JP4375018B2 - 液体噴射ヘッドユニット及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射ヘッドユニット及びその製造方法に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドを具備するインクジェット式記録ヘッドユニット及びその製造方法に関する。
例えば、インクジェット式記録ヘッドを具備するインクジェット式記録ヘッドユニット(以下、ヘッドユニットとも言う)としては、インクが充填されたインクカートリッジ等から供給されるインクをノズル開口から吐出する記録ヘッド本体と、この記録ヘッド本体のインク吐出面とは反対側に接合されるヘッドケースと、記録ヘッド本体及びヘッドケースを複数個保持するカートリッジケースとを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、インクジェット式記録ヘッドとしては、ノズル開口が設けられたノズルプレートと、このノズルプレートに接合され且つノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、流路形成基板のノズルプレートとの接合面とは反対側の面に設けられる圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合されたリザーバ形成基板とからなる記録ヘッド本体と、この記録ヘッド本体のリザーバ形成基板側の面に接合されたヘッドケースとを具備するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
このようなインクジェット式記録ヘッドを具備するヘッドユニットは、例えば、インク吐出面を基準面として、記録ヘッド本体を構成する各部材を組み立てた後、この記録ヘッド本体にヘッドケースを接合してインクジェット式記録ヘッドを複数個組み立て、さらに、これら複数個のインクジェット式記録ヘッドのヘッドケース側にカートリッジケースを接合することにより組み立てられる。
ところで、近年、インクの多色化等に対する要望が高まっているが、これを実現するためには、色毎に分けられた複数個のインクジェット式記録ヘッドを用いてヘッドユニットを構成する必要がある。しかしながら、インクジェット式記録ヘッドにおいては、例えば、特許文献2に記載されているように、複数の部材を積層することで組み立てられているため、インクジェット式記録ヘッドのインク吐出面とそれとは反対側の面、すなわち、ヘッドケースの上面とが平行となっていない場合がある。また、ヘッドケースは、例えば、樹脂等により形成されているということもあり、記録ヘッド本体のインク吐出面とそれとは反対側の面とが平行となっていても、ヘッドケースのカートリッジケースとの接合面が傾斜している場合もある。
したがって、このようなインクジェット式記録ヘッドをインク吐出面がそれぞれ面一となるように複数個並べたとしても、インク吐出面とは反対側の面、すなわち、ヘッドケース側の上面が面一となっていない場合がある。このため、これら複数個のインクジェット式記録ヘッドのヘッドケース側の上面に、例えば、1つのカートリッジケースを接合すると、インクジェット式記録ヘッドのヘッドケース側の上面が面一となってカートリッジケースに接合されてしまう虞がある。すなわち、インクジェット式記録ヘッドのインク吐出面がばらついた状態でヘッドユニットが組み立てられてしまう虞がある。
このようなヘッドユニットをキャリッジに搭載して印刷を行うと、ノズル開口から被印刷物に対して吐出されるインクの着弾位置と、所望の着弾位置とに誤差(ズレ)が生じて印刷品質が低下してしまうという問題がある。なお、このような問題は、インクを吐出する複数個のインクジェット式記録ヘッドを具備するヘッドユニットだけではなく、勿論、インク以外の液体を噴射する複数個の液体噴射ヘッドを具備する液体噴射ヘッドユニットにおいても、同様に存在する。
特開2001−162811号公報(第2図) 特開2003−80703号公報(第1図)
本発明は、このような事情に鑑み、印刷品質の低下を比較的容易に且つ確実に防止することができる液体噴射ヘッドユニット及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と該液体噴射ヘッド本体の液体噴射面とは反対側に接合されるヘッドケースとからなる複数個の液体噴射ヘッドと、これら複数個の液体噴射ヘッドの前記ヘッドケース側に一体的に接合される保持部材とを具備する液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、前記液体噴射ヘッドのそれぞれの前記ヘッドケース側の上面の少なくとも1箇所に押圧部材の先端部を点接触させて当該押圧部材の先端部で前記液体噴射ヘッドのそれぞれを個別に押圧しながら当該液体噴射ヘッドのそれぞれと前記保持部材とを接合することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法にある。
