JP4375505B2 - 脱酸素性多層ペレット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の脱酸素保存容器に使用される脱酸素性ペレットに関する。また、脱酸素保存に使用される脱酸素材に関する。特に、ビンもしくはプラスチックボトル他各種容器の口部を密封するのに使われる脱酸素機能を有する蓋もしくはキャップ用パッキング、又は、脱酸素機能を有するシートもしくは脱酸素材に使用される脱酸素性ペレットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、酸素劣化を受けやすい飲料、食品、医薬品等は、保存期間中に容器内の酸素により品質低下してしまう問題が指摘されていた。この問題を解決する手段として、真空パック、窒素置換等が用いられているが、完全に容器内酸素を除去する事は困難であり、品質保持効果の点で満足されていない。一方、酸素除去効果に優れる脱酸素組成物の使用も試みられているが、小袋形状からくる装填性に問題があった。また、容器蓋がガスバリア性を有しない場合には、脱酸素組成物で吸収しうる酸素量には限度があり、容器蓋を透過してくる酸素により、長期保存中に内容物の酸化劣化が生じるという問題点があった。
【0003】
これに対し、容器の蓋、キャップへ脱酸素組成物を組み入れる方法が種々提案されている。特開昭57−9746号公報には、脱酸素剤小袋を収納したパッキングが提案されているが、複雑な製造工程を経るためにコストが高くなるという欠点があった。
【0004】
一方、特開平6−255680号公報には、マトリックス中に分散された脱酸素組成物を有する組成物を容器蓋の内面に設ける方法が提案されているが、このような方法では、脱酸素組成物が露出して内容物中に溶出するおそれがあり、外観も良くないという問題点がある。
【0005】
実開平1−177165号公報には、発泡体/ガスバリア性フィルム/脱酸素フィルム/脱臭フィルム/酸素透過性フィルムの構成からなる容器用パッキング材、特開平7−137761号公報には、発泡体/ガスバリア性フィルム/シート状脱酸素組成物/酸素透過性シートの構成からなる容器用パッキング材、特開平9−183453号公報には、シート状パッキング材/ガスバリア性層/樹脂に脱酸素組成物を練り込んだ脱酸素樹脂層/樹脂層の構成からなる蓋用パッキングが提案されているが、パッキング材を多層フィルムで構成する場合には、多層フィルムそのものが高価であるだけでなく、保存中又は大気中に置いたときに、失活しやすいという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の容器口部を密封するための容器蓋用脱酸素パッキングは、上述のごとく、量産適応が困難であったり、液体用途への耐液性に限界があるなど、必ずしも満足すべきものではなかった。本発明の目的とするところは、上記従来技術の課題を解決して、量産対応が可能で、耐液性、長期保存性に優れる脱酸素パッキング用の材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、前記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物を、熱可塑性重合物にて被覆した状態でペレット化し、該ペレットを溶融させて容器蓋に貼りつけパッキングを作製することで、作業性を損なうことなく、脱酸素組成物の溶出も防止できる。さらに脱酸素組成物を含む重合物の内側にガスバリア性樹脂層を設けることで、容器蓋にガスバリア性がなくても、長期保存が可能な容器蓋用パッキングを作製できることを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明は、脱酸素組成物を含んだ熱可塑性重合物をコアとし、熱可塑性重合物からなるシェルにて被覆した脱酸素性多層ペレット、好ましくは、コアの中心部にさらにガスバリア性樹脂からなるセンターを有する脱酸素性多層ペレットに関する。
また、本発明は、前記ペレットを用いて作製された脱酸素性パッキング及びこれを装着した容器蓋に関する。
さらに、本発明は、前記ペレットを加熱し、押圧することを特徴とする脱酸素性パッキングの製造方法に関する。
また、本発明は、前記ペレットを用いて作製された脱酸素材に関する。
【0009】
脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物としては、熱可塑性重合物が使用される。また、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物を被覆する熱可塑性重合物としては、酸素透過性を有する熱可塑性重合物が使用される。これらの熱可塑性重合物として、中でも、以下のような酸素透過性熱可塑性重合物を使用することが好ましい。オレフィン樹脂;例えば低密度、直鎖状低密度、中密度、高密度のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ポリブテン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等、或いはオレフィン系エラストマー;例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、水素化エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等、或いはこれらのブレンド物を適宜用いることが可能である。脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物とこれを被覆する熱可塑性重合物は同一である必要はなく、樹脂の溶融状態、要求される酸素吸収速度などにより適宜組み合わせて使用することができる。
