JP4373622B2 - 感光性樹脂組成物、これを用いたパターン形成方法、および電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子などの製造工程における微細加工に用いられるレジスト組成物として好適な感光性組成物に係り、特に、波長160nm以下の、フッ素レーザー光、電子線、EUVおよびX線などの短波長光を露光エネルギー源として用いる際に特に好適な透明性感光性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子などを始めとする電子部品の製造工程では、フォトリソグラフィー技術を用いて微細パターンが形成されている。かかる技術は、次のような工程に沿って行なわれる。すなわち、まず、レジスト組成物を基板などの上に塗布してフォトレジスト膜となる薄膜を形成する。次いで、このフォトレジスト膜に対して露光を行なった後、現像、リンスなどの処理を施してレジストパターンを形成する。続いて、レジストパターンを耐エッチングマスクとして用いて、露出している基板などの表面をエッチングすることにより微細な幅の線や窓を開孔し、所望のパターンを形成する。最後に、基板上に残留したレジストパターンをアッシング除去してパターニングされた基板が得られる。
【0003】
近年、半導体素子の高密度集積化に伴なって、フォトリソグラフィー技術においては、より微細なパターンを形成可能な加工技術が求められている。かかる要望に対して、露光光源の短波長化が試みられている。例えば、F2エキシマーレーザー(波長157nm)を光源として採用した、微細なレジストパターンを形成するプロセスが開発されている。これによって、最小線幅がナノメートルオーダーの配線パターンを形成することが可能となったものの、配線パターンはさらに微細化の傾向にある。
【0004】
なお、基板などに微細加工を施す際には、プラズマを用いたドライエッチングプロセスが確立されている。したがって、こうした微細加工をより効果的に行なう目的で、ドライエッチング耐性に優れたレジストを用いてレジストパターンを形成することが求められている。
【0005】
このような背景を受けて、F2エキシマレーザ光を用いたフォトリソグラフィーにも適した、透明性の高いレジスト樹脂の開発が強く望まれている。
【0006】
最近は、このような点から芳香族化合物に代わり脂環式化合物を含有するレジストが注目されている。例えば特開平4−39665号公報には、ドライエッチング耐性、短波長光に対する透明性とも良好なアルカリ現像用レジストが記載されている。ここでは、有橋脂環化合物であるアダマンタンを有する化合物を、他のアクリル酸エステル系化合物と共重合させることによってアルカリ溶解性を付与した重合体が用いられる。
【0007】
また、有橋脂環化合物のうち5員環を示す脂環化合物として特開平7−199467号公報に示されたようなトリシクロデカニル構造を有するレジスト材料、脂環式基含有アクリル酸エステル系樹脂、および無水マレイン酸系樹脂をベース材料として含むものが数多く開発されている。しかしながら、これらの材料は、上述したような160nm以下の短波長光に対する吸収が大きい。このため、160nm以下の短波長光を露光光源として使用した場合には、レジスト膜の表面から離れた部分にまで露光光を十分に到達させることができない。その結果、従来のレジスト材料を用い、160nm以下の短波長光を露光光源として微細パターンを得ることが困難であるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、ナノメートルの微細パターンを実現するための感光性材料としては、160nm以下の短波長光に対する光の吸収が少ないことが要求され、得られたレジストパターンは、十分なドライエッチング耐性を有していることが必要である。
【0009】
なお、これまで開発されてきたアクリル系脂環式化合物を含有するレジスト用として用いられる重合体を構成するほとんどの単量体にカルボニル基が含まれているため、157nmにおける透明性が不足するなど、様々な問題が発生する。例えば、こうしたレジストは吸収が大きいので、露光時にレジスト膜の表面から離れた部分にまで露光光を十分に到達させることができない。したがって、従来のアクリル系脂環式化合物を含有するレジストを用いて、157nm以下の短波長光で露光を行なっても、解像性の高いパターンを形成することができない。
【0011】
そこで、本発明は、160nm以下の短波長光源、特にフッ素レーザー光に対して透明性が優れるとともに、高いドライエッチング耐性を備え、アルカリ現像で密着性、解像性の良好なレジストパターンを形成し得る感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、上述したような感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法、およびこれを用いた電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題を解決するために、本発明は、2,5−ジヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドとアクリロニトリルとを、エチレンビスインジウムジルコニウムジクロリドおよびメチルアルモキサンを用いて共重合させた共重合体であるレジスト用高分子化合物と光酸発生剤とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物を提供する。
【0015】
さらに本発明は、5員環ないし15員環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環または2つ以上の環の組み合わせより選ばれる脂環骨格または有橋脂環骨格を主鎖に含む繰り返し単位を有し、その脂環骨格または有橋脂環骨格を構成する少なくとも1つの環は、−S(=O)2−O−で表わされる基を環の骨格中に有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を環の骨格中に有する環であることを特徴とするレジスト用高分子化合物を提供する。
【0017】
またさらに本発明は、前述の感光性樹脂組成物を含む樹脂層を基板上に形成する工程と、
前記樹脂層の所定の領域にパターン露光を施す工程と、
前記露光後の樹脂層を熱処理する工程と、
前記熱処理後の樹脂層をアルカリ水溶液で現像して、露光部または未露光部を選択的に溶解除去する工程とを具備することを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0018】
またさらに本発明は、前述の感光性樹脂組成物を含む樹脂層を基板上に形成する工程と、
前記樹脂層の所定の領域にF2レーザーによるパターン露光を施す工程と、
前記露光後の樹脂層を熱処理する工程と、
前記熱処理後の樹脂層をアルカリ水溶液で現像して、露光部または未露光部を選択的に溶解除去してレジストパターンを形成する工程と
前記レジストパターンをエッチングマスクとして用いて、前記基板をエッチングする工程とを具備することを特徴とする電子部品の製造方法を提供する。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明における感光性樹脂組成物の具体例としては、露光によって主鎖が切断され得る樹脂や、露光によって溶解度が向上する化合物を含有する樹脂組成物(ポジ型レジスト)、露光によって架橋し得る樹脂や、露光によって溶解性が低下する化合物を含有する樹脂組成物(ネガ型レジスト)が挙げられる。また、露光後、光化学反応を熱反応によって増幅する化学増幅型レジストが有効である。
【0021】
ポジ型の化学増幅型レジストとしては、露光によって酸を発生しうる光酸発生剤と称される化合物、および酸により分解しうる結合を少なくともひとつ有する化合物、例えば、溶解抑止基を有する化合物、さらに、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂を含有する樹脂組成物が挙げられる。
【0022】
ネガ型の化学増幅型レジストとしては、光酸発生剤、アルカリ可溶性の樹脂、および酸によって前記樹脂成分を架橋しうる化合物、または酸によって溶解度が低下する化合物を含有する樹脂組成物が挙げられる。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物は、主成分となる樹脂(レジスト用高分子化合物)の骨格内に、−S(=O)2−O−で表わされる基を有する環、−(S=O)−O−で表わされる基を有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を有する環を有する樹脂であることを特徴としている。こうした置換基を脂環式構造に導入することによって、その160nm以下における透明性や、アルカリ溶解性、ドライエッチング耐性、さらには基板との密着性の向上を図ることが可能となった。
【0024】
