JP4375948B2 - ナノSiC焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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正和 川原
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はナノSiC焼結体及びその製造方法に関し、詳細には、炭化珪素(以下SiC)の粉末粒子の平均粒径が0.1ミクロン(100nm)以下のナノ粒子からなり、そのナノ粒子の粒成長を抑制させた状態で比較的低温で焼結し、焼結後のSiCの粒子径が100nm以下であるナノ構造にした焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、粒子径が0.1ミクロン未満のナノ構造を有する焼結体の開発が進み、母材として炭化珪素(以下SiC)を使用したナノSiC焼結体の研究も行われている。
ところで、ナノ構造の焼結体を得るには出発材料である素材粉末の粒子の粒径を0.1ミクロン(100nm)以下にする必要があるが、このような超微細な粒子を得ることは必ずしも容易ではなく、また、焼結に際しても出発材料の種類或いは粒径により焼結条件が種々異なり、単に従来の焼結法による熱処理、加圧条件では焼結体の粒子が数百nmないし数ミクロンの粒子径までに粒成長してしまうため、上記のようなナノ粒子径を維持した状態で焼結できない。
【0003】
本発明者等は、アルミナ(Al23)、イットリア(Y23)、ボロン(B)等の焼結助剤を含まない、ナノ構造を有するSiC焼結体の製造について鋭意研究を重ねた結果、ある特定の条件下で放電プラズマ焼結法に代表されるパルス通電加圧焼結法(放電プラズマ焼結法、プラズマ活性化焼結法或いは放電焼結法等を総称してこのように呼ぶ)を用いて焼結することによって比較的低温で焼結時の粒成長を抑制して超微細な粒子結晶構造を保持した焼結体を得ることが可能であることを見出した。また、パルス通電加圧焼結法に適したSiCの超微粒粉末を得るのに、遊星式ボールミルを使用したメカニカルアロイング法により珪素Si及び固形炭素C又は炭化水素物を合成処理することにより、適度な歪エネルギを有しかつナノSiC焼結体を得るためにパルス通電加圧焼結法に適した粒径及び性質を有するSiC粉末を得ることができることを見出した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、ナノ構造を有するSiC焼結体及びそのような焼結体を製造する新規な製造方法を提供することである。
本発明が解決しようとする他の課題は、パルス通電加圧焼結法を使用して、特定の条件下で焼結することにより緻密なナノ構造或いは多孔質のナノ構造を有するSiC焼結体を製造する方法及びそのようなナノ構造を有する焼結体を提供することである。
本発明が解決しようとする別の課題は、遊星式ボールミルを利用したメカニカルアロイング法により、パルス通電加圧焼結を用いナノ構造の焼結体を焼結するのに適したSiCの粉末をつくり、その粉末をパルス通電加圧焼結するナノSiC焼結体の製造方法及びその方法により製造された焼結体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願の一つの発明は、ナノSiC焼結体の製造方法において、
50nm以下の平均粒径を有するSiC粒子及び不可避不純物から成る粉末を得る工程と、
前記SiC及び不可避不純物から成る粉末を所望量所望の焼結型内に充填する工程と、
前記焼結型内に充填された粉末をパルス通電加圧焼結法にて焼結する工程と、を備え、前記焼結を、
焼結圧力10MPaないし100MPaの範囲内の加圧下で、100℃/分ないし300℃/分の範囲内の昇温速度で、かつ1600℃ないし2000℃の範囲内の焼結温度に昇温させて行うことにより相対密度60%ないし99%のナノSiC焼結体を得ることに特徴を有する。
上記において、SiC粒子及び不可避不純物から成る粉末の平均粒径を50nm以下としたのは、パルス通電加圧焼結法で粒成長を最小限度に抑制して焼結体結晶組成の平均粒径が100nm以下のナノ構造焼結体を得るためには、50nm以下である必要があり、それを超えると焼結後の結晶組織が100nmを超えてしまうからである。また、焼結圧力を10MPaないし100MPaの範囲内としたのは、10MPa未満では未焼結となり、緻密度が上がらず密度60%以下となって粒子間の結合力も弱く、容易に崩れてしまい、多孔体としても緻密体としても実用に不適だからであり、100MPaを超えると高密度焼結体は得られるが、パルス通電加圧焼結法を用いるグラファイト製焼結型の耐久性(圧縮・引張り強度)を超えてしまい焼結型の破壊を引き起こし、使用できなくなるからである。