【0010】
特に、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物を被覆する熱可塑性重合物としては、溶融粘度の低い樹脂を用いると、成形時に脱酸素組成物が溶融流動して表面への露出を防ぐことができるので、好ましい。また、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物を被覆する熱可塑性重合物として、パッキングを構成した際に適度なクッション性又は弾性を有する組成物が好ましい。
【0011】
さらに、脱酸素組成物を含んだ熱可塑性重合体又は該重合体を被覆する重合体には、公知の樹脂用添加剤、例えばチタン白等の白色顔料;活性炭等の脱臭剤;炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、クレイ等の充填剤;発泡剤;酸化防止剤;滑剤;可塑剤;帯電防止剤;熱安定剤等を配合することができる。食品用添加剤を配合することもできる。
或いは、前記添加剤を含む熱可塑性重合体からなる一つ以上の新たな層をペレット表面又は各層間に付加しても良い。
【0012】
本発明で用いる脱酸素成分としては、種々の組成物が知られているが、中でも鉄粉、アルミニウム粉、マグネシウム粉、ケイ素粉などの金属粉、第一鉄塩などの無機塩類、アスコルビン酸とその塩類、グリセリン、カテコール、ヒドロキノン、没食子酸などの多価アルコールまたはフェノール類、グルコース、フラクトース、ガラクトースなどの糖類およびそれらの酵素剤、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪族炭化水素例えばブタジエン、イソプレンなどの重合物、アセチレンの重合物、スクアレンなど、あるいはこれら不飽和脂肪族炭化水素を部分的に架橋させた重合物、あるいはポリアミド、ポリプロピレンなどを主剤とするものが好ましい。触媒、アルカリ剤等の助剤を加えることもできる。この中でも特に、金属粉に特許第1088514号に開示される方法等で、ハロゲン化金属を表面に付着させたもの、金属粉とハロゲン化金属、必要であればその他の添加物を加えてバインダー等を用いて造粒したものが好適に用いられる。
【0013】
本発明では、内部層の中心部にさらに、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中心層を加えることができる。ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中心層は、外部から侵入する酸素を遮断する機能を果たす。中心層に用いるガスバリア性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、脂肪族又は芳香族ポリアミド類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール共重合体等、或いはこれらと他重合体とのブレンド物を用いることができる。好ましいガスバリア性熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール共重合体である。
【0014】
本発明の脱酸素性多層ペレットの製造方法としては、種々の方法が採用可能であり、最も簡便には2層構成の場合には、熱盤上で外層の重合物を溶解し、その上にペレット状の内層重合物を置き外層重合物で被覆してやればよい。3層以上の場合には、最内層の外側の重合物を熱盤上で溶融させ、その上にペレット状の最内層を置き被覆することで、まず2層構成とする。この2層構成のペレットの外側にくる重合物を熱盤上で溶融させ、2層構成ペレットを被覆する。これを繰り返すことで、順次積層された構造となる。
【0015】
その他にも、最内層重合物に高速気流中衝撃、転動流動などの方法を用いて、その外層の重合物を順次積層していくことが可能であるが、量産製造に適する方法としては、例えば、共押出装置を用いることができる。
2層構成について説明すると、脱酸素組成物を含む樹脂組成物及び酸素透過性熱可塑性重合物をそれぞれ溶融混錬し、フィードブロックなどの適当な金型を用いて、中心から順に、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物からなる内部層、さらに酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層が順に被覆されたストランドを構成し、ホットカットする方法がある。3層構成について説明すると、ガスバリア性樹脂、脱酸素組成物を含む樹脂組成物、酸素透過性熱可塑性重合物をそれぞれ溶融混錬し、フィードブロックなどの適当な金型を用いて、ガスバリア性樹脂からなる中心層に、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物からなる内部層、さらに酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層が順に被覆されたストランドを構成し、ホットカットする方法がある。また、ペレタイザーで切断してもよい。また、射出成形装置を用いることもできる。
【0016】
