JP4375876B2 - 折り曲げ可能な回路基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器などの回路に用いられる、折り曲げ可能な回路基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器は例えば携帯電話に代表されるように、小型、高機能化が進められ、部品自身の小型化が行われ、それに伴い、回路基板上の配線密度の向上が図られている。このため、回路基板は多層化、微細配線化が行われ、より高密度な実装を可能にする形状へと進行している。また、最終製品の多様化に伴って回路基板にも多種多様な特性が求められており、特に可動部分を持つ電気製品では回路基板に対して折り曲げ、屈曲性が求められており、これによって接続部分の可動性を確保している。回路基板上に形成される配線パターンは、ガラスエポキシ基板や紙フェノール基板においては未硬化の樹脂をシート状の基材(ガラスクロスや紙)に含浸させたプリプレグと呼ばれる基板素材に対して銅箔を熱プレスにより貼り合わせ、一度、いわゆる銅貼り板の状態とした後、ドライフィルムを貼り、露光、現像、エッチング、洗浄の工程を通って配線を完了させる。
【0003】
一方、折り曲げ可能な基板(いわゆるフレキシブル基板)では一般にポリイミドフィルム上に銅箔によって配線を形成し、必要な部分にカバーをかぶせて基板の形状を確保するとともに屈曲性を実現している。このような形態の回路基板は原材料が高価なため、基板単価はガラスエポキシ基板や紙フェノール基板と比べてかなり高価なものとなっている。このため、基板のレイアウトを工夫し、基板のワークサイズに対して少しでもたくさんの基板がとれるように工夫をすることで基板単価を低くする試みがなされてきた。
【0004】
以下に、図面を参照しながら従来の回路基板の製造方法について説明する。
【0005】
図24は従来技術の回路基板の製造方法を示す流れ図である。図24において、14は銅貼積層板であり、全面銅箔を貼り合わせた状態となっている(図24の(A)参照)。これに対し、層間の導通を望む所に孔14aをあけ(図24の(B)参照)、孔14aの内面に銅めっき14bを施した(図24の(C)参照)後、銅貼積層板の最外層に対し、レジスト14cを形成し、エッチングによって、配線パターン14dを形成している(図24の(D)参照)。この際に絶縁体にガラスエポキシを用いればガラスエポキシ基板、ポリイミドを用いればフレキシブル基板となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図24に示すような従来の製造方法では、必要な部分以外にも高価な材料を使用しなければならず、低コストが実現できないという問題を有しつつ、新たな基板やその製造方法が見出せないというきわめて重大で深刻な課題を有していた。
【0007】
また、絶縁体に比較的安価なガラスエポキシなどを用いた場合には、絶縁体に屈曲性がないか、ヤング率が高く所望の曲げが得られない、さらに剛性の必要な部分と屈曲性が必要な部分が必要な場合には屈曲性のある基板に対してガラスエポキシなどで補強をするという工程が必要となり、製造コストを増大させるという重大な課題を有していた。
【0008】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、折り曲げ可能な基板において、低コストで高信頼性、耐久性を有する品質のよい折り曲げ可能な回路基板の製造方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0018】
本発明の第1態様によれば、絶縁体のシートに導電体のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工し、上記絶縁体の基板折り曲げ部分を除去して空隙部を形成することにより、上記空隙部が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、
上記回路基板が載置されるステージの突起部で上記導電体を支えながら、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側の面上で印刷ヘッドにより絶縁性有機材料を移動させて、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側に上記有機材料を印刷することにより、フィルム状の絶縁体を上記導電体に形成する、回路基板の製造方法を提供する。
本発明の第2態様によれば、絶縁体のシートに導電体のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工し、上記絶縁体の基板折り曲げ部分を除去して空隙部を形成することにより、上記空隙部が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、
上記回路基板が載置されるステージの突起部で上記導電体を支えながら、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側の面上で印刷ヘッドにより絶縁性有機材料を移動させて、上記導電体の上記空隙部に面する側に上記有機材料を印刷することにより、フィルム状の絶縁体を上記導電体に形成する、回路基板の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の第3態様によれば、基板折り曲げ部分に空隙部が形成された絶縁体のシートに導電体のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工することにより、上記空隙部が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、
上記回路基板が載置されるステージの突起部で上記導電体を支えながら、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側の面上で印刷ヘッドにより絶縁性有機材料を移動させて、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側に上記有機材料を印刷することにより、フィルム状の絶縁体を上記導電体に形成する、回路基板の製造方法を提供する。
本発明の第4態様によれば、基板折り曲げ部分に空隙部が形成された絶縁体のシートに導電体のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工することにより、上記空隙部が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、