かかる第1の態様では、複数個の液体噴射ヘッドと保持部材とを接合する際に、液体噴射ヘッドのそれぞれを押圧部材で個別に押圧しているため、各液体噴射ヘッドが傾き難くなる。これにより、各液体噴射ヘッドの液体噴射面がばらついてしまうのを防止することができる。したがって、ノズル開口から被印刷物に対して噴射される液体の着弾位置と、所望の着弾位置とに誤差(ズレ)が生じることはなく、印刷品質の低下を比較的容易に且つ確実に防止することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記押圧部材の先端部で前記液体噴射ヘッドを前記液体噴射面の面方向と直交する方向に押圧することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法にある。
かかる第2の態様では、液体噴射ヘッドのそれぞれが押圧部材の先端部で液体噴射面の面方向と直交する方向に押圧されるため、各液体噴射ヘッドに対して液体噴射面の面方向に作用する力が少なくなり、各液体噴射ヘッドを適度に効率よく押圧することができる。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記保持部材が液体貯留部内の液体を前記液体噴射ヘッド毎に供給する流路を有するカートリッジケースであり、且つ当該カートリッジケースには前記液体噴射ヘッドに対向する部分を厚さ方向に貫通する挿入孔が設けられており、当該挿入孔に前記押圧部材を挿入して前記液体噴射ヘッドのそれぞれを押圧することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法にある。
かかる第3の態様では、カートリッジケースの外側からでもその内側にある複数個の液体噴射ヘッドを押圧部材によって比較的容易に且つ確実に押圧することができる。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記ヘッドケースの中央部には前記液体噴射ヘッド本体を駆動させるための駆動ICを囲む空間であるIC保持部が厚さ方向に貫通して設けられると共に、当該IC保持部の前記液体噴射ヘッド本体側とは反対側の開口部がその中央部を跨いで設けられた梁部で区切られており、当該梁部を前記押圧部材の先端部で押圧することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法にある。
かかる第4の態様では、液体噴射ヘッドの中央部に梁部を設けることで、各液体噴射ヘッドを中央1箇所で押圧することができる。これにより、各液体噴射ヘッドに対して力が均等に作用するため、各液体噴射ヘッドが傾き難くなり、各液体噴射ヘッドの液体噴射面がばらついてしまうのをより確実に防止することができる。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、複数個の前記液体噴射ヘッドの前記液体噴射面側を固定板に接合した後に当該液体噴射ヘッドのそれぞれと前記保持部材とを接合することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法にある。
かかる第5の態様では、複数個の液体噴射ヘッドの液体噴射面に固定板を接合することで各液体噴射ヘッドの液体噴射面が面一となる。
本発明の第6の態様は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と該液体噴射ヘッド本体の液体噴射面とは反対側に接合されるヘッドケースとからなる複数個の液体噴射ヘッドと、これら複数個の液体噴射ヘッドの前記ヘッドケース側に一体的に接合される保持部材とを具備する液体噴射ヘッドユニットであって、前記ヘッドケースの中央部には、前記液体噴射ヘッド本体を駆動させるための駆動ICを囲む空間であるIC保持部が厚さ方向に貫通して設けられると共に前記IC保持部の前記液体噴射ヘッド本体側とは反対側には当該IC保持部の開口を跨いで梁部が設けられており、前記保持部材の前記梁部に対向する部分には、当該梁部を押圧するための押圧部材を挿入可能な挿入孔が厚さ方向に貫通して設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドユニットにある。
かかる第6の態様では、保持部材の挿入孔とヘッドケースの梁部とが対向しているため、挿入孔に押圧部材を挿入すれば、押圧部材の先端部で液体噴射ヘッドの梁部をそれぞれ押圧することができる。これにより、複数個の液体噴射ヘッドと保持部材とを接合する際に、各液体噴射ヘッドを押圧部材で個別に押圧できるため、各液体噴射ヘッドが傾き難くなる。これにより、各液体噴射ヘッドの液体噴射面がばらついてしまうのを防止することができる。したがって、ノズル開口から被印刷物に対して噴射される液体の着弾位置と、所望の着弾位置とに誤差(ズレ)が生じることはなく、印刷品質の低下を比較的容易に且つ確実に防止することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドユニットを示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示すインクジェット式記録ヘッドユニットの組立斜視図及びその断面図である。図示するように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドユニット100(以下、ヘッドユニット100とも言う)の一部を構成する保持部材であるカートリッジケース110は、インク供給手段であるインクカートリッジ(図示なし)がそれぞれ装着されるカートリッジ装着部材111と、複数のインクジェット式記録ヘッド200を保持するカートリッジケース本体112とからなる。
