JP4374177B2 - 導電性微粒子及びそれを用いた有機溶剤系分散体並びに導電性塗料 - Google Patents

導電性微粒子及びそれを用いた有機溶剤系分散体並びに導電性塗料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性微粒子、及び、それを用いた有機溶剤系分散体、並びに、前記有機溶剤系分散体を用いた導電性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示機器の表示面、クリーンルーム等の窓材、ICパッケージ等の包装材として用いられるガラス、プラスチックス、あるいは、オーバーヘッドディスプレイ(OHP)、写真等に用いられるフィルムのような各種透明性基材は、一般的に絶縁体であり、静電気を帯び易い。このため、表面にゴミ、埃などが付着し易く、美観を損ねるばかりでなく、視認性の低下、製品への混入による不良品の発生、電子機器の誤動作等の問題が生じた。特に、電子機器の場合は、静電気自体も誤作動等の原因となった。
【0003】
そこで、帯電を防止し、これらの問題を解決するために、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物の微粒子を配合した導電性塗料を、基材表面に塗布することが、通常行われている。これらの導電性微粒子は、媒体に均一に分散させることができれば、優れた透明性と導電性を示すので、このような用途に適しているが、いずれも親水性が強く、塗膜を作製し易い有機溶剤系塗料で使用する場合、分散が難しく、十分な分散安定性や透明性を得ることができなかった。
【0004】
そのため、導電性微粒子の有機溶剤系での分散性を改良する方法として、界面活性剤等の分散剤を、塗料中に配合する方法が知られている。しかし、十分な透明性を得るには、多量の分散剤が必要であり、塗膜にした場合、基材との密着性や硬度等の機械的物性が低下するばかりでなく、導電性微粒子の表面を、絶縁性の分散剤が覆い、導電性も低下した。そこで、特開2001−148207号公報には、酸化スズの表面を予めシラン系、チタネート系、アルミニウム系等の有機金属カップリング剤で被覆することで、分散剤の使用量を可及的に低減させる方法が、開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−148207号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に記載の方法では導電性や分散安定性は改良されたものの、透明性と塗膜の機械的物性に更なる改善が求められている。そこで、本発明は上記のような問題点を克服し、有機溶剤中で優れた分散性を有し、有機溶剤系塗料に使用した場合、優れた透明性、導電性、塗膜の機械的物性を示す導電性微粒子、及び、それを用いた有機溶剤系分散体、並びに、導電性塗料を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の2種類の有機金属化合物を併用し、特にこれらを一定の範囲の比率で、導電性微粒子の表面に被覆することで、有機溶剤系塗料での透明性、塗膜の機械的物性が改良されることを見出した。そして、これらの知見に基づき更に検討して、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、酸化スズの導電性微粒子表面に、式(1)で表される有機金属化合物(A)またはその加水分解生成物と式(2)で表される有機金属化合物(B)またはその加水分解生成物とを被覆したことを特徴とする導電性微粒子である。
式(1):R MX (m−n)
(Rは非反応性有機基、Mは金属元素、Xはアルコキシ基を示し、mはMの原子価で2以上の整数、nは1〜(m−1)の整数である。但し、nが2以上の整数のときRはそれぞれ同一であっても異なっていても良く、(m−n)が2以上の整数のときXはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
式(2):Y ' M'X' (m ' −n '
(Yは反応性有機基、M'は金属元素、X'はアルコキシ基を示し、m'はM'の原子価で2以上の整数、n'は1〜(m'−1)の整数である。但し、n'が2以上の整数のときYはそれぞれ同一であっても異なっていても良く、(m'−n')が2以上の整数のときX'はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性微粒子は、表面に非反応性有機基と反応性有機基とを存在させることにより、これを配合した有機溶剤系の導電性塗料において、優れた透明性、導電性を示し、硬度、密着性等の機械的物性にも優れた塗膜が得られる。本発明における非反応性有機基とは、導電性塗料に用いられる硬化性樹脂成分と実質的に反応しないものを言い、例えば、アルキル基や、フェニル基、メチルスチリル基、ポリエーテル基等の官能基、またはそれらから選ばれる少なくとも1種の官能基を含む有機基等が挙げられ、特にアルキル基、フェニル基、またはフェニル基を含む有機基であれば、効果が高く好ましい。また、反応性有機基とは、硬化性樹脂成分との反応性を有するものを言い、例えば、メタクリル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、スルホン酸基、有機リン酸基、カルボキシル基等の官能基、またはそれらから選ばれる少なくとも1種の官能基を含む有機基等を適宜選択できる。