上記回路基板が載置されるステージの突起部で上記導電体を支えながら、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側の面上で印刷ヘッドにより絶縁性有機材料を移動させて、上記導電体の上記空隙部に面する側に上記有機材料を印刷することにより、フィルム状の絶縁体を上記導電体に形成する、回路基板の製造方法を提供する。
本発明の第5態様によれば、上記ステージの上記突起部の上記導電体との接触面は、上記絶縁性有機材料とはなじみの悪い材料で構成されて、上記絶縁性有機材料が上記接触面に残りにくくしている第1〜4態様のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法を提供する。
【0020】
本発明の第6態様によれば、上記空隙部は上記絶縁体の上記基板折り曲げ部分をレーザ光線により切除することにより形成され、上記絶縁体の上記基板折り曲げ部分の初期の厚さから所定厚さまでは、上記導電体に損傷を与える程度に大きなレーザ出力でレーザ光線を上記絶縁体に照射して切除を行い、上記所定厚さに到達したのちは、上記導電体に損傷を与えない程度に小さなレーザ出力でレーザ光線を上記絶縁体に照射して切除を行うようにした第1又は2の態様に記載の回路基板の製造方法を提供する。
【0021】
本発明の第7態様によれば、上記空隙部は、上記基板折り曲げ時に、上記空隙部を挟んで隣接する上記複数の絶縁体同士が接触しないような大きさに形成されている第1〜6のいずれか1つの態様に記載の回路基板の製造方法を提供する。
【0027】
本発明の第8態様によれば、上記基板折り曲げ部分に上記空隙部が形成された上記複数枚の絶縁体のシートに、上記導電体のシートを貼り付けた後、加熱プレスし、その後、上記導電体を所定の形状に加工するようにした第3又は4の態様に記載の回路基板の製造方法を提供する。
【0028】
本発明の第9態様によれば、上記絶縁体の切断時において使用する上記レーザ光線は、炭酸ガスレーザ又はYAGレーザのレーザ発振源から発せられたものである第6の態様に記載の回路基板の製造方法を提供する。
【0031】
本発明の第10態様によれば、基板折り曲げ部分に空隙部が形成された複数枚の絶縁体のシートに、架橋反応前の屈曲性絶縁体用シートを配置し、
導電体のシートを上記屈曲性絶縁体用シートの上に配置し、
上記屈曲性絶縁体用シートの架橋温度未満の温度で加熱しつつ、上記導電体と上記絶縁体とを加圧して貼り合わせて、上記屈曲性絶縁体用シートを軟化させて上記空隙部内に流入させ、
その後、上記屈曲性絶縁体用シートの架橋温度以上の温度で加熱して、上記空隙部内に流入した上記屈曲性絶縁体用シートの架橋反応を完了させて屈曲性絶縁体を形成し、
その後、上記導電体を所定の形状に加工することにより、上記屈曲性絶縁体が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法を提供する。
【0032】
本発明の第11態様によれば、上記屈曲性絶縁体用シートを軟化させて上記空隙部内に流入させるとき、上記絶縁体のシートと上記屈曲性絶縁体用シートとの周囲に流れ止め用枠を配置して上記空隙部以外の部分に上記屈曲性絶縁体用シートが流れるのを防止する第22の態様に記載の回路基板の製造方法を提供する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0037】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態における回路基板とその製造方法及び製造装置について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1は本発明の第1実施形態における折り曲げ可能な回路基板21の構成を示すものである。図1において、1は例えば電気信号を伝達する導電体、2は例えば有機材料を主成分とする絶縁体、3は絶縁体2間の空隙部であって、これらより構成される基板21を折り曲げる際に、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げないように、絶縁体2の干渉する可能性の有る部分(基板折り曲げ部分)に、空隙部3が設けられている。導電体1は絶縁体2によって保持されており、基板自身の剛性は絶縁体2によって与えられる。導電体1の具体例としては、金、銅、又は、アルミニウムなどより構成され、より具体的には、導電体本体として厚さ10μmの銅の表面に酸化防止用の厚さ1μmの金を形成したものが好ましい。銅は、曲げ加工性がよく安価であるため好ましく、第1実施形態では、導電体1の本体として圧延銅箔を使用する。絶縁体2の具体例としては、厚さ100μmのアラミド繊維エポキシ樹脂が好ましい。
【0039】
よって、基板21の全体の屈曲性は、絶縁体2の無い部分である絶縁体2の空隙部3と導電体1とによって与えられる構成となっている。電気信号の導通は導電体1で行われており、屈曲性もまた導電体1の塑性によって得られる。本第1実施形態では、導電体1として圧延銅箔を用いたが、ピンホールなどの不良の心配がなければ電解銅箔でもかまわない。また、所望の屈曲性が得られるのであれば、導電体1の厚みは規制されない。また、絶縁体2に空隙部3を形成する代わりに、屈曲性が得られれば、屈曲性を得たい所望の部分の絶縁体2の厚みを、所望の量だけ薄くするだけでもかまわない。
【0040】
以上のように構成された折り曲げ可能な回路基板について、以下、図2を用いてその製造方法について説明する。
【0041】
まず、図2は第1実施形態の上記回路基板21の製造方法の工程を示す模式図であって、1は導電体、2は絶縁体、3は空隙部である。
【0042】
図2の(B)に示す第1工程は、図2の(A)に示す導電体1のシートを絶縁体2のシートに加熱プレスによって貼り合わせる工程である。
【0043】
図2の(C)に示す第2工程は、絶縁体2のシートに貼り付けられた導電体1のシートをエッチングによって配線パターンとして形成する工程である。
【0044】
図2の(D)に示す第3工程は、所望の部分に屈曲性を持たせるための空隙部3を作成する工程である。絶縁体2において、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げないように、絶縁体2の干渉する可能性の有る部分(基板折り曲げ部分)に空隙部3が形成される。
