JP2006202704A - 導電性酸化スズ粉末及びそれを用いた導電性塗料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リン固溶導電性酸化スズ粒子の表面に式1で表される有機金属化合物またはその加水分解生成物を被覆して、導電性の経時安定性を改善する。
式1:(ROCO)a(Mm+)Xm−(a+b)
│
Yb
(式1中、Rはアルキル基、Yはカルボン酸エステル基を除く非加水分解性官能基、Xは加水分解性基、Mはm価の金属元素を示す。aは1以上、bは0以上、mは2以上の整数で、m−(a+b)≧1を満たす。尚、a、b、m−(a+b)が2以上のとき、R、Y、Xのそれぞれは同一であっても異なっていても良い。)
【選択図】なし
Description
式1:(ROCO)a(Mm+)Xm−(a+b)
│
Yb
(式1中、Rはアルキル基、Yはカルボン酸エステル基を除く非加水分解性官能基、Xは加水分解性基、Mはm価の金属元素を示す。aは1以上、bは0以上、mは2以上の整数で、m−(a+b)≧1を満たす。尚、a、b、m−(a+b)が2以上のとき、R、Y、Xのそれぞれは同一であっても異なっていても良い。)
また、本発明は、前記のリン固溶導電性酸化スズ粉末と硬化性樹脂成分とを少なくとも含むことを特徴とする導電性塗料である。
(I)有機金属化合物としては、(イ)有機チタニウム化合物((a)アミノアルコキシチタニウム(例えば、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等)、(b)リン酸エステルチタニウム(例えば、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等)、(c)カルボン酸エステルチタニウム(例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等)、(d)スルホン酸エステルチタニウム(例えば、イソプロピル−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネート等)、(e)チタニウムキレート(例えば、チタニウムジイソプロポキシビスアセチルアセトネート、チタニウムジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート、オクチレングリコールチタネート等)、(f)亜リン酸エステルチタニウム錯体(例えば、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等)等)、(ロ)有機ジルコニウム化合物((a)カルボン酸エステルジルコニウム(例えば、ジルコニウムトリブトキシステアレート等)、(b)ジルコニウムキレート(例えば、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等)等)、(ハ)有機アルミニウム化合物(アルミニウムキレート(例えば、アルミニウムアセチルアセトネートジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、オクタデシレンアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等)等)、または、それらの加水分解生成物等が挙げられる。また、(ニ)有機ケイ素化合物としては、(1)オルガノポリシロキサン類((a)ストレート型ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルメトキシポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等)、(b)変性型ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサンジオール、ジメチルポリシロキサンジハイドロジェン、側鎖または両末端アミノ変性ポリシロキサン、側鎖または両末端または片末端エポキシ変性ポリシロキサン、両末端または片末端メタクリル変性ポリシロキサン、側鎖または両末端カルボキシル変性ポリシロキサン、側鎖または両末端または片末端カルビノール変性ポリシロキサン、両末端フェノール変性ポリシロキサン、側鎖または両末端メルカプト変性ポリシロキサン、両末端または側鎖ポリエーテル変性ポリシロキサン、側鎖アルキル変性ポリシロキサン、側鎖メチルスチリル変性ポリシロキサン、側鎖カルボン酸エステル変性ポリシロキサン、側鎖フルオロアルキル変性ポリシロキサン、側鎖アルキル・カルビノール変性ポリシロキサン、側鎖アミノ・両末端カルビノール変性ポリシロキサン等)等、または、それらの共重合体)、(2)オルガノシラン類((a)アミノシラン(例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等)、(b)エポキシシラン(例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等)、(c)メタクリルシラン(例えば、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、(d)ビニルシラン(例えば、ビニルトリエトキシシラン等)、(e)メルカプトシラン(例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、(f)クロロアルキルシラン(例えば、3−クロロプロピルトリエトキシシラン)、(g)アルキルシラン(例えば、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルメチルジメトキシシラン等)、(h)フェニルシラン(例えば、フェニルトリエトキシシラン等)、(i)フルオロアルキルシラン(例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等)等、または、それらの加水分解生成物)、(3)オルガノシラザン類(例えば、ヘキサメチルシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等)等が挙げられる。
(II)多価アルコール類としては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