【0010】
本発明の具体的な実施形態を挙げると、導電性微粒子の表面に、例えば、式(1)で表される非反応性有機基とアルコキシ基とを含む有機金属化合物(A)、またはその加水分解生成物と、式(2)で表される反応性有機基とアルコキシ基とを含む有機金属化合物(B)、またはその加水分解生成物とを被覆する第1の形態、あるいは、式(3)で表される1分子内に非反応性有機基と反応性有機基とアルコキシ基とを含む有機金属化合物(C)、またはその加水分解生成物を被覆する第2の形態等である。特に第1の形態は、2種の有機金属化合物(A)、(B)の種類を選択したり、混合比を変えることで、種々の硬化性樹脂成分に対応させることができるので、より好ましい。
式(1):RMX(m−n)
(Rは非反応性有機基、Mは金属元素、Xはアルコキシ基を示し、mはMの原子価で2以上の整数、nは1〜(m−1)の整数である。但し、nが2以上の整数のときRはそれぞれ同一であっても異なっていても良く、(m−n)が2以上の整数のときXはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
式(2):Y 'M'X'(m ' −n '
(Yは反応性有機基、M'は金属元素、X'はアルコキシ基を示し、m'はM'の原子価で2以上の整数、n'は1〜(m'−1)の整数である。但し、n'が2以上の整数のときYはそれぞれ同一であっても異なっていても良く、(m'−n')が2以上の整数のときX'はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
式(3):R'Y'M''X'' '' −(x+y)
(R'は非反応性有機基、Y'は反応性有機基、M''は金属元素、X''はアルコキシ基を示し、m''はMの原子価で3以上の整数、x、yはそれぞれ1〜(m''−1)の整数をとりうる。しかも、x、yはx+y≦m''−1を満たす。但し、x、yが2以上の整数のときR'同士、Y'同士はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、m''−(x+y)が2以上の整数のときX''はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
【0011】
尚、加水分解生成物とは有機金属化合物に含まれるアルコキシ基(式(1)のX、式(2)のX'、式(3)のX'')の一部、または全部が加水分解されて水酸基になったものを言い、一部の水酸基同士が脱水縮合したものも加水分解生成物に含まれる。
【0012】
一般に、アルコキシ基を有する有機金属化合物、またはその加水分解生成物で導電性微粒子を被覆すると、粒子表面に存在する水酸基が、アルコキシ基と親和性を示すか、またはアルコキシ基が加水分解して生成した水酸基と脱水縮合し、有機金属化合物に含まれる非反応性有機基や反応性有機基が外部に配向して、粒子の表面物性が改質される。非反応性有機基は、導電性塗料に配合される硬化性樹脂成分と実質的に反応しないものの、ある程度の親和性を示し、反応性有機基は硬化性樹脂成分と実質的に反応し、導電性微粒子と硬化性樹脂成分とを強く親和させるので、本発明により粒子表面が改質された結果、その両方が導電性微粒子の表面に存在することにより、硬化性樹脂成分との反応性を調節でき、塗膜の硬度、密着性等の機械的物性を改善できると考えられる。非反応性有機基だけでは、硬化性樹脂成分との親和力が十分でなく、塗膜の機械的物性を改善できず、また、反応性有機基だけでは、一部が硬化性樹脂成分の重合サイトと化学的に結合し、硬化性樹脂成分が結着剤として働いて、導電性微粒子同士を凝集させ、分散性を低下させたり、あるいは、硬化性樹脂成分の硬化阻害を引き起こし、塗膜の機械的物性を低下させる。従って、前記第1の形態の場合、有機金属化合物(A)、(B)を、それぞれを単独で用いても、本発明の効果は得られない。
【0013】
前記第1の形態に用いる有機金属化合物(A)は、式(1):RMX(m−n)で表される。式(1)において、Rは非反応性有機基を示し、硬化性樹脂成分と実質的に反応しないものであり、例えば、アルキル基や、フェニル基、メチルスチリル基、ポリエーテル基等の官能基、またはそれらから選ばれる少なくとも1種の官能基を含む有機基等が挙げられ、特にアルキル基、フェニル基、またはフェニル基を含む有機基であれば、効果が高く好ましい。非反応性有機基がアルキル基の場合、その構造は、直鎖状、側鎖を有するもの、環状等、特に制限は無く、疎水性が強くなるので、炭素数が5個以上のものが好ましい。フェニル基を有する有機基の場合、フェニル基を末端に有するものであっても、側鎖に有するものであっても良く、特に制限は無い。非反応性有機基Rの個数を示すnは、1〜(m−1)の整数であり、nが2以上の整数のときRはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