【0045】
図2の(E)に示す第4工程は、作成された空隙部3を利用して、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げることなく、例えば大略90度に容易にかつ円滑に基板を折り曲げる工程である。ここでは、絶縁体2が外側に、導電体1が内側に位置するように折り曲げる。ただし、屈曲に必要な空隙部3が確保できるのであれば、絶縁体2を切断した後、導電体1に切断した絶縁体2を貼り付けて、図2の(E)のような折り曲げ状態を形成するようにしてもよい。
【0046】
1つの実例として、空隙部3の間隔が0.5mmのとき、導電体1は半径0.5mmから1.0mm程度の円に沿って折り曲げることができる。
【0047】
以上のような工程で製造される折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、空隙部3を与える図2の(D)に示す第3工程で用いる製造装置について、以下、図3を用いて説明する。
【0048】
まず、図3は第1実施形態の回路基板21の製造方法の工程のうち、第3工程である絶縁体2を切断する工程を示した模式図である。ここでは、レーザ切断装置を使用して、レーザ切断装置のレーザ発振源35から発射されるレーザ光線26を集光レンズ4によって絶縁体2上に集光し、集光されたレーザ光線26は、絶縁体2を除去しながら導電体1へ向かって進んでいく。絶縁体2を除去する速度はレーザ光線26のパワーの分布に比例する。このため、レーザ光線26の光軸近傍がもっとも早く導電体1に到着することになる。レーザの出力が強い場合は、この後、レーザ光線26は導電体1を除去し始めることになるため、適切な出力調整をすることが必要である。例えば、絶縁体2がアラミド繊維エポキシ樹脂の場合には、レーザ光線26の照射により100μm/0.1秒以下で絶縁体2が除去できるようにレーザの出力を調整する。このようなレーザの出力調整によって、絶縁体2は除去するが導電体1には損傷を与えないようにすることができるため、回路基板21の信頼性を著しく向上させることができる。通常、絶縁体2の厚みは薄くとも0.1mm程度あるためレーザ光線26の焦点深度、基板21の温度上昇など留意すべき項目はあるが、絶縁体2にガラスなどの加工しにくい成分が含まれていない場合はほとんど検討する必要はない。レーザ光線26の発射源は産業上安価な炭酸ガスやYAGが低コスト製造のためには望ましいが、絶縁体2が完全に有機物の場合、採算が取れるのであればエキシマレーザがもっとも望ましい。
【0049】
以下に、レーザの出力の調整の仕方について説明する。
【0050】
例えば、一例として、図11に示すように、ガラスエポキシ製の絶縁体2の場合には、加工開始直後は、銅製の導電体1に損傷を与えるレーザ出力P3よりも大きなレーザ出力P1でもって、迅速に絶縁体2の除去作業を開始する。そして、絶縁体2の厚さが当初の厚さT1から所定の厚さT2まで薄くなると、レーザ出力をP1から、銅製の導電体1には損傷を与えない程度のP2まで低下させて、残りの厚さT2の絶縁体2の除去を行う。この場合、レーザが絶縁体2を貫通して銅製の導電体1に照射されても、レーザ出力P2が銅製の導電体1には損傷を与えない程度に小さいものであるため、銅製の導電体1には損傷を与えることがない。このようにすれば、絶縁体2を除去作業を開始した直後は、大きな出力で迅速に除去作業が行うことができて生産性を上げることができる一方、導電体1を損傷しそうな程度まで絶縁体2が薄くなると、レーザの出力を小さくして、万が一、導電体1に照射されても、導電体1を損傷させないようにすれば、安全かつ確実に絶縁体2の除去作業を行うことができる。
【0051】
なお、後述するように、絶縁体2を完全に除去する代わりに、空隙部3を形成すべき部分に薄肉部(図14の2gの薄肉部参照)を形成する場合には、絶縁体2の厚さが当初の厚さT1から所定の厚さT2まで薄くなると、レーザ出力を停止させて、所定の厚さT2の絶縁体2を残すようにすればよい。
【0052】
また、他の例として、図12に示すように、紙フェノール製の絶縁体2の場合には、銅製の導電体1に損傷を与えるレーザ出力P3よりも小さなレーザ出力P4により、厚さT4の絶縁体2を除去するようにすればよい。レーザ出力P4を照射する時間は、厚さT4の絶縁体2が完全に除去できると理論上考えられる時間より少し長めにすることにより、より確実にかつ完全に、絶縁体2を除去することができる。
【0053】
以上のように、第1実施形態によれば、回路基板21を屈曲させたい部分の絶縁体2に空隙部3設けることにより、絶縁体2同士が相互に接触することなく、容易にかつ円滑に回路基板21を屈曲させることが可能となる。
【0054】
また、絶縁体2に空隙部3を設ける工程を、絶縁体2と導電体1を貼り付けたのち、エッチングを導電体1に施すことなどにより配線を形成した後、絶縁体2を切断することで行う製造方法を用いることにより、低コストで、折り曲げ可能な回路基板21を作成することができる。
【0055】
さらに、絶縁体2の切断工程に用いる設備としてレーザ切断装置を用いることによって、導電体1に損傷を与えることなく、レーザ光線26により絶縁体2のみを切断することが可能となるため、信頼性の高い折り曲げ可能な回路基板21を製造することができる。
【0056】
なお、上記第1実施形態の第1変形例として、図4に示すように、導電体1のシートに予め空隙部3を形成するための穴を形成しておくようにしてもよい。一般に、レーザ加工は微細加工に適しているため、特に、1mm以上の大きな穴を形成したい場合には、レーザ加工よりも、予め形成しておくほうが全体としての生産効率が良い。具体的には、以下のとおりである。
【0057】
まず、図4の(A)に示すように、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げないように、絶縁体2の干渉する可能性の有る部分(基板折り曲げ部分)に空隙部3が形成されるように、あらかじめ所望の穴2aを有する絶縁体2のシートと、導電体1のシートとを用意する。
【0058】
図4の(B)に示す第1工程は、図4の(A)に示す導電体1のシートを絶縁体2のシートに加熱プレスによって貼り合わせる工程である。
【0059】
図4の(C)に示す第2工程は、絶縁体2のシートに貼り付けられた導電体1のシートをエッチングによって配線パターンとして形成する工程である。
【0060】
