JP3586048B2 - アルカリ現像用レジスト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子などの製造工程における微細加工に用いられるアルカリ現像用レジストに関する。
【0002】
【従来の技術】
以前よりLSIを始めとする電子部品の製造プロセスでは、フォトリソグラフィーを利用した微細加工技術が採用されている。すなわち、まずレジスト液を基板などの上に塗布してレジスト膜を成膜し、次いで得られたレジスト膜に対してパターン光の露光を行なう。その後、アルカリ現像等の処理を施してレジストパターンを形成する。続いて、このレジストパターンを耐エッチングマスクとして露出した基板などの表面をドライエッチングすることで、微細な幅の線や開孔部を形設し、最後にレジストをアッシング除去するというものである。
【0003】
したがって、ここで用いられるレジストには、一般に高いドライエッチング耐性が求められる。こういった観点から、これまでは芳香族化合物を含有するレジストが広く用いられてきており、具体的にはアルカリ可溶性であるノボラック樹脂などをベース樹脂としたものが数多く開発されている。
【0004】
一方LSIなどの高密度集積化に伴い、上述したような微細加工技術は近年サブハーフミクロンオーダーにまで及んでいるので、今後こうした微細化はさらに顕著になることが予想されている。このため、フォトリソグラフィーにおける光源の短波長化が進行しており、現在波長193nmのArFエキシマレーザ光や波長218nmのYAGレーザの5倍高調波光による微細なレジストパターンの形成が試みられている。
【0005】
然るに、これまで一般的であったノボラック樹脂をベース樹脂としたレジストでは、上述した通りの短波長光に対してノボラック樹脂のベンゼン核での光吸収が大きい傾向がある。したがってレジストパターンを形成しようとすると、露光時にレジスト膜の基板側にまで光を充分に到達させることが難しく、結果的にパターン形状の良好なパターンを高感度、高精度で形成することは困難であった。
【0006】
上述したように、ノボラック樹脂をベース樹脂としたレジストはドライエッチング耐性が高くかつアルカリ現像が可能であるものの、短波長光に対する透明性が不充分であるため、ArFエキシマレーザ光やYAGレーザの5倍高調波光を用いたフォトリソグラフィーにも適したレジストの開発が強く望まれている。このような点を考慮して、最近は芳香族化合物にかわり脂環式化合物を含有するレジストが注目されており、例えば特開平4−39665号には、ドライエッチング耐性、短波長光に対する透明性とも良好なレジストとして、アダマンタン骨格を有する重合体をベース樹脂としたものが提案されている。またここでは、アダマンタン骨格を有する化合物を、カルボン酸基を有するアクリル系化合物と共重合させることで重合体にアルカリ溶解性を付与し、アルカリ現像でレジストパターンを形成した例も示されている。
【0007】
しかしながら、脂環式化合物を含有するレジストについてこうしてアルカリ現像でレジストパターンを形成する場合、アダマンタン骨格のような脂環式構造とカルボン酸基との間でアルカリ溶解性が大きく相違するため、様々な問題が発生する。例えば、現像時にレジスト膜の所定の領域の溶解・除去が不均一なものとなり解像性の低下を招く一方、レジスト膜が残存するはずの領域でも部分的な溶解が生じてクラックや表面あれの原因となる。また、レジスト膜と基板との界面にアルカリ溶液が浸透して、レジストパターンが剥離することもある。さらに、重合体において脂環式構造を有する部分とカルボン酸基部分との相分離が進みやすく、均一なレジスト液が調製され難いうえその塗布性も充分ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決して、短波長光に対する透明性が優れるとともに高いドライエッチング耐性を備え、かつアルカリ現像で解像性の良好なレジストパターンを形成することができるアルカリ現像用レジストを提供することを目的する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、25℃の水溶液中でのpKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式化合物を含有するアルカリ現像用レジストが提供される。
【0010】
また、本発明によれば、下記一般式1ないし3で表される少なくとも1種の構造単位を含む化合物を含有するアルカリ現像用レジストが提供される。
【0011】
【化7】
【0012】
(ここで、R1 ないしR3 のうち少なくとも1つは脂環族を含む1価の有機基であり、その他はアルキル基である。R1 およびR2 は部分的に結合して環状化合物を形成してもよく、R3 はヒドロキシル基であってもよい。)
【化8】
【0013】
(ここで、R1 ,R2 ,R4 およびR5 の少なくとも1つは、脂環族を含む1価の有機基であり、その他は水素原子あるいはアルキル基を示す。また、R1 とR2 は、部分的に結合して環状化合物を形成してもよい。また、R4 とR5 は、部分的に結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化9】
【0014】
(ここで、R1 ,R2 およびR6 の少なくとも1つは、脂環族を含む1価の有機基であり、その他は水素原子あるいはアルキル基を示す。また、R1 とR2 とは、部分的に結合して環状化合物を形成してもよい。)
さらに、本発明によれば、25℃の水溶液中でのpKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式単量体化合物を含む重合体を含有するアルカリ現像用レジストが提供される。
【0015】
またさらに、本発明によれば、25℃の水溶液中でのpKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式単量体化合物を含む重合体を含有し、かつ該脂環単量体化合物が、下記一般式1ないし3のいずれかで表される化合物であるアルカリ現像用レジストが提供される。
【0016】
【化10】
【0017】
(ここで、R1 ないしR3 のうち少なくとも1つは脂環族を含む1価の有機基であり、その他はアルキル基である。R1 およびR2 は部分的に結合して環状化合物を形成してもよく、R3 はヒドロキシル基であってもよい。)
【化11】
【0018】
(ここで、R1 , R2 , R4 およびR5 の少なくとも1つは、脂環族を含む1価の有機基であり、その他は水素原子あるいはアルキル基を示す。また、R1 とR2 とは、部分的に結合して環状化合物を形成してもよい。また、R4 とR5 とは、部分的に結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化12】
【0019】
(ここで、R1 ,R2 およびR6 の少なくとも1つは、脂環族を含む1価の有機基であり、その他は水素原子あるいはアルキル基を示す。また、R1 とR2 とは、部分的に結合して環状化合物を形成してもよい。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明のアルカリ現像用レジストにおいて、上述したような脂環式構造としては、一般式CnH2n(nは3以上の整数)で表される環状シクロ化合物や環状ビシクロ化合物、及びそれらの縮合環などが挙げられる。具体的には、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環やこれらに橋かけ炭化水素が導入されたもの、スピロヘプタン、スピロオクタンなどのスピロ環、ノルボニル環、アダマンタン環、ボルネン環、メンチル環、メンタン環などのテルペン環、ツジャン、サビネン、ツジョン、カラン、カレン、ピナン、ノルピナン、ボルナン、フェンカン、トリシクレン、コレステリック環などのステロイド骨格、タンジュウサン、ジギタロイド環、ショウノウ環、イソショウノウ環、セスキテルペン環、サントン環、ジテルペン環、トリテルペン環、およびステロイドサポニン類などが例示される。
【0021】
