JP2000218722A - 複層構造をもつプリプレグ - Google Patents

複層構造をもつプリプレグ

Info

Publication number
JP2000218722A
JP2000218722A JP11025253A JP2525399A JP2000218722A JP 2000218722 A JP2000218722 A JP 2000218722A JP 11025253 A JP11025253 A JP 11025253A JP 2525399 A JP2525399 A JP 2525399A JP 2000218722 A JP2000218722 A JP 2000218722A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
prepreg
layer
thermosetting resin
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11025253A
Other languages
English (en)
Inventor
Taku Nakano
卓 中野
Naoki Wada
直来 和田
Masayuki Nishimura
正幸 西村
Masahiro Sawada
雅博 沢田
Kiminori Noda
公憲 野田
Hideo Sakai
英男 坂井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP11025253A priority Critical patent/JP2000218722A/ja
Publication of JP2000218722A publication Critical patent/JP2000218722A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 重歩行が可能な強度や表面硬度、及び防水材
としての要件である耐水性、下地との接着強度および下
地ひび割れ追従性を有し、積層工程が不要でかつ多種の
硬化材料を扱う必要のない、簡略かつ短期的な防水施行
を可能とする新規プリプレグを提供する。 【解決手段】 複数の層からなるプリプレグであって、
一方の面が熱硬化性樹脂、光重合開始剤及び増粘材を含
有する樹脂組成物に繊維強化材が含有された繊維強化樹
脂の層からなり、他方の面が繊維強化材を含まずに、熱
硬化性樹脂、光重合開始剤及び増粘材を含有する樹脂組
成物の層のものから構成されてなるプリプレグである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、繊維強
化プラスチック(以下、FRPと略記する)防水材また
は防水ライニングへの用途として好適に用いることが可
能なプリプレグ、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】FRPは、その軽量かつ高強度を有する
特徴から、建築構造物等のライニングにも使用されるよ
うになり、近年では特許第2570898 号公報にも記載され
るように、土木建築物の防水被覆構造体として屋上防水
等にも用途を拡大し、需要が高まってきている。
【0003】一般に、FRP防水材は耐水性や耐食性に
優れ、さらには建築物基材との強固な接着性、および高
い表面硬度や引張り強度を有することから、歩行用防水
層の形成に適した材料といわれている(特開平4-142323
号公報等に記載)。
【0004】一方、照射線等、光による硬化の技術は、
光硬化型樹脂や光重合開始剤の開発および進歩に伴いそ
の用途が多様化してきている。特に光重合開始剤につい
ては、その感光波長の可視領域への拡大や硬化可能な膜
厚の向上といった高性能化により、新規な用途への開発
が進んでいる。中でも太陽光の照射により硬化させるこ
とが可能なプリプレグシートについては、従来よりライ
ニング分野へ応用することが試みられてきている(特公
平2-62138 号公報)。これらはFRPを含む防水材の分
野で常に要望されている施工の簡略化、省力化および工
期の短縮化を図り、さらには均一な膜厚を確保できると
いう、ライニング材として理想的な特徴をもつものでも
ある。またFRP材をプリプレグ化することは、材料に
含まれる反応性モノマーの揮発や繊維強化材の飛散とい
った、環境汚染や施行作業者への負担を軽減することを
も可能とするものである。
【0005】しかし、上記のような一般的なFRP防水
材は、高強度という優れた長所をもつ反面、ポリウレタ
ンに代表される軟質の防水材と比較し、下地躯体のひび
割れ等に起因する伸縮に追従し難いという欠点がある。
特に下地がコンクリートでかつ防水施行面積が大きい条
件においては、温度変化による膨張収縮に耐えられずに
FRP防水材がクラックを発生したり、あるいは挫屈を
起こし、防水機能を失う場合がある。
【0006】従来、上記した点を克服する手法として、
特公平3-261547号公報等に記載の技術が公知である。こ
れは下地の上に、緩衝層として機能するウレタン層と、
保護層として機能するFRP層を順次積層し、複合被覆
構造体として用いるものであり、FRPの強度とポリウ
レタンの下地ひび割れ追従性の両方を備えた工法であ
る。
【0007】しかしながら、上記塗膜防水工法ではその
施行において、積層工程が繰り返し必要となるため、工
期に数日間もの長期時間を要するという欠点がある。さ
らにはこの場合、光硬化性のプリプレグとの併用を想定
した場合においても、ラジカル重合系と比較してポリウ
レタンの重合速度が遅いため、施工の簡略化および工期
の短縮化を図ることは至極困難である。またさらに、こ
の工法ではウレタン樹脂と不飽和ポリエステル樹脂とい
う異なる硬化系の材料を層によって使い分けるために施
行工程が複雑となり、作業者への負担を大きくすること
にもなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来の防水材および防水施行工程にみられる欠点を解消す
る新規プリプレグおよびその製法を提供するものであ
る。すなわち本発明は、軽量かつ高強度、高い表面硬
度、および防水材としての必須要件である優れた耐水
性、耐食性、強固な接着強度、ならびに下地ひび割れ追
従性を有し、反応性モノマーの揮発や繊維強化材の飛散
といった環境汚染が少なく、積層工程が不要でかつ多種
の硬化系を扱う必要のない、簡略かつ短期的な施工を可
能とする材料、およびその製法を提供することを目的と
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために鋭意研究および検討を重ねた結果、特
にFRP防水材として用いるためのプリプレグを、緩衝
層と保護層を互いに独立した層構造として維持し、さら
にそれらの層間が剥離を生じないよう特別に構成した光
硬化性のプリプレグが有効であることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、(1) 少なくとも2層か
らなるプリプレグであって、一方の層が熱硬化性樹脂、
光重合開始剤および増粘剤を含有する樹脂組成物に繊維
強化材が含有された繊維強化樹脂の層からなり、他方の
