JP4373878B2 - 人工皮革用基材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、人工皮革用基材の製造方法に関し、さらに詳しくは感熱凝固法による人工皮革用基材の製造方法に関する。
繊維集合体と高分子弾性体からなる人工皮革が、軽さ、イージーケアー、低価格などの特徴から、天然皮革代替物として靴、ボール、鞄、家具・車輌、衣料用、一般資材およびスポーツ分野などに幅広く利用されている。
これまでの人工皮革の製造法としては、例えば不織布などの繊維集合体に高分子弾性体の有機溶剤溶液を含浸し水中で有機溶剤を抽出除去する湿式凝固方法により人工皮革用基材とし、次いでその表面を加工して、例えば高分子弾性体からなる表皮層を形成する方法が広く採用されていた。しかしこのようにして得られた人工皮革には、製造中に有機溶媒が大量に使用されるという問題があり、現在では含浸液を水性タイプに移行するための研究が盛んに行われている。
しかし、この水系の含浸液を用いる方法では、十分に満足できる風合いと物性を有した人工皮革は得られていないのが現状である。その理由の主原因としてはマイグレーション現象が発生することが考えられる。すなわち、有機溶剤タイプが溶剤の水との置換(抽出)によって高分子弾性体が凝固し高分子弾性体自体の移動は少ないのに対し、水性タイプでは水の移動(蒸発乾燥)によって高分子弾性体が凝固するので水分の蒸発する方向に高分子弾性体が移動するマイグレーションが発生するからである。このようなマイグレーションが発生した場合、特に表面に膜が形成された銀付調人工皮革において、得られた人工皮革の表面を内側に折り曲げたときに大きな深い折れシワが生じ、このシワ跡が回復しないため靴として成型、着用した場合につま先部分に大きなシワが残るという問題があった。またボールでは運搬時に空気を抜き、半球状に折りたたみ、運搬後に空気を入れる場合が多いが、マイグレーションが発生した人工皮革では、このときにシワ跡が残り商品価値が低下するという問題があった。
これらを解決するため、水性タイプの高分子弾性体に感熱凝固性を持たせることが以前より試みられており、例えば特許文献1には含浸された繊維集合体にスチーム(加圧水蒸気)を吹き付けて凝固させる方法が提案されている。しかし、スチームを吹き付ける際にどうしてもムラが発生し、基材中での含浸液のマイグレーションの状態が変化し、局所的に凝固状態が変化するという問題があった。
特開2000−290879号公報
本発明は上記従来技術の有する問題点を鑑みなされたもので、その目的は、有機溶剤を使用しない環境に優しい水性タイプの高分子弾性体において、含浸凝固時のマイグレーションを防止し、風合いの優れた人工皮革用基材の製造方法を提供することにある。
本発明の人工皮革用基材の製造方法は、繊維集合体に感熱凝固性の高分子弾性体を含浸した後、常圧の水蒸気とその水蒸気に由来する水滴が存在し、該水蒸気が感熱凝固ゾーン内に存在する水槽の水面から発生したものであり、かつ80℃以上である感熱凝固ゾーン内にて処理することを特徴とする。
また水蒸気が、水中に加圧水蒸気を吹き込むことにより発生したものであることが好ましく、感熱凝固ゾーン出口が、60℃以上の熱水によりシールされていることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、環境に優しい水性タイプの高分子弾性体であるのもかかわらず、含浸凝固時のマイグレーションを防止し、風合いの優れた人工皮革用基材の製造方法を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、繊維集合体に感熱凝固性の高分子弾性体を含浸し、その後感熱凝固させる人工皮革用基材の製造方法である。