また、昇温速度を100℃/分ないし300℃/分の範囲内としたのは、100℃/分未満では直流パルス通電法の急速昇温効果による粒成長抑制や高速物質移動を促進する電界拡散効果などが減ぜられ、短時間焼結によるナノ構造維持や強固な粒間結合ができなくなるからであり、300℃/分を超えると印加した直流パルス電流が局所的に集中し、偏熱効果が助長され、焼結体の焼結状態のばらつきが大きくなるからである。また、高電流密度となるため、パルス通電装置の水冷流路を内蔵する通電パンチ電極本体、先端部構造体(冷却盤及び保護カバー)、グラファイト型への負荷が過大となり、装置の局部溶解、破損、装置劣化を生じせしめ、寿命を損なうからである。
更に、焼結温度を1600℃ないし2000℃の範囲としたのは、1600℃未満では焼結温度不足による未焼結状態で緻密度が上がらず粒間結合も十分行えず、もろく崩れ易く、実用できないからであり、2000℃を超えると過焼結状態となり、粒成長が100nm以上数ミクロン(μ)と過大となり、ナノ構造焼結体を維持できず、また機械的性質も劣化し実用に供しないからである。
【0006】
上記発明の好ましい実施形態として、前記焼結温度に昇温した後、その焼結温度を所望の保持時間の間保持した後降温させてもよく、この場合、前記保持時間が0.5分ないし10分であってもよく、前記焼結温度が1700℃ないし2000℃の範囲内であってもよい。
また、上記発明の好ましい実施形態として前記焼結温度に昇温した後、直ぐに降温させてもよく、前記焼結温度を1600℃ないし1750℃の範囲内としてもよい。
更に、上記発明の別の実施形態として、前記SiC及び不可避不純物から成る粉末を得る工程が、
所望の粒径のSiの粉末、所望の粒径のCの粉末及び不可避不純物から成る粉末を、遊星式ボールミルを使用したメカニカルアロイング法で、モル比Si:C=1:1で粉砕混合し、平均粒径が50nm以下のSiC粉末を得るようになっていてもよい。
なお、ここで言う焼結温度とは、放電プラズマ焼結法などのパルス通電加圧焼結法で一般に常用されている焼結温度のことで、グラファイト製焼結型の表面を、例えば赤外線放射型温度計などで非接触測定法で測定した温度である。
【0007】
本願の別の発明は、上記のいずれかに記載の方法により製造されたナノSiC焼結体であって、相対密度が90%以上で、焼結体の粒子径が100nm以下である緻密なナノ構造を有する焼結体に特徴を有する。
本願の更に別の発明は、上記いずれかに記載の方法により製造されたナノSiC焼結体であって、相対密度が60%ないし85%で焼結体の粒子径が50nm以下である多孔質ナノ構造を有する焼結体に特徴を有する。
【0008】
【実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について図面を参照して説明する。
本発明によるナノSiC焼結体の製造方法は、前述のように、
50nm以下の平均粒径を有するSiC粒子及び不可避不純物から成るSiC粉末を得る工程と、
前記SiC及び不可避不純物粉末を所望量所望の焼結型内に充填する工程と、
前記焼結型内に充填された粉末を通電加圧焼結法にて焼結する工程と、
を備え、焼結圧力10MPaないし100MPaの範囲内の加圧下で、100℃/分ないし300℃/分の範囲内の昇温速度で、かつ1600℃ないし2000℃の範囲内の焼結温度に昇温させて行うようにしている。
そこで、まず50nm以下のSiC粉末を得る方法の実施例について説明する。
SiCの原料として、所望の平均粒径、例えば1μm、純度99.9%以上、例えば99.9%の珪素Siの粉末と、所望の平均粒径、例えば80nmの固形炭素Cとを用意する。本発明の実施例ではこのような原料粉末をメカニカルアロイング法によりSiCの微細な粉末にする。
そこで、メカニカルアロイングを行うミリング装置として、図1に示されるような原理的構造を有する公知の構造(例えば、フリッチェ社製の遊星式ボールミル型式(P−5))のものを使用する。該遊星式ボールミル1は、ポット2がジルコニア製で250mlの容量を有し、ボール3が同じくジルコニア製で300gの重量(直径10mm)を有する、構造のものである。
【0009】