層が繊維強化材を含まずに、熱硬化性樹脂、光重合開始
剤および増粘剤を含有する樹脂組成物の層から構成され
てなるプリプレグであり、また、(2) 互いの層間ないし
はその近傍に、熱硬化性樹脂に溶解可能な熱可塑性樹脂
が存在してなる(1) に記載のプリプレグであり、また、
(3) 熱硬化性樹脂に溶解可能な熱可塑性樹脂が、ポリス
チレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、
またはポリエチルアクリレートである(2) に記載のプリ
プレグであり、また、(4) プリプレグの製造工程では熱
硬化性樹脂に溶解可能なフィルムが層間に敷設されて構
成され、熟成時に該フィルムが熱硬化性樹脂に溶解し、
硬化後ではそれらの互いに接する層が複合し一体化して
構成されるものである(1) に記載のプリプレグであり、
また、(5) 熱硬化性樹脂に溶解可能なフィルムが、ポリ
スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレー
ト、またはポリエチルアクリレートからなるものである
(4) に記載のプリプレグであり、また、(6) キャリアフ
ィルム上に熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘剤を
含有する樹脂組成物ならびに繊維強化材を供給し、次い
で、該熱硬化性樹脂に溶解可能なフィルムを積層し、さ
らにその上に、繊維強化材を含まずかつ熱硬化性樹脂、
光重合開始剤および増粘剤を含有する樹脂組成物を積層
することを特徴とする(1)に記載のプリプレグの製造方
法であり、また、(7) キャリアフィルム上に、繊維強化
材を含まずかつ熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘
剤を含有する樹脂組成物を供給し、次いで、該熱硬化性
樹脂に溶解可能なフィルムを積層し、さらにその上に、
熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘剤を含有する樹
脂組成物ならびに繊維強化材を供給して積層することを
特徴とする(1) に記載のプリプレグの製造方法であり、
また、(8) 前記(1) 〜(5) のいずれかに記載のプリプレ
グからなる防水材である。
【0011】
【発明の実施の形態】まず第一に、本発明記載における
樹脂組成物および繊維強化材につき説明する。
【0012】1.樹脂組成物 樹脂組成物とは、熱硬化性樹脂(イ)、光重合開始剤
(ロ)および増粘剤(ハ)を含有するものである。本発
明のプリプレグは複数の層から構成されるものであり、
これら層は一方の面が少なくとも上記(イ)、(ロ)お
よび(ハ)を含む樹脂組成物にさらに繊維強化材が含ま
れたFRP層よりなるものであり、これとは別の他方の
面は、繊維強化材は含まずに少なくとも上記(イ)、
(ロ)および(ハ)を含む樹脂組成物の層からなるもの
である。以下、これら熱硬化性樹脂(イ)、光重合開始
剤(ロ)ならびに増粘剤(ハ)につきさらに説明する。
【0013】(1)熱硬化性樹脂(イ) 熱硬化性樹脂(イ)とは、硬化速度や形成される防水層
の物性の点からラジカル重合開始型樹脂であり、例え
ば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビ
ニルウレタン樹脂、アクリル樹脂およびこれらの混合物
が挙げられる。
【0014】上記の内、不飽和ポリエステル樹脂とは、
α,β−不飽和二塩基酸またはその酸無水物とグリコー
ル類との重縮合によって製造されるものであり、場合に
よっては、酸成分として、芳香族、脂肪族もしくは脂環
族飽和二塩基酸またはそれらの酸無水物を併用して製造
される不飽和ポリエステル30〜80重量部と重合性モノマ
ー70〜20重量部とからなるものである。
【0015】ここで、α,β−不飽和二塩基酸またはそ
の酸無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸
およびこれらのエステル等、芳香族飽和二塩基酸または
その酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒド
ロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタ
ル酸、ハロゲン化無水フタル酸およびこれらのエステル
等、脂肪族もしくは脂環族飽和二塩基酸またはそれらの
酸無水物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘ
キサヒドロ無水フタル酸およびこれらのエステル等が挙
げられる。これらは単独でも、あるいは二種類以上混合
してもよい。
【0016】グリコール類としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-
ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサン
ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、2-メチルプロパン-1,3- ブタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、ビスフェノールAエチレンオキシド
付加体、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加体、
水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネ
ート、2,2-ジ- (4-ヒドロキシプロポキシジフェニル)
プロパン、トリエチレングリコール、テトラエチレング
リコール等が挙げられる。これらは単独でもまたは2種
類以上混合してもよい。これらの他に、エチレンオキシ
ド(EO)、プロピレンオキシド(PO)等の酸化物も
同様に使用することができる。また、グリコール類と酸
成分の一部として、ポリエチレンテレフタレート等の重
合物も使用できる。さらに、グリコールと酸から合成さ
れる不飽和アルキッド樹脂の末端カルボキシル基と、グ
リシジル基を有する反応性モノマーとを反応させて得ら
れる樹脂も利用できる。グリシジル基を有する反応性モ
ノマーの代表的なものとして、グリシジル(メタ)アク
リレート等が挙げられる。
【0017】また、ビニルエステル樹脂としては、不飽
和ポリエステルの末端をビニル変成したエポキシビニル
エステル、またはエポキシ骨格(エポキシ樹脂)の末端
をビニル変成したエポキシビニルエステル30〜80重量部
に、重合性モノマー70〜20重量部を混合した液からなる
熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。ここでいうビニルエ
ステル樹脂とは、さらに詳細にはビスフェノール型のエ
ポキシ樹脂、ノボラック型のエポキシ樹脂の単独または
混合した樹脂であって、その平均エポキシ当量が 150〜
450g/eq の範囲にあるエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸と