【0014】
Mは金属元素を示し、ケイ素、チタニウム、アルミニウム、ジルコニウムなどの種々のものが選択できるが、金属元素がケイ素であるものは、一般的にシラン類(式(1)のm=4)と呼ばれ、安価で入手し易く、工業的、経済的に有利である。mはMの原子価を示し、2以上の整数である。
【0015】
Xはアルコキシ基を示し、その構造は直鎖状、側鎖を有するもの、環状(例えば、RM−(O−CH)等、特に制限は無い。導電性微粒子との親和性が高くなるで、アルコキシ基の炭素数は少ないものが好ましく、炭素数が1〜4個のアルコキシ基が特に好ましい。(m−n)はアルコキシ基Xの個数を示し、(m−n)が2以上の整数のときXはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
【0016】
本発明で有機金属化合物(A)として用いることのできるアルキルシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が、フェニルシラン類としては、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げられ、これらを1種用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。本発明では、ヘキシルトリメトキシシランが効果が高く特に好ましい。
【0017】
また、第1の形態で用いる、もう一方の有機金属化合物(B)は、式(2):Y 'M'X'(m ' −n ' で表される。式(2)において、Yは反応性有機基を示し、硬化性樹脂成分との反応性を有するものであり、例えば、メタクリル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、スルホン酸基、有機リン酸基、カルボキシル基等の官能基、またはそれらから選ばれる少なくとも1種の官能基を含む有機基等を適宜選択できる。前記の官能基を有する有機基の場合、官能基を末端に有するものであっても、側鎖に有するものであっても良く、特に制限は無い。反応性有機基Yの個数を示すn'は、1〜(m'−1)の整数であり、n'が2以上の整数のときYはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
【0018】
M'は金属元素を示し、種々のものを用いることができるが、金属元素がケイ素、チタニウム、アルミニウムであるものは、一般的にシラン系カップリング剤(式(2)のm=4)、チタネート系カップリング剤(式(2)のm=4)、アルミニウム系カップリング剤(式(2)のm=3)と呼ばれ、これらから選ばれる少なくとも1種であれば、本発明の効果が得られ易く好ましい。m'はM'の原子価を示し、2以上の整数である。
【0019】
X'はアルコキシ基を示し、その構造は直鎖状、側鎖を有するもの、環状(例えば、YM'−(O−CH)等、特に制限は無い。導電性微粒子との親和性が高くなるで、アルコキシ基の炭素数は少ないものが好ましく、炭素数が1〜4個のアルコキシ基が特に好ましい。(m'−n')はアルコキシ基X'の個数を示し、(m'−n')が2以上の整数のときX'はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
【0020】
本発明で有機金属化合物(B)として用いることのできるシラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が、チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチルー1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が、アルミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられ、これらを1種用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。本発明では、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネートが効果が高く特に好ましい。
【0021】
有機金属化合物(A)及び(B)に含まれる金属元素(式(1)のM、式(2)のM')は同一であっても異なっていても良く、アルコキシ基(式(1)のX、式(2)のX')は、同一であっても、異なっていても良い。
【0022】