上記のような仕様を有する遊星式ボールミルに、上記Si粉末、固形炭素C粉末及び不可避不純物から成る原料粉末を所望量、例えば7.5g(モル比 C/Si=1)を装填する。この場合のボール対粉末の重量比は40:1である。この原料粉末を、遊星式ボールミルの回転体を所望の回転速度、例えば300r.p.m.で回転させて原料粉末のミリングを行う。このように遊星式ボールミルを使用して機械的にSi粉末とCの粉末とを粉砕し混ぜ合わせることにより、平均粒径が30nm或いはそれ以下の超微細なSiCの粉末を製造でき、この超微細なSiC粒子の表面エネルギ(歪エネルギ)は大きくなっていて、低温での焼結を可能とするものと考えられる。すなわち、遊星式ボールミルによるメカニカルアロイングによりSiの粒子及びCの粒子が超微粒の粉末に粉砕される際に粉末の粒子には粉砕による歪みエネルギが蓄積され、パルス通電加圧焼結法に適したある種の不安定状態の出発原料粉末となり、また粒子が上記のような超微粒になると粒子同士が結合し易くなり、SiCの粒子に合成されていくものと考えられる。
【0010】
このような遊星式ボールミルによるメカニカルアロイングを行う過程において、乾式下でミリング時間を1時間、3時間、6時間、等種々変えて得られた粉末に付いてX線回折解析装置(XRD)で調べた結果、ミリング時間が12時間を超えれば、図3に示されるX線回折解析パターンから明らかなように、Siのピークが消えて全てSiCに合成され、平均粒径が所望の値(この実施例の場合)10〜30nmのSiCの粉末が得られることがわかった。また、ミリング時間が24時間を超えてもSiCの粉末の粒径をそれより小さくすることが不可能であることも分かった。更に得られたSiC粉末中にはフリーSiを含んでいないこともわかった。もちろん、上記ミリング時間は、ボール対粉末の重量比及び/又はボールミルのボールの回転速度などによる投入エネルギ量が上記値と異なる場合には異なってくる。ボール対粉末の重量比は30:1ないし50:1の範囲が好ましく、またボールミルの回転数も200r.p.m.ないし500r.p.m.の範囲が好ましい。図8は上記Siの粉末、Cの粉末及び不可避不純物を含む原料粉末のメカニカルアロイング後、凝集しているが平均粒径が50nm以下の合成されたナノSiC原料粉末の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
【0011】
上記のようにして得られた、フリーSiを含まない平均粒径が10nmないし30nmのSiC粉末pを、図2に示されるようなグラファイト製の筒状の焼結型aの中で、同じくグラファイト製の下パンチbの上に充填し、焼結型の上部には上からグラファイト製の上パンチcを挿入してセットする。このようにセットした焼結型を、パルス通電加圧焼結法の一種である放電プラズマ焼結機(例えば住友石炭鉱業製のDR.SINTER SPS−1050)に装填し、真空雰囲気下で所望の直流パルス電流を流して、焼結体の寸法によって異なるが、例えば下記のような焼結条件で焼結を行う。
焼結条件
焼結電流 : 1500(A)ないし8000(A)
焼結電圧 : 2(V)ないし12(V)
昇温速度 : 100℃/分(min)ないし300℃/分(min)
焼結温度 : 1600℃ないし2000℃
焼結圧力 : 10MPaないし100MPa
保持時間 : 0ないし10分(min)
【0012】
焼結助剤を含まない、気相法で得られた30nmオーダーの超微粒SiC粉末を放電プラズマ焼結法で焼結した場合、高密度の焼結体を得るためには2300℃ないし2400℃の焼結温度が必要であり、また、アルミナ、イットリア或いはボロンなどの焼結助剤を添加したサブミクロンのSiCの粉末をホットプレス法、熱間等方加圧焼結法(HIP法)、常圧焼結法等の通常の従来焼結法で焼結する場合、高密度の焼結体を得るには1900℃ないし2100℃の焼結温度が必要であり、更に、同様な焼結助剤を用いて放電プラズマ焼結法で相対密度が96%以上の焼結体にするには前述の二つの場合より低い1700℃以上の焼結温度でよいが、焼結体の粒子が大きく粒成長してしまうため、本発明が意図しているナノ構造の焼結体を得ることは不可能である。