を反応して得られるエポキシビニルエステルを指す。
【0018】ここで、ビスフェノール型のエポキシ樹脂
としては、エピクロロヒドリンとビスフェノールAまた
はビスフェノールFとの反応により得られるグリシジル
エーテル型エポキシ樹脂、メチルエピクロロヒドリンと
ビスフェノールAまたはビスフェノールFとの反応によ
り得られるジメチルグリシジルエーテル型エポキシ樹
脂、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加体とエ
ピクロロヒドリンまたはメチルエピクロロヒドリンとか
ら得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。ノボラック型
のエポキシ樹脂としては、フェノールノボラックまたは
クレゾールノボラックとエピクロロヒドリンまたはメチ
ルエピクロロヒドリンとの反応により得られるエポキシ
樹脂が挙げられる。不飽和一塩基酸として代表的なもの
には、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、桂皮酸、クロ
トン酸、モノメチルマレイン酸、モノプロピルマレイン
酸、モノブチルマレイン酸、ソルビン酸、モノ(2-エチ
ルヘキシル)マレイン酸等がある。これらは単独でも、
また2種類以上混合してもよい。
【0019】ビニルウレタン樹脂とは、ポリエーテルポ
リオール類またはポリエステルポリオール類、あるいは
それらの混合物の末端水酸基にポリイソシアネート化合
物を付加反応させた、末端にイソシアネート基を有する
化合物と、一分子中に水酸基と二重結合を合わせもつ化
合物とを反応させて得られるビニルウレタン30〜80重量
部と重合性モノマー70〜20重量部とからなるものであ
る。ここで、ポリエーテルポリオール類としては、エチ
レングリコールまたはプロピレングリコール等からなる
ポリマーあるいはオリゴマーが挙げられる。ポリエステ
ルポリオールとしては、マレイン酸、フマル酸、アジピ
ン酸、フタル酸等の二塩基酸の単独または混合物と、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン
グリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類
の単独または混合物との反応により得られる末端に水酸
基を有するポリエステルポリオールがある。ポリイソシ
アネート化合物としては、2,4-トリレンジイソシアネー
ト、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'- ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート等があり、一分子中に水酸基と二重結合を合わせも
つ化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート等が挙げられる。
【0020】上記に例示したラジカル重合性樹脂におけ
る重合性モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエ
ン、α- メチルスチレン、p-tert- ブチルスチレン、ク
ロロスチレン、ジクロロスチレン、ビニルナフタレン、
エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、メチル
(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、(メタ)アク
リロニトリル等のビニル化合物、ジアリルフタル酸、ジ
アリルフマル酸、ジアリルサクシネート、トリアリルシ
アヌレート等のアリル化合物、不飽和ポリエステル、ビ
ニルエステルまたはビニルウレタンと架橋可能なビニル
オリゴマー等が挙げられる。これらの中、一般的にはス
チレンが用いられる。これらは単独でもよく、または二
種類以上を混合して用いてもよい。
【0021】(2)光重合開始剤(ロ) 光重合開始剤(ロ)としては、ベンゾフェノン、4-クロ
ロベンゾフェノン、4-ブロモベンゾフェノン、2-メチル
ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、β- ナフチ
ルフェニルケトン、2-ベンゾイルチオフェノン、メチル
オルソベンゾイル安息香酸メチル、2-ベンゾイルピリジ
ン、2-ヒドロキシ-2- メチル-1- フェニルプロパン-1-
オン等のベンゾフェノン化合物、ベンジル、4-クロロベ
ンジル、4 - メチルベンジル等のベンジル化合物、キサ
ントン、2-クロロキサントン、2-イソプロピルキサント
ン等のキサントン化合物、チオキサントン、2-クロロチ
オキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピ
ルチオキサントン等のチオキサントン化合物、アントラ
キノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキ
ノン、1-クロロアントラキノン、9-フルオレン等のアン
トラキノン化合物、アセトフェノン、4-メチルアセトフ
ェノン、4-4−イソプロピルアセトフェノン、4-4―ク
ロロアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2- フェニルアセ
トフェノン-2,2- ジエトキシアセトフェノン、2,2,2-ト
リクロロ-4'-tert- ブチルアセトフェノン、2,2-ジクロ
ロ-4'-フェニルオキシアセトフェノン等のアセトフェノ
ン化合物、1-フェニル-1,2- プロパンジオン-2- (o-ベ
ンゾイル)オキシム、1-フェニル-1,2- プロパンジオン
-2- (o-エトキシカルボニル)オキシム等のオキシム化
合物、2,6-ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン
オキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォ
スフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイル- フェ
ニル- フォスフィン酸メチルエステル、2,6-ジクロロベ
ンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6-
ジメトキシベンゾイル)-2,4,6- トリメチル- ペンチル
フォスフィンオキソド等のアシルフォスフィンオキシド
化合物およびそれらの混合物が挙げられる。
【0022】光重合開始剤(ロ)の使用量は、熱硬化性
樹脂(イ)100 重量部に対し 0.1〜10重量部、好ましく
は 0.5〜3重量部である。この量が 0.1重量部未満では
樹脂組成物は十分な硬化に至らず、またこれが10重量部
を越えては硬化物の強度の低下をもたらすことになり、
物性上好ましくない。しかし、用いられる熱硬化性樹脂
(イ)の種類により、また光重合開始剤の開裂波長域や
吸光係数によって硬化性が異なるので、必ずしも厳密に
上記量の範囲に限られるわけではない。
【0023】(3)増粘剤(ハ) 増粘剤(ハ)としては、酸化マグネシウム、水酸化マグ