前記の第2の形態で用いる有機金属化合物(C)は、式(3):R'Y'M''X'' '' −(x+y)で表される。式(3)のR'は非反応性有機基、Y'は反応性有機基、M''は金属元素、X''はアルコキシ基を示し、それぞれ式(1)R、M、Xや、(2)のY、M''、X'と同様のもので良い。より好ましくは、R'が炭素数が5個以上のアルキル基であり、M''がケイ素であり(シラン系カップリング剤、式(3)のm''=4)、X''の炭素数が1〜4個である。非反応性有機基R'及び反応性有機基Y'の個数を示すx、yは、それぞれ1〜(m''−1)の整数をとりうる。しかも、x、yはx+y≦m''−1を満たし、x、yが2以上の整数のとき、R'同士、Y'同士は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。m''−(x+y)はアルコキシ基X''の個数を示し、2以上の整数のときX''はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。m''はM''の原子価を示し、3以上の整数である。
【0023】
本発明で有機金属化合物(C)として用いることのできるシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル(n−ペンチル)ジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル(n−ペンチル)ジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル(n−ペンチル)ジエトキシシラン等が挙げられる。
【0024】
有機金属化合物(A)及び(B)、またはそれらの加水分解生成物の合計被覆量、あるいは有機金属化合物(C)、またはその加水分解生成物の被覆量は、導電性微粒子に対して0.01〜30重量%の範囲が好ましく、0.05〜15重量%の範囲がより好ましい。合計被覆量が少なくとも前記範囲であれば、導電性、透明性、機械的物性に優れた塗膜を作製することができるが、0.01重量%より少ないと、本発明の所望の効果が得られ難いため好ましくなく、30重量%より多いと、粒子表面が絶縁性の前記化合物で覆われ、導電性が低下し易いため好ましくない。有機金属化合物(A)及び(B)、またはそれらの加水分解生成物の被覆量の重量比は、A/Bで表して0.1/1〜10/1の範囲が好ましく、0.5/1〜5/1がより好ましく、0.25/1〜4/1が更に好ましい。被覆量の比率が少なくとも前記範囲であれば、導電性、透明性、機械的物性に優れた塗膜を作製することができるが、前記範囲より小さいと、塗膜の機械的物性が低下し易く、あるいは導電性微粒子が著しく凝集して塗料化でき難いため好ましくなく、前記範囲より大きいと、良好な分散性が得られ難く、透明性が低くなり易いため好ましくない。
【0025】
本発明においては、表面に非反応性有機基と反応性有機基とを存在させる導電性微粒子、あるいは、前記化合物を被覆する導電性微粒子は、球状や、針状、棒状、紡錘状、樹枝状、板状等の異方性形状、粒塊状等の不定等、その形状は特に制限は無い。導電性微粒子の大きさは、比表面積で10〜150m/gの範囲にあるのが好ましい。比表面積が少なくとも前記範囲であれば、透明性に優れた塗膜を作製することができるが、前記範囲より小さいと、塗膜にした際の平滑性が低下し易く、また前記範囲より大きいと、表面エネルギーが大きくなり、分散性が低下し透明性が得られ難いばかりでなく、所望の効果を得るのに、前記化合物を多量に被覆する必要があり、経済的に不利になり易い。好ましい粒子径は、粒子形状によって異なるが、例えば、球状粒子であれば、平均粒子径が0.005〜0.1μmの範囲が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.03μmの範囲であり、針状粒子であれば、平均短軸径が0.005〜0.1μm、平均長軸径が0.1〜10μmの範囲が好ましく、平均短軸径が0.01〜0.02μm、平均長軸径が0.2〜2μmの範囲が更に好ましい。尚、比表面積はBET法で測定してもので、粒子径はいずれも電子顕微鏡法による、50%粒子径である。
【0026】
導電性微粒子は所望の導電性を有する微細粒子であって、公知のものを用いることができる。例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いることができるが、特に酸化スズが好ましい。酸化スズ微粒子には、導電性を更に向上させる目的で、アンチモン、リン、フッ素、タングステン、タンタル、ニオブなどの異種の元素が、その内部に含まれていても良い。中でも、アンチモンは導電性の改良効果が高いので好ましく、酸化スズ微粒子に対してアンチモンがSbとして0.5〜20重量%の範囲で含まれるのが好ましく、より好ましい範囲は8〜15重量%である。アンチモンの量が0.5重量%より少ないと、所望の効果が得られ難く、20重量%より多いと、粉末の着色が強くなり易い。更には、分散性改善の目的で、ケイ素、タングステン、ジルコニウム、アルミニウムなどの異種の元素をその粒子内部に含まれていても良く、もしくは、それらの酸化物または水和酸化物を、粒子表面に被覆しても良い。