これに対して、前述のようにメカニカルアロイングにより得られた超微粒のSiC粉末を上記のような条件により放電プラズマ焼結法により焼結することにより、上記のような方法に比較して低い焼結温度で、焼結時に原料粉末の粒成長を抑制させてナノ粒子構造を有する焼結体を得ることが可能となる。しかも、その焼結条件にしたがって、緻密でナノ構造(SiC粒子が殆ど粒成長せずに焼結前の粒径にほぼ等しい粒径を保った状態の構造)を有する焼結体、或いは、多孔質のナノ構造(したがって、焼結体内の孔径が10nmないし数百nmで相対密度が60%ないし85%の微細な構造)を有する多孔質焼結体を得ることができる。更に、SiC粉末の大きさや性質、例えば粒径や組成を変えることなく焼結条件を上記の範囲内で変えるだけで上記のような所望の緻密質或いは多孔質の焼結体を得ることができる。
このようにナノ構造の焼結体が1700℃程度の極めて低い焼結温度範囲で放電プラズマ焼結によって得られる理由は必ずしも明らかでないが、メカニカルアロイングで創製されたナノ粒子のSiCを放電プラズマ焼結法で焼結すると、グラファイト型中に充填された超微粒SiCは機械的加圧力とパルス通電による粉体粒子間のミクロな放電現象によって生じる局所的な衝撃圧力、振動などで粒子の再配列及び塑性流動を起こしつつ粒間結合が進行する。また急速昇温効果により粉末原料のナノ粒子の粒成長は抑制され、更に放電プラズマ熱の発生、ジュール熱による熱拡散効果、電磁場による電界拡散効果により粒子間での結合促進が行われるためと考えられる。
【0013】
【実施例1】
上記メカニカルアロイング方法によって得られた、フリーSiを含まない平均粒径30nmのSiC粉末7gを、外径40mm、内径20.4mm、軸方向長さ40mmを有するグラファイト製の焼結型及び外径20mm、軸方向長さ30mmを有するグラファイト製の上、下パンチを使用して、上記放電プラズマ焼結機により、下記の焼結条件で焼結した。
焼結条件 昇温速度 : 213℃/min
焼結温度 : 1700℃
焼結圧力 : 40MPa
保持時間 : 0min
このような焼結条件で焼結して得られた焼結体の物理的性質は下記の表1の実施例1の欄に示される通りである。
【0014】
【実施例2】
実施例1と同じSiC粉末7gを、実施例1と同じ寸法及び構造を有する焼結型及び上、下パンチを使用して、上記放電プラズマ焼結機により、下記の焼結条件で焼結した。
焼結条件 昇温速度 : 213℃/min
焼結温度 : 1700℃
焼結圧力 : 40MPa
保持時間 : 10min
このような焼結条件で焼結して得られた焼結体の物理的性質は下記の表1の実施例2の欄に示される通りである。
【0015】
【実施例3】
実施例1と同じSiC粉末7gを、実施例1と同じ寸法及び構造を有する焼結型及び上、下パンチを使用して、上記放電プラズマ焼結機により、下記の焼結条件で焼結した。
焼結条件 昇温速度 : 225℃/min
焼結温度 : 1800℃
焼結圧力 : 40MPa
保持時間 : 0min
このような焼結条件で焼結して得られた焼結体の物理的性質は下記の表1の実施例3の欄に示される通りである。
【0016】
【実施例4】
実施例1と同じSiC粉末7gを、実施例1と同じ寸法及び構造を有する焼結型及び上、下パンチを使用して、上記放電プラズマ焼結機により、下記の焼結条件で焼結した。
焼結条件 昇温速度 : 225℃/min
焼結温度 : 1800℃
焼結圧力 : 40MPa
保持時間 : 10min
このような焼結条件で焼結して得られた焼結体の物理的性質は下記の表1の実施例4の欄に示される通りである。
【0017】
【実施例5】
実施例1と同じSiC粉末7gを、実施例1と同じ寸法及び構造を有する焼結型及び上、下パンチを使用して、上記放電プラズマ焼結機により、下記の焼結条件で焼結した。
焼結条件 昇温速度 : 238℃/min
焼結温度 : 1900℃
焼結圧力 : 40MPa
保持時間 : 0min
このような焼結条件で焼結して得られた焼結体の物理的性質は下記の表1の実施例5の欄に示される通りである。
【表1】
Figure 0004375948
【0018】
上記実施例を含めた本発明の方法により保持時間を変えて焼結したナノSiC焼結体について、焼結温度と相対密度との関係をグラフで示せば図4に示されるようになる。
上記表1及び図4からも明らかなように、同じ原料粉末を使用して焼結しても、上記焼結条件を変えることで、例えば、相対密度が62.5%の多孔質のSiC焼結体を得ることも、また相対密度が97.7%の緻密なSiC焼結体を得ることもできる。しかも緻密な焼結体及び多孔質焼結体の組織を顕微鏡で観察した結果、原料粉末の粒子は成長が抑えられて、焼結体の粒子の粒径が10nmないし100nmの微細ナノ構造を有し、また孔径は10nmないし数百nmであることがわかった。