本発明の脱酸素性多層ペレットを製造する際、前記構成したストランドを延伸した後、ホットカットしてペレットとすることが好ましい。このようにして製造されたペレットは、脱酸素組成物を含んだ熱可塑性重合物からなる内部層が多孔質になり、又は、酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層が薄くなる結果、脱酸素速度が向上する。延伸倍率は、2〜20倍が好ましい。
また、最外層の酸素透過性熱可塑性重合物に溶融粘度の低い樹脂を用いると、成形時に最外層重合物が溶融流動して内部層の露出を防ぐことができるので、好ましい。
【0017】
本発明の脱酸素性多層ペレットの形状に制限はない。球が代表的であるが、半球、碁石形、ラグビーボール形、円柱、角柱、円筒、輪その他の立体形状が可能である。製造効率の点からは、球形が好ましい。脱酸素性多層ペレットの大きさにも制限はない。市販の樹脂ペレットの大きさに限定されない。製造効率の点からは、最短径が1〜50mmのペレットが好ましく、5〜20mmのペレットがより好ましい。
【0018】
ペレットを構成する各層の厚さの比率は、酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層の厚さは、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物からなる内部層の厚さに対し0.001〜10倍、好ましくは、ペレットをそのまま脱酸素材として使用する場合は0.001〜1倍、ペレットをさらに成形する場合は0.05〜10倍である。ガスバリア性樹脂からなる中心層の厚さは、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物からなる内部層の厚さに対し0.01〜50倍、好ましくは0.05〜10倍である。
【0019】
本発明の脱酸素性多層ペレットは、脱酸素材として使用できる。その際、脱酸素性多層ペレットを通気性包装材料で包装して使用してもよく、包装しないで使用してもよい。
本発明の脱酸素性多層ペレットは、さらに延伸して使用することも好ましい。延伸により、脱酸素組成物を含んだ熱可塑性重合物からなる内部層が多孔質になり、又は、酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層が薄くなる結果、脱酸素速度が向上する。延伸倍率は、2〜20倍が好ましい。
【0020】
また、本発明の脱酸素性多層ペレットを容器蓋用パッキングとするには、脱酸素性多層ペレットを加熱し、押圧することにより行うことができる。そのためには、熱可塑性重合物パッキングを形成するのに用いられる公知の方法を適用することができ、ポッティングプレス法が作業効率が高いので最適である。得られたパッキングは、脱酸素組成物を含んだ酸素透過性熱可塑性重合物を内部層とし、その全体が酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層により被覆された構造を有する。脱酸素性多層ペレットを加熱、押圧後、さらに延伸して使用することも好ましい。延伸倍率は、2〜20倍が好ましい。
【0021】
本発明の脱酸素性パッキングを構成する各層の厚さの比率は、酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層の厚さは、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物からなる内部層の厚さに対し0.001〜10倍、好ましくは、0.05〜10倍である。ガスバリア性樹脂からなる中心層の厚さは、脱酸素組成物を含む熱可塑性重合物からなる内部層の厚さに対し0.01〜50倍、好ましくは0.05〜10倍である。
【0022】
本発明の一つは、脱酸素組成物を含んだ酸素透過性熱可塑性重合物を内部層とし、その全体が酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層により被覆された脱酸素性パッキング、又は、これを装着した容器蓋である。容器蓋の材料には、通常のプラスチックも使用できるが、ガスバリア性樹脂や金属等の酸素透過性の低い材料からなるものが好ましい。通常のプラスチックからなる容器蓋に対しては、前記した脱酸素性多層ペレットにおいて内部層の中にさらに、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中心層を有する脱酸素性多層ペレットを使用することが好ましい。この場合の脱酸素性パッキングは、容器蓋側から順に酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層、脱酸素組成物を含んだ酸素透過性熱可塑性重合物からなる内部層、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中心層、脱酸素組成物を含んだ酸素透過性熱可塑性重合物からなる内部層、及び、酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層の構造からなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明によるガスバリア性樹脂層を含まない構成のペレットの例を図1に、ガスバリア性樹脂層を含む構成の例を図2に、図1のペレットをパッキングとして装着した容器蓋の例を図3に示す。ガスバリア性樹脂層を含まない構成のペレットでは、内層に脱酸素組成物含有熱可塑性重合物1があり、それを被覆するように熱可塑性重合物からなる外層2を配置する。ガスバリア性樹脂層を含む構成では、最内層にガスバリア性樹脂層3があり、その外側に脱酸素組成物含有熱可塑性重合物層1があり、最外層に熱可塑性重合物からなる外層2を配置する。これらを加熱加圧しながら容器蓋に装着すると、各層は蓋の形状に沿って広がり、図3に示すように、多層構成を有するパッキングとなる。