【0027】
本発明の導電性微粒子を製造するには、先ず、基体となる導電性微粒子を調製する。それらの調製には公知の方法を適用でき、例えば、酸化スズ微粒子であれば、(1)スズ化合物の中和生成物を加熱焼成する方法、(2)塩化スズの加水分解生成物を加熱焼成する方法、等の方法が挙げられる。アンチモン、ケイ素等の異種の元素を粒子内部に含ませる場合は、例えば、(1)の方法においては、中和する際に、異種元素の化合物を加え、スズと共沈させたり、(2)の方法においては、異種元素の塩化物を加え、塩化スズと共に加水分解しても良い。また、ケイ素、アルミニウム等の異種元素の酸化物または水和酸化物を、粒子表面に被覆する場合は、例えば、(1)や(2)の方法で得られた導電性微粒子をスラリー化し、異種元素の化合物を添加し中和すれば良い。加熱焼成または表面被覆した後は、気流式粉砕機、衝撃式粉砕機、摩砕機等の粉砕機により、適宜粉砕することができる。
【0028】
次いで、得られた導電性微粒子の表面に、前記化合物を被覆する。被覆処理は、所謂乾式法、湿式法のいずれを用いても良く、適宜選択できる。乾式法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機を用い、導電性微粒子を攪拌しながら、あるいは、ジェットミル等の気流式粉砕機を用い、導電性微粒子を粉砕しながら、有機金属化合物(A)、(B)、(C)、またはそれらをアルコール等の有機溶剤に溶解した溶液を添加する等の方法が挙げられる。湿式法を適用するのであれば、前記有機金属化合物が疎水性を有するので、導電性微粒子を有機溶剤に分散させた後、前記有機金属化合物を添加し、遠心分離により固液分離する方法が好ましい。前記有機金属化合物の加水分解生成物を被覆する場合、加水分解により生成した水酸基と導電性微粒子の表面に存在するに水酸基とが脱水縮合し、強固に結合するので、水性スラリー中で被覆処理を行い、濾過により固液分離することもできる。2種以上の化合物を添加する場合、それぞれ別々に添加しても、それらを混合した混合物として添加しても良い。
【0029】
次に本発明は、導電性微粒子の有機溶剤系分散体であって、表面に非反応性有機基と反応性有機基とを存在させた導電性微粒子、あるいは、前記化合物を被覆した導電性微粒子のほかに、分散剤、分散媒体としての有機溶剤とを少なくとも含むものである。本発明では、前記化合物の被覆と分散剤とを併用することにより、親水性の強い導電性微粒子を、有機溶剤に十分に分散させることができ、それぞれ単独では、本発明の効果は得られ難い。本発明の有機溶剤系分散体は、導電性微粒子が予め高度に、長期間安定して分散されているので、分散体に硬化性樹脂成分またはその有機溶剤の溶解液とを、羽根型攪拌機、ディスパー、ホモミキサー、ディゾルバー、インペラーミル等を用いて撹拌・混合することにより、後述の導電性塗料を工業的、経済的に有利に提供できる。
【0030】
本発明の有機溶剤系分散体には、前記導電性微粒子が10〜70重量%の範囲で、分散剤が0.01〜20重量%の範囲で、含まれるのが好ましい。導電性微粒子の量が少なくとも前記範囲であれば所望の導電性が得られ易いが、前記範囲より少ないと、導電性塗料にした場合に所望の導電性が得られ難く、前記範囲より多いと分散性の優れた分散体が工業的に得られ難い。分散剤が前記範囲より少ないと、導電性微粒子を分散安定化させ難く、前記範囲より多いと、塗膜の機械的物性が低下し易いばかりでなく、導電性微粒子の表面を、絶縁性の分散剤が覆うので、導電性も低下し易い。導電性微粒子のより好ましい量は、15〜50重量%の範囲であり、分散剤のより好ましい量は、0.1〜10重量%の範囲である。
【0031】
本発明で用いることのできる分散剤としては、4級アンモニウム等のカチオン系、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等のアニオン系、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型等のノニオン系のいずれも良く、導電性微粒子に吸着されるものであれば特に限定されないが、通常、導電性微粒子は溶液中で負に帯電するので、静電気的に吸着されるカチオン系分散剤は、その中でも効果が高く好ましい。分散剤は1種を単独で用いても、2種を併用しても良いが、2種を併用する場合、有機溶剤に対する溶解度が異なるものを用いると、導電性微粒子をより安定して分散させることができるので好ましい。
【0032】
有機溶剤としては、一般的に塗料に用いるものであれば特に制限は無く、導電性塗料に配合される硬化性樹脂成分との相溶性等に応じて、適宜選択できる。本発明で用いることのできる有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール類、酢酸ブチル等のエステル類、エチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香属類、ミネラルスピリット、ベンジン等の脂肪属炭化水素類等が挙げられる。