ネシウム、酸化カルシウム等の無機化合物、エチルアセ
トアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルキ
ルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、
アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミ
ニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウ
ムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテ
ート)等のアルミニウムキレート化合物、キシリレンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物が
挙げられる。これらは単独でも、二種類以上を混合して
用いてもよい。
【0024】増粘剤(ハ)の量は、熱硬化性樹脂(イ)
100 重量部に対し 0.5〜2重量部が一般的であるが、熱
硬化性樹脂(イ)の種類により増粘特性が異なる場合も
あるので、必ずしもこの量に限られるわけではない。
【0025】2.繊維強化材 繊維強化材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属
繊維、セラミック繊維等の無機繊維、またポリアミド、
アラミド、ビニロン、ポリエステル、ポリフェノール等
の有機繊維が挙げられる。これらは単独でも、二種類以
上を混合して用いてもよい。これらのなかで施工性や経
済性を考慮した場合、好ましいのはガラス繊維と有機繊
維である。
【0026】また、繊維強化材の繊維の形態は平織り、
朱子織り、不織布、マット状等であるが、これらのなか
でも施工性、厚さの保持の点からマット状が好ましい。
また、ガラスロービングを20〜100mm の長さに切断して
チョップドストランドとして使用することもできる。さ
らに、マットとチョップドストランドを併用することも
可能である。
【0027】3.熱硬化性樹脂に溶解可能な熱可塑性樹
脂およびフィルム 本発明のプリプレグは少なくとも2層からなるものであ
り、製造時には互いの層間に、熱硬化性樹脂に溶解し得
る熱可塑性樹脂からなるフィルムが敷設される。このよ
うな、熱硬化性樹脂に溶解可能なフィルム(以下、溶解
性フィルムという)としては、マトリックスとなる熱硬
化性樹脂(イ)が含有する、前述の重合性モノマーに溶
解可能なポリマーを主たる成分としたフィルムのもので
あれば、いずれでも使用することができる。この溶解性
フィルムはプリプレグの製造工程中から徐々に熱硬化性
樹脂に溶解していき、そして硬化する際にはフィルムと
しての形が消え、樹脂と一体化してしまうものである。
そしてプリプレグの硬化後においては、互いの接する層
が複合一体化し、かつ上記熱可塑性樹脂が、互いの層間
ないしはその近傍に溶解した状態で存在するものとな
る。
【0028】使用することが可能な上記溶解性フィルム
の材質として具体的には、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリメチルメタクリレート、およびポリエチルアク
リレート等が挙げられる。
【0029】4.重合希釈剤および充填材等 本発明のプリプレグを製造するにおいては、以上述べて
きた樹脂組成物、繊維強化材および溶解性フィルムに加
え、さらに必要に応じて重合希釈剤、充填材等を用いる
ことができる。特に重合希釈剤については、溶解性フィ
ルムを溶解する目的で用いることも可能である。
【0030】(1)重合希釈剤としては、スチレン、ビ
ニルトルエン、tert- ブチルスチレン、ビニルピロリド
ン、ビニルカプロラクタム、ジビニルベンゼン等のビニ
ル化合物、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イ
ソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル
(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アク
リレート、フェノキシEO変性(メタ)アクリレート、
フェノキシPO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェ
ノキシEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノキ
シPO変性(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アク
リレート化合物、1,6-ヘキサンジオールジアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタ
エリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート等の多価(メタ)アクリレート
化合物、それらのエチレンオキシドやプロピレンオキシ
ド変性の(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルやポリプロピレングリコールの(メタ)アクリレート
が挙げられる。
【0031】(2)充填材としては、水酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ガラス粉末、
ガラスビーズ等が挙げられる。また光硬化反応を速やか
に進めるためには、これらの種類でも透明性の高いもの
が好ましい。
【0032】次に第二として、本発明におけるプリプレ
グおよびその製造方法について説明する。 1.プリプレグ 本発明のプリプレグは、少なくとも2層の構造からなる
ものであり、硬化した後はその表裏で異なる物性を有す
るシート状のものである。この本発明のプリプレグにお
いて、以下、FRP層とは、それを建築物等に使用し接
着した場合に大気側の面の方をいうものとし、また、樹
脂層とは、それを建築物等に使用し接着した場合に、建
築物基材と接着する側の面の方をいうものと定義し、説
明する。
【0033】FRP層を構成する層は、樹脂組成物50〜
97重量%および繊維強化材50〜3重量%を含んでなるも
のであり、この層厚が 0.6〜5mm、好ましくは 1.0〜5
mmとなるものである。この際、繊維強化材の含有量が3
重量%未満ではそれが硬化する際の収縮が大きく、クラ
ックの発生してしまう危険性を伴うことになり、また50
重量%を越える量であっては硬化後の面にガラス目の発
生を伴うようになり、外観も悪くなるため好ましくな
い。また、上記の層厚が 0.6mm未満では十分な強度をも
つ防水材とすることが困難となり、逆に5mmよりも厚く
なってはその硬化時にシート自体の反りが発生しやすく
なるため、好ましくない。
【0034】また、樹脂層を構成する層は、繊維強化材
を含まない樹脂組成物からなり、かつその層厚が 0.3〜
3mmからなるものである。この際に、層厚が0.3mm 未満
であっては、防水材として用いた場合に、建築物基材の
膨張収縮やクラックの発生から層が破断することを防ぐ
緩衝効果を得ることが困難となり、他方この層厚が3mm