図4の(D)に示す第3工程は、空隙部3を利用して、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げることなく、大略90度に容易にかつ円滑に折り曲げる工程である。
【0061】
このような第1変形例によれば、絶縁体2のシートに予め穴2aが形成されているため、空隙部形成工程を省くことができる。
【0062】
上記第1実施形態では、絶縁体2が外側に、導電体1が内側に位置するように折り曲げているが、これに限られるものではなく、上記第1実施形態の第2変形例として、図5〜図9に示すように、絶縁体2が内側に、導電体1が外側に位置するように折り曲げるようにしてもよい。すなわち、図5の(A)及び(B)に示すように、空隙部3を挟んだ2枚の絶縁体2のシートにまたがるようにして、導電体1を帯状に複数本隙間を空けて配置する。そして、図6に示すように、筐体25の連続して90度に屈曲している2つの面において、2枚の絶縁体2のシートを、2枚の絶縁体2のシート間の空隙部3が筐体25の角部に位置するように配置して、上記基板31を折り曲げて、筐体25にビスなどの固定具で固定して上記基板31が筐体25に対して相対的に移動しないようにする。図8及び図9は、より具体的に、上記基板31を光ピックアップ部品24の対物レンズ23を有する筐体27に固定して、その導電体1にコネクタ22を接続している状態を示す。図8及び図9において、矢印Aの部分が屈曲している部分であり、内側に空隙部3が位置しているため、絶縁体2が干渉せず、折り曲げを妨げないようになっている。
【0063】
また、さらに、絶縁体2が外側に、導電体1が内側に位置するように折り曲げるとき、図10に示すようにさらに大きく(例えば、大略180度)曲げて、導電体同士が接触する可能性がある場合には、例えば2mm程度の保護用絶縁シート28を間に挟み込むことにより、導電体1同士の短絡を防止することもできる。
【0064】
また、上記第1実施形態の別の変形例として、上記第1実施形態のように絶縁体2を断面矩形状に切除して空隙部3を形成するものに限らず、任意の断面形状に切除するようにしてもよい。例えば、図13(A)に示すように、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げないように、絶縁体2の干渉する可能性の有る部分(基板折り曲げ部分)にV字溝3aを形成するようにしてもよい。このようにすれば、図13(B)に示すように、180度未満で90度を越える鈍角程度まで基板を折り曲げても何ら問題はない。また、このV字溝3aは1個に限らず、任意の個数だけ設けるようにしてもよい。例えば、図14に示すように、このV字溝3aの両側にさらにV字溝3bをそれぞれ形成することにより、より円滑にかつ90度以下の鋭角まで基板を折り曲げられるようにしてもよい。また、V字溝3aの形状は、大略同一のものを複数設けたり、異なる大きさのV字溝を設けるようにしてもよい。なお、V字溝を形成する工程は、図2のように導電体1を配置した後でもよいし、図4のように導電体1を配置する前に形成するようにしてもよい。なお、このV字溝は、3aとして示すように、絶縁体2を完全に貫通する程度まで深いものに限らず、3bとして示すように、絶縁体2を完全には貫通せずに薄肉部2gを残す程度までしか形成しないものでもよい。
【0065】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態における回路基板とその製造方法及び製造装置について、図面を参照しながら説明する。第2実施形態が第1実施形態と大きく異なる点は、折り曲げ部分に位置する導電体1の所望の面を絶縁層で被覆することである。
【0066】
図15は本発明の第2実施形態の折り曲げ可能な回路基板32の構成を示すものである。図15において、1は一例としての圧延銅箔製の導電体、2は絶縁体、3は空隙部、5は例えば導電体1の圧延銅箔の厚み以下のポリイミドなどのフィルム状絶縁体、6は接着剤であって、これらより構成される基板32を折り曲げる際に、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げないように、絶縁体2の干渉する可能性の有る部分(基板折り曲げ部分)に空隙部3が設けられている。導電体1は絶緑体2によって保持されており、基板32自身の剛性は絶縁体2によって与えられる。屈曲性は導電体1と空隙部3によって与えられる構成となっている。電気信号の導通は導電体1で行われており、屈曲もまた導電体1の塑性によって得られる。導電体1の具体例及び絶縁体2の具体例としては第1実施形態と同様なものがそれぞれ使用できる。
【0067】
上記回路基板32を折り曲げて製品内に組み込む際に、導電体1が他の部品と接触の可能性がある場合には、上記他の部品が導体、不導体にかかわらず、導電体1との接触によって導電体1の磨耗や亀裂を発生させることになるため、これを防止するために、上記他の部品に接触する可能性がある導電体1の面に、フィルム状絶縁体5を配置する。このフィルム状絶縁体5の存在によって、これらのトラブルを未然に防ぐことができるようにしている。
【0068】
なお、上記第2実施形態で、導電体1の例として圧延銅箔を用いたが、ピンホールなどの不良の心配がなければ電解銅箔でもかまわない。フィルム状絶縁体5を基板32に貼り付ける工法を取る場合には、フィルム状絶縁体5を絶縁性接着剤6によって導電体1の所望の面に貼り付けるとよい。また、所望の屈曲性が得られるのであれば、導電体1の厚みは規制されないのは第1実施形態と同様である。フィルム状絶縁体5の具体例としては、PETフィルム、ポリイミドフィルム、導電体が100μm程度のとき、厚みは60μm程度の日東電工株式会社製のポリイミドテープ(NITTO TAPE)などが使用できる。
【0069】
以上のように構成された折り曲げ可能な回路基板32について、以下、図16を用いてその製造方法の一例について説明する。
【0070】
まず、図16は本発明の第2実施形態の回路基板32の製造方法の工程を示す模式図であって、1は導電体、2は絶縁体、3は空隙部である。
【0071】
図16(B)に示す第1工程は、上記第1実施形態と同様に、図16(A)に示す導電体1のシートを絶縁体2のシートに加熱プレスによって貼り合わせる工程である。
【0072】
図16(C)に示す第2工程は、上記第1実施形態と同様に、絶縁体2のシートに貼り付けられた導電体1のシートをエッチングによって配線パターンとして形成する工程である。
【0073】