本発明のレジスト用高分子化合物は、5員環ないし15員環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環または2つ以上の環の組み合わせより選ばれる脂環骨格または有橋脂環骨格を含む繰り返し単位を有し、その脂環骨格または有橋脂環骨格を構成する少なくとも1つの環は、−S(=O)2−O−で表わされる基を有する環、−(S=O)−O−で表わされる基を有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を有する環である。このような有橋脂環式骨格を導入することによって、ドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0025】
ここで、有橋脂環式骨格としては、CnH2n(nは5または6)で表される環状シクロ化合物やその組み合わせによって形成される環状ビシクロ化合物、環状トリシクロ化合物、およびそれらの縮合環などが挙げられる。具体的には、ノルボニル環、アダマンチル環、ジシクロペンタン環、トリシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、ボルネン環、デカヒドロナフタレン環、ポリヒドロアントラセン環、トリシクレン、コレステリック環などのステロイド骨格、タンジュウサン、ジギタロイド類、ショウノウ環、イソショウノウ環、セスキテルペン環、サントン環、ジテルペン環、トリテルペン環、およびステロイドサポニン類などが例示される。脂環式骨格中には、環を構成する元素として、あるいは置換基として、酸素、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素等のヘテロ原子が含まれていてもよい。本発明のレジスト用高分子化合物における脂環式骨格としては、ドライエッチング耐性が高くなる点からノルボルニル環、アダマンチル環、ジシクロペンタン環、デカヒドロナフタレン環、およびトリシクロデカン環が好ましい。
【0026】
特に、本発明における脂環式骨格として、下記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表わされる化合物の重合体である場合には、重合性が高くかつ任意の組成比率で重合可能なため望ましいものとなる。
【0027】
【化4】
【0028】
(上記一般式(1)中、Xの少なくとも1つは、−S(=O)2−O−、−(S=O)−O−、または−S(=O)2−で表わされる2価の有機基であり、残りは、−(C(R2)2)n−で表わされる2価の有機基である(ここで、R2は水素原子または1価の有機基であり、nは0ないし2である)。Rは、同一でも異なっていてもよく、少なくとも1つは重合性二重結合を有する1価の有機基であり、残りは水素原子または1価の有機基である。)
【化5】
【0029】
(上記一般式(2)中、Xの少なくとも1つは、−S(=O)2−O−、−(S=O)−O−、または−S(=O)2−で表わされる2価の有機基であり、残りは、−(C(R2)2)n−で表わされる2価の有機基である(ここで、R2は水素原子または1価の有機基であり、nは0ないし2である)。Rは、同一でも異なっていてもよく、少なくとも1つは重合性二重結合を有する1価の有機基であり、残りは水素原子または1価の有機基である。)
【化6】
【0030】
(上記一般式(3)中、Xは、−S(=O)2−O−、−(S=O)−O−、または−S(=O)2−で表わされる2価の有機基であり、nは0ないし2である。)
前記一般式(1)ないし(3)中の一価の有機基Rとして導入され得る1価の有機基としては、例えば、ペンチル基、シクロヘキシル基、メチル基、エチル基、プロピルブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシルメチル基、イソプロピル基、アリル基、プロパルギル基、シクロヘキシルメチルエチル基、炭化水素基、ペンタシクロアルキル基、テトラシクロアルキル基、デカニル基、コラニル基、トリシクロアルキル基、ビシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、テルペノイド骨格を有する基、およびシアノ基が挙げられる。より具体的には、例えば、フェニル、ナフチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカニル、ウンデカニル、ドデカニル、シクロヘキシル、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル、シクロペンチル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデカニル、トリシクロデカニル、2−メチル−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル、アンドロスト−4−エン−3,11,17−トリオン−イル、21−アセトキシプレグナン−11,20−ジオン−3−イル、プレグナン−11,20−ジオン−3−イル、コレスト−4−エン−3−イル、17,21−ジヒドロキシ−5α−プレグナン−11,20−ジオン−3−イル、3,17−ジヒドロキシ−5α−プレグナン−11,20−ジオン−21−イル、ビシクロ[4,4,0]デカニル、エチオアロコラニル、3−ヒドロキシ−アンドロスタン−17−イル、ヒドロキシアンドロスタニル、1−1’−オキソエチル−3−メトキシ−4−フェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、3−ヒドロキシエストロ−4−エン−17−イル、ヒドロキシエストロ−4−エニル、1,4−アンドロスタジエン−3−オン−17−イル、1,7,7−トリメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−イル、1,7,7−トリメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−オン−3−イル、24−R−エルゴスト−5−エン−3−イル、4,7,7−トリメチル−3−オキソビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−イル、セバジニル、セビニル、クリドニニル、3,7−ジヒドロキシフラニル、3−ヒドロキシコラニル、7−ヒドロキシコラニル、コラニル、コレスタニル、3−コレスタニル、コレストラリル、3,7,12−トリヒドロキシ−5β−コラン−24−イル、スティグマスタ−7,22−ジエン−3−イル、クロステボリル、コルチコステロニル、コルチソニル、コルトリル、コルトロニル、シクロヘキシルカルビニル、7−デヒドロコレステリル、3,7,12−トリオキソフラン−24−イル、プレグン−4−エン−3,11,20−トリオン−21−イル、1,3−シクロヘキサンジオン−5−イル、エスゴスタニル、エルゴスト−7−エン−3−イル、ペンタデカニル、ヘキサデカニル、ヘプタデカニル、オクタデカニル、ノナデカニル、オキサシクロヘキサデカン−2−オン−3−イル、ヒドロキシコレステロール−3−イル、4−ヒドロキシ−エストロ−4−エン−3−オン−17−イル、エキソ−1,7,7−トリメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−イル、ケトプロゲステロニル、ルピニニル、ノボブノロリル、6−メチルプレグン−4−エン−3,20−ジオン−11−イル、(1α,2β,5α)−5−メチル−2−(1−メチルエチル)−シクロヘキシル、(1α,2β,5α)−5−メチル−2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−シクロヘキシル、ノルコラニル、ジヒドロ−4H−ジメチル−2(3H)−フラノン−3−イル、ピネン−イル、プレゴン−6−イル、シクロデカノン−2−イル、1,2−シクロデカンジオン−3−イル、(3β,5α)−スティグマスタン−3−イル、α−ヒドロキシ−α,α,4−トリメチル−3−シクロヘキセン−5−イル、ソラニド−5−エン−3−イル、(3β,22E)−スティグマスタ−5,22−ジエン−3−イル、タラキサステリル、およびタラキセリルが挙げられる。1価の有機基としては、炭素数1ないし15の炭化水素基が好ましく、特に、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基およびペンチル基が好ましい。
【0031】
また、本発明にかかるレジスト用高分子化合物は、アダマンタンやトリシクロデカン、テトラシクロデカン、ヒドロナフタレン骨格を側鎖に有すると更に好ましい。
【0032】
本発明のレジスト用高分子化合物は、5員環ないし15員環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環または2つ以上の環の組み合わせより選ばれる脂環骨格または有橋脂環骨格を構造中に含み、かつ、その脂環骨格または有橋脂環骨格を構成する少なくとも1つの環は、−S(=O)2−O−で表わされる基を有する環、−(S=O)−O−で表わされる基を有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を有する環を含む単量体を重合することによって得られる。