を越えては、その硬化時に形状変化が現れるようになる
ため、好ましくない。
【0035】これらFRP層と樹脂層を合わせて構成さ
れるシート状物全体の厚さは 0.9〜8mmの範囲であるこ
とが好ましい。これが8mmを越えるような厚みであって
は太陽光による硬化作用が不十分なものとなりやすく、
その内部まで完全に硬化しなくなる恐れが生じる。
【0036】本発明におけるプリプレグは、上述の通り
少なくともFRP層と樹脂層とからなる。このFRP層
と樹脂層の強度と緩衝能力を発揮させるようにし、そし
て硬化可能な膜厚の範囲内のものとして得るためには、
それぞれの成分が混合してしまうことなく、FRP層お
よび樹脂層の両層が、互いに異なる物性を保持するよう
にしておくことが重要である。さらにはこのプリプレグ
の硬化後は、FRP層および樹脂層が剥離を起こしてし
まうことなく、シートとして複合一体化していることが
必須である。
【0037】そこで本発明のプリプレグは、この製造時
に、上記層間にその層を構成する熱硬化性樹脂(イ)に
溶解可能な、厚さ15〜120 μm、好ましくは20〜70μm
の熱可塑性樹脂からなるフィルムを存在させる。本発明
では製造時にこのフィルムを敷設するとしたことによ
り、製造初期の低粘度のものからなる互いの各層を隔絶
することが可能となり、そしてこれら各層の混合が起こ
らない粘度に達するまで増粘されることとなる。この場
合、上記フィルムの厚さが15μm未満のものでは、各層
の粘度が上昇する前の初期の製造工程中に上記フィルム
が溶解しきってしまい、層構造を維持させることが困難
である。また 120μmの厚さを越えるようなフィルムを
用いた場合は、その溶解時に引きつれを生じてシートの
膜厚を不均一化したり、または表面の平滑性を乱したり
し、さらにはフィルムに含まれる可塑成分により層間接
着力が不足するようにもなるため、好ましくない。
【0038】2.プリプレグの製造方法 本発明におけるプリプレグ製法の一具体例を、添付図面
を参照し説明する。図1は本発明のプリプレグを製造す
る際の一具体例を示した模式図である。この図1におい
て、ロール1からサポートロール2でガイドされながら
繰り出されてくる下部キャリアフィルムE1の上面に、
熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘剤が含有されて
いる樹脂調合タンク3内の樹脂組成物(A)を塗布し、
上面に樹脂組成物の塗布層を有する下部キャリアフィル
ムE2とする。ここで、符号5は樹脂組成物(A)を下
部キャリアフィルムE1上に塗布するドクターブレード
であり、樹脂調合タンク3に付設されている攪拌機4
は、調合タンク3内の樹脂組成物を攪拌、脱泡し、調合
完了後の樹脂組成物を下部キャリアフィルムE1上に塗
布するためのものである。
【0039】続いて、符号(C)で示される繊維強化材
を、前記キャリアフィルムE2における樹脂組成物上
に、含浸ロール8を利用して移送することにより、下部
キャリアフィルムE2上に繊維強化材を連続的に供給
し、FRP層を構成する。しかる後に、ロール9から繰
り出されてくる溶解性フィルム(D)をサポートロール
10でガイドしながら積層し、下部キャリアフィルムE3
とする。なお、この積層作業に際しては符号11で表示さ
れるピンチロールを用いて、得られる積層シートの厚み
の規制と脱泡処理を同時に行うものである。
【0040】また、ロール12から繰り出されてくる上部
キャリアフィルムF1の上面に調合タンク14内の樹脂組
成物(B)をドクターブレード16により塗布し、上部に
樹脂組成物を有する上部キャリアフィルムF2とする。
【0041】次いで、樹脂組成物(A)と繊維強化材
(C)と溶解性フィルム(D)を有する下部キャリアフ
ィルムE3と、樹脂組成物(B)を有する上部キャリア
フィルムF2を、符号17で示されるピンチロールにより
厚みを規制しながら積層し、積層シートG1とする。
【0042】得られた積層シートG1はサポートロール
18によりガイドされながら移送され、符号21で示される
ロールにより巻き取り、所定箇所で切断された後、所定
時間増粘を行い完成品たるプリプレグを得るものであ
る。
【0043】以上の通りの構成からなる本発明のプリプ
レグの製造方法において、積層シートG1は通常、毎分
1〜20m程度の速度で連続的に得られるものである。ま
た下部キャリアフィルムE1や上部キャリアフィルムF
1としては、無色透明または着色あるいはアルミ蒸着を
施した厚さ15〜80μmのポリエステルフィルム、ポリプ
ロピレンフィルム、ナイロンフィルム、セロファン等が
好ましく利用される。これはキャリアフィルムの厚さが
15μm未満のものでは、キャリアフィルム上に樹脂組成
物を塗布した際に、キャリアフィルムが裂けたり破れた
りし易く、テンションむらに起因するつりやたるみ等が
発生する不都合が生じ、また80μmの厚さを超えては、
巻き取り時にしわが発生したり、それによって層構造の
破壊を引き起こす問題を生むようになるためである。
【0044】さらに上記した材質からなるフィルムのも
のは、表面の平滑性および離型性に優れているため、キ
ャリアフィルムとして相応しい性質を具備するものであ
る。またこれらのフィルムについて着色のものを使用し
た場合、その遮光性によってはフィルムを剥離するまで
プリプレグの光硬化を防止することが可能となる。
【0045】次いで、樹脂組成物、繊維強化材および溶
解性フィルムを上面に有する下部キャリアフィルムE3
と、樹脂組成物の層を有する上部キャリアフィルムF2
とをピンチロール17により積層して得られる積層シート
G1は、その積層と同時に膜厚0.9 〜8mmに調整され、
密着される。
【0046】得られたプリプレグは所定の大きさで切断
され、そして通常は巻き取られた後に静置し増粘する
が、この増粘中に溶解性フィルム(D)は溶解してしま
い、その形状をとどめないものとなる。このときには、
両樹脂組成物(A)および(B)が互いに混合しない程
度にまで増粘しているため、混じりあってしまうことな
く、これら組成物(A)および(B)の層構造を作りあ
げることが可能となるものである。そして、その後の硬
化時においては各層を隔てるもの、すなわち溶解性フィ
ルム(D)がすでに溶解しているため、互いの樹脂層間
において両者は重合により化学的な結合をし、強固な接
着力を示すものとなる。
【0047】なお上記した具体例においては、キャリア
フィルム上に熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘剤
を含有する樹脂組成物ならびに繊維強化材を供給し、次
いで、該熱硬化性樹脂に溶解可能なフィルムを積層し、
さらにその上に、繊維強化材を含まずかつ熱硬化性樹
脂、光重合開始剤および増粘剤を含有する樹脂組成物を
積層するプリプレグの製法を記載し説明したが、これら
は上記記載と逆の工程であっても構わない。すなわち、
まずキャリアフィルム上に、繊維強化材を含まずかつ熱
硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘剤を含有する樹脂
組成物を供給し、次いで、該熱硬化性樹脂に溶解可能な