図16(D)に示す第3工程は、上記第1実施形態と同様に、所望の部分に屈曲性を持たせるための空隙部3を作成する工程である。絶縁体2において、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げないように、絶縁体2の干渉する可能性の有る部分(基板折り曲げ部分)に空隙部3が形成される。
【0074】
図16(E)に示す第4工程は、空隙部3の導電体1との反対側(図16(E)では導電体1の上面側、言い換えれば、上記空隙部3に面する側とは反対側)にフィルム状絶縁体5を配置する工程である。
【0075】
図16(F)に示す第5工程は、作成された空隙部3を利用して、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げることなく、例えば大略90度に容易にかつ円滑に基板32を折り曲げる工程である。ここでは、絶縁体2が外側に、導電体1が内側に位置するように折り曲げる。ただし、折り曲げに必要な空隙部3が確保できれば、絶縁体2を切断した後、導電体1に貼り付けたのち、フィルム状絶縁体5を配置してもよい。あるいは、所望の折り曲げ性(屈曲性)が得られれば、空隙部3に面する側にフィルム状絶縁体5を配置して折り曲げるようにしてもよい(図16(G)及び(H)参照)。
【0076】
以上のような工程で製造される折り曲げ可能な回路基板32の製造方法において、フィルム状絶縁体5を与える第3の工程で用いる製造装置について、以下、図17を用いて説明する。
【0077】
まず、図17は上記第2実施形態の回路基板の製造装置とそれによる製造工程の詳細を示すもので、7はスキージなどの印刷ヘッド、8は絶縁性有機材料などより構成されるインク状絶縁体、9はステージであって、ステージ9は回路基板32の導電体1を下側から支えるような凹凸形状になっており、ステージ9の突起部9aの表面はインク状絶縁体8となじみの悪い(表面張力のため相溶性が悪い)もので形成されている。よって、ステージ9の突起部9aの表面は、例えば、セラミック、ポリテトラフルオロエチレン、フロロカーボンなどで構成されている。
【0078】
図17(A)に示す第1工程では、回路基板32に対してインク状絶縁体8を印刷、塗布する。この第1工程においては、図17(A)のA1の領域に対してインク状絶縁体8を印刷、塗布することによって、図16(E)に示すように基板32の導電体側(図16(E)において導電体1の上面側)にフィルム状絶縁体8を配置することができる。一方、図17(A)のB1の領域に対してインク状絶縁体8を印刷、塗布することによって、隣接する導電体1間の隙間41から空隙部3側にインク状絶縁体8が、図18の矢印40に示すように、押し込まれることにより、図16(G)に示すように基板32の絶縁体側(図16(G)において導電体1の下面側)にフィルム状絶縁体8を配置することができる。
【0079】
その後、図17(B)に示す第2工程にて、ステージ9から回路基板32を引き剥がす。
【0080】
次いで、図17(C)に示す第3工程にて、インク状絶縁体8を乾燥又は加熱することにより、フィルム状絶縁体5の形成を完了することができる。
【0081】
なお、図17(B)及び図17(C)では、図17(A)のB1の領域に対してインク状絶縁体8を印刷、塗布することによって、隣接する導電体1間の隙間41から空隙部3側にインク状絶縁体8が押し込まれることにより、図16(G)に示すように基板32の絶縁体側(図16(G)において導電体1の下面側)にフィルム状絶縁体8を配置する状態について図示したものである。
【0082】
以上のように第2実施形態によれば、絶縁体2同士の空隙部3内の導電体1の面あるいは絶縁体側の導電体1の面にフィルム状絶縁体5を配置した構成を採ることによって、他の部品が導電体1に接触するなどしたときの導電体1への損傷を防止することが可能となり、耐久性の高い折り曲げ可能な回路基板32を得ることができる。また、フィルム状絶縁体5を配置する工程において、印刷によってこれを配置する製造方法を用いれば、印刷範囲を変更することによって所望の位置にフィルム状絶縁体5を配置することが可能となり、製造リードタイムを短く、フィルム状絶縁体5を安価に配置することが可能となる。さらに、フィルム状絶縁体8を印刷によって行う設備のステージ9が、導電体1を支える突起部9aを持ち、インク状絶縁体8となじみが悪いもので表面が構成されていることにより、第2工程においてインク状絶縁体8がステージ9に付着する量を最低限に押さえることができ、インク状絶縁体のにじみが少なく、製造歩留まりを向上させることができる。さらに、スキージなどの印刷ヘッド7の角度や速度を調整することによって、第3工程において形成されるフィルム状絶縁体8の厚みや面積をより精度よく制御できるようになる。
【0083】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態における回路基板とその製造方法及び製造装置について、図面を参照しながら説明する。第3実施形態が第1及び第2実施形態と大きく異なる点は、空隙部3を形成する代わりに、屈曲性絶縁体を備えて、衝撃力が導電体1に作用しても導電体1が損傷しにくくすることである。
【0084】
図19は本発明の第3実施形態の折り曲げ可能な回路基板の構成を示すものである。図19において、1は導電体、2は絶縁体、10は屈曲性絶縁体であって、これらより構成される基板32を折り曲げる際に、絶縁体2が干渉して折り曲げを妨げないように、絶縁体2の干渉する可能性の有る部分(基板折り曲げ部分)に屈曲性絶縁体10が配置されている。
【0085】
屈曲性絶縁体10の具体例としては、衝撃力を吸収しやすい、アラビアゴム、又は、商品名「エピコート871」(油化シェルエポキシ株式会社製)などが使用できる。導電体1は絶縁体2によって保持されており、基板自身の剛性は絶縁体2によって与えられる。本第3実施形態でも、導電体1として圧延銅箔を用いたが、ピンホールなどの不良の心配がなければ電解銅箔でもかまわない。導電体1の具体例及び絶縁体2の具体例としては第1実施形態と同様なものがそれぞれ使用できる。また、所望の屈曲性が得られるのであれば、導電体1の厚みは規制されないのは先の実施形態と同様である。
【0086】
以上のように構成された折り曲げ可能な回路基板について、以下、図20を用いてその製造方法について説明する。
【0087】
まず、図20は本発明の第3実施形態の回路基板の製造方法の工程を示す模式図であって、1は導電体、2は絶縁体、3は空隙部、11は化学反応を起こす前(架橋反応を生じさせるための加熱前)の屈曲性絶縁体である。図20(A)に示されるように、化学反応前の屈曲性絶縁体用シート11は絶縁体2のシートと密着して配置されており、これを複数枚用意し、屈曲性絶縁体用シート11の上に導電体1を配置する。このとき、所望の屈曲部すなわち絶縁体2の干渉する可能性の有る部分(基板折り曲げ部分)には、予め空隙部3を設けて配置する。
