JP4374872B2 - コンクリート構造体の施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート等の表面に凹凸を有する構造物及び/又は水分を含有する構造物にシート状樹脂組成物を良好な接着力で接着させた構造体の製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
種々の構造物、特にコンクリート構造物の表面にはクラック等の欠陥以外に大小様々な凹凸が存在するとともに、内部に多くの空隙を有する。さらにかかる構造物は屋外での使用が一般的であり、降雨、地盤からの水分浸みだし等によって、水分を含んでいる場合がほとんどである。
【0003】
コンクリート構造物の面的な補修や補強を実施する場合、その補強材料等と構造物との接着性は最も重要な要因である。これに関わる因子としては、構造物の表面状態及び接着時の温度が挙げられる。
【0004】
従来より構造物を補強又は補修する場合、現場において液状樹脂を繊維強化材に含浸させた補強材料等を構造物に貼り付け、これを常温硬化させて補強材料等を構造物に接着させる方法が採られている。この方法は、構造物表面の凹凸部に対する形状追従性が良く、良好な接着力を得ることができるものである。
しかし、含水率の高い構造物を用いた場合は、水分の存在する構造物の部分には非水溶性の樹脂が接着しにくく、その部分だけ構造物表面の接着面積が小さくなるので、十分な接着力を保持することができないという問題があった。
【0005】
また液状樹脂を含浸させた補強材料等を含水率の高い構造物に貼り付けると、液状樹脂が構造物内部の水分中に分散して流れ、補強材料中に留まらないため、補強材料の硬化に関与することができず、充分な接着力を得ることができないという問題もあった。
【0006】
このため、液状樹脂と増粘剤と重合性不飽和単量体等を含む光硬化性樹脂組成物を増粘させたシート状組成物を構造物に貼りつけ、光硬化させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、この技術は、上記シート状組成物が増粘により半固体状になっているため、構造物表面に凹凸部が存在する場合に、シート状組成物を細かな凹凸部に追従させて貼りつけることが困難になり、その結果接着面積が減少し、充分な接着力を得ることができない。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−060636号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、凹凸部が多く存在し、さらに水分を含むような構造物に対しても、凹凸部への追従性が良い補強材料等を用いて、補強・補修された構造体の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、補修材料等として、シート状の樹脂組成物を用い、これを構造物に貼り付ける時に加熱して流動性を向上させれば、充分な接着面積を確保することができ、充分な接着力を発揮することができることを発見することにより、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
即ち、本発明は、(A)(a−1) ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体を含むアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂及び該樹脂と重合可能な液状重合性単量体、(B)熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤、(C)光硬化剤および(D)繊維強化材を含有してなるシート状樹脂組成物をコンクリート構造物の表面に貼り付け加熱したロールで密着させた後、光照射することを特徴とするコンクリート構造体の施工方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に使用する樹脂(a−1)は、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体を含むアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である。これらのうち、重合性の点で、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0012】
樹脂(a−1)として用いるビニルエステル樹脂としては、例えばエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応によって製造されるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、末端カルボキシル基を有するポリブタジエンとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応によって製造されるポリブタジエンタイプのビニルエステル樹脂などが挙げられ、耐食性及び機械的強度が優れるものである。
【0013】
かかるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂と(メタ)アクリロリル基を有するカルボン酸とを反応させたもの、ノボラックタイプのエポキシ樹脂と(メタ)アクリロリル基を有するカルボン酸とを反応させたものがある。
【0014】