このようにして得られたナノSiC焼結体は、高耐熱性、耐食性、高強度、耐摩耗性、高弾性率及び良好な熱伝導性を有するので、高温構造材料、メカニカルシール、軸受け等の材料として使用するのに適している。更に多孔質の性質を利用することにより、高温の製品等を扱う真空吸着装置の吸着部材用の部材、自動車用摩擦材料或いは耐食性を有する超微細なフィルタ等に利用可能である。
【0019】
また、上記実施例で得られた焼結体についての相対密度とビッカース硬さとの関係は図5に、相対密度と曲げ強度との関係は図6に、相対密度と弾性率との関係は図7に示される。また、図9は実施例1の焼結体の走査型或いは透過型電子顕微鏡(SEM或いはTEM)写真であって、[A]は30000倍の写真で、[B]は200000倍の写真であり、図10は実施例2の焼結体の透過型電子顕微鏡(TEM)による写真200000倍の写真であり、図11は実施例5の焼結体の走査型電子顕微鏡(SEM)による200000倍の写真である。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば次のような効果を奏することが可能である。
(イ)材料粉末を変えることなく焼結条件を変えるだけで緻密なナノ構造又は多孔質なナノ構造を有するSiC焼結体を得ることができる。
(ロ)高耐熱性、耐食性及び耐摩耗性を有し高弾性率で高い強度を有しかつ良好な熱伝導性を有するSiC焼結体を得ることができる。
(ハ)短時間のメカニカルアロイングでパルス通電加圧焼結法に適したナノSiC粉末ができ、かつ低温、短時間焼結で緻密なナノSiC焼結体を得ることができるため、生産性の向上、低コスト化を図ることが容易である。
(ニ)低温、短時間で結合強度の高い(耐久性のある)多孔質ナノSiC結晶体が得られるため、生産性向上、低コスト化を図ることが容易である。
(ホ)放電加工法(ワイヤカット放電加工機、型彫放電加工機)により容易に任意の輪郭・3次元形状付与が可能な、導電性を有する高純度SiC焼結体を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 遊星式ボールミルの概略構成図である。
【図2】 焼結型及びパンチを示す図である。
【図3】 メカニカルアロイングにより粉砕混合してつくったSiC粉末中におけるSi及びSiC粉末のX線回折解析パターンを示す図である。
【図4】 本発明による製造方法により製造されるSiC焼結体の焼結温度と相対密度との関係を示す図である。
【図5】 本発明による製造方法により製造されたSiC焼結体の相対密度とビッカース硬度との関係を示すグラフである。
【図6】 本発明による製造方法により製造されたSiC焼結体の相対密度と曲げ強度との関係を示すグラフである。
【図7】 本発明による製造方法により製造されたSiC焼結体の相対密度と弾性係数との関係を示すグラフである。
【図8】 上記Siの粉末、Cの粉末及び不可避不純物を含む粉末のメカニカルアロイング後の粉末の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
【図9】 実施例1の焼結体の走査型或いは透過型電子顕微鏡(SEM或いはTEM)写真であって、[A]は30000倍の写真であり、[B]は200000倍の写真である。
【図10】 実施例2の焼結体の透過型電子顕微鏡(TEM)による200000倍の写真である。
【図11】 実施例5の焼結体の走査型電子顕微鏡(SEM)による200000倍の写真である。

Claims (14)

  1. ナノSiC粉末の製造方法において、前記方法が
    50nm以下の平均粒径を有するSiC粒子及び不可避不純物から成る粉末を得る工程を含み、
    前記工程が、所望の粒径のSiの粉末、所望の粒径のCの粉末及び不可避不純物から成る粉末を、遊星式ボールミルを使用したメカニカルアロイング法で、粉砕混合し、平均粒径が50nm以下のSiC粉末であって、前記SiC粉末のX線回折解析パターンは、20度から40度の間においてSiCのピークが1個であり、40度から80度の間においてSiCのピークが2個であるSiC粉末を得る、ことを特徴とするナノSiC粉末の製造方法。
  2. 請求項1に記載のナノSiC粉末の製造方法において、
    前記遊星式ボールミルの回転数は200rpm〜500rpmであることを特徴とするナノSiC粉末の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のナノSiC粉末の製造方法において、