(III)アルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等が、それらの誘導体としては、酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
(IV)高級脂肪酸類としては、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸等が、それらの金属塩としては、アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等が挙げられる。
(V)高級炭化水素類としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が、それらの誘導体としては、パーフルオロ化物等が挙げられる。
尚、有機金属化合物、オルガノシラン類の加水分解生成物とは、これらが有する加水分解性基が加水分解されて水酸基に転位したもの、加水分解されたモノマー同士が縮重合してダイマー、オリゴマー、ポリマーになったもの等を言う。
式1:(ROCO)a(Mm+)Xm−(a+b)
│
Yb
(式1中、Rはアルキル基、Yはカルボン酸エステル基を除く非加水分解性官能基、Xは加水分解性基、Mはm価の金属元素を示す。aは1以上、bは0以上、mは2以上の整数で、m−(a+b)≧1を満たす。尚、a、b、m−(a+b)が2以上のとき、R、Y、Xのそれぞれは同一であっても異なっていても良い。)
上記の式1で表される有機金属化合物が有する加水分解性基(式1中のX)は、粒子表面に存在する水酸基と強い親和性を示すか、または、加水分解され水酸基に転化すると粒子表面の水酸基と脱水縮合するので、カルボン酸エステル基(−OCOR)が粒子表面から外側へ配向していると考えられる。リン固溶導電性酸化スズ粉末の導電性が不安定であったのは、粒子表面へ酸素が吸着し、伝送電子がこの酸素によりトラップされることによるものと考えられ、カルボン酸エステル基が粒子表面を保護し、酸素吸着を抑制するのに最も適した官能基であるので、経時安定性が改善されるものと推測される。例えば、本発明の導電性酸化スズ粉末の経時安定性を指標で表すと、初期の粉体抵抗値をr1、80±1℃の温度で10日間加熱した後の粉体抵抗値をr2とした場合、粉体抵抗値の変化量(r2−r1)を100Ωcm以下にすることができる。しかも、初期粉体抵抗値r1を500Ωcm以下にすることができ、帯電防止用途して十分な性能を有している。尚、前記有機金属化合物またはその加水分解生成物は、粒子表面に均一に被覆されている必要はなく、本発明の効果を阻害しない範囲で、粒子表面に未被覆の部分があっても良い。また、加水分解生成物とは、前記有機金属化合物が有する加水分解性基(式1中のX)の一部または全部が加水分解され水酸基になったものであり、水酸基同士が脱水縮合したオリゴマー、ポリマー等も含まれる。
1.リン固溶導電性酸化スズ粒子の調製
塩化第二スズ(SnCl4・5H2O)500g及び85%オルトリン酸(H3PO4)8.8gの3規定塩酸溶液200ミリリットルを、90℃の温度の水に添加し、同時に水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7〜7.5に維持するように中和し、中和生成物を得た。次いで、塩酸にてpHを3に調整し中和生成物を固液分離、洗浄、110℃で12時間乾燥し、電気炉にて1000℃で1時間加熱焼成した後、気流粉砕機を用いて粉砕し、リン固溶導電性酸化スズ粒子を得た。このものはSnO2換算の導電性酸化スズ粒子に対し、リンをP2O5換算で2.5重量%含み、43m2/gの比表面積を有していた。
前記のリン固溶導電性酸化スズ粒子100gをジュースミキサーで撹拌しながら、有機化合物としてイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(プレンアクトKR−TTS:味の素製)2.5gを添加し、撹拌・混合後、150℃の温度で20分間乾燥して、本発明の導電性酸化スズ粉末(試料A)を得た。
有機化合物(KR−TTS)を用いないこと以外は、実施例1と同様にして導電性酸化スズ粉末(試料B)を得た。
先ず、実施例1、比較例1の導電性酸化スズ粉末(試料A、B)の初期の粉体抵抗値(r1)を測定した。試料1gを9.8MPaの圧力で円柱状(18mmφ)に成形し、直流抵抗をデジタルマルチメーター(Model 75501−1−D型:横河電気製)を用いて測定し、粉体抵抗値を式2により算出した。その後、試料を80℃の温度に設定した乾燥機中に入れ、10日後に試料を取りだし、それぞれ前記の方法と同様にして、粉体抵抗値(r2)を測定した。結果を表1に示す。
式2:粉体抵抗値=測定値×円柱の断面積/円柱の厚み
Claims (4)
- 結晶内にリンが固溶された導電性酸化スズ粒子の表面に式1で表される有機金属化合物またはその加水分解生成物の被覆を有することを特徴とする導電性酸化スズ粉末。
式1:(ROCO)a(Mm+)Xm−(a+b)
│
Yb
(式1中、Rはアルキル基、Yはカルボン酸エステル基を除く非加水分解性官能基、Xは加水分解性基、Mはm価の金属元素を示す。aは1以上、bは0以上、mは2以上の整数で、m−(a+b)≧1を満たす。尚、a、b、m−(a+b)が2以上のとき、R、Y、Xのそれぞれは同一であっても異なっていても良い。) - 初期の粉体抵抗値をr1、80±1℃の温度で10日間加熱後の粉体抵抗値をr2とすると、r1≦500Ωcm且つr2−r1≦100Ωcmであることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化スズ粉末。
- 有機金属化合物がイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ジルコニウムトリブトキシステアレートから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化スズ粉末。
- 請求項1に記載の導電性酸化スズ粉末と硬化性樹脂成分とを少なくとも含むことを特徴とする導電性塗料。
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- 2005-01-24 JP JP2005016006A patent/JP2006202704A/ja active Pending
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