一方脂環式構造中に導入される酸性置換基としては、プロパノンオキシム基、プロパナールオキシム基、ヒドロキシイミノペンタノン、ジメチルグリオキシムなどケトンオキシム構造を含む有機基;N−ヒドロキシサクシンイミド構造を含む有機基;シクロペンテン1,3−ジオン、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタジオンなどジカルボニルメチレン構造を含む有機基;スルファミル構造を含む有機基;多置換スルフォニルメタン構造を含む有機基;ヘキサンチオールなどチオールを含む有機基;ヒドロキシシクロペンテノンなど互変異性のアルコール、カルバメート基を含む有機基;フルフリルアルコールを含む有機基;アミック酸構造を含む有機基;フェノール、クレゾール、サリシンアルデヒドなどフェノール性水酸基を含む有機基;トリアジン骨格を含む有機基などが挙げられる。ただし、フェノール性水酸基を含む有機基及びトリアジン骨格を含む有機基は短波長光に対する光吸収が大きいので、本発明においてはこれら以外の酸性置換基を脂環式構造中に導入することが好ましい。ここで、特に好ましい酸性置換基を以下に示す。
【0022】
【化13】
【0023】
(ここで、R1 ないしR3 のうち少なくとも1つは脂環族を含む1価の有機基であり、その他はアルキル基である。R1 およびR2 は部分的に結合して環状化合物を形成してもよく、R3 はヒドロキシル基であってもよい。)
【化14】
【0024】
(ここで、R1 ,R2 ,R4 およびR5 の少なくとも1つは、脂環族を含む1価の有機基であり、その他は水素原子あるいはアルキル基を示す。また、R1 とR2 とは、部分的に結合して環状化合物を形成してもよい。また、R4 とR5 とは、部分的に結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化15】
【0025】
(ここで、R1 ,R2 およびR6 の少なくとも1つは、脂環族を含む1価の有機基であり、その他は水素原子あるいはアルキル基を示す。また、R1 とR2 とは、部分的に結合して環状化合物を形成してもよい。)
なお本発明で、脂環式構造中に導入される酸性置換基のpKaの値を7以上11以下と規定した理由は、pKaが7未満だと脂環式構造と酸性置換基とのアルカリ溶解性の差異が大きすぎるため、アルカリ現像で解像性の良好なレジストパターンを形成することが困難となり、pKaが11を越えるとアルカリ現像性がさほど向上しないからである。さらに、酸性置換基の好ましいpKaの値は9以上10以下である。ただし、一般式(3)で表わされる酸性置換基は二重結合を有しているため、光を照射することによって二重結合が切断されるという反応性を若干有している。この場合、光反応生成物がpKa7以上11以下となり得る。したがって、この場合には、pKaの値が7以上11以下という範囲を外れることもあり得る。前述の一般式(1)で表わされる化合物は、R3 が水素原子のとき不純物として遊離アミンを混入しやすい。そうした意味では、R3 が水酸基であるか、またはアルキル基、一般式(2)、(3)で表される化合物が最も好ましい。
【0026】
本発明においては、上述したような酸性置換基が導入された脂環式化合物は、重合体中に含有されていてもよい。この場合、かかる脂環式化合物単量体と、ビニル化合物とを共重合させて得られた共重合体が特に好ましい。このような重合体は、酸性置換基が導入された脂環式構造及び重合性二重結合を分子中に有する重合性化合物をラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、あるいはチグラーナッター触媒下で重合させることで、容易に得ることができる。一般に、脂環式構造および重合性二重結合を有する重合性化合物は、後者の触媒を用いることによって高分子量のポリマーとすることができる。しかしながら本発明では、低分子量のポリマーであっても製膜さえできれば何等問題ないため、ラジカル重合などの簡便な手法を用いて重合し、低分子量化合物と高分子量化合物の混合した状況で用いても良い。低分子量化合物が含有されていると、アルカリ溶解性が向上するために好ましい。ただし、重合体中における低分子量化合物の割合が50%以上となると膜形成が困難となるため、その割合は50%未満とすることが好ましい。またこのとき、高分子化合物のアルカリ溶解性調整やレジストの基板との密着性向上の観点から、アクリル酸や無水マレイン酸及びこれらのエステル置換体、ビニルフェノール、ビニルナフトール、ナフトールオキシメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、SO2 などと共重合させることが好ましい。さらに、これらアルカリ可溶性化合物のアルカリ可溶性基について、アルカリ溶液に対する溶解抑止能を有する酸分解性基で保護してなる化合物を共重合させても構わない。しかしながら、レジストの短波長光に対する透明性を考慮すると、ベンゼン核など短波長域での光吸収の大きい分子骨格を有していない化合物と共重合させることが好ましく、具体的に高分子化合物の波長193nmの光に対する吸光度が1μm当り3以下であることが望まれる。この場合には、特にArFエキシマレーザ光を用いた露光に対して有効となる。
【0027】
ただしここで、アクリル酸などアルカリ可溶性化合物の共重合比は、共重合体中1〜50%、さらには10〜50%の範囲内であることが好ましい。何となれば、1%未満だと高分子化合物のアルカリ溶解性が不充分となるおそれがあり、逆に50%を越えると不均一な溶解を生じ、レジストパターンを形成しにくい傾向があるためである。
【0028】
また、本発明で上述したような高分子化合物の平均分子量は、500〜500,000の範囲内に設定されることが好ましい。何となれば、高分子化合物の平均分子量が500未満だと、機械的強度の充分なレジスト膜を成膜するうえで不利となり、逆に高分子化合物の平均分子量が500,000を越えると、解像性の良好なレジストパターンを形成することが困難となるからである。これらの化合物は、通常、種々の分子量を有する成分を含む混合体であるが、本発明においては、比較的低い分子量においても効力を発揮する。例えば、500〜1000の平均分子量に多く局在した場合も、不均一な溶解を抑制することができる。さらにこの場合、多くの単量体が樹脂中に残存しても溶解特性やドライエッチング耐性を劣化させることは少ない。
【0029】
さらに本発明のアルカリ現像用レジストにおいては、この高分子化合物が酸素原子及び窒素原子以外のヘテロ原子を含有しないこと、換言すると炭素原子、水素原子の他は酸素原子及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子のみを構成元素とするものであることが好ましい。これは、イオウ原子など酸素原子及び窒素原子以外のヘテロ原子を含有する高分子化合物は、その環境性の点で問題があるうえに、こうしたヘテロ原子を含有する高分子化合物をベース樹脂としたアルカリ現像用レジストでは、レジストパターンを形成しエッチングマスクに供された後のアッシング除去が煩雑化するためである。
【0030】
本発明のアルカリ現像用レジストのレジスト組成としては、ポジ型レジストの場合、放射線の照射により主鎖が切断され得るアルカリ可溶性の樹脂や、放射線の照射によりアルカリ溶液に対する溶解度が増大する化合物を含有する樹脂組成物が挙げられる。一方ネガ型レジストの場合は、放射線の照射により架橋し得るアルカリ可溶性の樹脂や、放射線の照射によりアルカリ溶液に対する溶解度が低下する化合物を含有する樹脂組成物が例示される。
【0031】
また、露光後光化学反応を熱反応によって増幅する化学増幅型レジストは、高い感度でレジストパターンを形成するうえで有効である。例えばポジ型の化学増幅型レジストとしては、アルカリ可溶性の樹脂と、アルカリ溶液に対する溶解抑止能を有する酸分解性化合物などの溶解抑止剤と、放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する感光性組成物が挙げられる。より具体的には、前述の酸性置換基が導入された脂環式化合物として酸分解性化合物を選択し、この化合物にアルカリ可溶性樹脂と光酸発生剤とを配合して調製することができる。また、前述の酸性置換基が導入された脂環式化合物が重合体中に含有されている場合には、この化合物自体あるいは共重合成分として酸分解性のものを選択し、この重合体に対して光酸発生剤を配合してもよい。さらに、ここに挙げた化合物が同時に配合されていてもよい。
【0032】