【0024】
本発明の容器蓋は、耐液性に優れ、ジュース、酒、ワイン、ビール、他の液体飲料、塩辛、佃煮、ジャム、マーマレード、鮭フレーク、他の高水分食品をはじめとする各種食品、あるいは医薬品等を収納した保存容器の密封に使用して、酸素による品質劣化を防止するのに用いられる。
【0025】
また、本発明の脱酸素性多層ペレットを加熱し、押圧することにより脱酸素性シートを製造することができる。本発明のペレットを成形して作製された脱酸素性容器は、各種食品、あるいは医薬品等を収納した保存容器の密封に使用して、酸素による品質劣化を防止するのに用いられる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
脱酸素成分として、最大粒径約50μmの鉄粉に塩化カルシウム水溶液を噴霧し加熱乾燥させてコーティングした被覆鉄粉(以下、これを単に脱酸素組成物と呼ぶことがある)を得た。比率は鉄粉100重量部に対して塩化カルシウム2重量部である。この脱酸素組成物を、低密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、LC500)に、鉄粉:ポリエチレン=1:1の重量比で加え、30mm径二軸押出機にて混練し、ブロワ付きネットベルトで冷却後、ペレタイザーを経て、直径7mmの球状の脱酸素組成物配合樹脂組成物を作製した。脱酸素組成物配合樹脂組成物は、ガスバリア性袋に入れて保存した。
【0027】
低密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、LC500)を200℃の熱盤上にて溶融させ、前記脱酸素配合樹脂組成物をその上に置き、溶融した樹脂で覆って冷却し、直径8mmの球状の脱酸素性多層ペレットを作製した。脱酸素性多層ペレットを構成する各層の厚さは、低密度ポリエチレンからなる表面層が0.5mm、脱酸素組成物配合樹脂組成物からなる内部層の直径が7mmである。
【0028】
このようにして得られたペレットをペットボトル用アルミ製キャップの裏面にホットプレスにて溶融圧着して厚さ0.6mmの円盤状のパッキングとして貼りつけ、脱酸素性パッキングを装着したキャップを得た。脱酸素性パッキングを構成する各層の厚さは、低密度ポリエチレンからなる2つの表面層が各0.1mm、脱酸素組成物配合樹脂組成物からなる内部層が0.4mmである。
【0029】
500cc容量のペットボトルに天然果汁オレンジジュースを、ヘッドスペースが10ccとなるように充填し、前記のキャップで密栓した。該オレンジジュース入りペットボトルを25℃下に多数保存し、一定期間ごとにサンプリングして、ボトル内酸素濃度をガスクロマトグラフィーで測定すると共にオレンジジュースの外観の観察および香りの状態を官能試験により調べた。ジュースの外観、風味共に異常なく、保存状態は良好であった。
【0030】
実施例2
実施例1で得られた脱酸素性多層ペレットを20℃70%RHの室内に12時間放置後、実施例1と同様にして脱酸素キャップを作製した。
実施例1と同様にして、天然果汁オレンジジュースを充填したペットボトルを前記のキャップで密栓し、オレンジジュースの外観の観察および風味の状態を官能試験により調べた。ジュースの外観、風味共に異常なく、保存状態は良好であった。すなわち、本脱酸素性多層ペレットは優れた保存安定性を有する。
【0031】
実施例3
実施例1記載の低密度ポリエチレンを直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学(株)製、SP2040)に代えた他は実施例1の記載と同様にして作成した脱酸素組成物配合樹脂組成物、酸素透過性熱可塑性重合物としてエチレン−プロピレン共重合体(三井化学(株)製、P0680)、及び、ガスバリア性熱可塑性樹脂としてMXD6ナイロン(三菱ガス化学(株)製、#6001)をそれぞれ溶融混錬し、フィードブロックを用いて、共押し出しによりストランドを得、ホットカットにて直径9mmの碁石形の脱酸素性多層ペレットを作製した。得られた脱酸素性多層ペレットは、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中心層に、脱酸素組成物を含む樹脂組成物からなる内部層、さらに透過性熱可塑性重合物からなる表面層が順に被覆された構造を有していた。脱酸素性多層ペレットを構成する各層の厚さは、低密度ポリエチレンからなる表面層が各0.3mm、脱酸素組成物配合樹脂組成物からなる内部層が各1.7mm、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中心層が5mmであった。
【0032】
得られた脱酸素性多層ペレットをペットボトル用樹脂キャップの裏面にホットプレスにて厚さ0.7mmの円盤状パッキングとして貼りつけ、キャップ側から、熱可塑性重合物層、脱酸素組成物含有層、ガスバリア層、脱酸素組成物含有層、熱可塑性重合物層からなる脱酸素性パッキングを装着した脱酸素性キャップを得た。脱酸素性パッキングを構成する各層の厚さは、低密度ポリエチレンからなる2つの表面層が各0.1mm、脱酸素組成物配合樹脂組成物からなる2つの内部層が各0.2mm、MXD6ナイロンからなる中心層が0.1mmである。