【0033】
本発明の有機溶剤系分散体は、例えば、前記化合物を被覆した導電性微粒子、分散剤、有機溶剤、必要に応じて消泡剤、増粘剤等の各種添加剤を加え、予備混合した後、サンドミル、ボールミル等の通常用いられる粉砕機を用いて湿式粉砕し、分散させて得られる。湿式粉砕時の固形分濃度(導電性微粒子及び分散剤の合計量。場合によってはその他の添加剤の量も含まれる。)は、10〜90重量%の範囲が好ましい。固形分濃度が前記範囲より高いと、流動性が低下して、湿式粉砕が困難になり易く、前記範囲より低いと、多量の有機溶剤が必要となり工業的に不利になり易い。より好ましい範囲は、30〜60重量%である。分散体中の最終的な固形分濃度は、使用する用途に応じて有機溶剤を添加することにより、適宜調整することができる。
【0034】
更に、本発明は導電性塗料であって、前記有機溶剤系分散体と硬化性樹脂成分とを少なくとも含むものである。本発明の導電性塗料により、あらゆる基材上に、透明性、導電性、塗膜の機械的物性のいずれの特性にも優れた導電性塗膜が得られる。特に、アクリル板、塩ビ板、フィルム、ガラス板等の透明性基材に塗布することにより、基材本来の透明性を損なうこと無く、帯電を防止することができる。導電性塗料の塗布には、バーコート、ハケ塗り、ローラーコート、スプレーコート、静電塗装、スピンコート、ディップコート等の、常用される塗布方法を用いることができる。
【0035】
本発明に用いることのできる硬化性樹脂成分としては、通常塗料に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、塩ビー酢ビ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリルースチレン共重合体等を必要に応じて適宜選択することができる。硬化性樹脂成分の量は、導電性塗料中に5〜90重量%の範囲が好ましく、5〜50重量%の範囲が更に好ましい。
【0036】
本発明の導電性塗料には、有機溶剤系分散体と硬化性樹脂成分以外にも、通常塗料に用いられる各種の添加剤が配合されていても良く、目的に応じて適宜選択することができる。そのような添加剤として、例えば、硬化剤、硬化助剤、可塑剤、乳化剤、消泡剤、増粘剤、流動性調整剤、皮張り防止剤、色分れ防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、増量剤等が挙げられる。
【0037】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0038】
1.導電性微粒子の調製
実施例1
導電性微粒子として球状アンチモン含有導電性酸化スズ(SN−100P:石原産業製、比表面積70m/g、平均粒子径0.02μm)100gをジュースミキサーで撹拌しながら、非反応性有機基を有する有機金属化合物(A)としてヘキシルトリメトキシラン(AZ−6177:日本ユニカー製)、反応性有機基を有する有機金属化合物(B)としてメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503:信越化学工業製)を用い、A/Bの重量比で1/1の混合液5gを添加し、攪拌・混合後、150℃の温度で40分間乾燥して、本発明の導電性微粒子(試料A)を得た。この試料Aは、有機金属化合物(A)及び(B)の被覆量の重量比をA/Bで表して1/1であり、(A)及び(B)の合計被覆量は導電性微粒子に対し約5重量%であった。
【0039】
実施例2
AZ−6177/KBM−503の重量比を0.25/1とした以外は実施例1と同様にして、本発明の導電性微粒子(試料B)を得た。この試料Bは、有機金属化合物(A)及び(B)の被覆量の重量比をA/Bで表して0.25/1であり、(A)及び(B)の合計被覆量は導電性微粒子に対し約5重量%であった。
【0040】
実施例3
AZ−6177/KBM−503の重量比を4/1とした以外は実施例1と同様にして、本発明の導電性微粒子(試料C)を得た。この試料Cは、有機金属化合物(A)及び(B)の被覆量の重量比をA/Bで表して4/1であり、(A)及び(B)の合計被覆量は導電性微粒子に対し約5重量%であった。
【0041】
実施例4
反応性有機基を有する有機金属化合物(B)としてイソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート(プレンアクト 338X:味の素製)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の導電性微粒子(試料D)を得た。この試料Dは、有機金属化合物(A)及び(B)の被覆量の重量比をA/Bで表して1/1であり、(A)及び(B)の合計被覆量は導電性微粒子に対し約5重量%であった。
【0042】
実施例5