一方、ネガ型の化学増幅型レジストとしては、アルカリ可溶性の樹脂と、酸の存在下この樹脂を架橋するかアルカリ溶液に対する溶解度が低下する化合物と、光酸発生剤とを含有する感光性組成物が例示される。より具体的には、前述の酸性置換基が導入された脂環式化合物として酸架橋性化合物を選択し、この化合物に対して、アルカリ可溶性樹脂および光酸発生剤を配合して調製することができる。また、前述の酸性置換基が導入された脂環式化合物が重合体中に含有されている場合には、この重合体に対し酸架橋性化合物および光酸発生剤を配合してもい。さらに、ここに挙げた化合物が同時に配合されていてもよい。
【0033】
本発明においては、いずれの場合もpKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式構造を有する高分子化合物が、アルカリ現像用レジスト中のベース樹脂として配合される。したがって、この高分子化合物が上述したような溶解抑止剤や光酸発生剤などとの組み合わせに基づき、露光前にはアルカリ溶液に不溶で露光後に可溶化する場合はポジ型のレジストとなり、逆に露光前にはアルカリ溶液に可溶で露光後に不溶化する場合はネガ型のレジストとなる。
【0034】
ここで本発明では、酸性置換基が導入された脂環式構造の量が、レジストの固形分中30重量%以上となるように各成分が配合されることが好ましい。これは、30重量%未満だとアルカリ現像で解像性の良好なレジストパターンを形成することが困難となるうえ、得られるレジストパターンのドライエッチング耐性が低下する傾向もあるためである。
【0035】
さらにポジ型の化学増幅型レジストは、溶解抑止剤を配合するかわりに溶解抑止能を有する酸分解性基で樹脂中のアルカリ可溶性基を保護し、こうした樹脂と光酸発生剤とを含有する感光性組成物とすることもできる。同様に、ネガ型の化学増幅型レジストについては、酸架橋性基が導入されたアルカリ可溶性の樹脂と光酸発生剤とを含有する感光性組成物であってもよい。
【0036】
この場合具体的には、pKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式構造及び重合性二重結合を分子中に有する重合性化合物を、酸分解性基あるいは酸架橋性基を有するビニル系化合物などと共重合させて、ベース樹脂となる高分子化合物として用いればよい。なお、ここではアルカリ可溶性基を有する化合物をさらに共重合させても構わない。
【0037】
上述したようなビニル系化合物としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、α−クロロアクリレート、シアノアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、α−メチルスチレン、トリメチルシリルメタクリレート、トリメチルシリルα−クロロアクリレート、トリメチルシリルメチルα−クロロアクリレート、無水マレイン酸、テトラヒドロピラニルメタクリレート、テトラヒドロピラニルα−クロロアクリレート、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルα− クロロアクリレート、ブタジエン、グリシジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メンチルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、アリルメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、下記一般式で表されるアクリル酸の誘導体は特に好ましい。
【0038】
【化16】
【0039】
上記一般式(4)中、R7 は水素原子または1価の有機基、R8 ,R9 およびR10は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基を示す。
【0040】
また、ポジ型の化学増幅型レジストにおいて樹脂中のアルカリ可溶性基を保護する酸分解性基としては、例えば、イソプロピルエステル、テトラヒドロピラニルエステル、テトラヒドロフラニルエステル、メトキシエトキシメチルエステル、2−トリメチルシリルエトキシメチルエステル、3−オキソシクロヘキシルエステル、イソボルニルエステル、トリメチルシリルエステル、トリエチルシリルエステル、イソプロピルジメチルシリルエステル、ジ−t−ブチルメチルシリルエステル、オキサゾール、2−アルキル−1,3−オキサゾリン、4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリン、5−アルキル−4−オキソ−1,3−ジオキソランなどのエステル類;t−ブトキシカルボニルエーテル、t−ブトキシメチルエーテル、4−ペンテニロキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、3−ブロモテトラヒドロピラニルエーテル、1−メトキシシクロヘキシルエーテル、4−メトキシテトラヒドロピラニルエーテル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルエーテル、1,4−ジオキサン−2−イルエーテル、テトラヒドロフラニルエーテル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イルエーテル、t−ブチルエーテル、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテル、ジメチルイソプロピルシリルエーテル、ジエチルイソプロピルシリルエーテル、ジメチルセキシルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテルなどのエーテル類;メチレンアセタール、エチリデンアセタール、2,2,2−トリクロロエチリデンアセタール、2,2,2−トリブロモエチリデンアセタール、2,2,2−トリヨードエチリデンアセタールなどのアセタール類;1−t−ブチルエチリデンケタール、イソプロピリデンケタール(アセトニド)、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、シクロヘプチリデンケタールなどのケタール類;メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、ジメトキシメチレンオルソエステル、1−メトキシエチリデンオルソエステル、1−エトキシエチリデンオルソエステル、1,2−ジメトキシエチリデンオルソエステル、1−N,N−ジメチルアミノエチリデンオルソエステル、2−オキサシクロペンチリデンオルソエステルなどのサイクリックオルソエステル類;トリメチルシリルケテンアセタール、トリエチルシリルケテンアセタール、トリイソプロピルシリルケテンアセタール、t−ブチルジメチルシリルケテンアセタールなどのシリルケテンアセタール類;ジ−t−ブチルシリルエーテル、1,3−1’,1’,3’,3’−テトライソプロピルジシロキサニリデンエーテル、テトラ−t−ブトキシジシロキサン−1,3−ジイリデンエーテルなどのシリルエーテル類;ジメチルアセタール、ジメチルケタール、ビス−2,2,2−トリクロロエチルアセタール、ビス−2,2,2−トリブロモエチルアセタール、ビス−2,2,2−トリヨードエチルアセタール、ビス−2,2,2−トリクロロエチルケタール、ビス−2,2,2−トリブロモエチルケタール、ビス−2,2,2−トリヨードエチルケタール、ジアセチルアセタール、ジアセチルケタールなどの非環状アセタール類またはケタール類;1,3−ジオキサン、5−メチレン−1,3−ジオキサン、5,5−ジブロモ−1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−ブロモメチル−1,3−ジオキソラン、4−3’−ブテニル−1,3−ジオキソラン、4,5−ジメトキシメチル−1,3−ジオキソランなどのサイクリックアセタール類またはケタール類;O−トリメチルシリルシアノヒドリン、O−1−エトキシエチルシアノヒドリン、O−テトラヒドロピラニルシアノヒドリンなどのシアノヒドリン類などを挙げることができる。
【0041】
本発明においては、これらの酸分解性基の中でもt−ブチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、3−オキソシクロヘキシルメタクリレート、t−ブチル−3−ナフチル−2−プロペノエート、イソボルニルメタクリレート、トリメチルシリルメタクリレート、テトラヒドロピラニルメタクリレートのようなt−ブチルエステル;トリメチルシリルエステル;テトラヒドロピラニルエステルが、酸で容易に分解される点で好ましい。また、ここで例示されたメタクリレートのかわりにアクリレートが用いられても何ら差し支えない。