【0088】
次いで、図20(B)に示されるように、導電体1のシートと絶縁体2のシートを加熱プレスにて貼り合わせる際に、化学反応前の屈曲性絶縁体用シート11はその流動性のために空隙部3に流入する。このときの加熱温度は、屈曲性絶縁体用シート11の架橋温度未満とする。
【0089】
その後、加熱温度を屈曲性絶縁体用シート11の架橋温度以上に上昇させて、図20(C)に示されるように、加熱プレスによって化学反応が終了し、空隙部3に流入した化学反応前の屈曲性絶縁体用シート11は加熱により化学反応すなわち架橋反応を終了して屈曲性絶縁体10に変化し、空隙部3のあったところが図20(D)に示されるように屈曲性絶縁体10に置き換わり、所望の部分のみ屈曲性を持つ回路基板を得ることができる。以下、配線パターンを形成する工程は、第1及び第2実施形態と同様である。
【0090】
以上のような工程で製造される折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、空隙部3に化学反応前の屈曲製絶縁体11を流し込む工程の製造装置について、以下、図21を用いて説明する。
【0091】
まず、図21及び図22は本発明の第3実施形態の回路基板の製造装置の模式図及び平面図を示すもので、1は導電体、2は絶縁体、3は空隙部、11は化学反応を起こす前の屈曲性絶縁体、12は製造装置内の流れ止め用矩形枠、13は加熱プレス装置の上下のプレス盤である。
【0092】
以上のように構成された折り曲げ可能な回路基板の製造装置について、以下、その動作を説明する。
【0093】
絶縁体2のシートと密着して配置された化学反応前の屈曲性絶縁体用シート11のシートを、所望の位置で分離して空隙部3を形成するようにして、下側のプレス盤13上に配置する。次いで、絶縁体2と屈曲性絶縁体用シート11との周囲に流れ止め用矩形枠12を配置し、絶縁体2の上面に導電体1のシートを配置する。さらに、その導電体1のシートの上方には、上側のプレス盤13が位置するようにする。
【0094】
まず、上下のプレス盤13によって導電体1、絶縁体2、化学反応前の屈曲性絶縁体用シート11を挟み込み、加熱を開始する。その後、十分温度が上昇して化学反応前の屈曲性絶縁体用シート11が流動性を持つようになってから、上下のプレス盤13によって、導電体1、絶縁体2、化学反応前の屈曲性絶縁体用シート11の圧縮を開始する。圧縮された化学反応前の屈曲性絶縁体用シート11は絶縁体2と導電体1の間から逃げ出すように流動し、流れ止め用矩形枠12と空隙部3の方向に流出する。しかしながら流れ止め用矩形枠12によって、この方向に流出しようとする化学反応前の屈曲性絶縁体用シート11の流動を阻止し、空隙部3へ流し込む働きをする。その後、さらに加熱して化学反応すなわち架橋反応を十分進行させ、屈曲性絶縁体10に変化させると同時に導電体1と絶縁体2を接着させる。続いて、上下のプレス盤13を徐々に冷却した後、プレス盤13を開いて回路基板を取り出すことで、所望の部分にのみ屈曲性を持たせた回路基板を得ることができる。
【0095】
以上のように第3実施形態によれば、所望の部分のみ絶縁体が屈曲性を持つことで基板の折り曲げ信頼性を向上させることができるとともに、任意の部分にのみ剛性を持たせることができるため、低コストで折り曲げ可能な基板を得ることができる。また、加熱プレスすることによって、基板の任意の部分に屈曲性絶縁体10を形成することができるため、安価に、耐久性のある折り曲げ可能な回路基板を製造することができる。また、加熱プレスの際に流れ止めを設けた製造設備を用いることによって、製造歩留まりを向上させることが可能となり、低コストで折り曲げ可能な回路基板を製造することが可能となる。
【0096】
なお、図23に示すように、必要に応じて、絶縁体を全て屈曲性絶縁体10により構成するようにしてもよい。
【0097】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0098】
【発明の効果】
本発明において、絶縁体の基板折り曲げ部分に、空隙部や屈曲性絶縁体や薄肉部などが配置されるようにして、上記空隙部などが上記基板折り曲げ部分となるように回路基板を折り曲げ可能とするものである。従って、従来の製造プロセスを大幅に変更させることなく、基板の必要な部分のみに屈曲性を持たせることができ、低コストな折り曲げ可能な回路基板を得ることができる。
【0099】
また、本発明において、回路基板の基板折り曲げ部分に、保護フィルムとして機能するフィルム状の絶縁体を導電体に備えるようにする場合には、折り曲げ部分の導電体が他の構成部材とこすれあった場合でも、導電体に直接ダメージを与えることがなく、屈曲部分の導通の信頼性を向上させることが可能となる。
【0100】
また、本発明において、回路基板の折り曲げ部分に屈曲性のある絶縁体を備える場合には、繰り返しの折り曲げに絶えることが可能となり、回路基板の折り曲げ信頼性を向上させることが可能となる。
【0101】
また、本発明においては、絶縁体のシートに導電体のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工し、上記絶縁体の基板折り曲げ部分を除去して空隙部を形成するか、又は、基板折り曲げ部分に空隙部が形成された絶縁体のシートに導電体のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工するようにしている。従って、折り曲げが必要な部分のみに屈曲性を与えられるだけでなく、折り曲げ部分の変更が容易になり、設計変更や製品のロット変更にもすばやく対応することが可能となり、製造リードタイムと製造コストを低減させることが可能となる。
【0102】
また、本発明において、上記フィルム状の絶縁体は、絶縁性有機材料を印刷することにより、又は、フィルム状の絶縁体を上記導電体に貼り付けたりすることにより、上記フィルム状の絶縁体を上記導電体に形成している場合には、折り曲げ部分のみに保護フィルムとして機能する上記フィルム状の絶縁体を配置することが可能となり、信頼性、耐久性を得ることができるだけでなく、高価な耐久性のある部材を必要以上に使用する必要がなくなるため、回路基板の製造コストを低減させることが可能となる。
【0103】