【0033】
こうした単量体を用い、ラジカル重合やアニオン重合、カチオン重合やチーグラーナッター触媒下で重合させることによって、本発明にかかるレジスト用高分子化合物を合成することができる。
【0034】
一般に、ポリマー主鎖に脂環族を有するような重合性二重結合は、チーグラーナッター触媒を用いることによって、高分子量のポリマーを得ることができる。しかしながら本発明における高分子化合物は、分子量が低くても成膜さえできれば何等問題ない。このため、ラジカル重合などの簡便な手法を用いて重合して、低分子量化合物と高分子量化合物との混合した状態で用いてもよい。
【0035】
かかるレジスト用高分子化合物が、−S(=O)2−O−で表わされる基を有する環、−(S=O)−O−で表わされる基を有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を有する環が導入された脂環式骨格を側鎖に有する繰り返し単位を含有する場合には、ドライエッチング耐性と密着性に優れるため望ましいものとなる。
【0036】
また、本発明におけるレジスト用高分子化合物は、−S(=O)2−O−で表わされる基を有する環、−(S=O)−O−で表わされる基を有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を有する環を含有する脂環式樹脂ということができ、ヒドロキシル基を2個以上有し、かつ共役多環縮合芳香族骨格を有する、多価アルコールを用いて、両者を反応させたレジスト用高分子化合物を用いることもできる。この場合、多価アルコールは、複数の化合物を混在してもかまわない。
【0037】
なお、本発明のレジスト用高分子化合物においては、例えばポリフルオロ置換基またはポリノルボルネン結合が同時に混在していてもかまわない。
【0038】
ただし、レジストの短波長光に対する透明性を考慮すると、本発明のレジスト用高分子化合物は、ベンゼン核など短波長域での光吸収の大きい分子骨格を有していない化合物と共重合させて得ることが好ましい。具体的には、本発明のレジスト用高分子化合物の波長157nmの光に対する吸光度は、1μm当り4以下であることが望まれる。
【0039】
また、本発明のレジスト用高分子化合物は、その重量平均分子量(Mw、以下「平均分子量」とする)は、ポリスチレン換算で1,000〜500,000の範囲内に設定されることが好ましく、1,500〜50,000がより好ましい。高分子化合物の平均分子量が1,000未満の場合には、機械的強度の充分なレジスト膜を成膜するうえで不利となるおそれがある。一方、高分子化合物の平均分子量が500,000を越えると、解像性の良好なレジストパターンを形成することが困難となるからである。本発明のレジスト用高分子化合物は、通常、本発明の化合物と他の共重合体とのさまざまな分子量成分とともに存在する。本発明の高分子化合物は、比較的低い分子量においても効力を発揮し、例えば1,000〜2,000の平均分子量に多く局在していてもよい。この場合には、場合も不均一な溶解を抑制するので望ましいものとなる。さらに本発明の高分子化合物中には、多くの単量体が残存しても成膜に問題なければ何等さしつかえない。
【0040】
本発明のレジスト用高分子化合物においては、−S(=O)2−O−で表わされる基を有する環、−(S=O)−O−で表わされる基を有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を有する環の含有量が、レジスト組成物の固形分中10重量%以上となるように各成分が配合されることが好ましい。−S(=O)2−O−で表わされる基を有する環、−(S=O)−O−で表わされる基を有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を有する環の含有量が10重量%未満の場合には、アルカリ現像で解像性と密着性の良好なレジストパターンを形成することが困難となるうえ、得られるレジストパターンのドライエッチング耐性が低下する傾向もあるためである。
【0041】
本発明のレジスト用高分子化合物は、−S(=O)2−O−で表わされる基を有する環、−(S=O)−O−で表わされる基を有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を有する環が導入された有橋脂環式骨格を有するモノマーを重合させて得られるが、他にさまざまなビニル系化合物と共重合させてもよい。例えば、以下のようなビニル系化合物が挙げられる。すなわち、ビニルメチルカルボキシド、ビニルエチルカルボキシド、ビニルプロピルカルボキシド、ビニルt−ブチルカルボキシド、ビニルテトラヒドロピラニルカルボキシド、ビニルメトキシメチルカルボキシド、ビニルエトキシメチルカルボキシド、ビニルエトキシエチルカルボキシド、イソプロペニルメチルカルボキシド、イソプロペニルエチルカルボキシド、イソプロペニルプロピルカルボキシド、イソプロペニルt−ブチルカルボキシド、イソプロペニルテトラヒドロピラニルカルボキシド、イソプロペニルメトキシメチルカルボキシド、イソプロペニルエトキシメチルカルボキシド、イソプロペニルエトキシエチルカルボキシド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルプロピルケトン、ビニルt−ブチルケトン、ビニルテトラヒドロピラニルケトン、ビニルメトキシメチルケトン、ビニルエトキシメチルケトン、ビニルエトキシエチルケトン、イソプロペニルメチルケトン、イソプロペニルエチルケトン、イソプロペニルプロピルケトン、イソプロペニルt−ブチルケトン、イソプロペニルテトラヒドロピラニルケトン、イソプロペニルメトキシメチルケトン、イソプロペニルエトキシメチルケトン、イソプロペニルエトキシエチルケトン、ビニルメチルカルボネート、ビニルエチルカルボネート、ビニルプロピルカルボネート、ビニルt−ブチルカルボネート、ビニルテトラヒドロピラニルカルボネート、ビニルメトキシメチルカルボネート、ビニルエトキシメチルカルボネート、ビニルエトキシエチルカルボネート、イソプロペニルメチルカルボネート、イソプロペニルエチルカルボネート、イソプロペニルプロピルカルボネート、イソプロペニルt−ブチルカルボネート、イソプロペニルテトラヒドロピラニルカルボネート、イソプロペニルメトキシメチルカルボネート、イソプロペニルエトキシメチルカルボネート、イソプロペニルエトキシエチルカルボネート、ビニルカルボン酸、およびイソプロペニルカルボン酸などである。
【0042】
また、レジスト用高分子化合物のアルカリ溶解性調整やレジストの基板との密着性向上の観点からは、次のような化合物と共重合させることが好ましい。例えば、ビニルカルボン酸、イソプロペニルカルボン酸、およびこれらのカルボニルエステル置換体、ビニルフェノール、ビニルナフトール、ナフトールオキシメタクリレート、およびSO2などのアルカリ可溶性化合物などである。さらに、これらアルカリ可溶性化合物のアルカリ可溶性基について、溶解抑止能を有する酸分解性基で保護してなる化合物を共重合させても構わない。
【0043】
その酸分解性基としては、例えばカルボン酸のエステルが挙げられる。具体的には、カルボン酸のエステル、カルボン酸のエーテル、カルボン酸のアセタール、カルボン酸のケタール、カルボン酸のサイクリックオルソエステル、カルボン酸のシリルケテンアセタール、カルボン酸のシリルエーテル、カルボン酸の非環状アセタール類またはケタール類、カルボン酸のサイクリックアセタール類またはケタール類、およびカルボン酸のシアノヒドリン類などが挙げられる。具体的には、イソプロピルエステル、テトラヒドロピラニルエステル、テトラヒドロフラニルエステル、メトキシエトキシメチルエステル、2−トリメチルシリルエトキシメチルエステル、3−オキソシクロヘキシルエステル、イソボルニルエステル、トリメチルシリルエステル、トリエチルシリルエステル、イソプロピルジメチルシリルエステル、ジ−t−ブチルメチルシリルエステル、オキサゾール、2−アルキル−1,3−オキサゾリン、4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリン、5−アルキル−4−オキソ−1,3−ジオキソランなどのエステル類;t−ブトキシカルボニルエーテル、t−ブトキシメチルエーテル、4−ペンテニロキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、3−ブロモテトラヒドロピラニルエーテル、1−メトキシシクロヘキシルエーテル、4−メトキシテトラヒドロピラニルエーテル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルエーテル、1,4−ジオキサン−2−イルエーテル、テトラヒドロフラニルエーテル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イルエーテル、t−ブチルエーテル、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテル、ジメチルイソプロピルシリルエーテル、ジエチルイソプロピルシリルエーテル、ジメチルセキシルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテルなどのエーテル類;メチレンアセタール、エチリデンアセタール、2,2,2−トリクロロエチリデンアセタール、2,2,2−トリブロモエチリデンアセタール、2,2,2−トリヨードエチリデンアセタールなどのアセタール類;1−t−ブチルエチリデンケタール、イソプロピリデンケタール(アセトニド)、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、シクロヘプチリデンケタールなどのケタール類;メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、ジメトキシメチレンオルソエステル、1−メトキシエチリデンオルソエステル、1−エトキシエチリデンオルソエステル、1,2−ジメトキシエチリデンオルソエステル、1−N,N−ジメチルアミノエチリデンオルソエステル、2−オキサシクロペンチリデンオルソエステルなどのサイクリックオルソエステル類;トリメチルシリルケテンアセタール、トリエチルシリルケテンアセタール、トリイソプロピルシリルケテンアセタール、t−ブチルジメチルシリルケテンアセタールなどのシリルケテンアセタール類;ジ−t−ブチルシリルエーテル、1,3−1´,1´,3´,3´−テトライソプロピルジシロキサニリデンエーテル、テトラ−t−ブトキシジシロキサン−1,3−ジイリデンエーテルなどのシリルエーテル類;ジメチルアセタール、ジメチルケタール、ビス−2,2,2−トリクロロエチルアセタール、ビス−2,2,2−トリブロモエチルアセタール、ビス−2,2,2−トリヨードエチルアセタール、ビス−2,2,2−トリクロロエチルケタール、ビス−2,2,2−トリブロモエチルケタール、ビス−2,2,2−トリヨードエチルケタール、ジアセチルアセタール、ジアセチルケタールなどの非環状アセタール類またはケタール類;1,3−ジオキサン、5−メチレン−1,3−ジオキサン、5,5−ジブロモ−1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−ブロモメチル−1,3−ジオキソラン、4−3´−ブテニル−1,3−ジオキソラン、4,5−ジメトキシメチル−1,3−ジオキソランなどのサイクリックアセタール類またはケタール類;O−トリメチルシリルシアノヒドリン、O−1−エトキシエチルシアノヒドリン、O−テトラヒドロピラニルシアノヒドリンなどのシアノヒドリン類などを挙げることができる。
【0044】
本発明においては、これらの酸分解性基の中でもt−ブチル基、エトキシエチル基、3−カルボニルシクロヘキシル基、イソボルニル基、トリメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基、アザカルボニル基や、3級エステル構造を有する脂環化合物、例えば2アルキルアダマンチルカルボニルエステル、ジアルキルモノアダマンチルメタノールカルボニルエステル、メンタンジオールの3級カルボニルエステル、ヒドロキシピナノンのカルボニルエステル化合物が、酸で容易に分解される点で好ましい。
【0045】
上述したような酸分解性基は、ドライエッチング耐性の観点からは、これら自身も、脂環式化合物であることが望ましい。すなわち、酸の作用により脂環を脱離して、カルボン酸を生成し得るモノマーを、高分子化合物の共重合体成分として使用することが望ましい。かかるモノマーとしては、ビニルピラニルカルボネートやイソプロペニルピラニルカルボネート、ピラニル保護されたカルボニル基を側鎖に有する脂環ビニルカルボニルエステル/イソプロペニルカルボニルエステル、メンタンジオールの三級ビニルカルボニルエステル/イソプロペニルカルボニルエステルが望ましい。さらには、2−アルキル−2−アダマンタノールのビニルカルボニルエステル/イソプロペニルカルボニルエステルや、2アダマンチルプロパノールや、ジアルキルモノアダマンチルメタノールのビニルカルボニルエステル/イソプロペニルカルボニルエステルなどがより望ましい。
【0046】
また、本発明のレジスト用高分子化合物に導入される酸分解性基は、電子吸引性基を用いると露光光に対する透明性が向上するため特に好ましい。電子吸引性基としてはハロゲン原子を含む1価の有機基が望ましく、具体的には、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基、ノナクロロブチル基、トリブロモメチル基、ペンタブロモエチル基、ヘプタブロモプロピル基、ノナブロモブチル基、およびトリヨードメチル基等が挙げられる。なお、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素等を用いることができるが、特にアルカリ溶解性が高くなる点から、フッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン原子を含む1価の有機基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、およびノナフルオロブチル基が好ましい。
【0047】
酸分解性基中に導入され得るハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素等が挙げられる。
【0048】
また、酸分解性基中に導入され得るフッ素原子を含む一価の有機基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロプロピル基、およびノナフルオロブチル基等が挙げられる。これらの中でも、特にトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、およびノナフルオロブチル基が好ましい。さらに,フルオロ基が酸分解性基中に導入されていてもよい。
【0049】
本発明の感光性樹脂組成物は高分子化合物中のみならず、後述するような添加剤(溶解抑止剤)の構造の一部にも、アルカリ可溶性基を保護したこれらの酸分解性基を有することが望ましい。
【0050】
なお、上述したような共重合体を、本発明の感光性樹脂組成物におけるベース樹脂として用いる場合は、酸分解性基を有するビニル系化合物などの成分の他の共重合比を、共重合体中10〜80モル%、さらには15〜70モル%の範囲内に設定することが好ましい。何となれば、10モル%未満では充分な溶解抑止能を発揮することが難しく、80モル%を越えると解像性の良好なレジストパターンを形成することが困難となるからである。
【0051】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述したようなレジスト用高分子化合物と、光酸発生剤とを含有する。さらに、放射線の照射によりアルカリ溶液に対する溶解度が増大するいわゆる溶解抑止化合物や、アミン性添加剤などが本発明の感光性樹脂組成物中に含有されていてもよい。
【0052】
溶解抑止剤としては、アルカリ溶液に対する充分な溶解抑止能を有するとともに、酸による分解後の生成物がアルカリ溶液中で−O−を生じ得る酸分解性化合物が例示される。
【0053】
具体的には、フェノール性化合物をt−ブトキシカルボニルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、3−ブロモテトラヒドロピラニルエーテル、1−メトキシシクロヘキシルエーテル、4−メトキシテトラヒドロピラニルエーテル、1,4−ジオキサン−2−イルエーテル、テトラヒドロフラニルエーテル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イルエーテル、t−ブチルエーテル、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテル、ジメチルイソプロピルシリルエーテル、ジエチルイソプロピルシリルエーテル、ジメチルセキシルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテルなどに変性した化合物、およびメルドラム酸誘導体などが挙げられる。これらのうちでは、フェノール性化合物の水酸基をt−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、あるいはテトラヒドロピラニル基などで保護した化合物や、ナフタルデヒドにメルドラム酸の付加した化合物、脂環構造を有するアルデヒドにメルドラム酸の付加した化合物などが好ましい。
【0054】