本発明で用いられる繊維集合体を構成する繊維としては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリオレフィンなどの従来公知の繊維形成可能な合成樹脂の一種、あるいは二種以上の樹脂からなる繊維が使用出来、あるいは天然繊維を混合することが出来る。この中でも、合成繊維を用いることが好ましく、ポリエステル、ポリアミドまたはポリエステル/ポリアミド混合繊維を用いることが特に好ましい。繊維となるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどがあげられ、ポリアミド系樹脂としては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12などがあげられる。中でもポリエチレンテレフタレート、ナイロン−6などが、工程安定性やコスト面から好ましい。また、繊維が海島型の混合紡糸繊維、複合紡糸繊維、あるいは剥離分割型複合繊維等で、該繊維分割後の単繊度が、0.01dtex以上0.4dtex以下のものがさらに好ましい。
本発明で用いられる繊維集合体は、上述の繊維からなる不織布、織編物であるが、本発明で得られる人工皮革用基材が、より天然皮革らしい風合いを得るためには、不織布であることが好ましい。これらの繊維を不織布に形成する方法としては、短繊維からのカーディング、交絡処理による方法、あるいは長繊維のダイレクトシート化、交絡処理による方法などの従来から公知の方法が採用できる。さらに緻密でかつ均質な不織布を得るためには、極細繊維化される前の剥離分割型複合繊維を用い、高圧水流により絡合させた繊維集合体であることが好ましい。
また繊維集合体は、例えば構成繊維の一部が熱収縮性繊維である繊維集合体を収縮処理することにより、収縮緻密化、高密度化し、得られる繊維集合体の見かけ密度が0.3〜0.6g/cmであることが好ましい。熱収縮性繊維としては、高温多湿雰囲気中で収縮する合成繊維であることが好ましく、特に好ましくは収縮応力が大きい高収縮ポリエステル系繊維であることである。例えばポリエチレンテレフタレートを主成分とする繊維形成性ポリマーを紡糸した後、温水中にて低倍率で延伸して得られる熱収縮性繊維などであることが好ましい。さらに、該熱収縮性繊維は延伸条件などの制御により50℃以上100℃以下で収縮特性を発現するものが好ましい。収縮により高密度化する場合には、50℃より低い温度で特性を発現するものは品質のバラツキの要因になり、100℃より高い温度で特性を発現するものは、多くの熱量を必要し生産性が悪くなる傾向にある。
また、繊維集合体の繊維を熱収縮する場合の好ましい面積収縮率は、10%以上60%以下であり、より好ましくは20%以上50%以下である。面積収縮率が10%未満であると緻密かつ均質な構造の繊維集合体となりにくい傾向にある。一方、面積収縮率が60%を超えると繊維間の空隙が小さくなり繊維の自由度が低下する傾向にあり、繊維複合シートとしたときのドレープ性が低下する傾向にある。
本発明に用いられる高分子弾性体としては、例えばポリエステル系エラストマー、ポリウレタン、NBR、SBR、アクリル等の高分子からなる樹脂があげられる。中でもポリウレタン樹脂が柔軟性、強度、耐候性、耐摩耗性などの点から好ましい。これらの本発明で用いられる高分子弾性体は、曇点を有する非イオン性界面活性剤にて分散、あるいは溶解された感熱凝固性を有する分散液、あるいは溶液でなければならない。
高分子弾性体は、水分散液、あるいは水溶液として繊維集合体に含浸される。高分子弾性体の凝固特性が発現する温度は30℃以上90℃以下が好ましく、さらには60℃以上80℃以下で凝固特性を発現するものが好ましい。高分子弾性体の凝固特性が発現する温度とは、種々の添加剤を配合した含浸液を攪拌しながら昇温した時に、含浸液が流動性を失い凝固する温度であり、例えば曇点を下げる添加剤などを加えることで凝固温度を調節することが可能である。
また高分子弾性体の耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性等の各種耐久性を改善する目的で酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等の安定剤や、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、ポリカルボジイミド化合物等の架橋剤を配合して使用することもできる。さらに、着色を目的として各種無機、有機顔料を配合することができる。また、シリコン系、フッ素系などの各種撥水剤や、ポリエチレングリコールなどの親水性の剤を加えることで、繊維と高分子弾性体との非接合構造を調整し、繊維複合シートのドレープ性を向上させることができる。