さらに、本発明において、基板折り曲げ部分に空隙部が形成された複数枚の絶縁体のシートに、架橋反応前の屈曲性絶縁体用シートを配置し、導電体のシートを上記屈曲性絶縁体用シートの上に配置し、上記屈曲性絶縁体用シートの架橋温度未満の温度で加熱しつつ、上記導電体と上記絶縁体とを加圧して貼り合わせて、上記屈曲性絶縁体用シートを軟化させて上記空隙部内に流入させ、その後、上記屈曲性絶縁体用シートの架橋温度以上の温度で加熱して、上記空隙部内に流入した上記屈曲性絶縁体用シートの架橋反応を完了させて屈曲性絶縁体を形成し、その後、上記導電体を所定の形状に加工することにより、上記屈曲性絶縁体が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造することができる。よって、折り曲げ部分のみに上記屈曲性絶縁体を配置することが可能となり、屈曲の繰り返しによっても導電体が断線することなく長期にわたって折り曲げを繰り返すことが可能となるため、耐久性を得ることができる。
【0104】
さらに、本発明において、上記空隙部は上記絶縁体の上記基板折り曲げ部分をレーザ光線により切除することにより形成され、上記絶縁体の上記基板折り曲げ部分の初期の厚さから所定厚さまでは、上記導電体に損傷を与える程度に大きなレーザ出力でレーザ光線を上記絶縁体に照射して切除を行い、上記所定厚さに到達したのちは、上記導電体に損傷を与えない程度に小さなレーザ出力でレーザ光線を上記絶縁体に照射して切除を行うようにする場合には、導電体に損傷を与えることなく絶縁体のみを切断することが可能となり、基板の信頼性を向上させることが可能である。
【0105】
また、本発明において、上記絶縁性有機材料を印刷するとき、上記ステージの上記突起部の上記導電体との接触面が、上記絶縁性有機材料とはなじみの悪い材料で構成されて、上記絶縁性有機材料が上記接触面に残りにくくした状態で、上記回路基板が載置される上記ステージの上記突起部で上記導電体を支えながら、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側の面上で印刷ヘッドにより上記有機材料を移動させて、上記フィルム状の絶縁体を上記導電体に形成させるようにしている場合には、導電体を保護する有機材料を印刷する際に他の部分ににじむことがなく、製造歩留まりを向上させることができる。
【0106】
また、本発明において、上記絶縁性有機材料の印刷により、屈曲性が必要な部分のみが屈曲性の有機絶縁材料で構成することができるため、低コストで製造歩留まりを上げることができる。
【0107】
本発明においては、これらの回路基板の構成及び製造方法を用いることによって、低コストで高信頼性、耐久性を有する品質のよい折り曲げ可能な回路基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態における折り曲げ可能な回路基板の構成を示す模式図である。
【図2】 (A)〜(E)はそれぞれ上記第1実施形態における回路基板の製造工程を示す模式図である。
【図3】 上記第1実施形態における第3工程で空隙部を形成するときの製造設備を示す模式図である。
【図4】 (A)〜(D)はそれぞれ上記第1実施形態の第1変形例における回路基板の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図5】 (A)及び(B)はそれぞれ上記第1実施形態の第2変形例における回路基板の模式的な平面図及び側面図である。
【図6】 上記第1実施形態の第2変形例における回路基板を筐体に取り付けた状態での模式的な斜視図である。
【図7】 図6の上記第1実施形態の第2変形例における回路基板を筐体に取り付けた状態での模式的な断面図である。
【図8】 図6の上記第1実施形態の第2変形例における回路基板を光ピックアップ部品に適用した場合の模式的な斜視図である。
【図9】 図6の上記第1実施形態の第2変形例における回路基板を光ピックアップ部品に適用した場合の模式的な断面図である。
【図10】 上記第1実施形態の別の変形例における回路基板を導電体が内側に位置するように大きく折り曲げた場合の模式的な断面図である。
【図11】 上記第1実施形態における第3工程で空隙部を形成するとき、ガラスエポキシ製の絶縁体の場合、レーザ切断装置のレーザ発振源から発射されるレーザ光線のレーザ出力と絶縁体の厚さと時間との関係を示す図である。
【図12】 上記第1実施形態における第3工程で空隙部を形成するとき、紙フェノール製の絶縁体の場合、レーザ切断装置のレーザ発振源から発射されるレーザ光線のレーザ出力と絶縁体の厚さと時間との関係を示す図である。
【図13】 (A),(B)はそれぞれ上記第1実施形態の別の変形例において、絶縁体の干渉する可能性の有る部分にV字溝を形成した回路基板の模式図及び折り曲げ状態での模式図である。
【図14】 上記第1実施形態のさらに別の変形例において、絶縁体の干渉する可能性の有る部分に複数のV字溝を形成した回路基板の折り曲げ状態での模式図である。
【図15】 本発明の第2実施形態における折り曲げ可能な回路基板の構成を示す模式的な断面図である。
【図16】 (A)〜(H)はそれぞれ本発明の第2実施形態の回路基板の製造方法の工程を示す一部断面の模式図である。
【図17】 (A)〜(C)はそれぞれ本発明の第2実施形態の回路基板の製造装置を使用して回路基板を製造する製造工程を示す模式図である。
【図18】 図17の上記第2実施形態の回路基板の製造装置とそれによる製造工程において、隣接する導電体間の隙間から空隙部側にインク状絶縁体が押し込まれる状態を説明するための回路基板の模式的な平面図である。
【図19】 本発明の第3実施形態の折り曲げ可能な回路基板の構成を示す模式図である。
【図20】 (A)〜(D)はそれぞれ本発明の第3実施形態の回路基板の製造方法の工程を示す模式図である。
【図21】 本発明の第3実施形態の回路基板の製造装置の模式図である。
【図22】 図21の第3実施形態の回路基板の製造装置の平面図である。
【図23】 本発明の第3実施形態の変形例にかかる折り曲げ可能な回路基板の構成を示す模式図である。
【図24】 (A)〜(D)はそれぞれ従来技術の回路基板の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1…導電体、2…絶縁体、2a…穴、2g…薄肉部、3…空隙部、3a,3b…V字溝、4…集光レンズ、5…フィルム状絶縁体、6…接着剤、7…印刷ヘッド、8…インク状絶縁体、9…ステージ、10…屈曲性絶縁体、11…化学反応前の屈曲性絶縁体用シート、12…流れ止め用矩形枠、13…プレス盤、14…銅張積層板、21…回路基板、22…コネクタ、23…対物レンズ、24…光ピックアップ部品、25…筐体、26…レーザ光線、27…筐体、28…保護用絶縁シート、31…回路基板、32…回路基板、35…レーザ発振源、40…矢印、41…隙間。