また、このようなカートリッジケース110には、一端が各カートリッジ装着部材111側の面に開口し、他端が後述するカートリッジケース本体112側の面に開口する複数のインク連通路(図示なし)が設けられている。さらに、カートリッジ装着部111のインク連通路の開口部分には、インクカートリッジに挿入されるインク供給針113がそれぞれ固定されている。例えば、本実施形態では、カートリッジ装着部材111(インク供給針113)には、ブラック及び3色のカラーインクが充填された各色毎のインクカートリッジがそれぞれ装着されるようになっている。
さらに、このようなカートリッジ装着部材111のインク供給針113側とは反対側の面には、各インクカートリッジから供給されるインクをノズル開口21から吐出するインクジェット式記録ヘッド200を複数個、本実施形態では、4個保持したカートリッジケース本体112が接合されている。このカートリッジケース本体112には、各インクジェット式記録ヘッド200の後述する梁部に対向する部分を厚さ方向に貫通する挿入孔114がそれぞれ設けられている。そして、本実施形態では、挿入孔114のそれぞれにカートリッジ装着部材111の突出部115が嵌合した状態でカートリッジ装着部材111とカートリッジケース本体112とが接合されている。これにより、突出部115によって挿入孔114が完全に封止されるため、挿入孔114を介してその内部にインクが浸入するのを確実に防止することができる。なお、この挿入孔114については、詳しく後述する。
また、本実施形態では、カートリッジケース110(カートリッジケース本体112)に保持されたインクジェット式記録ヘッド200のインク吐出面200a側には、固定板120が接合されている。そして、この固定板120には、インク吐出面200aのノズル開口21が並設された2列のノズル列21Aを露出させる開口部121がインクジェット式記録ヘッド200毎に設けられている。さらに、これらインクジェット式記録ヘッド200と固定板120とは、カートリッジケース110とヘッドカバー130の間に挟み込まれている。このヘッドカバー130には、固定板120の各開口部121に連通する窓部131がそれぞれ設けられている。このため、各インクジェット式記録ヘッド200の2列のノズル列21Aは、開口部121及び窓部131を介してそれぞれ露出されている。なお、このヘッドカバー130は、各窓部131の並設方向の両側に設けられた固定孔132をカートリッジケース本体112の突起部116に挿入し、この突起部116の先端部を加熱してかしめることで、カートリッジケース本体112に固定されるようになっている。
ここで、本実施形態のヘッドユニット100を構成するインクジェット式記録ヘッド200の構造について詳しく説明する。図3は、インクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。また、図4は、図3に示すインクジェット式記録ヘッドの要部を示す断面図である。図3及び図4に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド200は、ノズル開口21からインクを吐出する記録ヘッド本体210と、この記録ヘッド本体210のインク吐出面200aとは反対側の面に接合されるヘッドケース220とを具備する。
また、記録ヘッド本体210を構成する流路形成基板10は、本実施形態では、シリコン単結晶基板からなり、その一方面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる弾性膜11が形成されている。この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12が、その幅方向に並設されている。そして、この圧力発生室12の列は、その長手方向に2列設けられている。また、各列の圧力発生室12の長手方向外側には、後述する保護基板30に設けられるリザーバ部32と連通し、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ230を構成する連通部13が形成されている。さらに、連通部13は、インク供給路14を介して各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれ連通されている。そして、このような流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の面には、各圧力発生室12に対向する領域に弾性膜11を介して圧電素子300がそれぞれ設けられている。この圧電素子300は、金属からなる下電極膜と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層と、金属からなる上電極膜とを順次積層することで形成されている。また、これら各圧電素子300の個別電極からは、圧電素子300の列間に対応する領域まで引き出された引き出し配線240が設けられている。
そして、このような流路形成基板10の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接合されている。この保護基板30には、リザーバ230の少なくとも一部を構成するリザーバ部32が設けられている。なお、このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ230を構成している。