上記ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂としては、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られる実質的に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、メチルエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られるジメチルグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、あるいはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリン若しくはメチルエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0015】
また上記ノボラックタイプのエポキシ樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂又はノボラック型クレゾール樹脂とエピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0016】
また、上記の不飽和一塩基酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノブテンマレート、ソルビン酸またはモノ(2−エチルヘキシル)マレート等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用して用いられる。
【0017】
本発明に使用する樹脂(a−1)として用いるビニルウレタン樹脂は、ポリオール類、イソシアネート類、および水酸基含有(メタ)アクリレート類と原料とするウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーである。
【0018】
かかるウレタン(メタ)アクリレートの製造方法は、上記ポリオール類と上記イソシアネート類とを反応させて、末端イソシアネート基含有プレポリマーを得、次いでこれに水酸基含有(メタ)アクリレート類を反応させて得ることができる。
【0019】
上記ポリオール類としては、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシプロピレンジオール、ポリテトラメチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンジオール等が挙げられ、またポリエステルポリオールとしては、二塩基酸又はその酸無水物と多価アルコール類との重縮合物が挙げられる。
【0020】
かかる二塩基酸又はその酸無水物としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いられる。
【0021】
かかる多価アルコール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパンー1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いられる。
【0022】
次に上記イソシアネート類としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネートおよびその異性体又は異性体の混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。これらのポリイソシアネートのうち、ジイソシアネートが好ましい。これらを単独又は2種以上併用して用いられる。
【0023】
また上記した水酸基含有(メタ)アクリレート類としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いられる。
【0024】
次に本発明に使用する樹脂(a−1)として用いられる不飽和ポリエステル樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来一般の不飽和ポリエステル樹脂成形品に慣用されている公知の不飽和ポリエステル樹脂を用いることができる。公知の不飽和ポリエステル樹脂としては、例えばα,β−エチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸、又はα,β−エチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸とα,β−エチレン性不飽和二重結合を有さない飽和のカルボン酸と多価アルコール類との縮合反応により得られる不飽和ポリエステルが挙げられる。
【0025】
かかるα,β―エチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸が挙げられ、飽和カルボン酸としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いられる。
【0026】
多価アルコール類としては、上記に記載した多価アルコールを用いることができる。
【0027】
次ぎに本発明に使用する樹脂(a−1)として用いる重合性単量体を含むアクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルを主たる成分とする重合性単量体を重合して得られ、未反応の重合性単量体を含む熱可塑性(メタ)アクリル重合体が挙げられる。
かかる重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
【0028】