【0042】
さらに、酸分解性化合物として下記一般式(5)で表される構造単位を含む場合、適度な加水分解性に加えて、露光部の溶解性を促進する効果および本発明の構造も含むため望ましいものとなる。
【0043】
【化17】
【0044】
ただしここでR11,R12,R13はアルキル基を示し、R11,R12,R13のうち少なくとも1つは脂環族である。また、R12,R13は部分的に結合して環状化合物を形成しても良く、R11への結合は二重結合であっても良い。これはこの二重結合は、短波長の紫外線に感光し、結果として一重結合に変換されるためである。
【0045】
上述したような化合物は、アルカリ可溶性促進剤と混合して用いる場合、重合体中5〜60%、さらには10〜40%の範囲内に設定することが好ましい。なぜならば、5%未満では充分な溶解促進性を発揮することが難しく、40%を越えると解像性の良好なレジストパターンを形成することが困難となり、塗布性も低下するからである。
【0046】
なお、本発明で上述したような共重合体をベース樹脂として用いる場合は、酸分解性基を有するビニル系化合物などの成分の共重合比を、共重合体中10〜80%、さらには15〜70%の範囲内に設定することが好ましい。何となれば、10%未満では充分な溶解抑止能を発揮することが難しく、80モル%を越えると解像性の良好なレジストパターンを形成することが困難となるからである。
【0047】
また本発明において、25℃の水溶液中でのpKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式単量体化合物を含む重合体を、単なるアルカリ可溶性の樹脂として用いるときも、このような酸性置換基が導入された脂環式構造及び重合性二重結合を分子中に有する重合性化合物を、上記一般式(4)で表されるアクリル酸と共重合させて、いっこうに構わない。さらにここでは、アクリル酸において上記一般式(4)中のR7 に任意の有機基を導入し、高分子化合物のアルカリ溶解性を調整してもよい。ただしこうしたアクリル酸誘導体の共重合比は、解像性の良好なレジストパターンの形成を考慮すると、共重合体中1〜70%、さらには1〜50%の範囲内に設定されることが望まれる。
【0048】
一方、本発明で用いられる上述したような溶解抑止剤としては、アルカリ溶液に対する充分な溶解抑止能を有するとともに、酸による分解後の生成物がアルカリ溶液中で−(C=O)O−、−OS(=O)2 −、または−O−を生じ得る酸分解性化合物が例示される。具体的には、フェノール性化合物をt−ブトキシカルボニルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、3−ブロモテトラヒドロピラニルエーテル、1−メトキシシクロヘキシルエーテル、4−メトキシテトラヒドロピラニルエーテル、1,4−ジオキサン−2−イルエーテル、テトラヒドロフラニルエーテル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イルエーテル、t−ブチルエーテル、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテル、ジメチルイソプロピルシリルエーテル、ジエチルイソプロピルシリルエーテル、ジメチルセキシルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテルなどに変性した化合物、メルドラム酸誘導体などが挙げられる。これらのうちでは、フェノール性化合物の水酸基をt−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、あるいはテトラヒドロピラニル基などで保護した化合物;ナフタルデヒドにメルドラム酸を付加してなる化合物;脂環構造を有するカルボニル化合物にメルドラム酸を付加してなる化合物などが好ましい。
【0049】
さらに本発明における溶解抑止剤は、多価カルボン酸のイソプロピルエステル、テトラヒドロピラニルエステル、テトラヒドロフラニルエステル、メトキシエトキシメチルエステル、2−トリメチルシリルエトキシメチルエステル、t−ブチルエステル、トリメチルシリルエステル、トリエチルシリルエステル、t−ブチルジメチルシリルエステル、イソプロピルジメチルシリルエステル、ジ−t−ブチルメチルシリルエステル、オキサゾール、2−アルキル−1,3−オキサゾリン、4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリン、5−アルキル−4−オキソ−1,3−ジオキソランなどであってもよい。また、以下に示す化合物を用いることもできる。
【0050】
【化18】
【0051】
【化19】
【0052】
【化20】
【0053】
【化21】
【0054】
【化22】
【0055】
【化23】
【0056】
式中、t−Bocは−(C=O)O−C(CH3 )3 を示す。
【0057】
【化24】
【0058】
【化25】
【0059】
【化26】
【0060】
【化27】
【0061】
【化28】
【0062】
本発明においてはこれらの溶解抑止剤のうち、共役多環芳香族系化合物が短波長光に対する透明性が優れる点で好ましい。なおこの共役多環芳香族系化合物とは、不飽和結合がひとつおきに配列した骨格とすることで複数の芳香環が平面的に連結された非縮合多環系や縮合多環系の化合物である。すなわちこうした化合物は、π電子の共役安定化に起因して光吸収帯が長波長域にシフトしており、本発明では特に共役多環芳香族系化合物を溶解抑止剤として用いることで、短波長光に対し優れた透明性を有するとともに、耐熱性も充分なアルカリ現像用レジストを得ることができる。
【0063】
具体的には、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、ナフタセン環、クリセン環、3,4−ベンゾフェナントレン環、ペリレン環、ペンタセン環、ピセン環、ピロール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンソチアゾール環、インダゾール環、クロメン環、キノリンジンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、チアントレン環、インドリジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、フルオレン環などを有する化合物であり、中でもナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環などを有する縮合多環系の化合物は、波長193nmの光に対する透明性の点で優れている。したがって、これら縮合芳香環構造を有するポリヒドロキシ化合物の水酸基を、t−ブチルカーボネート基、t−ブチルエステル基、テトラヒドロピラニルエーテル基、アセタール基、トリメチルシリルエーテル基などで保護したものや、これら縮合芳香環構造を有するアルデヒド化合物とメルドラム酸との縮合化合物が、溶解抑止剤として特に好ましい。
【0064】
また、本発明では上述したような酸分解性化合物以外に、分子量200〜2,000程度のナフトールノボラック化合物が溶解抑止剤として好ましく併用され得る。さらに、アルカリ溶液に対する溶解抑止能を有する酸分解性基でベース樹脂中のアルカリ可溶性基が保護された場合は、このナフトールノボラック化合物を溶解抑止剤として単独で配合してもよい。なおこうしたナフトールノボラック化合物は、ナフトールまたはその誘導体をカルボニル化合物で縮合させることで容易に得ることができる。
【0065】
本発明のアルカリ現像用レジストにおいて、溶解抑止剤の配合量はベース樹脂の単量体相当モル数に対し、3〜50モル%さらには10〜40モル%の範囲内に設定されることが好ましい。これは溶解抑止剤の配合量が3モル%未満だと、解像性の良好なレジストパターンを形成することが困難となり、逆に50モル%を越えると、レジスト膜を形成したときにその機械的強度などが損なわれるおそれがあるうえ、露光部のレジスト膜をアルカリ溶液で溶解・除去するときの溶解速度が大きく低下する傾向があるからである。
【0066】