導電性微粒子、非反応性有機基を有する有機金属化合物(A)及び反応性有機基を有する有機金属化合物(B)として、実施例1と同じSN−100P、AZ−6177、KBM−503を用いた。SN−100P 100gを1リットルのトルエンに分散させスラリー化した後、AZ−6177/KBM−503の1/1混合液5gを添加し、混合・攪拌し、トルエンの沸点まで加熱してから、更に1時間攪拌した。このスラリーを遠心分離機により固液分離した後、真空乾燥し、本発明の導電性微粒子(試料E)を得た。この試料Eは、有機金属化合物(A)及び(B)の被覆量の重量比をA/Bで表して1/1であり、(A)及び(B)の合計被覆量は導電性微粒子に対し約5重量%であった。
【0043】
比較例1
非反応性有機基を有する有機金属化合物(A)(AZ−6177)5gを用い、反応性有機基を有する有機金属化合物(B)を用いないこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子(試料F)を得た。この試料Fは、非反応性有機基を有する有機金属化合物(A)の単独被覆であり、被覆量は導電性微粒子に対し約5重量%であった。
【0044】
比較例2
反応性有機基を有する有機金属化合物(B)(KBM−503)5gを用い、非反応性有機基を有する有機金属化合物(A)を用いないこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子(試料G)を得た。この試料Gは、反応性有機基を有する有機金属化合物(B)の単独被覆であり、被覆量は導電性微粒子に対し約5重量%であった。
【0045】
比較例3
反応性有機基を有する有機金属化合物(B)(プレンアクト 338X)5gを用い、非反応性有機基を有する有機金属化合物(A)を用いないこと以外は、実施例4と同様にして導電性微粒子(試料H)を得た。この試料Hは、反応性有機基を有する有機金属化合物(B)の単独被覆であり、被覆量は導電性微粒子に対し約5重量%であった。
【0046】
2.有機溶剤系分散体の調製
実施例6〜10、比較例4〜6
実施例1〜5、比較例1〜3で得られた導電性微粒子(試料A〜H)24.8g、カチオン系分散剤(カチナール CB−50:東邦化学製)1g、メチルエチルケトン41.3gをガラス瓶に仕込み、ジルコンビーズ100gを加え、ペイントコンディショナー(5110型:レッドデビル社製)にて90分間分散して有機溶剤系分散体を得た。それぞれを、実施例6〜10(試料I〜M)、比較例4〜6(試料N〜P)とする。
【0047】
3.導電性塗料の調製
実施例11〜15、比較例7、8
実施例6〜10、比較例4、6で得られた有機溶剤分散体(試料I〜N、P)の固形分濃度30%に調整した後、下記の塗料化処方により、ディスパーを用いて攪拌・混合し、本発明の導電性塗料を得た。それぞれを、実施例7〜9(試料Q〜U)、比較例7、8(試料V、W)とする。尚、比較例5は著しく粘度が高く、塗料化ができなかった。
【0048】
(塗料化処方)
有機溶剤系分散体(固形分濃度30重量%) 29.5 g
紫外線硬化型アクリル樹脂
(KAYARAD DPHA:日本化薬製) 2.5 g
重合開始剤
(KYACURE DETX−S:日本化薬製) 0.025g
重合促進剤
(KYACURE EPA:日本化薬製) 0.05 g
メチルエチルケトン 0.56 g
【0049】
評価1
実施例5〜10、比較例4〜6の有機溶剤系分散体(試料I〜P)の粘度を、粘度計(RE80L型:東機産業製)を用いて測定した。また、マイクロトラック(UPA型:日機装製)を用い、分散体中の導電性酸化スズの凝集粒子のメジアン径を測定し、これを分散体の分散性の指標とした。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0004374177
【0051】
実施例11〜15、比較例7、8の導電性塗料(試料Q〜W)を、乾燥膜厚が2.3μmになるように、バーコーターでガラス板上に塗布し、自然乾燥後、紫外線を照射して塗膜を形成させた。得られた塗膜の表面抵抗率を、ハイレスターUP(MCP−HT450型:三菱化学製)を用い、ヘイズ率をヘイズメーター(NDH―300A型:日本電色工業製)を用いてそれぞれ測定し、鉛筆硬度をJIS K5400に従って評価した。その結果を、表2に示す。本発明の導電性塗料は、導電性、透明性、塗膜硬度のいずれにも優れた塗膜が得られることが判る。
【0052】
【表2】
Figure 0004374177
【0053】
【発明の効果】