フィルムを積層し、さらにその上に、熱硬化性樹脂、光
重合開始剤および増粘剤を含有する樹脂組成物ならびに
繊維強化材を供給して積層する工程であっても、本発明
のプリプレグを得る上では何ら問題はない。
【0048】3.防水施工方法 上記例示により得られるプリプレグを防水材として用
い、防水施工する際の一具体例を説明する。まず樹脂層
側のフィルムF1のみを剥離し、この面を防水施行対象
の下地に直接またはプライマーを塗布した後に、気泡を
残さないようローラー等を用いて貼りつける。次いでF
RP層側のフィルムE1を剥離し、太陽光等を照射して
硬化させ防水層を形成させる。
【0049】このときプライマーとしては一液湿気硬化
型ウレタン樹脂、二液性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂等の公知のプライマーを用いる
ことができる。施工後に形成される構造体は、下地上に
プライマー層がある場合はプライマー層を介して、樹脂
層に由来する緩衝層が形成され、その上にFRP層に由
来する防水層が形成された構造となる。
【0050】
【実施例】以下、製造例、実施例および比較例により本
発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれにより制
限を受けたりするものではない。以下において、「部」
および「%」は重量基準である。
【0051】〔試験法〕以下の実施例および比較例で得
られた防水材または試験体は、下記に示す試験法により
評価したものである。また得られたそれらの結果を表1
および表2に示す。
【0052】(1) 接着力 JIS-A-5034(歩道用コンクリート平板)に規定された寸
法(300mm ×300mm ×60mm)のコンクリート平板上に防
水層を設けた試験体を作製し、20℃で相対湿度65%の雰
囲気下に1週間放置し、切り込みを入れてステンレス製
ジグ(40mm×40mm)をエポキシ系接着剤にて接着させ
た。その後、建築研究所式接着試験機を用い、20℃で載
荷速度約1kgf/cm2 /secで試験し、接着力(kgf/cm2
を測定した。
【0053】(2) 疲労試験 建築工事標準仕様書・同解説JASS8防水工事(以下、JA
SS8と略する。)の疲労試験条件に準拠して測定した。
試験体はA形試験体、試験機は油圧サーボ建築仕上げ材
疲労試験機(鷲宮製作所製)を用い、工程1(ムーブメ
ント0.5 ←1.0mm )から工程3(ムーブメント2.5 ←5.
0mm )まで行った。試験結果は下記の区分で表示する。 A形試験体の場合 区分 A1・・・工程1で破断した場合 A2・・・工程2で破断した場合 A3・・・工程3で破断した場合 A4・・・工程3で破断しなかった場合
【0054】(3) 表面硬度 ショアー硬度計を用いて、最高値を示す試験体の表面硬
度を求めた。
【0055】(4) へこみ抵抗性 JASS8のへこみ試験に準拠し、雰囲気温度40℃にて1.5m
の高さから重量5kgの鋼球を落下させ、試験体の防水層
が破損するか否かを調べ、結果を下記のように表1およ
び2中に記した。 ○・・・・破損せず ×・・・・破損あり
【0056】(5) 表面外観 得られる試験体の表面外観を目視にて観察し、結果を下
記のように表1および2中に記した。 ○・・・・表面凹凸は見られず △・・・・わずかに表面凹凸が見られる ×・・・・表面凹凸が激しい
【0057】製造例1〔樹脂組成物(A)の調製〕 不飽和ポリエステル樹脂(フレスターD270 :商品名、
三井化学社製)60部、不飽和ポリエステル樹脂(エスタ
ーR2110:商品名、三井化学社製)40部、光重合開始剤
(イルガキュア1700:商品名、チバ・スペシャルティ・
ケミカルズ社製)1.0 部および増粘剤(酸化マグネシウ
ム)1.0 部を均一になるようにディスパーで攪拌混合
し、樹脂組成物(A)を調製した。
【0058】製造例2〔樹脂組成物(B)の調製〕 不飽和ポリエステル樹脂(フレスターD270 :商品名、
三井化学社製)100 部、光重合開始剤(イルガキュア17
00:商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
2.0 部および増粘剤(酸化マグネシウム)1.0 部を均一
になるようにディスパーで攪拌混合し、樹脂組成物
(B)を調製した。
【0059】実施例1〔防水層の製造〕 まず、前述のプリプレグの製造方法に従い、上記の製造
例で得た樹脂組成物(A)870g/m2 、繊維強化材(C)
(#450 チョップドストランドマット、旭ファイバーグ
ラス社製)450g/m2 、樹脂組成物(B)1050g/ m2 を供
給し、シート状で二層からなるプリプレグを製造した。
次いで、これを40℃の恒温室に24時間静置し、熟成させ
た。上記製造の際に、溶解性フィルムには厚さ50μmの
ポリスチレンフィルム(セロマーS- 2:商品名、大倉
工業社製)、キャリアフィルムには遮光フィルム(ポリ
エステルラミネートアルミニウム箔、細川洋行社製)を
用いた。該プリプレグの厚さは、樹脂組成物(A)に由
来するFRP層が0.8mm 、樹脂組成物(B)に由来する
樹脂層が1.0mm 、全体で1.8mm である。次に該プリプレ
グの樹脂層側の遮光フィルムを剥がし、この面を基体
(コンクリート平板または石綿スレート板)上に敷設、
ローラーにて転圧接着した。その後、FRP層側の遮光
フィルムを剥離し、太陽光により硬化させ、基体上に防
水層を設けた試験体を得た。
【0060】実施例2〜7〔防水層の製造〕 実施例1において、樹脂組成物のFRP層、樹脂層の厚
さおよび繊維強化材の量を、表1に記したように変えて
行った以外は同様に操作してプリプレグの製造を行い、
さらには防水層試験体を得た。
【0061】実施例8,9〔防水層の製造〕 実施例1において、樹脂組成物のFRP層、樹脂層の厚
さおよび繊維強化材の量を、表1に記したように変えて
行った以外は同様に操作した。ただしこれらの場合、溶
解性フィルムとして厚さ50μmのポリメチルメタクリレ
ートフィルム(PMMA)またはポリ塩化ビニルフィルム
(PVC )を用いて行い、プリプレグ、さらには防水層試
験体を得た。
【0062】その結果、実施例1〜9においては表1に
示したように、接着力が良好で、防水層としてのひび割
れ追従性を備え、かつ歩行可能な表面硬度を有する、表
面外観の良好な防水層が得られた。
【0063】比較例1〔樹脂層のみのものから構成され
る場合〕 実施例1に基づき、樹脂組成物(B)のみからなるプリ
プレグおよび防水層試験体を得、試験に供した。その結
果、このシート膜厚は 1.9mmであって、実施例1のもの
よりも厚いにも関わらず、表面硬度は著しく低く、ま
た、へこみ抵抗性においても破断が生じた。
【0064】比較例2〔FRP層のみのものから構成さ
れる場合〕 実施例1に基づき、樹脂組成物(A)と繊維強化材から
なるプリプレグおよび防水層試験体を得、試験に供し
た。その結果、このものは疲労試験において、工程1で
破断した。
【0065】比較例3〔層間に溶解性フィルムを敷設す
ることなく、プリプレグの製造を行ったものの場合〕 実施例1において、表2に記すように上記の製造例で得
た樹脂組成物のFRP層、樹脂層を共に所定の範囲内と