さらに本発明における溶解抑止剤は、縮合多環(脂環または芳香環)化合物の多価カルボン酸のイソプロピルカルボニルエステル、テトラヒドロピラニルカルボニルエステル、テトラヒドロフラニルカルボニルエステル、メトキシエトキシメチルカルボニルエステル、2−トリメチルシリルエトキシメチルカルボニルエステル、t−ブチルカルボニルエステル、トリメチルシリルカルボニルエステル、トリエチルシリルカルボニルエステル、t−ブチルジメチルシリルカルボニルエステル、イソプロピルジメチルシリルカルボニルエステル、ジ−t−ブチルメチルシリルカルボニルエステル、オキサゾール、2−アルキル−1,3−オキサゾリン、4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリン、および5−アルキル−4−オキソ−1,3−ジオキソランなどであってもよい。また、以下に示す化合物を用いることもできる。
【0055】
【化7】
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
【化12】
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】
【化17】
【0066】
【化18】
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
(ここで、R11およびR12は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、シリル基、または1価の有機基を示し、同一でも異なっていてもよい。また、R11とR12とは、互いに結合して環を形成していてもよい。Xは>C=または−SO2−を示す。Yは2価の有機基を示す。なお、R11、R12またはYのいずれか1つ以上は、酸により分解する置換基または官能基を有する。)
R11またはR12として導入される1価の有機基としては、例えば、メチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどのアルキル基、シクロヘキシル、ピペリジル、ピラニルなどの置換または非置換の脂環式もしくはヘテロ環式基を挙げることができる。
【0070】
2価の有機基Yとしては、例えば、エチレン、プロピレン、および、ブチレン等の不飽和脂肪族基;シクロヘキサン、ピラジン、ピラン、およびモルホランなどの置換または非置換の脂環式基またはヘテロ環式基などを挙げることができる。
【0071】
また、ポリヒドロキシ化合物の水酸基を、t−ブチルカーボネート基、t−ブチルエステル基、テトラヒドロピラニルエーテル基、アセタール基、トリメチルシリルエーテル基などで保護したものや、これら縮合芳香環構造を有するアルデヒド化合物とメルドラム酸との縮合化合物が、溶解抑止剤として特に好ましい。
【0072】
本発明の感光性樹脂組成物において、溶解抑止剤の配合量はベース樹脂の単量体相当モル数に対し、3〜40モル%さらには10〜30モル%の範囲内に設定されることが好ましい。これは溶解抑止剤の配合量が3モル%未満だと、解像性の良好なレジストパターンを形成することが困難となり、逆に40モル%を越えると、レジスト膜を形成したときにその機械的強度などが損なわれるおそれがあるうえ、露光部のレジスト膜をアルカリ溶液で溶解・除去するときの溶解速度が大きく低下する傾向があるからである。
【0073】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物に配合される光酸発生剤としては、例えば、アリールオニウム塩、ナフトキノンジアジド化合物、ジアゾニウム塩、スルフォネート化合物、スルフォニウム化合物、スルファミド化合物、ヨードニウム化合物、およびスルフォニルジアゾメタン化合物などを用いることができる。こうした化合物の具体例としては、以下に示すものが挙げられる。すなわち、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムp−エチルフェニルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウム2−ナフチルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムフェニルスルフェート、2,5−ジエトキシ−4−N−4´−メトキシフェニルカルボニルフェニルジアゾニウム3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、2−メトキシ−4−N−フェニルフェニルジアゾニウム3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、ジフェニルスルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシレート、みどり化学製MPI−103(CAS.NO.[87709−41−9])、みどり化学製BDS−105(CAS.NO.[145612−66−4])、みどり化学製NDS−103(CAS.NO.[110098−97−0])、みどり化学製MDS−203(CAS.NO.[127855−15−5])、みどり化学製Pyrogallol tritosylate(CAS.NO.[20032−64−8])、みどり化学製DTS−102(CAS.NO.[75482−18−7])、みどり化学製DTS−103(CAS.NO.[71449−78−0])、みどり化学製MDS−103(CAS.NO.[127279−74−7])、みどり化学製MDS−105(CAS.NO.[116808−67−4])、みどり化学製MDS−205(CAS.NO.[81416−37−7])、みどり化学製BMS−105(CAS.NO.[149934−68−9])、みどり化学製TMS−105(CAS.NO.[127820−38−6])、みどり化学製NB−101(CAS.NO.[20444−09−1])、みどり化学製NB−201(CAS.NO.[4450−68−4])、みどり化学製DNB−101(CAS.NO.[114719−51−6])、みどり化学製DNB−102(CAS.NO.[131509−55−2])、みどり化学製DNB−103(CAS.NO.[132898−35−2])、みどり化学製DNB−104(CAS.NO.[132898−36−3])、みどり化学製DNB−105(CAS.NO.[132898−37−4])、みどり化学製DAM−101(CAS.NO.[1886−74−4])、みどり化学製DAM−102(CAS.NO.[28343−24−0])、みどり化学製DAM−103(CAS.NO.[14159−45−6])、みどり化学製DAM−104(CAS.NO.[130290−80−1]、CAS.NO.[130290−82−3])、みどり化学製DAM−201(CAS.NO.[28322−50−1])、みどり化学製CMS−105、みどり化学製DAM−301(CAS.No.[138529−81−4])、みどり化学製SI−105(CAS.No.[34694−40−7])、みどり化学製NDI−105(CAS.No.[133710−62−0])、みどり化学製EPI−105(CAS.No.[135133−12−9])などである。さらに、以下に示す化合物を用いることもできる。
【0074】
【化21】
【0075】
【化22】
【0076】
【化23】
【0077】
【化24】
【0078】
【化25】
【0079】
【化26】
【0080】
【化27】
【0081】
【化28】
【0082】
【化29】
【0083】
【化30】
【0084】
【化31】
【0085】
【化32】
【0086】
【化33】
【0087】
【化34】
【0088】
【化35】
【0089】
(式中、C1およびC2は単結合または二重結合を形成し、R30は水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基またはアリール基、R31、R32は、互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基を示し、R31とR32はこれらが結合して環構造を形成していてもよい。)
【0090】
【化36】
【0091】
(式中、Zはアルキル基を示す。)