上記した樹脂(a−1)と重合可能な液状重合性単量体としては、例えばスチレン、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸等挙げられる。これらのうち、湿潤面への接着性の点でヒドロキシエチルメタクリレートおよび(メタ)アクリル酸であることが好ましい。またスルホン酸基やリン酸基を有する(メタ)アクリレート単量体を使用することもできる。これらを単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0029】
本発明に使用する樹脂(a−2)である液状エポキシ樹脂としては、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する液状樹脂であれば何でもよく、固形状のエポキシ樹脂でも液状エポキシ樹脂に溶解したものを用いることができる。液状エポキシ樹脂としては、例えば通常のビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの縮合物、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの縮合物のようなジグリシジルエーテル、脂肪族のグリシジルエーテル、脂環式エポキサイド、フタル酸誘導体とエピクロルヒドリンとの縮合物のようなジグリシジルエステル、ヒダントイン系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂およびウレタン変性エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いることができる。
【0030】
また、液状エポキシ樹脂(a−2)を用いる場合は、重合性単量体は必ずしも必要ないが、必要に応じて重合性のエポキシ希釈剤を用いることができる。
重合性のエポキシ希釈剤としては、EPICLON855、857、520、703、705等(大日本インキ化学工業製)が挙げられる。
【0031】
上記した樹脂(a−1)又は液状エポキシ樹脂(a−2)中には、シート状樹脂組成物の粘度、粘着性、補強材料に樹脂を含浸し成形したときの収縮などを調節するために、添加剤や充填材等を光反応を阻害しない範囲で用いることができる。
【0032】
次に、本発明に使用する(B)熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤について、説明する。
(B)熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤としては、重合性単量体に対する溶解性もしくは膨潤性の優れたものが好ましい。かかる増粘剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、例えばスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、フマル酸エステル、アクリル系重合性単量体等を重合せしめたものが挙げられ、これらを単独又は二種以上併用して用いられる。これらのうち、増粘性の点でアクリル系重合性単量体を主成分として重合せしめたものが好ましい。熱可塑性樹脂粉末は、上記のアクリル系重合性単量体等を乳化重合や懸濁重合によって重合せしめ、得られた重合体を乾燥させて得られる。
【0033】
かかるアクリル系重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル等であり、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いることができる。
【0034】
熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径は、安定性と増粘性のバランスの点で0.1μm〜0.5mmのものが好ましい。熱可塑性樹脂粉末の市販品としては、例えば日本ゼオン製品、ゼオンF301、F303、F320、F325、F340、F345、F351等が挙げられる。
かかる熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤の添加量は、樹脂及び液状重合性単量体の混合物(a−1)100重量部に対して、好ましくは10〜40重量部用いられる。
【0035】
上記した(C)光硬化剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等が挙げられる。かかる(C)光硬化剤を用いると、波長300〜600nmの可視光および紫外線領域の光を照射することにより、重合反応が進行し、常温でも樹脂を硬化せしめることができる。
【0036】
樹脂(a−1)として、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂を用いる場合は、光ラジカル重合開始剤が用いられる。光ラジカル重合開始剤としては、例えばイルガキュアー819、イルガキュアー651(チバスペシャリティーケミカル製)等が挙げられる。それらを単独又は2種以上を併用して用いられる。
またそれらの添加量は、樹脂(a−1)100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部である。
【0037】
また、液状エポキシ樹脂(a−2)を用いる場合は、光カチオン重合開始剤が用いられる。かかる光カチオン重合開始剤としては、イオン性光酸発生タイプであっても、非イオン性光酸発生タイプであっても良い。
【0038】