さらに、本発明のアルカリ現像用レジストが化学増幅型レジストである場合に配合される光酸発生剤としては、例えば、アリールオニウム塩、ナフトキノンジアジド化合物、ジアゾニウム塩、スルフォネート化合物、スルフォニウム化合物、スルファミド化合物、ヨードニウム化合物、スルフォニルジアゾメタン化合物などを用いることができる。これらの化合物の具体例としては、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムp−エチルフェニルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウム2−ナフチルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムフェニルスルフェート、2,5−ジエトキシ−4−N−4’−メトキシフェニルカルボニルフェニルジアゾニウム3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、2−メトキシ−4−N−フェニルフェニルジアゾニウム3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、ジフェニルスルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシレート、みどり化学製MPI−103(CAS.NO.[87709−41−9])、みどり化学製BDS−105(CAS.NO.[145612−66−4])、みどり化学製NDS−103(CAS.NO.[110098−97−0])、みどり化学製MDS−203(CAS.NO.[127855−15−5])、みどり化学製Pyrogallol tritosylate(CAS.NO.[20032−64−8])、みどり化学製DTS−102(CAS.NO.[75482−18−7])、みどり化学製DTS−103(CAS.NO.[71449−78−0])、みどり化学製MDS−103(CAS.NO.[127279−74−7])、みどり化学製MDS−105(CAS.NO.[116808−67−4])、みどり化学製MDS−205(CAS.NO.[81416−37−7])、みどり化学製BMS−105(CAS.NO.[149934−68−9])、みどり化学製TMS−105(CAS.NO.[127820−38−6])、みどり化学製NB−101(CAS.NO.[20444−09−1])、みどり化学製NB−201(CAS.NO.[4450−68−4])、みどり化学製DNB−101(CAS.NO.[114719−51−6])、みどり化学製DNB−102(CAS.NO.[131509−55−2])、みどり化学製DNB−103(CAS.NO.[132898−35−2])、みどり化学製DNB−104(CAS.NO.[132898−36−3])、みどり化学製DNB−105(CAS.NO.[132898−37−4])、みどり化学製DAM−101(CAS.NO.[1886−74−4])、みどり化学製DAM−102(CAS.NO.[28343−24−0])、みどり化学製DAM−103(CAS.NO.[14159−45−6])、みどり化学製DAM−104(CAS.NO.[130290−80−1]、CAS.NO.[130290−82−3])、みどり化学製DAM−201(CAS.NO.[28322−50−1])、みどり化学製CMS−105、みどり化学製DAM−301(CAS.No.[138529−81−4])、みどり化学製SI−105(CAS.No.[34694−40−7])、みどり化学製NDI−105(CAS.No.[133710−62−0])、みどり化学製EPI−105(CAS.No.[135133−12−9])などが挙げられる。さらに、以下に示す化合物を用いることもできる。
【0067】
【化29】
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】
【化32】
【0071】
【化33】
【0072】
【化34】
【0073】
【化35】
【0074】
【化36】
【0075】
【化37】
【0076】
【化38】
【0077】
【化39】
【0078】
【化40】
【0079】
【化41】
【0080】
【化42】
【0081】
(式中、C1 及びC2 は単結合または二重結合を形成し、R14は水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基またはアリール基、R15,R16は、互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基を示し、R15とR16はこれらが結合して環構造を形成していてもよい。)
【化43】
【0082】
式中、Zはアルキル基を示す。
【0083】
【化44】
【0084】
また上述したような光酸発生剤についても、ナフタレン骨格やジベンゾチオフェン骨格を有するアリールオニウム塩、スルフォネート化合物、スルフォニル化合物、スルファミド化合物など共役多環芳香族系化合物は、短波長光に対する透明性、耐熱性の点で有利である。具体的には、水酸基が導入されたナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、as−インダセン環、s−インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環、フルオランテン環、アセフェナントリレン環、アセアントリレン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、プレイアデン環、ピセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ペンタセン環、テトラフェニレン環、ヘキサフェン環、ヘキサセン環、ルビセン環、コロネン環、トリナフチレン環、ヘプタフェン環、ヘプタセン環、ピラントレン環、オバレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンズ[a] アントラセン環、ジベンゾ[a,j] アントラセン環、インデノ[1,2−a] インデン環、アントラ[2,1−a] ナフタセン環、1H− ベンゾ[a] シクロペント[j] アントラセン環を有するスルフォニルまたはスルフォネート化合物;ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、as− インダセン環、s−インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環、フルオランテン環、アセフェナントリレン環、アセアントリレン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、プレイアデン環、ピセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ペンタセン環、テトラフェニレン環、ヘキサフェン環、ヘキサセン環、ルビセン環、コロネン環、トリナフチレン環、ヘプタフェン環、ヘプタセン環、ピラントレン環、オバレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンズ[a] アントラセン環、ジベンゾ[a,j] アントラセン環、インデノ[1,2−a] インデン環、アントラ[2,1−a] ナフタセン環、1H− ベンゾ[a] シクロペント[j] アントラセン環を有する4−キノンジアジド化合物;ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、as− インダセン環、s−インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環、フルオランテン環、アセフェナントリレン環、アセアントリレン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、プレイアデン環、ピセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ペンタセン環、テトラフェニレン環、ヘキサフェン環、ヘキサセン環、ルビセン環、コロネン環、トリナフチレン環、ヘプタフェン環、ヘプタセン環、ピラントレン環、オバレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンズ[a] アントラセン環、ジベンゾ[a,j] アントラセン環、インデノ[1,2−a] インデン環、アントラ[2,1−a] ナフタセン環、1H− ベンゾ[a] シクロペント[j] アントラセンを側鎖を有するスルフォニウムまたはヨードニウムのトリフレートなどとの塩などが挙げられる。特に、ナフタレン環またはアントラセン環を有するスルフォニルまたはスルフォネート化合物;水酸基が導入されたナフタレン環またはアントラセン環を有する4−キノンジアジド化合物;ナフタレン環またはアントラセン環を側鎖を有するスルフォニウムまたはヨードニウムのトリフレートなどとの塩が好ましい。