また上述したような光酸発生剤についても、ナフタレン骨格やジベンゾチオフェン骨格を有するアリールオニウム塩、スルフォネート化合物、スルフォニル化合物、およびスルファミド化合物などの共役多環芳香族系化合物も、短波長光用の光酸発生剤として,使用可能である。具体的には、水酸基が導入されたナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、as−インダセン環、s−インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環、フルオランテン環、アセフェナントリレン環、アセアントリレン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、プレイアデン環、ピセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ペンタセン環、テトラフェニレン環、ヘキサフェン環、ヘキサセン環、ルビセン環、コロネン環、トリナフチレン環、ヘプタフェン環、ヘプタセン環、ピラントレン環、オバレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンズ[a]アントラセン環、ジベンゾ[a,j]アントラセン環、インデノ[1,2−a]インデン環、アントラ[2,1−a]ナフタセン環、1H−ベンゾ[a]シクロペント[j]アントラセン環を有するスルフォニルまたはスルフォネート化合物;ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、as−インダセン環、s−インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環、フルオランテン環、アセフェナントリレン環、アセアントリレン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、プレイアデン環、ピセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ペンタセン環、テトラフェニレン環、ヘキサフェン環、ヘキサセン環、ルビセン環、コロネン環、トリナフチレン環、ヘプタフェン環、ヘプタセン環、ピラントレン環、オバレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンズ[a]アントラセン環、ジベンゾ[a,j]アントラセン環、インデノ[1,2−a]インデン環、アントラ[2,1−a]ナフタセン環、1H−ベンゾ[a]シクロペント[j]アントラセン環を有する4−キノンジアジド化合物;ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、as−インダセン環、s−インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環、フルオランテン環、アセフェナントリレン環、アセアントリレン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、プレイアデン環、ピセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ペンタセン環、テトラフェニレン環、ヘキサフェン環、ヘキサセン環、ルビセン環、コロネン環、トリナフチレン環、ヘプタフェン環、ヘプタセン環、ピラントレン環、オバレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンズ[a]アントラセン環、ジベンゾ[a,j]アントラセン環、インデノ[1,2−a]インデン環、アントラ[2,1−a]ナフタセン環、1H−ベンゾ[a]シクロペント[j]アントラセンを側鎖に有するスルフォニウムまたはヨードニウムのトリフレートなどとの塩などが挙げられる。特に、ナフタレン環またはアントラセン環を有するスルフォニルまたはスルフォネート化合物;水酸基が導入されたナフタレン環またはアントラセン環を有する4−キノンジアジド化合物;ナフタレン環またはアントラセン環を側鎖に有するスルフォニウムまたはヨードニウムのトリフレートなどとの塩が好ましい。
【0092】
このような光酸発生剤のうち、本発明ではトリフェニルスルフォニウムトリフレートやジフェニルイオドニウムトリフレート、トリナフチルスルフォニウムトリフレート、ジナフチルヨードニウムトリフレート、ジナフチルスルフォニルメタン、みどり化学製NAT−105(CAS.No.[137867−61−9])、みどり化学製NAT−103(CAS.No.[131582−00−8])、みどり化学製NAI−105(CAS.No.[85342−62−7])、みどり化学製TAZ−106(CAS.No.[69432−40−2])、みどり化学製NDS−105、みどり化学製PI−105(CAS.No.[41580−58−9])や、s−アルキル化ジベンゾチオフェントリフレート、s−フルオロアルキル化ジベンゾチオフェントリフレート(ダイキン製)などが好ましく用いられる。これらの中でも、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、トリナフチルスルフォニウムトリフレート、ジナフチルヨードニウムトリフレート、ジナフチルスルフォニルメタン、みどり化学製NAT−105(CAS.No.[137867−61−9])、みどり化学製NDI−105(CAS.No.[133710−62−0])、およびみどり化学製NAI−105(CAS.No.[85342−62−7])などは特に好ましい。
【0093】
本発明の感光性樹脂組成物において、光酸発生剤の好ましい配合量は、ベース樹脂全体に対して0.001〜50モル%、さらに好ましくは0.01〜40モル%、特に好ましくは0.1〜20モル%の範囲内である。すなわち、光酸発生剤の配合量が0.001モル%未満の場合には、高い感度でレジストパターンを形成することが困難となる。一方、50モル%を越えると、レジスト膜を形成した際にその機械的強度などが損なわれるおそれがある。
【0094】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述したような化合物や溶解抑止剤、光酸発生剤など、場合によっては他のアルカリ可溶性樹脂などを有機溶媒に溶解させ瀘過することで、通常ワニスとして調製される。ただし本発明の感光性樹脂組成物においては、これらの成分以外にエポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、プロピレンオキシド−エチレンオキシド共重合体、ポリスチレンなどのその他のポリマーや、耐環境性向上のためのアミン化合物、ピリジン誘導体などの塩基性化合物、塗膜改質用の界面活性剤、反射防止剤としての染料などが適宜配合されても構わない。
【0095】
ここでの有機溶媒としては、例えばシクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、メチルセロルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、γ−ブチロラクトンなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒や、溶解性向上のためこれらにジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアルデヒド、N−メチルピロリジノン等を添加した混合溶媒を用いることができる。また、メチルプロピオン酸メチル等のプロピオン酸誘導体、乳酸エチル等の乳酸エステル類やPGMEA(プロピレングリコールモノエチルアセテート)等も、低毒性であり好ましく用いられ得る。なお本発明において、このような溶媒は単独または2種以上を混合して用いることができ、さらにイソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの脂肪族アルコールや、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒が含有されていても構わない。
【0096】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法について説明する。まず、上述したような有機溶媒に溶解されたレジストのワニスを、回転塗布法やディッピング法などで所定の基板上に塗布した後、150℃以下好ましくは70〜120℃で乾燥してレジスト膜を成膜する。ここでの基板としては、例えばシリコンウェハ、表面に各種の絶縁膜や電極、配線などが形成されたシリコンウェハ、ブランクマスク、GaAs、AlGaAsなどのIII−V族化合物半導体ウェハ、クロムまたは酸化クロム蒸着マスク、アルミ蒸着基板、IBPSGコート基板、PSGコート基板、SOGコート基板、およびカーボン膜スパッタ基板などを使用することができる。
【0097】
次いで、所定のマスクパターンを介して化学線を照射することによって、あるいはレジスト膜表面に化学線を直接走査させて、レジスト膜を露光する。上述したように本発明の感光性樹脂組成物は、短波長光をはじめ広範囲の波長域の光に対して優れた透明性を有しているので、ここでの化学線としては紫外線、X線、低圧水源ランプ光のi線、h線、g線、キセノンランプ光、KrFやArFのエキシマーレーザー、F2エキシマーレーザー光等のdeepUV光やシンクロトロンオービタルラジエーション(SOR)、電子線(EB)、γ線、イオンビームなどを使用することが可能である。特にF2エキシマーレーザー露光が好ましい結果を与える。
【0098】
続いて、熱板上やオーブン中での加熱あるいは赤外線照射などにより、レジスト膜に170℃以下程度のベーキング処理を適宜施す。その後、浸漬法、スプレー法などでレジスト膜を現像し、露光部または未露光部のレジスト膜をアルカリ溶液に選択的に溶解・除去して所望のパターンを形成する。このときアルカリ溶液の具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液、およびコリン水溶液などの有機アルカリ水溶液や、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ水溶液、これらにアルコールや界面活性剤などを添加した溶液を用いることができる。なおここでのアルカリ溶液の濃度は、露光部と未露光部とで溶解速度の差を充分なものとする観点から、15重量%以下であることが好ましい。