本発明の導電性微粒子は、非反応性有機基と反応性有機基とを粒子表面に存在させたものである。非反応性有機基と反応性有機基の両方を導電性微粒子の表面に存在させることにより、有機溶剤に分散した際の分散性を向上させるとともに、さらに、塗膜とした際の透明性、導電性、機械的物性を向上させることができ、あらゆる基材の導電性付与剤、帯電防止剤として有用であり、特に、各種透明性基材の帯電防止に有用である。本発明のより具体的な実施形態は、導電性微粒子表面に前記式(1)で表される非反応性有機基とアルコキシ基とを含む有機金属化合物(A)、またはその加水分解生成物と、前記式(2)で表される反応性有機基とアルコキシ基とを含む有機金属化合物(B)、またはその加水分解生成物とを被覆したものであり、あるいは、前記式(3)で表される1分子内に非反応性有機基と反応性有機基とアルコキシ基とを含む有機金属化合物(C)、またはその加水分解生成物を被覆したものであり、特に前者の形態が好ましい。
【0054】
また、本発明の有機溶剤系分散体は、非反応性有機基と反応性有機基とを粒子表面に存在させた、あるいは、前記化合物を被覆した導電性微粒子のほかに、分散剤、分散媒体としての有機溶剤とを少なくとも含むものであって、有機溶剤に親水性の強い導電性微粒子を高度に、長期間安定して分散しているので、硬化性樹脂成分を加えて調製する導電性塗料を簡単に製造することができる。
【0055】
更に、本発明の導電性塗料は、前記有機溶剤系分散体と硬化性樹脂成分とを少なくとも含むものであって、あらゆる基材上に、透明性、導電性、塗膜の機械的物性のいずれの特性にも優れた塗膜を常用される塗布方法を用いて簡便に製造することができる。

Claims (14)

  1. 化スズの導電性微粒子表面に、式(1)で表される有機金属化合物(A)またはその加水分解生成物と式(2)で表される有機金属化合物(B)またはその加水分解生成物とを被覆したことを特徴とする導電性微粒子。
    式(1):R MX (m−n)
    (Rは非反応性有機基、Mは金属元素、Xはアルコキシ基を示し、mはMの原子価で2以上の整数、nは1〜(m−1)の整数である。但し、nが2以上の整数のときRはそれぞれ同一であっても異なっていても良く、(m−n)が2以上の整数のときXはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
    式(2):Y ' M'X' (m ' −n '
    (Yは反応性有機基、M'は金属元素、X'はアルコキシ基を示し、m'はM'の原子価で2以上の整数、n'は1〜(m'−1)の整数である。但し、n'が2以上の整数のときYはそれぞれ同一であっても異なっていても良く、(m'−n')が2以上の整数のときX'はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
  2. 有機金属化合物(A)またはその加水分解生成物と有機金属化合物(B)またはその加水分解生成物との被覆量の重量比をA/Bで表して0.1/1〜10/1の範囲にあることを特徴とする請求項記載の導電性微粒子。
  3. 有機金属化合物(A)またはその加水分解生成物と有機金属化合物(B)またはその加水分解生成物の合計被覆量が導電性微粒子に対し0.01〜30重量%の範囲にあることを特徴とする請求項記載の導電性微粒子。
  4. 式(1)のMがケイ素であることを特徴とする請求項記載の導電性微粒子。
  5. 式(1)のRがアルキル基、フェニル基またはフェニル基を含む有機基であることを特徴とする請求項記載の導電性微粒子。
  6. 式(1)で表される有機金属化合物がヘキシルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項記載の導電性微粒子。
  7. 式(2)のM'がケイ素、チタニウムまたはアルミニウムであることを特徴とする請求項記載の導電性微粒子。
  8. 式(2)のYがメタクリル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、スルホン酸基、有機リン酸基、カルボキシル基またはそれらから選ばれる少なくとも1種の官能基を含む有機基であることを特徴とする請求項記載の導電性微粒子。
  9. 式(2)で表される有機金属化合物がメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネートから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項記載の導電性微粒子。
  10. 酸化スズ微粒子の比表面積が10〜150m /gの範囲であることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
  11. 酸化スズ微粒子内部にアンチモンを含むことを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
  12. 請求項1に記載の導電性微粒子、分散剤及び分散媒体としての有機溶剤を少なくとも含むことを特徴とする有機溶剤系分散体。
  13. 請求項12に記載の有機溶剤系分散体と硬化性樹脂成分とを少なくとも含むことを特徴とする導電性塗料。
  14. 請求項13に記載の導電性塗料を基材に塗布してなることを特徴とする導電性塗膜。
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