また、このような保護基板30上には、例えば、本実施形態では、各圧電素子300を駆動するための駆動IC250が各圧電素子300の列毎に対応する部分に1つずつ実装されている。この駆動IC250の各端子は、ボンディングワイヤ等からなる接続配線260を介して各圧電素子300の個別電極からその列間に引き出された引き出し配線260と接続されている。そして、駆動IC250の各端子には、図1に示すような、フレキシブルプリントケーブル(FPC)等の外部配線270を介して外部と接続され、外部から外部配線270を介して印刷信号等の各種信号を受け取るようになっている。
なお、このような保護基板30上には、コンプライアンス基板40が接合されている。また、このコンプライアンス基板40のリザーバ230に対向する領域には、リザーバ230にインクを供給するためのインク導入口44が厚さ方向に貫通することで形成されている。また、コンプライアンス基板40のリザーバ100に対向する領域のインク導入口44以外の領域は、厚さ方向に薄く形成された可撓部43となっており、リザーバ230は、可撓部43により封止されている。この可撓部43により、リザーバ230内にコンプライアンスを与えている。
また、このような記録ヘッド本体210のコンプライアンス基板40上には、樹脂からなるヘッドケース220が接合されている。このヘッドケース220の中央部には、保護基板30上に実装された駆動IC250を囲む空間であるIC保持部221が厚さ方向に貫通して設けられている。このように、ヘッドケース220にIC保持部221を設けることで、駆動IC250と記録ヘッド本体210とを接続配線260で接続する空間を確保することができる。
さらに、このようなIC保持部221の保護基板30側とは反対側には、ヘッドケース220の中央部を跨いで梁部222が設けられ、IC保持部221の保護基板30側の開口部223は、梁部222によって2つの開口に区切られている。この梁部222は、カートリッジケース本体112の各挿入孔114に対向する部分に位置している。これにより、挿入孔114を介して各梁部222を後述する押圧部材で押圧することができる。また、梁部222を設けることでヘッドケース220の剛性を高めることができる。
さらに、このヘッドケース220のIC保持部221の周壁には、カートリッジケース110のインク連通路から供給されるインクをインク導入口44に導入するインク供給連通路224が厚さ方向に貫通して設けられている。
そして、このようなヘッドケース220と記録ヘッド本体210とを接合したインクジェット式記録ヘッド200のヘッドケース220側の上面には、カートリッジケース110(カートリッジケース本体112)が接合される。このように、インクジェット式記録ヘッド200のヘッドケース220側の上面に、カートリッジケース本体112を接合する際には、後述する押圧部材の先端で押圧される部分が梁部222となる。すなわち、本実施形態では、カートリッジケース本体112の梁部222に対向する部分に挿入孔114を設けて、この挿入孔114を介して押圧部材を挿入可能とし、この押圧部材の先端部でカートリッジケース本体112の外側からでも各梁部222を押圧できるようになっている。
なお、このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッド200は、インクカートリッジからのインクをカートリッジケース110に設けられたインク連通路を介してインク導入口44から取り込み、リザーバ230からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC250からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの圧電素子300に電圧を印加し、弾性膜11及び圧電素子300をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出するようになっている。
以下、上述した本実施形態のヘッドユニット100の製造方法について詳細に説明する。まず、インクジェット式記録ヘッド200の組立方法について説明する。具体的には、インク吐出面200aを基準面として、流路形成基板10、ノズルプレート20、保護基板30を接合して記録ヘッド本体210を複数個組み立てた後に、これら複数個の記録ヘッド本体210毎にヘッドケース220をそれぞれ接合する。これにより、インクジェット式記録ヘッド200が複数個組み立てられる。
次に、複数個のインクジェット式記録ヘッド200とカートリッジケース110(カートリッジケース本体112)との接合方法について説明する。図5は、本発明の実施形態1に係るヘッドユニットの製造方法の一例を説明する断面図である。まず、図示しないステージの上面に固定板120を載置し、この固定板120の所定位置、本実施形態では、各開口部121に対向する部分にインクジェット式記録ヘッド200をそれぞれ位置決めして接合する。