本発明に用いられる繊維複合体を得るための高分子弾性体の繊維集合体への含浸方法は、通常行われる方法であればいずれでも良く、例えばマングルによる含浸法、コーティング法、スプレー法等が挙げられる。高分子弾性体の付着量(固形分)は、目的に応じて任意の値が採用されるが、好ましくは、繊維集合体100重量部に対し3〜150重量部である。すなわち弾性体/繊維の比R/Fは3〜150%であることが、さらには5〜100%であることが好ましい。高分子弾性体付着量(固形分)が3重量%未満では得られるシートの充実感が低下する傾向がある。一方150重量%を越えると、得られる繊維複合体は硬くなり、人工皮革の風合いが低下する傾向がある。
人工皮革としての風合いと物性のバランスから、本発明の人工皮革用基材の厚さとしては0.5〜2.0mmの範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法は、以上で説明した繊維集合体に感熱凝固性の高分子弾性体の水分散液、あるいは水溶液を含浸した後、高分子弾性体を常圧の水蒸気に由来する水滴が空気中に存在しかつ80℃以上である感熱凝固ゾーン内にて処理し感熱凝固させる方法である。ここで水滴とは一般に湯気と呼ばれる状態であることを指し、日常に使用されるとおりの水蒸気が沸点以下になることにより微小な水滴となって白く観察される状態のものである。また常圧とは加圧されていないことを意味し、さらには0.9〜1.1気圧の範囲であることが好ましい。ここで常圧ではなく加圧された水蒸気である場合には、配管から排出されたときに高圧状態の水蒸気は圧力低下と共に膨張するために周囲を冷却し、一部は水蒸気の状態を保つものの、残りは逆に熱を奪われて低温の水滴(湯気)となってしまい、また水滴の径も大きくなり好ましくない。このような大きな水滴は感熱凝固ゾーン内部で結露しやすく、結露した低温の水滴が高分子弾性体が含浸された繊維集合体に付着することによって、未凝固の高分子弾性体が部分的に希釈され、斑点状の欠点が発生しやすい。
本発明で用いられるこのような常圧の水蒸気はたとえば加圧水蒸気を水中に導入することや、加熱した物体(ヒーター)に水を直接接触させるなどの手段によって発生させることが出来る。特に、水蒸気としては水面から発生したものであることが好ましく、この場合には広い面積から水蒸気が同時に発生するためより均一にゾーン内の温度、湿度を保つことが出来る。このような水蒸気は、ゾーン内に存在する水槽を加熱することによって得ることが出来る。
さらに、本発明では水蒸気が水中に加圧水蒸気を吹き込むことにより発生したものであることが最も好ましい。高圧の水蒸気を大気中に放出した場合と異なり、一度水中に加圧水蒸気を通すことにより、粒径の大きい水滴の発生を抑えることが出来る。また、熱効率的にも最適である。加圧水蒸気としては0.1〜2MPaが好ましく、さらには0.2〜0.6MPaであることが好ましい。常圧の水蒸気を発生させるための水の加熱手段としては、ヒーター直接水中に入れる方法などもあるが、加熱面と水との間に蒸気膜、気泡気膜が発生し、熱伝達の効率は低下する傾向にある。
このような水蒸気および水滴が存在するゾーン内の温度は80℃以上であることが、感熱凝固を効率良く行わせる観点からも必要である。さらには85℃以上、最も好ましくは90℃以上であることが好ましい。水滴が湯気としてゾーン内の空間に存在するためには、ゾーン内の温度は水の沸点以下であることが好ましく、さらには98℃以下、特には95℃以下であることが好ましい。このような温度範囲である場合には、水滴(湯気)と同時に存在する気体である水蒸気が基材の表面上で凝縮する際に潜熱を発生し、基材の温度上昇速度が速くなり、有効に感熱凝固が行われる。