Claims (11)
- 絶縁体(2)のシートに導電体(1)のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工し、上記絶縁体の基板折り曲げ部分を除去して空隙部(3)を形成することにより、上記空隙部が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、
上記回路基板が載置されるステージ(9)の突起部(9a)で上記導電体を支えながら、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側の面上で印刷ヘッド(7)により絶縁性有機材料(8)を移動させて、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側に上記有機材料(8)を印刷することにより、フィルム状の絶縁体(5)を上記導電体に形成する、回路基板の製造方法。 - 絶縁体(2)のシートに導電体(1)のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工し、上記絶縁体の基板折り曲げ部分を除去して空隙部(3)を形成することにより、上記空隙部が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、
上記回路基板が載置されるステージ(9)の突起部(9a)で上記導電体を支えながら、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側の面上で印刷ヘッド(7)により絶縁性有機材料(8)を移動させて、上記導電体の上記空隙部に面する側に上記有機材料(8)を印刷することにより、フィルム状の絶縁体(5)を上記導電体に形成する、回路基板の製造方法。 - 基板折り曲げ部分に空隙部(3)が形成された絶縁体(2)のシートに導電体(1)のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工することにより、上記空隙部が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、
上記回路基板が載置されるステージ(9)の突起部(9a)で上記導電体を支えながら、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側の面上で印刷ヘッド(7)により絶縁性有機材料(8)を移動させて、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側に上記有機材料(8)を印刷することにより、フィルム状の絶縁体(5)を上記導電体に形成する、回路基板の製造方法。 - 基板折り曲げ部分に空隙部(3)が形成された絶縁体(2)のシートに導電体(1)のシートを貼り付けた後、上記導電体を所定の形状に加工することにより、上記空隙部が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法において、
上記回路基板が載置されるステージ(9)の突起部(9a)で上記導電体を支えながら、上記導電体の上記空隙部に面する側とは反対側の面上で印刷ヘッド(7)により絶縁性有機材料(8)を移動させて、上記導電体の上記空隙部に面する側に上記有機材料(8)を印刷することにより、フィルム状の絶縁体(5)を上記導電体に形成する、回路基板の製造方法。 - 上記ステージ(9)の上記突起部(9a)の上記導電体との接触面は、上記絶縁性有機材料とはなじみの悪い材料で構成されて、上記絶縁性有機材料が上記接触面に残りにくくしている請求項1〜4のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
- 上記空隙部は上記絶縁体の上記基板折り曲げ部分をレーザ光線により切除することにより形成され、上記絶縁体の上記基板折り曲げ部分の初期の厚さから所定厚さまでは、上記導電体に損傷を与える程度に大きなレーザ出力でレーザ光線を上記絶縁体に照射して切除を行い、上記所定厚さに到達したのちは、上記導電体に損傷を与えない程度に小さなレーザ出力でレーザ光線を上記絶縁体に照射して切除を行うようにした請求項1又は2に記載の回路基板の製造方法。
- 上記空隙部は、上記基板折り曲げ時に、上記空隙部を挟んで隣接する上記複数の絶縁体同士が接触しないような大きさに形成されている請求項1〜6のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
- 上記基板折り曲げ部分に上記空隙部(3)が形成された上記複数枚の絶縁体(2)のシートに、上記導電体(1)のシートを貼り付けた後、加熱プレスし、その後、上記導電体を所定の形状に加工するようにした請求項3又は4に記載の回路基板の製造方法。
- 上記絶縁体の切断時において使用する上記レーザ光線は、炭酸ガスレーザ又はYAGレーザのレーザ発振源(35)から発せられたものである請求項6に記載の回路基板の製造方法。
- 基板折り曲げ部分に空隙部(3)が形成された複数枚の絶縁体(2)のシートに、架橋反応前の屈曲性絶縁体用シート(11)を配置し、
導電体(1)のシートを上記屈曲性絶縁体用シートの上に配置し、
上記屈曲性絶縁体用シートの架橋温度未満の温度で加熱しつつ、上記導電体と上記絶縁体とを加圧して貼り合わせて、上記屈曲性絶縁体用シートを軟化させて上記空隙部内に流入させ、
その後、上記屈曲性絶縁体用シートの架橋温度以上の温度で加熱して、上記空隙部内に流入した上記屈曲性絶縁体用シートの架橋反応を完了させて屈曲性絶縁体(10)を形成し、
その後、上記導電体を所定の形状に加工することにより、上記屈曲性絶縁体が上記基板折り曲げ部分となるように折り曲げ可能な回路基板の製造方法。 - 上記屈曲性絶縁体用シートを軟化させて上記空隙部内に流入させるとき、上記絶縁体のシートと上記屈曲性絶縁体用シートとの周囲に流れ止め用枠(12)を配置して上記空隙部以外の部分に上記屈曲性絶縁体用シートが流れるのを防止する請求項10に記載の回路基板の製造方法。
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