造を示した繊維端部の模式断面図である。
【図2】従来の微細炭素繊維の構造を示した繊維端部の模式断面図である。
【図3】本発明の微細黒鉛化炭素繊維の構造を説明するための繊維端部の模式断面図である。
【図4】本発明の微細黒鉛化炭素繊維の構造を説明するための繊維端部の模式断面図である。
【図5】本発明の微細黒鉛化炭素繊維の構造(図4)を端部方向から見た説明図である。
【図6】本発明の微細黒鉛化炭素繊維の構造を説明するための繊維端部の模式断面図である。
【図7】本発明の微細黒鉛化炭素繊維の構造を説明するための繊維端部の模式断面図である。
【図8】本発明の微細黒鉛化炭素繊維の構造を説明するための繊維端部の模式断面図である。
【図9】本発明の微細黒鉛化炭素繊維の構造を説明するための繊維全体像の断面図である。
【図10】本発明の微細黒鉛化炭素繊維の構造を説明するための繊維全体像の断面図である。
【符号の説明】
1 切断面を有するグラフェンシートの不連続面
2 湾曲部を有するグラフェンシートの連続面
3 中空構造
4、6、8、10、12、16、18、20、22、24、26、28、3032、34 グラフェンシート

Claims (18)

  1. 炭素繊維が、中心軸に中空構造を持つ多層構造で、近接するグラフェンシート同士が端面で結合していないグラフェンシートの不連続面と、少なくとも1枚以上のグラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面を有し、前記グラフェンシートの不連続面は破断面であって、炭素繊維端面に露出していることを特徴とする微細黒鉛化炭素繊維。
  2. グラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面が、3枚以上のグラフェンシートが積層した湾曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の微細黒鉛化炭素繊維。
  3. グラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面が、炭素繊維の外周部に存在することを特徴とする請求項1または2に記載の微細黒鉛化炭素繊維。
  4. 炭素繊維の端部において、繊維端部に破断面を有するグラフェンシートの不連続面が存在する面積が、グラフェンシートの端部が近接するグラフェンシートの端部と結合している連続面が存在する面積より少ないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維。
  5. BET比表面積が4m2/g以上で、外径2〜500nm、アスペクト比1〜50であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維。
  6. 結晶内あるいは結晶表面にホウ素またはホウ素化合物を含有し、ラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が0.1〜1である請求項1乃至5のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維。
  7. ホウ素(ボロン、B)を炭素繊維の結晶内に0.01〜5質量%含有する請求項に記載の微細黒鉛化炭素繊維。
  8. X線回折法による炭素六角網平面(002)の面間隔(d002)が0.345nm以上、ラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が1以上である炭素繊維を粉砕処理し、不活性ガス雰囲気下で温度2000〜3000℃で該炭素繊維を熱処理することにより請求項1乃至のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を製造する方法。
  9. 炭化水素を熱分解して得られた気相法炭素繊維、または、該気相法炭素繊維を不活性ガス雰囲気下で温度600〜1300℃で熱処理した気相法炭素繊維を粉砕した後、不活性ガス雰囲気下で温度2000〜3000℃で熱処理することを特徴とする請求項1乃至のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を製造する方法。
  10. 粉砕方法が、衝撃力を利用した衝撃粉砕であって、水または/及び有機溶媒の非存在下で行う乾式粉砕であることを特徴とする請求項8または9記載の微細黒鉛化炭素繊維を製造する方法。
  11. 気相法炭素繊維が、分岐状気相法炭素繊維を含む炭素繊維であって、外径2〜500nm、アスペクト比10〜15000であることを特徴とする請求項9または10に記載の微細黒鉛化炭素繊維の製造方法。
  12. 不活性ガス雰囲気下で温度2000〜3000℃で熱処理する工程において、ホウ素化合物を添加して熱処理することを特徴とする請求項8乃至11のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維の製造方法。
  13. 炭素繊維全量に対して、請求項1乃至のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を5体積%〜90体積%含む微細黒鉛化炭素繊維混合物。
  14. 請求項1乃至のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を含む微細黒鉛化炭素繊維組成物。
  15. 微細黒鉛化炭素繊維組成物が、樹脂組成物であって、請求項1乃至のいずれかひとつに記載の微細黒鉛化炭素繊維を5〜90質量%含む微細黒鉛化炭素繊維組成物。
  16. 請求項14または15に記載の微細黒鉛化炭素繊維組成物を用いた導電性材料。
  17. 請求項14または15に記載の微細黒鉛化炭素繊維組成物を電極材料に用いた二次電池。
  18. 請求項14または15に記載の微細黒鉛化炭素繊維組成物を用いたガス吸蔵材料。
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