より具体的な感熱凝固を行わせるための感熱凝固ゾーンとしては、ゾーンを構成する感熱凝固ボックス内に水槽を設置し、その中に孔を空けたパイプ状の配管によって加圧された高圧水蒸気を導くことが好ましい。孔の径としては1〜10mmが好ましく、間隔としては10〜100mmであることが好ましい。加圧水蒸気の導入側から遠い部分の孔の径を大きくするか、あるいは間隔を狭めることが好ましい。このような孔の分布を採用することにより、水槽の全ての部分にムラ無く水蒸気を供給することが出来る。配管は排出孔の間隔を狭めるよう複数本からなることも好ましい。また排出孔は水面の方向ではなく、横向きであることが好ましい。より具体的には水面との平行な方向より下45度上30度以内の範囲であることが好ましい。また水面下できるだけ深いことが好ましく50mm以下、さらには水深150〜1000mmの範囲であることが好ましい。このように排出することにより、水蒸気の気泡がより小さくなるとともに、気泡がより長時間、熱水中を通過することになり、より高温の、より粒子の細かい水滴(湯気)を発生させることが出来る。単に配管から排出された場合、高圧状態の水が圧力低下と共に気化、膨張するために周囲を冷却し、一部は水蒸気の状態を保つものの、残りは逆に熱を奪われて低温の水滴(液体)となるが、熱水中を気泡が通過することにより低温の水滴は吸収され、水面上の常圧の水蒸気からは高温の水滴(湯気)のみが発生することとなる。
本発明の感熱凝固ゾーンは、周囲から断熱されている感熱凝固ボックスであることが好ましい。さらに断熱するボックス内には蒸気を発生する水槽を含むことが好ましい。このようにすることにより熱損失を抑えることが出来る。このような感熱凝固ゾーンとしては、例えば下部に設置された熱水バス中に高圧水蒸気が導入され、高温の水滴(湯気)が発生させられる構造であり、上部雰囲気の温度、熱水バスの温度を調整可能であるものであり、ガイドロールにより高分子弾性体を含浸した繊維集合体が導かれる構造であり、感熱凝固ゾーンの含浸し凝固した繊維集合体の出口側は外部と熱水でシールされていることが好ましい。
感熱凝固ゾーン内の温度は、水系高分子弾性体の感熱凝固温度以上であれば可能であり、より安定的に生産を行うためには感熱ゲル化温度の10℃以上とするのがさらに好ましい。また相対湿度は水蒸気の凝縮する際の潜熱を利用するためにも、高い事が好ましく、飽和状態であることが好ましい。相対湿度が低いと高分子弾性体が凝固する際に充実体になりやすく、ドレープ性、低反発性が悪化する傾向にある。また、多湿雰囲気を保つためにスチームを直接感熱凝固ゾーンに吹き込むことは、粒子の大きい低温の水滴を発生させ凝固前の高分子弾性体のマイグレーションを生じ易くするので避けたほうが良い。この含浸繊維集合体の感熱凝固雰囲気下に曝されている時間は、高分子弾性体水分散液の感熱凝固性にもよるが、ガイドロールによる屈曲で含浸液が搾り出されない程度であることが好ましく、30秒間から120秒間であることが好ましい。
このように感熱凝固された含浸繊維集合体は、さらに熱水中に導かれ凝固を完結することが好ましい。熱水の温度は感熱凝固ゾーンの雰囲気温度より高く設定し、浸漬時間は20秒間以上が好ましい。さらには30秒〜5分の範囲であることが好ましい。この熱水により、凝固を完結させると共に高分子弾性体の結晶化を早めることが可能である。このような熱水バスは、感熱凝固ゾーンの出口に設置し、ゾーン内をシールする役割を兼用することが好ましい。
感熱凝固ゾーンから熱水中を経て外部に導かれた繊維複合体はマングル絞り、減圧脱水などにより過剰な水分が除去された後、熱風乾燥機などにより乾燥される。
本発明で得られた繊維複合体は、その断面を電子顕微鏡で観察すると、含浸された高分子弾性体は厚さ方向に均一に分布している。
このように本発明で得られた繊維複合体は、従来公知の方法で人工皮革に用いられる。例えば、表面起毛、染色によりスェード調人工皮革となされ、あるいは表面にポリウレタンなどの高分子弾性体の着色膜を形成し銀付調人工皮革となされる。
そして本発明で得られた繊維複合体を用い特に銀付調人工皮革とした場合には、内折り曲げ、外折り曲げに対しても大きな深いシワが発生せず、表面で細かく分散したシワとなり、折り曲げを解除した場合そのシワ跡が残らないものとなる。