    前記遊星式ボールミルで用いられるボールの重量と前記混合粉末の重量との比が30:1〜50:1であることを特徴とするナノSiC粉末の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のナノSiC粉末の製造方法において、
    前記粉砕混合する時間が12時間以上であることを特徴とするナノSiC粉末の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のナノSiC粉末の製造方法において、
    前記Siの粉末と前記Cの粉末とのモル比が、1:1であることを特徴とするナノSiC粉末の製造方法。
  6. ナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法において、
    請求項1ないし5のいずれかに記載のナノSiC粉末の製造方法に従って、50nm以下の平均粒径を有するSiC粒子及び不可避不純物から成る粉末を得る工程と、
    前記SiC粒子及び不可避不純物から成る粉末を所望量所望の焼結型内に充填する工程と、
    前記焼結型内に充填された粉末をパルス通電加圧焼結法にて焼結する工程と、を備え、前記焼結を、
    焼結圧力10MPaないし100MPaの範囲内の加圧下で、100℃/分ないし300℃/分の範囲内の昇温速度で、かつ1600℃ないし2000℃の範囲内の焼結温度に昇温させて行うことにより相対密度60%ないし99%のナノ構造を有するSiC焼結体を得る、ことを特徴とするナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法。
  7. 請求項に記載のナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法において、
    前記焼結温度に昇温した後、その焼結温度を所望の保持時間の間保持した後降温させることを特徴とするナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法。
  8. 請求項に記載のナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法において、
    前記保持時間が0.5分ないし10分であることを特徴とするナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法。
  9. 請求項6ないし8のいずれかに記載のナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法において、
    前記焼結温度が1700℃ないし2000℃の範囲内であることを特徴とするナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法。
  10. 請求項に記載のナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法において、
    前記焼結温度に昇温した後、直ぐに降温させることを特徴とするナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法。
  11. 請求項6または10に記載のナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法において、
    前記焼結温度が1600℃ないし1750℃の範囲内であることを特徴とするナノ構造を有するSiC焼結体の製造方法。
  12. 請求項6ないし9のいずれかに記載の方法により製造されたナノ構造を有するSiC焼結体であって、Siと、Cと、不可避不純物とから成り、相対密度が90%以上で、焼結体の粒子径が100nm以下である緻密なナノ構造を有する焼結体。
  13. 請求項6、10、及び11のいずれかに記載の方法により製造されたナノ構造を有するSiC焼結体であって、Siと、Cと、不可避不純物とから成り、相対密度が60%ないし85%で焼結体の粒子径が50nm以下である多孔質ナノ構造を有する焼結体。
  14. 請求項1ないし5のいずれかに記載の方法により製造されたナノSiC粉末であって、平均粒径が50nm以下であって、前記SiC粉末のX線回折解析パターンは、20度から40度の間においてSiCのピークが1個であり、40度から80度の間においてSiCのピークが2個であるナノSiC粉末。
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