【0085】
このような光酸発生剤のうち、本発明ではトリフェニルスルフォニウムトリフレートやジフェニルイオドニウムトリフレート,トリナフチルスルフォニウムトリフレート、ジナフチルヨードニウムトリフレート、ジナフチルスルフォニルメタン、みどり化学製NAT−105(CAS.No.[137867−61−9])、みどり化学製NAT−103(CAS.No.[131582−00−8])、みどり化学製NAI−105(CAS.No.[85342−62−7])、みどり化学製TAZ−106(CAS.No.[69432−40−2])、みどり化学製NDS−105、みどり化学製PI−105(CAS.No.[41580−58−9])や、s−アルキル化ジベンゾチオフェントリフレート、s−フルオロアルキル化ジベンゾチオフェントリフレート(ダイキン製)などが好ましく用いられる。これらの中でも、トリフェニルスルフォニウムトリフレート,トリナフチルスルフォニウムトリフレート、ジナフチルヨードニウムトリフレート、ジナフチルスルフォニルメタン、みどり化学製NAT−105(CAS.No.[137867−61−9])、みどり化学製NDI−105(CAS.No.[133710−62−0])、みどり化学製NAI−105(CAS.No.[85342−62−7])などは特に好ましい。
【0086】
本発明のアルカリ現像用レジストにおいて、光酸発生剤の好ましい配合量は、ベース樹脂全体に対して0.001〜50モル%、さらに好ましくは0.01〜40モル%、特に好ましくは0.1〜20モル%の範囲内である。すなわち、0.001モル%未満では高い感度でレジストパターンを形成することが困難であり、50モル%を越えるとレジスト膜を形成したときにその機械的強度などが損なわれるおそれがある。
【0087】
一方、ネガ型の化学増幅型レジストを調製する場合は上述した通り、例えば酸の存在下ベース樹脂としての高分子化合物を架橋する架橋剤を溶解抑止剤にかえて配合すればよい。ここでの架橋剤としては、例えば、エポキシ基を側鎖に有するビニル系化合物、上記一般式で表されるアクリル酸やその誘導体、メチロール置換されたトリアジン、ナフチリジン,プテリジン化合物のようなメラミン系化合物などを用いることができる。またこうした架橋剤を配合するかわりに、酸架橋性基としてビニル基、アリル基などを高分子化合物に導入してもよい。
【0088】
また、一般式(5)で表される化合物においてR11が二重結合の場合には、若干の光反応性を有するため、そのまま感光剤として使用することも可能である。例えば、前述の化合物をアクリル酸との共重合体と混合した場合は、そのままポジ型の遠紫外線レジストとして使用できる。一方、ナフトールノボラックなどのフェノール系樹脂と混合した場合には、そのままネガ型の遠紫外線レジストとして使用できる。
【0089】
本発明のアルカリ現像用レジストは、上述したような化合物や溶解抑止剤、架橋剤、光酸発生剤など、および必要に応じては他のアルカリ可溶性樹脂などを有機溶媒に溶解させ瀘過することで、通常ワニスとして調製される。ただし本発明のアルカリ現像用レジストにおいては、これらの成分以外にエポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、プロピレンオキシド−エチレンオキシド共重合体、ポリスチレンなどのその他のポリマーや、耐環境性向上のためのアミン化合物、ピリジン誘導体などの塩基性化合物、塗膜改質用の界面活性剤、反射防止剤としての染料などが適宜配合されても構わない。
【0090】
ここでの有機溶媒には、例えばシクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、メチルセロルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、γ−ブチロラクトンなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒や、溶解性向上のためこれらにジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアルデヒド、N−メチルピロリジノン等を添加した混合溶媒を用いることができる。また、メチルプロピオン酸メチル等のプロピオン酸誘導体、乳酸エチル等の乳酸エステル類やPGMEA(プロピレングリコールモノエチルアセテート)等も、低毒性であり好ましく用いられ得る。なお本発明において、このような溶媒は単独または2種以上を混合して用いることができ、さらにイソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの脂肪族アルコールや、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒が含有されていても構わない。
【0091】
次に、本発明のアルカリ現像用レジストを用いたパターン形成方法について、ポジ型の化学増幅型レジストの場合を例に挙げ説明する。まず、上述したような有機溶媒に溶解されたレジストのワニスを回転塗布法やディッピング法などで所定の基板上に塗布した後、150℃以下好ましくは70〜120℃で乾燥してレジスト膜を成膜する。なおここでの基板としては、例えばシリコンウェハ、表面に各種の絶縁膜や電極、配線などが形成されたシリコンウェハ、ブランクマスク、GaAs、AlGaAsなどのIII−V族化合物半導体ウェハ、クロムまたは酸化クロム蒸着マスク、アルミ蒸着基板、IBPSGコート基板、PSGコート基板、SOGコート基板、カーボン膜スパッタ基板などを使用することができる。
【0092】
次いで、所定のマスクパターンを介して化学線を照射するか、またはレジスト膜表面に化学線を直接走査させて、レジスト膜を露光する。上述した通り本発明のアルカリ現像用レジストは、短波長光をはじめ広範囲の波長域の光に対して優れた透明性を有しているので、ここでの化学線としては紫外線、X線、低圧水銀ランプ光のi線、h線、g線、キセノンランプ光、KrFやArFのエキシマレーザ光等のdeepUV光やシンクロトロンオービタルラジエーション(SOR)、電子線(EB)、γ線、イオンビームなどを使用することが可能である。
【0093】
続いて熱板上やオーブン中での加熱あるいは赤外線照射などにより、レジスト膜に170℃以下程度のベーキング処理を適宜施す。特に、本発明のアルカリ現像用レジストが化学増幅型レジストの場合には、ベーキング処理を施すことが好ましい。この後浸漬法、スプレー法などでレジスト膜を現像し、露光部または未露光部のレジスト膜をアルカリ溶液に選択的に溶解・除去して、所望のパターンを形成する。このときアルカリ溶液の具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液、コリン水溶液などの有機アルカリ水溶液や、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ水溶液、これらにアルコールや界面活性剤などを添加した溶液が挙げられる。なおここでのアルカリ溶液の濃度は、露光部と未露光部とで溶解速度の差を充分なものとする観点から、15重量%以下であることが好ましい。
【0094】
こうして、本発明のアルカリ現像用レジストを用いて形成されたレジストパターンは極めて解像性が良好であり、例えばこのレジストパターンをエッチングマスクとしたドライエッチングで、露出した基板などにクォーターミクロン程度の超微細なパターンを忠実に転写することができる。ここで得られたレジストパターンでは、ベース樹脂である高分子化合物中の脂環式構造において一方の炭素−炭素結合が切れても他方の結合が残るため、高いドライエッチング耐性を有している。なお、上述したような工程以外の他の工程が付加されても何ら差支えなく、例えばレジスト膜の下地としての平坦化層形成工程、レジスト膜と下地との密着性向上のための前処理工程、レジスト膜の現像後に現像液を水などで除去するリンス工程、ドライエッチング前の紫外線の再照射工程を適宜施すことが可能である。
【0095】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
【0096】
(高分子化合物の合成)
pKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式構造及び重合性二重結合を分子中に有する重合性化合物としてN−トリメチルシリルオキシテトラヒドロフタルイミド(NTSTHFI)0.7モル、及び酸分解性基を有する重合性化合物であるt−ブチルメタクリレート(t−BM)0.3モルを、テトラヒドロフラン(THF)200gに混合した。続いて、この混合液にアゾイソブチルニトリル(AIBN)2gを添加して70℃で36時間加熱して反応させ、反応液をヘキサンに滴下することで、ブロードな分布を有する平均分子量約700のNTSTHFI−t−BM共重合体を得た。得られた共重合体におけるNTSTHFIとt−BMの比率は、NMR測定結果で50:50であった。
【0097】
pKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式構造及び重合性二重結合を分子中に有する重合性化合物としてN−トリメチルシリルオキシテトラヒドロフタルイミド(NTSTHFI)0.7モル、及び酸分解性基を有する重合性化合物であるt−ブチルメタクリレート(t−BM)0.3モルをテトラヒドロフラン(THF)150gに混合した。続いて、この混合液にチグラーナッター触媒(塩化チタン−アルキルアルミニウム触媒)を添加して70℃で9時間加熱し、反応液をクエンチ後,ヘキサン溶媒中に滴下することで、平均分子量約20,000のNTSTHFI−t−BM70:30共重合体を合成した。
【0098】
さらに、以下のようにして種々の高分子化合物を合成した。
【0099】
NTSTHFIを、6−メチル−6,8,9,10−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン−5,7ジオン(MTCDO)、2−シクロヘキサ−2−エニル−シクロヘキサン−1,3ジオン(CECDO)に変更した以外は、前述と全く同様にチグラーナッター触媒を用いて、それぞれ、MTCDO−t−BM70:30共重合体、およびCECDO−t−BM70:30共重合体を合成した。
【0100】
また、NTSTHFIをN−トリメチルシリルオキシ5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(NTSNDI)に変更した以外は、前述と全く同様にチグラーナッター触媒を用いて、NTSNDI−t−BMを合成した。NTSTHFI−t−BMとNTSNDI−t−BMは、さらに5wt%酢酸メタノール溶液で脱トリメチルシリルさせてヒドロキシ化し、それぞれHTHFI−t−BM70:30共重合体及びHNDI−t−BM70:30共重合体を得た。
【0101】
さらに、NTSTHFI 0.7モル、およびアルカリ可溶性基を有する重合性化合物としてのメタクリル酸(MA)0.3モルをTHF200gに混合した。この混合液にAIBN2gを添加した後、60℃で9時間加熱して反応させ、反応液をヘキサン溶媒中に滴下することで、ブロードな分布を有する平均分子量約1000のTHFI−MA共重合体を合成した。NMRで決定したNTSTHFI−MAの比率は50:50であった。
【0102】
4シクロペンテン1,3ジオン0.3モルと2−アダマンタノン0.3モルとをテトラヒドロフラン中でアミン触媒(DCU)下で環留縮合し,反応液を濃縮後、無水エタノールで再結晶し、下記化学式で表されるモノマー(ADMCP)を得た。
【0103】
【化45】
【0104】
このモノマー0.2モルに対し、0.1モルのアクリル酸とtert−ブチルメタクリレートをTHF 70gに混合した。この混合液にAIBN0.03モルを加え、60℃で18時間重合して、ADMCP−MA−t−BMの共重合体を得た。得られた重合体の分子量は5,600であった。
【0105】
N−アダマンチルマレイミド(NAMI)0.2モルに対し、0.1モルのアクリル酸とtert−ブチルメタクリレートをTHF 80gに混合した。この混合液にAIBN0.03モルを加え、50℃で40時間重合してNAMI−MA−t−BMの共重合体を得た。得られた共重合体の分子量は7,500であった。
【0106】
アクロレインとメルドラム酸とをピリジン中で50℃で8時間加熱し、生成物を水に滴下した後、エタノールで再結晶してモノマー(MALDM)を得た。このモノマー0.1モルに対しNAMI 0.1モルをTHF 40gに混合した。この混合液にAIBN0.02モルを加え、60℃で24時間重合し、MALDM−NAMI共重合体を得た。得られた共重合体の分子量は3,200であった。
【0107】
デオキシコール酸0.1モルと、2塩化マロニル0.1モルとを、0.3モルのピリジンに溶解して反応させた。得られた反応生成物を水洗後、エーテル中に滴下し、ろ別してポリマー(DECA−MAL)を得た。このポリマーの分子量は1,800であった。
【0108】
メンチルアクリレート0.1モルに対し、0.1モルのアクリル酸とtert−ブチルメタクリレートをTHF 70gに混合した。この混合液にAIBN0.03モルを加え、50℃,35時間重合し、MEN−MA−t−BMの共重合体を得た。得られた共重合体の分子量は11,000であった。
【0109】
なお、ここで合成した高分子化合物の化学式を、その重量平均分子量と併せ以下に示す。
【0110】
【化46】
【0111】
【化47】
【0112】
【化48】
【0113】
(脂環化合物の合成)
5−(2−アダマンチリデン)2,2−ジメチル1,3−ジオキサン4,6−ジオン(ADDD)はアルドリッチの試薬をそのまま用いた。
【0114】
ADDD0.1モルをTHF中に溶解し、別に調整したエチルマグネシウムブロマイド0.1モルを塩化銅触媒下で作用させた。その後、環流−水溶媒で再沈し、5−(2−エチルアダマンチル)2,2−ヂメチル1,3−ジオキサン4,6−ジオン(ADDM)を合成して用いた。
【0115】
カンファー0.1モルとメルドラム酸0.1モルとをピリジン中で縮合して反応物を得た。この反応物を水中に落下して下記化学式で表される脂環化合物(CDDD)を合成した。
【0116】
【化49】
【0117】
同様にして、アダマンタノン0.1モルとジ−tert−ブチルマロン酸とを反応させて、下記化学式で表わされるADDTを合成した。
【0118】
【化50】
【0119】
マロン酸ジ−tertブチル0.02モルを,0℃以下でTHFに分散したNaH 0.02モルにゆっくり滴下した。次いで、THFに溶解した0.02モルの1−アダマンチルブロモメチルケトンを0℃以下でゆっくり滴下した後、3時間攪拌した。反応生成物を水にあけ、ヘキサンで抽出して下記化学式で表されるADMTBを合成した。
【0120】
【化51】
【0121】
1,1’’ビ−2−ナフトール0.1モルをTHFに溶解して得られた溶液を、水素化ナトリウム0.22モルの存在下、充分な量のジt−ブチル2炭酸エステルと室温で4時間撹拌した。その後、反応液を水中に投入して生成した沈殿を濾別することで、t−ブトキシカルボニル化1,1’’ビ−2−ナフトール(tBocBN)を合成した。
【0122】
同様に、キナリザニン0.1モルをTHFに溶解して得られた溶液を、水素化ナトリウム0.42モルの存在下、充分な量のジt−ブチル2炭酸エステルと室温で6時間撹拌した。その後、反応液を水中に投入して生成した沈殿を濾別することで、t−ブトキシカルボニル化キナリザニン(tBocQ)を合成した。
【0123】
さらに、0.1モルナフトール当量のβ−ナフトールノボラックをTHFに溶解して得られた溶液を、水素化ナトリウム0.1モルの存在下、充分な量のジt−ブチル2炭酸エステルと室温で6時間撹拌した。その後、反応液を水と混合して酢酸エチルで抽出することで、分子量3,000のt−ブトキシカルボニル化ナフトールノボラック(tBocNN)を合成した。
【0124】
なお、ここでのtBocBN、tBocQ及びtBocNNにおけるt−ブトキシカルボニルの導入率は、全水酸基の100モル%であった。
【0125】
一方、パモイック酸0.1モルをジメチルアセトアミド溶媒に溶解させて、触媒量のトリフルオロメタンスルフォン酸存在下、2−ブテンを吹き込みながら16時間煮沸撹拌した。得られた反応物に水を添加してトルエンで抽出した後、トルエンを留去することでパモイック酸t−ブチル(PAtB)を合成した。このとき、カルボキシル基へのt−ブチルの導入率は100モル%であった。
【0126】
さらに1,5−ジヒドロキシナフタレン0.1モルを、触媒としての炭酸カリウム及びヨウ化カリウムの存在下、充分な量のブロモ酢酸t−ブチルと反応させた後、酢酸エチルで抽出することで酢酸t−ブチル化ナフトール(AtBN)を合成した。