次に、複数個のインクジェット式記録ヘッド200及び固定板120の接合体とカートリッジケース本体112とを接合する。具体的には、図5(a)に示すように、カートリッジケース本体112の各挿入孔114に針状の押圧部材400を挿入し、この押圧部材400の先端部をインクジェット式記録ヘッド200のヘッドケース220側の上面、本実施形態では、梁部222の上面に実質的に点接触させて各インクジェット式記録ヘッド200をインク吐出面200aの面方向と直交する方向に個別に押圧する。このように、押圧部材400の先端部を梁部222に点接触させることで、各インクジェット式記録ヘッド200に対して力(押圧力)が均等に作用し、これにより、各インクジェット式記録ヘッド200が実質的に固定される。また、本実施形態では、インクジェット式記録ヘッド200をインク吐出面200aの面方向に直交する方向に押圧するようにしたので、インクジェット式記録ヘッド200に対してインク吐出面200aの面方向への力が加わることがほとんどなく、各インクジェット式記録ヘッド200を適度に効率よく押圧することができる。
次いで、図5(b)に示すように、押圧部材400で各インクジェット式記録ヘッド200を所定の力で押圧した状態で、カートリッジケース本体112を押圧する。これにより、各押圧部材400の先端部で各インクジェット式記録ヘッド200の梁部222を個別に押圧した状態で、カートリッジケース本体112がインクジェット式記録ヘッド200側に押込まれ、各インクジェット式記録ヘッド200とカートリッジケース本体112とが接合されることになる。このとき、本実施形態では、押圧部材400によって各インクジェット式記録ヘッド200を押圧して固定しているため、この上からカートリッジケース本体112を接合しても、インクジェット式記録ヘッド200が傾くことがない。したがって、各インクジェット式記録ヘッド200のインク吐出面200aを面一とした状態で、これら複数個のインクジェット式記録ヘッド200とカートリッジケース本体112とを確実に接合することができる。
その後は、図示しないが、押圧部材400を各挿入孔114から抜き取ると共に、挿入孔114にカートリッジ装着部材111の突出部115を嵌合させて、カートリッジ装着部材111とカートリッジケース本体112とを接合する。最後に、インクジェット式記録ヘッド200のインク吐出面200a側からヘッドカバー130を装着する。これにより、インク吐出面200aが面一である複数個のインクジェット式記録ヘッド200とカートリッジケース110とからなる図2に示すようなヘッドユニット100が完成する。
そして、このようなヘッドユニット100を図示しないインクジェット式記録装置のキャリッジに搭載して印刷を行っても、ノズル開口21から被印刷物に対して吐出されたインクの着弾位置と、所望の着弾位置とに誤差が生じることはなく、印刷品質の低下を比較的容易に且つ確実に防止することができる。
以上、本実施形態の製造方法について説明したが、本発明は、インクジェット式記録ヘッド200とカートリッジケース本体112とを接合する際に、複数のインクジェット式記録ヘッド200のヘッドケース220側の上面の少なくとも1箇所に押圧部材400の先端部を点接触させて、これらインクジェット式記録ヘッド200のそれぞれを個別に押圧すればよく、上述した製造例に限定されるものではない。
このように、各インクジェット式記録ヘッド200を押圧部材400の先端部で個別に押圧するのは、1つのインクジェット式記録ヘッド200が傾いて接合されてしまうと、ヘッドユニット100としては不良品となってしまうからである。
また、押圧部材400によってヘッドケース220の上面を押圧する部分は、中央1箇所であってもよいが、勿論、ヘッドケース220の上面の複数箇所を押圧するようにしてもよい。但し、このように複数箇所で押圧する場合には、各インクジェット式記録ヘッド200が傾かないように押圧するのが好ましい。また、同じ形状のヘッドケース220については、略同じ部分を押圧するのが好ましい。
なお、本発明では、複数個のインクジェット式記録ヘッド200を、例えば、平坦なステージの面上に、インク吐出面200aがステージ側となるように直接並べた後に、その上からカートリッジケース111を接合するようにしてもよい。または、複数のインクジェット式記録ヘッド200を、ヘッドカバー130の各窓部131毎に直接接合した後、この上からカートリッジケース111を接合するようにしてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、複数のインクジェット式記録ヘッド200とカートリッジケース111とを接合した後に、押圧部材400を抜き取るようにしたが、これに限定されず、押圧部材400を挿入孔114に挿入したまま残すようにしてもよい。このように、押圧部材400を挿入孔114に挿入したまま残すことで、インクが挿入孔114から侵入することを防止することができる。但し、この場合には、各押圧部材がインクジェット式記録ヘッドを押圧した状態でカートリッジケース内に残さないようにするのが好ましい。押圧部材が各インクジェット式記録ヘッドを押圧する力が、インクジェット式記録ヘッドとカートリッジケースとの接合を剥がす方向に作用して、接合不良等の原因となるからである。なお、上述した実施形態1では、カートリッジケース本体112の挿入孔114をカートリッジ装着部材111の突出部115によって封止するようにしたが、これに限定されず、挿入孔114を樹脂等で封止するようにしてもよい。