かかるイオン性光酸発生タイプの光カチオン重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン塩等のオニウム塩類や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノールーアルミニウム錯体などの有機金属錯体類等が挙げられる。
【0039】
かかるイオン性光酸発生タイプの光カチオン重合開始剤のうち、芳香族ヨードニウム塩と芳香族スルホニウム塩は、紫外線領域以外の光ではカチオンを生成しないが、芳香族アミンや着色芳香族多環式炭化水素等の公知の増感剤を併用することにより、近紫外線領域や可視領域の光でもカチオンを生成することができる。
またメタロセン塩を用いる場合には、ターシャリーアルコールのオキサレートエステルのような反応促進剤を併用しても良い。なお、光カチオン重合開始剤として有効な上記した芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩及びメタロセン塩については、例えば、米国特許第4256828号明細書、米国特許第5089536号明細書、特開平6−306346号公報等に開示されている。
【0040】
上記したイオン性光酸発生タイプの光カチオン重合開始剤の具体例としては、例えば、「アデカオプトマーSP150(商品名)」、「アデカオプトマーSP170(商品名)」(以上旭電化工業社製)、「UVE−1014(商品名)」(ゼネラルエレクトロニクス社製)、「CD−1012(商品名)」(サートマー社製)等が挙げられ、これらの1種類もしくは2種類以上が好適に用いられる。
【0041】
また、非イオン性光酸発生タイプの光カチオン重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスホナート等が挙げられる。
上記した非イオン性光酸発生タイプの光カチオン重合開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0042】
光カチオン重合開始剤の添加量は、特に限定されるものではないが、上記した常温で液状のエポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましい。光カチオン重合開始剤の添加量がかかる範囲であれば、光カチオン重合が十分に進行し、硬化が適度となり、十分な接着強度を得ることができる。
【0043】
次に、(D)繊維強化材としては、一般的に繊維強化材として用いられるものであれば良く、例えばガラス繊維、ポリエステル繊維、フェノール繊維、ポリビニルアルコール繊維、芳香族ポリアミド繊維、ナイロン繊維、炭素繊維等が挙げられる。
(D)繊維強化材の形態としては、例えばチョップドストランド、チョップドストランドマット、ロービング、織物状、不織物状などが挙げられる。
【0044】
(D)繊維強化材は、樹脂組成物の粘度や得られる成形品の強度などを考慮して適宜選ぶことができる。
また(D)繊維強化材の使用量は、(A)樹脂(a−1)又は液状エポキシ樹脂(a−2)、(B)増粘剤および(C)光硬化剤の混合物100重量部に対して、好ましくは20〜30重量部使用される。
【0045】
本発明に使用するシート状樹脂組成物は、例えばシートモールディングコンパウンド(SMC)製造装置を使用して得ることができる。製造方法としては、例えば(A)樹脂に(C)光硬化剤を加え、公知の混合機で光硬化剤を混合溶解させる。次ぎに(B)熱可塑性樹脂からなる増粘剤を混合撹拌することによりコンパウンドを製造し、必要に応じてこれを減圧脱泡して気泡を除去した後、調製されたコンパウンドを2枚のポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等の2枚の離型フィルムの一方または双方にフローコーターまたはドクターナイフによって塗布し、その上に(D)繊維強化材をチョッパーにより切断して散布するようにして塗布面を内に貼り合わせ、好ましくは圧延機によって圧延することにより得られる。
【0046】
かかるシート状樹脂組成物は、通常上記の薄い2枚のフィルムに挟まれたまま、長尺で紙管や鉄管などパイプ状のものに巻き取られているか、あるいは片面に両面剥離性のフィルムが積層され、このフィルムを外側にして巻き取られているものである。
該シート状樹脂組成物は、一定の長さで折り畳んで保管することもできるが、自然光によるゲル化を防ぐためには、アルミ蒸着フィルム等の光を透過させないフィルムで包む必要がある。
【0047】
上記したシート状樹脂組成物は、常温または50℃までの加温、好ましくは30℃〜45℃で増粘し、液状分のないシート状プリプレグとなる。
【0048】
本発明において、良好な接着力を確保するためには、シート状樹脂組成物が構造物表面の凹凸部に充分に追従する必要がある。
上記シート状樹脂組成物は、光硬化性であり、加熱しても容易には硬化しないので、接着時に30℃〜100℃、好ましくは50℃〜90℃に加熱することによって、粘度を低下させることができる。かかる低粘度化により凹凸部に対する追従性が向上する。
【0049】
シート状樹脂組成物を加熱する方法としては、予めシート状樹脂組成物を乾燥機等で加熱した後、該組成物を構造物に貼りつけても、また、該組成物を構造物に貼りつけた後、アイロンのような熱源を接触させたり、蒸気や温水等によって加熱して構造物に貼り付けてもよい。
【0050】
次いで、構造物に貼り付けたシート状樹脂組成物は、光照射することにより硬化し、被覆層が形成される。光照射は自然光の他、紫外線を含む光を有する蛍光灯、ケミカルランプ、ブラックライト、水銀灯、ハロゲンランプ等を用いて行われる。