し、同様に操作した。ただしこの場合、層間には溶解性
フィルムを敷設することなくプリプレグの製造、さらに
防水層試験体を得、そして試験に供した。その結果、こ
のものは製造初期のFRP層と樹脂層の積層時において
互いを隔絶するものが存在せず、プリプレグ内で樹脂の
混合、ガラス繊維の浸透が起こり、二層構造が形成され
なかったため、比較例2と略同様、くり返し疲労による
破断が生じた。
【0066】比較例4,5〔層間に、熱硬化性樹脂には
不溶のフィルムを敷設し、プリプレグの製造を行ったも
のの場合〕 実施例1において、表2に記すように上記の製造例で得
た樹脂組成物のFRP層、樹脂層を共に所定の範囲内と
し、同様に操作した。ただしこの場合、層間には樹脂組
成物に溶解しないポリエチレンテレフタレート(PET )
またはポリプロピレン(PP)を主成分とする厚さ50μm
のフィルムを用いて行い、プリプレグおよび防水層試験
体を得、試験に供した。その結果、このものは互いの層
間における接着力が著しく低下したものとなっており、
さらには繰り返し疲労試験においても、FRP層が容易
に剥離するものとなっていた。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のプリプレグは、防水層として形成される際に要求され
る耐水性、耐食性および強固な下地接着性等の要件を十
分に満たすものであって、かつ重歩行が可能な強度や表
面硬度を備えるとともに、下地ひび割れ追従性にも優れ
るものであり、さらには防水層形成に要する工数の大幅
な簡略化を実現するものでもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明プリプレグの製造工程の一具体例を示し
た模式図である。
【符号の説明】
A:樹脂組成物(A) B:樹脂組成物(B) C:繊維強化材(C) D:溶解性フィルム(D) E1,F1:キャリアフィルム E3:下部キャリアフィルム(FRP層) F2:上部キャリアフィルム(樹脂層) G1:FRP層および樹脂層からなる積層体 1,12:キャリアフィルム繰り出しロール 2,7,10,13,18,20:サポートロール 3,14:樹脂調合タンク 4,15:攪拌機 5,16:ドクターブレード 6:繊維強化材繰り出しロール 8:繊維強化材含浸ロール 9:溶解性フィルム繰り出しロール 11,17:ピンチロール 19:カッター 21:巻き取りロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 27/30 101 B32B 27/30 101 C08J 5/24 CFE C08J 5/24 CFE // C08L 67:06 (72)発明者 沢田 雅博 千葉県茂原市東郷1900番地 三井化学株式 会社内 (72)発明者 野田 公憲 千葉県茂原市東郷1900番地 三井化学株式 会社内 (72)発明者 坂井 英男 千葉県茂原市東郷1900番地 三井化学株式 会社内 Fターム(参考) 4F072 AA01 AA07 AA08 AB02 AB05 AB06 AB07 AB08 AB09 AB10 AB11 AD33 AD38 AD43 AE01 AE12 AG03 AG20 AG22 AH06 AH12 AH16 AL09 AL17 4F100 AK01A AK01B AK01C AK12C AK15C AK25C BA03 BA07 BA10A BA10B CA30A CA30B DG01A DH01A EG002 EH462 EJ912 GB90 JB02 JB07 JB08C JB13A JB13B JB16C JK12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2層からなるプリプレグであ
    って、一方の層が熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増
    粘剤を含有する樹脂組成物に繊維強化材が含有された繊
    維強化樹脂の層からなり、他方の層が繊維強化材を含ま
    ずに、熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘剤を含有
    する樹脂組成物の層から構成されてなるプリプレグ。
  2. 【請求項2】 互いの層間ないしはその近傍に、熱硬化
    性樹脂に溶解可能な熱可塑性樹脂が存在してなる請求項
    1記載のプリプレグ。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂に溶解可能な熱可塑性樹脂
    が、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタク
    リレート、またはポリエチルアクリレートである請求項
    2記載のプリプレグ。
  4. 【請求項4】 プリプレグの製造工程では熱硬化性樹脂
    に溶解可能なフィルムが層間に敷設されて構成され、熟
    成時に該フィルムが熱硬化性樹脂に溶解し、硬化後では
    それらの互いに接する層が複合し一体化して構成される
    ものである請求項1に記載のプリプレグ。
  5. 【請求項5】 熱硬化性樹脂に溶解可能なフィルムが、
    ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレ
    ート、またはポリエチルアクリレートからなるものであ
    る請求項4に記載のプリプレグ。
  6. 【請求項6】 キャリアフィルム上に熱硬化性樹脂、光
    重合開始剤および増粘剤を含有する樹脂組成物ならびに
    繊維強化材を供給し、次いで、該熱硬化性樹脂に溶解可
    能なフィルムを積層し、さらにその上に、繊維強化材を
    含まずかつ熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘剤を
    含有する樹脂組成物を積層することを特徴とする請求項
    1に記載のプリプレグの製造方法。
  7. 【請求項7】 キャリアフィルム上に、繊維強化材を含
    まずかつ熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘剤を含
    有する樹脂組成物を供給し、次いで、該熱硬化性樹脂に
    溶解可能なフィルムを積層し、さらにその上に、熱硬化
    性樹脂、光重合開始剤および増粘剤を含有する樹脂組成
    物ならびに繊維強化材を供給して積層することを特徴と
    する請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載のプリプ
    レグからなる防水材。
JP11025253A 1999-02-02 1999-02-02 複層構造をもつプリプレグ Pending JP2000218722A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11025253A JP2000218722A (ja) 1999-02-02 1999-02-02 複層構造をもつプリプレグ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11025253A JP2000218722A (ja) 1999-02-02 1999-02-02 複層構造をもつプリプレグ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000218722A true JP2000218722A (ja) 2000-08-08