【0099】
こうして、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレジストパターンは、解像性や密着性が極めて良好であり、例えばこのレジストパターンをエッチングマスクとして用い、ドライエッチングにより露出した基板などにサブクォーターミクロン程度の超微細なパターンを忠実に転写することができる。ここで得られたレジストパターンでは、高いドライエッチング耐性を有している。なお、上述したような工程以外の他の工程が付加されても何ら差支えなく、例えばレジスト膜の下地としての平坦化層形成工程、レジスト膜と下地との密着性向上のための前処理工程、レジスト膜の現像後に現像液を水などで除去するリンス工程、ドライエッチング前の紫外線の再照射工程を適宜施すことが可能である。
【0100】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明する。なお、これら実施例は、本発明を限定するものではない。
【0101】
(実施例I:共重合体からなるレジスト用高分子化合物の合成)
(実施例I−1)
2,5−ジヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド(B)0.06モル、およびアクリロニトリル0.04モルを、トルエン20gに混合した。得られた溶液に、メチルアルモキサン0.2gおよびエチレンビスインジウムジルコニウムジクロリドのトルエン溶液を添加して、45分間反応させた後、エタノールを加えることにより重合を停止させた。塩酸酸性水溶液中で攪拌し、触媒残渣を除去した後、固体部分を加熱乾燥することで、共重合体1を得た。この共重合体1の平均分子量は約4000であった。
【0103】
(実施例II:ホモポリマーからなるレジスト用高分子化合物の合成)
(実施例II−1)
化合物(B)2.1gと重合開始剤としてのアゾイソブチロニトリル0.4gとを、6mLのトルエンに溶解した。
【0104】
得られた溶液を液体窒素で凍結し、20分間脱気を3回行なった後、室温にした。次に、窒素気流下、油温70℃で16時間加熱し、メタノール600mLにより反応を停止した。メタノールで再沈後、濾別し、真空下で溶媒を留去してホモポリマー(B1)を得た。
【0107】
得られたホモポリマーをPGMEA溶液とし、それぞれの溶液をMgF2ウェハ上に1μm膜厚で塗布して樹脂層を形成した。得られた樹脂層について、F2エキシマーレーザー光(157nm)に対する透明性を調べ、得られた結果を下記表1にまとめる。
【0108】
さらに、得られたホモポリマーに光酸発生剤を配合して、本発明の感光性樹脂組成物(レジスト)のワニスを調製した。次いで、これらのレジストのワニスをそれぞれシリコンウェハ上に回転塗布して厚さ0.3μmのレジスト膜を成膜した。ここのレジスト膜に対し、波長157nmのF2エキシマレーザー光を光源として、所定のパターン光を露光した。続いて、110℃で2分のベーキング処理を施した後、2.38%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液(TMAH)で露光部を選択的に溶解・除去して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このときの感度および解像度を、配合した光酸発生剤とともに、表1に併せて示す。
【0109】
また、このホモポリマーを含むレジストについて、CF4プラズマによるエッチング速度を測定して、そのドライエッチング耐性を評価した。その結果を、ポリメチルメタクリレートのエッチング耐性に対する相対値として、下記表1にまとめる。
【0110】
(比較例1)
ホモポリマ(B1)の代わりに、ノボラック樹脂およびポリメチルメタクリレートを、それぞれPGMEA溶液として比較例1および比較例2とした。
【0111】
比較例1および2の溶液を、前述と同様にMgF2ウェハ上に1μm厚に塗布して、F2エキシマーレーザー光に対する透明性を調べ、得られた結果を下記表2にまとめる。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
表1および表2に示すように、−S(=O)2−O−で表わされる基を有する環、−(S=O)−O−で表わされる基を有する環、または−S(=O)2−で表わされる基を有する環を含む脂環式骨格を有する本発明のレジスト用高分子化合物は、いずれも157nmにおける透過率が高い。これに対して、ノボラック樹脂(比較例1)およびPMMA(比較例2)は、157nmにおける透明性が著しく劣ることが分かる。
【0115】
また、こうしたレジスト用高分子化合物に光酸発生剤を配合してなる本発明の感光性樹脂組成物は、いずれも高い感度・解像性で良好なパターンを形成することができた。さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、高いドライエッチング耐性を有していることが確認された。
【0116】
(比較アクリレートポリマーの合成)
AIBN(10モル%)を開始剤として用いて、アダマンチルアクリレートP0.6モルと、テトラヒドロピラニルメタクリレート0.4モルとを、THF中で40時間反応させた。得られた反応液をヘキサン中に滴下して、比較アクリレートポリマーQを得た。
【0117】
(比較エステルオリゴマーの合成)
アダマンタンジカルボニルクロリド0.05モルをTHFに溶解し、メンタンジオール0.05モルをこれに加えた。温度を室温に保って攪拌しつつ、0.1モルのトリエチルアミンのTHF溶液を、その中に徐々に滴下した。次いで、2時間撹拌し、その後、室温でさらに2時間撹拌した後、反応液を濾別した。水中に徐々に反応液を滴下して沈殿物を析出させた。この沈殿物を、さらに水−アセトン系溶媒で再沈して、比較エステルオリゴマーRを得た。
【0118】
(レジストの調製およびレジストパターンの形成)
上述の実施例で得られた高分子化合物、溶解抑止剤および光酸発生剤としてみどり化学製TPS−105、TPS−109,またはNAI−105を、表3ないし表6に示す処方にしたがってシクロヘキサノン又はPGMEAに溶解させ、本発明の感光性樹脂組成物(レジスト)のワニスを調製した。
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
一方、前述の比較ポリマーに光酸発生剤としてTPS−105を配合して、下記表7に示すような処方で比較例3および4のワニス調製した。
【0124】
【表7】
【0125】
次いで、これらのレジストのワニスをそれぞれシリコンウェハ上に回転塗布して厚さ0.3μmのレジスト膜を成膜した。さらに、波長157nmのF2エキシマレーザー光を光源とて、レジスト膜表面に所定のパターン光を露光した。続いて、110℃で2分のベーキング処理を施した後、2.38%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液(TMAH)で露光部を選択的に溶解・除去して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このときの感度、解像度を表8ないし表11に示す。
【0126】
【表8】
【0127】
【表9】
【0128】
【表10】
【0129】
【表11】
【0130】
表8〜11に示される通り、本発明のレジストにおいては、いずれも高い感度で解像性の良好なレジストパターンが形成されており、波長157nmの光に対する透明性、アルカリ現像性とも優れていることが判る。一方、比較例3および4のレジストでは、解像性の良好なレジストパターンを形成することができない。さらに、比較例のレジストを用いて形成されたレジストパターンは、基板から剥がれやすい等の問題があることがわかった。
【0131】
次に、これらのレジストについて、CF4プラズマによるエッチング速度を測定してそのドライエッチング耐性を調べた。ポリヒドロキシスチレン樹脂をベース樹脂とするレジストのエッチング速度を1.0として、それぞれのレジストのエッチング耐性を相対値で評価した。その結果、比較例3のエッチング速度は普通で1.0〜1.3、比較例4のレジストのエッチング速度が1.4〜1.6程度と悪い値であった。これに対して、本発明のレジストのエッチング速度は0.9〜1.2であり、いずれも高いドライエッチング耐性を有していることが確認された。
【0132】
クロロビニル化合物、ブロモビニル化合物、フルオロビニル化合物、シアノビニル化合物の単量体およびこれらを含む共重合体等は、アゾイソブチロニトリル等を用いたラジカル重合等で合成できる。炭化水素化合物、ジエン系化合物の単重合体およびこれらを含む共重合体等は、アルキルリチウム等を用いたアニオン重合等で合成できる。ビニルエーテル化合物の単量体およびこれらを含む共重合体等は、塩化亜鉛等を用いたカチオン重合等で合成できる。オレフィンの単重合体およびこれらを含む共重合体等は、カミンスキー触媒などのメタロセン型チーグラーナッタ触媒を含む配位重合等で合成できる。エポキシ化合物の単重合体およびこれらを含む共重合体等は、アルミニウムポリフィリン錯体を用いた開環重合で合成できる。