得られた人工皮革は、スポーツシューズ、婦人・紳士靴などの靴用途、競技用各種ボール用途、家具・車輌、内装材、インテリア材などの産業資材用途、手帳・ノート等の装丁用途、衣料用途などの用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)収縮率
収縮前の面積をSとする。収縮後の面積をSとする。収縮率は次の計算で求める。
収縮率(%)=(S−S)×100/S
(2)柔軟度
製造時のマイグレーションの程度を比較するため柔軟度により比較した。柔軟度試験片25mm×90mmを準備し、長手方向の下部の20mmを保持具で垂直方向に保持し、保持具より20mmの高さの位置にあるUゲージの測定部に試験片のもう一方の片端の先端から20mmの位置でかつ幅方向の中央部があたるように試験片を曲げながら保持具をスライドさせて固定し、固定してから5分後の応力を記録計より読み取り、幅1cm当たりの応力に換算して柔軟度として単位はg/cmで表す。
[実施例1]
第1成分として収縮特性を有するポリエチレンテレフタレート、第2成分をナイロン−6とする16分割歯車型の断面を有する親糸繊度4.4dtexの剥離分割型複合繊維を、ニードルパンチと高圧水流交絡処理により、繊維の絡合と分割処理を行い厚さ1.15mm、目付け265g/mの不織布とし、次いでこの分割処理後の繊維集合体を75℃の温水槽中に20秒間浸漬し、第1成分のポリエチレンテレフタレート繊維を収縮させ、面積収縮率を21%とし、次いで乾燥して繊維集合体(不織布)を得た。
得られた繊維集合体は、目付け335g/m、厚さ1.0mm、見掛け密度0.335g/cmと高密度で充実感のあるものであった。
次いで得られた繊維集合体(不織布)に、感熱凝固型水系ポリウレタンの9%分散液(感熱凝固温度60℃)を含浸させ、表面の余分な分散液を掻き落として、感熱凝固ボックスにて凝固を行った。感熱凝固ボックスは繊維集合体の布道が無い最下部に幅1600mm、幅500mm、深さ300mmの水槽を有し、その水槽中に深さ200mmの位置にある1500mmの2本のパイプから0.29MPa(3kgf/cm)の加圧スチームを供給していた。各パイプには約20mmピッチでスチーム供給側では直径2mmの孔が、末端側には直径3mmの孔が存在しており、その各孔より熱水中に水面に対して平行にスチームが供給され、感熱凝固ボックス中は、この下部に設置された水槽中の沸騰水によって上部の雰囲気温度を92℃、相対湿度を99%にコントロールしていた。また、感熱凝固ボックスの出口は97℃の熱水でシールされており、このシール部分の熱水槽には繊維集合体が通過するように布道が設定されていた。分散液を含浸した繊維集合体は、雰囲気温度を92℃、相対湿度を99%の凝固ボックスに1分間曝してポリウレタンの凝固を行い、次いでその出口をシールしている97℃の熱水槽の中を1分通過させた。感熱ボックス中で凝固しているために熱水槽中にはポリウレタンの溶け出しは見られなかった。また基材上に色ムラは無く、斑点上の欠点も見られなかった。その後、冷却してからマングルロールで絞り、110℃の熱風乾燥機で乾燥させて厚さ1.0mm、見掛け密度0.44g/cmの繊維複合体(基材)を得た。得られた繊維複合体の繊維:ポリウレタンの比率は重量で100:30であり、かつ電子顕微鏡により断面を観察したところポリウレタンは繊維複合体の厚さ方向に均一に分布されたものであった。