Family

ID=12160851

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11025253A Pending JP2000218722A (ja) 1999-02-02 1999-02-02 複層構造をもつプリプレグ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000218722A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002086634A (ja) * 2000-09-14 2002-03-26 Dainippon Ink & Chem Inc 防水積層構造体及びその施工方法
JP2005172180A (ja) * 2003-12-15 2005-06-30 Yamagami Material Technologies Inc 繊維強化プラスチック製構造体の製造方法
JP2007038521A (ja) * 2005-08-03 2007-02-15 Yamaha Corp 木材被覆複合体及びその製造方法
JP2008195745A (ja) * 2007-02-08 2008-08-28 Shimizu Corp 光硬化型プリプレグ
JP2010084012A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Asahi Kasei Chemicals Corp 光硬化性プリプレグシート
EP3068611B1 (de) 2013-11-15 2018-10-17 Schock GmbH Sanitärbeckenformteil

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002086634A (ja) * 2000-09-14 2002-03-26 Dainippon Ink & Chem Inc 防水積層構造体及びその施工方法
JP2005172180A (ja) * 2003-12-15 2005-06-30 Yamagami Material Technologies Inc 繊維強化プラスチック製構造体の製造方法
JP4564744B2 (ja) * 2003-12-15 2010-10-20 櫻護謨株式会社 繊維強化プラスチック製構造体の製造方法
JP2007038521A (ja) * 2005-08-03 2007-02-15 Yamaha Corp 木材被覆複合体及びその製造方法
JP2008195745A (ja) * 2007-02-08 2008-08-28 Shimizu Corp 光硬化型プリプレグ
JP2010084012A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Asahi Kasei Chemicals Corp 光硬化性プリプレグシート
EP3068611B1 (de) 2013-11-15 2018-10-17 Schock GmbH Sanitärbeckenformteil
US10214886B2 (en) * 2013-11-15 2019-02-26 Schock Gmbh Sanitary basin molded part and method for producing a sanitary basin molded part of this kind
US10640958B2 (en) 2013-11-15 2020-05-05 Schock Gmbh Sanitary basin moulded part

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5935683A (en) Waterproof material and method for applying it
KR19980071870A (ko) 구조물의 보강 방법
JPH1071661A (ja) 防水材および防水層の施工方法
JP2000218722A (ja) 複層構造をもつプリプレグ
JP2003105109A (ja) 成形体の製造方法
WO2008032677A1 (fr) Composition de résine polymérisable par voie radicalaire pour un revêtement ou un adhésif
JP2006045404A (ja) 硬化性樹脂組成物、プリプレグおよびその製造方法
JP2004306607A (ja) 着色パネル組立部品
JP2018080528A (ja) 防水構造及び防水構造の製造方法
JP2019078060A (ja) 繊維強化樹脂シート、及びその製造方法
JPH042610B2 (ja)
JP2004160988A (ja) 接着コンポジットの調製法
JP6846927B2 (ja) 熱硬化性シート状成形材料及び繊維強化プラスチックの製造方法
JP2002088176A (ja) 光硬化性プリプレグ及び防水材
JP6715666B2 (ja) シートモールディングコンパウンド、その製造方法及び成形品
EP3145969B1 (en) A method for preparing finished and semi-finished products such as prepregs based on an epoxy resin composition, and composition therefor
WO2009050593A2 (en) Process of continuous lamination of composite material and resulting panel
JPH09184304A (ja) 既存構造物の補修補強方法及びそれに用いる補修補強材
JP3469449B2 (ja) 軟質樹脂組成物及び成形品
JPH09177333A (ja) 強化繊維シートおよびこれを用いた構造物の補修補強方法
JP4374872B2 (ja) コンクリート構造体の施工方法
US5354585A (en) Molding materials and molded products thereform
JP4088716B2 (ja) 硬化性液体の注入および補強方法
JP2001342228A (ja) Frp防水用不飽和ポリエステル樹脂およびその用途
JP2002088342A (ja) 光硬化性床版防水材料、床版防水舗装構造体及び施工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050906

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060418