上記の方法によって、コンクリート、アスファルト、その他の成形品等の構造物を、シート状樹脂組成物で補強又は補修した構造体を得ることができる。
【0051】
【実施例】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、文中「部」とあるのは、重量部を示すものである。
【0052】
(参考例1)シート状樹脂組成物の製造
ポリライトFWー281[不飽和ポリエステル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製]80重量部、DION9102−01NP[ビニルエステル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製]20重量部に対し、ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アクリル系増粘剤(F303、日本ゼオン製)30重量部を添加し、充分攪拌した。イルガキュア−651(紫外線硬化剤、チバスペシャリティーケミカル製)1重量部をさらに添加し、攪拌混合後、シートモールディングコンパウンド(以下、SMCという)製造装置を使用し、1インチのガラスチョップドストランドに含浸させ、折り畳みながらシートを保管ボックス中に取り出した。得られたシートを45℃に加温し、2時間保管、増粘させ、繊維強化シート状樹脂組成物を作製した。以下この繊維強化シート状樹脂組成物をシート1という。該シート1は、粘着性があるものの、保護フィルムの剥ぎ取り性は良好で、樹脂分の付着等はなかった。
【0053】
(参考例2)シート状樹脂組成物の製造
DION9102−01NP 90重量部にヒドロキシメチルメタクリレート10重量部加えたものを樹脂(a−1)として使用する以外は参考例1と同様にして繊維強化シート状樹脂組成物を製造した。以下これをシート2という。
【0054】
(参考例3)シート状樹脂組成物の製造
ポリライト586(ビニルウレタン樹脂、大日本インキ化学工業(株)製)をビニルエステル樹脂の代わりに使用する以外は参考例2と同様にしてシート状樹脂組成物を製造した。以下これをシート3という。
【0055】
(参考例4〜6)シート状樹脂組成物の製造
参考例1〜3の樹脂組成物のうち、ヒドロキシメチルメタクリレートのみを除いてそれぞれシート状樹脂組成物を製造した。以下これらをシート4、シート5及びシート6という。
【0056】
(実施例1〜3)
参考例1〜3で得られたシート1、シート2及びシート3を20×10cmに切り出し、上面の保護フィルムを除去した後、含水率6%の舗道板に貼り付け、80℃に加熱した重さ2kgの金属製ロールで押しつけた。これに、波長350〜400nmの紫外線ランプ(東芝ライテック製)を用い、照射距離5cm、照射時間30分で硬化させ、構造体が得られた。
【0057】
(実施例4〜6)
舗道板の含水率が15%になる以外は実施例1〜3と同様にして構造体が得られた。
【0058】
(実施例7〜9)
シート4,シート5及びシート6を用いる以外は実施例1〜3と同様にして構造体が得られた。
【0059】
(実施例10〜12)
シート4,シート5及びシート6を用いる以外は実施例4〜6と同様にして構造体が得られた。
【0060】
(比較例1〜12)
貼付接着時に加熱せず、表面温度15℃の金属製ロールで押しつける以外は実施例1〜12と同様にして構造体が得られた。
【0061】
以上の実施例、比較例で得られた構造体について、接着力及び破壊状況の試験を行った。以下試験方法及び評価基準を示す。
接着力;構造体の表面を#320のサンディングペーパーで研磨した後、4cm×4cmの治具をエポキシ系接着剤で取り付け、24時間放置後、建研式引っ張り試験機で接着強度を測定した。尚、それぞれ測定はn=3で実施し、その平均値を示す。
破壊状況;構造体を上記建研式引っ張り試験によって破壊し、その破壊状況を目視観察した。
表−1、表−2、表−3及び表−4中、舗道板が破壊された場合を「母材破壊」とし、舗道板とシートとの界面で剥離した場合を「界面剥離」とし、部分的に界面で剥離し、部分的に母材破壊が生じているものを「一部界面剥離」とした。
【0062】
【表1】
表−1
【0063】
【表2】
表−2
【0064】
【表3】
表−3
【0065】
【表4】
表−4
【0066】
【発明の効果】
本発明は、シート状樹脂組成物を、凹凸があり水分を含むコンクリート等の構造物に、界面剥離することなく強固に接着させた構造体を製造する方法を提供することができるとともに、作業工程上簡便にその性能を発揮することができる構造体の製造方法を提供するものである。
Claims (2)
- (A)(a−1) ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体を含むアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂及び該樹脂と重合可能な液状重合性単量体、(B)熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤、(C)光硬化剤および(D)繊維強化材を含有してなるシート状樹脂組成物をコンクリート構造物の表面に貼り付け加熱したロールで密着させた後、光照射することを特徴とするコンクリート構造体の施工方法。
- 液状重合性単量体が、水溶性である1記載のコンクリート構造体の施工方法。
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