一方、離型紙(リンテック社製R53)上に、ポリウレタンの33%水分散液100部に増粘剤、および着色剤5部を攪拌しながら添加し粘度を8000mPa・sに調整した調合液を目付け100g/mでコートし、温度70℃で2分間、110℃で2分間乾燥した。さらにその表面に、水分散型ポリウレタン系接着剤(45%濃度)100部にHシリコーン水分散液(大日本インキ化学工業株製ディックシリコーン コンクV)2部、触媒(大日本インキ化学工業株製ディックシリコーン、キャタリストSC30)2部、着色剤(大日本インキ化学工業株製ダイラックブラックHS9530)5部、および増粘剤(大日本インキ化学工業株製ハイドランアシスターT1)を混合して粘度を5000mPa・sに調整した調合液を目付け150g/mでコートした。次いで、温度90℃で2分乾燥後、先に得られた繊維複合体を重ね合わせ、温度110℃の加熱シリンダー表面上で0.6mmの間隙のロールに通過させ圧着した。その後、温度60℃の雰囲気下で2日間放置した後、離型紙を剥ぎ取り人工皮革を得た。得られた人工皮革は、柔軟度0.72g/cmであり、表面を内に曲げても大きな折れシワが発生しないものであった。
この人工皮革を用いてサッカーシューズ、およびサッカーボールを作成した。サッカーシューズは着用した場合につま先部分に大きなシワが発生することなく小さなシワとなり天然皮革のシワに酷似していた。また、サッカーボールは空気を抜き、半球状に折りたたみ、1ケ月後空気を入れて球状に戻したがシワ跡が残っていなかった。
[比較例1]
実施例1で得られた繊維集合体(不織布)に、実施例1と同様の操作で感熱凝固型水系ポリウレタンの9%分散液を含浸させ、表面の余分な分散液を掻き落として、水槽を有さずに0.29MPa(3kgf/cm)の加圧スチームを直接ボックス内に吹き込んだ雰囲気温度が92℃、相対湿度が99%の凝固ボックスに1分間曝してポリウレタンの凝固を行い、次いで97℃の熱水槽の中を1分間通過させた。しかし、凝固ボックス中に温度ムラが存在するためか、その含浸基材の表面には色ムラが生じていた。また、一部のウレタンは熱水槽中に溶け出し水を着色していた。また基材の表面には斑点状の欠点が発生していた。これは凝固ボックス中で結露した水滴がまだ感熱凝固前の基材に落下して発生したものである。
その後、冷却してからマングルロールで絞り、110℃の熱風乾燥機で乾燥させて厚さ1.0mm、見掛け密度0.44g/cmの繊維複合体(基材)を得た。得られた繊維複合体の繊維:ポリウレタンの比率は重量で100:30であったが、電子顕微鏡により断面を観察したところポリウレタンは繊維複合体の厚さ方向の両表面側にマイグレーションし、偏った分布で存在していた。
次いで得られた繊維複合体(基材)を実施例1の繊維複合体の替わりに用いる以外は、実施例1と同じ操作で人工皮革とした。得られた人工皮革は、柔軟度1.35g/cmであり、表面を内に曲げると大きな折れシワが発生し、戻してもそのシワ跡が残るものであった。
この人工皮革を用いてサッカーシューズ、およびサッカーボールを作成した。サッカーシューズは着用した場合につま先部分に大きなシワが発生し、小さなシワは少なく天然皮革のシワとは異なるものであった。また、サッカーボールは空気を抜き、半球状に折りたたみ、1ケ月後空気を入れて球状に戻したがシワ跡が残り商品としての価値が低下したものであった。

Claims (7)

  1. 繊維集合体に感熱凝固性の高分子弾性体を含浸した後、常圧の水蒸気とその水蒸気に由来する水滴が存在し、該水蒸気が感熱凝固ゾーン内に存在する水槽の水面から発生したものであり、かつ80℃以上である感熱凝固ゾーン内にて処理することを特徴とする人工皮革用基材の製造方法。
  2. 水蒸気が、感熱凝固ゾーン内に存在する水槽の水中に加圧水蒸気を吹き込むことにより発生したものである請求項1記載の人工皮革用基材の製造方法。
  3. 加圧水蒸気を吹き込む方法が、孔を空けたパイプ状の配管によるものである請求項2記載の人工皮革用基材の製造方法。
  4. パイプ状の配管の排出孔が水面との平行な方向より下45度上30度以内の範囲である請求項3記載の人工皮革用基材の製造方法。
  5. パイプ状の配管が水面下50mm以下にある請求項3または4に記載の人工皮革用基材の製造方法。
  6. 感熱凝固ゾーン出口が、60℃以上の熱水によりシールされている請求項1〜5のいずれか1項記載の人工皮革用基材の製造方法。
  7. 高分子弾性体がポリウレタン樹脂である請求項1〜6のいずれか1項記載の人工皮革用基材の製造方法。
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