【0133】
ここで、図面を参照して、本発明の感光性樹脂組成物を用いた電子部品の製造方法について説明する。
【0134】
図1は、本発明の感光性樹脂組成物を用いた半導体チップの製造工程の一例を示す断面図である。
【0135】
まず図1(a)に示すように、シリコン半導体基板1上に、被エッチング膜として厚さ約0.8μmの酸化ケイ素膜2をCVD法により形成し、この上にレジスト69と同様の組成物を含むレジスト膜3を約0.3μmの膜厚で形成した。なお、半導体基板1中には、例えばMOSFETダイオード等の素子(図示せず)が形成されている。
【0136】
このレジスト膜に対し、波長157nmのF2エキシマレーザー光を照射して、所定のパターン光を露光した。続いて、110℃で2分のベーキング処理を施した後、2.38%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液(TMAH)で露光部を選択的に溶解・除去して、ポジ型のレジストパターン3Aを形成した。得られたレジストパターン3Aをエッチングマスクとして、CF4ガスを用いたRIE法により被エッチング膜である酸化ケイ素膜2を選択的にエッチングして、図1(b)に示すようにパターンを転写した。
【0137】
最後に、O2プラズマ中でレジストパターン3Aを炭化して除去することにより、図1(c)に示すような微細な開孔6を有する酸化ケイ素膜2が得られた。なお、酸化ケイ素2に形成された開孔6の直径は約0.32μmであり膜厚のばらつきは2%以下に抑制された。
【0138】
本発明の感光性樹脂組成物は、電子部品における配線のパターニングにも好ましく用いることができる。
【0139】
図2は、本発明を2層配線の形成に適用した例を示す工程断面図である。
【0140】
まず、図2(a)に示すように、半導体基板1の上に厚さ約0.8μmの酸化ケイ素膜2をCVD法により成膜した。なお、半導体基板1中には、例えば、MOSFET、ダイオード等の素子(図示せず)が形成されている。次いで、Al−Si−Cuからなる厚さ約0.7μmの下層配線10と、SiO2からなる厚さ約0.7μmの層間絶縁膜7とを形成し、これらの上にAl−Si−Cuからなる厚さ約0.7μmの上層配線層11を形成した。このとき、上層配線層には、約0.7μmの段差が生じた。さらに、レジスト70と同様の組成物を含むレジスト膜3を、約0.3μmの膜厚で上層配線層11の上に成膜した。
【0141】
このレジスト膜に対し、波長157nmのF2エキシマレーザー光を照射して、所定のパターン光を露光した。続いて、110℃で2分のベーキング処理を施した後、2.38%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液(TMAH)で露光部を選択的に溶解・除去して、ポジ型のレジストパターン3Aを形成した。得られたレジストパターン3Aをエッチングマスクとして、CF4ガス等の塩素系ガスを用いRIE法により上層配線層11をエッチング除去することにより、上層配線11Aを形成した。
【0142】
最後に、O2プラズマ中でレジストパターン3Aを炭化して除去することにより、図2(c)に示すような2層配線が得られた。
【0143】
上述したような2層配線の形成に本発明を適用した場合も、収縮率や強度を改善することができる。形成された上層配線11Aは、下層配線膜等によって生じる段差(約0.7μm)の影響をほとんど受けず、設計寸法0.6μmに対して、寸法誤差は±0.05μmであった。従来の寸法誤差は±0.1μmであったのと比較すると、本発明を適用することによって、極めて高い精度で配線を形成できることがわかる。
【0144】
また、配線間隔0.4μm、配線幅0.6μmの上層配線を形成した場合、断線や短絡等の不良は全く発生しなかった。
【0145】
図3は、本発明をAu配線の形成に適用した例を示す工程断面図である。
【0146】
まず、図3(a)に示すように、半導体基板1上にCVD法により厚さ約0.8μmの酸化ケイ素膜2を形成した。なお、半導体基板1中には、例えばMOSFET、ダイオード等の素子(図示せず)が形成されている。次いで、この酸化ケイ素膜2上に、厚さ約0.2μmのチタン含有タングステン(Ti−W)膜12と、厚さ約0.1μmの金(Au)膜13とをスパッタ法により順次形成した。さらに、レジスト83と同様の組成物を含むレジスト膜3を、約0.3μmの膜厚でAu膜13の上に形成した。
【0147】
このようなレジスト膜3に対し、波長157nmのF2エキシマレーザー光を照射して、所定のパターン光を露光した。続いて、110℃で2分のベーキング処理を施した後、2.38%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液(TMAH)で露光部を選択的に溶解・除去して、ポジ型のレジストパターン3Aを形成した。こうしてレジストパターン3Aによって、溝15を設けた。得られた溝15の底部に露出したTi−W膜12およびAu膜13を電極として用い、電解メッキ法により溝中に厚さ約1μmのAuメッキ膜14を形成した。
【0148】
続いて、O2プラズマ中でレジストパターン3Aを炭化して除去することにより、図3(c)に示すようにAuメッキ膜14をAu膜13の上に突出させた。
【0149】
最後に、イオントリミングによって露出しているAu膜13を除去した後、フッ素系ガスを用いて露出したTi−W膜13を除去することによって、図3(d)に示すようなAu配線20を形成した。
【0150】
本発明を適用すると、レジスト膜3を150℃以下で形成できる。したがって、Au膜13とレジスト膜3との剥離がなくなるため、幅0.7μmのAu配線を形成した場合、断線や短絡等の不良は全く発生しなかった。
【0151】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、160nm以下の短波長光源、特にフッ素レーザー光に対して透明性が優れるとともに、高いドライエッチング耐性を備え、アルカリ現像で密着性、解像性の良好なレジストパターンを形成し得る感光性樹脂組成物が提供される。さらに本発明によれば、上述したような感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法、およびこれを用いた電子部品の製造方法が提供される。
【0152】
本発明の感光性樹脂組成物は、フッ素レーザー光を利用したパターン形成の際に、特にその効果を発揮するが、i線光、deepUV光、KrFエキシマーレーザー光、ArFエキシマーレーザー光、電子線、およびX線を利用したパターン形成においても十分使用が可能である。かかる感光性樹脂組成物は、半導体デバイスの製造プロセスのフォトリソグラフィー技術において顕著な効果を有するものであり、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる感光性樹脂組成物を用いた電子部品の製造工程の一例を示す断面図。
【図2】本発明にかかる感光性樹脂組成物を用いた電子部品の製造工程の他の例を示す断面図。
【図3】本発明にかかる感光性樹脂組成物を用いた電子部品の製造工程の他の例を示す断面図。
【符号の説明】
1…半導体基板
2…酸化ケイ素膜
3…レジスト膜
3A…レジストパターン
6…開孔
7…層間絶縁膜
10…下層配線
11…上層配線層
11A…上層配線
12…Ti−W膜
13…Au膜
14…Auメッキ膜
15…溝
20…Au配線
Claims (4)
- 2,5−ジヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドとアクリロニトリルとを、エチレンビスインジウムジルコニウムジクロリドおよびメチルアルモキサンを用いて共重合させた共重合体であるレジスト用高分子化合物と光酸発生剤とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 請求項1に記載の感光性樹脂組成物を含む樹脂層を基板上に形成する工程と、前記樹脂層の所定の領域にパターン露光を施す工程と、前記露光後の樹脂層を熱処理する工程と、前記熱処理後の樹脂層をアルカリ水溶液で現像して、露光部を選択的に溶解除去する工程とを具備することを特徴とするパターン形成方法。
- 前記パターン露光は、F 2 レーザーを照射することにより行なわれる請求項2に記載のパターン形成方法
- 請求項1に記載の感光性樹脂組成物を含む樹脂層を基板上に形成する工程と、前記樹脂層の所定の領域にF 2 レーザーによるパターン露光を施す工程と、前記露光後の樹脂層を熱処理する工程と、前記熱処理後の樹脂層をアルカリ水溶液で現像して、露光部を選択的に溶解除去してレジストパターンを形成する工程と前記レジストパターンをエッチングマスクとして用いて、前記基板をエッチングする工程とを具備することを特徴とする電子部品の製造方法。
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