また、上述した実施形態1では、撓み振動型のインクジェット式記録ヘッド200を例示したが、これに限定されず、例えば、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型のインクジェット式記録ヘッドや発熱素子等の発熱で発生するバブルによってインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド等、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドを具備するヘッドユニットに応用することができることは言うまでもない。
なお、液体噴射ヘッドとしてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドを具備するヘッドユニットを一例として説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッドを有する液体噴射ヘッドユニット全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
実施形態1に係るヘッドユニットの分解斜視図である。 実施形態1に係るヘッドユニットの組立斜視図及びその断面図である。 実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの要部を示す断面図である。 実施形態1に係るヘッドユニットの製造方法の一例を示す断面図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 11 弾性膜、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、100 ヘッドユニット、 200 インクジェット式記録ヘッド、 210 記録ヘッド本体、 220 ヘッドケース、 230 リザーバ、 240 引き出し配線、 250 駆動IC、 260 接続配線、 270 外部配線、 300 圧電素子、 400 押圧部材

Claims (6)

  1. ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と該液体噴射ヘッド本体の液体噴射面とは反対側に接合されるヘッドケースとからなる複数個の液体噴射ヘッドと、これら複数個の液体噴射ヘッドの前記ヘッドケース側に一体的に接合される保持部材とを具備する液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、
    前記液体噴射ヘッドのそれぞれの前記ヘッドケース側の上面の少なくとも1箇所に押圧部材の先端部を点接触させて当該押圧部材の先端部で前記液体噴射ヘッドのそれぞれを個別に押圧しながら当該液体噴射ヘッドのそれぞれと前記保持部材とを接合することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
  2. 請求項1において、前記押圧部材の先端部で前記液体噴射ヘッドを前記液体噴射面の面方向と直交する方向に押圧することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
  3. 請求項1又は2において、前記保持部材が液体貯留部内の液体を前記液体噴射ヘッド毎に供給する流路を有するカートリッジケースであり、且つ当該カートリッジケースには前記液体噴射ヘッドに対向する部分を厚さ方向に貫通して挿入孔が設けられており、当該挿入孔に前記押圧部材を挿入して前記液体噴射ヘッドのそれぞれを押圧することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記ヘッドケースの中央部には前記液体噴射ヘッド本体を駆動させるための駆動ICを囲む空間であるIC保持部が厚さ方向に貫通して設けられると共に、当該IC保持部の前記液体噴射ヘッド本体側とは反対側の開口部がその中央部を跨いで設けられた梁部で区切られており、当該梁部を前記押圧部材の先端部で押圧することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、複数個の前記液体噴射ヘッドの前記液体噴射面側を固定板に接合した後に当該液体噴射ヘッドのそれぞれと前記保持部材とを接合することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
  6. ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と該液体噴射ヘッド本体の液体噴射面とは反対側に接合されるヘッドケースとからなる複数個の液体噴射ヘッドと、これら複数個の液体噴射ヘッドの前記ヘッドケース側に一体的に接合される保持部材とを具備する液体噴射ヘッドユニットであって、
    前記ヘッドケースの中央部には、前記液体噴射ヘッド本体を駆動させるための駆動ICを囲む空間であるIC保持部が厚さ方向に貫通して設けられると共に前記IC保持部の前記液体噴射ヘッド本体側とは反対側には当該IC保持部の開口を跨いで梁部が設けられており、前記保持部材の前記梁部に対向する部分には、当該梁部を押圧するための押圧部材を挿入可能な挿入孔が厚さ方向に貫通して設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドユニット。
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