【0127】
また、α−ナフトール0.5モルに0.25モル当量のホルムアルデヒド水溶液を混合し、α−ナフトールが溶解するまで加熱した後、3時間撹拌して反応させた。次いで、得られた反応物を2mmHgまで減圧してから徐々に200℃まで加熱して反応が充分ではない成分を取り除き、平均分子量700のα−ナフトールノボラック樹脂(αNN−1)を合成した。
【0128】
さらに、ホルムアルデヒドをブチラール及びグリオキシル酸に変更する以外は上述と全く同様にして、それぞれ平均分子量1,000、500のα−ナフトールノボラック樹脂(αNN−2)、(αNN−3)を合成した。
【0129】
(レジストの調製及びレジストパターンの形成)
上述した通り合成した高分子化合物、溶解抑止剤及び光酸発生剤を、表1〜表3に示す処方にしたがってシクロヘキサノンに溶解させ、実施例1〜29のレジストのワニスを調製した。ここで、光酸発生剤としては、みどり化学製TPS−105、NAT−105、NDS−105、NDI−105およびNAI−105を用いた。
【0130】
一方、高分子化合物としてアダマンチルメタクリレート(AMM)、t−BM及びMAの35:40:25共重合体を使用し、光酸発生剤としてNAT−105を配合した比較例のレジストのワニスを併せて調製した。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
次いで、これらのレジストのワニスをそれぞれシリコンウェハ上に回転塗布して厚さ0.6μmのレジスト膜を成膜し、波長193nmのArFエキシマレーザー光を光源としたNA0.54のステッパを使用してレジスト膜表面に所定のパターン光を露光した。続いて110℃で2分のベーキング処理を施した後、テトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液(TMAH)またはTMAHとイソプロピルアルコールとの混合溶液で、レジスト膜の露光部を選択的に溶解・除去して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このときの現像液濃度及び感度、解像度を表4および表5に示す。
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】
表4および5に示される通り、実施例1〜29のレジストにおいては、いずれも高い感度で解像性の良好なレジストパターンが形成されており、波長193nmの光に対する透明性、アルカリ現像性とも優れていることが判る。一方比較例のレジストでは、TMAHに30wt%のイソプロピルアルコールを配合した現像液を用いた場合は解像性の良好なレジストパターンが形成されたものの、TMAH単独だとアルカリ現像性が充分でないことに起因し解像度約0.5μmと低い。しかも、得られたレジストパターンの均一性も劣っており、かつレジストパターンの剥離、膜クラックなども見受けられた。
【0138】
さらに、これらのレジストについて、CF4 プラズマによるエッチング速度を測定してそのドライエッチング耐性を評価した。この結果、ノボラック樹脂をベース樹脂とするレジストのエッチング速度を1.0としたとき、比較例のレジストのエッチング速度が1.2であるのに対し、実施例1〜29のレジストのエッチング速度は1.0〜1.2であり、いずれも高いドライエッチング耐性を有していることが確認された。
【0139】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、短波長光に対する透明性が優れるとともに高いドライエッチング耐性を備え、かつアルカリ現像で解像性の良好なレジストパターンを形成することができるアルカリ現像用レジストを実現することが可能となる。
Claims (7)
- 高分子化合物、酸架橋性化合物、および光酸発生剤を含有し、前記高分子化合物は、25℃の水溶液中でのpKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式単量体の重合体を含むアルカリ現像用レジストであって、
前記酸性置換基は、ケトンオキシム構造を含む有機基、N−ヒドロキシサクシンイミド構造を含む有機基、ジカルボニルメチレン構造を含む有機基、スルファミル構造を含む有機基、多置換スルフォニルメタン構造を含む有機基、チオールを含む有機基、互変異性のアルコール、カルバメート基を含む有機基、フルフリルアルコールを含む有機基、およびアミック酸構造を含む有機基からなる群から選択され、
前記脂環式単量体は、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環やこれらに橋かけ炭化水素が導入されたもの、スピロ環、テルペン環、ステロイド骨格、タンジュウサン、ジギタロイド類、ショウノン環、イソショウノウ環、セスキテルペン環、サントン環、ジテルペン環、トリテルペン環、およびステロイドサポニン類からなる群から選択される脂環式構造を含むことを特徴とするアルカリ現像用レジスト。 - 高分子化合物および光酸発生剤を含有し、前記高分子化合物は、酸分解性であり、25℃の水溶液中でのpKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式単量体の重合体を含み、ビニル化合物を含有する共重合体であるアルカリ現像用レジストであって、
前記酸性置換基は、ケトンオキシム構造を含む有機基、N−ヒドロキシサクシンイミド構造を含む有機基、ジカルボニルメチレン構造を含む有機基、スルファミル構造を含む有機基、多置換スルフォニルメタン構造を含む有機基、チオールを含む有機基、互変異性のアルコール、カルバメート基を含む有機基、フルフリルアルコールを含む有機基、およびアミック酸構造を含む有機基からなる群から選択され、
前記脂環式単量体は、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環やこれらに橋かけ炭化水素が導入されたもの、スピロ環、テルペン環、ステロイド骨格、タンジュウサン、ジギタロイド類、ショウノン環、イソショウノウ環、セスキテルペン環、サントン環、ジテルペン環、トリテルペン環、およびステロイドサポニン類からなる群から選択される脂環式構造を含むことを特徴とするアルカリ現像用レジスト。 - 脂環式構造を有するアルカリ可溶性樹脂、光酸発生剤、および下記一般式1ないし3で表される少なくとも1種の構造単位を含む化合物を含有するアルカリ現像用レジスト。
- 高分子化合物、溶解抑止剤、および光酸発生剤を含有し、前記高分子化合物は、25℃の水溶液中でpKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式単量体を含み、前記酸性置換基は、ケトンオキシム構造を含む有機基、N−ヒドロキシサクシンイミド構造を含む有機基、ジカルボニルメチレン構造を含む有機基、スルファミル構造を含む有機基、多置換スルフォニルメタン構造を含む有機基、チオールを含む有機基、互変異性のアルコール、カルバメート基を含む有機基、フルフリルアルコールを含む有機基、およびアミック酸構造を含む有機基からなる群から選択され、前記脂環式単量体は、下記一般式1ないし3で表される少なくとも1種の構造単位を含むアルカリ現像用レジスト。
- 高分子化合物および光酸発生剤を含有し、前記高分子化合物は、酸分解性基を含み、25℃の水溶液中でのpKaが7以上11以下の酸性置換基が導入された脂環式単量体化合物を含有し、前記酸性置換基は、ケトンオキシム構造を含む有機基、N−ヒドロキシサクシンイミド構造を含む有機基、ジカルボニルメチレン構造を含む有機基、スルファミル構造を含む有機基、多置換スルフォニルメタン構造を含む有機基、チオールを含む有機基、互変異性のアルコール、カルバメート基を含む有機基、フルフリルアルコールを含む有機基、およびアミック酸構造を含む有機基からなる群から選択され、前記脂環式単量体化合物は、下記一般式1ないし3で表される少なくとも1種の構造単位を含むアルカリ現像用レジスト。
- 溶解抑止剤をさらに含有する請求項2、3および5のいずれか1項に記載のアルカリ現像用レジスト。
- 前記高分子化合物は、ビニル化合物を共重合体成分とする共重合体である請求項1、4および5のいずれか1項に記載のアルカリ現像用レジスト。
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