実施例1と同様にして、天然果汁オレンジジュースを充填したペットボトルを前記のキャップで密栓し、オレンジジュースの外観の観察および風味の状態を官能試験により調べた。ジュースの外観、風味共に異常なく、保存状態は良好であった。
【0033】
比較例1
脱酸素成分を含有しない低密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、LC500)ペレットを金属キャップの裏面に置き、実施例と同様に貼りつけてキャップを得た。
実施例1と同様にして、天然果汁オレンジジュースを充填したペットボトルを前記のキャップで密栓し、オレンジジュースの外観の観察および風味の状態を官能試験により調べた。ジュースの外観上、変色があり、香りにも変化があった。
【0034】
比較例2
シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートと直鎖状低密度ポリエチレンからなる積層シートを円盤状に切り抜き、金属キャップの裏面にホットメルト接着剤によりに貼りつけてキャップを得た。
【0035】
500cc容量のペットボトルに天然果汁オレンジジュースを、ヘッドスペースが10ccとなるように充填し、ヘッドスペースを窒素置換後、前記のキャップで密栓した。該オレンジジュース入りペットボトルを25℃下に多数保存し、一定期間ごとにサンプリングして、ボトル内酸素濃度をガスクロマトグラフィーで測定すると共にオレンジジュースの外観の観察および香りの状態を官能試験により調べた。ジュースは外観上の変色はなかったが、香りに変化が生じていた。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例4
実施例1記載の低密度ポリエチレンを直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学(株)製、SP2040)に代えた他は実施例1の記載と同様にして作成した脱酸素組成物配合樹脂組成物、及び、酸素透過性熱可塑性重合物として活性炭が3重量%配合された直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学(株)製、SP2040)をそれぞれ溶融混錬し、フィードブロックを用いて、共押し出しによりストランドを得、4倍に延伸した後、ホットカットにてラグビーボール形の脱酸素性多層ペレットを作製した。得られた脱酸素性多層ペレットは、脱酸素組成物を含む樹脂組成物からなる長径15mm短径10mmの多孔質の内部層に、透過性熱可塑性重合物からなる厚さが0.05mmの表面層が被覆された構造を有していた。
【0038】
この脱酸素性多層ペレット6個を脱酸素材として、紙に有孔ポリエチレンをラミネートした通気性包装材料からなる袋内に包装し、脱酸素材包装体を得た。この脱酸素材包装体を炊飯米200g及び空気100mlとともにガスバリア性外包袋内に密封した。25℃で10日間放置した後、外包袋内の酸素濃度を測定すると、0.10%であった。炊飯米は良好に保存されていた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の脱酸素性多層ペレットは、大量製造に適するものであり、優れた保存安定性を有する。また、それ自体脱酸素材として使用できるほか、簡単に脱酸素性パッキング、脱酸素シート又は脱酸素材等に成形することができる。特に、本発明の脱酸素性多層ペレットを用いて、これを加熱して蓋に押圧することにより、脱酸素性パッキングを装着した容器蓋が量産される。
本発明の脱酸素性多層ペレットを用いて製造された脱酸素性シート又は脱酸素材は、耐液性及び安全衛生性に優れ、酸素吸収性能を有し、長期保存に対応可能な品質保持効果を発揮するものである。
【0040】
本発明の脱酸素シート又は脱酸素容器部材は、ジュース、ビール、酒、ワイン、その他液体飲料、塩辛、佃煮、ジャム、マーマレード、鮭フレーク、他の高水分食品をはじめとする各種食品、あるいは医薬品等を収納した容器の蓋もしくは本体に使用して、又は、脱酸素材として使用して、酸素により品質劣化し易く、また、微生物が繁殖して腐敗や変質し易いこれらの物品の品質保持に、長期に亘ってその優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱酸素性多層ペレットの断面図(ガスバリア層を含まない構成)
【図2】脱酸素性多層ペレットの断面図(ガスバリア層を含む構成)
【図3】脱酸素性パッキングを装着した容器蓋の断面図(ガスバリア層を含まない構成)
【符号の説明】
1 脱酸素組成物含有熱可塑性重合物からなる内部層
2 熱可塑性重合物からなる表面層
3 ガスバリア性樹脂からなる中心層
4 容器蓋
Claims (4)
- 脱酸素組成物を含んだ熱可塑性重合物を内部層とし、その全体が酸素透過性熱可塑性重合物からなる表面層により被覆され、且つ前記内部層の中にさらに、ガスバリア性熱可塑性樹脂からなる中心層を有する脱酸素性パッキング用多層ペレットを成形して作製された脱酸素性パッキング。
- 表面層が弾性を有する請求項1に記載の脱酸素性パッキング。
- 請求項1に記載のペレットを加熱し、押圧することを特徴とする脱酸素性パッキングの製造方法。
- 請求項1に記載の脱酸素性パッキングが装着された容器蓋。
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1999
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